建築塗装の職人さんとは?
一般のお客様にとって「建築塗装の職人さん」と聞くと、まず頭に浮かぶのは――
強面で無口、ちょっと近寄りがたい。そんなイメージかもしれません。
現場で大きな声が飛んだり、作業着で黙々と動いていたりすると、なおさら「怖そう…」と感じやすいものです。
でも実は、その“近寄りがたさ”の正体は、怖さというより現場モードの集中力だったりします。
もちろん、全員がそうではありません。
むしろ現場には、大人しくて物静か、必要なことだけを丁寧に話すタイプの職人さんも多くいます。
口数は少なくても、手元は几帳面。養生のテープ一本、刷毛目の揃え方ひとつに性格が出る。
塗装という仕事は「見た目」よりも先に、下地調整・乾燥時間・塗膜の厚みといった目に見えない工程が命です。
だからこそ、派手な自己アピールより、黙って仕上げで語る人が残りやすい世界でもあります。
では、そんな塗装職人さんたちは、実際どんな人が多いのでしょうか。
そして、いざ塗装工事を依頼するとき、お客様はどこを見れば「当たりの職人さん(当たりの会社)」に出会えるのでしょうか。
結論から言えば、見るべきポイントは「腕前」だけではありません。
現場の段取り・清掃・説明の筋の通り方・養生の丁寧さ・やらなくていい工事の線引き――ここに、職人の質と会社の誠実さが出ます。
30年以上にわたり多くの塗装職人を見てきた、名古屋の塗装店 小林塗装の店主・小林ゆずが、お客様目線でズバッと(でも言い方はなるべく優しめに)分かりやすくお伝えします。
1. まず、塗装職人を知る前に「建築塗装業」とはどんな仕事かお伝えします
ひと口に「塗装」といっても、実は種類はいろいろあります。
たとえば、外壁・屋根・室内など住まいそのものを守る建築塗装。家具や木部製品の質感を整える木工塗装。車や機械部品のような金属の防錆・保護を担う金属塗装。
その中で今回のテーマである建築塗装は、見た目をきれいにするだけでなく、雨・紫外線・湿気から建物を守り、寿命を伸ばすための「保護の仕事」でもあります。
建築塗装の現場は、ただ色を塗る「仕上げ」で終わりません。
仕上がりの良し悪しは、むしろその前の下地調整(ケレン・清掃・補修)、そして乾燥時間の管理、さらに塗膜の厚みや塗り重ねの順序といった「見えにくい工程」で決まります。
だからこそ、職人の世界では、まずは塗装店の親方や先輩のもとで下積みをしながら、道具の扱い・材料の癖・天候の読み方・安全管理まで、少しずつ体に覚えこませていくのが一般的です。
塗装職人は、学歴や資格がなくても塗装店に就職できるケースが多く、決まった定年もないため、技術と体力があれば長く働ける職業です。
ただし裏を返せば、誰でも入口に立てる分、差が出るのも早い世界。
「手を抜こうと思えば抜けてしまう工程がある」からこそ、誠実さと段取り力と品質へのこだわりが、そのまま職人の価値になります。
(なおゼネコン現場では年齢・資格・安全書類などの条件が厳しく、同じ感覚では語れない場合があります。)
ちなみに、塗装職人になる道は「現場だけ」ではありません。
塗装や塗料の理屈を体系的に学びたい方は、職業専門学校で基礎を固めてから職人になるのも良い選択です。
現場での経験にちゃんとした理由が加えられると、材料の選び方や不具合の原因追及が早くなり、結果としてお客様にとっても安心につながります。
2. 建築塗装職人の特徴
先に少し触れましたが、建築塗装の職人さんというと、
「ヤンキーっぽい」「強面」「やんちゃな若い人が多そう」――
そんな“昔ながらのイメージ”を持っている方も、正直まだ少なくないと思います。
ただ、これはかなり時代のズレがある印象です。
(もちろん全員がそうだったわけではありませんが、25〜30年以上前は、見た目も言動も“何だかよく分からん怪しい人”が一定数いたのは否定できません。現場も今ほどルールが整っていなかったですしね…。)
でも現在は、建築塗装も完全に“専門職の現場”になっています。
そもそも塗装工事は、ただ色を塗って終わる仕事ではありません。
たとえば
- ■ 塗料の成分や反応を理解する化学的な知識
- ■ 密着・膜厚・乾燥などを扱う物理的な感覚
- ■ モルタル・サイディング・鉄部・木部など素材ごとの適材適所
- ■ 日当たり、湿気、風、立地…現場条件に合わせる環境判断
- ■ 下地調整、補修、養生、工程管理という施工管理の技術
- ■ 外観バランスを整える色彩感覚と提案力
- ■ お客様のご希望を“言葉の奥”まで読み取る一般常識とコミュニケーション
- ■ 天候や状態変化に合わせた考察力・臨機応変な判断
こういう要素が、現場では同時進行で絡み合っています。
だから本音を言えば、塗装って「ぼーっとしてたら務まらない仕事」です。
仕上がりは数年先まで評価され続けますし、ミスは後から必ず“形”になって出ます。
つまり、職人の中身は、見た目よりも段取りと誠実さに出る。ここがポイントです。
そして最近の若い塗装職人さんは、身だしなみが整っていたり、言葉づかいが丁寧だったり、
「感じがいい」「説明が分かりやすい」タイプも確実に増えてきています。
(もちろん、まだ中には勢いだけの人もいます。人間ですから、そこはゼロにはなりません・・・)
ただ、全体としては「職人=怖い」というより、職人=技術で信頼を積むプロという方向に、しっかり変わってきています。
3. 建築塗装職人になる いろいろな「きっかけ」
塗装職人さんがこの仕事を始める理由は、実はとても「人間らしい」ものが多いです。
立派な志望動機が最初からある人ばかり…というわけではなく、縁・タイミング・生活が背中を押すこともよくあります。
ここでは、現場で30年以上いろいろな職人さんを見てきた立場から、「きっかけのパターン」を分かりやすく整理してみます。
■ 地元の“やんちゃな先輩”に誘われて、塗装職人になる人
(なぜか、よくあるケースです。「とりあえず来いよ」で始まる。動機が軽いぶん、現場の厳しさや生活リズムに合わず、途中で転職する人も多めです。)
■ お金が欲しい、若くて元気という理由で入る人
(これも多いです。体力があるうちは勢いだけで進めますが、塗装は「持久戦の仕事」でもあるので、目的がお金だけだと長続きしにくいです。)
■ 足場屋さんから転職してくる人
(たまにあります。高所作業に慣れているのは大きな強みですが、塗装は材料管理や下地づくりなど、細かさが求められるので、そこが合うかどうかで続き方が変わります。)
■ 身内が塗装職人で、自然と入る人
(これもよくあるケース。家業や親戚のつながりで始めるタイプです。筆者である私もこのパターンで、最初は塗装業を選んだというより、気づいたら現場にいたに近い感覚でした。)
■ これといった就職先がなく、なんとなく始めた人
(入口が広い業界だからこそ起きやすいです。向上心が育つかどうかは、本人の性格よりも「どんな親方のもとで、何を当たり前にするか?」に左右されます。)
■ コツコツ努力して、いずれ独立したいと目標を持った人
(実は、ほんの一握り。けれど“当たりの職人さん”に多いのは、このタイプです。段取り・清掃・材料の扱い・お客様対応まで、全部を自分ごととして積み上げていきます。本当はもっと増えてほしいところです…!)
■ 塗料や塗装が好きで入る人
(正直、最初から「塗料が好きで!」という人は多くありません。むしろ、続けるうちに塗装が好きになった人がほとんどだと思います。塗った分だけ結果が出る、下地を整えた分だけ仕上がりが良くなる――この手応えが、だんだんクセになるんですよね。筆者もこのタイプです。)
ちなみに、お客様から見ると、ここが大事なポイントです。
「きっかけ」が何であれ、続いている職人さんは、現場で「信頼される理由」を積み上げています。
逆に、短期間で出入りが多い現場は、品質のムラが出やすい傾向もあります。
次は、塗装職人さんの“中身”を見抜くコツを、もう少し具体的にお話しします。
4. お客様にとって良い建築塗装職人の見極め方とは?
外壁塗装は、金額も工期もそれなりに大きい工事です。
だからこそお客様は当然、「しっかりした仕事をしてくれる職人さん」にお願いしたいと思われるはずです。
ただ、ここが難しいところで――
塗装職人には本当にいろいろなタイプがいます。
見た目が少しやんちゃそうでも、仕事は丁寧で誠実な人もいますし、逆に「いかにも真面目そう」に見えて、段取りが雑だったり、平気で手を抜いたりする人も残念ながらいます。
そこでこの章では、お客様が現場や打ち合わせの中で「ここを見れば分かる」というチェックポイントを、できるだけ具体的に整理します。
どれも難しい専門知識は不要です。「人としての誠実さ」と「仕事の段取り」が見えるポイントを押さえれば、失敗の確率はグッと下がります。
まず結論として、良い職人さんの土台は誠実さです。
なぜなら、外壁塗装は「見えない部分」「途中の工程」が多く、そこをごまかそうと思えば、正直ごまかせてしまう工事だからです。
だからこそ、技術の前に人としての姿勢がものを言います。
誠実な職人さん(会社)は、次のような“言動のクセ”があります。
- できること/できないことをはっきり言う(耳が痛いことも正直に言う)
- 質問に対して、結論→理由→方法の順で説明できる
- 「多分大丈夫」ではなく、根拠(状態・材料・工程)で話す
- 言葉づかいが丁寧で、態度が横柄ではない(腰が低い=弱いではなく、礼儀がある)
- 話を遮らず、お客様の希望をいったん受け止めてから整理してくれる
逆に注意したいのは、
「やたら断言する」「都合の悪い話を避ける」「早く決めさせようとする」
というタイプです。
誠実な人ほど、現場の不確定要素(下地の状態、天候、乾燥時間)を理解しているので、「うまい話」を軽々しく言いません。
見た目が強面で寡黙でも、誠実な職人さんは礼儀と配慮がブレません。
「挨拶がきちんとしている」「靴をそろえる」「敷地内での振る舞いが丁寧」――こういう部分に人柄が出ます。
塗装工事は、ただペンキを塗れば良いわけではありません。
仕上がりがきれいで、長持ちして、塗料の性能をきちんと発揮させるには、下地・材料・工程・乾燥・膜厚がセットで成立している必要があります。
お客様が“技術と知識”を見極めるときは、難しい専門用語を理解するよりも、 次の質問をしてみるのが一番早いです。
- 「この家の外壁材だと、下塗りは何を使うのが適切ですか?」
- 「クラック(ひび割れ)は、どの補修方法を選びますか?理由は?」
- 「艶は何分艶が向きますか?汚れ・見え方・劣化のバランスは?」
- 「雨が続いた場合、乾燥時間はどう管理しますか?」
- 「長持ちのために、今回の家で一番重要な工程はどこですか?」
良い職人さんは、これらに対して「商品名の自慢」ではなく、理屈と現場条件で答えます。
そして、塗装の話をするときに必ず下地調整を重視します。
なぜなら塗装は、仕上げよりも「下地で8割決まる」工事だからです。
逆に注意したいのは、塗料名だけを連呼して「これが最高です!」と言うだけで、
下地の話が薄い場合。
高級塗料でも、下地処理や乾燥が雑だと、性能は発揮されません。
“料理で言えば、素材より下ごしらえ”です。
現場は、教科書通りにいかないことが普通にあります。
たとえば、想定より下地が傷んでいた、シーリングの状態が悪い、塗膜が浮いていた、雨が続く、風が強い…など。
こういう“想定外”が起きたときに、経験がある職人さんほど落ち着いて対応できます。
経験豊富な職人さん(会社)は、次が違います。
- 現場調査でリスクを先に言語化できる(「ここは追加補修の可能性」など)
- トラブル時に原因→対策→工程調整をすぐ組み立てられる
- 「急いで塗る」より「乾燥を待つ」など、品質優先の判断ができる
- 写真記録や報告が丁寧で、説明が具体的
お客様としては「現場経験が豊富です」と言われるより、 現場調査の時点で“弱点をきちんと指摘してくれるか”を見てください。
本当に経験がある人は、良いところより先に、家の「痛みやすいところ」を自然に見ています。
外壁塗装は、一般的に2〜3週間ほどかかり、天候にも左右されます。
さらに、外壁・屋根は家の印象を決める顔ですから、仕上がりが気になるのは当然です。
だからこそ工事前の打ち合わせは、安心のための「保険」ではなく、
仕上がり品質そのものを決める工程です。
良い職人さん(会社)の打ち合わせは、次のように具体的です。
- 工事の流れ(下地→下塗り→中塗り→上塗り)を工程として説明してくれる
- 使う材料と、選んだ理由を家の状態に紐づけて話す
- 色や艶の注意点(汚れ・色褪せ・見え方)をメリットだけでなくデメリットも伝える
- 生活への影響(窓が開けられない日、臭い、車の移動、洗濯など)を先に共有してくれる
- 不安が残っている表情を見逃さず、追加で説明してくれる
ここでの注意点は、「説明が長い=良い」ではなく、
質問に対して“ずれない回答”が返ってくるかです。
そして、打ち合わせを急がせる業者ほど要注意。外壁塗装は“急いだ方が勝ち”の工事ではありません。
近隣挨拶は、実は「礼儀」以上に重要です。
なぜなら塗装工事は、足場の組立・解体、洗浄音、高圧水の飛散リスク、車の出入りなど、
少なからず近隣の方の生活に影響するからです。
施工前に 「近隣の皆様へきちんとあいさつをするか」 は、業者選びの大切な見極めポイントになります。
良い業者(職人)の近隣対応は、ここまでやります。
- 工事開始前に、工期・作業時間・内容を簡潔に伝える
- 高圧洗浄の日や足場の日など、音が出る日を先に案内する
- 飛散対策(養生・メッシュシート)について説明し、不安を減らす
- 車の出入り・駐車・通行について、迷惑が出ない段取りを組む
- トラブルが起きたときに、逃げずにすぐ対応する姿勢がある
外壁塗装は「家をきれいにする工事」ですが、同時に「ご近所との空気をきれいに保つ工事」でもあります。
ここに気を配れる職人さん(会社)は、現場の管理も丁寧なことが多いです。
逆に、近隣挨拶を軽視する会社は、養生や清掃も“まあいいか”になりやすい。
お客様のためにも、ご近所のためにも、近隣対応が丁寧な業者を選ぶのが安心です。
最後にひとこと。
良い職人さんを見極めるコツは、特別な目利きになることではありません。
「説明が筋が通っているか」「下地と段取りを大事にしているか」「誠実さが行動に出ているか」
この3つを押さえるだけで、失敗の確率はかなり下がります。
5. 建築塗装職人の働き方について
建築塗装職人の働き方は、いわゆる「決まった手順をこなすだけ」の仕事ではありません。
朝、現場に立った瞬間から、職人の頭の中はフル回転しています。
気温・湿度・風・日差し――その日の空気を読み、下地の状態を見て、塗料の癖を考え、工程を組み立て直す。
つまり建築塗装は「体力勝負」であると同時に、判断力と段取り力で差がつく“現場の技術職”です。
お客様は「塗っているところ」をよく目にしますが、実は品質を決めるのは、その前後の工程です。
良い職人ほど、朝いきなりローラーを持ちません。まず確認するのは、
昨日の乾燥・今日の天候・作業面の状態です。
| 現場到着→まず清掃 | ゴミや砂埃を残すと、塗膜のブツ・密着不良の原因 |
| 養生チェック | テープの浮き・破れ・風でめくれている箇所の補強 |
| 下地確認 | チョーキング、浮き、旧塗膜の剥離、含水状態 |
| 塗料の準備 | 撹拌・希釈・使用量の見込み・気温に合わせた調整 |
| 塗装作業 | 下塗り→中塗り→上塗り、または部位別の最適工程 |
| 片付け・清掃・翌日の段取り | 道具の洗浄は品質管理の一部 |
特に清掃・養生・下地調整は、地味ですが職人の“品格”が出ます。
ここを丁寧にできる人は、塗りも丁寧です。逆に、ここを雑にする人は、塗りもどこか雑になりがち。
外壁塗装は「仕上げでごまかせない工事」。準備の差が、そのまま耐久性の差になります。
2.天候と共に働く ―「進める」より「守る」判断ができるか
建築塗装は、天候の影響を強く受けます。
雨の日に塗れないのはもちろんですが、実はそれ以上に厄介なのが、雨上がりの湿気・夜露・風・強い日差しです。
たとえば、壁が乾いたように見えても、下地に水分が残っていると密着不良につながります。
風が強い日は飛散リスクが上がり、日差しが強い日は表面だけ乾いて中の乾燥が追いつかず、肌が荒れることもある。
良い職人はこういう日に、無理に「今日進める」を選びません。
“今日は塗らない”が品質のための正解になる日があることを、ちゃんと分かっています。
お客様から見ると「今日は休み?」に見える日でも、職人は何もしていないわけではなく、
乾燥待ちの間に、別部位の段取りを組んだり、補修を進めたり、材料の準備を整えたりしています。
ここが“仕事ができる現場”の共通点です。
3.体力仕事の中にある「精密さ」
塗装の仕事は、体力も使います。足場の昇り降り、材料運搬、長時間の立ち作業。
ですが、続く職人は「力がある人」よりも、ムダを減らせる人です。
- 道具の置き方が整っていて、探す時間が少ない
- 塗る順番が合理的で、手戻りがない
- 塗料の量を読めるので、足りない・余るが少ない
- 乾燥時間を計算に入れて、待ち時間をムダにしない
そして塗装は、意外と“精密作業”です。
膜厚が薄いと耐久性が落ち、厚すぎると割れや垂れの原因になります。
ローラーの押さえ方、刷毛の返し、角の拾い方。
ほんの数ミリの差が、数年後の劣化の差になります。
建築塗装の働き方には段階があります。
「職人」と一言で言っても、立場によって役割はまるで違います。
| 見習い | 養生、清掃、材料運び、道具洗い。まずは現場の基本を体で覚える |
| 職人 | 下地調整、各工程の塗り分け、品質管理。現場の中心 |
| 職長(リーダー) | 工程管理、安全管理、他職との調整、仕上がり責任を負う |
| 一人親方 | 技術+段取り+お客様対応。自己管理がすべて |
| 会社経営 | 現場品質に加え、見積・契約・人材育成・原価管理・近隣対応まで含めて責任 |
独立に憧れる人も多いですが、独立は「自由」ではなく「責任の総量が増える」ことでもあります。
塗る技術だけではなく、人への配慮・説明力・段取り・数字管理まで必要になります。
逆に言えば、そこまで積み上げた人は、どこへ行っても強いです。
職人は現場中、黙々としていることが多いです。
でもそれは無愛想というより、集中しているから。
塗装は「やり直しが効きにくい工程」も多いので、話しながら手を動かすより、手元に集中する人が多いのです。
ただし良い職人(良い会社)は、必要な説明は必ずします。
例えば、今日は何をする日なのか、明日はどこを塗るのか、雨で工程がどう変わるのか。
お客様が不安になりやすいポイントを先回りして言葉にしてくれます。
正直に言えば、楽な仕事ではありません。
夏は暑く、冬は冷えます。高所作業もあります。
さらに、丁寧にやろうとすればするほど、時間も手間もかかります。
それでも続けられる理由が、建築塗装にはあります。
自分の手で住まいを守り、目に見える形できれいを残せることです。
そして数年後に「まだきれいですね」と言われると、じわっと嬉しい。
派手さはありませんが、仕事が積み上がった感覚を持てる職業です。
建築塗装職人の働き方を一言でまとめるなら、
「自然と建物と人に合わせて、毎日最適解を探しつつ、積み上げる仕事」です。
体力だけではなく、段取り力、観察力、誠実さ。
それらが揃った職人さんほど安心感をつくってくれます。
6. 建築塗装職人の労働時間・休日・日常生活
建築塗装職人の働き方は、ひとことで言うと「雇用形態と現場条件でガラッと変わる」世界です。
会社員として勤務するのか、一人親方(自営業)として動くのか。
さらに、工場のように屋内中心なのか、住宅の外装中心なのかでも、労働時間・休日の考え方がまったく違ってきます。
そして建築塗装の特徴は、現場が“毎回違う”こと。
建物の大きさ、立地、足場の条件、近隣環境、天候。
その日その日で「同じ8時間」の中身が変わるので、働く時間は似ていても、疲れ方や密度が違うのがリアルなところです。
正社員として塗装会社に就職する場合、勤務時間は会社の方針や現場の種類によって差があります。
ただ、一般住宅の建築塗装では、だいたい次のような流れが多いです。
- 朝:7:30〜8:30頃 現場集合・段取り確認・清掃・養生チェック
- 日中: 下地調整〜塗装作業(下塗り・中塗り・上塗り)
- 夕方:16:30〜17:30頃 片付け・清掃・翌日の工程確認
工場勤務のように屋内で工程が固定されている場合は、朝8時〜夕方5時など比較的安定します。
実働は長くても8時間前後に収まることが多い一方で、住宅塗装は「現場の都合」で波が出ます。
たとえば、工程が詰まっている時期や天候で押したときは、週休が少なめになるケースもあります。
ただし最近は、働き方の改善を進める会社も増えていて、
「無理に詰め込まない工程」「休日の確保」「残業を極力減らす段取り」を重視するところも少しずつ増えています。
職人不足の時代だからこそ、「人が続く会社=品質も安定する会社」という考え方が広がってきています。
建築塗装の現場で避けて通れないのが天候です。
雨・強風・台風・雪…これらの影響で、予定していた作業が中止になったり、工程が組み替わったりすることは普通にあります。
そしてここが、お客様には少し意外かもしれませんが、
「雨=完全休み」とは限りません。会社や店の方針によって、雨の日の動き方が変わります。
| 完全休み | 安全と品質を優先して、潔く休む |
| 倉庫作業 | 材料整理・掃除・道具のメンテナンス |
| 現場準備 | 養生の補強・下地の部分補修・段取り確認 |
| 内勤サポート | 見積の手伝い、写真整理、報告書づくり |
| 営業補助 | チラシ配布など ※会社方針による |
雨が続くと、突然「明日から連休ね」となることもあります。
逆に、収入の安定を優先する会社では、塗装以外の作業を入れて稼働を確保することもあります。
ここは働き方の好みが分かれるところで、“休めるときに休みたい派”と、
“雨でも収入を安定させたい派”で価値観が変わります。
自営業の塗装職人(一人親方)として働く場合は、さらに現場ごとに時間帯が変わります。
「週に何日休み」と固定されるより、仕事が入っている日は働き、空いた日は休むという形になりがちです。
自営業のメリットは、動き方を自分で決めやすいこと。
ただしデメリットも明確で、天候で空いた日=そのまま収入減になりやすい点です。
そのため一人親方は、塗装の腕だけでなく、
仕事の取り方・予定の組み方・体調管理・道具管理まで含めて、
“全部自分で背負う働き方”になります。
建築塗装は、季節の影響を強く受けます。
夏は暑さとの戦い、冬は冷えと乾燥との戦い。
だから職人の生活は、休日に遊ぶというより、
「次の現場で良い仕事をするために、体を整える」という意味合いが強い人も多いです。
- 睡眠を優先する(翌日の集中力=仕上がりに直結)
- 食事と水分を意識する(夏の現場は特に)
- 腰・膝・肩のケアをする(長く続けるほど重要)
- 道具を手入れする(刷毛・ローラー・マスカー、手入れで仕事が変わる)
こうして見ると、建築塗装職人の働き方は「決まった時間で働く」よりも、
現場と天候に合わせて“最適なリズム”を組み立てる仕事と言えます。
そして、良い職人ほど“無理をしない”。
無理をしないのは怠けではなく、10年後もきれいな塗膜を残すための、静かなプロ意識です。
7. 建築塗装職人の一日
建築塗装職人の一日は、現場の納期や作業内容、そして天候によって微妙に変わります。
ただ、どの現場でも共通しているのは、「塗る前の段取り」と「塗った後の片付け」までが仕事だということ。
お客様の目に入るのは塗っている時間ですが、実際はその周辺の時間に“職人の差”がにじみます。
ここでは、一般住宅の外壁塗装を中心にした「よくある一日」を、もう少しリアルにお伝えします。
(ゼネコン現場・大規模修繕の場合の違いも、あわせて触れます。)
朝は、会社や作業場に集合して、その日の打ち合わせから始まります。
今日どこを塗るのか、塗る前に補修が必要な箇所はどこか、風は強いか、午後から雨が来そうか…。
ここでのポイントは、単なる予定確認ではなく、品質を守るための作戦会議だということです。
- 天気予報・風向き・湿度の確認(乾燥と飛散のリスク判断)
- 前日の乾燥チェック(触って分かる“乾き具合”がある)
- 作業範囲と役割分担(誰がどこを、どの順で)
- 材料の種類・数量の確認(不足=時間ロス、余り=原価ロス)
そして塗料の準備。撹拌(かくはん)して、必要に応じて希釈を調整します。
同じ塗料でも、気温や湿度で“伸び”や“乾き”の感じが変わるので、ここも地味に腕の見せどころです。
現場に着いたら、いきなりローラーを持つ…と思いきや、良い職人ほど最初は塗りません。
まずやるのは、現場の整理整頓・清掃・養生の再点検。
養生の浮き、テープの切れ、風でめくれそうな場所を見つけて直します。
ここを雑にすると、あとで
「塗料が飛んだ」「汚れた」「ラインがガタついた」
というトラブルにつながります。
つまり朝の整え方は、夕方の仕上がりとクレーム予防につながる“保険”なんです。
一般的に10時ごろに小休憩を取ります。
(最近は休憩中にスマホをポチポチ…も多いです。現代の「気分転換」ですね。)
職人の仕事は、集中力が命。短い休憩でも、手元の精度を戻す意味があります。
お昼はだいたい1時間。コンビニや近くの飲食店で済ませることも多いです。
(筆者の周りでは、安い中華料理店率がなぜか高めです。現場メシ界の定番。)
ただ、夏は特に「食べない」「水分を取らない」が一番危険です。
熱中症対策としても、昼休憩は重要な時間になります。
15時前後にもう一度小休憩。
実は午後は、疲れで刷毛圧が変わったり、ローラーの押さえが強くなったりして、ムラが出やすい時間帯です。
だからここで一度、呼吸を整える。これも仕上がりの一部です。
夕方5時〜6時頃に、その日の作業を終えます。
外壁塗装は、色や表面の状態を確認しながら進める工事なので、暗くなると作業が難しくなります。
そのため基本は「朝〜夕方」が労働時間ですが、納期が詰まっているときは照明を使って残業することもあります。
そして、終わり方が大事です。
道具の洗浄、養生の確認、周辺の清掃、明日の段取り。
ここをきちんとやる現場は、たいてい塗りも丁寧です。
片付けは“性格”が出ます。塗装は性格が仕上がりに出る仕事でもあります。
現場を終えた後は、会社に戻るか直帰するかは所属する塗装店によって違います。
(今じゃ考えられませんが、25年くらい前は車の中でビールやワンカップ酒…という時代もありました。さらにテンションが上がると、居酒屋→スナック→深夜のラーメン屋コース。筆者も先輩に連れられて、わりとよくありました…。時代ですね。)
ゼネコン工事やマンションの大規模修繕では、朝8時〜8時30分頃に朝礼を行い、作業開始となることが多いです。
ここでは工程よりも安全・ルール・連携が強く求められ、書類や決まりごとも厳しめ。
同じ塗装でも、「自由度が高い住宅塗装」と「管理が厳しい大規模修繕」では、働き方の空気感がけっこう違います。
8. 建築塗装職人の給料について

建築塗装の職人さんの賃金体系は、会社員のような「固定給」とは少し違い、
昔から多いのが「日当(にっとう)ベース」、いわゆる日当月給という考え方です。
ざっくり言えば、「1日いくら × 出勤日数」で月の収入が決まる仕組みです。
ここはお客様にはあまり知られていませんが、塗装職人の給料は
技術だけでなく、現場を“納める力”(段取り・品質・対人対応)で伸びやすいのが特徴です。
逆に言えば、ただ塗るだけの作業員のままだと、日当は伸びにくい傾向があります。
日当とは、1日働いた「職人の手間(てま)」に対して支払われる賃金のことです。
そして、日当月給は、次の計算で月収が決まります。
日当 × その月の出勤日数 = 月収(総支給)
つまり、同じ日当でも出勤日数(稼働日数)で月収は変わります。
天候や現場の段取りで休みが増えると、その分月収が下がりやすい――ここが日当制のリアルです。
目安として、現場ではだいたい次のレンジが多いです。
(※地域・会社規模・雇用形態・経験値・担当範囲で上下します)
- 未経験者:8,000〜11,000円/日
- 経験者:12,000〜16,000円/日
- バリバリの職人(現場を回せる):17,000〜20,000円/日
これを月に換算すると、出勤日数にもよりますが約23万〜50万円程度の幅になります。
ただしここで大切なのは、これは“額面の話”で、手取りは保険・年金・税金などで変わる点です。
日当月給は「計算式がシンプル」なので、イメージもしやすいです。
例えば、こんな感じです。
| 日当 | 出勤日数 | 月収(総支給の目安) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 10,000円 | 23日 | 230,000円 | 見習い〜若手の入口 |
| 14,000円 | 23日 | 322,000円 | 経験者の中心帯 |
| 18,000円 | 24日 | 432,000円 | 現場を納められる職人 |
| 22,000円 | 25日 | 550,000円 | 責任範囲が広い“稼げる職人” |
※上記はあくまで計算イメージです。
実際は、天候で稼働日が減ったり、逆に繁忙期は残業・休日稼働が出たりして変動します。
日当が上がる最大の条件は、シンプルに言うとこれです。
「自分で現場を納めることができる」
つまり、言われた作業だけをこなすのではなく、現場全体を“完成に持っていく力”が身につくと、評価が上がりやすくなります。
具体的には、次のような力がセットで求められます。
- 段取り力:今日の作業が、明日の仕上がりにつながる順番になっている
- 下地判断:傷み・含水・旧塗膜の状態を見て、適切な下地処理ができる
- 品質管理:膜厚・乾燥・塗り重ね間隔を守れる(守らせられる)
- 施工管理:養生・清掃・材料管理まで抜けがない
- 対人対応:お客様・近隣・他職種との距離感が上手い
こういった積み重ねで日当は少しずつ上がっていきます。
そして、成果が見えるようになったら、社長(親方)に
「できるようになったこと」を具体的に伝えて交渉するのがコツです。
それでも評価が動かない場合は、
「評価基準がない会社」「人を育てる気が薄い会社」の可能性もあります。
そのときは転職が正解になるケースもあります。
(努力が報われない現場ほど、もったいないものはありません。)
ちなみに昔ながらの塗装屋さんでは、親方から
氷代(夏の賞与)や
餅代(冬の賞与)が出ることもあります。
金額はさておき、こういう“気持ちの文化”が残っているのも、現場の世界らしいところです。
ここはとても大事なので、少し現実的な話をします。
日当月給の働き方(特に請負・一人親方寄り)の場合、自分で支払うものが増えます。
- 国民健康保険
- 国民年金
- 所得税・住民税(収入によって増減)
- 道具代・作業着・消耗品(刷毛・ローラー・養生材など)
- 移動費・車両費(状況による)
そのため、額面だけ見ると「かなり良い給料」に見えても、
実際は意外と支出が多く、手元に残るお金は人によって差が出ます。
一方、会社に所属する正社員の塗装職人さんの場合は、一般的に社会保険・厚生年金に加入しており、
会社と本人で折半し、差し引かれた分が手取りになります。
「安定」を取りたい人は正社員向き、「自由度」や「伸びしろ」を取りたい人は請負寄り、という見方もできます。
9. 建築塗装職人の将来
建築塗装の現場は、今も昔も「同じ建物は一つとしてない」世界です。
立地・素材・劣化状況・日当たり・風通し…すべて条件が違います。
だから塗装工事は、毎日天気と人工(その日の作業人員数)を見ながら、
職人の手で一つひとつ丁寧に進められています。
透けや色ムラがないか、塗膜の厚みは適正か、乾燥は十分か。
これらは最終的に、職人の目と手の感覚で確かめるしかありません。
光の当たり方で微妙に変わる色味、触って分かる塗膜の締まり。
こうした“感覚の積み重ね”は、今のところ完全に機械化できる領域ではありません。
もちろん、時代は変わっています。
高性能塗料の進化、無機・ハイブリッド塗料の普及、ドローン調査、デジタル見積、工程管理アプリ…。
塗装業界も確実に“スマート化”しています。
それでも、外壁塗装の核心は変わりません。
- 劣化の見極め(ひび割れ・浮き・含水率)
- 下地処理の加減(削りすぎ・残しすぎの判断)
- 膜厚管理(厚すぎても薄すぎても不良)
- 光の中での最終確認(色ムラ・艶ムラの判定)
これらは現場の“感覚”と“経験”がものを言います。
つまり塗装職人は、単純労働ではなく、経験値が価値になる専門職なのです。
現在の建設業界は、高齢化が進み若手不足が課題です。
だからこそ、技術を持った職人の価値はむしろ上がっています。
特に住宅塗装は、景気に左右されにくい「メンテナンス産業」でもあります。
家は建てたら終わりではなく、10年・15年ごとのメンテナンスが必ず必要です。
その循環がある限り、塗装職人という仕事はなくなりません。
ただし、「ただ塗れる」だけでは将来は厳しくなります。
これからの時代に強い職人は、次のような要素を持っています。
- 材料知識(塗料の特性・耐候性・相性を理解)
- 施工管理力(工程・安全・品質を同時に見る)
- 色彩感覚(住まいの印象を設計できる)
- 説明力(専門用語を噛み砕いて伝えられる)
- 倫理観(手抜きをしない、無理をさせない)
つまり、“塗る人”から“住まいを守るプロ”へ。
ここにシフトできるかどうかが、将来の分かれ道になります。
建築塗装職人の将来は、決して暗くありません。
むしろ、技術があり、誠実に向き合う人ほど、選ばれる時代です。
建物は、必ず歳を重ねます。
その歳月に寄り添い、手を入れ、守り、もう一度美しくする仕事。
機械ではなく、人の手でしかできない領域が、確実に残っています。
だから建築塗装職人は、これからも必要とされ続ける職業だと言えるでしょう。
10. 建築塗装職人について まとめ

建築塗装職人という仕事は、意外なほど奥が深く、
一般のお客様が、職人さんをぱっと見た印象だけで実力を判断できる職業ではありません。
なぜなら塗装は、仕上がりの“見た目”の裏側に、下地調整・乾燥時間・材料選定・膜厚管理といった
見えない工程が積み重なっているからです。
そして、その積み重ねが数年後に「差」として現れます。
塗装職人に必要なのは、塗装技術や塗料知識だけではありません。
目立たない工程を丁寧にやり切る忍耐、天候や下地の変化に合わせる判断力、現場を納める段取り力。
そして何より、自分の仕事に信念と責任を持てるか。
ここまで含めて、お客様にとっての「一流の塗装職人」だと言えます。
当然ながら、塗装職人にもいろいろな人がいます。
良心的で誠実な職人さんは、「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」を軸に、
毎日の仕事に真剣に向き合っています。
たとえ見えない場所でも手を抜かない。塗らない工程こそ丁寧にやる。
そういう職人さんは、派手な言葉よりも、現場の静かな整い方で信用を積み上げていきます。
一方で、残念ながら悪徳な塗装業者やいい加減な職人がいるのも事実です。
目先の利益だけを追い、工程を省いたり、乾燥を待たずに塗り重ねたり、材料をごまかしたり…。
そういう人たちは「バレなければいい」という感覚で動きがちで、
工事を“作品”ではなく“消化作業”にしてしまいます。
それはお客様にとってはもちろん、業界全体にとっても悲しいことです。
確かにお金は大切です。みんな生活がかかっていますから。
でも、本当に良い職人さんほど、最後に大切にしているのはお金だけではありません。
「きれいになったね」「頼んでよかった」――その一言が、胸の奥に残って仕事の背骨になります。
お客様を通じて、毎日良い仕事ができる喜び。
それを知っている職人さんは、自然と現場の空気まで丁寧になります。
もし、お客様が信頼できる塗装業者をお探しなら、
まずは今回のように“職人の価値観や世界観”を少し知ってから、実際に業者と会ってみてください。
会って話せば、説明の筋、誠実さ、相性が見えてきます。
(意外と、見た目よりずっと話しやすい人も多いですよ。現場だと無口でも、質問されると丁寧に話すタイプ、かなりいます。)
そして最後は、「この人たちなら家を任せられる」と思える納得感で決めること。
外壁塗装は、値段で選ぶ工事ではなく、信頼で選ぶ工事です。
11. 建築塗装の職人さんに関する Q&A

A.結論から言うと、「下地の話を、どれだけ具体的にできるか」で、だいたい分かります。
外壁塗装は、完成した瞬間はどこもキレイに見えがちです。
でも本当の勝負は、そこから数年後。雨風と紫外線にさらされ続けたときに、塗膜がどう踏ん張るかで差が出ます。
その差を決めるのが、実は「塗る前」にやっている工程――つまり、下地調整です。
本当に腕のいい職人さんは、仕上げの色や艶の話よりも先に、
「今の外壁はどう傷んでいるか」「どの傷みが危険信号か」「補修はどの方法が適切か」
さらに「乾燥は何時間置くべきか」「今日は湿度が高いから工程をどう組み替えるか」まで、
工事を“工程として”説明します。
そして、良い職人さんほど、耳が痛いこともあえて言います。
たとえば「この状態だと、どんな高級塗料でも限界がある」「ここは補修を優先した方がいい」など、
お客様にとって都合のいい話だけを並べません。
なぜなら職人の仕事は、“売ること”より“守ること”。
住まいの弱点を正直に見つけて、必要な手当てをするのが本質だからです。
塗装はよく「塗る技術がすべて」と思われがちですが、実際は逆で、
塗る技術より、整える技術が8割。
ここを軽視しない職人さんは、養生・清掃・補修・乾燥管理といった地味な工程を、当たり前に丁寧にやります。
そしてその丁寧さは、現場の空気にも出ます。道具が整っている、周りがきれい、動きにムダがない。
そういう現場ほど、仕上がりも長持ちします。
だから見分け方としては、派手なセールストークよりも、
「下地の説明が具体的か」「工程の理由を話せるか」「見えない部分を大事にしているか」。
この3点を見ていただくと、かなり失敗しにくくなります。
A.大丈夫なケースは多いです。むしろ、無口な職人さんほど“手元が誠実”ということもあります。
建築塗装は、見た目よりずっと繊細な仕事です。
ローラーの圧、刷毛の返し、塗り継ぎのタイミング、塗膜の乗り方。
ほんの少しの判断のズレが、ムラや垂れ、数年後の劣化につながります。
だから現場では、職人さんが黙って手元に集中している時間が多くなるのは、ある意味当然です。
それに、職人さんの世界は“口でかっこよく言う”より、仕事で見せる文化が強いです。
よく喋るから上手い、無口だから下手――ではなく、
塗装は「結果」で語られる世界。
だからこそ、現場中は余計なことを言わずに、淡々と仕上げに向き合う人も多いのです。
ただし、ここは大切な見極めポイントがあります。
無口でも問題ないのは、「聞いたことには、きちんと答える」職人さんです。
たとえば、
「今日はどこを塗る予定ですか?」
「乾燥はどれくらい置くんですか?」
「この部分の補修はどうしますか?」
こうした質問に対して、面倒くさがらず、筋道立てて説明してくれる人は安心できます。
逆に注意したいのは、
「聞いてもはぐらかす」「説明を極端に嫌がる」「返事が雑」「不機嫌になる」タイプ。
こういう場合は、職人さん個人というより、現場の管理体制(誰が品質を見ているか)を確認した方がいいです。
本当に良い現場は、無口でも、報告・連絡・相談のラインがきちんと整っています。
ですので、無口な職人さんを見たときは、
「怖い」ではなく、まずは一歩だけ近づいて、軽く質問してみてください。
その受け答えに、職人さんの本質が出ます。
意外と、見た目よりずっと穏やかで、丁寧に説明してくれる方も多いですよ。
A.大丈夫です。見るべきは年齢ではなく、「現場が“仕組み”で品質を守れているか」です。
外壁塗装は、料理で言えば「火加減・下ごしらえ・盛り付け」まで全部そろって初めて完成する仕事。
若手の職人さんでも、経験豊富な職長(現場の責任者)や親方が工程を管理し、
チェックの目が入る現場なら、仕上がりは十分に安定します。
逆に言えば、ベテランであっても「一人で好き勝手にやれる」「確認が入らない」現場だと、
工程が雑になったり、乾燥時間を飛ばしたり、手順が自己流になったりするリスクが出ます。
塗装は、“経験がある人ほど丁寧”とは限りません。
大切なのは、誰がどこで品質を確認し、基準を守らせているかという管理体制です。
お客様が見極めるなら、次のポイントが分かりやすいです。
- 工事の説明に「職長」「現場責任者」が出てくる(担当者が明確)
- 工程表・塗り回数・乾燥時間などが具体的(“なんとなく”で進めない)
- 写真で報告する仕組みがある(見えない工程を見える化している)
- 若手が作業していても、要所でベテランがチェックしている
つまり、若い職人さんがいること自体は不安材料ではなく、むしろ
「育てる現場=品質を仕組みで守る現場」であることも多いです。
チームとして品質を守れているか――ここが最大のポイントです。
A.変わります。正直に言うと、同じ塗料でも「職人の精度」で耐久性が変わるのが塗装工事です。
塗装は、塗った直後よりも、数年後に差が出る工事。
その差の正体は、派手な部分ではなく、地味な部分にあります。
特に差が出やすいのは、次のポイントです。
- 塗り重ね間隔:乾燥が足りないと密着不良や早期劣化の原因
- 膜厚(塗膜の厚み):薄いと耐久性が落ち、厚すぎると割れ・垂れの原因
- 角部・端部の処理:雨が当たりやすい弱点。ここが雑だと先に傷む
- 養生の丁寧さ:ラインが乱れるだけでなく、清掃・管理レベルが見える
- 下地調整:結局ここ。ここが甘いと上塗りが何をしても持たない
見た目で例えるなら、同じ「白」でも、きれいな白と、うっすらグレーっぽい白があります。
それは色の違いだけでなく、塗膜が均一に乗っているか、透けていないか、艶ムラがないかの違いです。
こういう“微差”を、職人さんは手元の感覚で整えていきます。
だからこそ、仕上がりは「塗料のグレード」だけで決まらず、施工精度の積み上げで決まります。
結論としては、
外壁塗装は「塗料選び」だけでなく、「職人選び(会社の現場管理力)」が重要です。
“誰が塗るか”で、家の10年後が変わる。ここは本当に大事なポイントです。
A.理由はシンプルで、工程を短縮すると、利益が出やすい構造があるからです。
塗装工事は、丁寧にやるほど時間がかかります。
乾燥を待つ、下地を直す、養生を丁寧にする――全部“手間”です。
ところがこの手間は、見えにくい。だから悪い業者ほど「削れる」と考えてしまいます。
手抜きが起きやすい典型例は、こんな感じです。
- 乾燥時間を待たない(塗膜が締まらず、膨れ・剥がれの原因)
- 下塗りを簡略化する(密着が弱くなり、耐久性が落ちる)
- 塗布量を減らす(膜厚不足で早期劣化。見た目は一瞬きれい)
- 補修をごまかす(ひび割れの再発、雨水侵入リスク)
- 養生・清掃を省く(飛散・汚れ・ライン不良。現場全体が荒れる)
そして怖いのは、これらは工事直後には分かりにくいことです。
むしろ問題が出るのは、数ヶ月〜数年後。
つまり手抜きとは、お客様にとって「後払いのトラブル」になりやすいのです。
良心的な職人さん(会社)は、ここが真逆です。
「見えない部分ほど丁寧に」を徹底し、工程を守ることを誇りにしています。
乾燥を待つ日があっても焦らない。補修に時間がかかっても端折らない。
なぜなら、塗装は“その場の見栄え”ではなく、“住まいを守る仕事”だからです。
A.結論から言うと、やりがいは「形に残ること」、そして「時間が経って評価されること」です。
塗装は、工事が終わった瞬間だけなら、正直どこもそれなりにキレイに見えます。
でも本当の勝負は、雨風と紫外線を受け続けた数年後。
そこで「まだきれいですね」「色が落ち着いていて素敵」と言われたときに、職人は静かにガッツポーズをします。心の中で。
もう少し具体的に言うと、塗装職人のやりがいは次の3つに集約されます。
-
① 住まいの寿命を延ばせる
塗装は“見た目を良くする工事”と思われがちですが、本質は防水・防錆・保護。
つまり、家の弱点に手当てをして、傷みの進行を止める仕事です。
「自分の仕事で、この家がもう10年持つ」――この実感は大きいです。 -
② 変化が分かりやすい
ビフォーアフターの差がはっきり出るので、お客様の反応もダイレクトです。
くすんだ外壁が整い、艶や色が落ち着いて、家全体の印象が“上品に若返る”。
その瞬間に立ち会えるのは、職人冥利に尽きます。 -
③ 誰かの「安心」を作れる
外壁塗装は、高い買い物で不安も多い工事です。
そこに誠実に向き合い、丁寧に仕上げて「頼んでよかった」と言われる。
これが一番の報酬だと感じている職人は本当に多いです。
そして、職人という仕事は少し不器用なところがあって、
「すごいでしょ」と口で言うより、黙って結果で見せる人が多い。
だからこそ、お客様の何気ない一言――「きれいになったね」「安心したよ」が、ずっと心に残ります。
塗装職人のやりがいは、派手さではなく、
“毎日ちゃんと積み上げたものが、後から効いてくる”ところにあります。
地味だけど、確かな誇り。そんな仕事です。
A.結論としては、「職人の人数は減りやすい。でも仕事はなくならない」です。
実際、建設業界全体で高齢化が進み、若手不足が課題になっています。
その流れの中で塗装職人も減少傾向はあります。
ただしそれは「仕事が減る」ではなく、むしろ逆で、需要に対して人が足りなくなる方向の話です。
なぜ需要がなくならないのか。理由はシンプルです。
建物がある限り、必ず劣化するからです。
外壁も屋根も、紫外線・雨・風・温度差で少しずつ傷みます。
だからメンテナンスは必ず必要になります。景気の波があっても、完全には止まりません。
そして、ここがポイントです。
ドローン点検やAI診断、材料の高性能化など、技術は進化しています。
でも最終的に、透け・色ムラ・膜厚・下地の癖を見て、手で仕上げる工程は、今後も人の仕事が中心になります。
塗装は「現場ごとの違い」が大きすぎて、全てを機械に置き換えるのが難しい領域です。
ただし、将来“選ばれる職人”の条件は変わっていきます。
今後は単に「塗れる人」ではなく、「守れる人」が求められます。
- 下地を診断できる(傷みを見抜き、適切な補修につなげる)
- 材料を使い分けられる(塗料の相性・環境条件まで考える)
- 工程を管理できる(乾燥・膜厚を考える)
A.一番のコツは、直接会って話すことです。
ホームページやチラシの情報も大切ですが、最終的に住まいを任せるのは「人」です。
だからこそ、会話の中にその人の仕事観がにじみます。
見極めるポイントは、派手なセールストークではありません。
次のような部分を静かに観察してみてください。
- 説明が具体的か(「しっかりやります」ではなく、工程や時間を話せる)
- 質問を嫌がらないか(専門用語を分かりやすく翻訳してくれる)
- 下地や乾燥など“見えない工程”を大切にしているか
- メリットだけでなく、リスクや注意点も正直に伝えるか
そして最後は、とてもシンプルです。
「この人に任せたい」と自然に思えるかどうか。
外壁塗装は、価格だけで決める工事ではありません。
納得感で選ぶことが、いちばんの失敗防止です。
A.失礼ではありません。むしろ、早めの共有は品質向上につながります。
塗装工事は工程が重なりますので、「気になった時」が一番伝えどきです。
ただし伝え方が大切です。
「雑じゃない?」ではなく、「ここが少し気になって…確認していただけますか?」と、
相談の形で伝えるのがベストです。
良い職人さんは、指摘をプライドの問題にしません。
むしろ、「どう見えているか」を共有できることを歓迎します。
理由を説明し、必要なら修正し、納得できる形に整えます。
逆に、質問や確認を極端に嫌がる場合は、現場の管理体制を一度見直す方が安心です。
A.決まりません。ここはとても大事なポイントです。
どんな高級塗料でも、下地処理や乾燥管理が甘ければ、本来の性能は発揮されません。
外壁塗装は、塗料=素材、施工=料理のようなもの。
素材が一流でも、火加減や順番を間違えれば味は落ちます。
逆に、適切な下地調整・規定の塗布量・乾燥時間を守れば、塗料の性能はきちんと活きます。
信頼できる業者は、塗料名だけでなく、
- 下地調整の内容
- 塗り回数(下塗り・中塗り・上塗り)
- 乾燥時間の考え方
- 膜厚管理の基準
これらをセットで説明できます。
塗料の価格よりも、「どう扱うか」を語れるかどうか。
そこが品質の分かれ道です。
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建築塗装の職人による「品質本位の塗装」なら、小林塗装にお任せください。
小林塗装は、名古屋市にある外壁塗装店です。
2003年の創業以来、名古屋で「塗装専門店」として、外壁塗装・屋根塗装を中心に、住まいを長く守るための塗装工事に取り組んできました。
私たちが大切にしているのは、派手な宣伝よりも、下地調整・養生・乾燥管理といった「見えない工程」を丁寧に積み上げること。
仕上がりがきれいなのはもちろん、数年後に差が出るような、品質本位の塗装を徹底しています。
「どんな塗料が良いの?」「うちの外壁は何が合う?」「色選びで失敗したくない…」など、
どんな小さなご相談でも大丈夫です。
名古屋周辺で外壁塗装・屋根塗装をご検討中のお客様は、どうぞお気軽にお問合せ・ご相談ください。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、コラム「建築塗装の職人さんとは?」の筆者で、名古屋を拠点に「塗装工事の専門店」としてこれまで数多くの現場に携わり、30年以上に亘って培ってきた豊富な知識と経験を大切にしてきました。
当店のホームページでは、そうした多く経験の積み重ねから得た確かな技術やノウハウを、外壁・屋根・室内など塗装を検討されている一般のお客様に分かりやすくお伝えできるよう、コラムというカタチで発信しています。
塗装工事は、多くのお客様にとって一生のうちに何度も経験することではなく、「どの塗料を選べば安心なのだろう?」「そもそも何年くらいで塗り替えるのがいいの?」といった疑問や不安が尽きないものだと思います。
だからこそ、自分自身が専門家としての知識を惜しみなく共有しながら、どなたにも気軽に読んでいただける言葉で、少しでも安心や納得につながる情報をお届けすることを心掛けています。
これからも初めて塗装工事を検討される方はもちろん、ちょっとした疑問を感じている方にも、肩ひじ張らずに読んでもらえる情報を発信し続け、住まいに寄り添う塗装の専門家としてお役に立てたら嬉しいです。
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