外壁塗装の微弾性・弾性・高弾性の違い|メリット・デメリットを解説
外壁塗装の説明を聞いていると、「この下塗りは微弾性です」「ひび割れに強い弾性塗料です」「さらに伸びる高弾性仕様です」といった言葉が出てくることがあります。
言葉だけを聞けば、微弾性より弾性、弾性より高弾性のほうが高性能で、どの外壁にも安心して使えそうに感じるかもしれません。
ところが、外壁塗装の現場では、弾性が高いほど良いとは限りません。
モルタル外壁の細かなひび割れには、柔らかく追従する塗膜が役立つことがあります。一方、夏に高温になりやすい窯業系サイディングや、内部に水分を抱えた外壁へ柔らかな弾性塗膜を重ねると、風船のような膨れが発生することもあります。
さらに、ひび割れへ強い塗料を塗ったからといって、建物の構造的なひび割れや、窓まわり、笠木、シーリング目地からの漏水まで解決できるわけではありません。
洋服に例えるなら、伸縮性の高いストレッチ生地は、身体の動きにはよくなじみます。しかし、どの場面にもスポーツウェアが最適というわけではありません。場所、目的、下に着るもの、気候に合わせて選ぶからこそ、その良さが生きてきます。
外壁塗装も同じです。
微弾性・弾性・高弾性は、性能の上下を競うものではなく、外壁の状態と目的に応じて使い分ける材料です。
また、「微弾性」「弾性」「高弾性」という言葉は、住宅塗装の説明で広く使われていますが、すべての製品を一つの共通数値で明確に三段階へ分類できるわけではありません。
微弾性フィラーと呼ばれる改修用下塗り材、単層弾性塗材、防水形複層塗材、JIS A 6021に該当する外壁用塗膜防水材など、材料の規格、塗膜構成、所要量、施工方法によって性能が異なります。
そこで、このコラムでは、微弾性・弾性・高弾性の基本的な違いをはじめ、それぞれのメリットとデメリット、モルタル、コンクリート、ALC、窯業系サイディングなどに適する仕様、避けたほうがよい場所を詳しく解説します。
「ひび割れがあるから弾性塗料で大丈夫」と簡単に決めるのではなく、ひび割れの原因、外壁内部の水分、既存塗膜、日当たり、将来の塗り替えまで考えることが大切です。
外壁塗装で後悔しないための、少し深く、けれど難しくなりすぎない材料選びの知識としてお役立てください。
- ■ 微弾性・弾性・高弾性の基本的な違い
- ■ 「弾性が高いほど良い」とは限らない理由
- ■ 微弾性フィラーのメリット・デメリット
- ■ 弾性塗料のメリット・デメリット
- ■ 高弾性塗料と外壁用塗膜防水材の特徴
- ■ 窯業系サイディングに弾性塗料を使う注意点
- ■ ひび割れ補修と弾性塗膜の役割の違い
- ■ 弾性塗膜の膨れ・汚れ・再塗装リスク
1. 外壁塗装の微弾性・弾性・高弾性の違いに関する結論
結論からお伝えすると、微弾性・弾性・高弾性は、次のような考え方で使い分けます。
- ■ 微弾性は、下地調整と微細なひび割れのカバーを重視する仕様
- ■ 弾性は、細かなひび割れへの追従性と防水性を高める仕様
- ■ 高弾性は、塗装というより外壁面へ防水膜を形成する本格的な仕様
ただし、この三つを「普通・上級・最高級」と考えるのは適切ではありません。
一般住宅の外壁塗装では、微弾性フィラーが最も扱いやすく、モルタル外壁や既存塗膜の改修に広く使われています。
弾性塗料は、ひび割れが生じやすいモルタルやコンクリート外壁に役立つ一方、下地内部の水分が抜けにくい場合や、熱を持ちやすいサイディングでは、膨れの原因になることがあります。
高弾性仕様は、鉄筋コンクリート造の建物や、外壁面へ高い防水性が必要な場合に有効です。しかし、一般的な戸建住宅へ必ず必要になるものではなく、施工量、工程、下地処理、既存塗膜との相性を慎重に設計しなければなりません。
外壁塗装の弾性仕様を選ぶときは、次の五つを確認します。
- ■ 外壁材は何か
- ■ ひび割れが動いているか
- ■ 外壁内部に水分が残っていないか
- ■ 既存塗膜は硬いか、柔らかいか
- ■ 防水性と透湿性のどちらを優先するか
この確認を行わず、「ひび割れがあるから高弾性」「高い材料だから安心」と決めると、住まいに合わない塗装仕様になることがあります。
外壁塗装で大切なのは、最も伸びる塗料を選ぶことではなく、その外壁に必要な柔軟性を見極めることです。
柔らかさも、使いどころを誤れば弱点になります。材料の長所と建物の条件がきれいに重なったとき、初めて弾性塗料の良さが生きてきます。
2. 外壁塗装における弾性とは
外壁塗装でいう弾性とは、塗膜が引っ張られたときに伸び、外壁の小さな動きへ追従しようとする性質です。
モルタルやコンクリートは、一見すると硬く動かない材料に見えます。しかし実際には、乾燥収縮、温度変化、地震、振動、建物の荷重などによって、ごくわずかに伸び縮みしています。
硬い塗膜だけで仕上げると、下地にひび割れが生じた際、塗膜も一緒に割れることがあります。
そこで、柔軟性を持つ樹脂や厚みのある主材を使い、下地の微細な動きへ追従させるのが弾性仕様です。
弾性塗料は、「ゴムのようにどこまでも伸びる塗料」と説明されることがあります。
確かに、アクリルゴム系の材料など、柔軟性に優れた塗膜はあります。しかし、建物の動きへ無制限に追従できるわけではありません。
塗膜には、伸びられる限界があります。
その限界を超える動きが加われば、塗膜は破断します。また、紫外線、熱、水分、経年によって樹脂が劣化すると、施工直後より柔軟性が低下することもあります。
弾性塗料のカタログには、伸び率やひび割れ追従性が紹介されている場合があります。
ただし、伸び率の数値だけを比べても、外壁塗装の優劣は判断できません。
- ■ 試験時の温度
- ■ 塗膜の厚み
- ■ 乾燥・養生期間
- ■ 主材だけの数値か、仕上げ層を含む数値か
- ■ 施工後の経年劣化を想定しているか
試験条件が違えば、数値を単純に横並びで比較することはできません。
弾性がある塗膜は、ひび割れへ追従して雨水の浸入を抑えやすくなります。
しかし、弾性があるからといって、すべての材料が同じ防水性能を持つわけではありません。
微弾性フィラーは、下地調整材として微細なひび割れを覆う役割が中心です。一方、JIS A 6021に該当する外壁用塗膜防水材は、所定の厚みを持つ防水層として設計されています。
「少し伸びる下塗り材」と「外壁用の防水膜」は、似た言葉で説明されることがあっても、役割も施工量も大きく異なります。
3. 微弾性・弾性・高弾性は単純な三段階ではありません
微弾性・弾性・高弾性という言葉は、住宅塗装の説明でよく使われます。
ただし、塗料業界全体で、伸び率が何%なら微弾性、何%なら弾性、何%以上なら高弾性というように、すべての製品へ共通する一つの基準があるわけではありません。
実際には、次のような規格名や製品分類が関係します。
| 一般的な呼び方 | 関係する規格・製品分類例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 微弾性 | 可とう形改修塗材E、微弾性フィラー、弾性サーフェーサーなど | 下地調整、吸い込み止め、微細なひび割れや巣穴のカバー |
| 弾性 | 防水形外装薄塗材E、単層弾性塗材、防水形複層塗材Eなど | ひび割れ追従性、防水性、模様形成 |
| 高弾性 | JIS A 6021の外壁用アクリルゴム系塗膜防水材など | 厚い防水層の形成、高いひび割れ追従性 |
同じ「弾性」という名称でも、下塗り材だけが柔らかい仕様、主材が柔らかい仕様、上塗りまで柔軟性を持つ仕様があります。
また、塗膜の厚みが違えば、同じ樹脂でもひび割れへ追従する能力は変わります。
薄く塗った高弾性材料より、規定量を守って厚く形成した弾性主材のほうが、実際の追従性に優れる場合もあるでしょう。
そのため、見積書に「弾性塗料」とだけ記載されていても、内容は十分に分かりません。
- ■ メーカー名
- ■ 正式な商品名
- ■ JIS規格または一般名称
- ■ 下塗り・主材・上塗りの組み合わせ
- ■ 1㎡当たりの標準所要量
- ■ 塗り回数と施工方法
ここまで確認して、初めて実際の塗装仕様が見えてきます。
(「高弾性だから最高級です」と名前だけで押し切る説明は、少々ストレッチが効きすぎています)
呼び名よりも、製品仕様と施工内容を見ること。これが、弾性塗料選びの基本です。
4. 外壁塗装の微弾性フィラー|特徴・メリット・デメリット
微弾性フィラーは、住宅の外壁塗装で広く使われている改修用下塗り材です。
「フィラー」には、外壁の細かな凹凸、巣穴、微細なひび割れなどを埋め、上塗りしやすい下地へ整える役割があります。
シーラーのような密着・吸い込み止め機能と、下地調整材としての充填性を合わせ持つ製品も多くあります。
- ■ 微細なひび割れを覆いやすい
- ■ ピンホールや巣穴を整えやすい
- ■ 旧塗膜の細かな凹凸を均一にしやすい
- ■ 上塗りの吸い込みむらを抑えやすい
- ■ ローラーの選定で平滑仕上げと模様仕上げを調整できる
- ■ 一般的なモルタル外壁改修へ採用しやすい
経年劣化したモルタル外壁では、表面に細かなひび割れ、巣穴、ざらつきが生じていることがあります。
この上へ上塗り塗料だけを塗っても、下地の不均一さを拾い、艶むらや透けが出ることがあります。
微弾性フィラーを適正量塗ることで、外壁の表情をなだらかに整え、上塗り塗膜を安定させやすくなります。
- ■ 大きなひび割れを補修する材料ではない
- ■ 動き続けるひび割れには追従しきれない
- ■ 下地内部に水分があると膨れることがある
- ■ 厚く塗りすぎると乾燥不良や模様むらが起こる
- ■ 外壁材によっては使用できない
- ■ 上塗り材との組み合わせ確認が必要
微弾性という名前から、「ひび割れを全部消してくれる材料」と思われがちですが、役割はあくまで微細なひび割れのカバーと下地調整です。
ひび割れの奥まで割れている場合、漏水している場合、幅が広がり続けている場合は、先にひび割れ自体を補修しなければなりません。
- ■ モルタル外壁
- ■ コンクリート外壁
- ■ 吹付リシン・吹付タイル・スタッコの改修
- ■ 微細なひび割れや巣穴がある外壁
- ■ 旧塗膜の模様を整えたい外壁
- ■ メーカーが適用を認めているALCやサイディング
サイディングやALCへの適用は、製品ごとに異なります。
「微弾性フィラーなら何にでも使える」と考えず、既存塗膜、外壁の含水状態、メーカーの適用下地を確認します。
- ■ 金属サイディングや鉄部
- ■ 木部
- ■ 磁器タイル面
- ■ 常時水に触れる場所
- ■ 漏水が続いている外壁
- ■ 浮きや剥離が残った旧塗膜
- ■ 構造的な動きがある大きなひび割れ
特に注意したいのが、基礎、擁壁、地面に近い外壁です。
地中や裏側から水分が入り続ける場所へ膜を形成すると、内部から押し出された水蒸気や白華によって、膨れや剥離が起こることがあります。
微弾性フィラーは、とても便利な下塗り材です。しかし、便利な材料ほど、使わない判断も大切になります。
5. 外壁塗装の弾性塗料|特徴・メリット・デメリット
弾性塗料は、一般的な硬質塗膜より柔軟性があり、外壁の微細な動きへ追従しやすい塗料または仕上塗材です。
住宅外壁では、単層弾性塗材、防水形外装薄塗材E、防水形複層塗材Eなどが、広い意味で弾性塗料と呼ばれることがあります。
単層弾性塗材は、一つの主材で模様、色、防水性、弾性を持たせる仕上げです。
砂骨ローラーや吹付機を使い、厚みのある凹凸模様に仕上げる工法がよく見られます。
工程をまとめやすい一方、規定量を守らず薄く施工すると、期待するひび割れ追従性や防水性を確保できません。
防水形複層塗材は、柔軟な主材層で防水性とひび割れ追従性を持たせ、その上へ専用の上塗り材を施工する複層仕上げです。
主材と上塗りの役割を分けることで、防水性、耐候性、低汚染性、色、艶を組み合わせやすくなります。
ただし、主材だけが柔らかく、上塗りが硬すぎれば、仕上げ層が先に割れる可能性があります。
メーカーが指定する弾性対応上塗り材を組み合わせることが重要です。
- ■ モルタルやコンクリートの微細なひび割れへ追従しやすい
- ■ 外壁表面からの雨水浸入を抑えやすい
- ■ 厚みのある意匠模様を形成できる
- ■ 既存の弾性仕上げを生かして改修できる製品がある
- ■ 専用上塗りとの組み合わせで耐候性を高められる
細かなひび割れが繰り返し生じやすいモルタル外壁では、硬い塗膜よりも弾性塗膜のほうが、表面の割れを抑えやすくなります。
外壁面の防水性を高めたい場合にも有効です。
- ■ 高温時に柔らかくなり、膨れやすい場合がある
- ■ 下地の水分を閉じ込めることがある
- ■ 柔らかな表面へ汚れが付着しやすい製品がある
- ■ 厚膜になるため乾燥時間が必要
- ■ 規定量を守らないと性能を発揮しにくい
- ■ 次回の塗り替えで材料選定が難しくなることがある
- ■ 窯業系サイディングや断熱性の高い下地には注意が必要
柔らかな塗膜は、外壁の動きへ追従しやすい反面、熱や水蒸気の圧力を受けると膨らみやすい性質もあります。
特に、既存の弾性塗膜を残したまま新しい塗膜を重ねると、外壁内部の湿気が逃げにくくなる場合があります。
- ■ ひび割れが生じやすいモルタル外壁
- ■ 鉄筋コンクリート造の外壁
- ■ 既存が弾性リシン・単層弾性・弾性タイルの外壁
- ■ 外壁面からの雨水浸入を抑えたい場所
- ■ メーカーの仕様で適用が認められた下地
- ■ 熱を持ちやすい窯業系サイディング
- ■ 漏水や結露で内部水分が多い外壁
- ■ 金属・木部・塩ビなど大きく性質が異なる素材
- ■ 屋根、床、ベランダなどの水平面
- ■ シーリング目地の動きを塗膜だけで処理しようとする場所
- ■ 旧塗膜の付着力が低下している外壁
弾性塗料は、弱い旧塗膜を強くする材料ではありません。
旧塗膜が下地から剥がれかけていれば、その上へ厚い弾性塗膜をつくることで、塗膜全体の重量と収縮応力が増し、旧塗膜ごと剥がれることがあります。
柔らかな塗料ほど、柔らかく受け止めてくれる健全な下地が必要です。
6. 外壁塗装の高弾性塗料|特徴・メリット・デメリット
高弾性塗料という名称は、一般的な弾性塗材よりも高い伸び性能を持つ材料に使われます。
代表的なのが、JIS A 6021の外壁用アクリルゴム系塗膜防水材です。
これは、一般的な外壁用上塗り塗料というより、外壁面へ連続した防水層を形成する材料です。
一般的な外壁塗装では、下塗り、中塗り、上塗りを行い、薄い保護塗膜を形成します。
高弾性の外壁用塗膜防水材では、下地処理、プライマー、下地挙動緩衝材、増し塗り、防水主材、模様材、仕上げ塗料など、複数工程で厚い防水層をつくることがあります。
施工量も一般的な上塗り塗料より大幅に多く、材料の固形分に応じて、所定の塗膜厚を確保する必要があります。
- ■ 高いひび割れ追従性を期待できる
- ■ 外壁面へ連続した防水層を形成できる
- ■ コンクリートへの水分・炭酸ガスの浸入を抑えやすい
- ■ 鉄筋コンクリート造の外壁防水改修に適する
- ■ 専用上塗りにより色・艶・耐候性を選べる
- ■ 下地挙動緩衝材と組み合わせた仕様がある
高弾性仕様の強みは、外壁全体を一枚の柔らかな防水膜で包むように仕上げられることです。
鉄筋コンクリート造の建物で、ひび割れからの漏水を抑えたい場合や、外壁面の防水性能を高めたい場合に有効です。
- ■ 材料費と施工費が高くなりやすい
- ■ 施工工程が多く、十分な乾燥時間が必要
- ■ 下地の水分や漏水によって膨れることがある
- ■ 厚み不足があると期待性能を発揮できない
- ■ 汚れやすさやべたつきが問題になる製品がある
- ■ 次回改修時の材料選定と下地処理が難しい
- ■ 戸建住宅では過剰仕様になることがある
高弾性材料は、製品名だけでは性能を判断できません。
塗膜防水材は、規定量を均一に施工して初めて防水層になります。材料を薄く伸ばし、形だけ工程を終えても、本来の性能は期待できません。
- ■ 鉄筋コンクリート造の外壁
- ■ コンクリート・モルタルの外壁防水改修
- ■ 外壁面からの漏水リスクが高い建物
- ■ 既存の高弾性塗膜を同等仕様で改修する場合
- ■ 設計仕様で外壁用塗膜防水材が指定されている建物
- ■ 一般的な窯業系サイディング住宅
- ■ 通気・透湿を優先すべき湿った外壁
- ■ 外壁裏側から水分が供給され続ける場所
- ■ 屋根、屋上、床、ベランダの水平面
- ■ 構造的なひび割れを補修せず塗装だけで覆う場合
- ■ 薄い意匠や繊細なサイディング模様を残したい外壁
高弾性塗料は優れた材料ですが、一般住宅へ無条件におすすめするものではありません。
例えるなら、普段使いの傘が必要な場面で、登山用の本格的な防水装備を着込むようなものです。悪いわけではありませんが、費用、蒸れ、使い勝手まで考える必要があります。
必要な建物には頼もしい高弾性。必要のない建物には、少々重たい高弾性です。
7. 外壁塗装の微弾性・弾性・高弾性の違いを比較
微弾性・弾性・高弾性の一般的な違いを比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 微弾性 | 弾性 | 高弾性 |
|---|---|---|---|
| 主な位置付け | 改修用下塗り・下地調整 | 弾性仕上塗材・防水形仕上塗材 | 外壁用塗膜防水 |
| 主な役割 | 巣穴・微細なひび割れのカバー | ひび割れ追従・防水・模様形成 | 厚い防水層の形成 |
| 塗膜の厚み | 比較的薄い~中程度 | 中程度~厚膜 | 厚膜 |
| ひび割れ追従性 | 小さい | 中程度 | 高い |
| 防水性 | 補助的 | 高めやすい | 高い |
| 透湿性 | 製品による | 製品・塗膜構成による | 防水性を優先する仕様が多い |
| 施工量 | 一般上塗りより多め | 仕上げ方法により多い | 非常に多い |
| 工事費 | 比較的抑えやすい | 中程度 | 高くなりやすい |
| 主な適用 | モルタル・コンクリート改修 | モルタル・コンクリート | RC・外壁防水改修 |
| 主な注意点 | 大きなひび割れは補修できない | 膨れ・汚れ・既存塗膜との相性 | 水分管理・所要量・再改修 |
この表は、あくまで一般的な整理です。
製品によっては、微弾性フィラー以上の追従性を持つ弾性フィラーや、透湿性を重視した弾性塗材、高耐候・低汚染形の高弾性上塗り材もあります。
反対に、名称に「弾性」と書かれていても、薄く施工すれば十分な性能を発揮できません。
材料の名称より、塗膜構成と標準所要量を見ることが大切です。
塗料缶のラベルより、その材料が外壁の上でどのような層になるのかを想像してみましょう。
8. モルタル・コンクリート外壁に適する微弾性・弾性・高弾性
モルタルとコンクリートは、弾性塗料の長所を生かしやすい外壁です。
ただし、ひび割れの状態と必要な防水性能によって、適する仕様が変わります。
表面に微細なひび割れや巣穴があるものの、漏水や大きな動きがない場合は、微弾性フィラーと耐候性の高い上塗り材を組み合わせる方法が適しています。
下地を整えながら、過度に厚い塗膜をつくらず、将来の塗り替えもしやすい仕様です。
過去に補修した場所へ再び細かなひび割れが生じている場合は、弾性主材や防水形複層塗材を検討します。
ただし、ひび割れが動いている原因を確認することが先です。
ラスモルタルの浮き、下地木材の動き、構造的な変形があれば、表面の塗膜だけでは解決できません。
鉄筋コンクリート造で、外壁面からの雨水浸入を抑えたい場合は、外壁用塗膜防水材による高弾性仕様が選択肢になります。
ひび割れ部へ下地挙動緩衝材を施工し、開口部まわりや打継ぎ部を増し塗りするなど、弱点になりやすい部分を補強します。
モルタル外壁を打診すると、下地から浮いていることがあります。
浮いたモルタルへ弾性塗料を厚く塗っても、モルタルと下地の接着が回復するわけではありません。
アンカーピンニング、樹脂注入、部分撤去・モルタル補修など、浮きの状態に応じた改修が必要です。
塗膜の柔らかさは表面の話。外壁そのものの健全性は、別に確認しなければなりません。
9. ALC外壁に弾性塗料を使う場合の注意点
ALCは、軽量気泡コンクリートパネルを使った外壁です。
断熱性があり、建物を軽量化できる一方、素材自体は吸水性があるため、表面仕上げと目地の防水性が重要です。
ALC外壁では、パネル同士の目地、窓まわり、取り合い部へシーリング材が施工されています。
外壁面へ高性能な弾性塗料を塗っても、目地が破断していれば、そこから雨水が浸入します。
塗装前には、シーリングの硬化、ひび割れ、剥離、欠損を確認します。
ALC内部に水分が残った状態で、透湿しにくい弾性塗膜を形成すると、日射で水分が水蒸気になり、塗膜を押し上げることがあります。
塗装前には、漏水原因の補修、十分な乾燥、既存塗膜の膨れ確認が必要です。
ALCへ適用できる高弾性外壁防水材もあります。
一方で、既存の弾性塗膜へさらに塗膜を重ねると、将来的に膨れやすくなるため、弾性塗料の使用を推奨しないメーカー見解もあります。
これは矛盾ではありません。
新築時または下地から設計した防水仕様と、既存塗膜や内部水分が不明な塗り替えでは、条件が違うからです。
- ■ 新築か塗り替えか
- ■ 既存塗膜は何か
- ■ 過去に膨れが発生していないか
- ■ 目地から漏水していないか
- ■ 外壁内部に水分が残っていないか
- ■ 採用するシステムに透湿性があるか
この確認を行い、メーカーの改修仕様に基づいて選定します。
ALCだから弾性、ALCだから非弾性と一律に決めず、水の入口と出口を考えることが重要です。
10. 窯業系サイディングに弾性塗料が適さない理由
一般住宅で特に注意したいのが、窯業系サイディングと弾性塗料の組み合わせです。
窯業系サイディングは、セメント質原料と繊維質原料などでつくられた板状の外壁材です。
断熱性があり、夏の日射を受ける南面・西面では、表面温度が高くなります。
弾性塗膜は、気温や外壁温度が上がると柔らかくなることがあります。
その状態で、サイディング内部や裏側の水分が水蒸気になり、表面へ抜けようとすると、柔らかな塗膜が押し上げられます。
これが、窯業系サイディングで見られる塗膜の膨れにつながります。
既存の弾性塗膜を残したまま、新しい下塗りと上塗りを重ねると、塗膜全体が厚くなります。
塗膜の層が増えるほど、水蒸気が抜けにくくなり、古い柔らかな塗膜が膨らむことがあります。
新しい塗料が悪いのではなく、その下にある旧塗膜が熱で軟化し、界面から持ち上がるケースもあります。
サイディング外壁は、板同士の動きを目地のシーリング材で吸収する構造です。
モルタル外壁のように、外壁全面を柔らかな塗膜で包めばよいという考え方とは少し異なります。
サイディングの反り、釘や金具の動き、目地の伸縮は、塗膜だけでは吸収できません。
微弾性フィラーは、弾性塗料ほど柔らかくないため、サイディングへ使用されることがあります。
ただし、すべてのサイディングに適するわけではありません。
光触媒、無機系コーティング、フッ素系コーティングなどが施された難付着サイディングでは、専用下塗り材が必要です。
また、既存塗膜の膨れや含水がある場合は、微弾性フィラーでも慎重な判断が必要です。
- ■ 既存表面処理の確認
- ■ シーリング目地の適切な補修
- ■ 反り・浮き・割れの補修
- ■ 専用下塗り材の選定
- ■ 透湿性を考慮した上塗り材
- ■ 塗布量と乾燥時間の遵守
サイディング外壁では、弾性の高さより、密着性、透湿性、耐候性、シーリングとの相性を重視するのが基本です。
サイディングのひび割れは、柔らかな塗料で隠すより、割れた原因と板の状態を確認することが先です。
11. 微弾性・弾性・高弾性塗料が適さない外壁と場所
弾性塗料は、外壁のひび割れ対策に役立つ材料ですが、素材や使用環境によっては適しません。
金属外壁には、金属の種類に合った防錆プライマーと上塗り塗料を使用します。
一般的な微弾性フィラーや弾性主材は、金属面へ適切に密着しない場合があります。
また、金属は温度変化による伸縮が大きく、錆を残したまま厚い塗膜で覆うと、内部で腐食が進みます。
木材は吸湿と乾燥を繰り返し、大きく伸縮します。
外壁用弾性塗膜で表面を厚く覆うと、水分が抜けにくくなり、膨れ、割れ、木材の腐朽につながることがあります。
木部には、浸透形木材保護塗料や木部専用造膜塗料を使用します。
磁器タイルは吸水が少なく、表面が緻密です。
一般的な微弾性フィラーは密着しにくく、タイル本来の質感も失われます。
タイル面には、浮きや目地を補修したうえで、専用の透明保護材やタイル用改修材を検討します。
基礎や擁壁は、地面から水分を吸い上げることがあります。
表面を弾性塗膜で強く塞ぐと、水蒸気やアルカリ成分が塗膜を押し上げ、膨れ、剥離、白華が発生することがあります。
基礎には、透湿性を考慮した基礎専用塗材を選びます。
外壁用弾性塗料は、基本的に垂直面用です。
屋根、屋上、ベランダ、床は、水がたまり、歩行、摩耗、紫外線、熱の影響を強く受けます。
屋根には屋根用塗料、屋上やベランダにはウレタン防水、FRP防水、シート防水など、用途に合った材料を使用します。
漏水、結露、配管からの水漏れ、地面からの吸水などで、外壁が常に湿っている場合は塗装できません。
弾性塗膜で覆うと、水分の出口を塞ぎ、膨れや剥離を悪化させます。
塗料は水を止める材料ですが、すでに中へ入っている水まで消してくれる材料ではありません。
12. 外壁のひび割れ幅・動きと微弾性・弾性塗料の選び方
弾性塗料を選ぶ前に、ひび割れの幅だけでなく、深さ、動き、漏水、発生原因を確認します。
塗膜表面やモルタル表層だけに生じた微細なひび割れは、微弾性フィラーで覆える場合があります。
ただし、清掃、脆弱部の除去、必要に応じた擦り込みなどを行い、ひび割れ内部まで材料がなじむように施工します。
目で明確に確認できるひび割れは、塗料を上から重ねるだけでなく、樹脂注入、シール工法、Uカットシーリング材充填工法などを検討します。
ひび割れ幅だけで補修方法を決めず、挙動の有無、水分、下地の浮き、構造部への影響を確認します。
季節や建物の動きによって開閉を繰り返すひび割れには、硬い補修材を詰めるだけでは再び割れることがあります。
可とう性のある補修材、シーリング材、下地挙動緩衝材などを使い、動きを分散させます。
コンクリート外壁のひび割れから茶色い錆汁が出ている場合は、内部鉄筋が腐食している可能性があります。
弾性塗料で表面を覆っても、内部の錆は止まりません。
コンクリートをはつり、鉄筋の錆を除去して防錆処理を行い、断面修復する必要があります。
雨天時に水が入るひび割れは、外壁塗装だけで判断せず、散水調査や周辺の納まりを確認します。
窓、笠木、屋根、換気口、配管、シーリング目地など、別の場所から入った雨水が、ひび割れから出ていることもあります。
ひび割れを見つけたら、最初に塗料を選ぶのではなく、最初に原因を探します。
弾性塗料は補修の仕上げを助ける材料であり、原因調査の代わりではありません。
13. 弾性塗料の膨れ・剥離が発生する仕組み
弾性塗料の代表的な不具合が、塗膜の膨れです。
外壁に大小の風船が張り付いたように、塗膜がぷくりと持ち上がります。
外壁内部へ水分が入り、日射で加熱されると、水分が水蒸気になります。
水蒸気は体積が増え、外へ抜けようとします。
しかし、表面に厚く透湿しにくい塗膜があると、出口を失った水蒸気が塗膜を押し上げます。
弾性塗膜は、高温時に柔らかくなりやすい性質があります。
旧弾性塗膜へ新しい塗膜を重ねた場合、表面の新しい塗膜ではなく、下にある古い柔らかな層が変形し、界面から膨れることがあります。
シーリング、笠木、窓、配管まわりなどから雨水が入り続けていれば、塗膜を塗り替えても膨れます。
外壁面だけをきれいに仕上げても、水の入口が残っているからです。
チョーキング、カビ、藻、ホコリ、脆弱な旧塗膜が残った状態で厚い弾性塗膜をつくると、下地との密着力が不足します。
塗膜の内部応力や水蒸気圧に耐えられず、剥離することがあります。
弾性塗料は厚膜で施工することが多いため、乾燥時間が重要です。
表面だけが乾いた状態で次の塗膜を重ねると、内部の水分が抜けにくくなります。
乾燥不足は、膨れ、しわ、べたつき、硬化不良の原因になります。
- ■ 漏水原因を先に止める
- ■ 外壁を十分に乾燥させる
- ■ 既存弾性塗膜の付着を確認する
- ■ 透湿性を含めて塗装仕様を選ぶ
- ■ 標準所要量と乾燥時間を守る
- ■ 高温になる外壁では慎重に判断する
膨れが発生した外壁へ、膨れた部分だけを切り取り、上から塗り重ねても再発することがあります。
水の入口、塗膜内の水分、旧塗膜の柔らかさまで調べて、原因から直す必要があります。
14. 弾性塗料と透湿性・低汚染性・耐候性の関係
外壁塗料を選ぶときは、弾性だけでなく、透湿性、低汚染性、耐候性とのバランスを確認します。
防水性は、外から液体の雨水が入りにくい性能です。
透湿性は、外壁内部の水蒸気を外へ逃がしやすい性能です。
理想は、雨水を入れにくく、内部の湿気を逃がせる塗膜です。
ただし、防水性を高めるために厚く緻密な塗膜を形成すると、透湿性が低下する場合があります。
近年は、透湿性を持つ弾性塗材もありますが、すべての弾性塗料が同じ性能ではありません。
昔の弾性塗料には、表面が柔らかく、汚れを抱え込みやすい製品がありました。
排気ガス、ホコリ、雨だれが付着し、黒ずみが目立つことがあります。
現在は、低汚染形の弾性対応上塗り材や、親水性を持つ上塗り材も増えています。
弾性主材の上へ、耐候性と低汚染性に優れた専用上塗りを組み合わせることで、美観を保ちやすくなります。
よく伸びる塗膜が、必ず紫外線にも強いとは限りません。
弾性は、塗膜の柔軟性や追従性に関する性能です。
耐候性は、紫外線、雨、熱による色あせ、艶引け、樹脂劣化へ耐える性能です。
高い耐久性を求める場合は、弾性主材だけでなく、その上に施工する上塗り材の樹脂、耐候性区分、低汚染性を確認します。
弾性塗材の上へ艶消し上塗りを施工すると、落ち着いた上品な外観になります。
一方、艶消し塗料は、艶有り塗料より汚れが付着しやすい製品や、弾性仕様へ適用できない製品があります。
JISやメーカーの組み合わせ表でも、可とう形・防水形仕上塗材へ使用できる上塗りの種類が限定される場合があります。
色と艶だけで選ばず、柔らかな主材に追従できる上塗りかを確認しましょう。
15. 建物別に考える外壁塗装のおすすめ弾性仕様
建物と外壁の状態別に、一般的な選定の考え方をまとめます。
| 建物・外壁の状態 | 検討しやすい仕様 | 注意点 |
|---|---|---|
| 細かなひび割れがあるモルタル住宅 | 微弾性フィラー+高耐候上塗り | 大きなひび割れは別途補修 |
| ひび割れを繰り返すモルタル住宅 | 弾性フィラー・防水形複層塗材 | 下地の浮きや構造的な動きを確認 |
| RC造で外壁防水を高めたい建物 | 高弾性外壁用塗膜防水材 | 所要量、増し塗り、緩衝材が重要 |
| 一般的な窯業系サイディング住宅 | サイディング適合下塗り+透湿形上塗り | 弾性塗材は膨れに注意 |
| 難付着サイディング | 難付着面対応プライマー | 光触媒・無機・フッ素表面を確認 |
| ALC住宅・建物 | 透湿性を考慮した改修仕様 | 目地・含水・既存弾性塗膜を確認 |
| 金属サイディング | 防錆プライマー+金属用上塗り | 錆処理と素材別下塗りが重要 |
| 基礎・擁壁 | 基礎専用透湿形塗材 | 地面からの水分と白華を確認 |
一般的なモルタル住宅の塗り替えでは、微弾性フィラーで下地を整え、高耐候性の上塗り材を施工する仕様が、性能、費用、将来の改修性のバランスに優れています。
必要以上に厚い防水層をつくらず、細かなひび割れと表面の凹凸を整えられます。
外壁全体にひび割れが多い場合、塗料を高弾性にする前に、モルタルの浮き、下地の動き、施工厚、構造的な問題を確認します。
原因を残したまま高弾性塗膜で包むと、表面上はきれいになっても、内部で劣化が進むことがあります。
建物の南面と北面、モルタル部分とサイディング部分、増築部分と既存部分では、外壁の条件が異なることがあります。
すべてを同じ下塗り材で塗るのではなく、素材と劣化状態に応じて下塗りを使い分けることもあります。
例えば、モルタル部分には微弾性フィラー、金属部分には防錆プライマー、難付着サイディングには専用プライマーを使用します。
建物全体を一缶の材料でまとめるより、素材ごとに丁寧に仕立てるほうが、長持ちする外壁塗装になります。
16. 弾性塗料の見積書と塗装業者選びで確認したいポイント
見積書に「微弾性フィラー」「弾性塗料」「高弾性塗料」と書かれている場合は、次の内容を確認しましょう。
「高弾性シリコン」「防水塗料」といった大まかな名称だけでは、実際の性能や標準所要量が分かりません。
メーカー名と正式な商品名を確認します。
可とう形改修塗材E、防水形外装薄塗材E、防水形複層塗材E、外壁用アクリルゴム系塗膜防水材など、どの規格・分類に該当するのか確認します。
JIS認証品ではなく、社内試験によるJIS相当品の場合もあるため、表記を丁寧に読みます。
弾性塗材は、塗膜の厚みが性能を左右します。
見積り面積に対して、何kgの材料を使用する計画なのか確認します。
特に高弾性塗膜防水材は、一般上塗り塗料とは使用量が大きく異なります。
- ■ 下地補修
- ■ プライマー
- ■ ひび割れ部の増し塗り
- ■ 主材塗り
- ■ 模様塗り
- ■ 上塗り1回目
- ■ 上塗り2回目
製品によって必要工程は異なりますが、どの層が弾性や防水性を担うのか説明してもらいましょう。
塗装業者へ、既存塗膜が弾性かどうか、どのように判断したか聞いてみましょう。
触診、カッターによる確認、溶剤反応、付着試験、過去の仕様書などから判断します。
窯業系サイディングへ弾性塗材を提案された場合は、メーカーの適用仕様に含まれているか、膨れ対策をどう考えているか確認します。
「ひび割れに強いから」という説明だけでは不十分です。
高弾性塗料で外壁を包めば、どのような雨漏りも止まるという説明には注意してください。
雨漏りは、屋根、笠木、開口部、シーリング、配管、外壁内部など、さまざまな場所から発生します。
原因箇所を直さず、表面だけを厚い塗膜で塞ぐと、水が別の場所へ回ることもあります。
- ■ なぜ、この建物に弾性仕様が必要なのですか
- ■ 既存塗膜は何系ですか
- ■ 外壁内部の水分は確認しましたか
- ■ 1㎡当たり何kg使用しますか
- ■ サイディングへ使用できるメーカー仕様ですか
- ■ 次回塗り替え時の注意点はありますか
これらの質問へ、理由を含めて分かりやすく答えられる塗装店であれば、材料名だけでなく建物を見て提案している可能性が高いでしょう。
専門性とは、難しい言葉を並べることではありません。なぜ必要で、なぜ必要でないのかを、正直に説明できることです。
17. まとめ|微弾性・弾性・高弾性は外壁に合わせて選ぶことが大切です

外壁塗装に使われる微弾性・弾性・高弾性は、塗膜の柔軟性、厚み、ひび割れ追従性、防水性が異なります。
微弾性フィラーは、モルタルやコンクリート外壁の細かなひび割れ、巣穴、凹凸を整える改修用下塗り材として使いやすい材料です。
弾性塗料は、モルタルやコンクリートの微細な動きへ追従し、外壁表面からの雨水浸入を抑える効果が期待できます。
高弾性塗料は、一般的な塗装より厚い外壁防水層を形成し、鉄筋コンクリート造の防水改修などで力を発揮します。
一方、弾性塗膜には、外壁内部の水分を閉じ込めやすい、熱で柔らかくなりやすい、汚れが付きやすい、次回改修が難しくなるといったデメリットもあります。
特に、窯業系サイディング、ALC、基礎、擁壁、漏水中の外壁へ使用するときは慎重な判断が必要です。
- ■ 微弾性は微細なひび割れと下地調整に向く
- ■ 弾性はモルタル・コンクリートのひび割れ追従に向く
- ■ 高弾性はRC外壁の本格的な防水改修に向く
- ■ 弾性が高いほど、すべての外壁に適するわけではない
- ■ サイディングでは熱と内部水分による膨れに注意する
- ■ ひび割れは塗装前に原因と動きを確認する
- ■ 商品名、JIS区分、所要量、工程まで確認する
外壁塗装の材料選びは、カタログの性能競争ではありません。
住まいの外壁が何でできているか。どのように傷み、どこから水が入り、どこへ湿気が抜けているか。その建物の癖を見極めながら、必要な柔軟性を選びます。
弾性塗料の本当の価値は、よく伸びることではなく、必要な場所で必要な分だけ動いてくれることです。
小林塗装では、ひび割れの幅だけで判断せず、外壁材、既存塗膜、含水状態、日当たり、シーリング、防水納まりを確認したうえで、住まいに合った下塗り・上塗り仕様をご提案しています。
メリットだけでなく、膨れや再塗装のリスクまで正直にお伝えし、数年後も安心して眺められる外壁塗装を目指します。
18. 外壁塗装の微弾性・弾性・高弾性に関するQ&A

A. 一般的なイメージではその順番ですが、統一された一つの数値区分ではありません。
製品ごとに、樹脂、塗膜厚、施工量、試験方法が異なります。
可とう形改修塗材、単層弾性塗材、防水形複層塗材、外壁用塗膜防水材など、正式な製品分類を確認する必要があります。
A. 微細な表面ひび割れを覆うことはできますが、すべてのひび割れを補修できるわけではありません。
幅のあるひび割れ、動きのあるひび割れ、漏水しているひび割れは、樹脂注入、シール工法、Uカット補修などを先に行います。
A. モルタル外壁には有効な場合が多くあります。
モルタルは乾燥収縮や建物の動きによって細かなひび割れが生じやすいため、微弾性フィラーや弾性主材が役立ちます。
ただし、浮きや構造的なひび割れは、塗装前に補修が必要です。
A. 安易な使用はおすすめできません。
窯業系サイディングは、夏場に表面温度が高くなり、内部水分が水蒸気になりやすい外壁です。
柔らかな弾性塗膜を重ねると、熱と水蒸気によって膨れが生じることがあります。
メーカーが認めた専用仕様かどうかを確認します。
A. 使用できる仕様はありますが、建物ごとの確認が必要です。
目地、漏水、外壁内部の水分、既存塗膜、透湿性を確認します。
新築時の設計仕様と、既存塗膜を残す塗り替えでは条件が異なるため、ALCだから高弾性と一律に決めることはできません。
A. 外壁面の微細なひび割れから入る雨水には有効ですが、すべての雨漏りを止められるわけではありません。
笠木、窓まわり、シーリング、屋根、配管などが原因の場合は、その部分を補修する必要があります。
A. 柔らかな塗膜は汚れを抱え込みやすい傾向があります。
ただし、現在は低汚染形の弾性対応上塗り材もあります。
弾性だけでなく、上塗り材の低汚染性、親水性、耐候性を確認するとよいでしょう。
A. 製品と仕様によって異なり、無条件には施工できません。
柔らかな既存塗膜へ硬い上塗り材を塗ると、下地の動きに追従できず、ひび割れや付着不良が発生する可能性があります。
既存塗膜と上塗り材の適合性をメーカーへ確認します。
A. 一般外壁用の弾性塗料を安易に使用するのはおすすめできません。
基礎は地面からの水分やアルカリ、白華の影響を受けます。
表面を強く塞ぐと、膨れや剥離が起こることがあるため、基礎専用の透湿形塗材を選びます。
A. 外壁材、既存塗膜、ひび割れの動き、含水状態、必要な防水性から選びます。
一般的なモルタル外壁の改修では微弾性フィラー、ひび割れ追従性が必要なモルタル・コンクリートでは弾性仕様、RC造の本格的な外壁防水では高弾性仕様が選択肢になります。
弾性の高さではなく、建物との相性を基準に選びましょう。
外壁のひび割れや弾性塗料の選定でお悩みの方へ
外壁に細かなひび割れがある、以前の弾性塗膜が膨れている、サイディングへ弾性塗料を提案されたなど、気になることがございましたら小林塗装へご相談ください。
ひび割れの幅だけでなく、外壁材、既存塗膜、シーリング、外壁内部の水分、日射条件まで確認し、必要な下地補修と塗装仕様をご説明します。
弾性塗料が必要な場合には、そのメリットをしっかり生かせる仕様を。必要でない場合には、無理に高価な仕様をおすすめしません。
住まいにちょうどよく、将来の塗り替えにも無理のない外壁塗装をご提案いたします。
小林塗装 店主・塗装職人 小林ゆず
塗装職人として30年以上、一般住宅を中心に2,000件以上の施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、下地補修、板金工事など、建物の状態に合わせた施工を行っています。
小林塗装では、塗料の商品名や価格だけで工事内容を決めるのではなく、外壁材、既存塗膜、ひび割れ、含水状態、周辺環境、お客様のご希望まで確認したうえで、住まいに合った塗装仕様をご提案しています。
弾性塗料についても、伸び率や防水性のメリットだけをお伝えするのではなく、膨れ、汚れ、透湿性、次回改修の注意点まで正直にご説明します。
見えなくなる下地処理、塗布量、乾燥時間、養生、細部の仕上げを大切にし、お客様の想像を少し超える、品のある高品質な仕上がりを目指しています。
名古屋市周辺で外壁塗装をご検討の方へ、現場経験に基づいた誠実で分かりやすい情報をお届けします。
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