

塗装工事の養生作業とは?
今回は、塗装工事の養生に関する基礎知識から、塗装業者の養生方法や養生作業時に確認しなくてはならない大切なポイントを名古屋の塗装店小林塗装が分かりやすくお伝えします。
塗装工事の仕上がり具合は、「下処理4割、養生4割、塗装2割」と言われるほど、養生が塗装の仕上り感を大きく左右させる重要な作業と言えます。
見栄えの良いきれいな塗装工事にするためには、どうすれば良いか知りたいお客様はぜひこのコラムをご覧ください。
1. 塗装工事における養生とは?
塗装工事における養生とは、外壁や屋根などを塗装する際に、塗装する部分以外の場所に塗料が付かない様に養生ポリシートやビニールシート、マスカー、布テープ、マスキングテープなどを使って、覆い保護する作業のこと を言います。
この養生作業が塗装前にしっかり行われることによって、塗料の飛散事故を防ぎ、塗装作業の効率を高め、高品質な仕上がり感を確保することができます。
また、こういった塗装養生は、塗装が完全に乾く前に手早くキレイに取り外す必要があります。
なぜなら、塗料が完全に乾燥した状態で養生を捲ると、養生テープに付いた塗料が固まっているので、養生テープが取りづらくなったり、養生のマスキングテープと一緒に塗装面の乾燥した塗料が剥がれてしまったり、養生テープのノリが被着体であるサッシなどに残ってしまったりすることがあるからです。
こういった理由から、塗装の施工内容にあった適切な養生作業が、塗装の仕上り感を大きく左右させるとても重要な作業と言えます。
2. ちゃんと養生をしないで塗装工事をすると、どうなるの?
塗装工事における養生作業の目的は、塗料の飛散や汚れを防ぐ事ですが、ちゃんと養生をしないで塗装工事をすると、一体どうなるのでしょうか?
塗装工事を行っていると、どうしても塗料が地面やベランダの手摺りに垂れてしまったり、サッシ枠など本来塗らなくて良い部分にまで、塗料が付いてしまうことが度々あります。
塗装しない周囲を汚してしまうと、塗装した後にシンナーや剥離剤などを使って掃除する必要があり、汚した部分の塗料を落とすのにも大変苦労しますし、場合によっては完全に塗料の汚れが取れない場合や塗装しない部分に傷を付けてしまう場合もあります。
また、塗装が必要な部分と塗装しない部分などといった境目(取り合い部分)をきっちりと塗り分ける事ができません。
その結果、本来塗らなくても良い部分にまで塗料が付いてしまって、塗装工事の仕上がりが汚くなってしまいます。
ですから、養生はベテランの職人でも必ず行っている、塗装工事に必須と言える作業と言えます。
また、塗料が周囲に飛散してしまい、大きなトラブルになってしまう場合があります。
もし仮に塗料が周囲に飛んだとしても、養生を行っていればまだ良いのですが、もし近隣の建物や車、庭の植木などに塗料が付着してしまったら、近隣トラブルにもなりかねません。
近隣トラブルになってしまうと、塗装工事以外にも汚損に対する弁償など余計な時間や費用が掛かってしまい、塗料を飛ばしてしまった職人、塗料で汚された近隣のお客様、お互い気分があまり良いものでもありません。
そんな汚損トラブルを無くす為、丁寧で誠実な仕事をしている塗装店や職人は、塗装工事の下準備である養生をしっかり行っています。
3. 塗装工事の養生に使用する主な副資材
それでは、塗装工事の養生を行う際には、どういった養生材を使っているのかを詳しくお伝えします。
養生メッシュシートは、建物全体を覆う足場用の飛散防止ネットのことです。
養生メッシュシートは、外壁塗装の際に近隣の建物へ塗料や高圧洗浄作業時の汚水やホコリなどが周囲に飛ばない様にする役割があります。
養生メッシュシートは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルで作られ、網目の大きさは0.75㎜~3㎜程度です。
最近では、萩原工業クリヤメッシュシート(透明=視認効果向上)、名古屋マルヤマのクリアブラックメッシュシート(視認効果向上)、クールメタルメッシュ(遮熱効果)、三層構造一体型メッシュシート(飛散防止 特許製品)など高性能な養生メッシュシートも販売されています。
なお、養生シートの大きさの単位は1間です。1間とは、日本で使われてきた長さの単位で、約1.82mに換算して計算します。
養生シート大きさは1×1、1×2、1×3というように表示されており、それぞれ「1間(幅)1間(長さ)」、「1間2間」、「1間3間」と呼ばれます。
ただし表記上は1間としていますが、便宜上1間をメートル法にした場合1.8mにしているメーカーがほとんどです。
そのためメートル法に換算したサイズは、「1.8m(幅)×1.8m(長さ)
」、「1.8m×3.6m」、「1.8m×5.4m」などと表記されています。養生用ポリシートは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリマーを原料としたシートで、塗料の汚損防止、コンクリートの養生や床タイルのキズ防止に使用するシートです。
養生用ポリシートは、ハサミやカッターで切って使います。
用途や作業環境によって、ポリシートの厚みと寸法を選択する必要があります。
小林塗装では、厚さ0.03㎜~0.05㎜、幅900mm~1,800mmのグリーンや透明のノンスリップタイプポリシートを頻繁に使用します。養生用ポリシートは、屋根や床の養生に最適な養生シートといえます。

布シート(べトナムシート)は、ベトナム製の布シートが由来で、外壁や天井塗装の様な簡便な床養生に使います。
布シートは、繰り返し何度も使えますので、とても経済的です。
但し、布シートが汚れてくると見た目がちょっと悪いです。
小林塗装では、2m×3mサイズや1.2m×5mサイズの厚手タイプの布シートを使っています。

ブルーシートは、合成繊維を合成樹脂フィルムで挟んだ構造で作られているシートで、重歩行部分の床養生や2~3週間と言った長い工事期間がある場合、足場の飛散防止ネットだけでは、塗料やホコリによる汚損が防げない場合などに使用します。
また、ブルーシートには、耐紫外線加工を施したシートや、厚手のシート、風が抜けるスリットを加えたシート、遮光性を高め断熱性を持たせるため金属フィルムをラミネート加工したシートなどがあります。

養生布テープは、耐水性に優れ、一般的なガムテープとほぼ同じ形状(幅25㎜、50㎜が主流)で、ゴム系の粘着剤が使われている為、強い付着力があり、しかもカッターを使わずに手で切りやすいなどと言った扱いやすい特徴があります。
しかし、湿気の多い部分や暑い場所での養生作業は、布テープの糊が残ってしまうことが頻繁にあるので、布テープ使用する際には注意が必要です。
なお、布テープと養生テープの大きな違いは、布テープは「剥がれないこと」を目的としているため粘着力が強い製品が多く、 反対に養生テープは一般的なガムテープとほぼ同じ形状(幅50ミリ前後)で、基材がポリエチレンやポリエステル製で「剥がすこと」を目的としているため粘着力が弱く、剥がしやすいという特長を持っています。

マスキングテープ(和紙テープ)とは、養生用ポリシートを貼る際や見切りのラインをキレイに出す為に使用する粘着力の弱い薄い紙テープのことです。
マスキングテープは、布テープと比較して、テープが薄いので塗料が潜り込みにくく、キレイな直線を作ることができ、簡単に剥がすことができ、テープの糊跡も残りにくい特徴があります。
こういったマスキングテープは、マスキングの対象物、作業内容、使用する塗料によって、テープの寸法、テープの厚み、基材の種類を選択する必要があります。マスキングテープの色については青、水色、黄色、オレンジ、ピンク、黄緑、紫などきれいな色が多いのですが、テープの剥がし忘れないがないよう様にするため、マスキングの用途を明確にさせるといった理由があります。
マスキングテープは、皮スキやパテベラでテープ面をしっかり押さえて切ると、キレイに真っ直ぐ切ることができます。
一般的に建築養生用のマスキングテープの長さは18mで、マスキングテープ幅は、6㎜、9㎜、10㎜、12㎜、15㎜、18㎜、20㎜、21㎜、24㎜、30㎜、36㎜、38㎜、40㎜、50㎜、60㎜、80㎜などと多くの幅がラインナップされています。ちなみに塗装用マスキングテープの幅が12mm(約2分の1インチ)、18mm(約4分の3インチ)、24mm(約1インチ)が主要な理由は、第二次世界大戦後、日本のテープメーカーがマスキングテープをアメリカ軍に納入した際の名残です。
日本で初めて和紙製のマスキングテープは、1938年(昭和8年)に日本粘着テープ工業株式会社(現在の寺岡製作所)が塗装用火薬包装用として和紙製のマスキングテープの製造を開始したのが由来です。
なお、最近のマスキングテープには、カモ井加工紙から発売されている「ルパン」「ルパンクーペ」「ルパンフォース」など、切りやすく、付着力に優れ、糊残りが少ない、不織布と特殊フィルムを組み込んだ建築塗装の養生に特化した特殊なマスキングテープもあります。

養生マスカーとは、養生用ビニールと養生テープが一体化したものです。
マスカーを使わずに養生する場合は、養生ビニールシートと布テープやマスキングテープをそれぞれ用意して、ビニールシートを布テープやマスキングテープに貼り付ける必要がありますが、養生用ビニールと養生テープが一体化している「マスカー」を使う事で、養生作業時間を大幅に短縮化させることができます。
また塗装工事で使われるコロナマスカーはコロナ放電照射が施され、密着性や濡れ性(固体表面に対する液体の付着しやすさを表す性質)を向上させる表面処理技術されています。
ですから、ビニルシートに付いた塗料が垂れにくくなり、塗料や塗料ミストで部屋が汚れたり、服に付着したりすることを少なくすることができます。
養生マスカーに使われるビニールのサイズは、300㎜、550㎜、700㎜、900mm、1,100mm、1,800mm、2,700mmなど豊富な種類があります。
また、マスカーに使われるテープの種類は、大きく分けると布テープ、紙テープ、パイオランテープ、不織布テープなどがあります。
マスカーは、ハサミやカッターでテープ面から切ると切りやすく、キレイに切れます。
ちなみに小林塗装では、付着力が優れる布テープマスカーや塗料が潜りにくい不織布テープのマスカーを主に使用しています。

チリコークNBとは、シャープ化学から販売されている屋外用として使える「チリ際(縁部分)」専用の養生変成シリコンクリヤー (透明) シーリング材の事です。
チリコークNBは、雨掛かりの多い上裏、パラペット部分、タイル取り合い部分の「チリ際の見切り」に最適なシーリング材で、アクリルエマルジョン系のシーリング材よりも、耐候性に優れ、シーリング材の収縮が少なく、塗装の仕上りも良いです。
また、凹凸の大きいタイル床の基礎立ち上がり面を塗装養生する際や床が湿っていると、アクリルエマルジョン自体が溶けて滲むしまう場合もありますが、チリコークNB場合、湿気硬化タイプなので、滲まず綺麗な見切りラインが作る事ができます。
小林塗装では、サッシ側面のビス部分やガスケット側面の見切りにも使用しています。
さらにチリコークNBは、換気フード廻りやエクステリアの防水シールとしても使用することができます。
なお、室内養生の場合は、アクリルエマルジョン系のクリヤーシーリング材の代用も可能です。

テーププライマーは、基材とテープを確実に定着させる(テープ自体のアンカー力を向上させる)役割を持ち、プライマーで基材とテープをしっかり定着させることで、アンカー破壊を防ぐことができます。
こういった役割を持つテーププライマーは養生テープが付きづらいモルタル、コンクリート面、レンガの凹凸面の養生をする際、テープを貼る前に使用します。
また、多少湿った部分でも、テーププライマーを少量スプレーするだけで養生テープをしっかり貼ることができます。
ちなみに小林塗装では、環境に優しいノンフロンタイプのテーププライマーを使用しています。

エアコン室外機カバーは、ラッセルネットとビニールシートで作られた養生カバーです。
エアコン室外機カバーには、据え置き用カバーと吊り下げ用カバー、大型室外機カバーの3種類があります。
エアコン室外機カバーを使用することで、養生作業の省力化と養生ゴミの削減に役立ちます。

車への塗料付着防止に使う車専用の養生カバーです。
養生用の自動車用カバーには、ビニール製と不織布製があり、カバーのサイズは、軽自動車用、普通車用、ワンボックス用、自転車、バイク用があります。
ビニール製カバーの場合、塗料の付着を完全に防ぐ事ができますが、風が吹くと自動車のボディに付いた砂塵の摩擦によって、ボディに細かい擦り傷が付く恐れがあるので、使用する際にはボディ表面の確認が必要です。
不織布製の自動車用カバーは、塗料の付着を完全に防ぐことはできませんが、不織布は風を適度に通すので、ボディに擦り傷が付きづらいというメリットがあります。
なお、類似品に自動販売機カバーもあります。
4. 塗装工事の養生作業で使う道具 一例
当店が、塗装工事の養生を行う際に使用している道具について詳しくお伝えします。

養生マスカーや養生ビニールを切る際に使います。
(養生作業に使うハサミは、持ち手が大きく、フッ素コーティングされたものがおすすめです。)

ダスターは、養生面のホコリや砂を取り除く際、使います。
(掃除用ダスターには、大塚刷毛のラスター377同等品がおすすめです。)

カッターナイフは、マスカーや養生ビニールを切る際、使います。
(オルファのスピードハイパーAL型同等品がおすすめです。)
細工用カッターナイフは、養生したマスキングテープを細かく切る際や養生テープに切り込みを入れる際に使います。
(オルファの細工用カッター同等品がおすすめです。カッターの刃が薄いので、塗装のバリを削る際にも使用できます。)
ササラは、竹や細い木などを束ねて作る道具で養生テープを押さえる際、使います。
(100円均一で売られている 鍋やフライパンの手入れや魚の腹わた取りに使用する「竹ササラ」を分解して作ると良いです。)

皮スキは、マスキングテープや布テープを切ったりする際に使います。また、皮スキはケレンをする、塗料缶のフタを開ける、掃き掃除したあとの小さなチリ取りなどと多様な使い方をします。
牛革をなめす道具が塗装用に改良され、「皮スキ」として使われるようになったそうです。
現在主流のY型皮スキは、大阪の「源邑光北野刃物製作所」が昭和35年頃にそれまでのそれまでの皮スキを改良して「Y型皮スキ」を製造したのが由来だそうです。
マスキングテープを切ったりする際に使います。
(養生マスキングテープを切るには、50mm幅程度のステンレスベラがおすすめです。)

アートナイフは、養生したマスキングテープなどを細かく切る際や細かいバリや汚れを取り除く際に使います。
(持ちやすいペン状のオルファ「アートナイフプロ」と同等品がおすすめです。)
マイクロファイバーモップは、庇やシャッターボックス、軒天、雨樋などの掃き掃除にかなり便利な道具です。
最近では安くて、使いやすいマイクロファイバーモップが多くあります。

湿った部分や汚れている部分を拭き取る際に使います。
(なおカラーウェスは、溶剤を付けると色落ちする場合があるので、あまりおススメできません。)
5. 一般的な住宅塗装 養生作業の手順
次に一般的な住宅塗装における養生作業の手順をお伝えします。(小林塗装の養生手順です。)
まずは、足場仮設を行う際に塗料の飛散防止のメッシュシートを足場に貼り付けます。
屋根や外壁塗装に用いる飛散防止ネットは、強風などによって引きちぎられない様に、結束ひもで隙間ができない様、しっかり縛って結束することが重要です。
次に高圧洗浄を行った後、土間、屋根、サンルーフの養生を行います。
養生シートを敷く前には、養生作業をスムーズにできる様、養生面の掃き掃除や荷物の移動を行う事が重要です。
(養生する床面にゴミや荷物があると、躓いたり、養生材に穴が開いたりする原因になるからです。)
こういった床面の養生は、作業する上で歩行する部分なので、布シート、厚手のポリエチレンシートなどと言った耐摩耗性、耐水性、耐溶剤性などに優れた丈夫な養生材を敷く必要があります。
さらに床の養生作業は、作業中にシート捲れない様に粘着力が高い布テープや糊残りが少ないパイオランテープなどを適切に使って、養生シートをしっかり固定することが大切です。
また、床養生を行う際には、エアコン室外機の養生(当店では、ラッセル製のエアコン室外機カバーを使用しています。)や周囲の荷物の移動なども同時に行います。
なお、塗装作業終了後は、塗装作業によって汚染した床養生シートは、クルクルと巻き取る様に回収して、周囲に余分なゴミや塗料カスが周囲に散らばらない様にしています。
土台板金水切りがある建物の場合は、土台板金水切りの天端部分から、マスキングテープによる「捨てテープ」を貼ってから、養生マスカーを貼ります。
建物の土台板金水切りには、ホコリや砂が溜まっている場合が多いので、当店ではダスターを使った掃き掃除やウェスを使った拭き掃除をしっかり行ってから、マスカーや捨てテープ(捨てテープ=布テープの裏側に塗料が潜らない様にする為のマスキングテープ)を貼る様にしています。
なお、水切り板が無いモルタル巾木は、まず掃き掃除を行って、モルタル巾木に付いた砂やホコリをキレイに取り除き、スプレープライマーを吹き付け、550~1,100mm幅の養生マスカーを貼ってきっちり養生します。
マスカーを貼る際には、養生テープをササラなどでしっかり押さえて、養生テープが剥がれてこない様にします。また、風が強い場合は、マスカーやビニールがめくれない様、マスカーやビニールの裏側にも「補強テープ」を貼る必要があります。
サッシやドアの養生は、サッシやドアをグルっと包み込む様にマスカーやビニールで覆います。
サッシに面格子がある場合、防犯上や施工上の問題がなければ、予め取り外して別の場所に保管すると汚してしまう心配もなく、シーリングや塗装の作業性も良くなります。
養生する際には、サッシやドアの枠周りのホコリをキレイに掃除した後で、捨てテープを貼って、サッシやドアの寸法にあったマスカーやビニールを貼り付けます。
特にサッシ枠部分のテープ貼りは、塗装の見た目や仕上がり感に大きく影響する為、養生面と並行に真っ直ぐ、ビシっと貼り付けます。
マスカーを使ってサッシやドアなどを養生する場合、角部分のテープ貼りは、テープが折れ曲がらない様、しっかり折り目を付けてテープを貼る様にするか、テープ部分だけ切り込みを入れて直角を作り、キレイなコーナーを作る様にすると良いです。
(テープを折り込む方が養生作業スピードは速いのですが、マスカーのテープに切り込みを入れて貼った場合と比べて、塗料が潜りやすいという欠点もあります。)
サッシやドアの養生で注意すべき点は、サッシ枠やドア枠の隅、ビス部分、ガスケット部分は、養生テープが付きづらく、塗料が潜り込みやすいので、捨てテープをきれいに貼り込み、丁寧に養生する必要があります。
また、白系のアルミサッシを養生する場合、製造過程における着色方法(白系=焼付塗装、黒、シルバー系=電着着色、静電塗装)が違うので、サッシ枠の塗装部分がチョーキングしている場合があり、こういった場合、テープが付きづらく、テープ跡が残りやすい傾向があるので注意が必要です。(こういった場合、テープを貼る前にスプレープライマーを吹きかけるか、ウェスでチョーキングをキレイに拭き取る必要があります。)
マスカーやビニールで包み込む際には、下側から側面、上側と言った順でマスカーを貼ると、塗料が潜り込みにくくなります。 なお、サッシやドアを開閉させたい場合は、枠とサッシ、ドアを別々にして養生します。
庇、霧除け、シャッターボックス、戸袋の養生は、まず天端、側面、裏側などの掃き掃除をしっかり行います。
また、庇、霧除け、シャッターボックス、戸袋を塗装する場合には、養生を行う前に足付けやケレンなどの下地処理も同時に行っておくと、後の作業がスムーズになります。
養生方法は、サッシの養生と同様、グルっと包み込む様にマスカーなどで養生します。
なお、外壁などの塗装工事が終了し、汚染したサッシ、庇、シャッターボックスなどに貼った養生ビニールなどを捲る際には、汚染した養生面を内側に巻き取る様にゆっくり取り外します。
こうすることで、マスカーやビニールに付いた塗料カスが周囲に散らばってしまうことが少なくなります。
雨樋、配管、化粧胴差し、(中間胴差し・幕板)、付け柱の養生を行う前には、テープが付きやすくなる様、まず清掃をしっかり行います。
なお、雨樋、配管、化粧胴差しを塗装する場合は、養生をする前に足付けやケレンを行っておくと、後の作業がスムーズになります。
次に雨樋や配管の養生は、幅350mm~500mm程度の養生ビニールで包み込んで養生するか、1,100mm、1,800㎜マスカーなどで連続して貼り重ねて養生します。
また、雨樋、配管の養生で布テープを使用する際には、テープの粘着体が樋や配管に残らない様、直射日光が当たりづらい樋や配管の裏側にテープを貼るなど、注意する必要があります。
化粧胴差し養生は、化粧胴差しの下側から550mm幅や300㎜幅のマスカーを貼り込みます。下側の養生を貼り込んだ後から、上側の養生をすると養生自体が剥がれにくくなります。
パラペットやベランダ笠木の養生も同様の方法で養生します。
なお、外壁などの塗装工事が終了し、汚染した樋、配管、胴差しの養生ビニールを捲る際には、カッターで養生材と塗装面の取り合いに少し切り込みを入れて、ゆっくり巻き取る様に捲ると、マスカーやビニールに付いた塗料カスが周囲に散らばることが少なくなります。
建物に付帯するベントキャップ、換気フード、エアコン配管カバー、物干し金物、電灯、ガスメーター、電気メーター、電気ボックス、給湯器などをマスカーやビニールを使って養生します。
取り外せるものについては、予め取り外します。
また、ベントキャップ、換気口などは、工事中も使用できる様、養生ビニールに通穴を開けて気口部分を確保します。
なお、ガス給湯器の養生については、給湯器の排気口部分がビニールで覆われてしまうと、ガスの不完全燃焼の原因になるので、ビニールで覆わない様に丁寧な養生をします。
塗装する直前には、再度周囲の確認を行って、植栽、自動車、自転車、バイクなどの養生を不織布、ビニールなどのシートを覆います。
また、植栽物を養生する場合には、植栽物を枯らさない様、天候や落葉樹、常緑樹、紅葉樹、針葉樹などと言った各種植栽物の特性を把握しながら、植物を痛めたり、枯らしたりしない様、慎重に不織布などで養生する必要があります。
また、足場の飛散防止ネットだけでは、塗料やホコリの飛散が防げない可能性がある場合には、ブルーシートを足場の内側に貼り付けて、念入りな2重の養生を行ってから、塗装作業に取り掛かる様にします。
6. 塗装工事 養生作業の費用について
一般住宅の塗装工事における養生費用について、大体は外壁塗装の面積で見積もることができます。
ですから、外壁塗装面積に応じて大体の金額を把握することができます。
但し、建物の形状や作業環境によっては、この価格範囲に収まらない場合もあります。
- ・外壁塗装面積 110~150㎡(一般的な2階建て住宅) 18,000円~30,000円程度(材工共)
- ・外壁塗装面積 150~210㎡(大きめの2階建て住宅) 27,000円~39,000円程度(材工共)
- ・外壁塗装面積 210~260㎡(3階建て住宅や大型2階建て住宅) 36,000円~48,000円程度(材工共)
※ 上記の養生作業は、「マスキングテープを貼り込んだ、緻密で丁寧な養生作業の施工価格」です。
7. 養生がいい加減な業者は、塗装工事の仕上がりにも注意が必要!
これまでお伝えした様に塗装工事の養生作業は、資材費用や手間がとても掛かる作業と言えます。
実際、塗装工事よりも養生作業の方が手間が掛かってしまうこともたびたびあります。
最近では、インターネットの一括見積サイトや相見積による工事金額の過当競争などによって、会社の利益を確保する為、本来養生すべき部分を養生せずにそのまま塗装してしまう、雑な作業をする業者も多くいます。
その結果、塗装後には塗料が所々に飛散していることも度々見かけます。
また、マスキングテープの貼り方がいい加減で、テープがしっかりまっすぐ貼られていないと、塗装部分しない部分との境目がきれいな直線にならないため、塗装の仕上がりや見栄えが汚くなってしまいます。
さらに近隣に対して適切な養生が行われてないと、塗料が近隣の建物や車に飛散した場合、近隣トラブルに発展してしまう恐れもあります。
なお非常識な業者の場合、近隣トラブルが発生した際、電話しても取り合ってもらえないケースもある為、注意が必要です。
ですから、塗装工事ご検討のお客様は、塗装工事の費用や塗料のグレードだけでなく、「養生についても、きちんと作業してくれるのか?」、「もし塗料の飛散があった場合、どう対応をしてもらえるか?」などを事前にしっかり確認し、信頼できる塗装業者を選びましょう。
塗装の事なら丁寧な養生作業の小林塗装にお任せください。
小林塗装は、名古屋市にある塗装店です。
当店は、2,003年の創業以来、名古屋で丁寧な養生作業とワンランク上の塗装技術で外壁塗装を行っています。
外壁塗装のお見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。
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コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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