入居者がいる賃貸アパートの外壁塗装|苦情・トラブルを防ぐ工事管理
賃貸アパートの外壁に色あせやひび割れが目立ち始め、「そろそろ外壁塗装をした方がよいのでは」と考えていても、入居者様が生活している建物では、なかなか工事へ踏み切れないオーナー様も少なくありません。
「塗料の臭いで苦情が出ないだろうか」「洗濯物を干せない期間はどう案内すればよいのか」「足場があると防犯面が心配」「入居者様が退去してしまったら困る」など、戸建て住宅の塗り替えとは違う不安があります。
今回の結論からお伝えすると、入居者様がいる賃貸アパートでも、外壁塗装は十分に実施できます。
でも、きれいに塗る技術だけではいけません。
なぜなら、工事前の周知、生活動線への配慮、日々の工程連絡、安全対策、苦情への初動対応まで含めた「居住中の建物を扱う工事管理」が必要です。
賃貸アパートの外壁塗装では、作業員にとってはいつもの作業でも、入居者様にとっては、自宅のすぐ外に足場が立ち、人の気配や音、臭いが続く非日常です。
朝、カーテンを開けたら窓の外に職人がいる。洗濯物を出そうとしたらベランダが使えない。
そのような小さな驚きが重なると、不安や不満へ変わってしまいます。
逆にいつ・どこで・どのような作業を行い、生活にどんな影響があるのかを丁寧に知らせておけば、入居者様の受け止め方は大きく変わり、 「きちんと管理されている建物だ」と感じてもらえる外壁塗装は、建物を守るだけでなく、オーナー様への信頼や入居満足度を高める機会にもなります。
このコラムでは、賃貸アパートの外壁塗装で起こりやすいトラブル、入居者様への案内方法、足場・騒音・臭い・洗濯物・駐車場・防犯への配慮、施工業者の選び方まで、現場目線で詳しく解説します。
- ■ 入居者がいる賃貸アパートで外壁塗装を行う際の注意点
- ■ 工事前・工事中に必要な入居者への周知方法
- ■ 騒音・臭い・洗濯物・ベランダ・駐車場への対応
- ■ 足場設置中に必要な安全対策と防犯対策
- ■ 入居者から苦情が出たときの適切な初動対応
- ■ 入居者対応まで任せられる塗装業者の見分け方
1. 入居者がいるアパートの外壁塗装は「工事管理」が重要
入居者様がいる賃貸アパートの外壁塗装で最も大切なのは、塗装工事と入居者様の生活をできるだけ無理なく両立させることです。
外壁塗装の品質は、下地補修、塗料選び、塗布量、乾燥時間などで決まります。
しかし、賃貸物件では、それだけで「良い工事」とはいえません。
たとえば、仕上がりがきれいでも、案内なしでベランダが使えなくなったり、朝早くから足場材を打ち込む音が響いたり、入居者様の車に養生カバーを無断で掛けたりすれば、不信感が残ります。
逆に工事前に生活への影響を分かりやすく説明し、当日の変更もこまめに知らせ、毎日の清掃まで丁寧に行えば、工事期間中の負担を完全にはなくせなくても、納得して協力してもらいやすくなります。
賃貸アパートの外壁塗装には、写真に残る品質と、写真には残りにくい品質があります。
- ■ 下地補修や塗膜の厚みなど、完成後に建物を守る品質
- ■ 入居者様への案内、整理整頓、安全対策など、工事中の生活を守る品質
外壁の艶や色は写真に写ります。
しかし、廊下を毎日掃除したこと、ベビーカーが通れる幅を確保したこと、夜勤明けの入居者様に配慮して作業時間を調整したことは、完成写真にはほとんど写りません。
それでも、この「見えない品質」こそ、賃貸物件の工事では大切です。
入居者様への配慮を施工品質の一部として考えられるかどうか。
ここに、工事会社の姿勢が表れます。
2. 賃貸アパートの外壁塗装でトラブルが起こる理由
賃貸アパートの外壁塗装で起こるトラブルの多くは、塗装そのものの不具合より、入居者様が工事による生活への影響を予測できなかったことから始まります。
施工業者にとっては仕事場でも、入居者様にとっては日々を過ごす住まいです。
夜勤の方が昼間に眠っているかもしれません。
赤ちゃんがお昼寝をしているご家庭もあります。
受験勉強中の学生、高齢者、在宅勤務の方、ペットと暮らしている方など、生活時間も事情もさまざまです。
そのため、「昼間だから多少の音は仕方ない」「数日くらい洗濯物を干せなくても大丈夫だろう」と施工側だけの感覚で考えると、行き違いが起こります。
人は、状況が分からないときほど不安を感じます。
外から金属を叩く大きな音が聞こえる。窓の外を人影が通る。シンナーに似た臭いがする。
けれど、何の作業をしていて、何時まで続くのか分からない。
この状態が続けば、「管理会社は何も把握していないのでは」「勝手に工事を進めているのでは」と感じられても不思議ではありません。
反対に、「本日は午前9時から午後3時まで南面の高圧洗浄を行います」「ベランダの使用は午後4時以降に確認してください」と具体的に伝えれば、入居者様は予定を立てられます。
苦情が発生したとき、誰が窓口になるのか決まっていない現場も注意が必要です。
入居者様が管理会社へ電話すると「施工業者へ聞いてください」と言われ、施工業者へ連絡すると「管理会社を通してください」と、たらい回しにされることは、小さな不満を大きな苦情へ変えてしまいます。
工事前に窓口を一本化し、緊急時の連絡経路まで決めておくことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
3. 外壁塗装前にオーナー様が確認したいこと
賃貸アパートの外壁塗装では、見積書の金額や塗料の耐用年数だけでなく、入居者様の生活条件も踏まえて工事計画を作ります。
施工業者へ、可能な範囲で次の情報を伝えておくと、工事計画を立てやすくなります。
- ■ 入居戸数と空室の位置
- ■ 小さなお子様や高齢者がいる住戸
- ■ 在宅勤務や夜勤など、生活時間に配慮が必要な住戸
- ■ ペットを飼っている住戸
- ■ 店舗や事務所として使用している区画
- ■ 外国語での案内が必要な入居者様
- ■ 介護サービスや宅配など、日常的に出入りする車両
個人情報をむやみに施工業者へ渡すのではなく、工事管理に必要な範囲で、管理会社を通して共有することが大切です。
「外壁塗装一式」だけでは、工事中に判断が分かれやすくなります。
外壁、屋根、軒天、雨樋、鉄骨階段、共用廊下、手すり、玄関枠、シャッターボックス、ベランダ床、物置、自転車置場など、どこまで施工するのかを明確にします。
特に鉄骨階段や共用廊下を塗装する場合は、通行制限や乾燥時間が必要です。
入居者様が部屋へ出入りできない時間をつくらないよう、半分ずつ施工する、仮設通路を確保するなどの計画が求められます。
掲示板だけでは、すべての入居者様へ情報が届くとは限りません。
- ■ 共用部の掲示板
- ■ 各戸へのポスティング
- ■ 管理会社からのメール
- ■ 管理アプリやショートメッセージ
- ■ 緊急時の電話連絡
一つの方法に頼るのではなく、掲示・書面・デジタル連絡を組み合わせると、見落としを減らせます。
4. 入居者への外壁塗装の案内は段階的に行う
工事案内は一度配布して終わりではありません。入居者様が知りたい情報は、工事が近づくにつれて変わるからです。
着工の2週間から1か月ほど前を目安に、工事全体の概要を案内します。
- ■ 工事の目的
- ■ 工事期間
- ■ 通常の作業時間
- ■ 休工日の予定
- ■ 施工会社名
- ■ 現場責任者
- ■ 管理会社と緊急連絡先
- ■ 工事中に予想される生活への影響
工事の目的を「建物の美観を整えるため」だけでなく、「雨水の浸入や外壁の劣化を防ぎ、安全で快適な住環境を維持するため」と伝えると、工事の必要性を理解してもらいやすくなります。
足場組立、高圧洗浄、ベランダ作業、鉄骨階段塗装などは、3日から1週間ほど前に個別案内を行います。
| 案内項目 | 具体的に伝えたい内容 | 避けたい曖昧な表現 |
|---|---|---|
| 日時 | 7月25日午前9時から午後4時ごろ | 近日中に行います |
| 作業場所 | 建物南面と101号室から104号室側 | 外壁を施工します |
| 窓の開閉 | 午前8時30分までに窓を閉めてください | なるべく閉めてください |
| 洗濯物 | 当日は室内干しをお願いします | 汚れる可能性があります |
| ベランダ | 午前8時から午後5時まで立入りできません | 作業中は使えません |
| 駐車場 | 3番から5番区画は午前8時までに移動してください | 車を移動する場合があります |
雨や風によって工程が変わる塗装工事では、最初の工程表どおりに進まないことがあります。
そのため、前日または当日の朝に、「本日は北面の下塗りを行います」「雨天のため高圧洗浄を翌日に変更します」と短く再案内することが大切です。
工事案内は長文を一度配るより、必要な情報を、必要なタイミングで、具体的に届ける方が伝わります。
5. 入居者の生活に影響する9つの注意点
ここからは、入居者様がいる賃貸アパートの外壁塗装で、特に苦情につながりやすい項目を解説します。
足場の組立と解体では、金属部材を運ぶ音やハンマー音が発生します。
工事期間のなかでも、音が大きくなりやすい工程です。
早朝から作業を始めない、部材を乱暴に置かない、共用廊下へ一時的に資材を置く場合は通行幅を確保するなど、基本的な配慮が欠かせません。
高圧洗浄の日は、窓や換気口から水が入り込む可能性があります。
窓を閉めても、鍵が掛かっていないと水圧でわずかに開くことがあるため、施錠まで案内します。
ベランダに洗濯物、布団、植木鉢、段ボールなどが残っていないかも確認が必要です。
高圧洗浄、ケレン、下地補修、シーリング、塗装を行う日は、外干しを控えていただく必要があります。
塗装していない面でも、足場上を職人が移動したり、風で粉じんや塗料ミストが流れたりする可能性があります。
(注意)「今日は建物の反対側だから干しても大丈夫」と入居者様自身が判断しないよう、その日の可否を施工業者が明確に伝えることが大切です。
窓まわりを養生すると、窓を開けられなくなる期間があります。
夏場にすべての窓を長期間ふさぐと、室温や換気に影響します。
建物を一周まとめて養生するのではなく、施工面ごとに養生と撤去を進めるなど、生活への負担を減らす計画が必要です。
水性塗料でも、まったく無臭というわけではありません。
シーリング材、錆止め、弱溶剤塗料、防水材など、工程によって臭いの種類や強さが変わります。
小さなお子様、高齢者、妊娠中の方、呼吸器が敏感な方、臭いに弱い方がいる場合は、事前に管理会社へ相談してもらえるよう案内します。
臭いをゼロにできると安易に約束するのではなく、水性仕様の検討、作業順序の調整、窓や給気口付近の作業時間の短縮など、現実的な対応を考えます。
室外機をビニールで完全に包んだままエアコンを使用すると、吸排気を妨げるおそれがあります。
エアコンを使用する住戸では、専用の室外機カバーを使う、作業時だけ部分的に養生する、使用できない時間を事前に知らせるなどの対応が必要です。
物干し台、植木鉢、収納ボックス、サンダル、物置などがあると、外壁やベランダ床を施工できません。
移動期限、室内へ入れてほしい物、施工業者が移動できる物を明確にします。
施工業者が無断で私物に触れることは避け、移動する場合は管理会社や入居者様の了承を得ます。
建物に近い駐車区画では、足場組立、高圧洗浄、吹付け、屋根塗装などの際に、一時的な車両移動が必要になることがあります。
代替駐車場が遠すぎる、移動日が何度も変わる、費用負担が決まっていないといった状況は、苦情につながりやすいポイントです。
自転車やバイクについても、養生シートを掛けるだけでなく、出し入れできる通路を残します。
共用部は、入居者様が毎日通る場所です。
塗料缶、工具、養生材を通路へ置いたままにすると、転倒や接触事故につながります。
玄関ドアまわりを塗装する場合は、ドアを開閉できる状態を確保し、塗りたての部分へ衣服や荷物が触れないよう表示します。
賃貸アパートの工事では、「作業できるか」だけでなく、「安全に暮らしながら作業できるか」まで考える必要があります。
6. 工程別に見る入居者対応と工事管理
外壁塗装の工程によって、入居者様へお願いする内容は異なります。
次の表は一般的な目安であり、建物の形状や施工内容によって変わります。
| 工程 | 生活への主な影響 | 入居者様への案内 | 施工側の管理ポイント |
|---|---|---|---|
| 足場組立 | 大きな音、車両の出入り、通行制限 | 作業時間、駐車車両、自転車移動 | 誘導員、資材の落下防止、通路確保 |
| 高圧洗浄 | 水音、水しぶき、窓の開閉制限 | 窓の施錠、洗濯物、ベランダ使用禁止 | 開口部確認、漏水確認、周辺飛散防止 |
| 下地補修・ケレン | 研磨音、粉じん | 窓閉め、洗濯物の室内干し | 集じん、清掃、飛散防止 |
| シーリング工事 | 臭い、窓まわりの作業 | 窓開閉制限、換気方法 | プライマー、充填量、養生管理 |
| 外壁塗装 | 臭い、窓開閉制限、ベランダ使用制限 | 作業面、作業時間、洗濯物 | 風向き、飛散防止、乾燥時間 |
| 鉄部塗装 | ケレン音、溶剤臭、触れる危険 | 塗りたて表示、階段・手すりの使用方法 | 動線を残す、滑り・接触防止 |
| ベランダ防水 | ベランダ使用不可、臭い | 私物移動、使用禁止期間 | 排水口確保、乾燥、雨天管理 |
| 足場解体 | 大きな音、車両の出入り | 日時、駐車車両、自転車移動 | 落下防止、外壁傷確認、最終清掃 |
施工業者が使う工程表には、下塗り、中塗り、上塗り、シーリング養生など、専門的な作業名が並びます。
しかし、入居者様が知りたいのは、「窓を開けられるか」「洗濯物を干せるか」「車を移動する必要があるか」です。
そのため、入居者様向けの工程表には、専門的な工程名だけでなく、生活への影響を併記します。
- ■ 窓開け:可・不可
- ■ 洗濯物:外干し可・室内干し
- ■ ベランダ:使用可・使用不可
- ■ エアコン:使用可・要確認
- ■ 駐車場:通常使用・車両移動
工程を知らせるだけでなく、暮らしに翻訳して伝える。
これが、入居者様に分かりやすい工事案内です。
7. 足場設置中の安全・防犯・プライバシー対策
足場は高品質な外壁塗装を行うために欠かせませんが、設置期間中は安全面、防犯面、プライバシー面への配慮が必要です。
足場を設置すると、通常は人が近づけない2階の窓やベランダ付近まで移動できるようになります。
施工業者は、作業員の安全だけでなく、入居者様や来訪者が足場へ立ち入らないように管理しなければなりません。
- ■ 足場入口への立入禁止表示
- ■ 関係者以外が入りにくいゲートやチェーン
- ■ 作業終了後の工具・脚立・資材の片付け
- ■ 足場からベランダや室内を必要以上に見ない配慮
- ■ 作業員の制服、腕章、身分証などによる識別
- ■ 作業員の入退場時間の管理
- ■ 夜間の防犯灯や補助照明の検討
足場設置中は、普段以上に窓やベランダドアの施錠を意識していただく必要があります。
「職人がいるから大丈夫」と考えるのではなく、作業終了後や休工日も含めて、窓の鍵と補助錠を確認してもらいます。
足場については、組立てや一部変更後などの点検、点検者の指名、氏名の記録・保存に関する法令上のルールがあります。
幅1メートル以上の場所では、原則として本足場を使用する範囲も明確化されています。
オーナー様が足場の細かな構造をすべて判断する必要はありませんが、施工業者へ次の点を確認すると安心です。
- ■ 誰が足場を組み立てるのか
- ■ 組立後の点検を誰が行うのか
- ■ 強風や大雨の後に再点検する体制があるか
- ■ メッシュシートの巻き上げ基準が決まっているか
- ■ 入居者様の通路や避難経路を妨げないか
安全対策は、事故が起きてから考えるものではありません。
「何も起こらない状態を毎日つくること」が現場管理です。
8. 苦情やトラブルが発生したときの対応
どれだけ丁寧に準備しても、工事中の不満を完全になくすことは難しいものです。
重要なのは、苦情を「面倒なクレーム」と決めつけず、早い段階で状況を確認することです。
入居者様から連絡を受けたら、まず困っている内容を最後まで聞きます。
「事前に案内しています」「工事なので仕方ありません」と先に説明すると、正しい内容であっても、話を聞いてもらえなかった印象が残ってしまいます。
最初の対応では、次の順番を意識します。
- ■ 不便や不安を感じさせたことへのお詫び
- ■ いつ・どこで・何が起きたのかを確認
- ■ 体調不良や物損など、緊急性の確認
- ■ 現場責任者への連絡
- ■ 作業停止、養生修正、清掃などの応急対応
- ■ 原因と今後の対応を報告
「もう音は出ません」「明日には必ず終わります」など、確認していない約束は避けます。
天候や乾燥状態に左右される塗装工事では、無理に工程を短縮すると施工品質が低下する可能性があります。
すぐに判断できない場合は、「現場を確認したうえで、本日午後3時までにご連絡します」のように、回答期限を明確にします。
対応内容は、口頭だけで済ませず記録します。
- ■ 受付日時
- ■ 住戸または発生場所
- ■ 申し出の内容
- ■ 現場の確認結果
- ■ 応急対応
- ■ 管理会社・オーナー様への報告
- ■ 再発防止策
一件の苦情は、その住戸だけの問題とは限りません。
同じ作業の影響を受けている住戸へ先回りして案内することで、次のトラブルを防げます。
9. 入居者がいても外壁塗装の施工品質を下げない管理方法
入居者様への配慮は大切ですが、生活への影響を早く終わらせようとして、必要な工程を省略してはいけません。
段取りを改善して工期を効率化することと、乾燥時間や塗装回数を削ることは、まったく違います。
入居者様から「早く窓の養生を外してほしい」と要望があっても、塗料が十分に乾燥していない状態で養生を撤去すると、塗膜の傷や汚れにつながることがあります。
また、翌日の雨予報を理由に、乾燥時間を守らず次の工程へ進めることも適切ではありません。
建物全体を一度に養生するのではなく、東面、南面、西面、北面のように分けて作業すると、窓を開けられない期間を短くできる場合があります。
ただし、職人の移動や塗料の管理が複雑になるため、建物の大きさ、作業人数、乾燥時間を考えて計画します。
鉄骨階段や廊下床を塗装する場合は、入居者様の動線を完全にふさがない施工方法が必要です。
- ■ 階段を左右または段ごとに分けて施工する
- ■ 手すりを片側ずつ塗装する
- ■ 床を半分ずつ施工する
- ■ 通行可能な時間を明確にする
- ■ 塗りたて表示と滑り止め対策を行う
工事期間中に入居者様が最もよく見るのは、完成後の外壁ではなく、毎日の共用廊下や階段です。
養生テープの切れ端、削った塗膜、シーリング材、砂ぼこりが残っていれば、「仕事が雑な会社」という印象になります。
高品質な工事現場は、作業中でも整っている。
整理整頓と清掃は、見た目の問題だけでなく、安全管理と施工品質の土台です。
10. 石綿事前調査など賃貸アパートの外壁塗装で見落とせない法令対応
築年数が経過した賃貸アパートの改修工事では、外壁の劣化や塗料選びだけでなく、石綿、足場、道路使用、騒音、廃棄物などに関する確認も必要です。
建物の改修・修繕工事では、工事規模の大小にかかわらず、原則として工事前に対象部分の材料について石綿含有の有無を調査する必要があります。
設計図書などによる書面調査と目視調査を行い、建築物については一定の要件を満たす調査者が調査します。
改修工事の請負金額が税込100万円以上の場合は、事前調査結果の報告も必要です。
外壁塗装では、既存塗膜や下地を削る、撤去する、穴を開けるなどの作業が発生することがあります。
「塗るだけだから関係ない」と決めつけず、建物の建築時期、既存仕上げ、改修履歴を確認し、発注者であるオーナー様にも、設計図書などの情報提供、適正な調査費用や必要な対策費用、法令を守れる工期への配慮が求められています。
塗装工事のすべてが騒音規制法上の「特定建設作業」に該当するわけではありませんが、大きな騒音が発生する機械や作業を伴う場合は、法令や自治体の条例、近隣環境を確認する必要があります。
国が定める特定建設作業の騒音基準には、敷地境界での基準値や夜間作業を制限する時間帯などが示されています。
法令基準を下回っていれば何時でも作業してよい、という考え方ではありません。
住宅地では、朝早い時間や夕方以降の金属音を避けるなど、入居者様と近隣住民の生活に合わせた配慮が必要です。
敷地内だけで足場や工事車両を収められず、道路や歩道を使用する場合は、道路使用許可や道路占用許可などが必要になることがあります。
許可の要否や申請先は、使用方法と地域によって異なります。
施工業者が事前に現地を確認し、必要な手続きを整理しているか確認しましょう。
(注意)法令対応や許可費用を見積りから外して安く見せる業者も考えられます。
適正な外壁塗装費用には、安全に、周囲へ迷惑を掛けず、法令を守って施工するための費用も含まれます。
11. 入居者対応まで任せられる賃貸アパート塗装業者の選び方
賃貸アパートの外壁塗装業者を選ぶときは、塗料のグレードと価格だけではなく、工事中の管理体制を比較してください。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 現地調査 | 外壁だけでなく、共用部、駐車場、動線、足場計画まで確認しているか |
| 入居者案内 | 案内文、工程表、掲示物を誰が作成・配布するのか |
| 連絡窓口 | 苦情や緊急時の現場責任者が決まっているか |
| 工程変更 | 雨天延期をどの方法で入居者へ知らせるのか |
| 駐車場対応 | 車両移動、代替駐車場、養生方法を計画しているか |
| 安全対策 | 通路、足場、落下物、防犯、誘導員を考えているか |
| 石綿調査 | 事前調査の必要性を理解し、資格者へ依頼できるか |
| 施工記録 | 下地補修、使用塗料、塗装工程、完工検査を写真で残すか |
| 清掃 | 共用廊下や階段を毎日清掃する体制があるか |
| 保証 | 保証対象、免責事項、不具合発生時の連絡先が明確か |
管理会社が入居者様への正式な窓口になる場合でも、日々の作業内容を把握しているのは施工業者です。
施工業者から管理会社への報告が遅ければ、管理会社も正しい案内ができません。
理想的なのは、次のように役割を分ける体制です。
- ■ オーナー様:工事方針と予算の決定
- ■ 管理会社:入居者情報の管理と正式な連絡窓口
- ■ 施工業者:工程、安全、現場状況の報告と応急対応
入居者様がいる賃貸アパートでは、戸建て住宅より多くの調整が必要です。
- ■ 案内文の作成と配布
- ■ 駐車場の調整
- ■ 共用部の養生と清掃
- ■ 作業員の入退場管理
- ■ 苦情への対応
- ■ 工程変更の再案内
- ■ 住戸ごとのベランダ確認
これらには、人と時間が必要です。
安い見積りのすべてが悪いわけではありませんが、必要な管理を「サービス」として曖昧にしている場合は注意してください。
適正価格とは、塗料代と職人の手間だけではなく、入居者様の暮らしと建物の安全を守る費用まで含めた価格です。
12. まとめ|入居者への配慮は賃貸アパートの資産価値を守る

入居者様がいる賃貸アパートの外壁塗装では、外壁を美しく仕上げる技術と同じくらい、工事前の準備と工事中の管理が重要です。
特に注意したいのは、次のポイントです。
- ■ 工事全体の案内を早めに行う
- ■ 生活への影響が大きい工程は個別に再案内する
- ■ 洗濯物、窓、ベランダ、エアコンの使用条件を具体的に伝える
- ■ 駐車場、自転車置場、共用通路を安全に管理する
- ■ 足場設置中の防犯とプライバシーへ配慮する
- ■ 苦情の窓口と緊急連絡経路を決めておく
- ■ 入居者対応を理由に必要な乾燥時間や工程を省略しない
- ■ 石綿事前調査や足場などの法令対応を確認する
外壁塗装の数週間は、入居者様に多少の不便をお願いすることになります。
しかし、丁寧な説明と誠実な現場管理があれば、「迷惑な工事」ではなく、「建物を大切にしてくれている工事」と受け止めてもらえる可能性が高まります。
共用廊下が毎日きれいに掃除され、職人が明るく挨拶し、工程変更がきちんと案内される。
そんな現場の風景は、派手ではありませんが、オーナー様の姿勢を静かに伝えてくれます。
賃貸経営では、外観のきれいさだけでなく、「この建物はきちんと管理されている」と感じてもらうことが大切です。
小林塗装では、建物の劣化診断、塗装仕様、色彩提案だけでなく、入居者様へのご案内、近隣配慮、安全管理まで含めて工事計画をご提案しています。
賃貸アパートの外壁塗装をご検討中のオーナー様、管理会社様は、どうぞお気軽にご相談ください。
13. 賃貸アパート外壁塗装の深掘りQ&A

工事全体のお知らせは、一般的には着工の2週間から1か月ほど前を目安に行います。
ただし、一度のお知らせだけでは忘れられてしまうことがあります。
足場組立、高圧洗浄、ベランダ作業、駐車場移動など、生活への影響が大きい工程は、3日から1週間ほど前と前日に再案内する方法が効果的です。
入居者様が予定を調整できる時間を確保しつつ、直前にも思い出してもらえる連絡設計が大切です。
基本的には、入居したまま生活できます。
ただし、工事期間中は、窓を開けられない時間、洗濯物を外へ干せない日、ベランダを使用できない期間、騒音や臭いが発生する時間帯があります。
生活への影響を完全になくすことは難しいため、「何ができなくなるのか」だけでなく、「いつから再び使えるのか」まで知らせることが大切です。
高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、足場解体などを行う日は、原則として室内干しをお願いすることになります。
作業面と反対側であっても、風向きや足場上の移動により、粉じんや塗料が付着する可能性があります。
休工日や作業しない日の外干しについては、現場責任者が足場や外壁の状態を確認したうえで案内します。
多くの場合は使用できますが、室外機を完全に密閉しない養生が必要です。
室外機の吸排気を妨げない専用カバーを使用し、塗装する部分だけを順番に養生します。
ベランダ防水や室外機裏の塗装では、一時的にエアコンの使用を控えていただく場合があり、夏や冬の工事では、エアコンが使えない時間をできるだけ短くする工程計画が欠かせません。
まず、入居者様の体調と臭いが入っている場所を確認します。
必要に応じて、窓や給気口に近い作業を一時停止する、作業場所を変更する、換気方法をご案内するなどの対応を行います。
臭いに敏感な方がいることを事前に把握できれば、水性塗料の採用や作業順序の変更を検討できます。
(注意)水性塗料でも完全な無臭ではありません。
「絶対に臭わない」と説明するのではなく、使用材料と予想される影響を正直に伝えることが大切です。
飛散防止シート、車両用カバー、風向きの確認などを行いますが、建物に近い駐車区画では、一時的な移動をお願いする場合があります。
車両用カバーも、風で擦れると車体に細かな傷を付ける可能性があります。
汚れた車体へ無断でカバーを掛けることも避けなければなりません。
最も安全なのは、影響が大きい工程の日だけ代替駐車場へ移動していただく方法です。
移動日時、場所、費用負担を工事前に決めておきます。
足場入口の管理、立入禁止表示、防犯灯、作業員の身分表示、工具や脚立の片付けなどが基本です。
入居者様にも、窓、ベランダドア、補助錠の確認をお願いしましょう。
また、施工業者の服装や車両、通常の作業時間を知らせておくと、入居者様が作業員と不審者を見分けやすくなります。
長い日本語の文章だけではなく、やさしい日本語、図記号、日付と時間を大きく表示した案内を使用します。
- ■ 窓を閉めてください
- ■ 洗濯物を外へ干さないでください
- ■ 車を移動してください
- ■ ベランダへ出ないでください
必要に応じて、英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語などの案内も検討します。
文章をそのまま機械翻訳するだけでなく、短い文に区切り、日付、場所、禁止事項、連絡先が一目で分かるようにします。
入居者様の生活に影響する変更は、その都度知らせることが望ましいです。
特に、洗濯物、窓の開閉、ベランダ、駐車場に関係する工程変更は、掲示板の書き換えだけでなく、ポスティングなどを併用します。
「雨で休みになったから案内しなくてもよい」のではなく、翌日の作業が変わる可能性まで伝えることで、入居者様が予定を立てやすくなります。
内見自体は可能ですが、足場、養生、騒音、臭いによって、通常より印象が分かりにくくなる場合があります。
内見日時を施工業者へ共有し、玄関までの通路を清掃する、室内の窓養生を一時的に調整する、作業音の大きい時間を避けるなどの工夫を行います。
外壁塗装中であることを隠すのではなく、完工予定日、採用色、改修内容を説明すれば、建物を適切に維持していることを伝える材料にもなります。
工事内容、生活への影響、賃貸借契約、管理会社の方針によって判断が異なるため、施工業者だけで回答せず、管理会社や必要に応じて専門家へ確認します。
一時的に洗濯物を干せない、窓を開けにくいといった通常想定される工事上の制限と、長期間設備が使えない、室内へ水が入ったなどの具体的な被害は分けて考える必要があります。
その場で減額を約束したり、反対に一切応じないと断定したりせず、事実関係を記録して適切に判断します。
価格だけで選ぶことはおすすめできません。
塗料の種類や塗装回数が同じでも、入居者案内、安全管理、日々の清掃、駐車場調整、苦情対応、施工記録の内容には差があります。
契約前に、過去の賃貸アパート施工実績、案内文の見本、現場責任者、緊急連絡体制、石綿事前調査への対応を確認してください。
賃貸物件の外壁塗装は、建物だけでなく、そこで暮らす人を扱う工事です。
入居者様への配慮を具体的に説明できる施工業者を選びましょう。
賃貸アパートの外壁塗装なら、小林塗装にお任せ下さい
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、戸建て住宅、賃貸アパート、マンション、店舗、事務所など、2,000件を超える建物の施工に携わってきました。
外壁塗装は、塗料を塗って色を整えるだけの工事ではありません。建物の状態、下地の種類、周辺環境、住む方の生活、将来の修繕計画まで考え、住まいに合った施工方法を組み立てることが大切です。
小林塗装では、入念な現地調査と下地処理を基本に、分かりやすい工事説明、近隣への配慮、現場の整理整頓を大切にしています。賃貸物件では、オーナー様の大切な資産を守ることはもちろん、入居者様が工事期間中も安心して生活できる現場管理を心掛けています。
外壁や屋根の劣化、賃貸アパートの修繕時期、塗料選び、カラーコーディネートなど、気になることがございましたら、お気軽に小林塗装へご相談ください。
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