賃貸アパートの外壁塗装は共用部まで大切|安心感を与える外観改善
賃貸アパートの外壁塗装を検討するとき、多くのオーナー様は、まず外壁の色あせ、ひび割れ、チョーキング、シーリングの劣化などに目を向けます。
もちろん、外壁は雨や紫外線から建物を守る大切な部分です。
きれいに塗り替えられた外壁は、建物を明るく見せ、物件写真の印象も大きく変えてくれます。
しかし、入居希望者が実際に歩くのは、外壁の表面ではありません。
道路から敷地へ入り、駐輪場の横を通り、エントランスへ進みます。
郵便受けを見て、階段を上り、共用廊下を歩いて、ようやく玄関の前に到着します。
その途中で、手すりに赤いサビが出ていたり、廊下の床が黒ずんでいたり、天井に雨染みが残っていたりすると、せっかく外壁を新しく塗り替えても、建物全体の印象が整いません。
結論から申し上げると、賃貸アパートの外観改善は、外壁だけではなく、道路から玄関までの生活動線を一つの空間として考えることが大切です。
特に女性の一人暮らしや、小さなお子様がいるファミリー層にとって、共用部の清潔感、明るさ、足元の安全性、管理状態の分かりやすさは、毎日を安心して暮らせるかどうかを判断する材料になります。
これは、見栄えだけを取り繕うという話ではありません。
塗装、清掃、防水、排水、照明、整理整頓を通じて、「きちんと手入れされている建物です」というメッセージを伝えること。
いわば、共用部は賃貸物件の玄関口であり、オーナー様や管理会社様の姿勢が静かに表れる場所なのです。
本記事では、賃貸アパートの外壁塗装と共用部改修を別々に考えず、建物全体の清潔感と安心感を高める方法として、塗装店の立場から分かりやすく解説します。
- ■ 外壁だけを塗り替えても建物の印象が整わない理由
- ■ 女性入居者やファミリー層が共用部で確認するポイント
- ■ 共用廊下・階段・手すり・玄関まわりの劣化症状
- ■ 塗装で直せる傷みと、補修・交換が必要な傷みの違い
- ■ 賃貸アパートを清潔に見せる色彩計画
- ■ 入居中の共用部塗装で必要な安全対策と近隣配慮
- ■ 予算に合わせて修繕の優先順位を決める方法
- ■ 共用部改修を空室対策や物件価値の維持につなげる考え方
1. 賃貸アパートの印象は外壁塗装だけでは決まらない
賃貸アパートの外観を整えると聞くと、外壁を新しい色に塗り替えることを思い浮かべる方が多いと思います。
ところが、入居希望者が建物を判断するときは、外壁だけを一枚の写真のように切り取って見ているわけではありません。
敷地に入った瞬間の空気感、植栽や駐輪場の整理状態、階段のサビ、廊下の明るさ、玄関ドアまわりの汚れなど、複数の情報を無意識のうちに組み合わせながら、「ここで安心して暮らせそうか」を考えています。
物件の印象を整えるときは、建物を次のような動線で確認すると分かりやすくなります。
- ■ 道路から見た建物全体
- ■ 敷地への入口とアプローチ
- ■ 駐車場・駐輪場・ごみ置き場
- ■ エントランスと郵便受け
- ■ 階段・手すり
- ■ 共用廊下
- ■ 玄関ドアと照明
外壁塗装は、この動線全体を包む大きな背景です。
一方、手すり、階段、床、照明、郵便受けは、入居者が毎日近い距離で見たり、触れたりする部分です。
そのため、遠くから見た外壁が美しくても、手元や足元が荒れていると、「外側だけを新しくした建物」という印象になってしまうことがあります。
塗装工事を行うと、それまで目立たなかった部分が急に気になることがあります。
例えば、外壁を明るいアイボリーに塗り替えたあと、古い鉄骨階段のサビ、色あせた玄関ドア、くすんだ照明器具が、以前より強く目に入るケースです。
これは、洋服を新しくしたときに、履き古した靴が急に気になってしまう感覚と少し似ています。
外壁と共用部の仕上がりに大きな差があると、建物全体のまとまりが失われます。
反対に、外壁、階段、手すり、玄関まわりの色と清潔感がそろっていると、築年数を重ねた建物でも落ち着きのある佇まいに整えられます。
国土交通省の賃貸住宅管理業法に関する資料でも、賃貸住宅の維持保全には、居室だけではなく、玄関・通路・階段などの共用部分の点検、清掃、修繕が含まれると整理されています。
つまり、共用部は単なる飾りではなく、賃貸住宅を適切に維持するうえで欠かせない部分です。
外壁塗装を計画するときは、「外壁を何色にするか」だけでなく、「敷地に入ってから玄関へ着くまでを、どのような印象に整えるか」まで考えることが重要です。
2. 賃貸アパートの共用部の清潔感が安心感につながる理由
共用部がきれいな物件は、単に見た目が良いだけではありません。
清掃や修繕が継続的に行われていることが伝わり、入居者に「何かあったときにも対応してもらえそう」という安心感を与えます。
女性の一人暮らしでは、室内設備だけでなく、建物に入ってから玄関までの環境も大切な判断材料になります。
特に確認されやすいのは、次のような部分です。
- ■ 夕方や夜でも廊下と階段が暗すぎないか
- ■ 照明器具が切れたまま放置されていないか
- ■ 郵便受けの周囲にチラシが散乱していないか
- ■ 手すりや階段に大きなサビがないか
- ■ 共用廊下に私物や不要品が置かれていないか
- ■ 玄関まわりにクモの巣や汚れが多くないか
- ■ 植栽が伸びすぎて死角をつくっていないか
高価な素材を使えば安心感が生まれるわけではありません。
照明が点灯し、床が清掃され、手すりがしっかり固定され、不要な物が置かれていないこと。
こうした当たり前の状態が丁寧に保たれていることが、住みやすさにつながります。
小さなお子様がいるご家庭では、大人だけでなく、子どもが安全に歩けるかという視点が加わります。
階段の滑りやすさ、手すりのぐらつき、床の段差、排水溝のふた、塗膜のめくれ、鋭くなった金属部分など、わずかな傷みでも不安につながることがあります。
ベビーカーを使用するご家庭では、通路の幅、段差、駐輪場の整理状態なども暮らしやすさを左右します。
国の住宅セーフティネット制度でも、子育て世帯は住まいの確保に配慮を必要とする世帯の一つとして位置づけられています。
賃貸物件の共用部を安全で分かりやすい状態に保つことは、幅広い入居者を受け入れるための土台になります。
入居希望者は、建物の管理履歴をすべて確認できるわけではありません。
そこで、目に見える共用部の状態から、建物がどのように扱われてきたのかを想像します。
| 共用部の状態 | 入居希望者が受けやすい印象 |
|---|---|
| 床が清掃され、照明が点灯している | 日頃から管理されている |
| 手すりや階段のサビが補修されている | 安全面にも気を配っている |
| 郵便受けや掲示板が整理されている | 入居者への連絡や管理が丁寧 |
| 雨染みや漏水跡が放置されている | 不具合への対応が遅いのではないか |
| 自転車や私物が通路をふさいでいる | 管理ルールが曖昧なのではないか |
| 塗膜がめくれ、サビが広がっている | 建物全体の修繕も遅れているのではないか |
もちろん、見た目だけで管理のすべてが決まるわけではありません。
それでも共用部が整っていることは、オーナー様や管理会社様が建物を大切にしている姿勢を、言葉を使わずに伝えてくれます。
3. 外壁塗装と一緒に確認したい賃貸アパートの共用部
共用部と一口にいっても、建物にはさまざまな場所があります。
ここでは、外壁塗装の現地調査と一緒に確認しておきたい主な部分をご紹介します。
敷地の入口からエントランスまでのアプローチは、入居者が最初に近くで見る場所です。
床の黒ずみ、コケ、雑草、ひび割れ、排水不良などを確認します。
雨の日に水がたまりやすい場所や、日陰で滑りやすくなっている部分は、清掃だけでなく補修も検討します。
外壁を塗り替える際には、門柱、塀、庇、雨樋、竪樋、照明器具の台座なども一緒に確認すると、入口全体の統一感をつくりやすくなります。
郵便受けは面積こそ小さいものの、入居者が毎日使用する設備です。
色あせ、扉のへこみ、表示の剥がれ、チラシの散乱、周囲の壁汚れなどが重なると、建物全体が古く見えます。
金属製の郵便受けは、素材や表面処理によって塗装できるものと、塗装に適さないものがあります。
無理に塗って短期間で剥がすより、清掃、シート施工、部分交換のほうが適切な場合もあります。
共用廊下では、壁の汚れだけでなく、天井の雨染み、塗膜の膨れ、ひび割れ、床の防水状態、排水口の詰まりを確認します。
特に天井のシミは、単純な汚れとは限りません。
上階の床、排水溝、笠木、外壁との取り合い、配管などから水が回っている可能性があります。
水が入る原因を直さず、シミの上から塗料を塗るだけでは、きれいに見えるのは一時的です。
乾燥が不十分な下地へ塗装すると、塗膜の膨れや剥がれにつながります。
まず原因を確認し、水分を逃がしたうえで、下地に合う塗料を選びます。
鉄骨階段は、賃貸アパートの共用部で傷みやすい場所の一つです。
踏板、段裏、ささら、溶接部分、ボルトまわり、手すりの根元などに水が残ると、サビが発生しやすくなります。
表面に薄いサビが出ている段階であれば、ケレンでサビと弱った塗膜を除去し、防錆塗料と上塗り塗料で保護できます。
しかし、次のような状態では、塗装だけで済ませてはいけません。
- ■ 踏板に穴が開いている
- ■ 金属が薄くなり、踏むとたわむ
- ■ 溶接部分に亀裂がある
- ■ 手すりの根元が動く
- ■ ボルトが著しく腐食している
- ■ 階段と建物の接続部に大きな傷みがある
この場合は、鉄工業者による溶接補修、部材交換、補強などを先に行います。
サビの上から濃い色を塗れば、一時的にはきれいに見えるかもしれません。
しかし、安全性が回復したことにはなりません。
塗装店としても、塗るべき部分と、塗る前に直すべき部分を明確に分ける必要があります。
玄関ドアは各住戸の顔です。
ドア本体だけでなく、枠、メーターボックス、パイプスペース、新聞受け、表札まわりまで確認します。
塩化ビニール鋼板、アルミ、スチールなど、玄関ドアの素材は建物によって異なります。
素材を確認せずに強い溶剤系塗料を使用すると、表面が縮れたり、密着不良を起こしたりすることがあります。
既存の表面材に合わせ、清掃、足付け、脱脂、下塗り、上塗りを組み合わせます。
傷みが少ない場合は、全面塗装ではなく、清掃や部分補修のほうが自然に仕上がることもあります。
駐輪場やごみ置き場は、生活感が表れやすい場所です。
屋根材の汚れ、鉄部のサビ、ラインの消失、放置自転車、ネットの破損などを確認します。
給湯器、配管、室外機、メーターボックスなどの外部設備も、塗装範囲を決める際に整理が必要です。
すべてを同じ色で塗りつぶすのではなく、塗装できる部分、塗装できない部分、設備業者へ確認すべき部分を区別することが、きれいで安全な仕上がりにつながります。
4. 賃貸アパート共用部の劣化を塗装前に診断する
共用部改修では、色を決める前に劣化原因を確認することが大切です。
同じように見える汚れや剥がれでも、発生原因によって施工方法が変わります。
| 見られる症状 | 主な原因 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 鉄部の点状のサビ | 塗膜の傷、経年劣化、水分 | ケレン、防錆塗装、上塗り |
| 鉄部の穴あき・著しい腐食 | 長期間の腐食進行 | 溶接補修、部材交換、補強 |
| 廊下天井の雨染み | 上階床、笠木、外壁、配管からの漏水 | 漏水原因の特定と補修後に塗装 |
| 床の膨れ・めくれ | 下地水分、防水層の劣化、密着不良 | 既存層の確認、撤去、乾燥、防水改修 |
| 床のコケ・黒ずみ | 日照不足、排水不良、湿気 | 洗浄、排水改善、防滑仕上げ |
| 壁のひび割れ | 下地の動き、乾燥収縮、接合部の挙動 | ひび幅と深さに応じた補修 |
| 塗膜の粉化 | 紫外線や雨による樹脂劣化 | 洗浄、下地調整、下塗り、上塗り |
| 手すりのぐらつき | アンカーや根元の腐食、固定不良 | 固定部の補修、交換、補強 |
塗装には、素材の表面を保護し、美観を整える力があります。
一方で、構造的に弱くなった鉄骨を元の厚みに戻したり、ぐらつく手すりを固定したり、漏水原因を消したりすることはできません。
私たち塗装店が大切にしているのは、何でも塗装で直せるように見せないことです。
塗ることで改善できる部分と、補修・交換が必要な部分を正直に区別することが、長持ちする工事の第一歩です。
共同住宅の共用廊下や階段は、日常の通路であると同時に、火災などの際に避難経路となる重要な部分です。
消防庁の立入検査に関する資料でも、階段や廊下などの避難経路に、避難の妨げとなる物品が置かれていないかを確認する考え方が示されています。
塗装工事中は、養生材、塗料缶、工具、足場材などを一時的に置く場面があります。
そのため、作業のしやすさだけでなく、入居者が安全に通れる幅を確保し、資材をその日のうちに整理することが欠かせません。
共同住宅の構造に関する消防庁の基準でも、安全に避難できる経路の確保が重視されています。
共用部改修は、美観工事であると同時に、日常動線と避難動線を扱う工事だという意識が必要です。
晴れた日の調査だけでは、共用部の問題を見落とすことがあります。
雨天時に階段へ水が吹き込む、廊下の排水口付近に水がたまる、竪樋から水があふれる、玄関前に雨水が流れてくるといった問題は、乾いた状態では分かりにくいものです。
床の水跡、コケの生え方、汚れの流れ、金属のサビ方を観察すると、水の通り道が見えてきます。
塗装前の診断では、今見えている傷みだけでなく、「雨が降ったときに、この場所で何が起きているか」を想像することが重要です。
5. 賃貸アパートを清潔に見せる共用部の色彩計画
共用部を塗り替える際は、明るくすれば必ず清潔に見えるわけではありません。
外壁、床、階段、手すり、玄関ドア、照明の色をつなげ、建物全体にまとまりをつくることが大切です。
共用廊下の壁や天井には、白や明るいアイボリーがよく使われます。
明るい色は光を反射し、廊下を広く清潔に見せる効果があります。
一方、青みの強い真っ白は、建物によっては冷たく見えたり、雨だれや手あかが目立ったりします。
少しベージュやグレーを含んだオフホワイト、アイボリー、ライトグレージュなどは、明るさを保ちながら汚れをやわらかく受け止めてくれます。
床まで明るくしすぎると、黒ずみやタイヤ跡、土汚れが目立ちます。
共用廊下の床は、壁よりも一段階から二段階ほど濃いグレー、ベージュ、グレージュを選ぶと、落ち着きが生まれます。
ただし、濃いチャコールグレーや黒に近い色は、狭い廊下では重く見え、夜間の足元も見えにくくなることがあります。
色だけでなく、防滑性、耐水性、下地との相性、雨掛かりの程度も考慮して床材を選びます。
鉄骨階段や手すりは、建物の外観を引き締める重要な要素です。
よく使われる色には、次のようなものがあります。
| 色の系統 | 与えやすい印象 | 注意点 |
|---|---|---|
| ダークブラウン | 温かみ、落ち着き、住宅らしさ | 赤みが強すぎると古く見える場合がある |
| チャコールグレー | 現代的、端正、引き締まった印象 | 広い面積に使うと暗く感じることがある |
| グレージュ | 上品、やわらかい、親しみやすい | 外壁との明度差が少ないと輪郭がぼやける |
| オリーブグレー | 自然、穏やか、植栽となじみやすい | 周辺環境によっては地味に見える |
| アイボリー | 明るい、やさしい、清潔感 | 手すりなど接触部では汚れが目立ちやすい |
外壁がベージュ系なら、手すりをダークブラウンやグレーブラウンに。
外壁が白やグレーなら、チャコールやニュアンスグレーにするなど、建物のテイストに合わせます。
賃貸アパートでは、個性を強く出しすぎるよりも、多くの方が心地よく感じられる配色が基本です。
おすすめしやすいのは、アイボリー、グレージュ、明るいグレー、落ち着いたブラウンなどを中心にした配色です。
そのうえで、玄関ドアや階段に少し濃い色を使い、建物の輪郭を整えます。
おしゃれに見せるコツは、色数を増やすことではありません。
素材、明るさ、色温度をそろえ、不要な色を減らすことです。
外壁、共用廊下、階段、玄関ドアの色がばらばらだと、どれだけ高級な塗料を使っても落ち着きません。
建物全体を一着のコーディネートとして見ながら、外壁を上着、玄関を顔、階段や手すりを靴やベルトのように考えると、まとまりのある色彩計画を立てやすくなります。
6. 入居者がいる賃貸アパートの共用部塗装で大切な配慮
賃貸アパートの塗装工事は、入居者様が生活している状態で行うことがほとんどです。
戸建住宅の塗装とは異なり、複数の世帯が同じ廊下、階段、駐輪場を利用します。
そのため、仕上がりの品質と同じくらい、工事中の安全管理と生活への配慮が重要です。
工事のお知らせには、工期だけでなく、生活に影響する内容を具体的に記載します。
- ■ 高圧洗浄を行う日
- ■ 窓を閉めていただく時間帯
- ■ 洗濯物を外へ干せない日
- ■ 玄関ドアや廊下を塗装する日
- ■ 塗料の臭いが発生する可能性
- ■ 自転車や植木鉢を移動していただく期間
- ■ 通行経路が一時的に変わる時間帯
- ■ 工事に関する連絡先
「塗装工事を行います」という一文だけでは、入居者様は何を準備すればよいのか分かりません。
いつ、どこで、どのような作業を行い、生活にどのような影響があるのかを、専門用語を使わずに伝えることが大切です。
玄関ドアや枠、廊下の床を塗装するときは、出入りへの影響を考えます。
乾燥前の床を踏めば、靴底に塗料が付着し、室内へ持ち込まれることがあります。
ドア枠を塗装した直後にドアを閉めると、塗膜がくっつく場合もあります。
施工箇所を細かく区切り、片側ずつ仕上げる、通行できる幅を残す、表示板やカラーコーンを設置するなど、現場に合わせた動線管理が必要です。
小さなお子様は、養生テープや塗りたての手すりに興味を持つことがあります。
高齢の入居者様にとっては、普段と少し違う段差や通路変更が転倒の原因になることもあります。
ペットを連れて出入りする方には、臭気や作業音への配慮も必要です。
注意書きを貼るだけでなく、作業員が人の動きを見ながら声をかけ、安全に通行できる状態をつくります。
共用部工事では、翌日の作業効率を優先して、資材や養生を残したくなる場面があります。
しかし、入居者様にとっては、夕方から翌朝までが普段の生活時間です。
工具や材料を整理し、不要な養生を撤去し、避難経路と通行幅を確保する。
床にゴミや塗料片が残っていないかを確認する。
良い共用部塗装は、塗った面だけでなく、入居者様が安心して一日を終えられる状態まで含めて完成です。
7. 賃貸アパート共用部改修の費用と優先順位
共用部の工事費用は、建物の規模、階数、施工面積、鉄部の量、劣化状況、防水工事の有無によって大きく変わります。
単純な面積だけではなく、細かな部材の数や、入居者様の動線を確保しながら施工する手間も費用に関係します。
外壁は比較的まとまった面積がありますが、共用部には手すり、階段、ドア枠、配管、天井、床など、形状の異なる部分が集まっています。
例えば、同じ十平方メートルでも、平らな壁を塗る場合と、細い手すりが何本もある場合では、作業時間が大きく異なります。
鉄骨階段も、表面だけを塗るのか、段裏、ささら、手すり、支柱、ボルトまで塗るのかによって施工量が変わります。
見積りでは「共用部塗装一式」だけでなく、施工範囲と下地処理の内容を確認してください。
予算に限りがある場合は、次の順序で考えると整理しやすくなります。
| 優先度 | 主な工事項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 最優先 | 階段の腐食、手すりのぐらつき、床の滑り、漏水 | けがや事故、建物劣化につながるため |
| 高い | 排水不良、防水層の傷み、照明不良 | 雨漏りや夜間の安全性に関係するため |
| 中程度 | サビ、塗膜の剥がれ、ひび割れ | 放置すると補修範囲が広がるため |
| 印象改善 | 壁の汚れ、郵便受け、掲示板、色彩の統一 | 内見時と日常の印象を整えるため |
| 付加価値 | サイン、植栽、照明デザイン、意匠仕上げ | 物件の個性やブランド性を高めるため |
共用部を整えるために、必ず大規模な工事が必要とは限りません。
- ■ 高圧洗浄で床と壁の汚れを落とす
- ■ 切れている照明を交換する
- ■ 郵便受けと掲示板を清掃する
- ■ 目立つ鉄部のサビを早めに補修する
- ■ 玄関まわりのクモの巣や不要物を除去する
- ■ 駐輪ラインや部屋番号表示を整える
- ■ 植栽を剪定して見通しを良くする
こうした改善は、一つひとつを見ると小さなものです。
しかし、複数を丁寧に積み重ねると、建物全体の空気がすっきりします。
外壁と共用部を同時に施工すると、色彩計画を統一しやすくなります。
足場が必要な共用廊下の外側、軒天、雨樋、鉄骨階段の高所部分などは、外壁塗装とまとめることで作業を効率化できる場合があります。
一方、すべてを一度に行うと工事費が大きくなる点はデメリットです。
建物診断をもとに、「今回必ず直す部分」「足場がある間に直す部分」「数年後に計画する部分」を分け、無理のない修繕計画を立てることが大切です。
8. 共用部の外観改善を賃貸アパートの空室対策につなげる方法
共用部をきれいにすれば、必ず空室がなくなるわけではありません。
入居の判断には、立地、家賃、間取り、築年数、設備、周辺環境など、さまざまな条件が関係します。
しかし、条件が近い物件を比較されたとき、共用部の清潔感が最後の判断を後押しする可能性はあります。
外壁塗装後は、建物正面だけでなく、次の場所も撮影しておくと、管理状態を伝えやすくなります。
- ■ 明るくなったエントランス
- ■ 清掃された共用廊下
- ■ 塗り替えた階段と手すり
- ■ 整理された駐輪場
- ■ 玄関前の照明と床
- ■ 建物名やサイン
写真は広角にしすぎず、実際に歩いたときの目線に近い高さで撮影すると、生活の様子が伝わりやすくなります。
表面を過度に加工するよりも、明るさを整え、清掃された状態を正直に見せるほうが、物件への信頼につながります。
単に「外壁塗装済み」と記載するだけでなく、実際に改善した内容を整理します。
例えば、次のような表現です。
- ■ 外壁・鉄骨階段・共用廊下を改修
- ■ 共用部照明を交換し、夜間の視認性に配慮
- ■ 共用廊下床を防滑仕様で改修
- ■ 手すりと鉄部の防錆塗装を実施
- ■ エントランスと郵便受けまわりを整備
実施していない効果を大きく表現するのではなく、どこを、どのように直したのかを具体的に伝えることが大切です。
塗装直後は、どの建物もきれいに見えます。
差が出るのは、その後です。
排水口の清掃、照明の点検、クモの巣の除去、鉄部の小さな傷の補修などを続けることで、改修後の状態を保ちやすくなります。
国土交通省が示す賃貸住宅の維持保全も、修繕だけでなく、点検や清掃を含む継続的な管理として整理されています。
大規模修繕と日常管理をつなげることが、建物を長く美しく保つ基本です。
共用部改修の目的は、内見の一日だけきれいに見せることではありません。
現在の入居者様が、毎日気持ちよく帰ってこられる環境をつくることです。
9. 賃貸アパートの外壁・共用部塗装業者を選ぶポイント
賃貸アパートの塗装では、戸建住宅とは異なる知識と現場対応が求められます。
塗装の技術だけでなく、入居者対応、通行管理、工程調整、設備との取り合いまで考えられる業者を選ぶことが重要です。
現地調査で外壁面積だけを測り、すぐに塗料の話へ進む業者には注意が必要です。
共用廊下、階段、手すり、床、排水、玄関、照明、ごみ置き場まで確認し、建物全体の問題を整理してくれるかを見てください。
腐食した階段、漏水している天井、膨れた床などを、すべて塗装だけで処理しようとする提案は適切ではありません。
塗装で改善できる部分、専門業者による補修が必要な部分、交換したほうがよい部分を分けて説明できる業者が安心です。
工事案内、掲示物、通行誘導、日々の清掃、作業終了時の点検などは、完成写真には写りにくい仕事です。
しかし、入居中の賃貸物件では、この部分が工事の満足度を大きく左右します。
費用の安さだけで比較すると、こうした見えにくい管理業務が省かれることがあります。
外壁色だけでなく、階段、手すり、玄関ドア、床、軒天、雨樋まで含めた配色提案があるかを確認します。
色見本だけでは完成後の見え方を想像しにくいため、カラーシミュレーション、塗板、施工事例などを使って説明してもらうと安心です。
使用塗料、施工箇所、下地補修、塗装回数、工事写真を記録として残してもらいましょう。
賃貸物件では、担当する管理会社や修繕業者が将来変わる可能性があります。
工事内容を記録しておけば、次回の点検や修繕時に、いつ、どこへ、何を施工したのかを正確に確認できます。
10. まとめ|賃貸アパートの外壁塗装は共用部まで整えて完成する

賃貸アパートの外壁塗装は、外壁の色を新しくするだけの工事ではありません。
道路から敷地へ入り、エントランス、階段、共用廊下を通り、玄関へ着くまで。
その一連の動線を、明るく、清潔で、安全な空間へ整える工事です。
外壁だけがきれいでも、鉄骨階段にサビが広がり、廊下の床が黒ずみ、照明が切れていれば、建物全体の印象は十分に改善されません。
反対に、築年数を重ねた賃貸アパートでも、共用部が清掃され、手すりや階段が補修され、色彩が丁寧に整えられていれば、落ち着きと安心感のある物件に見せることができます。
大切なのは、表面だけを取り繕うことではありません。
- ■ サビの原因を確認する
- ■ 漏水や排水不良を先に直す
- ■ 滑りやすい床を安全に整える
- ■ 照明と通行経路を確認する
- ■ 外壁と共用部の色を統一する
- ■ 入居者様の生活を妨げない工程を組む
こうした一つひとつの積み重ねが、入居希望者には「安心して暮らせそう」という印象として伝わり、現在の入居者様には「この建物は大切に管理されている」という実感につながります。
共用部は、オーナー様の言葉に代わって建物の管理品質を伝える場所です。
外壁塗装をご検討の際は、外壁だけを見上げるのではなく、一度、入居者様と同じ目線で道路から玄関まで歩いてみてください。
そこには、建物をもっと長く、もっと心地よく使っていただくための改善点が、きっと見つかるはずです。
11. 賃貸アパートの外壁・共用部塗装に関するQ&A

足場が必要な範囲や色の統一感を考えると、同時施工には多くのメリットがあります。
特に、共用廊下の外側、階段の高所、軒天、雨樋などは、外壁塗装と一緒に施工することで作業を効率化できる場合があります。
ただし、予算や劣化状況によっては、外壁を優先し、共用部を段階的に改修する方法もあります。
施工できますが、通常の外壁用塗料を床へ使用することはできません。
床の材質、既存防水層、雨掛かり、歩行量に応じて、防滑性のある床用塗材や防水材を選びます。
既存床に膨れや水分がある場合は、原因を確認し、必要に応じて既存層を撤去してから施工します。
表面的なサビで、金属の厚みが保たれている場合は、ケレンと防錆塗装で対応できます。
穴あき、著しい板厚減少、溶接部の亀裂、手すりのぐらつきがある場合は、溶接補修や部材交換が必要です。
塗装前に安全性を確認し、補修後に防錆塗装を行います。
壁や天井には、明るいアイボリー、オフホワイト、ライトグレー、グレージュなどが使いやすい色です。
床は壁より少し濃くし、手すりや階段にチャコールグレーやダークブラウンを使うと、空間が引き締まります。
真っ白は明るい反面、雨だれや手あかが目立ちやすいため、立地や清掃頻度も考慮します。
施工できます。
ただし、通行経路、乾燥時間、臭気、騒音、洗濯物、自転車の移動、玄関の出入りなどについて、事前案内と安全管理が必要です。
共用廊下や階段は入居者様の生活動線であるため、施工範囲を細かく分けながら進めます。
共用部の清潔感は、内見時や物件写真の印象を整える要素になります。
ただし、共用部を塗れば必ず入居が決まるわけではありません。
家賃、間取り、立地、室内設備とのバランスが重要です。
条件が近い物件と比較されたときに、安心感や管理状態の良さを伝える材料になると考えるのが適切です。
まずは、安全性と建物保護に関わる部分を優先します。
具体的には、腐食した階段、ぐらつく手すり、滑りやすい床、漏水、排水不良、照明不良です。
その後、壁の汚れ、郵便受け、掲示板、色彩の統一など、印象改善を進めます。
一時的に見えなくすることはできますが、雨漏りや排水不良が残っていると再発します。
上階の床、排水口、笠木、外壁との取り合い、配管などを確認し、水が入る原因を直してから塗装します。
下地が十分に乾燥しているかを確認することも重要です。
施工範囲、下地補修、防錆処理、防水工事、使用材料、塗装回数、入居者対応、保証範囲を確認してください。
「共用部一式」とだけ記載されている場合は、階段の段裏や手すり、玄関枠、配管などが含まれているかを確認しましょう。
可能です。
外壁の防水性が保たれており、共用部の汚れやサビが目立つ場合は、共用部を先行して改善する方法があります。
ただし、外壁にひび割れ、シーリング破断、チョーキングなどがある場合は、外壁の修繕時期も併せて確認することをおすすめします。
使用塗料、日当たり、雨掛かり、海風、湿気、歩行量、下地処理によって異なります。
特に鉄骨階段や床は、外壁よりも水や摩耗の影響を受けやすいため、同じ耐用年数になるとは限りません。
定期的に点検し、小さな傷やサビを早めに補修することで、全面改修の周期を延ばしやすくなります。
塗膜の傷、サビの再発、床の膨れ、排水口の詰まり、雨染み、照明切れなどを確認します。
台風や大雨のあとには、共用廊下、階段、笠木、竪樋まわりを点検すると、不具合を早期に見つけやすくなります。
年に一度程度、建物全体を同じ順路で確認し、写真を残しておくと、劣化の進み方を比較しやすくなります。
小林塗装では、賃貸アパートの外壁だけでなく、共用廊下、鉄骨階段、手すり、玄関まわり、床、防水、排水まで確認し、建物全体の状態に合わせた改修方法をご提案しています。
すぐに工事を勧めるのではなく、塗装で直せる部分、補修が必要な部分、今回は見送ってもよい部分を分け、優先順位を分かりやすくご説明します。
「外壁は塗り替えたいけれど、共用部まで工事するべきか分からない」
「鉄骨階段のサビが、塗装だけで直せる状態なのか見てほしい」
「女性やファミリー層に好印象を持ってもらえる色にしたい」
このようなお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。
建物を長持ちさせることはもちろん、現在お住まいの入居者様にも、これから住まいを探す方にも、気持ちよく選んでいただける外観づくりをお手伝いいたします。
賃貸アパートの外壁・共用部塗装なら、小林塗装にお任せ下さい
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として三十年以上、戸建住宅、賃貸アパート、マンション、店舗、工場など、二千件を超える施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、鉄部塗装、下地補修、色彩提案まで、建物の状態とお客様のご要望に合わせた施工を大切にしています。
賃貸物件の改修では、外観を新しく見せるだけでなく、入居者様の安全、生活動線、近隣への配慮、将来の修繕計画まで考えることが重要です。
塗装店として、塗れるかどうかだけではなく、「今、本当に何を直すべきか」を誠実にお伝えすることを心掛けています。
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