外壁塗装は3回塗りで十分? 劣化状態に合わせたオーダーメイド塗装とは
「外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りです」――塗装工事を検討されている方なら、一度はこの説明を聞いたことがあると思います。
確かに、一般的な住宅の外壁塗装では、3回塗りが基本です。
下塗りで外壁と塗料を密着させ、中塗りと上塗りで必要な膜厚をつくり、美観と耐候性を整えていきます。
ところが、実際の建物を詳しく調べてみると、外壁材も、築年数も、傷み方も一軒ずつ違います。
同じサイディング外壁でも、日当たりの良い南面と湿気がたまりやすい北面では、表面の状態がまるで違うことも珍しくありません。
料理にたとえるなら、3回塗りは「基本のレシピ」です。
しかし、素材の水分量や硬さが違うのに、火加減も調理時間もすべて同じでは、おいしく仕上がらないことがあります。
外壁塗装も同じ。
基本仕様を守りながら、住まいの状態に合わせて工程を調整することが大切です。
このコラムでは、3回塗りが適している外壁、追加の下塗りや補修工程が必要な外壁、反対に塗り過ぎを避けるべき理由まで、塗装職人の現場目線で分かりやすくお伝えします。
- ■ 外壁塗装で3回塗りが基本とされる理由
- ■ 3回塗りだけでは対応しにくい外壁の状態
- ■ 4回塗り・5回塗りが必要になるケース
- ■ 塗装回数を増やし過ぎるデメリット
- ■ 外壁材・旧塗膜・劣化症状別の施工仕様
- ■ 見積書で確認したい塗装回数と下地処理
- ■ 小林塗装が考える状態別オーダーメイド塗装
1. 結論|外壁塗装は3回塗りが基本、しかし絶対ではありません
結論から申し上げると、外壁塗装の3回塗りは、多くの住宅に適した基本仕様です。
しかし、どの建物にも無条件で当てはまる絶対的な正解ではありません。
外壁が比較的健全で、既存塗膜の密着も良く、吸い込みや粉化が少ない場合は、下塗り1回と上塗り塗料2回の合計3回で、十分な性能を確保できることが多いでしょう。
一方、外壁の表面が著しく粉化している、塗膜が広範囲に剥がれている、モルタル外壁に細かなひび割れが多い、外壁材の吸い込みが激しい、といった場合には、通常の3回塗りだけでは下地が安定しない可能性があります。
そのような住まいでは、下塗りを2回行ったり、シーラーと下地調整材を使い分けたり、模様を復元する工程を加えたりすることがあります。
反対に、クリヤー塗装や特殊な仕上げ材のように、一般的な3回塗りとは異なる工程で仕上げる塗装もあります。
- ■ 3回塗りは「最低限の回数」という意味ではありません
- ■ 4回塗りだから高品質とも限りません
- ■ 必要な工程は外壁材と劣化状態で決まります
- ■ 最終判断は塗料メーカーの施工仕様に基づいて行います
大切なのは、塗装回数の数字を競うことではありません。
外壁を診断し、必要な補修を行い、適合する塗料を規定量塗ること。
これが、外壁塗装を長持ちさせるための王道です。
「うちは3回塗りだから安心」と数字だけで判断するのではなく、「なぜこの下塗り材なのか」「なぜこの回数なのか」まで説明できる塗装店を選ぶことが重要です。
2. 外壁塗装の3回塗りには、それぞれ違う役割がある
一般的な外壁塗装の3回塗りは、下塗り・中塗り・上塗りで構成されます。
同じローラーで塗っているように見えても、それぞれの役割は大きく異なります。
下塗りは、外壁材や既存塗膜と、新しく塗る上塗り塗料をつなぐ工程です。
洋服でいえば、表から見えるジャケットではなく、着心地とシルエットを整える上質な裏地のような存在です。
下塗り材には、シーラー、プライマー、フィラー、サーフェーサー、錆止め塗料などがあり、塗装する素材や劣化状態に合わせて選びます。
| 下塗り材 | 主な役割 | 主な適用例 |
|---|---|---|
| シーラー | 吸い込み止め、下地補強、密着性の向上 | サイディング、モルタル、ALCなど |
| フィラー | 細かな凹凸の調整、微細なひび割れへの追従 | モルタル、コンクリート、ALCなど |
| プライマー | 素材と上塗り塗料の密着性を高める | 金属、難付着下地、各種建材 |
| 錆止め塗料 | 金属の腐食抑制、上塗りとの密着 | トタン、ガルバリウム鋼板、鉄部 |
| 専用下塗り材 | 特殊な旧塗膜への付着、層間剥離の防止 | 光触媒、無機系、フッ素系など |
下塗り材の選定を間違えると、その上に高価な無機塗料やフッ素塗料を塗っても、土台ごと剥がれてしまうことがあります。
塗料のグレードより先に、下塗りの適合性を考える必要があります。
中塗りは、仕上げ塗料の1回目にあたる工程です。
住宅塗装では、中塗りと上塗りに同じ製品を使用する仕様が一般的です。
中塗りには、塗膜の厚みを確保し、下地の色を隠し、上塗りを均一に仕上げやすくする役割があります。
中塗りが薄過ぎると、色むらや艶むらが生じやすく、塗料本来の耐候性も発揮しにくくなります。
ただし、すべての製品が同じ仕組みではありません。
専用中塗り材を使用する塗装システムもあるため、製品カタログや施工仕様書に沿って判断します。
上塗りは、外壁塗装の最終仕上げです。
色、艶、肌の均一感を整えながら、紫外線、雨、風、汚れから外壁を守る保護層を完成させます。
上塗りは、見た目を整えるだけの「化粧」ではありません。
塗装の塗り残しや透け、ローラーむらを防ぎ、メーカーが想定する膜厚に近づける重要な工程です。
下塗りが土台、中塗りが骨格、上塗りが仕上げ。
この三つが正しくつながって、初めて塗膜は一つの保護システムとして働きます。
3. 3回塗りで十分な外壁の条件とは
3回塗りで十分な性能を確保しやすいのは、下地の状態が比較的安定しており、通常の下塗り1回で吸い込みと密着性を整えられる外壁です。
- ■ 既存塗膜に大きな剥がれや膨れがない
- ■ チョーキングが軽度から中程度である
- ■ 高圧洗浄後の外壁が十分に乾燥している
- ■ 外壁材に大きな欠損や反りがない
- ■ 補修が必要なひび割れが限定的である
- ■ 既存塗膜と新しい塗料の適合性が確認できる
- ■ 通常の下塗りで吸い込みが止まり、表面が安定する
たとえば、築10年から15年前後の窯業系サイディングで、目地シーリングには劣化があるものの、外壁材そのものは健全な状態であれば、シーリングを適切に改修したうえで、下塗り1回、上塗り2回の3回塗りが適しているケースが多くなります。
ただし、築年数だけで判断することはできません。
築10年でも、強い西日や潮風、交通量の多い道路沿い、湿気の多い立地では、想像以上に塗膜が傷んでいることがあります。
反対に築15年以上経過していても、軒の出が深く、風雨の影響が少なく、以前の施工品質も良好であれば、外壁が比較的安定していることもあります。
年数は診断の入口であって、施工仕様を決める答えではありません。
外壁の表面を実際に見て、触れて、必要に応じて試験を行うことが重要です。
4. 3回塗りだけでは不足する可能性がある外壁
外壁の傷みが進んでいる場合、通常の3回塗りだけでは、下地の吸い込みや脆弱部分を十分に安定させられないことがあります。
外壁を手で触ったときに、白や外壁色の粉がべったり付く状態をチョーキングといいます。
紫外線や雨風によって塗膜の樹脂が劣化し、顔料が表面に露出している状態です。
軽度のチョーキングであれば、高圧洗浄と適切な下塗りで対応できます。
しかし、チョーキングした状態が著しく、洗浄後も表面が脆い場合は、浸透性の高いシーラーを十分に含浸させる必要があります。
1回目の下塗りが外壁にほとんど吸い込まれ、表面に必要な塗膜が形成されないときは、メーカーの仕様を確認したうえで、下塗りをもう一度行うことがあります。
この場合は、下塗り2回と上塗り2回で、合計4回塗りとなります。
ただ塗る回数を増やすのではなく、下地を固めるために必要な1回を加えるという考え方です。
既存塗膜が浮いている、膨れている、端部からめくれている場合、その上から塗料を重ねても長持ちしません。
たとえるなら、浮いた壁紙の上に新しい壁紙を重ねるようなものです。
表面は一時的にきれいになっても、下の弱い層から一緒に剥がれてしまいます。
このような外壁では、剥がれや脆弱塗膜を皮スキ、スクレーパー、研磨工具などで除去し、段差を調整してから下塗りを行います。
剥離範囲が広い場合は、部分処理だけでなく全面的な下地調整が必要になることもあります。
(注意)剥がれた部分へ塗料を厚く塗って埋める方法は、下地処理の代わりにはなりません。
弱い塗膜を残したまま回数だけ増やしても、耐久性の向上は期待できません。
モルタル外壁は、乾燥収縮や建物の動きによって、細かなひび割れが生じることがあります。
髪の毛ほどの細いひび割れであっても、ひびの量が多い場合は、通常の薄膜シーラーだけでは表面の凹凸や割れを十分に遮蔽できないことがあります。
そういった場合は、微弾性フィラーなどを厚付けし、ローラーで模様を整える施工を検討します。
ただし、ひび割れの幅や動きが大きい場合は、フィラーを塗るだけでは不十分です。
ひび割れを適切に処理し、必要に応じてシーリング材、樹脂モルタル、エポキシ樹脂などを使い分けます。
ひび割れ補修は、単に隙間を埋める作業ではありません。
原因、深さ、幅、動きの有無を見極め、補修跡が悪目立ちしないよう、周囲の模様まで丁寧に復元することが大切です。
光触媒塗装、無機系塗装、フッ素系塗装などは、表面が緻密で汚れにくい反面、新しい塗料が密着しにくい場合があります。
特に親水性が高い表面や、極端に艶のある旧塗膜へ通常の下塗り材を使用すると、施工直後は密着しているように見えても、時間の経過とともに剥離する可能性があります。
このような場合は、旧塗膜の種類を確認し、表面を研磨して足付けを行い、難付着下地に対応した専用プライマーを選定します。
既存塗膜が不明な場合は、目立たない場所で試験塗装を行い、乾燥後の密着状態を確認することも有効です。
「高級塗料を塗ってあるから、次も安心」ではありません。
高性能な旧塗膜ほど、次回の塗り替えでは慎重な下地確認が求められる場合があります。
濃いブラウンやネイビーから、アイボリー、ホワイト、淡いグレージュへ塗り替える場合、下地の色が透けやすくなることがあります。
通常は、隠ぺい性のある下塗り材を選び、中塗りと上塗りを規定量塗ることで仕上げます。
しかし、鮮やかな色や隠ぺいしにくい色では、メーカーが指定する共色下塗りや中塗り色を使用したり、仕上がりを確認したうえで追加塗装を検討したりする場合があります。
色を隠すために闇雲に厚塗りするのではなく、下塗り色、上塗り色、塗料の隠ぺい性を考えて組み立てることが、上品で均一な仕上がりにつながります。
5. 4回塗り・5回塗りになる代表的な施工仕様
外壁塗装が4回塗りや5回塗りになるのは、単純に耐久性を高めるためではありません。
下地補強、模様の復元、色の隠ぺい、防水性の確保など、追加する工程には明確な目的が必要です。
| 外壁の状態・仕上げ | 施工例 | 合計回数の目安 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 吸い込みが激しい外壁 | シーラー2回+上塗り2回 | 4回 | 下地補強、吸い込み止め |
| 脆弱なモルタル外壁 | 浸透シーラー+フィラー+上塗り2回 | 4回 | 下地補強、凹凸調整 |
| 模様の復元が必要 | 下塗り+模様付け+上塗り2回 | 4回 | 既存模様との調和 |
| 防水形複層仕上げ | 下塗り+主材複数工程+上塗り2回 | 4~5回以上 | 防水性、ひび割れ追従性 |
| ダブルトーン仕上げ | 下塗り+ベース色2回+凸部色 | 4回以上 | 立体感、意匠性の再現 |
| 保護クリヤーを加える意匠仕上げ | 着色工程+意匠工程+クリヤー | 仕様による | 色調保護、意匠の保護 |
(重要)上記は一般的な考え方であり、異なる下塗り材を自由に重ねてよいという意味ではありません。
シーラーとフィラーを組み合わせる場合も、製品同士の適合性とメーカーの推奨仕様を確認します。
また、ひび割れ補修、欠損補修、シーリング工事、研磨、ケレン、模様合わせは、塗装回数に含めないのが一般的です。
見積書に「4回塗り」と書かれていても、どの塗料を、どの目的で、何回塗るのかを確認する必要があります。
回数ではなく、工程の中身を見る。
これが、外壁塗装の見積りを正しく比較する大切なポイントです。
6. 塗る回数が多いほど長持ちするとは限らない
「3回より4回、4回より5回のほうが丈夫そう」と感じるかもしれません。
しかし、外壁塗装は、重ねれば重ねるほど強くなるミルフィーユではありません。
塗料には、1回当たりの標準塗布量、乾燥時間、塗り重ね可能時間、推奨膜厚が定められています。
これらを無視して必要以上に厚く塗ると、塗膜の表面だけが先に乾き、内部に水分や溶剤が残ることがあります。
塗膜を一度に厚く付け過ぎたり、十分に乾燥する前に次の塗料を重ねたりすると、次のような不具合につながる可能性があります。
- ■ 塗膜の膨れ
- ■ 表面の縮みやしわ
- ■ 乾燥不良やべたつき
- ■ 艶むら、色むら
- ■ 塗膜内部のひび割れ
- ■ 層と層の密着不良
- ■ 水分が抜けにくくなることによる膨れ
とくに湿気を含んだ外壁へ、透湿性の低い塗料を厚く重ねると、内部から押し出される水蒸気によって膨れが発生することがあります。
塗膜の膨れを見つけたとき、「もっと厚く塗れば直る」と考えるのは絶対ダメです。
雨水の浸入、外壁内部の湿気、既存塗膜の密着不良、塗り重ね時間など、原因を先に調べる必要があります。
良い塗装とは、厚い塗装でも回数の多い塗装でもありません。
必要な材料を、必要な量で、必要な時間を空けて塗ること。
一見地味ですが、この積み重ねが最も確実です。
7. 外壁塗装は回数より塗布量と乾燥時間が大切
塗装品質を確認するときは、「何回塗ったか」だけではなく、塗料を何缶使用したか、どのくらいの面積へ塗ったか、工程間の乾燥時間を守ったかを確認することが大切です。
たとえば、同じ100㎡の外壁を3回塗ったとしても、規定量の塗料を使用した施工と、塗料を薄く延ばした施工では、完成する塗膜の厚みが違います。
ローラーを3回通しただけで、「3回塗り」になるわけではありません。
各工程を独立して施工し、メーカーが定める塗布量を確保する必要があります。
凹凸が深い外壁、粗いスタッコ壁、吸い込みの強いモルタル壁は、平滑なサイディングより塗料を多く必要とする傾向があります。
そのため、面積だけでなく、外壁の形状や表面粗さも材料数量に影響します。
見積りでは、塗料名だけでなく、施工面積と使用予定缶数の関係が不自然ではないかを確認すると、施工内容をより具体的に把握できます。
塗料を塗った直後は、まだ十分な塗膜になっていません。
水分や溶剤が抜け、樹脂が固まり、次の塗装を受け止められる状態になるまで待つ必要があります。
夏は表面が早く乾いて見えますが、外壁温度が高過ぎると塗料の伸びが悪くなり、継ぎ目やローラーむらが出やすくなります。
冬は乾燥が遅く、夕方の結露にも注意が必要です。
また、湿度が高い日や雨の前後は、見た目以上に外壁が水分を含んでいることがあります。
工程を急いで塗り重ねれば、工期は短く見えても、塗膜の内部には無理が残ります。
乾燥時間は「職人が何もしていない時間」ではなく、塗膜が性能を整えている大切な工程です。
8. 状態別オーダーメイド塗装のための現場調査
状態別オーダーメイド塗装は、職人の感覚だけで自由に塗料を組み合わせる方法ではありません。
現場調査で得た情報をもとに、メーカー仕様の中から適切な施工方法を選ぶ考え方です。
最初に確認するのは、外壁材の種類です。
窯業系サイディング、モルタル、ALC、金属サイディング、押出成形セメント板など、素材によって吸水性、動き、表面硬度が違います。
次に、既存塗膜の種類や仕上げを確認します。
艶のある塗膜、砂壁状の塗膜、弾性塗膜、クリヤー塗膜、光触媒塗膜などによって、必要な下地処理と下塗り材が変わります。
図面や過去の見積書、塗料缶の写真、保証書などが残っていれば、旧塗膜を判断する大切な手掛かりになります。
現場調査では、色あせや汚れを見るだけでなく、外壁を手で触り、目地周辺、窓まわり、基礎付近、軒下、バルコニー周辺などを詳しく確認します。
| 調査項目 | 確認できること | 施工への反映 |
|---|---|---|
| チョーキング確認 | 表面塗膜の粉化状態 | 洗浄方法、下塗り材、下塗り回数 |
| ひび割れ幅の確認 | 割れの程度、動きの可能性 | 補修材、補修方法、模様復元 |
| 打診・触診 | 浮き、反り、欠損、脆弱部 | 撤去、固定、交換、補修 |
| 水分の確認 | 雨水浸入、湿気、乾燥状態 | 施工時期、乾燥期間、原因補修 |
| 密着確認 | 既存塗膜の付着状態 | 研磨、剥離、専用プライマー |
| 試験塗装 | 塗料の密着性、乾燥、仕上がり | 採用仕様の最終判断 |
外壁全体を一つの面として見るだけでなく、方角や部位ごとの差まで確認することが、無駄のない施工仕様につながります。
塗膜の膨れ、外壁の腐食、モルタルの欠損などがある場合は、塗装前に水分の侵入経路を調べます。
シーリングの切れ、笠木の継ぎ目、バルコニー防水、サッシまわり、屋根との取り合いなどから雨水が入っている場合、外壁表面だけを塗っても根本的な解決にはなりません。
塗装は、雨漏りの原因を何でも包み隠す魔法の膜ではありません。
必要に応じてシーリング、防水、板金、外壁材の交換などを組み合わせることが、誠実な改修工事だと考えます。
9. 外壁材・劣化症状別の塗装仕様
ここでは、住宅で多く見られる外壁材と劣化症状について、施工仕様を考える際のポイントを整理します。
| 外壁材・状態 | 主な注意点 | 検討する施工内容 |
|---|---|---|
| 窯業系サイディング | シーリング劣化、反り、吸水、表面剥離 | シーリング改修、固定、専用下塗り、必要に応じた部分交換 |
| モルタル外壁 | ひび割れ、浮き、欠損、吸い込み | クラック補修、樹脂モルタル補修、シーラー、フィラー |
| ALC外壁 | 目地劣化、板間クラック、吸水、欠損 | 目地改修、ひび割れ補修、透湿性を考慮した塗装仕様 |
| 金属サイディング | 錆、白錆、旧塗膜の密着、変形 | ケレン、脱脂、錆止め、適合する上塗り |
| スタッコ・リシン | 深い凹凸、汚れ、吸い込み、ひび割れ | 入念な洗浄、浸透下塗り、フィラー、適正な毛丈のローラー |
| 光触媒・無機系旧塗膜 | 難付着、親水性、旧塗膜の特定が難しい | 研磨、試験塗装、専用プライマー |
| クリヤー仕上げ | 色あせ、補修跡、シーリングとの取り合い | クリヤー適否の判断、補修範囲、製品指定工程 |
外壁塗装では、建物全体を同じ仕様で塗ることが一般的ですが、劣化の強い面だけ下地処理を増やすことがあります。
たとえば、南面と西面は紫外線による色あせやチョーキングが進みやすく、北面は藻、カビ、湿気の影響を受けやすい傾向があります。
ベランダ下や軒下は雨が当たりにくい一方、結露や汚れが残りやすいこともあります。
劣化が強い面には下塗りを追加し、比較的健全な面には通常仕様を採用するなど、必要に応じて施工内容を変えることも、状態別オーダーメイド塗装の一つです。
ただし、面ごとに異なる塗料を使用すると、艶や色の見え方に差が生じる可能性があります。
仕上がりの統一感まで考えたうえで、仕様を組み立てる必要があります。
10. 見積書で確認したい塗装回数と施工内容
外壁塗装の見積書を比較するとき、「3回塗り」「4回塗り」という回数だけを見ても、施工品質は判断できません。
見積書には、上塗り塗料だけでなく、下塗り材の商品名も記載されていることが理想です。
「高級無機塗料3回塗り」とだけ書かれていても、どの下塗り材を使うのか、既存外壁に適合するのかは分かりません。
下塗り材の名称、塗装回数、施工面積、上塗り塗料との組み合わせまで確認しましょう。
高圧洗浄、ケレン、ひび割れ補修、欠損補修、シーリング工事などは、塗装前に行う重要な工程です。
「下地処理一式」という表現だけでは、どこまで行うのか分かりにくいため、主な補修箇所と補修方法を説明してもらうことをおすすめします。
- ■ ひび割れは、どの幅から補修対象になるか
- ■ 剥がれた旧塗膜は、どのように除去するか
- ■ 欠損部分は、どの材料で成形するか
- ■ シーリングは、打ち替えか増し打ちか
- ■ 下塗りの吸い込みが止まらない場合はどうするか
工事前にすべての数量を確定できない場合でも、追加補修が必要になったときの判断基準と費用の扱いを確認しておくと安心です。
4回塗りや5回塗りを提案された場合は、「何を塗るのか」だけでなく、「なぜ必要なのか」を確認してください。
下地が脆弱だから浸透シーラーを追加する、模様を復元するため主材工程を加える、濃色から淡色へ変更するため隠ぺい工程を調整するなど、理由が明確であれば納得しやすくなります。
それとは逆に「回数が多いほど長持ちします」という説明だけで、塗料名や塗布量が分からない場合は、慎重に確認したほうがよいでしょう。
良い見積書は、金額を知らせるだけでなく、住まいをどう直すのかが見える設計図です。
11. 小林塗装が考える状態別オーダーメイド塗装
小林塗装では、塗装回数を先に決めてから建物を見るのではなく、建物を詳しく確認してから必要な施工仕様を組み立てることを大切にしています。
もちろん、メーカーの標準施工仕様を外して、職人の感覚だけで自由に塗るわけではありません。
標準仕様を基本にしながら、外壁材、旧塗膜、傷み具合、立地、方角、仕上がりのご希望を確認し、必要な補修と下塗りを選びます。
同じ築年数、同じ坪数、同じ外壁材であっても、建物の傷み方は同じではありません。
幹線道路沿いでは排気由来の汚れや埃、沿岸地域では塩分、緑の多い地域では藻やカビ、住宅密集地では作業スペースや飛散対策なども考える必要があります。
また、外壁の色や艶も塗料選びだけで決まるものではありません。
建物の形、玄関ドア、サッシ、屋根、植栽、周辺の街並みまで見ながら整えることで、落ち着きのある外観になります。
塗装仕様と色彩計画は別々の仕事に見えますが、どっちも「この住まいに何が合うか」を考える点では同じです。
外壁塗装が完成すると、下地処理や下塗りは見えなくなります。
でも、仕上がった後に見えなくなってしまう作業ほど、塗膜の耐久性を左右させます。
剥がれた塗膜を除去する、ひび割れを補修する、下塗りの吸い込みを確認する、乾燥を待つ、端部も丁寧に塗装する。
こうした作業は、完成写真には写らないのですが、数年後の外壁には、施工時の判断が静かに表れます。
近道をした部分は早く傷み、丁寧に整えた部分は落ち着いた表情を保ちます。
塗装職人の仕事は、色を付けることではなく、住まいの状態を整え、次の年月へつなぐこと。
小林塗装は、その基本を大切にしています。
12. まとめ|3回塗りを目的にせず、住まいに必要な工程を選ぶ

外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。
外壁の状態が安定しており、塗料の適合性に問題がなければ、3回塗りで十分な性能を確保できます。
しかし、外壁の吸い込みが激しい、旧塗膜が脆弱、ひび割れが多い、特殊な塗膜が施工されているといった場合は、追加の下塗り、補修、研磨、模様復元などが必要になることがあります。
一方、塗装回数を必要以上に増やせば、必ず長持ちするわけではありません。
厚塗りや乾燥不足は、膨れ、縮み、密着不良などを招く可能性があります。
- ■ 3回塗りは、品質のゴールではなく基本設計
- ■ 外壁の状態によっては下塗り2回が必要
- ■ 剥がれやひび割れは、塗る前に直す
- ■ 回数より塗布量、乾燥時間、適合性が重要
- ■ 追加工程には明確な理由が必要
- ■ メーカー仕様を基本に建物ごとに調整する
これからの外壁塗装は、「どの家も同じ3回塗り」ではなく、住まいの状態に合わせて必要な工程を組み立てる時代へ進んでいくと考えています。
高価な塗料を選ぶことよりも、住まいの状態を正しく見極めること。
塗装回数を増やすことよりも、一つひとつの工程を正しく行うこと。
そのほうが、長い目で見れば無駄がなく、住まいにもやさしい選択です。
小林塗装では、外壁材や旧塗膜、ひび割れ、シーリング、日当たり、湿気まで詳しく確認し、お客様の住まいに合った施工仕様を提案しています。
外壁塗装の回数や見積り内容に疑問を感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。
13. 外壁塗装の塗り回数に関する深掘りQ&A

A.3回塗りだけで、耐久性が保証されるわけではありません。
3回塗りは一般的な基本仕様ですが、下地処理、塗料の適合性、塗布量、乾燥時間、施工時の気温や湿度が適切でなければ、塗料本来の性能を発揮できません。
反対に、外壁の状態が良く、メーカー仕様を守って丁寧に施工されていれば、通常の3回塗りで十分な耐久性を期待できます。
A.回数が多いだけでは、高品質とは判断できません。
4回目、5回目に何を塗り、どのような役割を持たせるのかが重要です。
下地補強や模様復元など、必要性が明確であれば有効な追加工程になります。
必要のない塗料を重ねたり、乾燥時間を待たずに塗り重ねたりすると、かえって不具合の原因になります。
A.外壁の吸い込みや粉化が著しく、1回の下塗りでは下地が安定しない場合です。
1回目のシーラーが傷んだ外壁へ吸い込まれてしまい、表面に必要な膜が形成されない場合は、メーカー仕様を確認したうえで2回目、3回目を塗ることがあります。
ただし、下地が濡れている、剥離している、内部から水分が供給されている場合は、下塗りを増やす前に原因を直さなければなりません。
A.住宅外壁では、同じ上塗り塗料を2回塗る仕様が一般的です。
1回目を中塗り、2回目を上塗りと呼びます。
二つの工程で規定膜厚を確保し、色と艶を均一に仕上げます。
製品によっては専用中塗り材を使用することもあるため、塗料の商品名と標準施工仕様を確認しましょう。
A.確認しやすくなる面はありますが、色を大きく変えることには注意が必要です。
中塗り色と上塗り色を変えると工程の区別はしやすくなります。
しかし、塗膜に傷が付いたときに下の色が目立ったり、隠ぺいしにくい色では仕上がりに影響したりすることがあります。
同じ色、または仕上げ色に近い色を使い、施工写真や使用材料、作業記録によって工程を管理する方法が安心です。
A.洗浄だけで十分かどうかは、乾燥後の外壁状態を確認して判断します。
高圧洗浄で粉化物や汚れを落としても、外壁表面が脆いまま残ることがあります。
その場合は、浸透性や補強性のある下塗り材を選びます。
外壁材そのものが崩れている場合は、塗装ではなく補修や部分交換が必要です。
A.通常仕様では十分に密着しない可能性があるため、慎重な確認が必要です。
表面研磨、脱脂、専用プライマー、試験塗装などを行い、既存塗膜と新しい塗料の適合性を確認します。
旧塗膜が特定できない場合は、塗料メーカーや塗料販売店と相談しながら施工仕様を決めることが大切です。
A.クリヤー塗装は、一般的な着色塗装と工程が異なります。
製品によっては、下塗りを使用せず、クリヤー塗料を2回塗る仕様があります。
既存の模様を生かす塗装であるため、色あせ、ひび割れ、補修跡が目立つ外壁には適さないことがあります。
クリヤー塗装を希望する場合は、劣化が進む前に適否を判断することが重要です。
A.材料と作業時間が増えるため、一般的には費用も増えます。
ただし、必要な下塗りや補修を省いて安く仕上げても、早期剥離や膨れが起これば、再補修の費用が必要になります。
工事時の金額だけでなく、次の塗り替えまで安心して過ごせるかという長期的な視点で判断しましょう。
A.下地処理、塗料名、施工面積、塗布量、補修方法を確認してください。
「外壁塗装3回塗り」という記載だけでは、施工内容の詳細は分かりません。
下塗り材と上塗り材の商品名、使用缶数、シーリング工事、ひび割れ補修なども確認します。
追加工事が発生する条件と費用について、契約前に説明を受けておくことも大切です。
A.各工程の施工写真、使用済み塗料缶、作業報告書などで確認できます。
完成後の外壁を見ただけでは、塗装回数を正確に判断することは困難です。
そのため、下塗り、中塗り、上塗りの施工写真を残してもらうと安心です。
ただし、写真だけで品質のすべてを判断できるわけではありません。
材料管理、乾燥時間、職人の施工精度を含めた総合的な管理が重要です。
A.高価な工程を増やすことではなく、必要な施工だけを適切に行う考え方です。
傷んでいない部分へ不要な工程を加えるのではなく、補修が必要な場所には手を掛け、通常仕様で十分な場所には適正な施工を行います。
住まいの状態に合った施工は、過剰な工事と不足する工事の両方を避けるための、合理的で誠実な塗装方法です。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、一般住宅を中心に2,000件以上の施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、下地補修、色彩提案まで、住まいの状態とお客様のご要望に合わせた施工をご提案しています。
塗装工事は、塗料の商品名や塗装回数だけで品質が決まるものではありません。
入念な現場調査、下地処理、材料選定、塗布量、乾燥時間、職人同士の連携まで、一つひとつの積み重ねが仕上がりをつくります。
名古屋市を中心に、地域の気候や住環境を踏まえながら、長く安心して暮らせる住まいづくりをお手伝いしています。
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