細骨材入り塗材の外壁塗装をきれいに仕上げる方法を徹底解説
ジョリパット、ベルアート、グラナダ、リシン、スタッコなどの塗り壁調外壁には、一般的なサイディング外壁とはちょっと違った魅力があります。
近くで見ると、砂粒のような細かな凹凸が光をやわらかく受け止め、遠くから眺めると、土壁や石肌のような落ち着いた表情を見せます。
晴れた日の朝は軽やかに、雨上がりの夕方には色が少し深く見える。
つるんとした塗膜にはない、手仕事らしい風合いです。
ところが、塗り替え時に一般的な平滑タイプのシリコン塗料などを厚く塗ると、細かな砂壁模様が塗膜に埋まり、外壁の表情がのっぺりと見えることがあります。
逆に既存の模様を残そうとして塗料を薄く伸ばしすぎると、色の透け、ローラー筋、骨材の偏り、塗り継ぎムラが発生します。
塗り壁調外壁の塗り替えは、単に「艶消し塗料を塗ればよい」という仕事ではありません。
下地の吸い込み、既存模様の深さ、骨材の大きさ、材料粘度、ローラーの毛丈、塗る人数、壁面の広さ、日当たり、風、乾燥速度まで考えながら施工する必要があります。
そこで使われるのが、アイカ工業「ジョリパットフレッシュ」、エスケー化研「アートフレッシュ」、菊水化学工業「グラナダフレッシュ」、スズカファイン「ビーズコートフレッシュ」などの意匠性塗材塗り替え用の細骨材入り塗材です。
これらの製品は、既存の砂壁調、土壁調、スタッコ調、砂岩調などの凹凸を生かし、艶を抑えた自然な質感で塗り替えるために設計されています。
ただし、4製品は見た目や用途が似ていても、適用できる旧塗膜、推奨下塗り材、希釈率、所要量、塗り重ね時間、使用ローラーが同じではありません。
細骨材入り塗材をきれいに仕上げる最大のポイントは、普通の外壁塗料と同じ感覚で扱わないことです。
材料を塗りやすくするために水を多く加える。
ローラーが重いから強く押して広く伸ばす。
一人で大きな壁を少しずつ仕上げる。
夕方になっても壁の途中まで塗り進める。
こうした一見合理的に見える作業が、骨材むら、色むら、塗り継ぎ、艶むらを生む原因になります。
本コラムでは、塗装歴30年以上、施工実績2,000件以上の小林塗装が、細骨材入り塗材の特徴、4製品の違い、外壁診断、高圧洗浄、下地補修、下塗り、材料の攪拌・希釈、ローラー選び、塗布量、塗り継ぎ、乾燥管理まで詳しく解説します。
塗り壁らしい上品な質感を残しながら、色むらのない落ち着いた外壁へ仕上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
- ■ 細骨材入り塗材と一般的な外壁塗料の違い
- ■ ジョリパットフレッシュなど4製品の特徴と使い分け
- ■ 塗り替えできる旧塗膜・できない旧塗膜の見分け方
- ■ 塗り壁模様を壊さない高圧洗浄の考え方
- ■ ひび割れ・剥離部の模様を自然に復元する方法
- ■ 下塗り材の色と吸い込み止めが重要な理由
- ■ 骨材の偏りを防ぐ攪拌・希釈・小分け方法
- ■ 中毛・中長毛・長毛ローラーの選び方
- ■ ローラー目・塗り継ぎ・色むらを防ぐ施工手順
- ■ 細骨材入り塗材に慣れた施工業者の見分け方
1. 細骨材入り塗材をきれいに仕上げる7つの基本
結論からお伝えすると、細骨材入り塗材を美しく仕上げるために重要なのは、次の7点です。
- ■ 既存塗膜の種類・強度・吸い込みを正しく診断する
- ■ 下地を傷めない圧力で洗浄し、十分に乾燥させる
- ■ 補修部分の模様と吸い込みを周囲へ合わせる
- ■ 下地と製品に適合した下塗り材を使用する
- ■ 骨材が均一になるまで攪拌し、希釈率を統一する
- ■ 既存模様に合ったローラーで規定量を均一に配る
- ■ 壁面を途中で止めず、濡れた状態で塗りつなぐ
一般的な平滑塗料でも、塗り継ぎやローラー筋には注意が必要です。
細骨材入り塗材では、色だけでなく、塗膜表面に並ぶ細かな骨材の密度と向きまで見え方へ影響します。
同じ色でも、骨材が多く残った部分は光を細かく乱反射し、少なくなった部分は比較的なめらかに見えます。
塗布量が多い部分と少ない部分では、明るさ、陰影、ローラー肌が変わります。
つまり、細骨材入り塗材では、色むらに見えているものが、実は骨材むらや膜厚むらであることも少なくありません。
材料を壁へつけてから、職人の腕だけですべてを整えることはできません。
下地の吸い込みが部分ごとに違う。
補修材の表面だけ平らになっている。
材料の缶ごとに希釈率が違う。
ローラーの毛丈が途中で変わる。
一人目と二人目で塗る方向が違う。
こうした条件が重なると、どれほど丁寧にローラーを動かしても、仕上がりは揃いません。
外壁一面を、同じ下地・同じ材料・同じ道具・同じ動き・同じ乾燥条件でつなげること。
これが、細骨材入り塗材をきれいに仕上げる基本です。
2. 外壁塗装に使う細骨材入り塗材とは
細骨材入り塗材は、樹脂、顔料、水、添加剤などに、細かな骨材や体質顔料を組み合わせた意匠性のある仕上げ材料です。
一般的な外壁用上塗り塗料は、塗膜を比較的なめらかに整え、色と艶を均一に見せるよう設計されています。
一方、細骨材入り塗材は、細かな粒子によって表面に微細な凹凸をつくり、砂壁、土壁、リシン、スタッコなどの質感を残しやすくします。
細骨材入り塗材の外壁が落ち着いて見える理由の一つは、表面の細かな凹凸です。
平滑な艶有り塗膜は、光を一定方向へ反射するため、色が鮮明で光沢を感じやすくなります。
細骨材入りの艶消し塗膜は、表面の小さな粒が光をさまざまな方向へ散らすため、反射がやわらかく見えます。
アイボリー、ベージュ、グレージュ、淡いブラウンなどの穏やかな色と組み合わせると、塗り壁らしい自然な陰影が生まれます。
改修用の細骨材入り塗材は、既存の凹凸を生かしながら色と保護性能を更新する材料です。
元のコテ模様、櫛引き、トラバーチン、スタッコ模様などを、新品とまったく同じ状態へつくり直すものではありません。
既存塗膜が健全であれば、その凹凸に沿って塗材が入り、模様を残したまま色替えできます。
しかし、何度も厚塗りされて模様が埋まっている場合や、広範囲に剥離している場合は、上から塗るだけでは元の意匠を取り戻せません。
モルタルや意匠性塗材の外壁では、建物内部や下地側から水蒸気が移動することがあります。
透湿性の低い塗膜を重ねると、下地内部の水分が抜けにくくなり、条件によっては膨れや剥離の一因になります。
アートフレッシュシリーズでは、既存の意匠を保ちながら塗り替えられることに加え、透湿性と微弾性が製品特長として示されています。
グラナダフレッシュやビーズコートフレッシュも、意匠性塗材の改修用途を想定した製品です。
ただし、透湿性のある塗材を使えば、下地の水分問題がすべて解消されるわけではありません。
雨漏れ、漏水、結露、地面からの湿気などがある場合は、その原因を先に直します。
3. ジョリパットフレッシュ・アートフレッシュなど4製品を比較
今回取り上げる4製品は、いずれも意匠性塗材の風合いを生かした塗り替えへ使われます。
ただし、製造会社、適用下地、下塗り、希釈率、塗装器具、所要量などは異なります。
| 製品名 | メーカー | 主な特徴 | 施工上の主なポイント |
|---|---|---|---|
| ジョリパットフレッシュ JQ-800 | アイカ工業 | ジョリパットの砂壁調風合いを残しながら色替えできる改修用トップコート | 旧塗膜の種類を確認し、専用下塗りと施工仕様を守ります |
| アートフレッシュ | エスケー化研 | 特殊セラミックシリコン樹脂系の塗り替え用仕上塗材 | 既存模様の深さにより中毛・長毛ローラーと所要量を変えます |
| グラナダフレッシュ | 菊水化学工業 | HALS複合アクリルシリコン樹脂系の意匠性塗材塗り替え用材料 | ローラー目を同一方向へそろえ、希釈と所要量を統一します |
| ビーズコートフレッシュ | スズカファイン | アクリルシリコン系の艶消し意匠仕上げ塗材 | 下地の劣化に応じて下塗りを選び、2回塗りで質感を整えます |
ジョリパットフレッシュJQ-800は、ジョリパットの砂壁調の風合いを残しながら色替えできる、ローラー施工の改修用トップコートです。
公式情報では127色に対応し、耐候性、防藻・防かび性、低汚染性を備えています。
施工可能な下地としてジョリパット、アクリル系塗膜、アクリルリシン、弾性リシンなどが示される一方、シリコン系塗膜、フッ素系塗膜、単層弾性塗膜、タイル、塗装サイディング、鉄などは施工不可とされています。
ジョリパットという名前だけを見て判断せず、過去にどのような塗料で塗り替えられているかを確認する必要があります。
アートフレッシュは、特殊セラミックシリコン樹脂系の艶消し仕上げ塗材です。
各種砂壁状、土壁調、スタッコ調、砂岩調などの健全な既存塗膜を対象とし、20kg缶で標準塗坪20~33㎡、期待耐用年数は10~12年の目安が示されています。
メーカー施工仕様では、上塗り2回の合計所要量を0.6~1.0kg/㎡とし、既存凹凸が小さい場合は中毛ローラーで0.6~0.8kg/㎡、凹凸が大きい場合は長毛ローラーで0.8~1.0kg/㎡を目安としています。
グラナダフレッシュは、HALSを組み合わせたアクリルシリコン樹脂系の艶消し仕上げ塗材です。
20kg缶で所要量は0.5~1.0kg/㎡、刷毛またはウールローラー施工が基本として示されています。
公式施工仕様では、中毛ウールローラー、清水5~10%、2回塗り、工程内2時間以上を標準とし、ローラー目を同一方向へそろえるよう注意しています。
ビーズコートフレッシュは、アクリルシリコン系の艶消し意匠仕上げ塗材です。
刷毛、ウールローラー、吹付けに対応し、清水5~15%、2回合計0.6~1.0kg/㎡、23℃で工程内3時間以上、最終養生24時間以上が示されています。
下地の劣化が軽微な場合は下塗りを省略できる仕様も示されていますが、実際の住宅では吸い込み、チョーキング、補修箇所、旧塗膜の種類を確認して判断します。
似た製品だから同じ仕様で塗るのではなく、使用する製品の最新施工仕様書へ現場を合わせることが大切です。
4. 細骨材入り塗材を塗る前に既存外壁を診断する
細骨材入り塗材を使えば、すべての塗り壁外壁をきれいに直せるわけではありません。
塗り始める前に、現在の塗膜が新しい塗材を支えられる状態か確認します。
見た目がジョリパット風でも、過去の塗り替えでシリコン塗料、単層弾性塗材、撥水性の高い塗膜などが施工されている場合があります。
表面に水をかけたときのはじき方、艶、触感、建築時の資料、過去の見積書や塗料缶の記録などを確認します。
適用外の旧塗膜へ無理に施工すると、密着不良やはじき、乾燥不良を起こす可能性があります。
表面がきれいに見えても、塗膜の内部や下地との境界で浮いていることがあります。
打診、テープ試験、スクレーパーによる確認などを行い、簡単に剥がれる範囲を調べます。
弱い旧塗膜の上へ高性能な塗材を重ねても、古い塗膜ごと剥がれれば意味がありません。
手で触ったときに粉がつく、雨に濡れた部分だけ濃くなる、部分的に水を強く吸い込む場合は、既存塗膜が劣化しています。
吸い込みが不均一なまま細骨材入り塗材を塗ると、水分が早く抜ける部分と遅く抜ける部分が生まれます。
その差が、色むら、塗り継ぎ、骨材の並び方の違いとして現れることがあります。
塗膜が膨れている場合、表面だけを削って塗り直せばよいとは限りません。
下地内部の水分、雨漏れ、弾性塗膜の蓄熱、旧塗膜との相性、乾燥不足など、複数の原因が考えられます。
同じ壁面に膨れが多数ある場合は、部分補修ではなく、その面の旧塗膜を広く除去する判断が必要になることもあります。
アートフレッシュの施工資料でも、同一面に旧塗膜の膨れが多数ある場合は、面全体の旧塗膜層をケレン除去した方がよいケースがあると説明されています。
次のような状態では、塗装より先に、下地補修や別工事が必要です。
- ■ 構造的な動きが疑われる大きなひび割れ
- ■ 雨漏れや内部漏水による湿潤
- ■ 下地モルタルの広範囲な浮き
- ■ ALCパネルや目地の大きな動き
- ■ 外壁内部の木材腐朽
- ■ 何層にも重なった旧塗膜の層間剥離
塗装できない状態であることを正直に伝えるのも、塗装店の大切な仕事です。
塗れるかではなく、塗った後に長く安定するかを基準に判断します。
5. 塗り壁模様を傷めずに高圧洗浄する方法
細骨材入り塗材の塗り替えでは、高圧洗浄の強さが仕上がりを左右します。
洗浄不足では、藻、かび、粉化した塗膜、ホコリが残ります。
反対に、水圧を上げすぎると、古いリシン粒やスタッコの凸部が欠け、外壁が水を吸い込みすぎることがあります。
最初から最大圧力で洗浄せず、目立ちにくい場所で試します。
ノズルの距離、角度、水圧を少しずつ調整し、汚れが落ち、旧塗膜が破壊されない条件を探します。
手で触ると崩れるような脆弱面へ、高圧水を近距離から当ててはいけません。
エスケー化研のアートフレッシュ施工資料では、水洗いの水圧を7MPa以下に調整し、圧力を上げすぎないよう注意しています。
ただし、7MPa以下なら、すべての外壁に安全という意味ではありません。
劣化が進んだリシンや、浮きのあるスタッコでは、さらに圧力を下げる必要があります。
高圧水だけで表面の緑色や黒色が薄くなっても、微生物が残っている場合があります。
北面、植栽の近く、塀、バルコニー内側などで藻やかびが多い場合は、下地へ適合する洗浄剤を使用し、十分にすすぎます。
グラナダフレッシュの仕様でも、かびや藻がある場合は殺菌洗浄を行うよう示されています。
塗り壁調の外壁は、細かな凹凸や微細な孔へ水分を含みます。
表面が白く乾いて見えても、模様の奥や補修部分には水分が残っていることがあります。
アートフレッシュの施工資料では、洗浄後の乾燥目安として、夏期1日以上、春・秋2日以上、冬期3日以上を示しています。
これは一つの製品仕様上の目安であり、日陰、低温、高湿度、深い凹凸、雨漏れがある場合は、さらに乾燥時間が必要です。
洗浄翌日に予定どおり塗ることより、外壁が本当に乾いてから塗ることを優先します。
6. ひび割れ・剥離・欠損を補修して模様を復元する方法
細骨材入り塗材は、一般的な平滑塗料より補修跡をなじませやすい面があります。
しかし、補修部分を平らに仕上げたまま上塗りすると、その部分だけ模様が消え、四角いパッチのように見えます。
細いクラックでも、建物の動きが集中する場所では再発する可能性があります。
ひび割れの幅、深さ、方向、周辺の浮き、雨水の経路を調べ、フィラー刷り込み、樹脂モルタル、Uカットシーリングなどを使い分けます。
細骨材入り塗材自体に微弾性があっても、大きく動くひび割れを止めることはできません。
剥がれている部分だけを丸く削るのではなく、周囲を確認し、健全な旧塗膜へ到達するまで除去します。
端部が浮いたまま残っていると、新しい塗膜が乾燥するときの収縮で、周囲まで持ち上がる可能性があります。
補修材が盛り上がっていると、上塗り後も凸部として見えます。
反対に、深くへこんでいると雨水や汚れが溜まりやすくなります。
周囲の仕上げ面と高さを合わせ、その後に模様を復元します。
リシン調、スタッコ調、櫛引き、トラバーチンでは、模様の大きさ、方向、深さが異なります。
同系統の仕上塗材、ローラー、刷毛、スポンジなどを使い、周囲の模様へ近づけます。
補修部分だけを新しく美しくつくりすぎると、かえって目立ちます。
少し不規則な周辺模様の中へ、自然に溶け込ませることが大切です。
補修材が乾燥する前に下塗りや上塗りを行うと、水分が閉じ込められ、色むら、白化、膨れにつながります。
補修部分は周辺より水分が多く、吸い込みも異なります。
補修材を詰めた日ではなく、補修材が塗装できる状態になった日を次工程の基準にします。
7. 細骨材入り塗材の仕上がりを左右する下塗り選定
下塗りの目的は、新しい塗材を接着させるだけではありません。
下地の吸い込みを均一にし、粉化した表面を固め、補修部分と既存塗膜の色差を整える役割があります。
透明シーラーは、下地の色を大きく変えずに吸い込みと付着性を整えます。
白色シーラーは、下地色を隠しやすく、上塗りの発色を均一にする効果があります。
濃い旧塗膜から淡い色へ変更する場合や、補修箇所の色差が大きい場合は、白色下塗りが有効です。
グラナダフレッシュの施工仕様でも、濃色下地の場合は白色下塗りを施工するよう示されています。
旧塗膜が粉化し、下地の吸い込みが強い場合は、浸透性のあるシーラーで表面を補強します。
ただし、脆弱な下地へシーラーを大量に染み込ませれば、すべて健全になるわけではありません。
剥離する部分は除去し、残った下地がシーラーで補強できる状態か判断します。
外壁全体に細かなヘアークラックがある場合、微弾性の下地調整材を使うことがあります。
しかし、下塗りを厚く塗りすぎると、既存の繊細な砂壁模様が埋まります。
細骨材入り塗材で質感を残す場合は、クラック追従性だけでなく、模様をどこまで残すかも考えます。
アートフレッシュでは、水性ミラクシーラーエコホワイトが適用下塗り材として示されています。
ビーズコートフレッシュでは、カチオンシーラーEPOなどが適合下塗り材として示されています。
ジョリパットフレッシュは、施工する旧塗膜によって使用できる下地と使用できない下地が明確に分かれています。
手元に余っているシーラーを流用するのではなく、上塗り製品と既存塗膜の両方へ適合する下塗りを選びます。
深い凹凸の奥に下塗りが入っていないと、その部分だけ上塗り塗材の水分を強く吸い込みます。
正面から見ると塗れているようでも、斜めから見ると旧塗膜の色や艶が残っていることがあります。
下塗りは透明だから見えにくい、上塗りで隠れるから大丈夫という考え方が、仕上がりむらをつくります。
8. 細骨材入り塗材の攪拌・希釈・ロット管理
細骨材入り塗材の施工で、仕上がりを大きく左右するのが材料管理です。
ローラーの動かし方をそろえても、缶の上部と底部で骨材の量が違えば、同じ仕上がりにはなりません。
材料を保管している間に、骨材、顔料、体質顔料などが沈降することがあります。
棒で表面だけを混ぜると、上部は樹脂分が多く、底部は骨材が多い状態のまま残ります。
電動攪拌機を使い、缶底の材料を持ち上げるように、全体を均一に混ぜます。
グラナダフレッシュの仕様でも、材料をミキサーで均一に攪拌してから使用するよう注意されています。
高速で長時間攪拌すると、材料へ細かな気泡が入り込むことがあります。
攪拌羽根を材料から出したまま回さず、缶底や側面へ強く当てないようにします。
材料が均一になったら回転を止め、必要に応じて少し静置します。
最初に十分混ぜても、作業時間が長くなると骨材が再び沈み始めます。
休憩後、材料補給時、缶の残量が少なくなったときに再攪拌します。
特に缶の底へ近づいたとき、急に材料が重くなった場合は、骨材が偏っている可能性があります。
職人が塗りやすいと感じる粘度は、気温やローラーによって変わります。
しかし、一缶目は5%、二缶目は8%、三缶目は目分量という状態では、外壁一面の骨材密度と隠ぺい性が揃いません。
計量カップやはかりを使い、決めた希釈率を記録します。
アートフレッシュとグラナダフレッシュでは5~10%、ビーズコートフレッシュでは5~15%の清水希釈が公式仕様に示されています。
これは、いつも上限まで水を加えてよいという意味ではありません。
水を多く加えるとローラーは軽く動きますが、塗膜が薄くなり、隠ぺい力や骨材密度が不足しやすくなります。
タレ、透け、骨材むら、塗り継ぎが増える可能性もあります。
反対に希釈が少なすぎると、ローラーが重く、材料を均一に配りにくくなります。
試し塗りを行い、メーカー指定範囲内で、下地、気温、ローラーに適した希釈率を決めます。
同じ色番号でも、製造ロットや調色時期が違うと、わずかな色差が生じる可能性があります。
同じ壁面には、できる限り同一ロットを使用します。
ロットが分かれる場合は、材料を別容器で混ぜ合わせる缶合わせを行い、色差を分散します。
(外壁の中央で色が切り替わると、ちょっとした色差でも意外なほど堂々と自己主張します)
9. 細骨材入り塗材に適したローラーの選び方
ローラーは、毛丈が長ければよいわけでも、仕上がりが細かいローラーならよいわけでもありません。
既存模様の凹凸へ材料を届け、必要な量を運びながら、模様を埋めすぎないローラーを選びます。
| 既存外壁の形状 | ローラーの目安 | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 細かなリシン・砂壁調 | 中毛 | 骨材を均一に配りやすく、ローラー肌を抑えやすい | 深い凹部への塗り残しを確認します |
| やや深い土壁・砂岩調 | 中毛~中長毛 | 塗材の含みと凹凸への追従性を確保しやすい | 材料を含ませすぎるとタレや溜まりが出ます |
| スタッコ・深い凹凸 | 中長毛~長毛 | 凹部へ材料を送り込みやすい | 凸部の塗膜が厚くなりすぎないよう注意します |
| 比較的平滑な意匠面 | 中毛 | ローラー目をそろえやすい | 塗り継ぎやローラー方向が目立ちやすくなります |
短毛ローラーは、平滑な鉄部などを細かく仕上げるには適しています。
しかし、粘度が高く骨材を含む塗材では、材料の含みが不足しやすく、凹部へ届きにくくなります。
何度も強く押して塗ることになり、ローラー筋、透け、塗布量不足を招きます。
長毛ローラーは多くの塗材を含み、凹部へ入りやすい反面、表面へ大きなローラー肌を残します。
細かなリシン調へ長毛を使うと、既存模様よりローラーの毛目が目立ち、重たい表情になることがあります。
材料を大量に含むため、塗り始めだけ厚くなり、ローラーが軽くなった場所が薄くなることにも注意が必要です。
アートフレッシュでは、凹凸が小さい場合に中毛、凹凸が大きい場合に長毛ローラーを使い分ける仕様が示されています。
グラナダフレッシュでは、中毛ウールローラーが標準的な施工器具として示されています。
ビーズコートフレッシュも、ウールローラー施工を基本としています。
細骨材入りの艶消し面へローラーの毛が残ると、乾燥後に除去しにくくなります。
新品ローラーは清潔な手袋でほぐし、粘着力の弱いテープなどで遊び毛を取り除きます。
ローラーの回転に引っ掛かりや芯ぶれがないことも確認します。
ローラー選定は、作業を楽にするためだけではありません。
既存外壁の表情をどのように残すかを決める仕上げ設計です。
10. 刷毛塗り部分とローラー面を自然になじませる方法
サッシまわり、入隅、配管の裏、軒天との境界は、ローラーだけでは塗れません。
先に刷毛で塗る「ダメ込み」を行いますが、刷毛塗り部分とローラー部分の質感が変わると、額縁のような跡が残ります。
サッシまわりを刷毛で10cm、15cmと広く塗ると、刷毛部分だけ塗膜が厚く、骨材の向きも変わります。
刷毛塗りはローラーが入らない必要範囲にとどめ、塗材が乾かないうちにローラーを重ねます。
刷毛で塗材を配った後、2インチや4インチの小型ローラーで軽く整えると、広い面のローラー肌へなじみやすくなります。
ただし、小型ローラーと平場用ローラーで毛丈や繊維が大きく違うと、別の模様が残ります。
塗材が少ない状態で刷毛を何度も動かすと、骨材が一方向へ引きずられ、筋状に並びます。
最初に必要量を置き、毛先へ力を入れすぎずに均一に配ります。
住宅一棟分のダメ込みを先にすべて終え、翌日にローラー塗りを行う方法は、塗り継ぎが目立ちやすくなります。
一つの壁面ごとに、ダメ込み担当とローラー担当が近い距離で進みます。
刷毛とローラーは別々の工程ではなく、一つの濡れた塗膜を完成させる共同作業です。
11. 細骨材入り塗材の塗り継ぎムラを防ぐ段取り
細骨材入り塗材で最も目立ちやすい失敗の一つが、塗り継ぎムラです。
先に塗った部分が乾き始めてから次の塗材を重ねると、重なり部分だけ塗膜が厚くなり、骨材が二重に並びます。
壁面へローラーを当てる前に、どこまで塗り切るかを決めます。
出隅、入隅、目地、雨樋の裏、ベランダの境界など、塗り継ぎが目立ちにくい場所で区切ります。
壁の中央で昼休みや作業終了を迎えない計画が必要です。
大きな壁を一人で塗ると、上部を塗っている間に下部の端が乾き始めます。
二人以上で施工する場合は、塗る範囲を完全に分断せず、境界を濡れた状態でつなぎます。
上段と下段の担当が離れすぎると、足場板の位置で横筋が残ることがあります。
塗装途中で材料を取りに地上へ降りる、ローラーを交換する、養生を直すといった中断があると、その間に塗膜が乾きます。
必要な材料、予備ローラー、刷毛、ウエス、攪拌機、養生テープを足場上の安全な位置へ用意します。
朝は日陰だった壁が、作業途中から直射日光を受けることがあります。
壁面温度が急に上がると、先に塗った端が予想以上に早く乾きます。
日射の移動を考え、午前は西面、午後は東面など、乾燥を管理しやすい順序で施工します。
アイカ工業も、直射日光による急激な乾燥が、塗り継ぎムラや仕上がり不良の原因になるとして、養生シートなどによる対策を求めています。
後でつなぎやすいように端を薄く伸ばす方法は、一見きれいに見えます。
しかし、その薄い部分だけ骨材と塗布量が不足し、乾燥後に帯状のむらが残ります。
塗り継ぎを消す方法は、端を薄くすることではなく、端が乾く前に次の塗材をつなぐことです。
12. 細骨材入り塗材の1回目を均一に塗る方法
1回目の塗装は、下地色を整え、凹部へ塗材を届け、2回目の仕上げを安定させる工程です。
1回目だから多少むらでもよいという考え方では、2回目で無理に隠そうとして膜厚が不均一になります。
新品ローラーの表面だけへ塗材がついた状態では、塗り始めだけ大量に出て、すぐにかすれます。
バケットとしごき網を使い、ローラー全面へ少しずつ塗材を含ませます。
持ち上げたときに大量に垂れず、どの方向へ回しても同じように塗材が出る状態へ整えます。
ローラーを強く押して、最初から広く伸ばそうとしてはいけません。
十分に含んだ塗材を壁へやさしく置き、上下または斜め方向へ配ります。
塗材を一か所へ残さず、決めた範囲へ均等に分けます。
正面から見ると色がついていても、スタッコの谷部や櫛引き模様の奥に旧塗膜が残っていることがあります。
ローラー方向を変え、必要に応じて刷毛で拾います。
ただし、凹部へ入れようとしてローラーを強く押しつけると、凸部の塗膜を絞り出してしまいます。
ローラーから塗材がほとんど出なくなるまで使うと、最後の部分だけ塗布量が不足します。
かすれ始める前に材料を補給し、常に同じ含み量で施工します。
1回目は隠れるからと、部分ごとに方向を変えて仕上げると、骨材の並び方と塗膜厚が不均一になります。
最後は一定方向へ軽くローラーを動かし、塗膜を整えます。
1回目の目的は、色を完全に隠すことだけではありません。
2回目が同じ速度、同じ塗布量で仕上げられる均一な土台をつくることです。
13. 細骨材入り塗材の2回目で質感を整える方法
2回目の塗装では、色、骨材密度、ローラー方向、塗膜厚を最終的にそろえます。
1回目の透けを隠すためだけに塗るのではなく、外壁一面の表情を完成させる工程です。
表面へ触れて材料がつかなくても、内部まで塗り重ね可能な状態とは限りません。
気温、湿度、日陰、塗膜厚によって乾燥時間は変わります。
アートフレッシュは23℃で工程内2時間以上、グラナダフレッシュも標準仕様で2時間以上、ビーズコートフレッシュは3時間以上とされています。
実際には低温や高湿度の場合、さらに乾燥時間を確保します。
塗り残し、タレ、骨材の塊、ローラー毛、ゴミがある場合は、2回目の塗装前に整えます。
タレが硬化した上へそのまま塗ると、盛り上がりがさらに大きくなります。
2回目だけ毛丈の違うローラーを使うと、表面の模様が変わります。
希釈率、ローラー、塗装方向、担当者の動きを可能な限りそろえます。
塗材が乾き始めると、ローラーへ表面が引っ張られ、骨材が移動します。
むらが心配だからと何度も転がすと、かえって表面が荒れ、色が違って見えます。
塗材を均一に配り、必要な回数で方向をそろえたら、その場所から離れます。
足場上の近距離では、細かな塗り残しは見つけやすい反面、大きな帯状のむらを見落とします。
可能な範囲で地上や離れた位置から眺め、光の方向を変えて確認します。
細骨材入り塗材の仕上げは、近くで粒を確認し、遠くから面を確認することが重要です。
14. 細骨材入り塗材の所要量・塗布量を管理する方法
細骨材入り塗材は、材料を多く含む重たいローラーで施工するため、感覚だけでは塗布量を把握しにくい材料です。
例えば、塗装面積100㎡、メーカー所要量0.6~1.0kg/㎡の場合、2回塗り合計で60~100kgが目安になります。
20kg缶であれば3~5缶程度ですが、既存模様の深さ、吸い込み、ロスによって変わります。
凹凸が深い壁面ほど表面積が大きくなるため、図面上の平面積より材料を多く必要とします。
住宅全体で必要缶数を使っていても、北面へ多く、南面へ少なく塗っていれば均一とはいえません。
東面、西面、南面、北面など、壁面ごとの面積と使用量を記録します。
予定より材料が大きく余った場合、下地が平滑だった可能性もありますが、塗り伸ばしすぎている可能性があります。
見た目の色がついているだけで判断せず、使用量と施工面積を照合します。
所要量を超えて一度に厚くつけると、タレ、乾燥遅延、表面ひび割れ、模様の埋まりにつながることがあります。
規定量を規定回数に分け、各工程を十分に乾燥させます。
アートフレッシュは0.6~1.0kg/㎡、グラナダフレッシュは0.5~1.0kg/㎡、ビーズコートフレッシュは0.6~1.0kg/㎡が、それぞれ公式仕様の目安として示されています。
製品名が似ていても、塗布量を横並びで考えず、使用する材料の施工仕様書を確認します。
色がついた面積ではなく、必要な塗膜を形成できた面積が、本当の施工面積です。
15. 気温・湿度・直射日光・風による仕上がり不良を防ぐ
細骨材入り塗材は水性製品が中心ですが、水性だから天候の影響を受けにくいわけではありません。
材料中の水分が抜ける速度によって、塗り継ぎ、骨材の並び、色、艶消し感が変わります。
低温では乾燥が遅くなり、高湿度では水分が塗膜から抜けにくくなります。
グラナダフレッシュの仕様でも、気温5℃以下、湿度85%以上、結露が予想される場合は施工しないよう示されています。
ほかの製品についても、最新仕様書の施工可能条件を確認します。
夏の西面では、外壁表面が高温になり、ローラーを転がした直後から表面が乾き始めます。
塗材が伸びず、塗り継ぎが残り、ローラーが表面を引っ張るようになります。
メッシュシートや養生を使い、施工面への直射日光を抑えます。
風が強い日は、材料中の水分が急速に失われます。
足場の片側だけ風が抜ける場合、同じ壁面でも乾燥速度が変わります。
細かな骨材や塗料飛沫が周辺へ飛散する可能性もあるため、施工を延期する判断が必要です。
夕方に塗り終えた塗膜が十分に乾く前に気温が下がると、結露や夜露の影響を受けます。
白化、色むら、流れ跡、艶の変化につながる場合があります。
日没時刻から逆算し、最終養生時間を確保できない壁面には着手しません。
塗膜が乾燥する前に雨が当たると、材料が流れたり、表面だけ白くなったりすることがあります。
アイカ工業は、施工後に十分乾燥するまで水濡れを避け、乾燥前の水濡れが模様の流れや膨れの原因になると注意しています。
塗装できる天気と、きれいに仕上げられる天気は、必ずしも同じではありません。
16. 細骨材入り塗材の色選びと艶消し仕上げの注意点
細骨材入り塗材は艶消し仕上げが中心で、同じ色番号でも平滑な艶有り塗料とは違って見えます。
表面の細かな凹凸が光を散らすため、色が少しくすみ、穏やかに見える傾向があります。
グレーはコンクリートのように落ち着き、ベージュは土や砂岩のような自然な表情になります。
深いスタッコ模様では、凹部に影ができるため、平らな塗板より濃淡が強く見えます。
小さな色見本だけで決めず、既存外壁に近い凹凸の塗板で確認します。
チャコール、濃いブラウン、ネイビーなどは、外観を引き締める一方、紫外線による色あせや塗り継ぎが目立つ場合があります。
艶消しの濃色は、ローラー方向や擦れによる見え方の差も出やすいため、試し塗りを行います。
アイカ工業も、濃色や高彩度色は外部で色あせが目立つ場合があり、採用するシリーズとパターンの塗板見本で確認するよう案内しています。
白い補修材の上へ淡色を塗る場合と、濃い旧塗膜の上へ塗る場合では、発色が変わることがあります。
白色下塗りで下地色を均一にし、上塗りの所要量を確保します。
塗り壁調の外壁は、木目の玄関ドア、石材、植栽、瓦、金属屋根などと相性の良い仕上げです。
流行色だけで選ばず、屋根、サッシ、玄関、外構、周辺環境まで含めて考えます。
細骨材入り塗材の色選びでは、色そのものだけでなく、光と影を含めた質感の色を選ぶことが大切です。
17. 細骨材入り塗材で起こりやすい施工不良と対策
細骨材入り塗材の不具合は、材料そのものより、下地、希釈、塗布量、乾燥、ローラーの使い方が原因となることがあります。
| 施工不良 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 塗り継ぎムラ | 先に塗った端の乾燥、作業中断 | 壁面を塗り切り、ウェットエッジを保ちます |
| ローラー筋 | 強い圧力、材料不足、方向の不統一 | 材料を早めに補給し、最後の方向をそろえます |
| 骨材むら | 攪拌不足、希釈差、塗布量差 | 再攪拌と計量を行い、均一な所要量を確保します |
| 透け | 過希釈、塗布量不足、下地色の差 | 適合下塗りを使い、規定量を2回で塗ります |
| タレ・塗料溜まり | 塗材過多、過希釈、凹部への集中 | 材料を分散し、入隅や模様の谷を確認します |
| 膨れ | 下地水分、旧塗膜の浮き、乾燥不足 | 水分原因を解決し、弱い旧塗膜を除去します |
| 白化 | 高湿度、結露、乾燥前の降雨 | 施工環境と最終養生時間を確保します |
| 補修跡 | 模様・吸い込み・色の違い | パターンを復元し、下塗りで吸い込みを整えます |
| 模様の埋まり | 下塗り・上塗りの厚塗り | 既存模様とメーカー所要量に合う仕様を選びます |
| 剥離 | 適用外旧塗膜、洗浄不足、下塗り不適合 | 旧塗膜を診断し、付着試験と適合確認を行います |
塗膜が濡れている初期なら、軽い仕上げ転がしで整えられます。
表面が乾き始めている場合は、ローラーを重ねるほど骨材が動き、むらが広がります。
無理にその場で直さず、十分に乾燥させてから、一面単位の再塗装を検討します。
細骨材入り塗材の部分補修では、色が合っていても、ローラー方向や骨材密度が違うと光の反射が変わります。
同一ロット、同じローラー、同じ希釈率、同じ方向で補修します。
それでも目立つ場合は、出隅や目地まで一面を塗り直します。
「この塗料はむらになりやすい」と感じる場合でも、実際には下地の吸い込みや施工範囲が原因かもしれません。
不具合が起きたときは、材料、下地、道具、塗り方、天候のどこに原因があるかを一つずつ切り分けます。
18. 製品別に見る細骨材入り塗材の施工ポイント
4製品に共通する基本はありますが、施工時にはそれぞれの特徴を理解する必要があります。
ジョリパットフレッシュは、既存ジョリパットの風合いを残す改修用トップコートです。
最初に確認したいのは、現在の外壁が本当に施工可能な旧塗膜かという点です。
公式情報では、ジョリパットやアクリルリシンなどは施工可能とされる一方、シリコン系塗膜、フッ素系塗膜、単層弾性塗膜、塗装サイディングなどは施工不可とされています。
過去の塗り替え履歴が不明な場合は、試験施工やメーカー確認を行います。
また、ジョリパットの模様を残すことが目的なので、厚い下地調整材で全面を平滑にしないよう注意します。
アートフレッシュは、旧塗膜の凹凸によってローラーと所要量を変える考え方が明確です。
凹凸が小さい面は中毛ローラーで0.6~0.8kg/㎡、凹凸が大きい面は長毛ローラーで0.8~1.0kg/㎡が目安とされています。
洗浄圧力、乾燥日数、旧パターンの修正についても施工資料へ詳しく示されているため、現場へ入る前に確認します。
グラナダフレッシュでは、ローラー目を同一方向へそろえることが重要です。
公式仕様でも、ローラー目によって色相や仕上がり感が異なって見える場合があり、平滑面では塗り継ぎムラへ注意するよう説明されています。
中毛ローラーを基本とし、希釈、所要量、仕上げ方向を壁面全体で統一します。
ビーズコートフレッシュは清水5~15%と希釈範囲がありますが、塗りやすさだけを優先して上限まで希釈しないことが重要です。
2回合計0.6~1.0kg/㎡、工程内3時間以上、最終養生24時間以上という基本条件を守ります。
シーリング面については、専用の逆プライマーによる事前処理が推奨されています。
同じような細骨材入り塗材でも、骨材の大きさ、樹脂、色、乾燥後の質感は異なります。
材料が不足したからと、別メーカーの似た色を壁の途中から使用してはいけません。
細骨材入り塗材は商品名ではなく、製品ごとの塗装システムとして使用することが基本です。
19. 細骨材入り塗材に慣れた外壁塗装業者の選び方
塗り壁調外壁の仕上がりは、材料選びだけでなく、施工業者の診断力と段取りで大きく変わります。
現地調査で「ジョリパットですね」と見るだけでなく、過去の塗装歴、艶、撥水性、付着状態を確認しているかを聞きましょう。
同じ見た目でも、施工できない旧塗膜があります。
高圧洗浄機の最大圧力だけを説明する業者より、試し洗いを行い、旧塗膜を傷めない圧力へ調整する業者が安心です。
ひび割れへシーリングを塗りつけるだけでは、補修跡が線状に残ります。
補修後の高さ、模様、吸い込みをどのように周囲へ合わせるか確認します。
「いつもこのローラーを使っています」ではなく、既存模様の深さに合わせて中毛、長毛を選んでいるかが重要です。
見積書に塗装面積、使用缶数、塗装回数が記載されているかも確認します。
塗り継ぎムラを防ぐには、職人の手先だけでなく、人数と工程の計画が必要です。
大きな壁面を何人で塗り、どこまで一度に仕上げるかを説明できる業者が安心です。
色、質感、下地との相性、補修跡の見え方は、実際に塗らなければ分からないことがあります。
目立ちにくい場所で試し塗りを行い、乾燥後に確認します。
旧塗膜の剥離が広い、下地へ水分がある、施工不適合の塗膜がある場合は、専用塗材を塗るだけでは解決できません。
良い業者は、塗料を売る前に、塗ってよい外壁かを診断します。
20. まとめ|細骨材入り塗材は材料を均一に配り塗り切る技術が重要です
ジョリパットフレッシュ、アートフレッシュ、グラナダフレッシュ、ビーズコートフレッシュなどの細骨材入り塗材は、砂壁調、土壁調、リシン、スタッコなどの自然な風合いを残しながら外壁を塗り替えるための材料です。
一般的な平滑塗料で塗りつぶす方法と比べ、既存の凹凸、陰影、艶消し感を残しやすく、塗り壁らしい上品な外観へ整えられます。
一方、細骨材入り塗材は、材料中の骨材、塗膜厚、ローラー方向、乾燥速度によって見え方が変わります。
きれいに仕上げるためには、次の基本を守ることが大切です。
- ■ 旧塗膜の種類と付着状態を確認する
- ■ 弱い塗膜を除去し、外壁を傷めない圧力で洗浄する
- ■ ひび割れや欠損の高さと模様を周囲へ合わせる
- ■ 製品と下地に合った下塗り材を選ぶ
- ■ 骨材が均一になるまで電動攪拌機で混ぜる
- ■ 希釈率を計量し、缶ごとの差をなくす
- ■ 凹凸に合った中毛・中長毛・長毛ローラーを使う
- ■ メーカー所要量を面積と使用缶数で管理する
- ■ 壁面を途中で止めず、濡れた状態でつなぐ
- ■ 直射日光、強風、結露、降雨を避ける
細骨材入り塗材は、材料を薄く伸ばして塗装面積を増やすための塗料ではありません。
既存の模様へ必要な量を均一に届け、細かな粒子を外壁一面へ同じ密度で並べる材料です。
そのため、作業の速さよりも、材料の準備、人数、塗装範囲、道具、乾燥時間を整える段取りが重要になります。
また、4製品は同じような改修用塗材に見えますが、適用できる旧塗膜、推奨下塗り、希釈率、塗布量、乾燥時間が異なります。
以前使ってうまくいった方法を、別製品へそのまま当てはめないこと。
必ず使用する製品の最新施工仕様書とSDSを確認し、その外壁の状態へ施工方法を合わせます。
塗り壁らしい外観の美しさは、派手な艶や濃い色ではなく、光を静かに受け止める均一な質感によって生まれます。
小林塗装では、現在の意匠、旧塗膜、ひび割れ、吸い込み、補修跡を細かく確認し、塗り壁の表情を残せる施工方法をご提案しています。
名古屋市周辺で、ジョリパット、ベルアート、グラナダ、リシン、スタッコ外壁の塗り替えをご検討中の方は、小林塗装へお気軽にご相談ください。
21. 細骨材入り塗材の外壁塗装に関するQ&A
細かな骨材を含み、砂壁調、土壁調、リシン、スタッコなどの既存模様を生かしながら塗り替えるための意匠性塗材です。
一般的な平滑塗料より表面に細かな凹凸が残り、艶を抑えた自然な質感に仕上がります。
旧塗膜と下地の状態によって施工できる場合はあります。
ただし、平滑な上塗り塗料を重ねると、ジョリパット特有の砂壁調や土壁調の質感が弱くなることがあります。
透湿性や旧塗膜との相性も確認し、既存意匠を残したい場合は、適合する改修用塗材を検討します。
一律には決められません。
細かなリシン調には中毛、やや深い砂壁調には中毛から中長毛、深いスタッコには中長毛から長毛を検討します。
使用製品の指定と既存模様の深さを確認し、試し塗りで決めます。
壁面を出隅、入隅、目地などで区切り、先に塗った端が乾く前に次の範囲へつなげます。
大きな壁では人数を増やし、作業途中で材料や道具が不足しないよう準備します。
壁の中央で昼休みや作業終了を迎えない計画が重要です。
メーカー指定の希釈範囲を超えて水を加えてはいけません。
過希釈は、透け、タレ、骨材むら、塗布量不足、塗り継ぎの原因になります。
計量して希釈し、塗りにくい場合はローラー、作業範囲、材料温度なども見直します。
細骨材は時間とともに沈降することがあります。
使用前に電動攪拌機で缶底から均一に混ぜ、休憩後や材料補給時にも必要に応じて再攪拌します。
細かな表面クラックへ追従する微弾性製品はありますが、大きなひび割れや建物の動きを塗材だけで直すことはできません。
ひび割れの原因、幅、深さを確認し、適切な方法で補修してから塗装します。
水圧が強すぎると、劣化したリシン粒やスタッコの凸部が剥がれることがあります。
目立たない場所で試し洗いを行い、汚れを落としながら旧塗膜を破壊しない圧力へ調整します。
製品と下地状態によっては、省略できる仕様があります。
ただし、チョーキング、吸い込み、補修箇所、下地色の差がある場合は、下塗りが必要です。
塗装業者の判断だけで省略せず、メーカー仕様と現地診断に基づいて決めます。
色だけでなく、骨材密度、塗膜厚、ローラー方向が変わるため、部分補修が目立つことがあります。
同一ロット、同じ希釈率、同じローラー、同じ方向で施工します。
目立つ場合は、目地や出隅まで一面を塗り直します。
細骨材入りの艶消し面は、平らな色見本とは見え方が異なります。
可能であれば、採用製品と既存外壁に近い模様で作られた塗板を、屋外の自然光で確認してください。
低い塀などの小面積であれば可能な場合があります。
住宅全体では、足場、安全管理、旧塗膜診断、洗浄、補修、塗布量、塗り継ぎ、乾燥管理が必要です。
大きな壁面や高所は、細骨材入り塗材の施工経験がある塗装専門店へ依頼することをおすすめします。
22. 執筆時に確認した主なメーカー資料
ジョリパットフレッシュJQ-800の特徴、対応色、適用可能・適用不可下地について、アイカ工業株式会社の公式製品情報と施工上の注意事項を確認しました。
アートフレッシュの適用下地、標準塗坪、所要量、推奨ローラー、洗浄圧力、乾燥時間について、エスケー化研株式会社の公式製品情報と施工資料を確認しました。
グラナダフレッシュの主成分、所要量、希釈率、塗装回数、推奨ローラー、施工環境について、菊水化学工業株式会社の公式製品情報と施工仕様書を確認しました。
ビーズコートフレッシュの適用下地、塗装器具、希釈率、所要量、工程内時間、最終養生時間について、スズカファイン株式会社の公式製品情報を確認しました。
製品仕様、対応色、推奨下塗り、希釈率、乾燥時間は改良や変更が行われる場合があります。
実際の施工では、使用する製品の最新カタログ、施工仕様書、容器表示、SDSを優先してください。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、内装塗装、リペア工事、板金工事など、住宅のメンテナンスを幅広く手掛ける地域密着型の塗装専門店です。
塗装歴30年以上、施工実績2,000件以上の経験をもとに、塗料の商品名や耐久年数だけではなく、既存塗膜、下地の吸い込み、ひび割れ、補修方法、塗布量、乾燥時間まで丁寧に確認する品質本位の施工を大切にしています。
ジョリパット、リシン、スタッコなどの塗り壁調外壁では、一般的な平滑塗料で安易に塗りつぶさず、現在の模様、質感、透湿性、補修状態を確認したうえで、住まいに適した改修用塗材をご提案します。
また、外壁色を選ぶ際には、建物のデザイン、屋根、サッシ、玄関ドア、外構、植栽、周辺環境まで確認し、塗り壁のやわらかな質感を生かした、上品で長く愛せるカラーコーディネートを心掛けています。
塗り壁外壁の汚れ、ひび割れ、色あせ、塗り継ぎ、塗料選びについてお悩みの方は、小林塗装へお気軽にご相談ください。
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