仕事がない塗装職人の特徴|技術・精神性・信用を改善して選ばれる職人へ
仕事がない塗装職人の特徴|技術・精神性・信用を改善して選ばれる職人になる方法
「最近、元請から電話が来なくなった」
「ほかの職人は現場へ呼ばれているのに、自分だけ予定が空いている」
「腕には自信があるのに、なぜか仕事が続かない」
「単価を下げなければ仕事をもらえない」
塗装職人として働いていると、このような時期を経験することがあります。
予定表に白い日が増えると、焦りが生まれます。
朝、目覚まし時計を止めても行く現場がない。
スマートフォンを何度も確認するものの、元請からの着信はない。
倉庫に並ぶ刷毛やローラーは静かなまま。
職人にとって、仕事がない状態は、売上が減るという問題だけではありません。
「自分は必要とされていないのではないか」と、技術者としての自信まで揺らぎやすくなります。
しかし、最初にお伝えしたいことがあります。
仕事がないことと、職人として価値がないことは同じではありません。
外壁塗装の仕事量は、季節、天候、地域の住宅需要、元請会社の営業力、取引先の受注状況によって変化します。
一社との取引へ依存していたところ、その会社の受注が減り、一時的に仕事がなくなるケースもあります。
つまり、仕事が途切れる原因が、すべて職人本人の技術や性格にあるわけではありません。
一方で、同じ地域、同じ時期でも、継続的に呼ばれる職人と、徐々に声がかからなくなる職人がいます。
この違いには、塗る技術だけではなく、時間、連絡、報告、清掃、接客、原価意識、学ぶ姿勢が関係しています。
外壁を美しく塗れる腕があっても、返信が数日後になる。
約束した日に来ない。
問題が起きても報告しない。
施主様の前で元請の悪口を言う。
このような状態では、元請会社は次の現場を安心して任せられません。
反対に、まだ経験が浅くても、分からないことを確認し、問題を早く伝え、現場をきれいに保つ職人は、少しずつ任される仕事が増えていきます。
仕事を得る力は、塗装技術だけではありません。
技術、信用、仕事への姿勢、経営力を一つにした総合力です。
現在の建設業界は、業界全体で見れば担い手不足が大きな課題です。
2024年の建設業就業者は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%で、若手の確保・育成が急務とされています。
つまり、業界全体では職人が余っているわけではありません。
それでも個々の職人へ仕事が回ってこないとすれば、需要そのものがないのではなく、仕事との結び付き方、信用の伝わり方、対応できる範囲に問題が隠れている可能性があります。
また、2026年度から国土交通省は、週休2日だけでなく、猛暑対策や柔軟な勤務など、多様な働き方を支える方向を打ち出しています。
昔ながらの「休まず働く職人が偉い」という価値観だけでは、若手の採用や定着が難しい時代へ変わっています。
このコラムでは、仕事が途切れやすい塗装職人の特徴を、技術面、精神性、信用、経営という四つの角度から整理します。
ここでいう精神性とは、病気や性格を診断する意味ではありません。
失敗をどう受け止めるか。
責任を他人へ押し付けていないか。
感情を現場へ持ち込んでいないか。
学ぶ姿勢を失っていないか。
そうした仕事への向き合い方を指します。
さらに、「もっと頑張りましょう」という精神論で終わらせず、技術チェック、報告方法、取引先の増やし方、実績資料、90日間の改善計画まで具体的に解説します。
仕事がない時期はつらいものです。
しかし、現場が空いている時間は、自分の仕事を点検し、職人としての価値を塗り直せる時間でもあります。
塗装職人の技術・信用・職人教育なら、小林塗装にお任せ下さい
- ■ 塗装職人に仕事がない外部要因と本人要因
- ■ 仕事が途切れやすい職人の技術的な特徴
- ■ 信用を失いやすい態度・行動・精神性
- ■ 作業が速くても仕事が続かない理由
- ■ 元請から呼ばれる職人と呼ばれない職人の違い
- ■ 単価を下げる前に見直したいこと
- ■ 一人親方に必要な原価・利益・取引先管理
- ■ 施工実績と技能を見える化する方法
- ■ 仕事がない時期に行う営業・学習・整理
- ■ 90日間で立て直す具体的な行動計画
1. 仕事がない塗装職人の特徴に関する結論
結論からお伝えすると、仕事が途切れやすい塗装職人には、次の四つの課題が重なっていることがあります。
- ■ 技術が不足している、または仕上がりが安定しない
- ■ 仕事への姿勢や精神性に改善点がある
- ■ 連絡・時間・接客などの信用面に問題がある
- ■ 取引先開拓・原価管理などの経営力が不足している
もちろん、仕事がない原因が本人だけにあるとは限りません。
元請会社の受注が減った。
梅雨や台風で工事が止まった。
大口取引先が廃業した。
地域の新築・改修需要が落ち込んだ。
このような外部要因は、自分の努力だけでは変えられません。
しかし、外部要因と本人要因を混ぜてしまうと、改善できることまで「景気が悪いから仕方ない」で終わってしまいます。
| 変えにくい外部要因 | 改善できる本人要因 |
|---|---|
| 天候・季節 | 対応できる工種を増やす |
| 元請会社の受注減少 | 取引先を複数持つ |
| 地域需要の変化 | 営業地域と顧客層を見直す |
| 材料価格の上昇 | 原価を計算して価格交渉する |
| 競合会社の増加 | 専門性と実績を見える化する |
仕事を増やすために、最初から高額な広告を出す必要はありません。
元請から届いた連絡へその日のうちに返信する。
施工後に自分で検査する。
工事写真を整理する。
使った塗料量を記録する。
このような基本動作を安定させるだけでも、次の仕事へつながる確率は高くなります。
仕事がある職人は、塗る技術だけを売っているのではありません。
「この人へ任せれば大丈夫」という安心を売っています。
仕事がない状態を立て直す第一歩は、単価を下げることではありません。
自分が選ばれない理由を、技術・精神性・信用・経営へ分けて正直に点検することです。
2. 塗装職人に仕事がない原因を外部要因と本人要因に分ける
仕事がないとき、人は原因を一つへまとめたくなります。
「景気が悪い」「元請が仕事を回してくれない」「安い外国人職人が増えた」「営業が悪い」など、分かりやすい理由へ気持ちを寄せたくなります。
けれども、実際には複数の原因が重なっています。
地域全体で外装工事が減少している、長期間の悪天候が続いている、主要元請の受注が落ちている場合は、本人の評価に関係なく仕事が減ります。
この場合は、自分を責めるより、取引先の追加、工種の拡大、固定費の見直しが必要です。
元請会社が忙しく、ほかの職人は現場へ入っているのに、自分だけ呼ばれない場合は、過去の仕事を振り返る必要があります。
- ■ 手直しが多くなかったか
- ■ 連絡の返信が遅くなかったか
- ■ 現場で不満や悪口を言っていなかったか
- ■ 指定された工程と仕様を守ったか
- ■ 急な予定変更を繰り返さなかったか
条件が合わない仕事を断ることは悪くありません。
ただし、返事を保留したまま断る、当日になって断る、小さな工事はすべて断る状態が続けば、元請は別の職人へ依頼する習慣をつくります。
予定は埋まっていても、単価が低く、移動と無償手直しが多ければ、生活に必要な利益が残りません。
この場合は仕事量の不足ではなく、価格と仕事の選び方の問題です。
「仕事がない」という言葉の中身を、受注件数、稼働日数、売上、利益、依頼された回数へ分解すると、必要な改善策が見えてきます。
3. 技術面の特徴1|外壁塗装の下地処理を軽視する
仕事が途切れやすい職人の技術的な特徴として、完成色ばかりを重視し、下地処理を軽く考える傾向があります。
上塗りをきれいに塗る技術は必要です。
しかし、外壁塗装の耐久性は、高圧洗浄、ケレン、ひび割れ補修、シーリング、下塗りによって大きく左右されます。
- ■ 浮いた旧塗膜を残したまま塗る
- ■ 鉄部のさびを十分に除去しない
- ■ チョーキング粉を洗い切らない
- ■ ひび割れへ塗料だけを詰める
- ■ シーリングプライマーを塗らない
これらの施工は、完工時には分かりにくくても、数年後に剥離、膨れ、さび、ひび割れとして現れます。
元請会社は、一度大きな補修費用を負担した職人へ、次の現場を任せにくくなります。
下地処理を感覚ではなく、チェック項目にします。
- ■ 旧塗膜の付着状態
- ■ チョーキングの残り
- ■ 外壁の含水・漏水
- ■ 鉄部のさび・油分
- ■ ひび割れの幅と動き
- ■ 使用する補修材と下塗り材
塗装職人の腕は、上塗りの光沢だけではなく、塗ったあとに見えなくなる下地へどれだけ手をかけられるかに表れます。
4. 技術面の特徴2|塗料・下塗り・施工仕様を理解していない
元請から渡された塗料を、商品名も仕様も確認せずに塗る職人は、対応できる現場が限られます。
同じシリコン塗料でも、水性、弱溶剤、1液、2液、艶、適用下地、塗り重ね時間が異なります。
仕様を理解していなければ、気温や下地に応じた判断ができません。
現場へ入る前に、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 適用下地 | サイディング、モルタル、金属など |
| 標準所要量 | 1㎡・1回当たりの使用量 |
| 希釈率 | 水・専用シンナーの範囲 |
| 塗装回数 | 下塗り・中塗り・上塗り |
| 乾燥時間 | 気温別の塗り重ね時間 |
| 施工条件 | 最低気温、湿度、降雨、結露 |
| 注意事項 | 難付着面、旧弾性塗膜、可使時間 |
カタログをすべて暗記する必要はありません。
分からないときに確認できることが大切です。
材料を知らずに作業する職人は、塗料を運ぶ人です。
材料の性格を理解し、仕上がりを調整できる職人が専門家です。
5. 技術面の特徴3|作業の速さだけを優先する
塗装現場では、作業が速い職人が評価されます。
ただし、速さには二種類あります。
| 価値のある速さ | 品質を落とす速さ |
|---|---|
| 前日に材料を準備する | 塗料を薄く伸ばす |
| 作業動線を整える | 下地処理を省く |
| 適切な道具を選ぶ | 乾燥時間を短縮する |
| 手直しを一度でなくす | 刷毛入れを省く |
| 面ごとに連続施工する | 養生を粗く仕上げる |
一日で広い面積を塗っても、後日二日間の手直しが必要になれば、会社全体の生産性は低くなります。
面積だけでなく、完了品質を含む生産性を記録します。
- ■ 一日の施工面積
- ■ 使用した塗料量
- ■ かかった人工
- ■ 手直し箇所数
- ■ 再訪問にかかった時間
本当に仕事が速い職人は、ローラーを急いで動かす人ではありません。
準備不足、迷い、待ち時間、やり直しを減らせる人です。
6. 技術面の特徴4|現場ごとに仕上がり品質が安定しない
ある現場ではきれいに仕上がるのに、別の現場では艶むら、透け、見切り不良が多い。
このように品質の振れ幅が大きい職人は、元請からすると予定を立てにくい存在です。
元請が求めているのは、一度だけ非常にきれいな仕上がりではありません。
どの現場でも、定めた水準以上を安定して再現できることです。
- ■ 気分や体調で作業方法が変わる
- ■ 使うローラー・刷毛が毎回違う
- ■ 希釈を目分量で行う
- ■ 塗布量を記録していない
- ■ 完成基準を持っていない
自分の標準施工を決めます。
塗料の撹拌時間、ローラーの毛丈、塗装範囲、使用量、確認順序をある程度統一します。
職人としての信用は、最高点より最低点で決まります。
調子が悪い日でも一定の品質を守れる仕組みが必要です。
7. 技術面の特徴5|外壁塗装後の自己検査を行わない
元請の監督が検査するから、自分は塗り終わればよいと考える職人は、管理負担が大きくなります。
元請検査は、職人の自己検査を代わりに行うものではありません。
- ■ 配管・雨樋の裏側
- ■ サイディング目地の底
- ■ 軒天と外壁の見切り
- ■ 屋根の軒先・棟板金の端部
- ■ 養生撤去後のにじみ
- ■ 土間・窓・植栽への飛散
各工程の完了後に、作業した本人が確認します。
さらに、少し時間を置いて別の角度から見ると、作業中には気付かなかったむらや塗り残しを発見できます。
元請から指摘された内容は記録し、次の現場のチェックリストへ追加します。
指摘された手直しをすぐ直すことも大切ですが、同じ指摘を二度受けないことのほうが、職人としての成長を示します。
8. 技術面の特徴6|対応できる塗装工事の範囲が狭い
外壁のローラー塗装だけはできるものの、鉄部、木部、屋根、防水、下地補修へ対応できない職人は、仕事量が季節や元請の案件へ左右されやすくなります。
何でも中途半端に行う必要はありません。
しかし、住宅塗装に関連する基本工種を理解していると、依頼される仕事の幅が広がります。
- ■ 鉄部のケレン・防錆塗装
- ■ 木部の浸透形・造膜形塗装
- ■ スレート・金属屋根塗装
- ■ シーリングの基礎知識
- ■ FRP・ウレタン防水の基礎
- ■ モルタル・サイディング補修
- ■ 多彩模様・吹付け・調色
すべてを一度に覚えず、現在の仕事に近い技術から広げます。
外壁塗装が得意なら、付帯鉄部、屋根、シーリングの順に学ぶと、戸建て一棟の施工へ対応しやすくなります。
仕事の幅を広げることは、安請け合いを増やすことではありません。
できる仕事とできない仕事を正しく判断できる知識を増やすことです。
9. 精神性の特徴1|仕事がない原因をすべて他人へ向ける
仕事がない時期に、「元請が悪い」「景気が悪い」「安い職人ばかり使う会社が悪い」と感じることがあります。
実際に、不当な価格や不誠実な元請会社も存在します。
しかし、原因をすべて外へ向けると、自分で変えられる部分が見えなくなります。
出来事を三つへ分けます。
| 分類 | 具体例 | 対応 |
|---|---|---|
| 自分で変えられる | 返信、遅刻、技術、報告 | すぐ改善する |
| 交渉できる | 単価、作業範囲、支払条件 | 根拠を示して協議する |
| 変えられない | 天候、景気、元請の廃業 | 備えと取引分散を行う |
元請に問題がある場合は、無理に自分を責める必要はありません。
その元請との取引を減らし、別の取引先を探すことも改善策です。
責任を持つとは、すべてを自分のせいにすることではありません。
自分が動かせる範囲を見極め、そこへ力を使うことです。
10. 精神性の特徴2|注意や指摘を人格否定として受け取る
手直しや改善点を伝えられたとき、「自分の腕を否定された」「嫌われている」と受け取ってしまう職人がいます。
その結果、言い訳をする、黙り込む、不機嫌になる、次からその元請を避けるといった行動へつながります。
しかし、指摘されているのは、多くの場合その現場の具体的な行動です。
- ■ 指摘内容を事実としてメモする
- ■ どの基準を満たしていないか確認する
- ■ 再発防止の方法を自分から提案する
- ■ 人格への批判と施工指摘を分ける
理不尽な言い方や人格攻撃を我慢する必要はありません。
一方で、正当な施工指摘まで拒絶すると、成長の機会を失います。
職人のプライドは、間違いを認めないために使うものではありません。
間違いを直し、次の現場でより良い仕事をするために使うものです。
11. 精神性の特徴3|現場の問題を隠して先送りする
外壁の剥離、材料不足、養生の破れ、器物破損など、報告しにくい問題ほど早く伝える必要があります。
問題を隠す職人は、元請から最も警戒されます。
小さな問題が、足場解体後や引渡し後に発覚すると、補修費と信用損失が大きくなるからです。
報告を次の型へそろえます。
報告の基本形
場所 → 起きている状態 → 写真 → 考えられる原因 → このまま進めるリスク → 対応案
例えば、次のように伝えます。
「西面2階のサイディングで、旧塗膜が下塗りローラーへ付着しています。
約1㎡で確認しました。
全面へ進めると剥離する可能性があるため、現在作業を止めています。試験施工か旧塗膜の付着確認をお願いします」
問題を起こさない職人だけが信頼されるのではありません。
問題を早く発見し、損失を小さくできる職人が信頼されます。
12. 精神性の特徴4|不満・焦り・不機嫌さを現場へ持ち込む
仕事が少ない、単価が低い、家庭で心配事がある。
職人も人間ですから、気持ちが揺れる日はあります。
しかし、不機嫌さを施主様やほかの職人へぶつけると、技術とは別の理由で呼ばれなくなります。
- ■ 挨拶をしない
- ■ 質問へ面倒そうに答える
- ■ 現場で大きなため息や舌打ちをする
- ■ 元請やほかの職人の悪口を言う
- ■ 乱暴に道具や材料を扱う
施主様は、ローラーの毛丈や塗布量までは分からなくても、職人の表情や言葉遣いはよく見ています。
感情をなくす必要はありません。
気持ちが乱れている日は、挨拶、返事、道具の扱い、休憩時の会話だけは意識して整えます。
疲労が続いている場合は、無理な連勤や睡眠不足を見直すことも仕事の管理です。
昔ながらの「休まず働く職人ほど立派」という価値観だけでは、長く安定して働くことも、若手を育てることも難しくなっています。
働きやすい環境づくりも技能者確保の重要な条件です。
13. 信用面の特徴1|時間・連絡・約束を守らない
技術があっても、連絡が取れない職人は現場へ入れにくくなります。
元請会社は、施主様、足場会社、材料店、ほかの職種との工程を調整しています。
一人の職人の予定が分からないだけで、現場全体が止まることがあります。
- ■ 返信が翌日以降になる
- ■ 遅刻しても連絡しない
- ■ 当日になって予定を変更する
- ■ 完了予定日を守らない
- ■ 請求内容が毎回違う
すぐに回答できない連絡にも、「○時までに確認して返信します」と返します。
遅れる可能性が分かった時点で連絡します。
予定管理は頭の中だけで行わず、カレンダーへ記録します。
元請が仕事を発注するのは、職人の腕だけではなく、その職人が予定どおり現場へ来るという信用に対してです。
14. 信用面の特徴2|施主・近隣・元請への態度が悪い
協力業者であっても、現場では元請会社の一員として見られます。
職人の言葉遣いや喫煙マナーが悪ければ、施主様は元請会社全体への不信を感じます。
- ■ 敷地内で無断喫煙する
- ■ 大声で私語・悪口を話す
- ■ 施主様の質問を元請へ共有しない
- ■ 近隣の通行を妨げる
- ■ 元請の見積価格や内部事情を話す
難しい接客は必要ありません。
明るい挨拶、簡潔な説明、返事、清潔な服装を意識します。
施主様から仕様や費用を聞かれた場合は、自分で約束せず元請へつなぎます。
感じの良い職人は、技術の説明が得意でなくても安心感を与えます。
その安心感が、元請会社の紹介と次の受注につながります。
15. 信用面の特徴3|現場を汚し、道具や材料を粗末に扱う
仕事の丁寧さは、完成した外壁だけでなく、道具置場や材料置場にも表れます。
塗料缶が開いたまま、刷毛が固まっている、養生材やごみが散乱している状態では、施主様も元請も不安を感じます。
- ■ 材料置場を決める
- ■ 塗料缶へ商品名・色・工程を表示する
- ■ 使用後にふたを閉める
- ■ 毎日の終業時に清掃する
- ■ 道具を用途別に整理する
- ■ 施主様の物と工事道具を分ける
整理整頓は見た目の問題だけではありません。
材料間違い、転倒、塗料飛散、道具不足を減らし、生産性を高めます。
道具を大切にする職人は、建物も大切に扱う。
その印象は、言葉で説明するより強く伝わります。
16. 経営面の特徴1|一社の元請会社だけに依存する
一社から安定して仕事をもらえることは、一人親方にとって大きな安心です。
しかし、売上のほぼすべてを一社へ依存すると、その会社の受注減少、担当者変更、単価変更で仕事が一気になくなります。
すぐに取引先を多数増やす必要はありません。
主力元請を大切にしながら、予備となる取引先を二社ほど持ちます。
- ■ 地域の塗装会社
- ■ 工務店・リフォーム会社
- ■ 防水・シーリング会社
- ■ 不動産管理会社
- ■ 工場営繕会社
取引先を増やすときは、既存元請の現場を突然放置しないことが重要です。
取引先の分散は、元請を裏切ることではありません。
自分の事業と家族の生活を一社の事情だけへ預けないための経営管理です。
17. 経営面の特徴2|自分の原価と必要単価を把握していない
仕事が少なくなると、焦って安い単価でも受注したくなります。
しかし、自分の必要単価を知らなければ、忙しく働いても赤字になる可能性があります。
- ■ 車両購入・リース・車検・保険
- ■ 燃料・高速・駐車料金
- ■ 刷毛・ローラー・機械・作業服
- ■ 労災・賠償保険
- ■ 通信・会計・倉庫
- ■ 雨天休業・病気・休日
- ■ 税金・設備更新の準備
必要な一日単価=一年間に必要な売上÷年間の請求可能日数
年間必要売上が720万円、請求可能日数が200日なら、必要な平均請求額は一日3万6,000円です。
この金額を知らず、一日2万2,000円の仕事で予定を埋めれば、仕事はあっても経営は苦しくなります。
仕事がないから値下げする前に、最低限守らなければならない原価を数字で確認しましょう。
18. 経営面の特徴3|施工実績・資格・技能を見える化していない
腕が良くても、その価値が取引先へ伝わらなければ、比較対象は日当だけになります。
口頭で「何でもできます」と伝えるより、施工実績と対応範囲を資料へまとめたほうが信頼されます。
- ■ 経験年数・主な経歴
- ■ 対応可能工事
- ■ 施工可能地域
- ■ 保有資格・講習
- ■ 保険加入状況
- ■ 所有車両・機械・道具
- ■ 得意な仕上げ
- ■ 施工写真
建設キャリアアップシステムでは、資格や就業履歴を蓄積し、技能と経験を4段階で評価する仕組みが進められています。
業界全体でも、技能を客観的に見える化し、処遇へつなげる動きが強まっています。
資格があれば自動的に仕事が増えるわけではありません。
しかし、初めて取引する会社に対し、自分の経験を客観的に説明する材料になります。
「腕を見れば分かる」は、現場へ入ったあとの話です。
現場へ呼んでもらう前には、腕を見てもらうための資料が必要です。
19. 仕事を呼ばれ続ける塗装職人の共通点
継続的に仕事を依頼される職人は、特別な営業話術を持っているとは限りません。
基本的なことを安定して続けています。
| 評価される項目 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 技術 | 下地から仕上げまで品質が安定している |
| 時間 | 予定どおり到着し、遅れを早く伝える |
| 報告 | 進捗・問題・翌日の予定が分かる |
| 清掃 | 現場と道具置場をきれいに保つ |
| 接客 | 施主・近隣へ感じよく対応する |
| 自己検査 | 元請検査前に自分で手直しする |
| 数字 | 材料・人工・追加作業を記録する |
| 成長 | 新しい材料・工法を学び続ける |
元請が「この職人なら大丈夫」と感じるのは、何も問題を起こさないからではありません。
問題が起きても、連絡があり、対応が早く、最後まで責任を持つことを知っているからです。
選ばれる職人は、技術だけでなく、元請の心配と管理時間を減らしています。
20. 仕事がない塗装職人が技術を改善する具体策
技術を改善するには、経験年数を増やすだけでは不十分です。
現場で起きたことを記録し、比較する必要があります。
「なぜ北面だけ艶が出なかったのか」「なぜこのサイディングは塗料を多く使ったのか」と、一つ疑問を記録します。
- ■ 塗料・色・艶
- ■ 下地の種類
- ■ 気温・湿度
- ■ 希釈率
- ■ ローラー・刷毛
- ■ 使用量と面積
- ■ 乾燥後の状態
指摘内容、原因、次回の確認方法を記録します。
経験だけ、カタログだけへ偏らず、両方を確認します。
多彩仕上げ、吹付け、木部、鉄部、防水、調色など、価格だけで比較されにくい専門性を持ちます。
毎日一つの疑問を解決すれば、一年で300を超える知識が積み上がります。
経験を年数ではなく、学んだ数へ変えていきましょう。
21. 仕事がない塗装職人が信用と精神性を改善する具体策
精神性を改善するといっても、性格を別人へ変える必要はありません。
行動を決め、習慣として続けることで、周囲から受ける印象は変わります。
- ■ 連絡は当日中に返す
- ■ 遅刻の可能性が分かった時点で伝える
- ■ 問題は工程を進める前に報告する
- ■ 終業時に現場を清掃する
- ■ 他人の悪口を施主の前で言わない
単価や手直しで納得できない連絡を受けた場合は、事実と数量を整理してから返します。
「最近の現場で改善したほうがよい点はありますか」と尋ねます。
すべての意見を受け入れる必要はありませんが、複数の元請から同じ指摘を受ける場合は改善点です。
仕事がない時期に、自分の価値まで否定すると行動できなくなります。
悪かった行動は直し、自分では変えられない外部要因は切り分けます。
前向きとは、何でも自分の責任にすることではありません。
事実を受け止め、次に変えられる行動を一つ選ぶことです。
22. 塗装職人が仕事を増やす営業・取引先開拓の具体策
営業というと、飛び込み訪問や強い売り込みを想像するかもしれません。
一人親方の取引先開拓では、自分が何を任せられる職人なのかを、相手へ分かりやすく伝えることが基本です。
- ■ 氏名・屋号・連絡先
- ■ 経験年数
- ■ 対応可能工事
- ■ 施工可能地域
- ■ 資格・保険
- ■ 得意な仕上げ
- ■ 施工写真3~5点
- ■ 希望する取引形態
「仕事があればください」だけでは、相手も何を頼めるか分かりません。
「戸建て外壁・屋根塗装を中心に15年経験があります。
現在、月に5~8人工ほど応援可能です。
車両・基本工具・一人親方労災あり。多彩仕上げと付帯鉄部が得意です」
初回から一棟を任せてもらえるとは限りません。
部分補修、応援、雨戸塗装などの小さな仕事で、技術と信用を見てもらいます。
良い関係の元請や材料店へ、協力業者を探している会社がないか相談します。
安さで始まった取引は、さらに安い職人が現れたときに終わりやすくなります。
技術、写真、報告、安全、対応工種を伝え、「何を任せられるか」で選ばれる状態をつくります。
23. 仕事がない塗装職人が空いている時期に行うこと
仕事がない日は、売上が発生しないため不安になります。
しかし、現場が続いている時には後回しになる仕事へ取り組める時間でもあります。
| 取り組むこと | 目的 |
|---|---|
| 道具・車両整理 | 不足・故障・無駄な購入を確認 |
| 施工写真整理 | 実績資料と営業へ活用 |
| 原価計算 | 赤字現場と必要単価を把握 |
| 資格・講習 | 対応範囲と信用を高める |
| 元請への連絡 | 空き日と対応工事を伝える |
| メーカー資料の確認 | 材料・不具合知識を深める |
| 休養・健康管理 | 繁忙期に安定して働く |
焦って必要原価を下回る仕事を受ける前に、自分の状態を整えます。
ただし、準備だけを続けて営業を後回しにしてはいけません。
一日に一社へ連絡する、一週間に一件実績を整理するなど、小さな目標を決めます。
仕事がない時間は、何もしなければ空白です。
道具、知識、実績、取引先を整えれば、次の仕事を呼び込む下地になります。
24. 仕事がない塗装職人を90日間で立て直す行動計画
改善点が多くても、すべてを一度に直そうとすると続きません。
最初の90日を三段階へ分けます。
| 期間 | 重点テーマ | 主な行動 |
|---|---|---|
| 1~30日 | 原因を見える化する | 取引、技術、手直し、原価、連絡を記録 |
| 31~60日 | 技術と信用を改善する | 自己検査、日報、前日段取りを習慣化 |
| 61~90日 | 仕事の入口を増やす | 実績資料作成、元請候補への提案 |
直近一年を振り返ります。
- ■ 元請別の売上と人工
- ■ 依頼を断った回数と理由
- ■ 手直し・クレーム
- ■ 遅刻・連絡漏れ
- ■ 利益が残った現場
- ■ 自分が得意だった作業
現場で三つの習慣を行います。
- ■ 作業前に仕様を確認する
- ■ 終了時に自己検査する
- ■ 元請へ当日報告する
職人プロフィールと施工実績を作り、既存元請と新しい取引候補へ伝えます。
一週間に一社を目安に連絡し、対応可能日と得意分野を具体的に示します。
- ■ 仕事を依頼された回数
- ■ 新しい取引先候補の数
- ■ 手直し件数
- ■ 返信・報告の遅れ
- ■ 一人工当たりの粗利益
90日間で急に有名な職人になる必要はありません。
連絡が早くなり、手直しが減り、自分の仕事を説明できるようになれば、確かな前進です。
25. まとめ|仕事がない時期は職人としての価値を塗り直す時間です

仕事がない塗装職人には、本人だけでは変えられない事情があります。
季節、天候、地域需要、元請会社の営業状況によって、仕事量は変化します。
そのため、仕事がないことを理由に、自分の技術者としての価値まで否定する必要はありません。
一方、同じ地域で仕事を継続的に依頼される職人がいるなら、自分が改善できる部分を点検する必要があります。
- ■ 下地処理と材料理解が不足していないか
- ■ 速さを優先して工程を省いていないか
- ■ 仕上がりの品質が安定しているか
- ■ 問題を隠さず報告しているか
- ■ 時間・連絡・約束を守っているか
- ■ 施主・近隣へ感じよく接しているか
- ■ 一社の取引先へ依存していないか
- ■ 自分の必要単価を把握しているか
- ■ 実績・技能を見える形にしているか
仕事がない職人の特徴を、単に「怠けている」「腕が悪い」と決めつけることは簡単です。
しかし、現実には、まじめに働いてきたものの、技術を言葉にする機会がなかった人、元請一社だけへ依存していた人、注意を受けることが怖くて問題を隠してしまった人もいます。
大切なのは、過去の失敗へ名前を付けて責め続けることではありません。
なぜ仕事が減ったのかを整理し、次の現場で違う行動を選ぶことです。
施工前に仕様を確認する。
塗装後に自分で検査する。
問題を早く報告する。
施主様へ笑顔で挨拶する。
使用量と人工を記録する。
元請へ自分の空き日と得意工事を伝える。
どれも派手な改善ではありません。
けれども、仕事の信用は、こうした小さな約束の積み重ねによってつくられます。
選ばれ続ける塗装職人とは、失敗しない職人ではありません。
失敗から学び、問題を隠さず、次の現場で同じ失敗を繰り返さない職人です。
塗装職人の価値は、一日に何㎡塗ったかだけでは決まりません。
下地の異常へ気付いたこと。
元請へ早く伝えたこと。
近隣へ配慮したこと。
若手へ正しい理由を説明したこと。
それらもすべて、施工品質の一部です。
小林塗装では、自社職人と協力業者を、単なる人工や外注先として考えていません。
現場で一緒に品質をつくり、お客様の安心を支える施工チームだと考えています。
元請会社には、適正な単価、分かりやすい仕様、必要な材料、確実な支払いを整える責任があります。
職人側には、技術、報告、安全、接客、自己検査を高める責任があります。
どちらか一方へ責任を押し付けるのではなく、お互いが改善できることへ向き合う。
仕事がない時期を、職人として終わりの時間にするのか、次の仕事を呼び込む準備期間にするのか。
その分かれ道は、今日から選ぶ一つの行動にあります。
26. 仕事がない塗装職人の特徴・改善策に関するQ&A

A. 技術不足だけが原因とは限りません。
天候、季節、元請会社の受注量、取引先の廃業など、外部要因もあります。
自分へ仕事が回らない場合は、技術、信用、連絡、接客、取引先依存を分けて確認します。
A. あります。
仕上がりが良くても、連絡が遅い、予定を守らない、施主様への態度が悪い場合は継続受注につながりません。
施工実績を誰にも伝えていないため、仕事の入口が少ないケースもあります。
A. 直近一年の仕事を記録から振り返ります。
元請別の売上、人工、手直し、断った仕事、遅刻、連絡漏れ、利益を整理し、仕事が減った時期と原因を確認します。
A. 必要原価を下回る値下げを長く続けるべきではありません。
単価を下げる前に、材料・道具の支給、交通費、写真業務、支払条件、施工範囲を調整します。
A. 内容を簡潔に整理すれば、報告できる職人は信頼されます。
場所、症状、写真、対応案を伝えます。
結論のない長文や、問題が起きるたびに判断を丸投げする連絡は整理が必要です。
A. 自分の経験と対応範囲をA4一枚にまとめて提案します。
塗装会社、工務店、管理会社、防水会社などへ、空き日、施工地域、保険、得意工事を具体的に伝えます。
A. 資格だけでは増えませんが、信用を説明する材料になります。
資格、実務経験、施工写真、就業履歴、保険、報告力を組み合わせて示すことが大切です。
A. 休養も事業継続に必要です。
疲労が蓄積したまま繁忙期へ入ると、事故や品質低下につながります。
休養と同時に、道具整理、原価計算、実績資料、営業活動も計画します。
A. 不当な条件を我慢し続ける必要はありません。
単価、支払い、無償追加、安全面に問題がある場合は、事実を整理して交渉します。
改善されなければ、別の取引先を増やして依存度を下げます。
A. 連絡を当日中に返し、作業終了時に自己検査と報告を行ってください。
同時に、一日の人工、使用材料、問題、翌日の予定を記録します。
この習慣を90日続けると、自分の技術、信用、採算の改善点が具体的に見えるようになります。
小林塗装が大切にしている職人づくり
外壁塗装の品質は、塗料の商品名だけでは決まりません。
現場で下地を確認し、必要な補修を行い、塗布量と乾燥時間を守る職人の考え方によって変わります。
小林塗装では、自社職人と協力業者が施工仕様、品質基準、近隣配慮を共有し、問題を隠さず相談できる関係を大切にしています。
職人へ安さや速さだけを求めるのではなく、丁寧な仕事へ適正な評価を返すこと。
職人側も、単価だけを求めるのではなく、技術、報告、接客、自己検査を高めること。
元請と職人がお互いの責任を果たしながら成長することが、お客様へ長持ちする外壁塗装を届ける近道だと考えています。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、一般住宅を中心に2,000件以上の施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、下地補修、板金工事など、建物の状態に合わせた施工を行っています。
職人として現場へ立ちながら、現地調査、見積り、色彩提案、契約、工程管理、職人教育、完了検査、アフター対応まで、塗装工事全体に携わってきました。
小林塗装では、仕事ができる職人を、単に作業が速い人とは考えていません。
下地と材料を理解し、塗布量と乾燥時間を守り、問題を早く報告し、施主様や近隣の方へ感じよく接することまでが職人の仕事だと考えています。
仕事が途切れて悩む職人にも、技術だけでなく、報告、原価、信用、実績発信を見直すことで、新しい道が開ける可能性があります。
元請会社と協力業者が上下関係だけでつながるのではなく、それぞれの責任を果たし、互いの仕事を尊重できる施工チームづくりを大切にしています。
塗装業界で働く方、これから一人親方を目指す方、職人教育に悩む塗装会社の方へ、現場経験と経営実務に基づいた本音の情報をお届けします。
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