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  2. ナフサ不足の原因と日本国内の対応|外壁塗装・塗料・建材価格にも関わる背景を分かりやすく徹底解説
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外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関係を専門店が解説

ここ数年、塗料やシーリング材、各種建材の価格について、「前より高くなった気がする」「見積り金額が以前と違う」と感じられる方が増えています。
外壁塗装や屋根塗装は、頻繁に行う工事ではないからこそ、少しの価格差でも気になりやすく、その理由が見えにくいと不安にもつながりやすいものです。

ただ実際には、近年における塗料などの価格上昇は単なる値上げではなく、原材料・物流・為替・エネルギーコストなど、いくつもの要因が重なって起きています。
その中でも、塗料やシーリング材、防水材、各種樹脂製品の土台に関わる重要な原料が、「ナフサ」です。

ナフサは、普段の暮らしの中ではあまり耳にしない言葉かもしれません。
しかし塗装業界の視点で見ると、塗料そのものだけでなく、シンナー、シーリング材、下塗り材、樹脂系副資材など、住まいのメンテナンスに関わる幅広い材料につながる非常に重要な基礎原料です。

つまり、ナフサの供給が不安定になったり、価格が上がったりすると、石油化学業界だけの問題では終わりません。
塗料メーカーの価格改定、材料の納期変動、見積りの有効期間の短期化、さらには現場での材料選定や工程管理にまで、少しずつ影響が及んできます。
見えないところで起きている変化ではありますが、外壁塗装の見積りや材料選びを考えるうえで、決して無関係な話ではありません。

とはいえ、「ナフサ不足」と聞くと、少し大きな話に感じられるかもしれません。
しかし実際には、世界の原油事情、為替、物流、国内産業の変化といったできごとが、最終的には一缶の塗料、一現場の工事費、ひとつの住まいのメンテナンスへとつながっています。
そう考えると、決して遠い世界の話ではなく、外壁塗装の品質や価格、提案内容にも関わる、現場に直結したテーマとして見えてきます。

今回は、ナフサ不足はなぜ起こるのか、そして日本国内ではどのような対応が進められているのかについて、外壁塗装や建材価格との関係も交えながら、できるだけ分かりやすくお伝えします。

外壁塗装の価格高騰の背景を知ることで、見積りの見え方だけでなく、工事内容や業者選びの判断基準も少し変わってくるはずです。

このコラム「外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関連性」で分かること
  • ・ナフサとは何か?・なぜ不足が問題になるのか?
  • ・ナフサ不足が起こる主な原因
  • ・日本国内で進められている対応策
  • ・外壁塗装や建材価格にどのような影響があるのか?
  • ・これから塗装工事を考える上で大切な視点とは

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1. ナフサ不足は、単なる一時的な品薄ではありません

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ナフサ不足の本質は、単なる一時的な在庫不足ではなく、世界的な供給構造の変化に、地政学リスク・エネルギー価格・物流の混乱・為替変動などが複雑に重なって起きている、非常に根の深い問題です。

「どこかの工場で少し足りなくなった」「たまたま一時的に出荷が遅れている」といった単純な話でしたら、時間の経過とともに自然に落ち着いていく可能性もあります。
しかし現在のナフサ不足は、そうした一過性の品薄とは少し性質が違います。
むしろ、これまで当たり前だった「安定して、比較的安く、必要なときに入ってくる」という前提そのものが揺らいでいることのほうが、今の状況を理解するうえで重要です。

その背景には、原油価格の不安定化だけでなく、産油国の動向、国際情勢の緊張、海上輸送の混乱、各国の脱炭素政策、製油所や石油化学設備の再編、さらに日本国内では円安による輸入コストの上昇まで、いくつもの要因があります。
つまりナフサの不足は、ひとつの原因だけで起きているのではなく、複数の問題が折り重なって、供給の不安定さと価格上昇を招いているのです。

そして、この問題は石油化学業界の中だけで完結するものではありません。
ナフサは、塗料、シーリング材、防水材、接着剤、養生資材、各種樹脂製品など、住宅のメンテナンスに関わる多くの材料の原料や関連資材につながっています。
外壁塗装や屋根塗装というと、表面に塗る塗料ばかりに目が向きやすいのですが、実際の現場では、仕上げ材だけでなく、その周辺を支えるさまざまな材料があってはじめて工事が成り立っています。

たとえば、外壁の目地に使うシーリング材、防水性や密着性に関わる下塗り材、塗装の品質を支える副資材、樹脂系の部材や容器類まで含めると、ナフサの影響は思っている以上に広い範囲へ及びます。
そのため、ナフサ不足が起きると単純に「塗料が少し高くなる」だけでは済まず、工事全体の原価、材料の調達性、工程の組み方、見積りの安定性にまで影響が波及していくのです。

言ってしまえば、ナフサは住まいのメンテナンスを下支えしている「縁の下の材料」です。
普段お客様の目に触れることはほとんどありませんし、工事の主役として語られることも多くありません。
けれど、建物でいえば基礎や下地が大切なように、材料の世界でもこうした土台の部分が揺らぐと、徐々に影響が広がっていきます。

しかも厄介なのは、こうした影響が、ある日突然はっきり見える形で出るとは限らないことです。
最初は「少し値上がりした」「前より納期が読みづらい」といった小さな変化に見えても、それらがいくつか積み重なることで、数か月後には見積り金額、工事時期、材料選定の考え方まで変わってきます。
静かな変化ではありますが、現場にとっては決して小さくない問題です。

住宅塗装の世界では、どうしても「いくらで塗れるか」「どの塗料を使うか」といった表面の話が先に見られがちです。
もちろんそれも大切です。
ただ、本当に大事なのは、その価格や仕様の背景で何が起きているのかを理解したうえで提案できるかどうかです。
ナフサ不足のような問題は、まさにそうした「見えない背景を説明できるかどうか?」で、塗装店の姿勢や提案力が表れやすいテーマでもあります。

普段はあまり目立たない存在ですが、ひとたび供給が不安定になると、工事費や納期、さらには材料選定の考え方にまで確実に影響してきます。
だからこそナフサ不足は、単なる材料の品薄としてではなく、これからの外壁塗装や屋根塗装を考えるうえで無視できない、時代の土台の変化として捉えることが大切です。

2. ナフサって、一体何?|塗料や建材にもつながる石油化学の基礎原料です

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ナフサは、原油を精製する過程で得られる石油製品のひとつで、主にエチレンやプロピレンといった基礎化学原料をつくるための「出発点」となる原料です。

もう少し噛み砕いてお伝えすると、ナフサそのものが最終製品として使われることはほとんどありません。
いわば、さまざまな製品に姿を変えていく「素材の源」のような存在です。
ナフサを分解・加工することで、多くの合成樹脂や化学製品が生まれ、それがさらに加工されて、身の回りの製品へとつながっていきます。

ちょっと難しく感じるかもしれませんが、もっと身近に言い換えると、ナフサは次のような製品の原料になります。

  • ■ 塗料に含まれる各種樹脂原料 (耐久性・密着性・艶を左右する要素です)
  • ■ シーリング材や接着剤の原料 (防水性や柔軟性を支えます)
  • ■ 防水材に使われる合成樹脂 (建物を雨水から守ります)
  • ■ プラスチック容器や包装材 (塗料缶や養生資材にも関係します)
  • ■ 建材や住宅設備の一部樹脂部材
  • ■ 日用品や工業製品全般

ここで大切なのは、ナフサが「塗料そのもの」だけではなく、その周辺にある材料や資材にも広く関わっているという点です。
外壁塗装というと、どうしても仕上げに使う塗料だけに目が向きがちですが、実際の工事ではそれ以外にも多くの材料が使われています。

たとえば、外壁の目地を守るシーリング材、下地との密着を高める下塗り材、防水性を確保する各種材料、さらには養生に使うビニールやテープ、塗料缶などの容器類に至るまで、広い意味でナフサ由来の素材が関係しています。
そのため、ナフサの供給が不安定になったり、価格が上昇したりすると、「塗料だけが上がる」のではなく、工事を構成するさまざまな材料が連動して影響を受ける構造になっています。

住宅の外壁塗装の現場で例えるなら、ナフサは「見えないけれど欠かせない土台」のような存在です。
表面に仕上がる塗膜がどれだけきれいでも、その裏側で支えている材料のバランスが崩れれば、全体の品質やコストに影響が出てきます。
つまり、ナフサは単なる原料のひとつではなく、塗装工事全体の基盤に関わる存在とも言えます。

料理にたとえると、小麦や油のような位置づけに近いかもしれません。
それ自体が主役として目立つことは少なくても、パンや麺、揚げ物など、多くの料理の土台を支えています。
もしそれが不足したり、価格が大きく上がったりすれば、特定の料理だけでなく、食卓全体に影響が広がっていきます。

ナフサも同じで、普段はあまり意識されない存在ですが、供給や価格に変化が起きると、塗料や建材、さらには外壁塗装の費用や工事計画にまで多大な影響を及ぼします。
だからこそ、この原料の動きを理解することは、これからの住まいのメンテナンスを考えるうえで、意外と大切な視点になってきます。

外壁塗装 ナフサ不足とは イメージ

3. ナフサ不足の主な原因とは?

外壁塗装 ナフサ不足の主な原因とは? イメージ

3-2. まず原油価格の高騰と地政学リスクがあります

ナフサは原油から精製されるため、まず大前提として原油価格の変動に強く連動する原料です。
つまり、ナフサ単体で価格が決まるというよりも、その上流にある原油市場の動きが、そのまま影響してくる構造になっています。

原油価格は、単純な需要と供給だけで決まるわけではありません。
中東情勢の緊張、産油国の生産調整(減産・増産)、戦争や紛争、経済制裁、さらには各国のエネルギー政策など、さまざまな要因が複雑に絡み合いながら変動しています。
そのため、ひとつの出来事をきっかけに、短期間で大きく価格が動くことも珍しくありません

特に近年は、世界全体でエネルギーの在り方が大きく変わりつつある時期に入っています。
脱炭素の流れによって化石燃料関連の投資が抑えられる一方で、依然として原油への依存は続いているため、供給される余力が以前よりもなくなりやすい状況です。
その結果、需要が少し変動しただけでも価格が大きく揺れやすく、安定しにくい市場構造になっています。

また、原油価格には「一度上がると下がりにくい」という特徴もあります。
これは単に市場の問題だけではなく、採掘コスト、輸送コスト、精製コスト、人件費などが複合的に上昇しているためで、仮に一時的に落ち着いたとしても、以前と同じ水準まで戻るケースは限られます。
そのためナフサも、単なる価格の上下ではなく、「ベースそのものが少しずつ切り上がっている」状態にあります。

さらに見逃せないのが、「価格の高さ」だけでなく「不安定さ」そのものがリスクになっている点です。
ナフサは安ければよい、高ければ困る、という単純な話ではなく、いつ・どのくらいの価格で・どの程度の量が確保できるのかが読みにくくなること自体が、現場にとって大きな負担になります。

たとえば塗装工事では、材料の仕入れ価格や納期がある程度見通せるからこそ、見積りや工程を組むことができます。
しかし原油市場が不安定になると、ナフサを経由して塗料や副資材の価格・供給にも影響が及び、見積り時点と施工時点で条件が変わるリスクが生じます。

これは現場で例えるなら、天気の読みづらい時期の施工計画にとてもよく似ています。
晴れの日だけを前提にすれば工程は組めますが、途中で雨が続く可能性や、突風で作業が止まる可能性があると、余裕を持った段取りや調整が必要になります。
ナフサを取り巻く状況も同じで、「読めないこと」そのものがコストやリスクにつながるという点が、今の特徴です。

このように、原油価格の高騰と地政学リスクは、単にナフサの価格を押し上げるだけでなく、供給の安定性や見通しの難しさにも影響を与えています。
そしてその影響は、塗料やシーリング材を通じて、外壁塗装や屋根塗装の現場へと波及していきます。
目に見えにくい部分ではありますが、これからの工事を考えるうえで避けて通れない、大きな前提のひとつです。

3-3. 製油所の再編と供給能力の変化が生じています

ナフサ不足を理解するうえで欠かせないのが、「原油はあっても、それをナフサへと変換する設備自体が減少している」という構造的な変化です。

近年、日本国内をはじめ世界各地で製油所の統廃合や閉鎖が進んでいます。
その背景には、ガソリン車の燃費向上やハイブリッド車・EVの普及、さらには人口減少による需要の伸び悩みがあります。
つまり、従来のように石油製品を大量に消費する社会構造から、徐々に変化してきています。

しかし、この動きは単なる「需要減少」だけでは説明しきれません。
製油所は、巨大かつ高度に統合された設備産業であり、日常的な運転コストに加えて、定期修繕・安全対策・環境対応など、継続的に莫大な維持コストがかかる構造になっています。

特に近年は、環境規制の強化や脱炭素への対応が求められる中で、設備の更新や改修にかかる負担がさらに大きくなっています。
その一方で、需要が伸びにくい市場環境では、これらの投資を回収する見通しを立てることが難しくなり、結果として採算性の低い設備から段階的に縮小・集約されていく流れが進んでいます。

さらに重要なのは、ナフサの生産構造そのものです。
ナフサは特定の目的だけで独立して生産されるものではなく、原油精製の過程で生まれる複数の石油製品のひとつであり、いわば「連産品(複合的に生まれる製品)」として位置づけられています。

そのため、ガソリン・軽油・灯油・航空燃料といった主力製品の需要が減少し、製油所の稼働率が下がれば、ナフサの供給量も必然的に減少します。
つまり、ナフサ単体の需要があっても、それだけを目的に柔軟に増産することが難しいという、供給上の制約を抱えているのです。

また、製油所の再編は単なる縮小ではなく、「効率化」と「最適化」を目的とした戦略的な再構築でもあります。
生産拠点を集約し、設備の稼働率を高めることで、全体としての収益性を維持することは合理的な判断です。
しかしその一方で、供給の余裕がなくなりやすくなるという側面も否定できません。

この「調整する余裕の無さ」は、平常時には効率化として機能しますが、需要の急増やトラブル発生時には、一気に供給のひっ迫として表面化します。
その結果として、価格の変動幅が大きくなりやすく、納期にも影響が及びやすい環境が生まれています。

さらに見逃せないのが、設備投資の意思決定の難しさです。
製油所の新設や大規模増強には、数千億円規模の投資と長い建設期間が必要となります。
加えて、将来的な需要見通しや環境政策の方向性まで考慮しなければならないため、短期的な不足を理由に簡単に供給能力を増やせる産業ではないという現実があります。

つまり現在のナフサ不足は、「一時的に足りていない」というよりも、業界全体が無駄を削ぎ落とした結果、需給の余裕が小さくなっている状態と捉えるほうが実態に近いといえます。

外壁塗装の現場で例えるなら、これは「職人・材料・足場」が最適化された状態に似ています。
普段は無駄がなく効率的に回っていても、工事が集中したり、想定外のトラブルが重なったりすると、すぐにスケジュールが詰まってしまいます。
それと同じで余裕が少ない状態ほど、外部環境の変化に影響を受けやすいのです。

ナフサも同様に、供給能力そのものが限られているため、需要の変動や突発的な要因によって、価格や納期に影響が出やすい構造になっています。
その背景には、需要構造の変化、設備維持コストの増加、脱炭素の流れ、投資判断の制約といった複数の要因が重なっています。
だからこそ、この問題は一時的なものではなく、今後も続いていく可能性のある構造的な変化として捉えておくことが重要です。

3-4. 世界的な需要構造の変化と競争激化が起きてきます

もうひとつ見逃せないのが、ナフサを取り巻く「需要の質」と「地域バランス」が大きく変化している点です。

従来、ナフサは日本や欧米の石油化学産業を中心に、比較的安定した需要構造の中で消費されてきました。
しかし現在では、中国・東南アジア・中東といった新興地域で化学工業の成長が加速し、ナフサ需要はグローバルに拡大しています。

特にアジア圏では、人口増加や都市化の進展により、プラスチック製品、包装材、建材、自動車部品、電子機器関連素材などの需要が急増しています。
これらの多くはナフサを原料とする石油化学製品から生まれているため、結果としてナフサ需要そのものの裾野が大きく広がっている状態です。

重要なのは、この需要拡大が単なる量の増加にとどまらず、「安定供給を前提とした需要」から「確保競争を前提とした需要」へと変質している点です。

つまり現在は、限られたナフサ供給を世界中の産業が同時に求める構図となり、需給バランスがわずかに崩れるだけでも、価格や流通に影響が出やすい環境へと変化しています。

さらに構造的な変化として挙げられるのが、「石油化学一体型プラント」の拡大です。
中東や中国では、原油から直接エチレンなどの化学基礎原料を生産する設備が増えており、従来のようにナフサとして市場に供給される量が減少するケースも見られます。

これは一見すると効率化の流れですが、裏を返せば市場に流通するナフサの「自由に取引できる量」が減っていることを意味します。
つまり、供給総量だけでなく、「市場に出てくる量」自体が絞られてきているのです。

こうした中で、日本のようにナフサの多くを輸入に依存している国にとっては、状況はさらに厳しくなります。
これまでは「必要なときに、一定量を調達できる」という前提がありましたが、現在は調達タイミングや条件によって確保の難易度が変わる時代へと移行しています。

また、為替の影響も非常に大きな要素です。
ナフサは国際的にドル建てで取引されるため、円安が進行すると、実際の原料価格以上に国内での調達コストが上昇します。
このため、世界市場の価格変動と為替の影響が重なり、国内価格が押し上げられやすい構造が生まれています。

さらにいえば、エネルギー市場や地政学リスクの影響も無視できません。
産油国の政策変更や輸送ルートの不安定化などが起きると、供給そのものだけでなく、流通コストや取引条件にも影響が及びます。
これにより、価格と供給の両面で不確実性が高まりやすい環境が続いています。

外壁塗装の現場に置き換えて考えると、これは単なる値上げというよりも、「材料の確保そのものに競争が生まれ、価格と納期が連動して変動する状態」に近いと言えます。

たとえば、人気の高い塗料や特定の仕様が重なった場合、一時的に入手しづらくなったり、仕入れ価格が変動したりすることがあります。
ナフサも同様に、世界規模での需要集中と供給制約が重なることで、価格と流通の両方が不安定化している状況です。

このような背景を踏まえると、現在の外壁塗装における価格や納期の変化は、単なる国内事情ではなく、世界規模の需給構造の変化と密接に結びついていることが分かります。
見えにくい部分ではありますが、今の塗装工事の条件を正しく理解するためには欠かせない視点といえます。

3-5. 円安による輸入コスト上昇の影響もあります

日本は、原油や液化天然ガスをはじめとするエネルギー資源の多くを海外に依存しています。
ナフサもその影響を強く受ける原料のひとつであり、基本的には海外価格と為替レートが組み合わさって、国内コストが決まる構造になっています。

つまり、ナフサの価格を考える際には、「世界で高いか安いか」という単純な比較だけでは不十分です。
実際に日本国内でどの程度の負担になるかは、原料価格そのものに加えて、円とドルの為替レートがどの水準にあるかによって大きく左右されます。

たとえば、世界市場でのナフサ価格が横ばいであっても、円安が進行すれば、日本円に換算したときの支払額は増加します。
これは輸入取引の多くがドル建てで行われているためであり、為替の変動そのものが、実質的な値上げとして作用する構造です。

さらに影響が大きくなるのが、原油高と円安が同時に進行する局面です。
この場合、原料価格の上昇と為替の影響が重なり、コスト上昇が「複合的」に積み上がることになります。
いわば、値上げが一方向ではなく、二方向から同時に押し寄せている状態です。

この影響は、単に仕入れ価格の上昇にとどまりません。
なぜなら、為替の変動は短期間で大きく動くこともあり、材料価格の見通しが立てにくくなることで、企業の在庫判断や仕入れタイミングそのものを難しくする要因にもなります。

実際の現場では、次のような判断が常に求められています。

  • ■ 今の価格で仕入れるべきか、それとも様子を見るべきか
  • ■ 在庫を多めに確保するか、リスクを抑えて最小限にするか
  • ■ 見積り価格にどこまで変動リスクを織り込むか
  • ■ 価格改定のタイミングをどうお客様に説明するか

つまり為替は、単なるコスト要因ではなく、現場の意思決定そのものに影響を与える「不確実性の源」でもあるのです。

外壁塗装の現場においても、この影響は確実に現れています。
塗料やシーリング材といったナフサ由来の製品はもちろん、容器・養生材・副資材などにもコスト上昇が波及し、工事全体の原価構造がじわじわと押し上げられる傾向があります。

さらに難しいのは、施工店がその変動をすぐに価格へ反映できるとは限らない点です。
お客様との信頼関係や契約条件を重視するほど、急激な値上げをそのまま転嫁することは難しく、現場側で一時的に吸収せざるを得ないケースも少なくありません。

その結果、円安は単なる材料価格の問題にとどまらず、収益性・提案内容・工事時期の判断にまで影響を及ぼす、見えにくい圧力として作用してしまいます。

これは家計に置き換えると、とても分かりやすい現象です。
輸入食品や日用品が、現地価格では大きく変わっていなくても、為替の影響によって日本では値上がりして感じられることがあります。
しかもそれが、オリーブオイル・小麦・乳製品といった複数の品目に同時に広がることで、生活全体の負担感は一気に増していきます。

ナフサも同様に、円安は原料価格以上に国内のコスト実感を押し上げる要因となります。
そしてその影響は、塗料や建材の価格、見積りの有効期間、工事のタイミング判断へと連鎖していきます。
だからこそ円安は、単なる経済ニュースとしてではなく、これからの外壁塗装を考えるうえで前提となる重要な背景として理解しておくことが大切です。

3-6. 海上輸送・物流の不安定化も大きな原因です

ナフサ不足を語るうえで、もうひとつ見落とせないのが海上輸送を中心とした物流の構造変化です。
ナフサは国内で完結する資源ではなく、多くを海外から輸入しているため、「どこで生産されるか」だけでなく「どう運ばれてくるか」が供給を左右する重要な要素になります。

そして現在、この物流の部分で起きている変化は、一時的な混乱ではなく、世界的な需給構造の変化に伴って必然的に起きているものと考える必要があります。

たとえば日本に輸入されるナフサの多くは、中東やアジア地域からタンカー船で運ばれます。
その際に通過する代表的なルートが、ホルムズ海峡 → インド洋 → マラッカ海峡 → 南シナ海といった国際航路です。

この中でも特に重要なのがホルムズ海峡です。
ここは世界の原油・ナフサ輸送の大動脈ともいえる場所で、もし緊張状態が高まると、タンカーの航行制限・警戒強化・航路変更といった影響が現実に起こります。

実際に過去には、軍事的緊張の高まりによってタンカーの護衛が必要になったり、保険料が急騰したりするケースがありました。
この「保険料の上昇」は見落とされがちですが、輸送コストに直結する重要な要素で、1回の輸送で数百万円〜数千万円単位のコスト差が生じることもあります。

さらにリスクが高まると、安全確保のために航路を迂回することもあります。
その場合、輸送する日数が数日〜1週間以上延びることもあり、納期の遅れと輸送コストの増加が同時に発生してしまいます。

また、マラッカ海峡のような狭い航路では、船舶の集中による渋滞が起きやすく、天候や事故の影響を受けると、一時的に物流全体が滞ってしまうこともあります。
これは道路でいう「高速道路のボトルネック」に近く、一箇所の詰まりが全体の遅延につながる構造になっています。

加えて近年は、以下のような要因が同時に重なっています。

  • ■ 船員不足による運航スケジュールの乱れ
  • ■ 港湾の人手不足・ストライキによる荷役遅延
  • ■ コンテナ・タンカー不足による輸送能力制限
  • ■ 燃料費(バンカー油)の高騰による運賃上昇
  • ■ 国際情勢による航路制限・検査強化

これらは単独でも影響を与えますが、実際には複数が同時に発生することで、輸送の遅延・コスト増・供給の不確実性が連鎖的に拡大します。

ここで重要なのは、ナフサ不足は必ずしも「生産されていない」状態だけを指すわけではないという点です。
実際には、ナフサは存在しているのに、輸送や通関の遅れで予定通り届かないことによって、「不足」として現場で認識されるケースが増えています。

つまり現在は、供給力=生産力+輸送力+流通安定性という考え方で捉える必要があります。

外壁塗装の現場で例えると、これは「材料は確保しているのに、現場に届かない」という状態に非常に近いものです。
一見すると小さな遅れに見えても、実際の現場では次のような影響が積み重なっていきます。

  • ■ 工程のズレ:塗料やシーリング材が遅れることで、予定していた作業ができず、工期全体が後ろ倒しになる
  • ■ 足場費用の増加:足場の延長が必要になり、想定外のコストが発生するケース
  • ■ 職人の手待ち・再手配:段取り変更により人員配置が崩れ、効率が低下する
  • ■ 材料ロットのばらつき:入荷時期のズレにより、微妙な色差や質感差が出るリスク
  • ■ 代替材料の検討:同等品への切り替えが必要になり、仕様変更の判断が求められる

特に注意が必要なのが、「予定通りに入る前提」で組まれている工程が送れることです。
外壁塗装は、下地処理・乾燥時間・塗り重ねのタイミングなど、細かな積み重ねで品質が決まる工事です。
そのリズムが崩れると、単なる遅れだけでなく、仕上がりや耐久性にも影響が及ぶ可能性があります。

また最近では、塗料メーカー側でも原料調達の影響を受け、出荷調整や納期の変動が発生することがあります。
そのため現場では、「この塗料を使う予定だったが納期が読めないため、別の選択肢も検討する」といった判断が求められるケースも増えています。

これは単なるコストの問題ではなく、品質・意匠・耐久性をどう担保するかという、塗装店の提案力そのものが問われる場面でもあります。

ナフサの物流問題は、こうした現場の変化の「根本原因」にあたります。
原料の流れがわずかに滞るだけで、その先にある塗料・資材・工事全体に影響が連鎖していくのです。

そして今後の見通しとしては、この状況がすぐに安定するとは考えにくいのが現実です。
中東情勢の不確実性、航路の混雑、エネルギー需給の変化などが重なり、物流は「不安定が前提」となる時代に入っています。

このように、ナフサ不足は単なる資源量の問題ではなく、「運ぶ過程に潜むリスクが顕在化している状態」として理解することが重要です。
そしてその影響は、塗装工事の価格や納期だけでなく、施工品質や提案内容までに及びます。
だからこそ、今の外壁塗装は「材料があるか」ではなく「安定して確保できるか」まで含めて考える時代に入っていると言えるでしょう。

4. 日本国内ではどのような対応が進められているのか?

外壁塗装 ナフサ不足 日本国内ではどのような対応が進められているのか? イメージ

ナフサ不足や価格高騰に対して、日本国内でもすでにさまざまな対策が進められています。
調達方法の見直しや原料の多様化など、供給を安定させるための動きが現場レベルでも広がっているのが現在の状況です。

4-2. 調達先の分散と安定調達の強化が行われています

ナフサ不足や価格の不安定化に対して、日本国内でまず進められているのが、調達先の分散と安定供給体制の強化です。

これまでナフサの調達は、コストや効率を重視するあまり、特定の地域やルートに依存する傾向もありました。
しかし近年では、その「効率優先の調達構造」がリスクになる場面が増えてきたため、あえて分散させることでリスクを抑える考え方へとシフトしています。

具体的には、輸入先の国や地域を複数に分けるだけでなく、契約形態の見直しや長期契約とスポット調達のバランス調整など、さまざまな工夫が行われています。
また、サプライチェーン全体を見直し、どこで滞りが起きても影響を最小限に抑えられるよう、柔軟性を持たせる取り組みも進められています。

たとえば実務レベルでは、次のような対応が進められています。

  • ■ 中東依存を抑えるため、複数地域からの調達ルートを並行して確保する
  • ■ 短期調達だけに頼らず、一定量を長期契約で押さえて価格変動リスクを和らげる
  • ■ 原料の受け入れ時期を分散し、特定時期への集中を避ける
  • ■ 港湾・輸送会社・倉庫会社との連携を強め、物流遅延時の代替ルートを準備する
  • ■ 自社内の在庫水準を見直し、必要最低限すぎる在庫体制から少し余裕を持った管理へ切り替える
  • ■ 原料の性質に応じて、生産ライン側の受け入れ条件を調整できるようにしておく

ただし、この対応は決して「すぐに効果が出る万能策」ではありません。
ナフサは単なる商品ではなく、精製設備や石油化学プラントとの相性、品質規格、輸送条件などが密接に関係するため、どこからでも同じように調達できるわけではないという制約があります。

たとえば、原料の性質がわずかに異なるだけでも、製造工程に調整が必要になることがありますし、輸送距離が伸びればコストや納期にも影響します。
そのため、調達先を増やすというのは単純な話ではなく、設備・契約・物流を含めた全体の再設計に近い取り組みになります。

さらに、分散調達はリスク低減には有効ですが、その一方でコストが上がる要因にもなります。
これまでのように最も安いルートだけを選ぶのではなく、「多少コストがかかっても安定を優先する」という判断が増えているため、結果として原料価格全体の押し上げにもつながっています。

また、日本国内では石油化学メーカーや関連企業の間で、情報共有を早める動きも重要になっています。
原料の入荷見通し、価格改定の時期、物流の遅延リスクなどをできるだけ早く把握し、製造計画や販売計画へ反映させることで、急な混乱を避けようとする流れです。

外壁塗装の現場で例えるなら、材料の仕入れ先を一社に絞るのではなく、複数ルートを確保しておくようなイメージです。
ひとつの仕入先が止まっても工事が止まらないという安心感はありますが、その分、在庫管理やコストのバランス調整は難しくなります。

実際、塗装業者の立場でも、以前より「必要な時に当然入る前提」で材料を考えにくくなっているため、早めの材料確認や代替品の検討、見積り有効期限の設定管理などがより重要になっています。

ナフサの調達も同じで、安定性を高めるための取り組みが進む一方で、コストや手間はどうしても増えていきます。
つまり現在の対応は、短期的な解決というよりも、長期的に安定した供給を維持するための「体質改善」に近いものです。
この流れは今後も続いていくと考えられ、塗料や建材の価格にも影響を与えていくことが予想されます。

4-3. 石油化学産業の再編と高付加価値化のシフトが行われています

日本国内では、ナフサを取り巻く環境の変化に対応するため、石油化学産業そのものの構造転換が進められています。
人口減少や需要の成熟化により、従来のような大量生産・大量供給モデルだけでは採算が合いにくくなってきたことが、その背景にあります。

そのため現在は、製油所や石油化学プラントの統廃合、生産ラインの集約、設備の効率化といった再編が進むと同時に、より付加価値の高い製品へシフトする動きが強まっています。
たとえば、高機能樹脂や特殊用途の化学製品など、価格競争に巻き込まれにくい分野への投資が増えています。

ここで重要なのは、この流れを単なる「縮小」として捉えないことです。
むしろ、限られた原料や設備を、より収益性の高い分野へ最適配分していくという、戦略的な再構築ともいえます。
言い換えれば、「量」よりも「質」を重視する産業構造へ移行している段階です。

ただし、この変化はナフサの需給にも影響を与えます。
生産設備が集約されることで供給能力に余裕がなくなりやすくなったり、用途の優先順位が変わることで、従来は安定して供給されていた分野に影響が及ぶ可能性も出てきます。

また、高付加価値製品へのシフトは、必ずしも価格低下にはつながりません。
むしろ、製品の性能や品質が向上する一方で、原料や製造コストの構造が変わるため、結果として材料価格が下がりにくい環境が形成されていく側面もあります。

そしてこの流れは、塗料メーカーの取り組みにもはっきりと表れています。
現在、多くの塗料メーカーでは次のような対応が進められています。

  • ■ 耐候性・低汚染性・遮熱性など高機能塗料の開発強化
  • ■ 樹脂配合の最適化による性能とコストのバランス調整
  • ■ 水性塗料や環境対応型製品へのシフト
  • ■ 製造工程の効率化・省エネルギー化
  • ■ 長寿命化によるライフサイクルコストの低減提案

つまり、単純に「材料を安くする」のではなく、より長持ちし、汚れにくく、メンテナンス回数を減らせる塗料へと進化しているのが現在の特徴です。
これは結果的に、住まい全体の維持費を抑えるという意味でも合理的な流れといえます。

外壁塗装の現場で考えると、これは単に材料が「高くなった」というよりも、「求められる性能や品質が変わってきた」と捉えるほうが実態に近いかもしれません。
耐久性・低汚染性・遮熱性など、より高度な性能が求められる中で、それに応じた材料選びや施工が必要になっています。

一方で、このような産業再編の過程では、一時的に供給バランスが不安定になることもあります。
設備の統合や停止、ラインの切り替えなどが行われる中で、一時的な供給不足や納期の揺れが発生しやすくなるためです。

これは住まいのリフォームに少し似ています。
工事中はどうしても生活が不便になる場面がありますが、その先にはより快適な空間ができます。
石油化学産業も同様に、今はちょうどその「移行期」にあたる段階といえます。

このように、日本国内では石油化学産業の再編と高付加価値化が進み、原料の使われ方や供給のあり方そのものが変わりつつあります。
それはナフサの需給や価格にも間接的に影響し、最終的には塗料や建材の価格、そして外壁塗装の費用や提案内容にもつながっていきます。
短期的な変動だけでなく、長期的な構造変化として捉えることが重要なポイントです。

4-4. バイオマス原料や再生原料の活用も進められています

ナフサのような化石燃料由来の原料に供給不安や価格変動のリスクがある中で、将来的な対応策として注目されているのが、化石燃料だけに依存しない原料開発です。
具体的には、植物などをもとにしたバイオマス由来原料、使用済みプラスチックを化学的に分解して再び原料として活用するケミカルリサイクル、廃棄物由来の資源循環など、複数の取り組みが少しずつ進められています。

こうした流れの中で、塗料メーカーや溶剤メーカーでも、具体的な取り組みがすでに始まっています。
たとえば、従来ナフサ由来で製造されていた樹脂や溶剤の一部をバイオマス由来原料に置き換えた塗料の開発や再生原料を一部配合した製品の実用化が進められています。

また、溶剤メーカーでは、廃プラスチックや廃溶剤を再処理し、再び工業用溶剤として利用する再生溶剤(リサイクル溶剤)の活用も進んでいます。
これにより、新規ナフサの使用量を抑えながら、一定の品質を維持する技術開発が行われています。

さらに塗料メーカー側でも、次のような取り組みが現実的に進められています。

  • ■ バイオマス原料を一部配合した環境対応型塗料の開発・販売
  • ■ 従来よりナフサ依存度を下げた水性塗料・低溶剤塗料の拡充
  • ■ 原料変更に対応できるよう、樹脂設計や配合技術の見直し
  • ■ 再生原料を使いながらも性能を維持するための品質評価・試験体制の強化
  • ■ 製造工程での廃棄物削減・再利用による資源循環型生産への転換

ただし、こうした原料は、現時点ではまだ従来のナフサを全面的に置き換えられる段階にはありません。
供給量、コスト、品質の安定性、既存設備との適合性など、乗り越えるべき課題は多く、すぐに主流へ入れ替わるわけではないのが現実です。
特に塗料の場合、耐候性・密着性・施工性といった性能が厳しく求められるため、わずかな原料変更でも慎重な検証が必要になります。

それでも、従来の原料だけに頼り続けること自体が、将来的には大きなリスクになり得るため、今のうちから複数の選択肢を育てていくことが重要になっています。

ここで大切なのは、これらの取り組みを単なる「環境にやさしい新技術」として見るだけでは足りないという点です。
もちろん、脱炭素や資源循環の観点からも大きな意味があります。
ただそれ以上に、原料価格の急変や国際情勢による供給不安が起きたときに、調達先や原料の選択肢を広げておくこと自体が、産業全体の強さにつながるという見方がとても重要です。

たとえば、今まで一本の原料ルートだけに頼っていたものが、バイオマス原料や再生原料という別の道を持つことで、将来的には価格変動や供給障害の影響を受けにくくなる可能性があります。
これは、単に「代替品をつくる」という話ではなく、原料調達そのものを多層化していく動きともいえます。

塗装工事の現場で考えると、この変化はすでに少しずつ現れています。
同じグレードの塗料でも、施工方法や仕様がアップデートされていたり、水性塗料の選択肢が増えたりと、知らないうちに「原料構成」が変わっているケースもちらほら出てきています。

そのため今後は、単に「どの塗料を使うか」だけでなく、その塗料がどのような原料でどのような背景で作られているかまで含めて理解し、適切に選定することが重要になっていきます。

もちろん、こうした新しい原料が実際に広く普及するまでには時間がかかります。
品質評価、安全性、量産体制、コストバランスなど、ひとつひとつ丁寧に積み上げていかなければなりません。
だからこそ今進められている取り組みは、即効性のある解決策というよりも、将来の供給安定性を高めるための、地道で長期的な備えと考えるのが自然です。

いわば、一本の大きな水道管だけに頼るのではなく、複数の水源を少しずつ整えておくようなものです。
普段は主役に見えなくても、いざという時にはその備えが全体を支えてくれます。

このように、バイオマス原料や再生原料の活用は、環境配慮のためだけでなく、将来的な原料不足や価格高騰への備えとしても大きな意味を持っています。
そしてその流れは、塗料の仕様や選び方、ひいては外壁塗装の提案内容そのものにも、少しずつ影響を与えていく時代に入っています。

4-5. 材料を使う側での使用量調整と価格転嫁が進められています

ナフサをはじめとする原料価格の上昇が続く中で、現実的に進められているのが、材料を使う側(外壁塗装業者など)での使用量調整と価格の見直しです。

具体的には、塗料メーカーや建材メーカーが製品設計を見直し、必要な性能を確保しながらも無駄のない配合へと調整したり、製造工程の効率化を図ったりといった取り組みが進められています。
また、輸送コストや原材料費の上昇を受けて、製品価格の改定も段階的に行われています。

こうした動きは、一見すると「値上げ」というイメージが強く、どうしてもネガティブに受け止められがちです。
しかし現実として、原料費や物流費が上がり続ける中で、価格を据え置き続けることには限界があります。
無理に価格を抑え込めば、どこかで帳尻を合わせる必要が出てきてしまい、品質の低下や供給不安といった形で影響が表に出てしまうリスクもあります。

そのため現在は、「適正な価格で、適正な品質を維持する」という方向へと、産業全体が少しずつ舵を切っている段階とも言えます。
これは単なるコストアップではなく、長期的に見て安定した供給と品質を守るための調整でもあります。

また、使用量の最適化という点も重要なポイントです。
たとえば同じ性能を確保できるのであれば、過剰な材料使用を見直すことで、資源の無駄を減らしながらコストバランスを整えることができます。
ただしここで注意が必要なのは、「最適化」と「単なる削減」は全く別物であるということです。

本来の最適化とは、性能・耐久性・安全性を確保したうえで無駄を省くことを意味します。
一方で、過度なコスト削減は必要な性能まで削ってしまう可能性があり、結果として早期劣化やトラブルにつながることもあります。

そして、この変化は塗料メーカーだけでなく、塗装業者の現場や業務の中にも確実に影響しています

  • ■ 仕入れ価格の変動に合わせた見積り精度の見直し
  • ■ 材料ロスを減らすための塗布量管理・工程管理の徹底
  • ■ 代替材料の選定・検証にかかる時間の増加
  • ■ 見積り有効期限の短期化への対応
  • ■ お客様への説明内容の高度化(価格背景・仕様理由の明確化)
  • ■ 在庫管理・発注タイミングの最適化

たとえば以前であれば、ある程度余裕を持って材料を確保できたものが、現在では価格や納期の変動を見ながら慎重に判断する必要があります。
また、同じ塗料を使う場合でも、塗布量や施工精度をよりシビアに管理することが、品質とコストの両立に直結するようになっています。

さらに、お客様への説明内容も大きく変わってきています。
ただ単に「この塗料がおすすめです」ではなく、なぜこの仕様なのか、なぜこの価格になるのか、どこが重要でどこは調整できるのかまで、背景を含めてお伝えすること自体が、品質の一部になっています。

これは外壁塗装の本質とも重なります。
適切な塗布量、正しい工程、十分な下地処理といった基本を守ることが、仕上がりと耐久性を大きく左右します。
もし価格だけを優先してこれらが省略されてしまえば、見た目はきれいでも長持ちしない工事になってしまう可能性があります。

安いこと自体は決して悪いことではありません。
ただ、その安さが「見えない工程の省略」や「材料品質の低下」で成り立っているとしたら、長い目で見たときに安心とはいえません。

現在進められている価格転嫁や使用量の見直しは、そうした無理のある構造を是正し、適正な品質と供給を維持するための調整ともいえます。
塗装工事においても同様に、「なぜこの価格なのか」という背景を理解することが、後悔のない選択につながります。
目先の金額だけでなく、その先の安心まで見据えた判断が、これからの時代にはより大切になってきます。

5. ナフサ不足が外壁塗装業界に与える影響

ナフサ不足が外壁塗装業界に与える影響 イメージ

ここは、住まいのメンテナンスを考える上で特に重要なポイントです。
ナフサ不足や価格高騰は、遠いニュースの話ではなく、外壁塗装や屋根塗装の現場に直接影響を与えています

しかもその影響は、「材料費が上がった」という単純な話ではなく、コスト・納期・施工品質といった複数の要素に広がっています。
ここでは、その影響を3つの視点から整理していきます。

5-1. 材料価格の上昇と工事費への影響

外壁塗装 ナフサ不足 材料価格の上昇と工事費への影響 イメージ

ナフサ不足の影響として最も分かりやすいのが、材料価格の上昇です。
塗料はもちろん、シーリング材、防水材、下塗り材など、樹脂を使用する材料の多くがナフサ由来のため、原料価格の変動がそのまま反映されやすい特徴があります。

  • ■ 塗料(アクリル・シリコン・フッ素樹脂など)の価格上昇
  • ■ シーリング材(ポリウレタン・変成シリコンなど)の値上げ
  • ■ 樹脂系下塗り材(シーラー・フィラー)のコスト増
  • ■ 養生材・容器・副資材などの価格上昇

さらに見落とされがちですが、これらは単独で上がるのではなく、複数の材料が同時に上昇することで、工事全体のコストが押し上げられる傾向があります。

お客様から見ると「少し高くなった」と感じる程度でも、現場では複数の積み重ねによって、想像以上に原価へ影響しているのが実情です。

5-2. 納期・工程への影響と工事リスク

もうひとつ重要なのが、納期や工程への影響です。
材料の供給が不安定になることで、これまで当たり前だった「必要な時に入る」という前提が崩れつつあります。

  • ■ 予定していた塗料・材料が入荷しない
  • ■ メーカー回答待ちによる着工遅れ
  • ■ 代替材料の選定・承認に時間がかかる
  • ■ 工程の組み直し・職人の再手配が必要になる
  • ■ 足場の延長など追加コストが発生するケース

外壁塗装は、下地処理・乾燥時間・塗り重ねなど、工程の積み重ねで品質が決まる工事です。
そのため、一部の材料が遅れるだけでも、全体の段取りや仕上がりに影響が及ぶ可能性があります。

さらに現在は、見積りの有効期間も短くなる傾向にあり、材料価格の変動を反映して、短期間で再見積りが必要になるケースも増えています。

5-3. 現場対応と塗装店の提案力の重要性

こうした環境変化の中で、現場や業者側ではすでにさまざまな対応がとられています。
ですから、単に価格上昇を受け入れるのではなく、品質を維持しながら安定して施工するための工夫が求められています。

  • ■ 材料の早期発注・在庫管理の強化
  • ■ 複数メーカーからの調達による供給リスク分散
  • ■ 工程の最適化と無駄のない施工計画
  • ■ 塗布量・乾燥時間など品質基準の厳守
  • ■ 代替材料の選定と性能検証の徹底
  • ■ 見積り条件や価格変動リスクの明確化

つまりこれからの塗装店には、単に施工するだけでなく、材料背景・供給状況・コスト構造まで踏まえて提案できる力が求められています。

外壁塗装は、完成するときれいに見える工事ですが、実際の品質は見えない部分の積み重ねで決まります。
材料選び・工程管理・段取り調整といった裏側の判断こそが、仕上がりと耐久性を左右します。

ナフサ不足という一見遠い問題も、こうした現場の判断にまでつながっています。
だからこそ、これからの外壁塗装では価格だけでなく、その背景にある理由や考え方まで理解することが、納得できる工事への第一歩になります。

6. これから外壁塗装を考える方へ|失敗しないための判断ポイント

外壁塗装 ナフサ不足 これから外壁塗装を考える方へ|失敗しないための判断ポイント イメージ

外壁塗装を取り巻く環境は、原材料価格や物流の影響により、これまで以上に変化しやすい時代になっています。
そのため、「なんとなく選ぶ」のではなく、理由を理解して判断することがとても大切になっています。

ここでは、後悔しない外壁塗装のために意識したいポイントを、3つに分けて具体的にお伝えします。

6-2. 外壁塗装は、「安さ」だけで判断しないこと

まず大切なのは、見積りの金額の安い、高いだけではなく、その中身が具体的に説明されているかを確認することです。

  • ■ 塗料のメーカー名・製品名・グレードが明記されているか
  • ■ 「3回塗り」だけでなく、下塗り・中塗り・上塗りの内容が分かるか
  • ■ 塗布量(㎡あたり何kg使うか)や希釈率の説明があるか
  • ■ シーリングの打ち替え・増し打ちの判断が記載されているか
  • ■ 付帯部(雨樋・破風・軒天など)の塗装範囲が明確か

見積りがシンプルすぎる場合、「後から追加」や「必要な工程が省かれている」可能性もあります。
見積りは「金額表」ではなく、「工事内容の設計図」として見ることが大切です。

ここが曖昧なまま契約してしまうと、仕上がりや耐久性に差が出る原因になります。

6-3. 材料と施工の「品質基準」を理解する

次に重要なのが、材料と施工の品質がどのように担保されているかです。

  • ■ 塗料メーカーの仕様(塗布量・乾燥時間)を守る説明があるか
  • ■ 下地処理(ひび割れ補修・ケレン・洗浄)の内容が具体的か
  • ■ 工程ごとの写真や報告の提出があるか
  • ■ 使用缶数や材料管理の考え方が説明されているか
  • ■ 代替材料を使う場合の理由と性能説明があるか

外壁塗装は、同じ材料を使っていても、施工の仕方で耐久性が大きく変わります。
特に現在は原料環境が変化しているため、仕様通りに施工されているかどうかが、これまで以上に重要です。

価格だけでなく、「どう施工するか」まで説明してくれる業者かどうかが、品質の分かれ目になります。

6-4. タイミングと提案内容の「バランス」で判断する

最後に大切なのが、工事のタイミングと提案内容のバランスです。

  • ■ 劣化状況に対して「今必要な工事か」の説明があるか
  • ■ すぐ施工すべき部分と様子を見ても良い部分が分けられているか
  • ■ 将来的なメンテナンスまで考えた提案になっているか
  • ■ 価格変動や納期リスクについて、現実的な説明があるか

外壁塗装は早すぎても遅すぎても無駄が出る工事です。
特に劣化が進行してからの補修は、余計な工事や費用が増えてしまうケースが多くなります。

また現在は、材料価格や供給状況の影響もあるため、現実的な条件の中で最適な判断をすることが重要です。

そのためには、「安い提案」だけでなく、なぜその仕様なのかを説明してくれる提案を選ぶことが、結果的に満足度の高い工事につながります。

外壁塗装は、見た目だけでなく住まいを守る大切な工事です。
だからこそ、価格・品質・タイミングをバランスよく見ながら、納得して選ぶことが何より重要です。

6-5. これからの塗装業者に求められる在り方とは?

結論からお伝えすると、これからの塗装業者には「価格の説明ができる業者」から「背景まで含めて提案できる業者」へと進化することが求められます。

ナフサ不足や原材料価格の高騰により、塗料や副資材の価格は今後も変動しやすい状態が続くと考えられます。
そのため、これまでのように「決まった仕様・決まった金額」で提案するだけでは、お客様にとっても判断が難しい時代になっています。

だからこそ重要になるのが、工事の中身と優先順位をきちんと整理して伝える力です。
単に「この塗料が良い」「このプランがおすすめ」という説明ではなく、なぜその選択なのか、どこにコストがかかっているのかを丁寧に説明することが、信頼につながります。

  • ■ 材料価格の変動を踏まえた現実的な見積り提案ができるか
  • ■ 塗料だけでなく、下地処理や施工品質の重要性を説明できるか
  • ■ 「削ってはいけない工程」と「調整可能な部分」を明確に分けているか
  • ■ 納期や材料確保のリスクまで含めて共有しているか
  • ■ 長期的な耐久性とコストのバランスを考えた提案になっているか

また、これからは見積りや口頭説明だけでなく、契約書の記載内容をより明確に整えておくことも重要になります。
特に現在のように、原材料価格や物流費が情勢によって大きく変動しやすい時代では、契約時点と着工時点で材料価格が変わる可能性もあります。
そのため、工事契約書には情勢変化による見積価格の変動や、やむを得ない値上げの可能性について、あらかじめ明記しておくことが必要です。

これは単に業者側を守るためだけではありません。
お客様にとっても、「あとから急に話が変わった」と感じるトラブルを防ぎ、価格変動リスクを事前に共有したうえで、納得して契約できる状態をつくるという意味で、とても大切なことです。

また、現場の視点では、材料の選定や段取りにも変化が求められます。
たとえば、供給が不安定な材料に過度に依存しない選定や、納期のズレを見越した工程管理、在庫状況に応じた柔軟な対応など、これまで以上に「現場対応力」が品質を左右する要素になっています。

さらに今後は、価格だけで比較されるのではなく、「どこまで説明してくれるか」「どこまで見えない部分に向き合っているか」が、業者選びの大きな基準になっていきます。

外壁塗装は、完成直後の見た目だけで評価される工事ではありません。
数年後の状態や、メンテナンス性まで含めて初めて価値が決まる工事です。
だからこそ、短期的な価格だけにとらわれず、長く住まいを守るための視点で提案できる業者が、これからより一層求められていくと考えられます。

これからの時代は、「安いかどうか」ではなく、「なぜその工事なのか」を納得して選ぶことが重要になります。
その説明責任を果たし、契約内容まで含めて誠実に見える化し、お客様と同じ目線で住まいを考え続けること。
それこそが、これからの塗装業者に求められる本質的な役割だと言えるでしょう。

7. 外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関係性 まとめ

外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関係性 まとめ イメージ

ナフサ不足という言葉は、普段の暮らしの中ではあまり聞き慣れないものかもしれません。
しかし実際には、塗料や建材の原料として、外壁塗装の費用や工事計画に静かに、そして確実に影響を与えている存在です。

そしてその背景には、原油価格の変動、為替の影響、物流の不安定化、さらには産業構造の変化といった、いくつもの要因が重なり合った「構造的な変化」があります。
つまり今回の値上げは、一時的な出来事というよりも、これからの外壁塗装の「前提」が変わりつつある流れと捉えることが大切です。

だからこそこれからの外壁塗装では、単純に「安い・高い」で判断するのではなく、
なぜこの塗料なのか、なぜこの仕様なのか、なぜこの価格になるのか――その理由まで理解したうえで選ぶことが、後悔しないための大切なポイントになります。

外壁塗装は、単なる見た目のリフォームではなく、住まいを長く守るための大切なメンテナンスです。
見えない部分の積み重ねが、仕上がりの美しさや耐久性、そしてその後の安心感に大きく関わってきます。

価格が上がっている今だからこそ、「何にどれだけ価値があるのか」を見極めることが、これまで以上に重要になっています。
そしてその判断には、正確な情報と、現場を理解しているプロの視点が欠かせません。

もし少しでも迷われたときは、どうぞお気軽に相談ください。
小林塗装では、材料の背景や今後の動向まで踏まえながら、住まいにとって無理のない、そして長く安心できる外壁塗装をご提案しています。
目に見える仕上がりはもちろん、その先の暮らしまで見据えた提案を大切にしています。

8. 外壁塗装のナフサ不足に関するよくあるQ&A

外壁塗装のナフサ不足に関するよくあるQ&A イメージ

ここでは、ナフサ不足や原材料高騰について、お客様から実際に聞かれやすい疑問をQ&A形式で分かりやすくまとめました。
少し専門的に見えるテーマですが、塗料やシーリング材、工事費用ともつながる大切な話です。
外壁塗装の見積りを見る際の判断材料としても、ぜひ参考にしてください。

Q1. ナフサ不足というのは、「日本に材料が全く入ってこない」という意味ですか?

A. 必ずしも「完全に入ってこない」という意味ではなく、「安定して、適正な価格で、必要な時に入ってきにくくなる状態」といえます。

「不足」と聞くと、店頭から商品が消えるような極端な状態を想像されるかもしれません。
しかし実際には、ナフサ不足はもっとゆっくり響いてくることが多いです。

たとえば、数量はある程度確保できていても、価格が大きく上がっていたり、納期が不安定になっていたり、仕入れ条件が厳しくなっていたりすることがあります。
つまり、「ナフサがあるか、ないか」だけではなく、「どういう条件で入るか」が悪化することも、現場にとっては大きな問題です。

塗装工事でいえば、材料そのものがゼロではなくても、入荷時期が読みにくくなったり、前回見積り時より価格が変わったりすれば、工事計画には十分影響します。
まるで、予約の取れる人気店のようなものです。席はゼロではなくても、以前のように気軽には取れない。その変化が、意外と大きいのです。

Q2. ナフサ不足になると、なぜ塗料やシーリング材まで高くなるのですか?

A. 塗料やシーリング材の中には、ナフサ由来の樹脂原料や化学原料が多く使われているためです。

塗料は単に「色のついた液体」ではありません。
塗膜をつくるための樹脂、性能を安定させるための添加剤、密着性や耐久性に関わる成分など、さまざまな化学材料で成り立っています。

シーリング材や防水材も同様で、弾性や耐候性、防水性を支えるために、石油化学由来の材料が多く関係しています。
そのため、ナフサ価格が上がると、原料メーカー、材料メーカー、建材メーカーへと順番に影響が広がり、最終的に工事価格にも反映されやすくなります。

たとえるなら、パン屋さんの小麦やバターが高くなると、食パンだけでなく、クロワッサンも焼き菓子も影響を受けますよね。
ナフサもそれに近く、住宅メンテナンスの材料にとっては、見えないけれど土台にいる存在です。

Q3. 今の材料高騰は一時的なものですか? しばらく待てば安くなりますか?

A. 一時的な上下はあっても、以前のような安定した安値にすぐ戻るとは考えにくいです。

原材料の価格は常に動きますので、短期的に少し下がる局面はあり得ます。
ただ、今起きている問題は、単なる一時的な投機や一過性の品薄だけではありません。

その背景には、原油価格の不安定化、為替の影響、物流コストの上昇、石油化学設備の統廃合、脱炭素の流れによる投資抑制など、構造的な要因が重なっています。
そのため、全体としては「急落」よりも「高止まり」を前提に考えたほうが現実的です。

好きな洋服でも、以前は気軽に買えた定番品が、気づけば少しずつ値上がりしていることがありますよね。
しかも一度上がった価格は、セールはあっても、完全には元に戻りにくい。材料の世界も、今はまさにそんな空気感です。

Q4. ナフサ不足の影響があるなら、塗装工事は早めにしたほうがよいのでしょうか?

A. 建物の劣化が進んでいる場合は、「価格が落ち着くのを待つ」より、適切な時期にきちんと工事を行うほうが結果的に有利なことが多いです。

もちろん、焦って契約する必要はありません。
けれど、ひび割れ、チョーキング、シーリングの劣化、防水性の低下などが進んでいる状態で長く先延ばしすると、補修範囲が広がり、かえって総額が大きくなることがあります。

特に外壁や屋根は、表面の傷みだけでなく、その下の下地や防水層へ影響が及ぶと、単なる塗装では済まなくなるケースもあります。
ですから、材料高騰だけを理由に待つかどうかを決めるのではなく、今の住まいの状態と、どの程度の緊急性があるかで判断することが大切です。

服の小さなほつれも、早めなら簡単に直せるのに、放っておくと大きく裂けてしまうことがあります。
住まいのメンテナンスも、それによく似ています。待つことが正解の時もありますが、待ちすぎは別のコストを生むこともあります。

Q5. 見積りが高く感じるとき、どこを見れば「妥当かどうか」が分かりますか?

A. 金額だけでなく、材料名・工程・下地処理・付帯部の仕様まで具体的に書かれているかを見ることが大切です。

見積りは、合計金額だけを見ても本当の比較はできません。
同じ「外壁塗装一式」でも、下地補修の範囲、シーリングの仕様、下塗り材の性能、塗装回数、付帯部の扱いなどによって、中身は大きく変わります。

また、材料価格が不安定な時代ほど、誠実な業者は見積りの根拠を丁寧に説明します。
価格が単に高い・安いだけでなく、なぜその仕様が必要なのかどこを削ると品質リスクが出るのかを説明できるかが重要です。

少し背伸びをして選ぶ上質なコートも、「生地」「縫製」「着た時のシルエット」で納得感が変わりますよね。
塗装工事も全く同じで、値札だけではなく、中身を見てはじめて判断できます。

Q6. 材料が高いなら、安い塗料に変更すれば問題ありませんか?

A. 一概には言えませんが、単純に安い材料へ切り替えるだけでは、将来的な塗り替え周期や不具合リスクまで含めると、かえって不利になることがあります。

塗料には、耐候性、低汚染性、柔軟性、防カビ・防藻性、艶の持ちなど、それぞれ性能差があります。
価格だけを見てグレードを下げると、短い年数で再塗装が必要になったり、建物との相性が悪くなったりすることもあります。

もちろん、必要以上に高価な塗料を選べばよいという話でもありません。
本当に大切なのは、家の外壁材・立地条件・予算・今後の住まい方に合った仕様を選ぶことです。

高級レストランがいつでも正解ではないように、塗料も「高いほど正しい」わけではありません。

Q7. 日本国内では、ナフサに代わる材料や対策は進んでいるのですか?

A. はい。バイオマス由来原料や再生原料の活用、石油化学産業の再編、調達先の分散など、複数の対応が進められています。

ただし、現時点では「すぐに全部置き換えられる」という段階ではありません。
代替原料は期待が大きい一方で、供給量、コスト、品質の安定性、既存設備との相性など、乗り越えるべき課題もあります。

そのため、現実的には、従来原料を使いながら調達を安定させる努力と、将来的な代替技術の育成を並行して進めている状態です。
つまり、「今すぐ魔法のように解決する策」ではなく、「少しずつ体質を変えていく対応」が中心です。

住まいのリフォームでも、一日で理想の家に変わることはありませんよね。
基礎をしっかり見直し、必要な部分から整え、少しずつ暮らしやすさを高めていく。産業の対応も実はそれに近い進み方です。

Q8. これからの時代、信頼できる塗装業者はどこで見極めればよいですか?

A. 材料の背景や工事の意味まで、分かりやすく、正直に説明してくれるかどうかが大きな判断基準です。

これからは、原材料価格や物流事情、製品供給の変動など、工事の外側にある要因まで無視できない時代です。
だからこそ、信頼できる業者は「安くできます」「大丈夫です」と言い切るだけではなく、その前提や注意点まできちんと説明します。

たとえば、なぜこの塗料を選ぶのか、なぜこの下地処理が必要なのか、材料価格の変動をどう見ているのか、工事時期をどう考えるべきか。
こうした点を丁寧に話してくれる会社は、表面だけでなく中身まで大事にしている可能性が高いです。

住まいは、雑貨のように気軽に買い替えられるものではありません。
だからこそ、耳ざわりの良い言葉だけでなく、少し地味でも誠実な説明をしてくれる相手を選ぶことが重要で、結局いちばん安心につながるのは、そういう正直な提案だと考えています。

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ナフサ不足の時代でも安心して任せられる外壁塗装なら小林塗装へ

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外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関係 コラム筆者 小林塗装 店主 小林ゆず

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、コラム「外壁塗装が高くなった理由|ナフサ不足と塗料価格の関係性」の筆者で、名古屋を拠点に「塗装工事の専門店」としてこれまで数多くの現場に携わり、30年以上に亘って培ってきた豊富な知識と経験を大切にしてきました。
当店のホームページでは、そうした多く経験の積み重ねから得た確かな技術やノウハウを外壁・屋根・室内など塗装を検討されている一般のお客様に分かりやすくお伝えできるよう、コラムというカタチで発信しています。

塗装工事は、多くのお客様にとって一生のうちに何度も経験することではなく、「どの塗料を選べば安心なのだろう?」「そもそも何年くらいで塗り替えるのがいいの?」といった疑問や不安が尽きないものだと思います。
だからこそ、自分自身が専門家としての知識を惜しみなく共有しながら、どなたにも気軽に読んでもらえる言葉で、少しでも安心や納得につながる情報をお届けすることを心掛けています。

これからも初めて塗装工事を検討される方はもちろん、ちょっとした疑問を感じている方にも、肩ひじ張らずに読んでもらえる情報を発信し続け、住まいに寄り添う塗装の専門家としてお役に立てたら嬉しいです。

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