外壁塗装の膨れ原因一覧|水分・熱・下地・施工不良を見分ける対応策
外壁を何気なく眺めていたとき、塗装面に小さな水ぶくれのようなものができていた。指で軽く押すと、塗膜がぷくりと動く。あるいは、数年前に補修したはずの場所が、また同じように膨れてきた。
このような症状を見つけると、「塗装工事が失敗だったのでは」「このまま外壁が剥がれてしまうのでは」と、不安になる方も多いと思います。
外壁塗装の膨れとは、塗膜の内部や塗膜と外壁材の間に、水分、水蒸気、溶剤、空気、さびなどが存在し、その圧力によって塗膜が押し上げられた状態です。
見た目はどれも似ていますが、発生原因は一つではありません。
雨漏りによって外壁内部へ水が入っている場合もあれば、高圧洗浄後の乾燥不足、塗装直後の雨や結露、下地に残ったチョーキング、油分、塩分、洗浄薬剤などが原因になる場合もあります。
さらに、窯業系サイディングやALCなど、熱をため込みやすい外壁の上に柔らかな弾性塗膜が残っていると、夏の日射によって内部の水分が水蒸気となり、古い塗膜を風船のように押し上げることがあります。
塗膜の膨れを見つけたときに、最も避けたいのが、原因を調べずに上から塗り重ねることです。
膨れを削ってパテを付け、同じ塗料を塗れば、一時的にはきれいに見えるかもしれません。しかし、水の入口や弱い旧塗膜が残っていれば、しばらくして再び同じ場所が膨れてきます。
これは、雨漏りしている天井へ新しい壁紙を貼るようなものです。表面は整っても、天井裏では水が静かに回り続けています。
外壁塗装の膨れを直すために必要なのは、膨れた塗膜を隠すことではなく、塗膜を押し上げている原因を止めることです。
そのためには、膨れが発生した方角、場所、時期、大きさ、内部の状態、どの塗膜層から剥がれているかを確認しなければなりません。
膨れの中に水が入っているのか。空洞なのか。茶色いさびがあるのか。下地から剥がれているのか。それとも、古い塗膜と新しい塗膜の間で剥がれているのか。
この違いによって、必要な補修方法は大きく変わります。
このコラムでは、外壁塗装の膨れについて、考えられる原因を一覧で整理し、膨れ方から原因を見分けるポイント、外壁材別の注意点、調査方法、原因別の対応策まで詳しく解説します。
工事直後の膨れだけでなく、数年後に発生した膨れ、何度補修しても繰り返す膨れ、弾性塗料やサイディングに関係する膨れについても、現場経験を踏まえて深掘りしていきます。
外壁塗装の膨れに気付いたとき、慌てて塗り直す前に、住まいの中で何が起きているのかを正しく理解するための資料としてお役立てください。
- ■ 外壁塗装の膨れとは、どのような状態なのか
- ■ 外壁塗装の膨れと剥がれ・浮き・白華の違い
- ■ 水分、熱、下地、塗料、施工に関する膨れ原因一覧
- ■ 同じ場所で膨れを繰り返す理由
- ■ 塗装直後と数年後に発生する膨れの違い
- ■ 膨れの大きさ・場所・方角から原因を考える方法
- ■ モルタル、ALC、サイディング、金属外壁の注意点
- ■ 弾性塗料が膨れやすくなる仕組み
- ■ 部分補修で直る場合と全面改修が必要な場合
- ■ 外壁塗装の膨れを再発させない施工管理
1. 外壁塗装の膨れ原因と対応策に関する結論
最初に結論をお伝えすると、外壁塗装の膨れは、塗膜の下に存在する水分、空気、溶剤、さびなどが塗膜を押し上げる現象です。
代表的な原因は、次の五つに整理できます。
- ■ 雨漏り・結露・高含水など、水分に関する原因
- ■ 日射・蓄熱・水蒸気圧など、熱に関する原因
- ■ チョーキング・汚れ・塩分など、下地に関する原因
- ■ 下塗り材・旧塗膜・塗料相性に関する原因
- ■ 乾燥時間・配合・塗布量など、施工に関する原因
外壁塗装の膨れは、一つの原因だけで発生するとは限りません。
例えば、窯業系サイディングの南西面に旧弾性塗膜が残り、目地から雨水が入り、夏の日射で外壁温度が上昇した場合を考えてみましょう。
このケースでは、雨水、旧塗膜、蓄熱、日射という複数の条件が重なって膨れが発生します。
膨れた部分だけを削り、同じ塗料を塗り直しても、水の入口や旧弾性塗膜が残っていれば再発します。
膨れ補修の基本は、膨れを直すのではなく、膨れを発生させている仕組みを直すことです。
調査では、膨れの内部を見ることが重要です。
- ■ 内部に水があるか
- ■ 内部が空洞か
- ■ さびや白い結晶があるか
- ■ どの塗膜層から剥がれているか
- ■ 下地まで湿っているか
この断面の情報と、発生場所、方角、天候、施工時期、既存塗膜、外壁材を照らし合わせて原因を絞り込みます。
外壁塗装の膨れは、塗装工事の施工不良で発生する場合もあります。
一方で、塗装前には確認できなかった壁内結露、窓まわりの漏水、笠木内部の不具合など、建物側に原因が隠れている場合もあります。
したがって、膨れを見つけた時点で、施工会社を責めることも、反対に「建物が古いから仕方がない」と済ませることも適切ではありません。
まずは現物を調査し、原因と責任範囲を事実に沿って整理することが、最も誠実で確実な対応です。
2. 外壁塗装の膨れとは?剥がれ・浮き・白華との違い
外壁塗装の膨れは、塗膜が下地から持ち上がり、内部に空間ができている状態です。
水ぶくれのように丸く膨らむものもあれば、広い範囲が波打つように持ち上がるものもあります。
塗膜内部または塗膜と下地の界面に、水分、水蒸気、溶剤、空気、さびなどが存在し、その圧力で塗膜が持ち上がった状態です。
指で押すと柔らかく動くものや、乾燥して硬くなっているものがあります。
塗膜の付着力が失われ、外壁材や下の塗膜から離れた状態です。
膨れが破れ、その周囲から剥がれへ進行することもあります。
反対に、膨れて見えなくても、塗膜の裏側で広い範囲が剥離している場合があります。
塗膜ではなく、モルタルや補修材そのものが下地から離れている状態です。
表面の塗膜が健全でも、打診すると軽い空洞音がする場合があります。
モルタルの浮きは、塗料を塗っても直りません。樹脂注入、アンカーピンニング、部分撤去など、下地そのものの補修が必要です。
コンクリート、モルタル、基礎、ブロックなどに含まれる可溶性成分が、水分とともに表面へ移動し、乾燥後に白い結晶として残る現象です。
白華が塗膜の下で発生すると、結晶の成長や水分の圧力により、塗膜を押し上げることがあります。
塗装直後の塗膜表面に、小さな穴や泡が生じることがあります。
ピンホールは、塗膜が完全に下地から剥がれている膨れとは異なります。ただし、下地から出た空気、厚塗り、ローラーの泡などが原因であり、条件によっては膨れへつながることがあります。
| 症状 | 主に動いている部分 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 塗膜の膨れ | 塗膜または塗膜界面 | 原因調査・不良塗膜除去・原因別補修 |
| 塗膜の剥がれ | 塗膜 | 付着不良層の除去・下地調整・再塗装 |
| モルタルの浮き | モルタル・補修材 | 樹脂注入・アンカー・撤去補修 |
| 白華 | 下地中の水分と可溶性成分 | 水分経路の改善・除去・乾燥 |
| ピンホール | 塗膜表面 | 発生原因を確認して補修塗装 |
外壁がぷくぷくしているからといって、すべてを塗膜膨れとして処理すると、補修方法を誤る可能性があります。
塗膜だけが動いているのか、外壁材そのものが浮いているのかを、最初に切り分けることが重要です。
3. 外壁塗装の膨れ原因一覧
外壁塗装の膨れには、さまざまな原因があります。
次の表は、住宅や建築物の外壁塗装で考えられる主な原因を一覧にしたものです。
| 原因 | 膨れが起こる仕組み | 主な対応策 |
|---|---|---|
| 雨漏り | 壁内へ入った水分が塗膜を内側から押す | 漏水箇所の特定・防水補修・乾燥 |
| シーリングの破断 | 目地や窓まわりから雨水が浸入する | シーリング撤去・打ち替え・取り合い補修 |
| 笠木・屋根・配管からの浸水 | 上部から回った水が外壁内部へたまる | 水の入口を特定して補修 |
| 高圧洗浄後の乾燥不足 | 下地に残った水分を塗膜で閉じ込める | 十分な乾燥・含水状態の確認 |
| 雨・結露・夜露 | 未硬化塗膜に水分が入り込む | 天候管理・乾燥時間の確保 |
| 高湿度・低温・通風不足 | 塗膜の乾燥と硬化が遅れる | 施工環境の改善・施工延期 |
| 塗り重ね乾燥不足 | 下層の水分や溶剤が抜けなくなる | 規定の塗装間隔を守る |
| 一度の厚塗り | 表面だけ乾き、内部の溶剤や水分が気化する | 規定量を複数工程に分ける |
| 下地処理不足 | チョーキングや汚れの上に塗膜が乗る | 高圧洗浄・研磨・脆弱層除去 |
| 油・ワックス・塩分 | 塗膜と下地の密着を妨げる | 脱脂・水洗・塩分除去 |
| 洗浄薬剤の残留 | 薬剤やアルカリ成分が塗膜を不安定にする | 十分なすすぎ・必要に応じてpH確認 |
| 下塗り材の選定不良 | 外壁材や既存塗膜に密着しない | 素材・表面処理に合う下塗りへ変更 |
| 旧塗膜の付着不良 | 新しい塗膜が古い塗膜ごと持ち上がる | 弱い旧塗膜を健全部まで除去 |
| 旧弾性塗膜の熱軟化 | 熱で柔らかくなった旧塗膜を水蒸気が押す | 旧塗膜除去・透湿性を考慮した仕様 |
| 塗料の相性不良 | 溶剤反応や付着不良が起こる | 試し塗り・メーカー仕様確認 |
| 2液塗料の配合不良 | 正常に硬化せず、密着力が不足する | 不良塗膜除去・正規配合で再塗装 |
| コンクリートの高含水・高アルカリ | 水分、アルカリ、白華が塗膜を押し上げる | 乾燥・下地処理・適合する下塗り |
| さび | 金属の腐食生成物が膨張する | さび除去・防錆処理・再塗装 |
このように、外壁塗装の膨れは、塗料だけの問題ではありません。
建物の防水、外壁材の性質、施工時の天候、既存塗膜、職人の作業方法が複雑に関係しています。
次の項目から、それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
4. 雨漏り・外壁内部への水分浸入による塗膜の膨れ
外壁塗装の膨れが、補修しても同じ位置に繰り返し発生する場合、最初に疑いたいのが漏水です。
塗膜は外側からの雨を防ぐ役割がありますが、外壁内部へ入った水分を消すことはできません。
壁の中へ入った水分は、日射や室内暖房で温められると水蒸気になります。
水蒸気は外へ抜けようとしますが、表面に緻密な塗膜があると出口を失い、塗膜を内側から押し上げます。
- ■ サイディングのシーリング目地
- ■ 窓サッシまわり
- ■ ベランダ笠木と外壁の取り合い
- ■ 屋根と外壁の取り合い
- ■ 換気フード・配管・電気ボックスまわり
- ■ 幕板・化粧板の上端
- ■ 外壁のひび割れ
- ■ ベランダ防水層や排水口
- ■ 雨樋の詰まり・オーバーフロー
膨れが発生した場所の真上に、水の入口があるとは限りません。
笠木や窓上から入った雨水が、壁内を横方向や下方向へ移動し、離れた場所の塗膜を膨らませることがあります。
- ■ 同じ場所で何度も再発する
- ■ 大雨や台風のあとに大きくなる
- ■ 窓・笠木・ベランダ周辺に集中する
- ■ 膨れ内部や下地が湿っている
- ■ 室内側にシミやカビがある
- ■ 塗膜を剥がすと白華や下地劣化が見られる
ただし、室内に雨染みがないから漏水していないとは限りません。
外壁内部へ入った水が、室内側へ到達せず、通気層や外壁材の中だけで移動している場合もあります。
漏水が疑われる場合は、膨れた塗膜を補修する前に、水の入口を特定します。
目視調査のほか、含水率測定、散水調査、赤外線カメラ、壁内調査などを組み合わせる場合があります。
赤外線カメラは温度差を確認する補助的な道具であり、映った色だけで漏水箇所を断定できるものではありません。
原因箇所を補修したあとは、外壁内部を十分に乾燥させます。
乾燥を待たずに塗装すると、残った水分を再び閉じ込めることになるため注意が必要です。
漏水補修、乾燥、不良塗膜の除去、下地補修、再塗装。この順序を守ることが再発防止の基本です。
5. 高圧洗浄後の乾燥不足・濡れた下地による外壁塗装の膨れ
外壁塗装では、高圧洗浄によってチョーキング、カビ、藻、ホコリなどを除去します。
高圧洗浄は必要な工程ですが、外壁へ多量の水をかけるため、洗浄後の乾燥が不十分だと膨れの原因になります。
外壁表面が白く乾いて見えていても、モルタル、ALC、ひび割れ、サイディングの切断面、補修材などに水分が残っている場合があります。
特に、北面、日陰、風通しの悪い場所、凹凸の深い外壁、吸水性の高い下地は乾燥に時間がかかります。
シーリングの破断、外壁のひび割れ、サイディングの欠けなどがある状態で高圧洗浄すると、水が外壁内部へ入り込むことがあります。
洗浄前に劣化部を確認し、水が入りやすい場所では水圧、ノズルの距離、噴射方向を調整しなければなりません。
洗浄後の乾燥時間は、季節、天候、外壁材、日当たり、劣化状態によって変わります。
「高圧洗浄の翌日は下塗り」と機械的に工程を組むのではなく、実際の外壁状態を見て判断することが大切です。
雨が続いたあと、冬場、北面、ALCやモルタルなどでは、通常より長い乾燥期間が必要になることがあります。
- ■ 洗浄前にひび割れ・目地・欠損を確認する
- ■ 下地に応じて水圧と洗浄方向を調整する
- ■ 洗浄後は十分な乾燥期間を設ける
- ■ 必要に応じて含水状態を測定する
- ■ 日陰や北面を重点的に確認する
- ■ 雨が降った場合は工程を見直す
含水率の許容値は、外壁材、測定器、塗料製品によって異なります。
メーカー資料に記載された測定方法と数値を確認し、異なる測定器の数値を単純に比較しないことも重要です。
乾燥時間は、何も作業していない時間ではありません。長持ちする塗膜をつくるための、大切な施工工程です。
6. 雨・夜露・結露・高湿度による外壁塗装の膨れ
塗装後、塗膜が十分に乾燥・硬化する前に雨、夜露、結露の影響を受けると、膨れ、白化、艶引け、シミ、剥離などが発生することがあります。
日中は晴れていても、夕方から急に気温が下がると、外壁表面に結露が生じることがあります。
秋から冬、春先、河川や水田に近い地域、山間部、風通しの悪い北面などは、夜露が早く降りやすい環境です。
午後遅くまで塗装を続けると、乾燥途中の塗膜が夜露の影響を受ける可能性があります。
外壁表面に目で見えないほど薄い水分がある状態で塗装すると、塗膜と下地の間に水分を挟み込みます。
その水分が日射で温められると水蒸気となり、膨れや付着不良につながります。
多くの建築用塗料では、気温5℃以下、湿度85%以上などを施工回避の目安としています。
ただし、実際の施工条件は製品ごとに異なり、気温と湿度だけでなく、外壁表面温度、結露の有無、塗装後の天候まで確認しなければなりません。
気温が基準を満たしていても、外壁表面が冷えて結露していれば塗装できません。
- ■ 施工日の気温・湿度・降水確率を確認する
- ■ 外壁表面の濡れと結露を確認する
- ■ 夕方の気温低下と夜露を予測する
- ■ 乾燥時間を確保できない時刻には塗り始めない
- ■ 低温・高湿度・無風時は工程を延期する
- ■ 雨に当たった未硬化塗膜は状態確認後に補修する
天候を理由に工程を延期すると、お客様に申し訳ないと感じる職人もいます。
しかし、予定どおり進めることより、適切な条件で仕上げることのほうが大切です。
天気待ちは、さぼっている時間ではなく、塗膜を守るための職人判断です。
7. 塗り重ね乾燥不足・厚塗りによる外壁塗装の膨れ
塗膜の膨れは、塗料内部に残った水分や溶剤が気化することでも発生します。
中塗りが十分に乾燥する前に上塗りを重ねると、下の塗膜に含まれる水分や溶剤が抜けにくくなります。
その後、日射で塗膜温度が上がると、内部に残った成分が気化し、上の塗膜を押し上げることがあります。
塗料は厚く塗るほど長持ちするわけではありません。
一度に厚く塗ると、表面だけが先に乾き、内部が乾ききらない状態になることがあります。
パンやケーキを高温で急に焼き、外側だけ固まって中に水分が残る状態に少し似ています。
内部の水分や溶剤が抜けようとしても、表面の塗膜がふたとなり、膨れ、しわ、たれ、割れなどが生じます。
吸い込みが大きいモルタル、スタッコ、劣化した下地などでは、塗料を多く付けるため乾燥が遅くなることがあります。
カタログに記載された標準時間だけで判断せず、塗布量、温度、湿度、下地状態に応じて塗り重ね時間を長く取ります。
主剤と硬化剤を混ぜる2液形塗料は、定められた配合比を守る必要があります。
硬化剤の入れ忘れ、配合比の間違い、撹拌不足、使用可能時間を過ぎた塗料の使用などがあると、正常に硬化せず、付着不良や膨れにつながる場合があります。
- ■ 製品ごとの塗り重ね乾燥時間を守る
- ■ 低温・高湿度・厚膜時は乾燥時間を長く取る
- ■ 1回で2回分の塗料を付けない
- ■ 標準所要量と塗装回数を守る
- ■ 2液形塗料は重量比・容量比を確認する
- ■ 電動撹拌機などで均一に混合する
- ■ 使用可能時間を過ぎた材料は使わない
乾燥時間の短縮は、工期の短縮には見えても、品質面では借金のようなものです。
完成後に膨れや剥離となって返ってくる可能性があるため、目の前の速さより塗膜の安定を優先します。
8. 下地処理不足・汚れ・塩分・薬剤残りによる塗膜の膨れ
塗膜は、外壁材へ直接密着しているように見えても、実際には表面に残ったものへ付着しています。
下地にチョーキング、ホコリ、油分、塩分などが残っていれば、新しい塗膜は外壁ではなく、それらの異物の上に乗っているだけです。
劣化した塗膜を手で触ると、白や外壁色の粉が付くことがあります。
この粉を十分に除去しないまま塗装すると、新しい塗膜は粉の層へ接着することになります。
水分や熱が加わったとき、弱い粉の層から塗膜が浮き、膨れや剥離につながります。
換気扇まわり、厨房排気、機械油、ワックス、クリーナー、シリコーン系材料などは、塗膜の密着を妨げます。
高圧洗浄だけでは落ちにくい場合があり、洗剤、脱脂剤、研磨など、汚れに合った処理が必要です。
海沿いの建物、台風後の外壁、融雪剤や塩分の影響を受ける場所では、下地に塩分が残ることがあります。
塗膜の下に水分を引き寄せる塩分などが残っていると、水分が塗膜内部へ移動し、局部的な圧力を生じさせる場合があります。
これを浸透圧による膨れとして説明することがあります。
カビや藻を除去する薬剤、タイル洗浄剤、酸性・アルカリ性の洗浄剤を使用した場合、十分な水洗いが必要です。
薬剤成分が残ったまま塗装すると、膨れ、白化、変色、付着不良などを起こす場合があります。
使用した薬剤によっては、すすぎ後にpH試験紙などで中性付近まで戻っているか確認します。
- ■ チョーキングと脆弱な旧塗膜を十分に除去する
- ■ 油分は洗浄・脱脂・研磨で除去する
- ■ 海沿いでは塩分の付着を意識して水洗する
- ■ 薬剤洗浄後は十分にすすぐ
- ■ 洗浄後は乾燥状態を確認する
- ■ 試し塗りと付着確認を行う
外壁塗装の品質は、上塗りの美しさだけで決まるものではありません。
塗る前に、何をどこまで取り除いたか。そこに、仕上がりからは見えない職人仕事があります。
9. 下塗り材の選定不良・塗料相性による外壁塗装の膨れ
外壁材や既存塗膜に合わない下塗り材を使用すると、新しい塗膜が十分に密着せず、膨れや剥離が生じることがあります。
窯業系サイディングの中には、光触媒、無機系、フッ素系など、高耐久な表面処理が施された製品があります。
表面が緻密で汚れが付きにくい一方、塗料も付きにくいため、通常の下塗り材では十分な付着力を得られない場合があります。
表面処理の種類を確認し、難付着面対応プライマーやメーカー指定の下塗り材を選びます。
劣化したモルタル、ALC、サイディング切断面などは、塗料を強く吸い込みます。
吸い込みを十分に止めないまま上塗りすると、塗膜の樹脂分が下地へ引き込まれ、付着力や塗膜性能が不安定になることがあります。
新しい下塗り材が旧塗膜へ強く密着しても、その旧塗膜自体が外壁から剥がれかけていれば、旧塗膜ごと持ち上がります。
下塗り材は、弱い旧塗膜を外壁へ永久に貼り戻す接着剤ではありません。
溶剤に弱い旧塗膜へ強溶剤形塗料を塗ると、旧塗膜が溶けたり、縮んだり、持ち上がったりすることがあります。
この現象は、しわ、縮み、リフティングとして現れることが多いものの、部分的に膨れたように見える場合もあります。
塗料には、次の工程を重ねられる最短時間だけでなく、最長の塗り重ね可能時間が定められている場合があります。
長期間放置して塗膜表面が硬化・劣化した場合は、目荒らしなどの処理を行わなければ、塗膜層間で付着不良を起こすことがあります。
- ■ 外壁材と表面処理を確認する
- ■ 既存塗膜の種類と付着状態を調べる
- ■ ラッカーシンナー拭きなどで反応を確認する
- ■ 小範囲で試し塗りを行う
- ■ メーカーの標準塗装仕様に従う
- ■ 弱い旧塗膜は健全部まで除去する
下塗り材は、上塗りより目立たない存在です。
しかし、外壁と新しい塗膜をつなぐ橋のような役割を持ち、選定を誤れば、その橋ごと持ち上がってしまいます。
10. 旧弾性塗膜と熱による外壁塗装の膨れ
窯業系サイディング、ALC、軽量モルタルなどで特に注意したいのが、旧弾性塗膜と熱による膨れです。
断熱性が高い外壁は、室内へ熱を伝えにくい反面、日射を受けた外壁表面に熱がたまりやすい場合があります。
夏の南面・西面では外壁温度が大きく上昇し、外壁内部にある水分が水蒸気になりやすくなります。
弾性リシン、弾性スタッコ、単層弾性塗材などの柔らかな塗膜は、高温になると軟化することがあります。
軟化した旧塗膜へ、新しい塗膜を重ねて水蒸気の出口を少なくすると、内側からの圧力で旧弾性塗膜が膨らみます。
新しい上塗り材が悪いのではなく、新しい塗膜の下で、古い弾性層が持ち上がっている場合もあります。
朝や涼しい時期には小さかった膨れが、真夏の午後に大きくなることがあります。
外壁温度が上がると内部の水蒸気圧が高まり、柔らかな塗膜が膨らみやすくなるためです。
気温が下がると目立ちにくくなる場合がありますが、塗膜の付着が回復したわけではありません。
- ■ 南面・西面に多く発生する
- ■ 夏場や晴天時に膨れが大きくなる
- ■ 広い面積が柔らかく波打つ
- ■ 膨れを切ると古い柔らかな塗膜から剥がれている
- ■ 窯業系サイディング・ALC・軽量モルタルに見られる
- ■ 塗り替え後に膨れが急に増えることがある
旧弾性塗膜が原因の場合は、膨れ部分だけでなく、周囲の付着状態も確認します。
広い範囲で旧塗膜の付着力が低下している場合は、全面的な旧塗膜除去が必要になることがあります。
ただし、弾性スタッコなどの厚い塗膜を完全に除去する工事は、騒音、粉じん、工期、費用が大きくなります。
試験施工を行い、除去できる範囲、残す塗膜の付着力、下塗り材、透湿性、上塗り材を慎重に設計します。
旧弾性塗膜が残る外壁では、上から何を塗るかより、下に何が残っているかのほうが重要です。
11. 外壁材別に見る塗膜膨れの原因と注意点
外壁塗装の膨れは、外壁材によって起こりやすい原因が異なります。
モルタルは吸水性があり、ひび割れから雨水が入りやすい外壁です。
既存が弾性リシン、弾性スタッコ、単層弾性塗材の場合は、旧塗膜内部の水分と熱による膨れにも注意します。
- ■ ひび割れからの水分浸入
- ■ モルタルの浮き
- ■ 白華・アルカリ
- ■ 旧弾性塗膜の熱軟化
- ■ 高圧洗浄後の乾燥不足
窯業系サイディングでは、シーリング目地、板の反り、欠け、釘頭、切断面からの吸水を確認します。
光触媒や無機系などの難付着表面へ不適切な下塗り材を使った場合、塗膜が広い範囲で浮くことがあります。
- ■ 目地・窓まわりからの漏水
- ■ 高断熱構造と日射による蓄熱
- ■ 旧弾性塗膜の膨れ
- ■ 難付着サイディングへの下塗り不適合
- ■ サイディング内部の凍害・層間剥離
ALCは吸水性があるため、表面塗膜と目地シーリングによる防水が重要です。
目地や取り合いから水が入っている状態で、透湿しにくい塗膜を形成すると、内部の湿気が抜けにくくなります。
- ■ 目地シーリングの劣化
- ■ パネル内部の含水
- ■ 旧弾性塗膜と熱
- ■ 厚膜仕上げによる水分の閉じ込め
- ■ パネル欠損・鉄筋腐食
新しいコンクリートや補修モルタルは、多くの水分を含み、アルカリ性を示します。
乾燥・養生が不十分なまま塗装すると、水分、白華、アルカリの影響で膨れや剥離が起こることがあります。
コンクリートの含水率やpHの基準は、塗料製品と測定器によって異なります。採用する塗装仕様書に従って確認します。
基礎、擁壁、ブロック塀などは、地面や裏側から継続的に水分が供給されることがあります。
表面だけを緻密な塗膜で塞ぐと、水蒸気や白華が塗膜を押し上げます。
一般外壁用塗料を安易に使用せず、透湿性を考慮した専用塗材や、裏側の排水改善を検討します。
| 外壁材 | 主な膨れ原因 | 重点確認箇所 |
|---|---|---|
| モルタル | ひび割れ・含水・旧弾性塗膜 | クラック・浮き・既存仕上げ |
| 窯業系サイディング | 目地漏水・蓄熱・難付着面 | 目地・反り・表面処理 |
| ALC | 目地漏水・高含水・旧弾性塗膜 | 目地・含水・パネル欠損 |
| コンクリート | 含水・アルカリ・白華 | 養生期間・pH・含水状態 |
| 基礎・擁壁 | 背面水・地中水・白華 | 排水・地際・裏側の水分 |
外壁材が違えば、水分の入り方と抜け方も違います。
すべての外壁を同じ下塗り材、同じ考え方で塗るのではなく、素材ごとに塗装仕様を組み立てる必要があります。
12. 金属外壁・鉄部のさびによる塗膜の膨れ
金属サイディング、鉄骨、雨戸、戸袋、庇などでは、塗膜下のさびが膨れを発生させることがあります。
鉄が水分と酸素の影響を受けて腐食すると、さびが発生します。
腐食生成物は元の鉄より体積が大きくなるため、塗膜を内側から押し上げます。
さびによる膨れは形が不規則で、塗膜を剥がすと茶色や黒色のさびが見られることがあります。
浮いたさびや旧塗膜を十分に除去せず、その上からさび止め塗料を塗っても、内部の腐食は止まりません。
さび止め塗料には防錆効果がありますが、厚いさびを固めて新品の鉄へ戻す材料ではありません。
海沿い、雨掛かり、結露しやすい鉄部では、さびの進行が速くなります。
ボルトまわり、溶接部、重なり部、端部などは水が残りやすく、局部的な膨れが発生しやすい場所です。
- ■ 膨れと浮いた旧塗膜を除去する
- ■ さびを可能な範囲まで研磨・除去する
- ■ 粉じん、油分、塩分を除去する
- ■ 素材に合う防錆プライマーを塗る
- ■ 端部・ボルト・溶接部を増し塗りする
- ■ 腐食が深い場合は部材交換を検討する
薄い鋼板が腐食して穴が開いている場合は、塗装だけで補修することはできません。
塗る工事と、交換する工事。その境界を正直に見極めることも、塗装店の大切な役割です。
13. 膨れの場所・大きさ・発生時期から原因を考える
膨れの見た目だけで原因を断定することはできませんが、発生場所や時期は大切な手掛かりになります。
| 膨れの状態 | 考えられる原因 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 南面・西面だけに多い | 蓄熱・旧弾性塗膜・内部水分 | 晴天時と涼しい時の変化 |
| 北面・日陰に多い | 乾燥不足・結露・高含水 | 日当たり・風通し・カビ |
| 窓・笠木の下に集中 | 取り合い部からの漏水 | シーリング・笠木・水切り |
| 地面に近い部分に多い | 地中水・跳ね水・毛細管吸水 | 基礎・擁壁・排水状態 |
| 小さな膨れが無数にある | 水分・塩分・薬剤・気泡 | 下地汚染・施工時の天候 |
| 大きく柔らかな膨れ | 水蒸気・旧弾性塗膜 | 外壁温度・塗膜の剥離層 |
| 茶色い膨れ | 金属のさび | 腐食範囲・塩分・水の滞留 |
| 塗装直後に発生 | 結露・水分・乾燥不足・厚塗り | 施工日・雨・塗装間隔 |
| 数年後に発生 | 漏水・経年付着低下・さび | 建物の変化・水の入口 |
| 補修箇所の周辺だけ発生 | 補修材の含水・段差・下塗り不足 | 使用補修材・養生期間 |
塗装後数日から数週間で膨れた場合は、施工時の水分、乾燥、下地処理、塗料相性などを重点的に調べます。
数年後に同じ場所から膨れた場合は、漏水、結露、さび、旧塗膜の付着力低下などを疑います。
晴れた暑い日に大きくなり、朝や雨天時に小さく見える膨れは、熱と水蒸気圧が関係している可能性があります。
雨のあとに大きくなる膨れは、水の供給経路を重点的に確認します。
表面に見えている膨れが一つでも、その周囲を軽く打診すると、広い範囲が浮いていることがあります。
反対に、局部的な付着不良であり、周囲の塗膜が健全な場合もあります。
膨れの数ではなく、どこまで付着力が低下しているかを調べることが、補修範囲を決める基準になります。
14. 外壁塗装の膨れを調査する方法
外壁塗装の膨れを正しく補修するためには、見た目だけでなく、塗膜の断面と建物の水分状態を確認します。
建物の立面ごとに、膨れの場所、大きさ、数、方角を記録します。
窓、目地、笠木、屋根、配管などとの位置関係が分かるよう、少し離れた位置からも写真を撮ります。
所有者または管理者の了承を得たうえで、代表的な膨れを切開します。
- ■ 内部に水があるか
- ■ 内部が空洞か
- ■ においがあるか
- ■ さびや白華があるか
- ■ 下地が湿っているか
- ■ 剥がれている層はどこか
外壁材と下塗りの間で剥がれているのか、旧塗膜と新しい下塗りの間なのか、中塗りと上塗りの間なのかによって、原因の方向性が変わります。
膨れていない部分でも、塗膜の付着力が低下していることがあります。
必要に応じてクロスカット試験、テープ試験、引張付着試験などを行い、周囲の健全性を確認します。
簡易試験と正式な付着試験では評価方法が異なるため、目的に合わせて使い分けます。
含水計を使用して、膨れ周辺、健全部、方角別の数値を比較します。
含水計は測定器の種類、外壁材、厚み、金属の影響などによって数値が変わります。
一つの数値だけで乾燥・湿潤を断定せず、相対的な分布や経時変化も確認します。
漏水が疑われる場合は、目地、窓、笠木、屋根などを確認し、必要に応じて散水調査を行います。
建物全体へ一度に水をかけるのではなく、範囲を区切り、時間を置きながら水の入口を絞り込みます。
過去の見積書、塗料缶、施工記録が残っていれば、商品名と塗装仕様を確認します。
資料がない場合は、塗膜の柔らかさ、溶剤反応、断面、模様などから既存塗膜を推定します。
塗膜断面、含水状態、付着力、漏水箇所、外壁温度、既存塗膜などを組み合わせて原因を判断します。
一つの測定値だけで結論を出さないことが重要です。
膨れ調査は犯人捜しではなく、再発条件を一つずつ消していく作業です。
15. 外壁塗装の膨れに対する原因別の補修方法
外壁塗装の膨れは、原因によって補修方法が異なります。
| 主な原因 | 必要な前処理 | 主な補修方法 |
|---|---|---|
| 雨漏り | 漏水箇所の特定・防水補修 | 乾燥後、不良塗膜除去・再塗装 |
| 高含水 | 乾燥・水分供給経路の改善 | 透湿性を考慮して再塗装 |
| 施工時の結露・雨 | 未硬化・不良塗膜の確認 | 不良層を除去して再塗装 |
| 乾燥不足・厚塗り | 硬化不良範囲の確認 | 不良塗膜除去・適正工程で再施工 |
| 下地汚染 | 洗浄・脱脂・研磨・塩分除去 | 適合下塗り後に再塗装 |
| 下塗り不適合 | 付着不良層の除去 | 専用プライマーへ変更 |
| 旧弾性塗膜 | 膨れ・弱い旧塗膜の除去 | 試験施工後、適合仕様で再塗装 |
| コンクリートの白華 | 水分経路改善・白華除去・乾燥 | アルカリ対応下塗り・透湿形仕上げ |
| さび | ケレン・清掃・腐食部確認 | 防錆プライマー・上塗り |
膨れた部分だけを丸く切り取ると、その周囲に残った付着不良塗膜から再び剥がれることがあります。
スクレーパー、皮スキ、電動工具などを使い、塗膜の付着が安定する範囲まで除去します。
厚い旧塗膜を除去すると、周囲との間に段差ができます。
外部用補修材、フィラー、主材などを使い、既存模様に合わせて段差を調整します。
水性内装パテなど、耐水性の低い材料を外部へ使用してはいけません。
漏水補修後や膨れを除去した直後は、外壁内部に水分が残っていることがあります。
表面だけを急いで乾かし、その日のうちに塗装するのではなく、原因と外壁材に応じた乾燥期間を設けます。
露出した下地、残った旧塗膜、補修材が混在する場合は、それぞれに密着する下塗り材が必要です。
一種類の下塗り材で対応できない場合は、素材ごとに塗り分けます。
旧弾性塗膜、難付着サイディング、原因が複雑な外壁では、いきなり全面施工を行わず、試験施工をおすすめします。
小範囲へ下地処理と塗装を行い、乾燥後の付着性、膨れ、旧塗膜との反応を確認します。
厚いスタッコ、吹付模様、多彩模様などでは、補修部と既存部の模様を完全に同じにすることが難しい場合があります。
補修範囲、予算、美観を考え、部分模様合わせ、面単位の塗り直し、全面改修から適切な方法を選びます。
膨れ補修は、色を合わせる作業だけでなく、塗膜の下に隠れている弱点を取り除く工事です。
16. 部分補修で直る膨れと全面改修が必要な膨れ
外壁塗装の膨れを見つけたからといって、必ず全面塗装をやり直す必要があるわけではありません。
一方、表面に見える部分だけを直しても、再発するケースがあります。
- ■ 膨れが局部的である
- ■ 原因箇所が明確で、すでに補修できている
- ■ 周囲の塗膜付着が健全である
- ■ 下地の含水状態が改善している
- ■ 使用塗料と塗装仕様が確認できる
- ■ 模様・色・艶の差を許容できる
- ■ 膨れが広範囲に発生している
- ■ 軽く触るだけで周囲の塗膜も剥がれる
- ■ 旧弾性塗膜の付着力が全体的に低下している
- ■ 施工仕様や使用塗料が分からない
- ■ 複数の方角・複数階で膨れが発生している
- ■ 部分補修を繰り返している
- ■ 外壁材自体に劣化・層間剥離がある
直径10cmの膨れが一つでも、その周囲数㎡の旧塗膜が付着不良になっている場合があります。
反対に、小さな膨れが数個あっても、施工時の局部的な水分や汚れが原因で、周囲は健全な場合もあります。
補修範囲は、膨れの見た目ではなく、付着試験と原因調査の結果で決めます。
全面的な旧塗膜除去は、品質面で有効な場合がありますが、どの建物でも簡単にできる工事ではありません。
研磨や剥離作業による騒音、粉じん、廃棄物、外壁材への傷、工期、費用などを考慮する必要があります。
既存塗膜をどこまで除去し、どこを残すか。試験施工を通じて、現実的で再発リスクの低い方法を探します。
「全部剥がせば安心」「部分補修なら安い」と単純に決めず、建物への負担と将来の耐久性を比較することが大切です。
17. 外壁塗装の膨れを再発させない施工管理
外壁塗装の膨れを防ぐためには、塗装作業だけでなく、事前調査から乾燥管理まで一つの流れとして考えます。
シーリング、窓、笠木、屋根、配管、ベランダなどを確認し、漏水があれば塗装前に補修します。
外壁を塗ってから雨漏り補修を行うと、新しい塗膜を傷つけたり、再補修が必要になったりする場合があります。
既存塗膜が硬質か弾性か、付着力があるか、溶剤で軟化するか、何層重なっているかを確認します。
特に、窯業系サイディング、ALC、軽量モルタルの旧弾性塗膜には注意します。
汚れを落とすだけでなく、チョーキング、塩分、洗浄薬剤を残さないことが重要です。
薬剤を使用した場合は、必要なすすぎ量と中和確認を行います。
工程表の日付ではなく、外壁の状態を見て下塗り日を決めます。
北面、日陰、補修部、ひび割れ周辺など、乾燥が遅い部分を重点的に確認します。
サイディング、モルタル、ALC、金属、木部など、素材ごとに下塗り材を使い分けます。
難付着面や旧弾性塗膜では、メーカーへ仕様を確認し、試験施工を行います。
塗料を薄く伸ばしすぎることも、一度に厚く塗りすぎることも避けます。
塗布量、希釈率、塗装回数、塗り重ね時間を施工仕様書に従って管理します。
雨、夜露、結露、低温、高湿度が予想される場合は、無理に施工を進めません。
工事予定を守るために品質を下げるのではなく、品質を守るために予定を調整します。
- ■ 高圧洗浄
- ■ 膨れ・脆弱塗膜の除去
- ■ 漏水・シーリング補修
- ■ 下地乾燥後の状態
- ■ 下塗り・中塗り・上塗り
- ■ 使用した塗料と缶数
- ■ 施工日・天候・乾燥時間
工事中は見えていた下地も、完成後は塗膜の下に隠れます。
記録を残すことは、お客様の安心だけでなく、将来不具合が起きた際の原因調査にも役立ちます。
18. 施主様が外壁塗装の膨れを見つけたときの対応
外壁に膨れを見つけた場合は、慌ててつぶしたり、ホームセンターの塗料で塗り隠したりせず、状態を記録してください。
膨れの接写だけでなく、建物のどの位置か分かる写真も撮ります。
定規やメジャーを添えると、大きさの変化を確認しやすくなります。
大雨、台風、猛暑、寒暖差など、発見前後の天候を記録します。
晴天時と雨天時で大きさが変わる場合は、それぞれ写真を残します。
塗装工事後で保証期間内の場合は、最初に施工会社へ連絡します。
施主様が先に膨れを切ったり、別の塗料を塗ったりすると、原因調査や保証判断が難しくなる場合があります。
- ■ 室内壁・天井のシミ
- ■ 窓まわりの湿り
- ■ カビ臭
- ■ クロスの浮き
- ■ 木部の変色・腐食
- ■ 大雨時だけ発生する水滴
室内に異常がなくても、外壁内部で水が動いている場合があります。外観の膨れ位置と合わせて施工会社へ伝えてください。
膨れを指で押したり、針で穴を開けたりしたくなるかもしれません。
けれども、膨れ内部の水、空気、さび、剥離層は、原因を探る大切な情報です。
(少し気になりますが、ニキビのように「とりあえずつぶす」は禁物です)
また、高所の膨れを確認するために、はしごや屋根へ上ることも危険です。
安全な位置から写真を撮り、専門業者へ調査を依頼してください。
19. まとめ|外壁塗装の膨れは原因を止めてから補修します

外壁塗装の膨れは、塗膜の内部や塗膜と下地の間に、水分、水蒸気、溶剤、空気、さびなどが存在し、塗膜を押し上げることで発生します。
代表的な原因には、雨漏り、外壁内部の水分、高圧洗浄後の乾燥不足、雨や結露、塗り重ね乾燥不足、一度の厚塗り、下地処理不足、塩分、薬剤残り、下塗り材の不適合、旧弾性塗膜、さびなどがあります。
塗装直後に発生した膨れでは、施工条件や乾燥、塗料の配合、下地処理を重点的に確認します。
数年後に同じ場所へ繰り返し発生する膨れでは、漏水、内部結露、旧塗膜、外壁材の含水、さびなどを疑います。
外壁塗装の膨れを直すために、最も重要なのは原因調査です。
- ■ 膨れの場所・方角・発生時期を記録する
- ■ 膨れ内部と剥離している塗膜層を確認する
- ■ 漏水・含水・結露の有無を調べる
- ■ 旧塗膜の種類と付着状態を確認する
- ■ 原因を取り除いてから不良塗膜を除去する
- ■ 素材と既存塗膜に合った塗装仕様を選ぶ
- ■ 適正な塗布量と乾燥時間を守る
膨れた部分だけを削り、上から塗り重ねる補修は、一時的に見た目を整えることはできます。
しかし、水の入口、下地水分、弱い旧塗膜などが残っていれば、また同じ場所が膨れる可能性があります。
外壁塗装の膨れ補修は、表面を平らにする仕事ではなく、塗膜の下で続いている原因を止める仕事です。
小林塗装では、外壁塗装の膨れを見つけた場合、すぐに塗料を決めるのではなく、膨れ方、外壁材、旧塗膜、方角、漏水、含水状態を確認します。
部分補修で十分な場合は、必要以上に工事範囲を広げません。一方、広い範囲の旧塗膜が弱っている場合は、部分補修を繰り返すリスクも正直にご説明します。
塗装工事は、きれいに仕上げることが大切です。
それと同じくらい、なぜ傷んだのかを考え、同じ不具合を繰り返さないことが大切だと考えています。
見た目の美しさと、塗膜の下まで安心できる施工。その両方を整えることが、小林塗装の目指す外壁塗装です。
20. 外壁塗装の膨れ原因と対応策に関するQ&A

A. 小さな膨れでも、早めに原因を確認することをおすすめします。
すぐに建物全体が危険になるとは限りませんが、塗膜の付着不良や外壁内部への水分浸入が隠れている場合があります。
膨れが破れると雨水が入りやすくなり、周囲の剥離や外壁材の劣化へ広がる可能性があります。
A. 施工に原因がある場合と、建物側に原因がある場合があります。
乾燥不足、下地処理不足、塗り重ね時間、塗料の配合、下塗り材の選定などは施工に関係します。
一方、雨漏り、内部結露、外壁材の含水、旧塗膜の劣化などが原因になることもあります。
膨れの断面と発生条件を調査せず、施工不良かどうかを断定することはできません。
A. 施工会社へ連絡する前に、施主様がつぶすことはおすすめしません。
膨れ内部の水分、空洞、さび、剥離位置は、原因を調べる重要な情報です。
また、保証期間中に別の補修を行うと、保証判断が難しくなる場合があります。
A. 上から塗るだけでは直らないことが多くあります。
漏水、下地水分、弱い旧塗膜、汚れなどの原因を残したまま塗り重ねると、再び膨れます。
原因を取り除き、不良塗膜を健全な範囲まで除去してから補修塗装を行います。
A. 膨れの根本原因が解消されていない可能性があります。
窓、笠木、目地などからの漏水、外壁内部の水分、旧弾性塗膜、下地の塩分などが残っていると、同じ場所で膨れを繰り返します。
A. あります。
日射で外壁温度が上がると、内部の水分が水蒸気になり、塗膜を押し上げることがあります。
特に、旧弾性塗膜がある窯業系サイディング、ALC、軽量モルタルの南面・西面では注意が必要です。
A. すべての窯業系サイディングが膨れやすいわけではありません。
旧塗膜が弾性塗料、内部に水分がある、高断熱構造で蓄熱しやすい、下塗り材が表面処理に適合していない、といった条件が重なると膨れやすくなります。
A. 透湿性は有効ですが、それだけで必ず防げるわけではありません。
漏水や結露によって供給される水蒸気量が塗膜の透湿能力を超えれば、透湿形塗料でも膨れる可能性があります。
水の入口を止め、下地を乾燥させたうえで、透湿性を考慮した塗装仕様を選びます。
A. 水分、結露、乾燥不足、厚塗り、下地汚染、硬化不良などが考えられます。
施工日、天候、気温、湿度、塗り重ね時間、使用塗料、塗布量、膨れが生じた塗膜層を確認します。
工事直後の膨れは施工条件が関係する可能性があるため、早めに施工会社へ連絡してください。
A. 膨れの原因と補修範囲によって大きく変わります。
局部的な塗膜除去と補修塗装で済む場合もあれば、シーリングや笠木の漏水補修、旧塗膜の全面除去、外壁材の張り替えが必要になる場合もあります。
膨れの直径や個数だけでは費用を算出できません。
現地調査で、原因、剥離している層、周囲の付着力を確認してから補修方法と費用をご説明します。
外壁塗装の膨れ・剥がれが気になる方へ
外壁に水ぶくれのような膨れがある、以前補修した場所がまた膨れてきた、夏になると膨れが目立つなど、気になる症状がございましたら小林塗装へご相談ください。
膨れた部分へすぐ塗料を塗るのではなく、外壁材、既存塗膜、方角、日当たり、漏水、シーリング、含水状態を確認します。
部分補修で直せる場合と、広い範囲の旧塗膜を除去したほうがよい場合を分け、メリット、デメリット、再発リスクまで分かりやすくご説明します。
原因を隠さず、住まいにとって無理のない補修方法をご提案いたします。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、一般住宅を中心に2,000件以上の施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、下地補修、板金工事、外壁の膨れ・剥離補修など、建物の状態に合わせた施工を行っています。
外壁塗装の膨れは、塗料の商品名だけでは原因を判断できません。
小林塗装では、膨れの場所、方角、既存塗膜、外壁材、含水状態、漏水の可能性を確認し、塗膜の下で何が起きているかを考えます。
塗装工事に原因がある可能性も、建物側に原因がある可能性も公平に検討し、分からないことを曖昧なまま断定しない姿勢を大切にしています。
見えなくなる下地処理、塗布量、乾燥時間、養生、細部の仕上げまで丁寧に積み重ね、お客様の想像を少し超える、品のある高品質な仕上がりを目指しています。
名古屋市周辺で外壁塗装や塗膜の膨れにお悩みの方へ、現場経験に基づいた誠実で分かりやすい情報をお届けします。
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