弾性スタッコの外壁塗り替えで膨れが発生する原因とは
あるお客様の外壁塗装で、実際に起きた出来事をご紹介します。
そのお住まいは、厚みと柔軟性のある弾性スタッコ仕上げでした。
塗り替えでは外壁用の下塗り材と水性上塗り塗料を組み合わせ、所定の工程を踏んで施工しました。
施工直後は発色も質感も美しく、均一で艶やかな仕上がり。
お客様にも大変喜んでいただけました。
ところが数年が経過すると、日射の影響を強く受ける南面・西面を中心に、小さな膨れが見られるようになりました。
夏の暑い時期には症状が目立ち、指で軽く押すと、ゴムのような弾力と内部に空気が入っているような感触がありました。
膨れた部分を慎重に切り開いて確認すると、内部には細かな空洞が連なり、まるで穴あきチーズのような状態。
表面から見える範囲よりも、内部では塗膜の軟化、層間の密着低下、水分や空気の膨張が複雑に重なっていました。
調査の結果、弾性スタッコの上へ形成した塗膜の透湿性、旧塗膜の軟化、日射熱、下地に残った水分などが重なり、膨れにつながった可能性が高いと判断しました。
このように、日射や水分の影響によって塗膜が押し上げられる現象は、一般に熱膨れ・水分膨れ・ブリスターなどと呼ばれます。
ただし、膨れは一つの原因だけで発生するとは限りません。
透湿性の低い塗膜、乾燥不足、濃色による温度上昇、旧塗膜との相性、雨水の浸入、塗り重ねによる多層化など、複数の条件を一つずつ確認する必要があります。
このコラムでは、弾性スタッコ外壁に膨れが生じる原因、発生しやすい場所、塗料と下塗り材の選び方、すでに膨れている場合の補修方法、費用の目安まで詳しく解説します。
「塗り替えた外壁が膨れてきた」「どこまで直せばよいのか分からない」と不安を感じている方が、状況を整理するための判断材料としてお役立てください。
- ■ 弾性スタッコの特徴と一般的なスタッコとの違い
- ■ 南面・西面で膨れが目立ちやすい理由
- ■ 熱膨れ・水分膨れ・層間剥離の見分け方
- ■ 塗り替えで注意したい下塗り材と上塗り材
- ■ 弾性スタッコ外壁の診断チェック項目
- ■ 膨れが発生した外壁の補修手順
- ■ 膨れ補修と塗り替え費用の目安
- ■ 再発を防ぐために施工店へ確認したいこと
1. 弾性スタッコとは?特徴と仕上がり
スタッコとは、モルタル外壁などへ厚みのある塗材を吹き付け、深い凹凸と陰影をつくる意匠仕上げです。
平滑な塗りつぶし仕上げにはない、ざらりとした素材感と重厚感があり、洋風住宅、南欧風住宅、クラシックな建物などで長く採用されてきました。
弾性スタッコは、塗材へ柔軟性のある樹脂を配合し、通常の硬質スタッコよりもひび割れへ追従しやすくした仕上げです。
モルタル外壁は、温度変化や乾燥収縮、建物の揺れによって微細に動きます。
弾性スタッコは、塗膜がわずかに伸び縮みすることで、細かなクラックへ追従し、防水性を補助する役割を持っています。
- ■ 厚みのある凹凸によって重厚感をつくれる
- ■ 硬質スタッコより微細なひび割れへ追従しやすい
- ■ 塗膜の柔軟性によって雨水の浸入を抑えやすい
- ■ 塗材の種類や模様によって質感が大きく異なる
- ■ 厚膜で柔らかいため、熱と水分の影響を受けやすい場合がある
弾性スタッコは、意匠性と防水性を両立しやすい優れた仕上げですが、厚く柔らかな塗膜であることが、塗り替え時には注意点にもなります。
「スタッコ」という名称だけでは、硬質タイプなのか、弾性タイプなのか、セメント系なのか、合成樹脂系なのかを判断できません。
外観が似ていても、爪で軽く押したときの硬さ、塗膜の厚み、既存塗膜の溶解性、裏側の層構成は異なります。
塗り替え前には、見た目だけで決めず、必要に応じて付着試験や小さな切開調査を行います。
弾性スタッコの塗り替えは、商品名を先に決めるのではなく、既存塗膜が何で、どの層が健全なのかを確認することから始まります。
2. 弾性スタッコが膨れる場所と主な原因
弾性スタッコの膨れは、日射を強く受ける南面・西面で目立つことがあります。
一方、雨水や結露の影響が強い北面、窓まわり、笠木の下、ひび割れ周辺で発生するケースもあります。
つまり、膨れを「太陽の熱だけ」「湿気だけ」と決めつけることはできません。
発生する方角、季節、膨れの形、剥離した層を確認し、原因を整理します。
夏の直射日光を受けた濃色外壁は、表面温度が60℃を超える場合があります。
塗膜が温められると、柔らかな弾性層が軟化し、内部にある空気、水分、残留成分が膨張しやすくなります。
その圧力を上の塗膜が逃がせない場合、風船のように塗膜が押し上げられ、膨れとして現れます。
ひび割れ、窓まわり、笠木、取り合い部などから雨水が浸入すると、モルタルや旧塗膜の内部へ水分が残ることがあります。
日射で温められた水分が水蒸気へ変わり、透湿しにくい塗膜の内側へ圧力をかけると、水分膨れが発生します。
洗浄後の乾燥不足や、結露しやすい環境も同様に注意が必要です。
塗り替えを繰り返した外壁では、弾性スタッコ、下塗り材、複数回の上塗りが重なり、塗膜が何層にもなっていることがあります。
新しい塗膜が健全でも、その下にある古い塗膜の密着力が弱ければ、最も弱い層から剥離します。
高性能な塗料を塗ったことが直接の原因ではなく、新しい塗膜の収縮力や熱負担に、古い層が耐えられなかったケースです。
膨れの原因は、発生位置と剥離面を確認すると絞り込みやすくなります。
| 膨れの傾向 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 南面・西面で夏に目立つ | 日射熱による弾性層の軟化、濃色による温度上昇、内部空気や水分の膨張が考えられます。 |
| 窓・笠木・ひび割れの周辺 | 雨水の浸入、シーリングや取り合い部の防水不良、下地の含水が疑われます。 |
| 塗り替え後の比較的早い時期 | 乾燥不足、塗り重ね間隔、下塗り材の不適合、旧塗膜との層間密着などを確認します。 |
| 広範囲に細かな膨れが連続 | 旧塗膜の多層化、全面的な含水、透湿バランスの不適合など、面全体の問題が考えられます。 |
| 膨れ内部が湿っている | 水分膨れの可能性が高く、雨水の浸入経路と下地含水率の確認が必要です。 |
硬質スタッコやセメント系仕上げでも、下地に水分が残っていたり、塗膜の密着が弱かったりすれば膨れは起こり得ます。
弾性塗材だけに起こる現象ではありませんが、厚みと柔軟性がある仕上げでは、内部圧力の影響が形として表れやすい傾向があります。
膨れを正しく直すには、表面の見た目ではなく、どの層で、何の力によって剥離したのかを確認することが大切です。
3. 弾性スタッコの塗り替えで注意したい塗料と下塗り材
弾性スタッコの塗り替えでは、上塗り塗料の耐候性だけでなく、既存塗膜との相性、透湿性、下塗り材の溶解力、塗膜の硬さを確認します。
「水性なら安全」「透湿型なら膨れない」「シリコンなら長持ちする」といった一つの条件だけでは、適否を判断できません。
透湿性のある塗料は、塗膜内部の水蒸気を外部へ放出しやすく、膨れを抑えるうえで有利です。
ただし、下地へ継続的に雨水が入っている場合や、旧塗膜がすでに浮いている場合は、透湿型塗料を塗るだけでは解決しません。
先に漏水経路と脆弱な塗膜を処置する必要があります。
弾性塗膜の種類によっては、溶剤系シーラーや強い溶解力を持つ材料によって、旧塗膜が柔らかくなったり、縮れたりすることがあります。
そのため、いきなり全面へ塗らず、小さな範囲で試験施工を行い、軟化、縮れ、乾燥後のべたつき、付着性を確認します。
水性カチオン系シーラーが候補になることはありますが、すべての弾性スタッコへ一律に使えるわけではありません。
塗料メーカーの仕様書と現場試験に基づいて選定します。
外壁用サフェーサーや微弾性フィラーは、下地調整、吸い込み止め、細かなひび割れの充填に役立つ材料です。
一方、既存の弾性スタッコが厚く、熱で軟化しやすい状態で、さらに厚い下塗り層を形成すると、塗膜全体の水蒸気の逃げやすさや熱のこもり方が変わります。
既存塗膜の状態によっては、全面を厚く覆うより、脆弱部を撤去し、必要箇所だけを調整したうえで、意匠性塗材改修用の透湿型仕上げ材を使う方法が適する場合があります。
砂壁状・土壁状・スタッコ調の質感を残しながら改修できる製品には、次のようなものがあります。
- ■ エスケー化研「アートフレッシュ」「アートフレッシュF」
- ■ 菊水化学工業「グラナダフレッシュ」「グラナダフレッシュF」
- ■ スズカファイン「ビーズコートフレッシュ」シリーズ
- ■ 日本ペイント「インディフレッシュセラ」
- ■ アイカ工業「ジョリパットフレッシュ」シリーズ
(注意)製品ごとに適用できる旧塗膜が異なります。
たとえば、単層弾性塗膜や特定のシリコン・フッ素塗膜には使用できない製品もあるため、商品名だけで採用せず、最新の仕様書と試験施工で適合性を確認してください。
- ■ 既存仕上げが硬質か弾性かを確認する
- ■ 膨れ・浮き・ひび割れ・含水状態を調べる
- ■ 雨水の浸入経路があれば先に直す
- ■ 脆弱な旧塗膜を撤去する範囲を決める
- ■ 下塗り材を小面積で試験する
- ■ 透湿性・付着性・意匠性を考えて上塗りを選ぶ
- ■ 塗布量と乾燥時間を製品仕様に合わせて管理する
塗料は缶に入っている段階では半製品です。
既存塗膜を見極め、適切な厚みで塗り、十分に乾燥させて初めて、安定した塗膜になります。
弾性スタッコでは、上塗りのグレードよりも、既存層の診断と下塗りを含む塗膜設計が、膨れを防ぐ重要なポイントです。
4. 弾性スタッコ外壁の診断チェックリスト
ご自宅の外壁が弾性スタッコの可能性があるか、塗り替え前に注意すべき状態かを確認するためのチェック項目です。
ただし、触感や音だけで仕上げ材を断定することはできません。
無理に爪を立てたり、膨れを破ったりせず、気になる症状があれば専門店へ相談してください。
- ■ 外壁表面に深い凹凸がある
- ■ 目立たない場所を軽く押すと、わずかに弾力を感じる
- ■ 硬質なセメント系仕上げより、しっとりした触感がある
柔軟性は弾性塗材の特徴ですが、経年劣化による軟化や、溶剤の影響で柔らかくなっている場合もあります。
- ■ 南面・西面に丸い膨らみが点在している
- ■ 夏になると膨れが目立ちやすい
- ■ 濃い色へ塗り替えた面で症状が多い
- ■ 指で押すと柔らかく、内部に空洞を感じる
日射面に集中する場合は熱の影響が疑われますが、内部に水分がなければ必ず膨れるわけではありません。
熱と水分、塗膜の密着を組み合わせて判断します。
- ■ 窓の下や角から膨れが広がっている
- ■ 笠木や手すり壁の下に雨染みがある
- ■ ひび割れに沿って塗膜が浮いている
- ■ 膨れを切ると内部が湿っている
この場合は、表面補修より先に雨水の浸入経路を確認します。
- ■ 旧塗膜が何層も重なっている
- ■ 以前の塗料名や下塗り材が分からない
- ■ 塗膜を切ると異なる色の層が何層も見える
- ■ 一部を剥がすと、下の層までまとまって外れる
多層化した外壁は、表面がきれいでも内部の弱い層から剥離することがあります。
塗り重ね回数が多いほど、付着試験の重要性が高まります。
- ■ 膨れの方角・高さ・発生範囲
- ■ 打診による浮きの範囲
- ■ 下地含水率と雨水浸入の有無
- ■ 膨れを切開した際の剥離層
- ■ 既存塗膜の軟化・べたつき・溶解性
- ■ 下塗り材の試験施工と付着性
- ■ 塗膜色と日射による表面温度
打診音だけで、施工不良か自然劣化かを完全に判定できるわけではありません。
発生時期、剥離面、含水状態、施工履歴を合わせて判断します。
膨れの診断は、病院の診察とよく似ています。
症状だけを隠すのではなく、どこから始まり、何が重なっているのかを確かめることが大切です。
5. すでに弾性スタッコが膨れている場合の補修方法
弾性スタッコの膨れが見つかった場合、最初に確認するのは、どの層で剥離しているのかです。
新しい上塗りだけが浮いているのか、下塗りと旧塗膜の間なのか、弾性スタッコごとモルタル面から剥がれているのかによって、必要な補修範囲が変わります。
- ■ 膨れ・浮きの発生範囲を打診と切開で確認する
- ■ ひび割れ・笠木・窓まわりなどの浸水経路を直す
- ■ 密着していない塗膜を健全部まで撤去する
- ■ 下地を十分に乾燥させ、含水状態を確認する
- ■ カチオン系下地調整材などで段差・欠損を整える
- ■ 既存模様へ合わせてスタッコ模様を復元する
- ■ 試験施工で適合を確認した塗装仕様で仕上げる
膨れの周囲には、目で見えない浮きが広がっている場合があります。
見えている膨れの縁だけを切り取り、上から塗料を塗ると、すぐ近くで再発する可能性があります。
原因が局所的で、周囲の旧塗膜が十分に密着し、下地の含水も低い場合は、部分的な撤去と模様復元で対応できることがあります。
ただし、補修部分は既存面と色・模様・吸い込みが異なるため、部分塗装だけでは補修跡が見える場合があります。
美観を整えるには、面単位での仕上げ塗装が必要になることもあります。
次のような状態では、表面だけの補修では再発しやすく、面単位または全面的な旧塗膜撤去を検討します。
- ■ 細かな膨れが外壁一面へ広がっている
- ■ 打診すると広範囲に軽い浮き音がする
- ■ 旧塗膜が何層もまとめて剥がれる
- ■ 膨れ内部に水分があり、浸水が継続している
- ■ 下地モルタルにも浮き・欠損・大きなひび割れがある
全面撤去は、下地を傷めるリスク、粉じん、騒音、費用を伴います。
既存塗膜が強固に残る部分まで無理に削るのではなく、撤去できる範囲と残す範囲を見極め、必要に応じて絶縁・段差調整を行います。
撤去した部分は、既存の凹凸へ合わせて模様を再現します。
吹付け、ローラー、コテなど、元のパターンに合う方法を選びます。
再発防止のために硬質材料へ変更する場合もありますが、下地のひび割れ追従性が必要な建物では、硬くすればよいとは限りません。
透湿性、柔軟性、模様、既存面との相性を総合して決めます。
膨れ補修で最も重要なのは、「高い塗料を塗ること」ではなく、水分を入れない・弱い層を残さない・新しい塗膜で密閉しすぎないという三つを整えることです。
6. 弾性スタッコの膨れ補修・外壁塗り替え費用の目安
弾性スタッコの補修費用は、膨れの面積だけでなく、剥離している層、撤去の難しさ、模様の深さ、足場の有無によって変わります。
以下は、小規模な戸建住宅で補修を行う場合の一般的な目安です。
最低工事費、養生費、廃材処分費、足場費などは別途必要になる場合があります。
| 工事項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 膨れ・旧塗膜の剥離作業 | 1㎡あたり500~2,500円程度。 塗膜の硬さ、層数、電動工具の使用、下地への密着状態によって変わります。 |
| カチオン系下地調整 | 1㎡あたり750~3,200円程度。 ローラー・刷毛による薄付けと、コテによる厚付けでは費用が異なります。 |
| Uカット・シーリング補修 | 1mあたり1,800~2,500円程度。 ひび割れ幅、深さ、仕上げ復旧の内容によって変わります。 |
| スタッコ模様の復元 | 1㎡あたり2,000~2,900円程度。 吹付け模様、ヘッドカット、周辺とのぼかし調整によって増減します。 |
| 透湿型仕上げ塗装 | 1㎡あたり2,000~3,800円程度。 下塗りの有無、塗料グレード、凹凸による所要量で変わります。 |
| 笠木などの雨仕舞い改善 | 1mあたり5,500~9,500円程度。 材質、形状、下地補修、取り合い処理によって変わります。 |
膨れが一か所だけでも、高所作業に足場が必要であれば、補修費より足場費の割合が大きくなることがあります。
外壁塗装の時期が近い場合は、膨れ補修と外壁全体の塗り替えを同時に行ったほうが、足場を一度で済ませられ、色や模様も整えやすくなります。
- ■ 膨れの撤去範囲をどのように決めるか
- ■ 撤去後の下地調整材と施工方法
- ■ 雨水の浸入原因を直す工事が含まれているか
- ■ 模様復元の材料と仕上げ方法
- ■ 下塗り材・上塗り材の正式な商品名
- ■ 試験施工・付着確認を行うか
- ■ 再発した場合の保証範囲と免責条件
「膨れ補修一式」という記載だけでは、どこまで直すのか判断できません。
撤去、下地調整、模様復元、仕上げを分けて説明してもらうと安心です。
費用を抑えることも大切ですが、原因を残したまま表面だけを直す工事は、結果として再補修の費用を増やす可能性があります。
7. 弾性スタッコの膨れ・外壁塗り替えに関するQ&A

原因は一つではありませんが、旧塗膜の弱い層、水分、日射熱、塗膜の透湿バランスが重なるケースが多く見られます。
外壁内部へ残った水分や空気が温められて膨張し、柔らかな弾性層や密着の弱い層を押し上げると膨れが発生します。
塗料そのものの不良と決めつけず、どの層で剥離しているのかを確認することが必要です。
膨れが局所的で、周囲の旧塗膜が強く、下地の含水も低い場合は、部分補修で対応できることがあります。
一方、打診すると広範囲に浮きがある、旧塗膜が何層もまとめて剥がれる、雨水の浸入が続いている場合は、部分補修だけでは再発する可能性があります。
見えている膨れの大きさではなく、周囲の浮きと剥離層を調べて補修範囲を決めます。
旧塗膜の密着確認、脆弱部の撤去、ひび割れと雨仕舞いの補修、下地の乾燥、試験施工が重要です。
- ■ 洗浄後に十分な乾燥期間を取る
- ■ 含水率が高い状態で塗り重ねない
- ■ 下塗り材による軟化・縮れを確認する
- ■ 塗布量と塗り重ね乾燥時間を守る
- ■ 既存塗膜に適合する透湿型仕様を検討する
厚く塗るほど丈夫になるわけではありません。
お化粧と同じで、必要以上の厚塗りは、乾燥不良や内部応力を増やすことがあります。
製品ごとの標準塗布量を守り、凹凸部へ均一に塗ることが大切です。
すぐに全面工事が必要とは限りませんが、膨れの原因と範囲は早めに確認することをおすすめします。
膨れが破れると雨水が入りやすくなり、周囲の塗膜剥離やモルタルの劣化へ広がる場合があります。
まず診断を行い、緊急性が低ければ経過観察、進行していれば部分補修または面単位の改修を検討します。
弾性スタッコは厚みと柔軟性があるため、内部圧力の影響を膨れとして受けやすい面があります。
しかし、適切な下地処理、含水管理、塗料選定が行われていれば、必ず膨れる仕上げではありません。
「欠陥のある材料」というより、既存塗膜と水分の診断に高い精度が求められる仕上げと考えるのが適切です。
夏は日射熱と高湿度、冬は低温と結露が施工品質へ影響します。
夏は表面だけが急速に乾き、内部へ水分が残ることがあります。
冬は乾燥・硬化が遅れ、夕方の結露によって塗膜へ水分が付く場合があります。
季節名だけで判断せず、施工時の気温、湿度、下地含水率、日照、乾燥時間を確認します。
劣化した外壁へ必要以上に強い水圧を当てると、塗膜の下へ水が入り、乾燥に時間がかかることがあります。
凹凸の深いスタッコ面は水が残りやすいため、材質と劣化状態に合わせて水圧、角度、距離を調整します。
洗浄後は日数だけで判断せず、天候と下地の乾き具合を確認して次の工程へ進みます。
透湿性が低い塗料は、下地に水分がある場合に膨れリスクを高める要因になります。
ただし、下地が乾燥しており、雨水の浸入がなく、旧塗膜との付着が良好であれば、直ちに不具合が起こるとは限りません。
塗料の透湿性・下地の含水状態・施工環境を一組で考えることが重要です。
発生時期、剥離した層、膨れの位置、含水状態、周囲のひび割れなどから、原因を絞り込める場合があります。
塗り替え後の短期間に塗膜同士の間で剥がれていれば、乾燥不足や材料相性などを確認します。
モルタル面から剥がれ、雨染みやひび割れがあれば、下地劣化や浸水の影響が考えられます。
外観と打診音だけでは断定できないため、切開調査、付着確認、施工記録も含めて判断します。
膨れが多い住宅では、旧塗膜の多層化、下地の含水、強い日射、濃色、雨仕舞い不良、乾燥不足などが重なっていることがあります。
反対に、雨水の浸入がなく、外壁が乾きやすく、過去の塗装で下地処理と乾燥時間が守られている住宅は、膨れが起こりにくい傾向があります。
同じ弾性スタッコでも条件は一軒ごとに異なるため、マニュアルだけでなく、住まいごとの施工履歴と環境を確認することが大切です。
8. まとめ|弾性スタッコの膨れは原因を見極めてから直します

弾性スタッコは、厚みのある意匠と、微細なひび割れへ追従する柔軟性を持った外壁仕上げです。
一方、厚く柔らかな塗膜であるため、日射熱、下地水分、旧塗膜の多層化、塗り替え材料の相性が重なると、膨れや層間剥離が起こることがあります。
- ■ 南面・西面の膨れは日射熱の影響を確認します
- ■ 窓・笠木・ひび割れ周辺は雨水の浸入を調べます
- ■ 塗り替え直後の膨れは下塗り・乾燥・層間密着を確認します
- ■ 透湿型塗料でも、下地に水分があれば膨れる場合があります
- ■ 補修は見える膨れより広い範囲を診断します
- ■ 塗料名より、撤去・乾燥・下塗り・塗布量の管理が重要です
膨れた部分へ穴を開けて空気を抜き、上から塗料を塗るだけでは、根本的な補修にはなりません。
どの層で剥がれているのか。
水分はどこから入ったのか。
外壁は今も乾燥できる状態なのか。
この三つを確認し、弱い層を取り除き、雨仕舞いと塗膜仕様を整えることが再発防止につながります。
小林塗装では、弾性スタッコの膨れを表面だけで判断せず、方角、含水状態、旧塗膜、下塗り材、模様の厚みまで確認して補修方法をご提案します。
「部分補修で直せるのか」「全面的な塗り替えが必要なのか」を知りたい方は、まず現在の外壁を正しく調べることから始めましょう。
弾性スタッコの膨れ・外壁補修なら、小林塗装へご相談ください
名古屋市を中心に外壁塗装を行う小林塗装では、弾性スタッコ仕上げの膨れ、浮き、剥離について、建物の状態と過去の施工履歴を確認したうえで補修方法をご提案しています。
部分補修で対応できる状態なのか、面単位の撤去が必要なのか、雨水の浸入を先に直すべきなのか。
工事範囲を必要以上に広げず、再発を抑えるために必要な工程は省かない、適正な補修計画を大切にしています。
弾性スタッコは、外観だけでは内部の浮きや含水状態を判断しにくい仕上げです。
膨れが増えてきた、夏になると目立つ、補修しても同じ場所が再発するといった場合は、お早めにご相談ください。
現地調査とお見積りは無料です。
外壁の状態、補修範囲、使用する材料、費用について、専門用語をできるだけ使わず、分かりやすくご説明します。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事など、2,000件以上の施工に携わってきました。
弾性スタッコのように、既存塗膜の種類と過去の施工内容によって塗り替え方法が変わる外壁では、商品名だけで仕様を決めず、実際の塗膜を調べることを大切にしています。
小林塗装のコラムでは、塗料のメリットだけでなく、不具合が起こる条件や施工上の注意点も正直にお伝えし、お客様が納得して工事を選べる情報発信を心掛けています。
外壁の膨れや剥離について、「前の施工が悪い」と安易に決めつけず、現在の状態と原因を一つずつ確認し、その住まいに必要な補修をご提案します。
弾性スタッコの膨れに関連するコラム
外壁の仕上げ材や膨れ方によって、原因と補修方法は異なります。
似た症状の事例もあわせてご覧ください。
このコラムは役に立ちましたか?
このページに関連するコラムはこちら











