

塗装工事 ケレンの作業方法とは?
塗装工事を行う上で重要な下地調整作業の一つである塗装工事のケレン作業とは何か?
ケレンの目的、ケレンに使用する道具、作業方法、費用について、「名古屋の塗装店」小林塗装が分かりやすくお伝えします。
1. 塗装工事の専門用語で聞く、ケレンって一体どういう意味?
ケレンとは、建築用語で塗装前の下地処理の作業ことをいいます。
英語のclean(クリーン)が由来と言われています。
明治時代に外国人の技師が日本人の職人に「掃除しなさい=クリーン」と言ったことがきっかけだと言われています。
2. ケレンの作業方法について
塗装工事を行う前に必ずと言って良いほど、行わなくてはならない大切な作業があります。
それは「ケレン」と呼ばれる下地処理作業です。
外壁塗装の際に塗装する部分は、外壁や屋根だけでは無く、鉄製で作られた手摺、玄関ドア、面格子、雨戸、笠木など鉄部、雨樋、塩ビ製品、木部、鉄骨階段なども塗装する必要があります。
このケレンという作業は、塗装する際に一体どんなことをするかと言いますと、例えば鉄部や木部に塗装されている塗料が劣化していて、塗料が浮いてきていたり、捲れかかっているたりしている塗装面を「皮スキ」や「スクレーパー」と言うケレン工具を使って、キレイに塗装を剥がしていく作業のことを言います。
建築現場では「素地ごしらえ」、「下地処理」などという言葉も使われていますが、基本的に行う作業は同じで、塗料を塗る前に素地をキレイにする、整えることをいいます。
外壁や屋根も塗装の裏側に水が回っていたり、塗装する素地と塗料の密着が悪いと、塗装が剥がれたり、捲れたりすることがあります。
そのような状態では、キレイで長持ちする塗装を施工する事ができないので、塗装をする前に必ずケレン作業を行います。
ただし、最近作られた住宅の場合は、鉄製の塗装仕上げの部材や木製の塗装仕上げの部材を使わずに再塗装の必要がない、アルミ製やステンレス製の建築部材が多くなってきているので、ケレン作業の頻度が少なくなってます。
逆にケレン作業の多い住宅は、25年以上前に建てられた一般住宅や自然な素材感を大切にした注文住宅が多いです。
お客様が塗装工事にの見積書を読んだ際に「見積りにケレン作業が入ってない!悪徳業者かも?」と思ってしまわないように、ケレンと同じ意味を持つ専門用語を紹介します。
- ・ケレン作業
- ・さび落とし(錆取り・除錆)
- ・下地処理(下地調整)
- ・素地調整
- ・素地ごしらえ
- ・目粗し(目荒らし)
- ・研磨紙刷り(ペーパー研磨)
また、業者によっては塗装作業の中にケレンが含まれていることもあります。
見積書の中に上記の用語がどれも記載されていない場合は、業者に「ケレンは行わないのですか?」と聞いて確認をしましょう。
3. 塗装工事でケレン作業が必要な理由
ケレン作業は塗装前の重要な作業工程で、塗装の性能を最大限に引き出し、塗膜の剥離を防ぐ効果があり、ケレン作業が必要となる主な理由を2つお伝えします。
塗装工事でケレンが必要な理由1. 塗膜の性能を十分に発揮させるため
塗装の性能を十分に発揮させるためには、下地処理が欠かせません。
塗装面に古い塗膜や錆び、黒皮(鋼材を熱処理した際に発生する黒い酸化物)、塩分、水分、油分、粉塵、塵埃、カビ、苔、藻など塗料の密着を阻害する異物が残っていると、新しい塗料が十分に密着せずに本来の性能を発揮できないためです。
特に鉄部では、錆びが進行しないように付着物を取り除くことがケレンの大きな目的と言えます。
ケレン作業によって表面の異物をしっかり除去してキレイにすることで、塗料の密着性を向上させられます。
その結果、塗膜の耐久性が高まり、外観も美しく仕上がります。このように、ケレン作業は塗装の耐久性や仕上がり感を大きく左右する重要な作業です。
塗装工事でケレンが必要な理由2. 塗膜の剥離を防ぐため
塗装面に残っている脆弱な塗膜やサビは、新たに塗装する塗料の密着性を低下させます。
密着性の低いままの塗膜は剥がれやすく、塗膜を長持ちさせることができません。
特に紫外線や風雨に曝される外部の塗装面は、すぐに錆などで傷んでしまいます。
塗料には塗料そのものの耐用年数がありますが、ケレンをせずにそのまま塗装をしても、塗料本来の性能を発揮することができません
ですから、塗装面に凹凸を付けて塗料を凹部分にしっかり入り込ませてしっかり定着させることで投錨効果(アンカー効果)を持たせます。
このように入念なケレン作業を行って、塗料をしっかりと密着させることで、塗膜の剥離を防ぎ、塗装の耐久性が向上し、長期間に亘って優れた保護効果を発揮させます。
ケレンによって、塗装の不具合を防ぎます
ケレンの効果は、数字の上でも一目瞭然です。以下の表「各種の要因が塗膜寿命に及ぼす影響」をご覧ください。
なんと、素地調整(ケレン)が塗膜の寿命に及ぼす影響は、50%近くにも及びます。
- 1位 ケレン作業
(素地調整における 1種、2種の差) 49.5% - 2位 塗り回数(1回塗りと2回塗りの差) 19.1%
- 3位 塗料の種類(仕様の違いなど) 4.9%
- 4位 その他(塗装技術、気候など) 26.5%
参照:関西鋼構造物塗装研究会 編『塗る : やさしい塗装のはなし』
したがって、塗装を長持ちさせるためには、塗る回数を増やしたり高級な塗料を使ったりすることよりもケレンをキチンと行うことがいかに大切であるかが分かるかと思います。
塗装工事 ケレン作業の方法
ケレン作業は、物理的な方法と化学的な方法に大別できます。
塗装工事 ケレン作業の方法「物理的な方法」「化学的な方法」の違い | |
---|---|
物理的なケレン方法 | スクレーパーやディスクサンダー、ワイヤーブラシ、皮スキ、サンドペーパーなどの工具を使って、古い塗膜や錆びを削り取ります。 作業方法はシンプルですが、ケレンする際には素地まで傷めることがないように注意が必要です。 |
化学的なケレン方法 | 剥離剤を使用し、古い塗料を溶解させて除去します。 工具が使えない場合や頑固な塗膜がある場合に効果的な方法です。 ただし、溶解した塗膜などによる健康被害、環境汚染の防止や法律を遵守した安全な作業が求められます。 |
4. 塗装工事 ケレン作業のグレード
塗装工事のケレン作業のグレードについてお伝えします。
1種ケレンは、ブラスト法を用いて表面のサビや古い塗膜を徹底的に除去する方法です。
ブラスト法では、高圧の空気や水とともに研磨材を噴射し、表面の不純物を完全に取り除きます。
特に錆びつきや腐食が進んでいる場合や、塗膜の完全な除去が求められる場合に有効なケレンです。
大型の構造物に用いられる工法で強力な除去が可能である一方、騒音が大きく、粉じんも飛散しやすいため、作業時には何らかの周辺対策が必要になります。
2種ケレンとは、ディスクサンダーやグラインダーなどの動力工具を使用して、表面の素地調整を行う方法です。
サビや古い塗膜を効果的に除去し、塗装に適した滑らかな表面を作り出します。1種ケレンほど徹底的な工法ではないものの、十分な塗料の密着性を確保できる下地処理だと言えます。
動力工具を使った職人の手作業となるため、大規模な面積には不向きなケレン作業です。
3種ケレンとは、活膜(密着性が保たれている問題ない塗膜)を残しながら死膜(劣化して剥がれやすくなっている塗膜)のみを除去するケレン方法です。
3種ケレンでは、スクレーパーやワイヤーブラシを使用して、サビや割れなどで劣化した塗膜だけを取り除き、必要最低限の下地処理を行います。
主に部分的な補修や再塗装時に採用され、既存の塗膜をなるべく利用する手法です。
また、ケレン面積によってA~Cのランク付けがなされます。
- 【3種Aケレン】さびが発生している面積 15~30% 塗膜異常面積 30%異常
- 【3種Bケレン】さびが発生している面積 5~15% 塗膜異常面積 15~30%異常
- 【3種Cケレン】さびが発生している面積 5% 塗膜異常面積 5~15%異常
4種ケレンとは、塗装面を軽く目荒しする、あるいは表面を清掃・洗浄するだけの簡便なケレンです。
サンドペーパーや専用スポンジで表面を軽く擦り、塗料の密着性を向上させるための細かな傷を付けます。
通常、比較的新しい塗膜や、サビや汚れがほとんどない場合の下地処理に4種ケレンが採用されます。
塗装面の良好な状態を維持しつつ、塗料の密着性を確保するために最小限の処理を施す方法です。
目荒しとは、塗料の食いつきを良くするために素地や塗膜の表面に細かい凸凹を付ける作業のことです。
作業自体は2種、3種と同様に動力工具や手工具を使用して行います。
例えば、サッシや勝手口の掃き出し上にある霧除け部分や小庇部分は鉄板になっていることが多く、特に日光が当たりにくい北側にある霧除けや小庇はひどい錆びが発生していることがよくあります。
錆びの発生が激しい場合は、サンドペーパーで擦るだけでは錆びの一部が残ってしまうので、ディスクサンダーなどを使って鉄板の素地がきれいに露出するまで徹底的に削る必要があります。
逆に日あたりが良い南面、西面の屋根板金などでは、板金塗装の表面に少し錆びが浮いているくらいなので、サンドペーパーで擦る程度でも十分です。
また、木材の表面にカビやコケが発生することがありますが、ディスクサンダーを使ったケレン作業を行うと、材木を粗く削り取ってしまうため、サンドペーパーでカビやコケをやさしく擦り落とす必要があります。
このように住宅では、塗装する素材や日あたり、使用する塗料の種類やランクなどによって、錆びや傷みが再発生するまでの時間差が生じるため、複数グレードのケレングレードを使い分ける必要があります。
5. 塗装工事でケレン作業で使用する道具
ケレン作業には、作業の種類や目的に応じてさまざまな道具が必要で、大きく分けると手工具と電動工具の2種類に分けられます。
そこで、代表的なケレン道具を紹介します。

ケレン作業で、最も一般的に使われている道具は「皮スキ」と呼ばれる、ステンレス製や鋼製の刃先が尖ったヘラに似た形状のケレン道具です。
これは、塗装職人が必ず持っているケレン道具の一つです。
ちなみにこの皮スキは、ケレン作業以外にも使い道がたくさんあります。
例えば、皮スキを使って塗料缶の天辺を開封したり、缶の底面を切って、塗料缶を潰したりするのに使います。
また、細かい部分の掃き掃除の際には、「ちりとり」の代わりとしても使う事ができます。

スクレーパーは先端がヘラ状になっている工具で、脆弱な塗膜や錆を手作業で削り取るのに便利なケレン工具です。
幅が小さいスクレーパーは細かな部分の作業に適しており、角になっている部分や入り組んだ形状のケレン処理に適しています。
スクレーパーは、皮スキよりも刃が薄く、切れ味が良いです。
スクレーパーは、一般のお客様でも見る機会も多く、比較的イメージしやすいかと思いますが、簡単に言いますとカッターの刃を横向きにして、柄のある棒で固定させたケレン道具です。
スクレーパーは、皮スキではキレイに剥がす事ができない粘着テープ、シール、脆弱な薄い塗膜などを塗装する前に剥がす為に使います。
なお、カッターの刃を使っているスクレーパーは、間違った使い方をすると、ケガをしてしまうこともあるので、取り扱いには十分な注意が必要です。

ケレン棒=力棒とも呼ばれるケレン道具です。
ケレン棒の使い方は、先端についた刃を塗布面に対して約30度の角度で当て、錆や脆弱な塗膜を削ぎ落とすように使います。

サンドペーパーとは、紙や布に研磨剤を付着させた木材や金属などを研磨するケレン工具です。
砥粒の種類や粒度によって細かく分類され、作業内容に応じて選択します。
サンドペーパーは使い捨てで、細かな部分の仕上げや表面を滑らかにする作業に適しています。
紙やすり
紙やすりとは、厚紙の表面に研磨剤を接着した工具です。
サンドペーパーや研磨紙とも呼ばれ、柔らかい木材を磨いたり均一にならしたりする作業に向いています。
研磨作業を行うと、シートに目詰まりが起きたり、研磨剤が剥がれ落ちたりして使えなくなります。 ですから使い捨てになるので、工具というよりも作業する際の消耗品と考えた方が良いです。
耐水ペーパー
耐水ペーパーは紙やすりと同様、厚紙に研磨剤が接着されていますが、砥粒がシリコンカーバイトでできているため、高い研削力があります。
また耐水加工がされていて蝋(ろう)引き紙のようになっています。
また、粗目から極細目まで幅広くあるので、木材などの柔らかい素材だけでなく金属などの硬い素材の研磨にもよく使われています。
なお、耐水ペーパーは水に濡れても破れず研磨力は持続し、水研ぎや油研ぎでも使用できます。
空砥ぎペーパー
空砥ぎペーパーとは、水を使って研ぐ時によく使用される耐水ペーパーに対して、水を使わず空研ぎをするサンドペーパーのことです。
空研ぎペーパーは、厚紙表面に研磨剤だけでなく目詰まりやからみが少なくなる特殊な表面加工が施されており、耐久性が高いのが大きな特長です。
網目状研磨シート(ポリネットシート)
網目状研磨シートとは、網目合成繊維基材の両面に研磨材を均一に固着させたものです。
目詰まりが全くなく、両面使用できるため、長寿命であることが大きな特長で、基材強度も高くハードな研磨にも使用できます。
紙やすり、耐水ペーパー、空砥ぎペーパーよりも耐久性が非常に高く、乾式、湿式(水、油)の両方に使用可能です。
ただし、通常のサンドペーパーよりも高価になります。
サンドペーパーの種類 | |
---|---|
粗目#40~#100 | 塗料を剥がす作業や木材の粗加工に適しています。 |
中目#120~#240 | 荒材を塗装する場合のサンディング、錆びやコゲのケレン研磨作業に適しています。 |
細目#280~#400 | 塗装時下地調整、塗り重ねする際の下地調整(#400~)に適しています。 |
極細目#1000~ | 仕上がり重視の水研ぎ仕上げ、塗り重ねする際の下地調整、金属汚れ、薄い錆びの除去に適しています |

塗装面を研磨して使用するケレン用のマジックロンやスコッチなどは、たわしやスポンジ状のケレン道具で、研磨剤が含ませてあり、表面を研磨する際に使用します。
軽度のサビや汚れ、落としやすい水性塗料などを除去するのに最適で、サンドペーパーよりも細かい傷を付けることができるので、より滑らかな仕上がりが得られます。
柔軟性があるため、曲面や凹凸のある表面にも対応できます。

先端の尖ったハンマー部分で層状になった錆や深いさび、腐食したコンクリートを叩いたり、斫ったりしてそぎ落とします。

旧塗膜に塗布して化学的に剥離させるのが塗膜剥離剤です。
リムーバー、軟化剤とも呼ばれています。
塗膜剥離剤は、刷毛やスプレーで塗装面に塗布すると、薬剤が浸透して樹脂の結合力を破壊し塗装面が膨潤します。
塗膜剥離剤を使用するメリットは、高圧洗浄機や電動工事による騒音や粉塵を防ぐことができるのでアスベスト・鉛・クロムなどの有害な成分が含まれている旧塗膜の除去に高い効果を発揮します。
ただし、剥離剤を使うと剥離した塗膜がボトボトと下に落ちるので、有害な物質を含む可能性のある剥離した塗膜を適切に処理するのための足場や周囲の養生を確実に組むことが重要です。
水系及び水/溶剤系の剥離剤は、溶剤系や塩化メチレン系のものと比べ、安全面、作業環境面で優れています。
塩化メチレンをはじめ、労働安全衛生法や消防法の対象物質となる物質(溶剤)を主成分とする剥離剤の代替品として使用されています。
溶剤(ノンクロル)系剥離剤溶剤(ノンクロル)系剥離剤は、完全に硬化してしまった接着剤など、水系の剥離剤では除去できないものを剥離することができます。
樹脂系統の剥離、溶解剥離に効果を発揮します。
塩化メチレン(クロル)系剥離剤塩化メチレン(クロル)系剥離剤は、乾燥性が非常に優れ、常温でも使用できます。
油脂溶解力に優れ、浸透性・乾燥性が良いので、発錆の不安がある鉄系部材の剥離や水洗工程を 取り入れられない剥離などで多くの実績があり、 また浸透性が高く、汎用的な剥離性能が発揮できます。
上記の塗膜剥離剤の保管方法は、共に直射日光を避けて、換気の良い室内で保管する必要があります。

高圧で水を噴射してチョーキング、苔、カビ、ホコリなどの汚れを洗い流したり、脆弱な塗膜を剥がしたりする機械が高圧洗浄機です。
電動工具比べて騒音が出にくいですが、大量の排水の処理する必要があるので注意が必要です。
足場をしっかり組んで、周囲をしっかり養生することが大切です。
最近では近隣に配慮した防音カバーで覆われた防音型の高圧洗浄機もあります。
ちなみに、外壁塗装工事では電動タイプのものはあまり使用されていません。

ディスクサンダーは、回転する研磨ディスクを用いて表面を削る動力工具です。
広い面積を効率的に処理でき、均一な仕上がりが得られます。
研磨ディスクの種類を交換することで、さまざまな素材に対応可能です。
ケレンする際は、ディスクの角度が15~30度になるように操作して、立てすぎないように注意しましょう。
砥石を材料に強く押しつけず、表面に当てる程度の軽い力加減で、奥から手前に一定のスピードで動かしながら削るようにします。

カップワイヤーホイルとは、カップサンダーに金属製のブラシが取り付けられたものです。
ワイヤーカップを高速回転させて使用します。
- ・ワイヤ…金属製品のバリ取り・サビ落とし
- ・ステンレス…ステンレス、アルミ製品の研磨
- ・真鍮…真鍮、銅製品および合金製品の研磨
- ・ゴールドメッキ…金属面の研磨、サビ落とし、塗装剥離
- ・グリット(研磨粒入ナイロン)…金属面の研磨、サビ落とし、塗装剥離

ブラシとは、サビや汚れ、古い塗膜を擦ったり、掃いたりして除去する金属製、化繊、獣毛の道具です。
ブラシは、手持ちタイプのものから電動工具に取り付けるものまであり、錆びがひどい部分や、細かい凹凸のある表面の清掃に効果的です。
ブラシは、ワイヤー、スチール、真鍮、ステンレス、ナイロン、豚毛などがあり、錆の程度、汚れの種類によって使い分ける必要があります。

エアハンマーとは、先端にたがねを取り付けた動力工具で、刃先が素地に対して叩きつけるように動きます。
鉄骨など錆の粗落としの作業の際に使います。エアハンマーには、たがね型の他に針を束ねた針型もあります。
なお、脆弱な塗膜、錆、ブツ、バリなどを取り除いた後には、ダスター(ラスター)と言うブラシの様なほうき、充電式ブロワー、ウェス‥を使って塗装面のケレンくずをしっかり掃除する事がとても重要です。
上記のケレン道具は全て取り扱いに細心の注意が必要な工具です。
ケレン作業時の保護具は、フィットしてグリップ性の良い手袋、保護メガネ、材料によっては防じんマスクなどの安全装備を身に着けてケレン作業を始めるようにしましょう。
6. 1種ケレンから4種ケレン、どの程度のケレン作業をすると良いのか?
ケレンの種類の「定義」は、お客様や施工業者の価値観によって大きく違ってきます。
塗料の塗替えをする際には、お客様側がケレンの種類を指定して発注するというのが一般的です。
しかし、業者によってケレンのに対する考え方がお客様と違っていることがあるので注意が必要です。
本来はまず足場を架設して全体の状況をつぶさに点検し、どのケレンを行うのか決めるべきですが、なかなかそこまでできないのがです。
全体としてどれくらいのさび面積があるか、塗膜の不良部があるかを、目視調査などでおおよその確認をします。
塗膜の劣化は、埃が溜まりやすい場所が進みやすいと言われています。
堆積したホコリはベトベトになって水分を保つために他の場所より湿った環境になりやすく、腐食しやすいです。
また、外部の鋼材や木材の角の部分も平面に比べ塗料が塗りにくいために塗膜が薄くなり、やはり錆びが発生しやすくなります。
そういう場所は念入りにケレン作業を行うよう、しっかりお願いしましょう。
7. 各種、素材別ケレン作業のポイント
塗装する素材に対するケレン作業(素地調整)のポイントをいくつかお伝えします。
鉄の構造物に発生した錆は、人間で言えば「ガン」のようなものです。
外科手術のように、ブラスト法などで錆びを完全に除去することができれば、錆びが再発する可能性をぐっと下げることができます。
コンクリート・モルタル・窯業サイディングをケレンする主な目的は、素地に付着した粉塵や油分、塩分、カビ、コケ、藻などの汚れを落とすことです。
コンクリート自体には錆の心配がない一方、水分を吸収しやすいという性質があります。
水分がコンクリートの中に浸透するとカビやコケが付いたりして劣化を招き、素地自体の強度にも悪影響を及ぼすことがあります。
また、コンクリート面に発生したひび割れ(クラック)から内部の鉄筋に水分が届き、鉄筋が錆びてしまうリスクもあります。
そのため、塗り替え前にはコンクリートの含水率に注意することも必要となります。
なお、窯業サイディング、吹付リシン、タイル、スタッコなどに生じた塗膜の膨れや浮きは、スクレーパー、電動塗膜剥離機、塗膜剥離剤で削り落とし、サンドペーパーなどできれいに研磨処理する必要があります。
塩ビ製品・プラスチックは剥離剤などの溶剤をケレンの際に使用すると溶けてしまう、工具でガリガリと擦って必要以上の傷を付けてしまうと、塗装した後もケレンした跡が残ってしまうといった不具合が生じます。
まず粉塵や汚れなどを除去して、その後表面に細かい傷をつけるだけで留めておくことが塩ビ製品・プラスチックに対するケレンの基本です。
木材には錆びは発生しないので、表面のカビ汚れや剥離した旧塗膜を入念に除去することを中心に考えます。
最終的にはサンドペーパーで研磨してから塗料を塗って仕上げますが、その際サンドペーパーの役目は木材の表面をつるつるにすることではありません。
しっかり塗料が密着するように表面に凹凸を付けることがケレン作業の目的なので、あまり目の細かいサンドペーパーを使わないようにすることがポイントです。
なお、玄関ドアなど装飾デザイン性の高い部位は塗膜剝離材やオービタルサンダー、細幅の特殊形状小型スクレーパー、粒度の細かい空砥ぎペーパーなどを使って慎重にケレンする必要があります。
トタンとは亜鉛めっき鋼板のことであり、亜鉛めっき処理が施されているため、鉄より錆びづらい素材です。
とはいいましても、年月の経過とともに次第に錆びていくこともあるため、トタンを塗り替えする際には鉄面と同様に、表面に付着した汚れや錆びをしっかりと落とすことが基本です。
床面は、人が踏み歩くだけにとどまらず、例えば工場でフォークリフトが通る、トラックが走る、停めた重機から油が垂れるなど非常に過酷な状況下にあるといえます。
また、床の材質も様々なため一概にコツは言えませんが、床面塗り替えの際には他のコンクリート面と同様に、脆弱な塗膜、汚れ、錆びなどをスクレーパー、ポリッシャー、電動剥離機、各種剥離剤などを使ってしっかりと落とすことが基本です。
屋根と一口に言っても、瓦(コロニアル、セメント瓦、釉薬瓦)、金属、トタンなどさまざまな素材が使われています。
屋根を塗り替えする際には鉄部や壁面と同様、高圧洗浄などを行って、しっかりケレンを行って汚れやさびを落とすことが基本です。
樋、配管、パイプのケレン作業についても、鉄面やコンクリート面と同様にしっかりと汚れやさびを落とすことが基本です。
しかし、工場の配管のように形状が複雑であったり動力工具を使えない場所はケレン作業自体を行うことが難しく、このようなケレン作業が困難な場所の素地調整方法が塗装現場における課題として挙げられます。
8. 塗装工事 ケレン作業の費用と相場
ケレン作業の費用は、施工する外壁の面積や状態、必要な作業の範囲によって異なります。
一般的には1㎡あたり200~2,000円程度がケレン作業の相場といえます。
ケレン作業の種類と費用は次のとおりです。
塗装工事 ケレン作業の種類と費用 | |
---|---|
4種ケレン | 塗装面のサビや汚れが少なく、比較的下地の状態が良い場合に行われる作業で 1㎡あたり200~500円が相場です。 |
3種ケレン | 一般的な住宅の塗装工事で行われるケレン作業で 1㎡あたり500円から1,200円程度が相場です。 |
2種ケレン | 一般住宅で最もサビが激しく状態が悪い場合に行われるケレン作業で 1㎡あたり1,500~2,000円が相場です。 |
1種ケレン | プラントや橋梁で行われるケレン作業なので一般住宅では行われませんが、費用をあげるなら 1㎡あたり3,000~4,000円くらいが相場です。 |
※外壁の状態が悪い場合やケレンくずを周囲に飛散させないように養生する必要がある場合は、追加費用が発生することもあります。
また、ケレン作業をサービス、無料で行う業者には注意しましょう。
なぜなら、ケレン作業は非常に手間がかかり、しかも塗装をキレイに長持ちさせるために一番重要な作業なので、ケレン作業をサービス、無料でされた場合、別の作業で手抜きが行われてしまう恐れがあるからです。
9. ケレンを制する者が塗装工事を制します。
ケレンは塗装前の工程なので、重要視されていないケースが多くあります。
しかし、ケレンこそが塗装をキレイで長持ちさせるための最重要工程だと言っても過言ではありません。
ケレンは地味でとても労力のかかる工程ですが、塗装の耐用年数と美観を大きく左右させると要因だと考えて、確実に行う必要があります。
まさに「ケレンを制する者が塗装を制する」といえます。
外壁塗装のバイオ洗浄って、一体何? 本当に効果あるの?
塗装工事 高圧洗浄作業について
丁寧なケレン作業を行った塗装工事は、小林塗装にお任せください
小林塗装は、塗装工事のプロとして、お客様が直接見ることができない下地調整であるケレン作業まで丁寧に行っています。
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お客様の希望に沿った品質本位でお値打ち価格の塗装工事を施工します。

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラム作成をしています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁・屋根・室内‥塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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