1. 名古屋市の外壁塗装店【小林塗装】トップ
  2. 外壁塗装で知っておきたい建築塗料樹脂・添加材など原料の話

外壁塗装や屋根塗装の塗料を選ぶとき、多くのお客様がまず気にされるのは「シリコンが良いのか?」「フッ素は長持ちするのか?」「無機塗料は本当に良いのか?」といった塗料グレードの違いです。

もちろん、それはとても大切な視点だと思います。
ただ、もう一歩深く見ていくと、塗料の品質を支えているのは、商品名だけではありません。
塗料の中には、塗膜の骨格をつくる樹脂と、その性能をしっかり整える添加剤が使われています。

建築塗料の世界をひとことで言うなら、「樹脂が塗膜の骨格をつくり、添加剤がその骨格を美しく、長持ちするよう整える」世界です。
人の体にたとえるなら、樹脂は骨格や筋肉、添加剤は肌の調子や体温調整、動きやすさを整える役割で、これは外壁塗装も同じです。

このコラムでは、建築塗料に使われる主な樹脂と添加剤、主要な生産国やメーカー、流通経路、将来性、そして小林塗装の現場でどのように材料選びへ活かしているかを分かりやすく解説します。

このコラムで分かること

  • ■ 建築塗料に使われる樹脂と添加剤の基本
  • ■ アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・アルキド・エポキシの違い
  • ■ HALS・消泡剤・分散剤・防カビ剤・増粘剤の役割
  • ■ 塗料原料の主要生産国・メーカー・流通経路
  • ■ 低VOC・水性化・高耐候化など、これからの塗料の流れ
  • ■ 外壁塗装・屋根塗装で材料選びを見るときの実務的なポイント

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1. 建築塗料は樹脂と添加剤で性能が決まります

建築塗料の中心にあるのは、樹脂です。
樹脂は、塗料が乾燥したあとに外壁や屋根の表面へ残り、建物を守る塗膜の骨格になります。

外壁塗装でよく耳にする「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」といった単語は、主にこの樹脂の種類や設計思想に関わるものです。
樹脂が変わると、耐候性、密着性、柔軟性、防汚性、価格、塗り替え周期が変わります。

でも塗料は樹脂だけでできているわけではありません。
顔料、溶剤または水、添加剤、場合によっては硬化剤など、さまざまな材料が組み合わさって作られているからです。

添加剤は目立たないけれど、とても重要な材料

添加剤は、塗料の中でほんの少ししか使われないことが多い材料です。
しかし、少量だから重要でない、というわけではありません。

たとえば、塗装中に泡が消えてくれない。
ローラー跡が残る。
塗料が垂れる。
北面の外壁にカビや藻が出やすい。
色が濁って見える。
こうした現象の裏には、添加剤の設計が関係していることがあります。

添加剤は、量は少なくても、仕上がりの印象を大きく左右させるので、樹脂の基本性能を活かすためには、添加剤の設計が欠かせません。

つまり、良い塗料とは、単に「高い樹脂を使っている塗料」ではなく、樹脂・顔料・添加剤・施工性・下地適性がバランス良く設計された塗料だと言えます。

2. 建築塗料 樹脂を含めた市場の全体像について

建築塗料の市場は、世界的に見ても大きな市場といえます。
なぜなら、住宅、マンション、商業施設、工場、公共建築など、塗料が使われる場所は非常に広いからです。

公開されている市場データでは、建築用塗料市場は2025年時点で約898億米ドル規模、コーティング樹脂市場は約489億米ドル、コーティング添加剤市場は約114億米ドル規模と見積もられています。
いずれも今後も成長が続く見通しです。

ただし、建築塗料市場は一気に急拡大するというより、塗料の中身が高度化していく市場といえます。
さらに以前よりも、低VOC、水性化、高耐候、防カビ・防藻、低汚染、長寿命、環境配慮といった多くの性能が求められるようになっています。

市場 最新の市場規模 需要の予測 現場への示唆
建築用塗料市場 2025年 約898億米ドル 2033年 約1,199億米ドル 量は大きいけど、今後は仕様の高度化で差がつく市場です。
コーティング樹脂市場 2025年 約489億米ドル 2033年 約770億米ドル 建設需要と高耐久化の流れが成長要因になります。
コーティング添加剤市場 2025年 約114億米ドル 2033年 約188億米ドル 施工性・外観・安定性に直結し、伸び率が高い分野です。
アクリル樹脂市場 2025年 約214.1億米ドル 2033年 約313.5億米ドル 建築塗料のボリュームゾーンで、水性化との相性が良い樹脂です。
ポリウレタンディスパージョン市場 2024年 約24.8億米ドル 2030年 約38.1億米ドル 高耐久な水性塗料の伸びしろが大きい分野です。
FEVEフッ素塗料市場 2025年 約2.00億米ドル 2031年 約2.74億米ドル 規模は小さめですが、長寿命仕様では存在感があります。
アルキド樹脂市場 2025年 約30.7億米ドル 2034年 約41.2億米ドル 伝統的な樹脂ですが、水性アルキドとして再評価されています。
エポキシ樹脂市場 2025年 約123.3億米ドル 2035年 約212.2億米ドル 建築では上塗りよりも、下塗り・床・防食で重要です。

上記の表を見ると、アクリル樹脂は規模が大きく、建築塗料の量的な中心であることが分かります。
一方で住宅塗装の現場ではアクリルだけでは対応しきれない場面もあります。

たとえば、屋根のように紫外線や熱の影響を強く受ける部分では、高耐候のアクリル、シリコン、フッ素などが検討されます。
鉄部や階段では、防食性を考えてエポキシ系下塗りが重要になってきます。
床や木部では、柔軟性や耐摩耗性に優れたウレタンが活きる場面があります。

つまり、現場で大切なのは一つの観点による最高級塗料を探すことではなく、建物の部位・下地・環境・予算に合わせて適材適所で選ぶことといえます。

建築塗料 市場データを施工業者目線で読み解くポイント

建築塗料の市場規模を見ると、単に「塗料がたくさん売れている」という話だけではありません。
現場目線で見ると、これからの外壁塗装では、どの塗料を使うかだけでなく、なぜその塗料を使うのかを説明できることが大切になります。

昔は「シリコン塗料です」「フッ素塗料です」とグレード名を伝えるだけでも、お客様にある程度伝わりました。
しかし現在は、同じシリコン塗料でも水性、弱溶剤、ラジカル制御型、低汚染型、防カビ防藻型など、設計の違いが多くあります。
つまり、塗料名の看板だけではなく、中身の設計を見る時代になっています。

市場の動き 材料面で起きていること 施工店に求められる対応 お客様への説明ポイント
水性塗料の増加 低VOC、低臭気、環境配慮型の樹脂設計が進んでいます。 乾燥条件、低温・高湿時の施工管理をより丁寧に行う必要があります。 「臭いが少なく、近隣にも配慮しやすい塗料です」と説明しやすくなります。
高耐候塗料の普及 シリコン、フッ素、無機、ハイブリッド樹脂の性能競争が進んでいます。 上塗りだけでなく、下塗り・補修・膜厚管理までセットで考える必要があります。 「長持ちさせるには、塗料だけでなく下地処理が重要です」と伝えることが大切です。
添加剤の高機能化 HALS、防カビ防藻剤、消泡剤、分散剤、レオロジー調整剤の重要性が高まっています。 施工性・仕上がり・不具合リスクまで見て塗料を選ぶ必要があります。 「塗りやすさや汚れにくさも、塗料の中の設計で変わります」と説明することができます。
原料価格の変動 石化原料、エネルギー、物流、為替の影響を受けやすくなっています。 価格改定や納期遅延に備え、代替塗料や在庫状況を確認する必要があります。 「材料価格は世界情勢の影響も受けます」と正直に説明する姿勢が信頼につながります。
環境規制の強化 VOC、PFAS、防カビ剤、防腐剤などへの規制や社会的視線が強まっています。 メーカー資料、SDS、施工仕様書の確認がより重要になります。 「性能だけでなく、環境面にも配慮した材料選びを行います」と伝えられます。

これからの外壁塗装では、価格だけで比較される工事ではなく、材料の根拠・施工の根拠・長持ちする理由まで説明できる塗装店が、より信頼される時代になります。

建築塗料市場の現状をもう一歩深く見てみました

建築塗料市場の現状を施工業者目線で見ると、単に「市場規模が大きい」「今後も成長する」という話だけでは終わりません。
大切なのは、塗料市場が量を増やす市場から、中身の性能を高める市場へ移っていることです。

以前の住宅塗装では、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」といった樹脂グレードで塗料を比較することが多くありました。
もちろん、今でも樹脂の種類は塗料選びの大切な判断材料です。
ただし現在は、同じシリコン塗料であっても、水性タイプ、弱溶剤タイプ、ラジカル制御型、低汚染型、防カビ・防藻型、遮熱型など、かなり細かく性格が分かれています。

つまり、今の建築塗料は「シリコンだから良い」「フッ素だから必ず長持ちする」と単純に判断できるものではありません。
塗料の中には、樹脂、顔料、添加剤、溶剤または水、硬化システムなどが組み合わされており、その配合設計によって、耐候性、密着性、汚れにくさ、塗りやすさ、乾燥性、防カビ性、艶の出方まで変わります。

現状の変化 市場で起きていること 住宅塗装の現場への影響
高耐候化 シリコン、フッ素、無機、有機無機ハイブリッドなど、長寿命を意識した塗料が増えています。 塗料のグレードだけでなく、下地処理・下塗り材・塗布量まで含めた施工品質がより重要になります。
水性化・低VOC化 環境配慮、低臭気、近隣配慮の観点から、水性塗料や低VOC塗料の存在感が高まっています。 臭いは少なくなりやすい一方で、低温時・高湿度時の乾燥管理、塗り重ね時間の確認が欠かせません。
添加剤の高機能化 HALS、紫外線吸収剤、防カビ防藻剤、消泡剤、分散剤、増粘剤などの役割が大きくなっています。 仕上がりの肌感、塗料の安定性、汚れにくさ、不具合の出にくさまで、添加剤設計が関わってきます。
原料価格の変動 石油化学原料、樹脂、溶剤、顔料、添加剤、エネルギー、物流費、為替の影響を受けやすくなっています。 塗料価格の改定、納期遅れ、代替品の検討など、見積や工程管理にも影響が出ることがあります。
環境規制・化学物質管理 VOC、PFAS、防腐剤、防カビ剤など、化学物質に対する社会的な視線が強まっています。 SDS、安全データシート、メーカー仕様書を確認し、性能だけでなく安全性・環境面も考えた材料選びが求められます。

このような流れを見ると、建築塗料の市場は「安い塗料を大量に使う時代」から、目的に合わせて性能を選ぶ時代へ進んでいることが分かります。
特に住宅塗装では、外壁、屋根、鉄部、木部、ベランダ床、シーリングまわりなど、塗る場所によって求められる性能が大きく違います。

たとえば外壁では、紫外線や雨風に耐える耐候性、汚れにくさ、防カビ・防藻性、色あせしにくさが大切になります。
屋根では、外壁以上に強い紫外線と熱を受けるため、耐候性に加えて遮熱性や塗膜の柔軟性も検討します。
鉄部では、防錆性と密着性を考えた下塗り材が重要です。
木部では、木の動きに追従できる柔軟性や、湿気との付き合い方が仕上がりを左右します。

そのため、現場で本当に大切なのは、カタログ上の「高級塗料」をそのまま選ぶことではありません。
住まいの状態を見て、下地を診断し、その建物に必要な性能を整理したうえで、どの塗料を、どの下塗り材と組み合わせ、どの工程で仕上げるのかを考えることです。

施工店から見ると、市場の変化は「見積内容」にも表れます

建築塗料の市場が高度化すると、見積書の中身にも違いが出ます。
単に「外壁塗装一式」「シリコン塗装一式」と書かれた見積では、どのような塗料を使うのか、どの下塗り材を使うのか、どの部位まで施工するのかが分かりにくくなります。

特に最近の塗料は、下塗り材との相性がとても重要です。
窯業系サイディング、モルタル、ALC、金属サイディング、旧塗膜が弾性系かどうか、チョーキングが激しいかどうかなどによって、適した下塗り材は変わります。
いくら上塗り塗料だけを良くしても、下地との密着が弱ければ、塗膜の膨れ、剥がれ、ムラ、早期劣化につながることがあります。

確認したい項目 なぜ重要なのか 小林塗装として大切にしたい視点
塗料名だけでなく仕様 同じグレード名でも、水性・弱溶剤・ラジカル制御・低汚染など設計が異なるためです。 「何を使うか」だけでなく、「なぜその塗料を使うのか」まで説明します。
下塗り材の選定 下塗りは上塗りの密着性や仕上がりを支える土台になるためです。 外壁材や旧塗膜の状態に合わせて、シーラー、フィラー、サーフェーサーなどを使い分けます。
塗布量・乾燥時間 規定量を守らないと、塗料本来の耐久性が発揮されにくくなります。 天候や気温、湿度を確認しながら、無理な工程を組まないことを大切にします。
価格改定・納期 原料価格や物流状況によって、塗料価格や入荷時期が変わることがあるためです。 材料の状況を確認しながら、無理のない見積と工事計画をご提案します。
代替塗料の判断 欠品や廃番、仕様変更があった場合、似た名前の塗料でも性能が異なることがあります。 代替品を使う場合も、価格だけでなく、耐候性・適用下地・施工仕様まで確認します。

このように、建築塗料市場の変化は、最終的にはお客様の見積金額、工事期間、塗料の選択肢、仕上がりの品質に関わってきます。
だからこそ、施工店は「今、どの塗料が流行っているか」だけではなく、原料の動き、メーカーの仕様変更、販売店からの情報、現場での使いやすさまで含めて見ていく必要があります。

塗料は、缶の中に入っている時点ではまだ完成した仕上がりではありません。
そこに下地処理、養生、塗り方、乾燥管理、職人の確認作業が加わって、ようやく住まいを守る塗膜になります。
市場データを見ることは、数字を眺めるためではなく、これからの住まいに必要な塗装を考えるための大切な手がかりです。

これからの住宅塗装では、塗料の価格やグレードだけでなく、材料の背景を理解し、現場で正しく使いこなす力がますます重要になります。
お客様にとって本当に価値のある塗装工事とは、流行の塗料をただ選ぶことではなく、その住まいに合った材料を、正しい工程で、誠実に仕上げることだと考えています。

3. 建築塗料に使われる主な樹脂の種類

ここからは、建築塗料に使われる代表的な樹脂をまとめてお伝えします。
住宅の外壁塗装・屋根塗装でよく関係するのは、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、アルキド、エポキシです。

樹脂は「種類」だけでなく「設計方式」で見ることが大切です

外壁塗装の見積書では、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素といった樹脂の名前がよく出てきます。
ただし、実際の塗料性能は、樹脂名だけで決まるわけではありません。

同じシリコン系でも、水性か弱溶剤か、一液か二液か、ラジカル制御技術が組み込まれているか、無機成分と何がハイブリッド化されているかによって、作業性、耐候性、価格は大きく変わります。
ここを見落としてしまうと、「同じシリコンなのに、どうして価格が違うのか」が分かりにくくなってしまいます。

分類軸 主な種類 特徴 現場での注意点
水性・溶剤 水性、弱溶剤、強溶剤 水性は低臭気・低VOCに優れ、弱溶剤は密着性や乾燥性で有利な場面があります。 水性は低温・高湿・早期降雨に注意。溶剤系は臭気と近隣配慮が重要です。
一液・二液 一液型、二液型 一液型は扱いやすく、二液型は硬化反応により高い性能を出しやすい傾向があります。 二液型は混合比、可使時間、撹拌不足に注意が必要です。
架橋方式 自然乾燥、酸化乾燥、反応硬化、自己架橋 乾くだけの塗料と化学反応で硬化する塗料では、塗膜の強さや耐久性が変わってきます。 乾燥時間を守らないと、表面だけ乾いて内部が弱い塗膜になってしまうことがあります。
変性・複合化 アクリルシリコン、ウレタン変性、シリコーンハイブリッド、無機有機ハイブリッド 複数の樹脂特性を組み合わせ、耐候性・柔軟性・防汚性を高めます。 名称だけで判断せず、メーカー資料で用途と適用下地を確認することが大切です。
機能付与 ラジカル制御、低汚染、防カビ防藻、遮熱、透湿 樹脂に加えて、顔料や添加剤の設計で機能を高めています。 機能は万能ではありません。立地条件や下地状態と合わせて判断します。

つまり、塗料選びでは「シリコンかフッ素か」だけでなく、どのような設計のシリコンなのか、どのような使い方を前提にしたフッ素なのかを見ることが大切です。

アクリル樹脂

アクリル樹脂は、建築塗料の中でも非常に重要な樹脂です。
透明性、耐候性、設計自由度が高く、水性塗料との相性も良いことから、外壁塗料、内装塗料、シーラー、屋根用塗料、木部用塗料など幅広く使われています。

アクリルと聞くと、昔の安価なアクリル塗料を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、現在の建築塗料では、単純なアクリルだけでなく、スチレンアクリル、全アクリル、自己架橋型アクリル、高耐候アクリルなど、さまざまな設計があります。

世界的にもアクリル樹脂は大きな市場で、アジア太平洋地域が大きな比率を占めています。
主要メーカーとしては、BASF、オルネクス(allnex)、ディック(DIC)などが挙げられます。

外壁塗装の現場では、アクリル系の技術は今でも非常に重要です。
ただし、昔ながらの安価なアクリル塗料と現在の高耐候アクリル塗料を同じものとして見てしまうと、判断を誤ることがあります。

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂は、柔軟性、耐摩耗性、密着性に優れた樹脂です。
外壁の上塗りだけでなく、床、木部、コンクリート、トップコート、防水材の関連分野などでも使われます。

ウレタンは、しなやかさが魅力です。
硬すぎず、ある程度の動きに追従しやすいため、木部や床のように動きや摩耗がある場所で力を発揮します。

また、近年はポリウレタンディスパージョン、いわゆるPUDと呼ばれる水系ウレタンも伸びています。
低VOC化、環境配慮、水性化の流れの中で、ウレタンの良さを水性塗料に取り込む動きが進んでいます。

主要メーカーとしては、オルネクス、ルーブリゾール(Lubrizol)、ディックなどが挙げられます。
外壁塗装では、ウレタン単独というより、ハイブリッド設計や部位別の使い分けとして見たほうが分かりやすいです。

シリコン・シリコーン樹脂

住宅の外壁塗装でとてもよく使われる言葉が、シリコン塗料です。
一般的な塗装工事では、価格と耐久性のバランスが良い塗料として、長く中心的な存在になっています。

ただし、原料の世界では「シリコン」と「シリコーン」の言葉が少し複雑です。
住宅塗料のシリコン塗料は、アクリルシリコン樹脂など、有機樹脂にシリコーン系の特徴を組み合わせたものが多くあります。

シリコーン系の特徴は、撥水性、耐候性、耐汚染性、水蒸気透過性、鉱物基材との相性などです。
外壁やコンクリート、屋根、外装保護の分野で活用されています。

主要メーカーとしては、ワッカー(WACKER)、ダウ(Dow)、モメンティブ(Momentive)、ディック(DIC)などが挙げられます。
小林塗装の現場感覚で言えば、シリコン系は「極端に高価すぎず、外壁塗装として現実的に長持ちを狙いやすい」バランス型の選択肢です。

フッ素樹脂

フッ素樹脂は、高耐候塗料の代表格です。
色や艶の保持、耐薬品性、低汚染性、長寿命性に優れ、橋梁、鋼構造物、金属パネル、高耐候外壁、屋根などで使われます。

建築用では、FEVE系フッ素樹脂が重要です。
FEVEは常温硬化が可能で、建築分野に適したフッ素樹脂として知られています。

主要メーカーとしては、エージーシー(AGC)、ダイキン(Daikin)などが挙げられます。
代表的な製品名として、ルミフロン(LUMIFLON)、ゼッフル(ZEFFLE)などがあります。

フッ素塗料は非常に魅力的ですが、初期材料コストは高くなります。
公開資料では、FEVE系はポリウレタンに比べて2〜4倍程度のコストプレミアムがある一方、サービス間隔は30〜60年と推計されることもあります。

つまり、フッ素は「とにかく安く塗りたい」場合には向きません。
しかし、長期的なメンテナンス周期、足場費用、塗り替え回数まで含めると、建物によっては総合的に有利になる場合があります。

アルキド樹脂

アルキド樹脂は、油変性ポリエステル系の伝統的な樹脂です。
顔料の濡れ性、刷毛塗り性、光沢、価格のバランスが良く、金属部、木部、トリム、プライマー、装飾仕上げなどに使われてきました。

昔ながらの塗料という印象もありますが、近年は水性アルキドやアクリル変性アルキドなどとして、再評価されている面があります。
油性塗料の塗りやすさと、低VOC化の流れを両立させる方向です。

主要メーカーとしては、オルネックス、ディック、荒川化学などが挙げられます。
外装の長寿命仕様では主役になりにくいものの、部位や用途によっては今でも意味のある樹脂です。

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、密着性、防食性、耐薬品性、耐摩耗性に優れた樹脂です。
建築塗装では、外壁の上塗りというより、鉄部の下塗り、床、コンクリートシーラー、防食塗装などで重要な役割を持ちます。

エポキシの大きな特徴は、下地にしっかり食いつく力です。
鉄部塗装では、錆止めや防食下塗りとして非常に重要です。

ただし、エポキシは紫外線に弱いという注意点があります。
そのため、屋外で使う場合は、上からウレタン、シリコン、フッ素などのトップコートを組み合わせることが一般的です。

主要メーカーとしては、DIC、allnex、Westlake Epoxyなどが挙げられます。
住宅塗装の現場では、鉄部・階段・手すり・シャッターまわりなどで、エポキシ系下塗りをどう使うかが仕上がりと耐久性を左右します。

樹脂は、それぞれ得意分野が違います。
革靴、スニーカー、長靴を同じ「靴」として選ばないのと同じで、塗料も部位や目的に合わせて選ぶことが大切です。

樹脂別の主要生産国・メーカー・供給リスク

塗料の品質は、最終的な塗料メーカーだけでなく、樹脂や添加剤を供給する原料メーカーの技術にも支えられています。
建築塗料の原料は世界中で生産されており、とくにアジア太平洋地域、中国、日本、米国、ドイツ、韓国などが重要な地域になっています。

施工店が原料メーカーから直接購入することは少ないものの、主要な生産地域や供給リスクを知っておくと、塗料価格の変動や納期遅れの背景を理解しやすくなります。

樹脂 主な生産・技術地域 主なメーカー例 供給面の特徴 施工店が注意したいこと
アクリル 中国、日本、米国、ドイツ、アジア太平洋地域 BASF、allnex、DICなど 建築塗料のボリュームゾーンで供給量は大きいですが、石化原料価格の影響を受けます。 価格改定時は水性外壁塗料全般に影響しやすいため、標準仕様の見直しが必要になることがあります。
ウレタン 中国、ドイツ、米国、日本 オルネックス、ルブリゾール(Lubrizol)、ディックなど ポリオールやイソシアネート系原料の影響を受けやすく、二液型では硬化剤価格も重要です。 二液ウレタンでは、主剤だけでなく硬化剤の在庫・価格・可使時間を確認します。
シリコーン ドイツ、米国、日本、中国 ワッカー(WACKER)、ダウ(Dow)、モメンティブ(Momentive)、ディック(DIC)など 撥水・耐候・低汚染分野において重要。高機能品は技術メーカーの影響が大きい分野です。 外壁の再塗装では、既存塗膜との密着性や撥水性の影響を確認する必要があります。
フッ素 日本、中国、米国、アジア太平洋地域 AGC、Daikinなど 高耐候分野で強い一方、PFASを巡る社会的視線や規制動向の影響を受けやすい分野です。 高耐久性だけでなく、初期費用・環境説明・将来の代替技術も含めて提案します。
アルキド 中国、インド、日本、欧州 allnex、DIC、荒川化学など 伝統的な樹脂ですが、水性アルキドや変性アルキドとして再評価されています。 外装長寿命の主役というより、木部・金属部・刷毛塗り性を重視する場面で見ます。
エポキシ 中国、韓国、日本、米国、アジア太平洋地域 DIC、オールネックス(allnex)、ウエストレイク(Westlake) など BPA、ECHなどの原料動向に影響され、防食・床・下塗り分野で重要です。 鉄部や床では、上塗りよりもエポキシ下塗りの適否が寿命を左右します。

住宅塗装の現場では、原料メーカー名までお客様に細かく説明する必要はありませんが、塗装店側がこうした背景を理解していると、価格改定時や材料変更時にも、慌てずお客様に説明することができます。

4. 建築塗料 樹脂ごとの性能比較について

ここでは、主な樹脂の特徴を表で比較します。
数値は絶対評価ではなく、建築塗料を選ぶときの相対的な目安としてご覧ください。

樹脂 耐候性 密着性 防食性 柔軟性 水性化 初期コスト 向く部位
アクリル 中〜高 低〜中 高い 低〜中 外壁、内装、屋根、一般上塗り
ウレタン 中〜高 高い 高い 中〜高 床、木部、弾性トップ、意匠仕上げ
シリコン・シリコーン 高い 中〜高 中〜高 外壁、屋根、鉱物系基材、高耐候仕上げ
フッ素 非常に高い 高い 高い 高〜非常に高い 長寿命外装、屋根、金属パネル、鋼構造物
アルキド 低〜中 高い 木部、金属部、刷毛塗り、トリム
エポキシ 非常に高い 非常に高い 低〜中 中〜高 中〜高 鉄部下塗り、床、防食、コンクリート

この比較で特に大切なのは、外壁は耐候性、鉄部は防食性、床は耐摩耗性、北面は防カビ・防藻性という考え方です。

たとえば、外壁の広い面にフッ素塗料を使用しても、鉄部の下地処理や錆止めが甘ければ、鉄部から先に傷んでしまいます。
反対に鉄部に良い防食下塗りを使っても、外壁の上塗りが日射に弱ければ、外壁全体の美観は長持ちしません。

塗装工事は、ひとつの材料だけで決まるものではありません。
下地処理、下塗り、中塗り、上塗り、膜厚、乾燥時間、天候管理、養生、清掃、最終確認。
それぞれがきちんと重なって、ようやく美しい仕上がりになります。

小林塗装では、塗料名だけで判断するのではなく、建物の状態、既存塗膜、下地、立地、日当たり、湿気、予算、将来のメンテナンス周期まで考えて、できるだけ納得感のある仕様を提案することを大切にしています。

塗装する部位別に見る樹脂・下塗り・添加剤の選定表

外壁塗装では、同じ建物の中でも、外壁、屋根、鉄部、木部、軒天、基礎、ベランダ床など、部位によって求められる性能が違うので、 小林塗装では「外壁に良い塗料だから、どこにでも良い」とは考えず、部位ごとに下地の状態と求める性能を見ながら選定します。

部位 主な劣化要因 向いている樹脂・仕様 重要な下塗り 効果的な添加剤・機能 施工上の注意点
外壁サイディング 紫外線、雨、シーリング劣化、チョーキング 高耐候アクリル、シリコン、フッ素、無機有機ハイブリッド シーラー、サーフェーサー、微弾性フィラー HALS、防カビ防藻、低汚染、分散剤 シーリング打ち替え、目地処理、既存塗膜の密着確認が重要です。
モルタル外壁 ひび割れ、吸い込み、雨水侵入、藻 弾性系、高耐候アクリル、シリコン、透湿性塗料 微弾性フィラー、カチオンシーラー 防カビ防藻、レオロジー調整、透湿設計 ひび割れ補修と塗膜の厚みを適切に考えます。
屋根スレート 熱、紫外線、雨、藻、基材劣化 屋根用シリコン、フッ素、遮熱塗料、高耐候アクリル 浸透性シーラー、エポキシ系シーラー HALS、遮熱顔料、消泡剤、早期耐水性 縁切り、タスペーサー、乾燥時間、素地の脆弱化確認が重要です。
鉄部・手すり 錆、塗膜剥離、雨水、結露 エポキシ下塗り + ウレタン・シリコン・フッ素上塗り エポキシ錆止め、防食プライマー 防錆補助、消泡剤、密着向上設計 ケレン不足は致命的です。錆を落としてから塗ることが基本です。
木部 吸水、乾燥収縮、紫外線、割れ ウレタン、アルキド、木部専用塗料、浸透型保護塗料 木部用下塗り、吸い込み止め 柔軟性、防カビ、撥水性 木は動く素材です。硬すぎる塗膜は割れや剥がれにつながることがあります。
軒天 湿気、カビ、結露、通気不足 透湿性塗料、防カビ型水性塗料 水性シーラー、カチオンシーラー 防カビ、防藻、透湿性 艶を抑え、湿気を逃がしやすい仕様を選ぶことが多いです。
ベランダ床 歩行摩耗、雨水、紫外線、防水層の劣化 ウレタン防水トップ、FRP用トップコート、床用塗料 専用プライマー 耐摩耗、消泡剤、滑りにくさ 防水層の種類を確認せずに塗ると密着不良を起こすことがあります。

塗装工事で大切なのは、住まい全体を一枚の布のように見るのではなく、部位ごとの役割を見極めることです。
外壁、屋根、鉄部、木部、それぞれに合った材料を選ぶことで、住まい全体の耐久性と美観が整います。

5. 建築塗料は樹脂だけでなく、添加剤が塗料の仕上がりを左右させます

塗料の説明では、どうしても樹脂の名前が目立ちます。
しかし、現場の仕上がりやトラブル防止という意味では、添加剤も非常に大切です。

添加剤は、塗料の中で少量しか入っていないことが多い材料です。
けれど、泡、ダレ、色ムラ、沈降、カビ、藻、艶持ち、施工性などに深く関わります。

HALS

HALSは、ヒンダードアミン系光安定剤と呼ばれる添加剤です。
紫外線によって発生する劣化ラジカルを捕捉し、塗膜の劣化を抑える役割があります。

外壁や屋根は、毎日太陽の光を浴びています。
夏の屋根面などは、まるでフライパンのように熱くなることもあります。
そのような過酷な環境では、樹脂そのものの耐候性に加えて、光安定剤の設計が重要になります。

HALSは、チョーキングの抑制、色持ち、艶持ちに関係します。
高耐候塗料では、紫外線吸収剤と組み合わせて使われることもあります。

消泡剤

消泡剤は、塗装時に発生する泡を抑えたり、消したりするための添加剤です。
水性塗料、床塗料、厚膜塗料、左官系塗材などで重要です。

泡が残ると、ピンホールや泡跡、クレーターのような外観不良につながります。
特にローラー塗装では、塗料を転がす動きによって細かな泡が入りやすくなります。

ただし、消泡剤は入れれば入れるほど良いものではありません。
過剰に入ると、ハジキ、クレーター、再塗装性の低下を招くことがあります。
小さな調味料のように、効かせ方のバランスが大切です。

分散剤

分散剤は、顔料や体質顔料を塗料の中で均一に散らばらせるための添加剤です。
色の冴え、沈降安定性、粘度安定、調色性に関わります。

外壁塗装では、色選びも大切です。
ベージュ、グレージュ、アイボリー、ブラウン、グリーン、ネイビーなど、色の印象は住まいの雰囲気を大きく変えます。

その色を美しく見せるには、顔料がしっかり分散していることが重要です。
分散が悪いと、色が濁って見えたり、沈降したり、粘度が不安定になったりします。

つまり、色の美しさはセンスだけでなく、塗料の中の小さな化学設計にも支えられています。

防カビ・防藻・防腐剤

防カビ・防藻・防腐剤は、塗料の保存中や、乾燥後の塗膜表面でカビ・藻・菌の発生を抑えるための添加剤です。

特に住宅の外壁では、北面、日当たりの悪い面、植栽が近い面、湿気がこもりやすい面でカビや藻が発生しやすくなります。
どれだけ高級な塗料を使っても、立地条件によっては防カビ・防藻設計が弱いと美観が保ちにくくなります。

ただし、防カビ・防藻剤は、性能だけでなく規制対応も重要な分野です。
EUではBPR、米国ではFIFRAといった規制があり、これからは「効けば良い」だけではなく、法規に適合して、環境への説明ができ、長く効く設計が求められます。

増粘剤・レオロジー調整剤

増粘剤やレオロジー調整剤は、塗料の粘度や流れ方を調整する添加剤です。
ダレ止め、スパッタ低減、顔料沈降防止、刷毛やローラーの塗り感に関わります。

塗料が柔らかすぎると、垂れやすくなります。
硬すぎると、伸びが悪くなり、ローラーマークや刷毛目が出やすくなります。
このちょうど良い塗り心地を整えるのが、レオロジー調整の役割です。

現場で「この塗料は塗りやすい」「この塗料はダレにくい」「この塗料はローラー跡が出にくい」と感じる背景には、こうした添加剤設計が関わっていることがあります。

添加剤 主に効く性能 入れ過ぎたときの典型トラブル 現場での注意点
HALS 耐候性、色持ち、艶持ち 相溶性不良、過剰コスト 紫外線の強い外壁・屋根で重要です。
消泡剤 泡跡、ピンホール、外観 ハジキ、クレーター、再塗装性悪化 入れ過ぎず、工程ごとの設計が大切です。
分散剤 発色、沈降安定、粘度安定 耐水性低下、表面トラブル 顔料分散工程での設計が重要です。
防カビ・防藻剤 カビ、藻、缶内腐敗の抑制 規制不適合、コスト増 性能と法規対応の両方を確認します。
増粘剤 ダレ止め、塗り感、沈降防止 ローラーマーク、レベリング不良 最終調整で塗り心地を整える役割です。

添加剤は、塗料の中の小さな職人のような存在です。
表には見えませんが、仕上がりの品、塗りやすさ、長持ち感を陰で支えています。

6. 塗料原料のサプライチェーン(供給連鎖)と流通経路

建築塗料の原料は、原料メーカーから施工店へ一直線に届くわけではありません。
一般的には、基礎原料、中間体、樹脂メーカー、添加剤メーカー、塗料メーカー、商社・代理店・販売店を経て、施工会社へ届きます。

パン屋さんにたとえると分かりやすいかもしれません。
施工店が小麦農家から直接小麦を買ってパンを焼くわけではなく、製粉会社、材料問屋、パン屋さんを通して、ようやくお客様の食卓に届きます。
塗料も同じです。

段階 主な内容 具体例
基礎原料 塗料原料の出発点になる素材 ナフサ、天然ガス、フッ石、植物油、鉱物、粘土など
中間体 樹脂や添加剤を作るための化学原料 MMA、アクリル酸エステル、ポリオール、イソシアネート、BPA、ECHなど
樹脂メーカー 塗膜の骨格となる樹脂を製造 ビーエーエスエフ(BASF)、オールネックス(allnex)、ディック(DIC)、エージーシー(AGC)、ダイキン、WACKER、ダウ(Dow)など
添加剤メーカー 施工性・耐候性・防カビ性などを補助する材料を製造 ビーエーエスエフ(BASF)、BYK、アデカ(ADEKA)、サンノプコ(SAN NOPCO)、アークサーダ(Arxada)、エレメンティス(Elementis)など
塗料メーカー 樹脂・顔料・添加剤などを配合し、完成塗料を製造 日本ペイント、エスケー化研、関西ペイント、ピーピージー(PPG)、アグゾノーベル(AkzoNobel)、シャーウィンウィリアムズ(Sherwin-Williams)など
販売会社・代理店 施工店へ塗料を供給 塗料販売店、商社、代理店、メーカー販売会社など
施工会社 建物に合わせて塗料を選定し施工 塗装店、防水業者、リフォーム会社など
原料流通と完成塗料 流通の違い

塗料の流通には、大きく分けて「原料の流通」と「完成塗料の流通」があります。
施工店が日常的に関わるのは完成塗料の流通ですが、その手前では、樹脂メーカー、添加剤メーカー、化学商社、塗料メーカーが複雑につながっています。

この流れを理解しておくと、塗料価格が上がったとき、納期が遅れたとき、特定の材料が欠品したときに、背景を冷静に判断しやすくなります。

区分 主な取引先 流れるもの 情報として重要なもの 施工店への影響
原料流通 石化メーカー、樹脂メーカー、添加剤メーカー、化学商社 モノマー、樹脂、添加剤、溶剤、中間体 原料価格、規制、輸入状況、代替原料、技術資料 完成塗料の価格改定や品薄の原因になります。
塗料メーカー内の流れ 研究開発、製造、品質管理、営業技術 樹脂、顔料、添加剤、調色ベース、製品塗料 TDS、SDS、施工仕様書、促進耐候試験、適用下地 施工品質やお客様への説明根拠に直結します。
完成塗料流通 メーカー販売会社、代理店、塗料販売店 外壁塗料、屋根塗料、下塗り材、シーリング材、副資材 在庫、納期、価格、代替品、調色対応、出荷ロット 現場工程、見積価格、工期管理に影響します。
施工現場 塗装店、防水業者、元請け、管理会社 完成塗料、施工仕様、工事記録、保証書 施工写真、使用缶数、乾燥時間、天候、下地状態 最終的な仕上がりと耐久性を左右します。
塗装業者が塗料商社の選定で確認したい専門項目
確認項目 なぜ重要か 実際に聞くべきこと 現場でのメリット
国内在庫 輸入原料や物流混乱の影響を受けにくくなります。 「この塗料は、安定供給されていますか?」 工期遅れや急な仕様変更を防ぎやすくなります。
代替グレード 欠品時や仕様変更時に対応しやすくなります。 「同等性能の代替品はありますか?」 塗装業者からお客様へ無理のない提案ができます。
TDS・SDS 施工方法、安全管理、説明責任の基本資料です。 「最新のTDSとSDSを確認できますか?」 施工条件や注意点を明確にできます。
耐候データ 長持ちの根拠になります。 「促進耐候試験や屋外暴露データはありますか?」 高耐候塗料の説明に説得力が出ます。
技術サポート 特殊下地や不具合時の相談先になります。 「現場に合わせた仕様相談はできますか?」 難しい現場でも判断ミスを減らせます。
規制対応 VOC、PFAS、防カビ剤などの説明が必要になる場面があります。 「環境規制や低VOCの説明資料はありますか?」 公共性の高い案件や近隣説明で安心材料になります。

日本の住宅塗装の現場では、塗装店が樹脂や添加剤といった塗料の原料を直接仕入れ、現場で一から塗料を調合することはほとんどありません。
基本的には、塗料メーカーが樹脂・顔料・添加剤などを専門的な技術で配合し、耐候性・密着性・防カビ性・作業性などを整えた完成塗料を、販売店や代理店を通して調達します。

ただ、完成塗料を使うからといって、塗装店はただ缶を開けて塗っているわけではありません。
現場では、外壁材の種類、既存塗膜の傷み方、チョーキングの程度、ひび割れ、シーリングの状態、日当たり、風通し、雨の当たり方まで確認しながら、その住まいに合う塗料と施工方法を見極めていきます。

塗料は、缶の中に入っている時点では、まだ「良い材料」にすぎません。
その性能をきちんと引き出せるかどうかは、下地処理、塗布量、乾燥時間、希釈率、塗り重ねのタイミングなど、現場での扱い方に大きく左右されます。
どれほど高性能な塗料でも、下地に合っていなかったり、乾燥時間を守らなかったりすれば、本来の耐久性や美しさは発揮できません。

だからこそ、塗装店には「塗料を選ぶ目」と「塗料を活かす腕」の両方が必要です。
塗装は、塗料の性能、建物の状態、職人の手仕事がきちんと噛み合って、はじめて長持ちする美しい塗膜になります。

また、塗装店として、塗料の原料がどこで作られ、どのような流れで製品になり、どのように現場へ届くのかを知っておくことも大切です。
樹脂や添加剤の価格高騰、海外原料の不足、物流の混乱、環境規制や化学物質規制の変更などは、最終的に塗料価格・納期・商品ラインナップに影響することがあります。
お客様に適正な価格で、無理のない工事計画をご提案するためにも、塗装店は現場の技術だけでなく、塗料の背景にある原料や流通の動きにも、職人の目線でしっかり目を向けておく必要があります。

塗料メーカー・販売店・施工店の役割

住宅塗装で使われる塗料は、いきなり現場に届くわけではありません。
塗料メーカーが製品を開発・製造し、販売店や代理店が流通を支え、施工業者である塗装店が建物の状態に合わせて使用します。
それぞれの役割がきちんとつながることで、はじめて安心して使える塗料が現場に届きます。

立場 主な役割 塗装店から見た大切なポイント
塗料メーカー 樹脂・顔料・添加剤などを配合し、外壁用塗料、屋根用塗料、防水材、下塗り材などを開発・製造します。
耐候性、密着性、防カビ性、作業性、安全性などを確認しながら、製品としての品質を整えます。
塗料の性能、適用下地、期待耐用年数、施工仕様、乾燥時間、希釈率などを正しく確認することが大切です。メーカーの仕様書は、職人にとって「塗料の取扱説明書」のような存在です。
販売店・代理店 塗料メーカーから製品を仕入れ、施工店へ供給します。
塗料の在庫管理、納期調整、色の手配、副資材の提案、メーカー情報の共有など、現場を支える流通の役割を担います。
必要な塗料を、必要なタイミングで確実に届けてもらうことは、工事品質や工程管理にも関わりま、欠品や納期遅れがある場合は、早めの情報共有がとても重要です。
施工店 現地調査を行い、外壁材や屋根材、既存塗膜の状態、劣化症状、周辺環境を確認したうえで、建物に合った塗料と施工方法を選びます。
実際に下地処理、養生、塗装、仕上げ確認まで行います。
完成塗料の性能をきちんと引き出すのが施工店の責任で下地処理、塗布量、乾燥時間、塗り重ねのタイミングを守り、住まいごとに最適な仕上がりを目指します。

このように見ると、塗料は「メーカーが作るもの」、販売店は「届けるだけ」、施工店は「塗るだけ」と単純に分けられるものではありません。
メーカーの技術、販売店の流通力、施工店の現場判断がうまく噛み合ってこそ、塗装工事の品質は安定します。

特に施工店は、お客様の住まいを直接見て、直接手を入れる立場です。
だからこそ、塗料の名前やグレードだけで判断するのではなく、メーカーの仕様、販売店からの情報、現場の状態を総合的に見ながら、その家にとって本当に良い塗装を考えることが大切です。

オンラインは、物流というより技術選定の役割が大きいです

近年は、塗料原料の製品検索やサンプル依頼、TDS(技術データシート)・SDS(安全データシート)の確認をオンラインで行う流れも広がっています。
ただし、施工店がネット通販で特殊添加剤を気軽に買うというより、専門商社やメーカーの製品情報を確認し、代替品や技術情報を探す役割が中心です。

施工店の立場では、樹脂や添加剤のブランド名をすべて覚える必要はありません。
でも、販売店やメーカーに対して、次のような質問ができると、材料選びの質は上がります。

  • ■ この塗料はどの樹脂系ですか?
  • ■ 水性化・低VOCはどのような設計で実現していますか?
  • ■ 防カビ・防藻性能はどの程度期待できますか?
  • ■ 既存塗膜との相性に注意点はありますか?
  • ■ 国内在庫や代替品はありますか?
  • ■ 最新のTDS・SDS・施工仕様書は確認できますか?

塗装店にとって良いサプライヤーとは、単に安く材料を売る会社ではありません。
不具合リスクを減らし、代替提案ができ、技術資料をきちんと出してくれる会社です。
材料に振り回されないためにも、流通経路の理解はとても大切です。

7. 建築塗料の樹脂・添加材 将来性とリスクについて

建築塗料は、これからも必要とされる材料で、住宅もマンションも工場も必ず経年劣化します。
紫外線、雨、風、熱、湿気、汚れ、カビ、藻。
建物の外側は、毎日小さなダメージを受け続けているので、塗料には今後も需要があります。
ただし、これから販売量が伸びる塗料と、選ばれにくくなる塗料は分かれていくと考えられます。

伸びやすい分野
  • ■ 低VOC塗料
  • ■ 水性塗料
  • ■ 高耐候塗料
  • ■ 高耐久な水性ウレタン・水性エポキシ
  • ■ 防カビ・防藻性能を高めた外装塗料
  • ■ バイオベース・低炭素型の原料
  • ■ 長寿命設計のフッ素・シリコーンハイブリッド・無機系塗料

特に大きな流れは、低VOCと水性化です。
塗料の臭気や環境負荷を抑えながら、外装として必要な耐久性をどう確保するか。
ここが今後の重要テーマになります。

以前は、耐久性を求めると溶剤系というイメージが強い時代もありましたが、現在は水性塗料の性能も大きく向上しています。
もちろん、すべての場面で水性が万能というわけではありません。
鉄部、防水、特殊下地などでは、溶剤系や2液型が適している場面もあるので、水性か溶剤かをイメージだけで判断するのではなく、下地・環境・用途・施工条件に合わせて選ぶことです。

高耐候のハイブリッド化

これからの塗料は、単独の樹脂だけで勝負するのではなく、ハイブリッド化が進むと考えられます。
たとえば、シリコーンと有機樹脂の組み合わせ、フッ素の水性化や粉体化、ウレタンのPUD化(水系ポリウレタン樹脂)、エポキシの水性防食化などです。

これは、服で言えば「天然素材だけ」「化学繊維だけ」ではなく、着心地、耐久性、洗いやすさ、シルエットを考えて素材をブレンドする感覚に近いです。
塗料も同じで、ひとつの性能だけを尖らせるのではなく、耐候性、施工性、環境性、コスト、供給安定性を総合的に整える方向へ進んでいます。

バイオベースと低炭素化

建築塗料の世界でも、バイオベース原料やカーボンフットプリント低減の動きが広がっています。
公共工事、大規模建築、海外サプライチェーンでは、環境性能の説明が今後さらに重要になる可能性があります。

一般住宅の外壁塗装では、まだ価格とのバランスが課題になる場面も多いです。
しかし、長い目で見ると、環境説明ができる塗料、低VOCで近隣にも配慮しやすい塗料、長持ちして塗り替え回数を減らせる塗料は、より評価されやすくなると考えられます。

これから注意したいリスク
リスク 影響を受けやすい材料 何が起こるか 評価
石化原料・エネルギー価格の変動 アクリル、ウレタン、エポキシ、溶剤系全般 価格改定、納期不安、塗料価格の上昇につながります。
地政学・関税・物流混乱 輸入原料を含む塗料全般 調達先の再編、在庫不足、商社経由の価格上昇が起こります。
PFAS規制・社会的視線 フッ素樹脂、フッ素添加剤 採用判断の慎重化、代替技術の検討、説明責任が増えます。
防カビ・防腐剤の規制強化 防藻防カビ塗料、缶内防腐剤 使える有効成分が絞られ、再設計やコスト上昇が起こります。
建設需要の循環変動 建築用樹脂全般 価格競争、在庫調整、グレード統廃合が起こる可能性があります。
気候変動による操業・物流リスク 塗料原料全般 工場停止、配送遅延、水処理コスト増などにつながります。 中〜高

このように、塗料の将来性は明るい一方で、原料価格、規制、物流、環境対応などのリスクもあります。
施工店としては、単に今売れている塗料を選ぶだけでなく、安定供給、代替品、メーカーの技術対応力まで見ておく必要があります。

これからの建築塗料は、長持ちし、塗りやすく、環境説明ができ、供給も安定していることが大切になります。
まさに見た目の美しさだけでなく、内側の設計まで整った塗料が求められる時代です。

2035年に向けた建築塗料材料のトレンド予測

2035年に向けて、建築塗料は「より長持ちする材料」へ進むだけでなく、環境説明ができる材料施工しやすい材料供給が安定している材料が選ばれやすくなると考えられます。

これは単なる流行ではなく、人手不足、材料費高騰、近隣配慮、環境規制、住宅ストックの老朽化が同時に進んでいるため、塗料に求められる役割が増えているからです。

時期 伸びやすい材料・技術 背景 施工店への影響 お客様への提案ポイント
短期 水性アクリル、水性シリコン、低VOC塗料、防カビ防藻塗料 臭気対策、近隣配慮、標準仕様の高耐候化が進むためです。 水性塗料の乾燥管理、低温高湿時の判断が重要になります。 「臭いを抑えながら、住まいをしっかり守る仕様」と説明できます。
中期 シリコーンハイブリッド、無機有機ハイブリッド、PUD、水性エポキシ 耐候性と環境性を両立するニーズが高まるためです。 塗料ごとの適用下地や再塗装性の確認がより重要になります。 「長持ちと扱いやすさのバランスを取った塗料」と説明できます。
長期 PFAS代替技術、低炭素原料、自己洗浄型、機能性ナノ材料 環境規制、社会的説明責任、長寿命化の流れが強まるためです。 メーカー資料を読み解き、誇大表現を避けた提案力が必要になります。 「性能だけでなく、将来の環境対応まで考えた材料選び」と伝えられます。
将来性を施工店目線で評価する表
材料・技術 将来性 期待できるメリット 注意点 小林塗装での見方
水性高耐候塗料 高い 低臭気、低VOC、近隣配慮、高耐候化 天候管理と早期降雨に注意 住宅外壁の標準〜上位仕様として重要性が高まります。
シリコーンハイブリッド 高い 耐候性、低汚染性、外壁との相性 再塗装適性や下地との相性確認 価格と耐久性のバランスを取りやすい上位帯です。
フッ素・FEVE系 中〜高 長寿命、色艶保持、LCC低減 初期費用、PFAS関連の社会的視線 長期保全を重視する建物には有力ですが、説明の丁寧さが必要です。
水性エポキシ 高い 防食性と低VOCの両立 下地処理と乾燥条件に注意 鉄部や床、防食下塗りで今後重要性が増します。
防カビ防藻技術 高い 北面外壁や湿気の多い立地で美観維持 規制対応と過度な期待に注意 住宅外壁では実感されやすい機能です。
バイオベース原料 中〜高 低炭素、環境説明、公共性 価格と普及スピード 将来的には提案価値が高まる可能性があります。

2035年に向けて、塗料は「長持ち」だけでは選ばれにくくなります。
長持ちすることに加えて、環境に配慮し、近隣にやさしく、施工品質を安定させやすいことが重要になります。

8. 現場で使える 建築塗料(樹脂・添加材)選定の考え方

ここからは、原料や市場の話を、実際の外壁塗装・屋根塗装の現場に落とし込んで考えます。

お客様にとって大切なのは、樹脂メーカー名を覚えることではありません。
大切なのは、自分の住まいに合った塗料が選ばれているかで、同じシリコン塗料でも、建物の下地、既存塗膜、日当たり、湿気、屋根材、外壁材、築年数によって向き不向きがあります。
見積書に「シリコン」と書いてあっても、それだけでは十分な判断材料にはなりません。

場面 第一候補になりやすい樹脂 補助的に見たい添加剤 判断ポイント
一般住宅の外壁 高耐候アクリル、変性シリコン、シリコーンハイブリッド HALS、防カビ・防藻、分散剤、増粘剤 日射、北面の藻、既存塗膜、近隣配慮で水性かどうかを確認します。
屋根 高耐候アクリル、シリコン、フッ素 HALS、消泡剤、レオロジー調整剤 熱、紫外線、雨筋汚れ、早期耐水性を重視します。
鉄部・手すり・階段 エポキシ下塗り + ウレタン・シリコン・フッ素上塗り 消泡剤、防錆補助 防食は下塗りで決まります。上塗りだけ良くしても不十分です。
コンクリート床・駐車場 エポキシ、ウレタン 消泡剤、レオロジー、分散剤 耐摩耗、耐薬品、滑りにくさ、メンテナンス性を確認します。
湿気が多い立地・北面外壁 アクリル系、シリコン系、防カビ防藻設計の塗料 防カビ・防藻剤 樹脂グレードだけでなく、バイオサイド設計が効きます。
見積・提案時に使える建築塗料(樹脂・添加材)グレード説明表

お客様へ塗料を提案するときは、専門用語を並べるだけでは伝わりにくいものです。
「耐候性」「低汚染性」「ラジカル制御」「無機有機ハイブリッド」と言われても、初めて外壁塗装をされる方には少し難しく感じられます。

小林塗装では、塗料グレードを説明するときに、単なるグレード分けではなく、暮らし方・メンテナンス周期・予算・建物の状態に合わせてお伝えすることが大切だと考えています。

提案グレード 主な樹脂系 向いているお客様 メリット 注意点 説明の仕方
標準耐久仕様 高耐候アクリル、ラジカル制御型アクリルなど 費用を抑えつつ、必要十分な塗り替えをしたい方 価格と性能のバランスが良く、一般住宅で使いやすい仕様です。 超長期耐久を求める場合は上位仕様も検討します。 「無理なくきちんと住まいを守る、現実的な仕様です」と説明します。
バランス重視仕様 シリコン、アクリルシリコン、シリコーンハイブリッド 価格と長持ちのバランスを重視する方 外壁塗装では選びやすく、耐候性と費用のバランスが良いです。 製品差が大きいため、商品名と施工仕様の確認が必要です。 「費用と耐久性のバランスが良い、住宅外壁の中心的な仕様です」と説明します。
高耐久仕様 フッ素、無機有機ハイブリッド、高耐候シリコーン 次回塗り替えまでの期間をできるだけ延ばしたい方 色艶保持や耐候性に優れ、長期的な保全計画を立てやすくなります。 初期費用が高く、下地処理の品質がより重要です。 「足場をかける回数まで考えると、長い目でメリットが出やすい仕様です」と説明します。
防カビ防藻重視仕様 防カビ防藻設計のアクリル・シリコン系 北面の藻、湿気、植栽まわりの汚れが気になる方 美観維持に役立ち、湿気の多い立地で効果を感じやすいです。 完全にカビや藻をゼロにするものではありません。 「出やすい環境に合わせて、汚れにくさを補う仕様です」と説明します。
鉄部防食重視仕様 エポキシ下塗り + 上塗り材 手すり、階段、シャッター、鉄骨部分の錆が気になる方 鉄部の錆対策に強く、下地から守る設計ができます。 ケレン不足では性能が出ません。下地処理が非常に重要です。 「鉄部は上塗りよりも、錆を止める下塗りが大切です」と説明します。

塗料提案で大切なのは、上位グレードをすすめることだけではありません。
お客様の住まいと予算に合う仕様を、メリット・デメリットの両方を正直に伝えたうえで選ぶことです。

塗装する際の施工注意点
項目 施工で特に注意したいこと
アクリル・高耐候アクリル 水性は扱いやすい反面、低温・高湿・早期降雨の影響を受けやすいため、乾燥時間と天候管理が重要です。
ウレタン 1液・2液、水性・溶剤で施工感が変わります。混合比、可使時間、膜厚管理を守る必要があります。
シリコーン 撥水性や低汚染性は魅力ですが、下地との相性や再塗装適性を確認することが大切です。
フッ素 期待耐久が高い分、下地処理不足は許されません。初期費用と長期メリットの説明が必要です。
エポキシ 紫外線に弱いため、屋外ではトップコート併用が基本です。鉄部では素地調整が寿命を左右します。
消泡剤 泡を抑える役割がありますが、過剰になるとハジキやクレーターの原因になることがあります。
分散剤 色の冴えや沈降安定に関わります。後から少し足すだけでは立て直せないことが多く、塗料設計段階が重要です。
増粘剤 ダレ止めや塗り感を整えますが、過度な増粘はローラーマークやレベリング不良につながります。

小林塗装では、塗料のグレードだけでなく、下地処理、下塗り材の選定、膜厚、乾燥時間、施工環境まで大切にしています。
なぜなら、どれだけ良い塗料を使っても、下地処理や施工管理が甘ければ、塗料本来の性能は発揮されないからです。

外壁塗装は、塗料缶の中だけで完成するものではありません。
現場調査、診断、洗浄、補修、シーリング、養生、下塗り、中塗り、上塗り、点検、一つひとつの工程を積み重ねることで、ようやく長持ちする塗膜になります。

高品質な塗装工事とは、良い材料を選び、正しく使い、丁寧に仕上げることです。
この当たり前を当たり前以上に大切にすることが、職人店としての基本だと考えています。

9. お客様が塗料選びで確認したい(樹脂・添加剤)ポイント

外壁塗装を検討されているお客様が、樹脂や添加剤の細かい名前をすべて覚える必要はありません。
ただし、見積書や説明を受けるときに、確認しておきたいポイントはあります。

  • ■ 塗料の商品名だけでなく、どの樹脂系なのか
  • ■ 外壁・屋根・鉄部・木部で塗料を使い分けているか
  • ■ 下塗り材が下地に合っているか
  • ■ 北面や湿気の多い場所に防カビ・防藻性を考えているか
  • ■ 低VOCや臭気への配慮があるか
  • ■ 高耐候塗料の場合、下地処理や施工管理まで説明があるか
  • ■ 保証内容だけでなく、施工写真や工事記録を残してくれるか

特に注意したいのは、「高い塗料を使うから安心」という考え方です。
もちろん、高耐候塗料には大きなメリットがあります。
しかし、塗料だけが良くても、下地処理が不十分だったり、塗布量が不足していたり、乾燥時間を守っていなかったりすれば、塗膜は長持ちしにくくなります。

反対に建物の状態に合った標準的な塗料を、適正な下地処理と正しい工程で施工すれば、十分な耐久性と良い仕上がりを目指せることもあります。

外壁塗装で大切なのは、高いか、安いかだけではなく、住まいに合っているかです。

確認したいこと 理由 聞き方の例
下塗り材の選定 密着性や仕上がりに直結します。 「この外壁には、なぜこの下塗り材を使うのですか?」
塗料の樹脂系 耐候性や価格帯の判断材料になります。 「この塗料はアクリル系、シリコン系、フッ素系のどれですか?」
防カビ・防藻性 北面や湿気の多い場所で美観に差が出ます。 「北面の藻に対して、どのような対策がありますか?」
鉄部の錆止め 鉄部は下塗りの防食性が重要です。 「鉄部にはエポキシ系の錆止めを使いますか?」
施工管理 塗料性能を発揮するには工程管理が必要です。 「塗布量や乾燥時間はどのように管理しますか?」
長期コスト 初期費用だけでなく塗り替え周期も重要です。 「次の塗り替え時期まで考えると、どの仕様が合いますか?」

見積書の金額だけを見て比較すると、どうしても安いほうに目が行きやすくなります。
けれど、外壁塗装は住まいを守る工事です。
だからこそ、材料、工程、説明、近隣配慮、保証まで含めて、総合的に判断することが大切です。

お客様向け|塗装工事の見積書で確認したいチェック表

外壁塗装の見積書を見るとき、金額だけを比べると判断を間違えやすくなります。
同じ「外壁塗装一式」でも、下地処理、シーリング、下塗り材、上塗り材、付帯部、使用缶数、保証内容によって、工事の中身は大きく変わります。

見積書は、塗装工事の設計図のようなものです、少し細かく感じるかもしれませんが、ここを見ることで後悔しにくい塗装工事につながります。

確認項目 見積書にあると安心な内容 不足していると起こりやすい不安 質問例
塗料名 メーカー名、商品名、樹脂系、艶の種類が記載されている どのグレードの塗料か分かりにくい 「この塗料は何系の樹脂ですか?」
下塗り材 外壁材や屋根材に合った下塗り名が記載されている 密着不良、吸い込みムラ、早期剥がれの不安 「この下地には、なぜこの下塗りを使うのですか?」
塗装回数 下塗り・中塗り・上塗りの工程が分かる 必要な塗膜厚が確保されているか分からない 「外壁は何回塗りですか?下塗りも含まれていますか?」
シーリング工事 打ち替え、増し打ち、使用材料、施工範囲が明記されている 目地やサッシまわりからの雨水侵入リスクが残る 「シーリングは撤去打ち替えですか?」
鉄部の錆止め ケレン、錆止め、上塗りの工程が分かる 錆の再発、塗膜剥がれの不安 「鉄部にはどの錆止めを使いますか?」
防カビ防藻性 北面や湿気の多い場所への配慮がある 塗り替え後に藻やカビが早く出る可能性 「北面の藻に対して、どんな対策がありますか?」
使用缶数・塗布量 塗布面積に対して適切な使用量が確認できる 薄塗りや材料不足の不安 「塗料は何缶使用予定ですか?」
施工写真 各工程の写真を残す説明がある 見えない部分の施工確認がしにくい 「下塗りや補修の写真は残してもらえますか?」
保証内容 保証年数、保証範囲、対象外事項が分かる 不具合時の対応範囲があいまいになる 「保証はどこまで対象になりますか?」

外壁塗装は、価格だけで選ぶと後悔しやすい工事です。
見積書の中身を丁寧に確認し、分からないことをきちんと質問できる塗装店を選ぶことが、安心できる住まいのメンテナンスにつながります。

10. 建築塗料 樹脂・添加材に関する よくある質問

Q1. 外壁塗装では、シリコン塗料を選べば安心ですか?

シリコン塗料は、価格と耐久性のバランスが良く、一般住宅の外壁塗装で使いやすい塗料です。
ただし、すべての建物に同じシリコン塗料が最適とは限りません。

外壁材、既存塗膜、劣化状態、日当たり、湿気、予算によって、より適した塗料は変わります。
大切なのは「シリコンだから安心」ではなく、その建物に合ったシリコン塗料かどうかです。

Q2. フッ素塗料は高いだけの塗料ではありませんか?

フッ素塗料は、初期費用が高くなりやすい塗料です。
そのため、短期的な価格だけで見ると割高に感じられることがあります。

しかし、フッ素塗料は耐候性や色艶の保持に優れ、長期的なメンテナンス周期を延ばせる可能性があります。
足場費用や次回塗り替えまでの期間を含めて考えると、建物によっては総合的にメリットが出ることもあります。

ただし、下地処理や施工管理が不十分では、フッ素塗料の良さは活きません。
高耐候塗料ほど、丁寧な下地処理が大切です。

Q3. 水性塗料は溶剤塗料よりも弱いですか?

以前は、水性塗料に対して「弱い」というイメージを持つ方もいました。
しかし、現在の水性塗料は性能が大きく向上しています。

低VOC、臭気の少なさ、近隣配慮、環境性という面では、水性塗料には大きなメリットがあります。
一方で、低温・高湿・早期降雨には注意が必要です。

水性か溶剤かを単純に優劣で見るのではなく、施工部位・下地・季節・天候・要求性能に合わせて選ぶことが大切です。

Q4. 防カビ・防藻塗料を使えば、カビや藻は完全に防げますか?

防カビ・防藻塗料は、カビや藻の発生を抑える効果が期待できます。
ただし、完全にゼロにできるわけではありません。

北面、日当たりの悪い場所、植栽が近い場所、湿気がこもりやすい場所では、どうしてもカビや藻が出やすくなります。
そのため、塗料選びだけでなく、立地条件や外壁の通気、雨だれの状態も見て判断する必要があります。

防カビ・防藻性能は大切ですが、過度に期待しすぎず、住まいの環境に合わせて考えることが大切です。

Q5. 塗料の添加剤まで気にしたほうが良いですか?

一般のお客様が、添加剤名まで細かく覚える必要はありません。
ただし、添加剤は塗料の仕上がりや長持ちに深く関係しています。

泡を抑える消泡剤、色を安定させる分散剤、カビや藻を抑える防カビ・防藻剤、紫外線劣化を抑えるHALSなど、塗料の内部では多くの材料が機能しています。

お客様としては、「この塗料はどのような性能を重視した設計ですか?」と施工業者に聞いてみると良いでしょう。

11. 建築塗料 樹脂・添加材とは? まとめ

建築塗料は、樹脂と添加剤によって性能が大きく変わります。
樹脂は塗膜の骨格をつくり、添加剤はその塗膜を美しく、塗りやすく、長持ちしやすい状態へ整えます。

アクリルは水性化しやすく、建築塗料の量的な中心です。
ウレタンは柔軟性や耐摩耗性に優れます。
シリコン・シリコーン系は、住宅外壁で価格と耐久性のバランスを取りやすい樹脂です。
フッ素は高価ですが、長寿命仕様で大きなメリットがあります。
アルキドは伝統的な樹脂で、塗りやすさや木部・金属部での使い道があり、エポキシは防食や密着性に優れ、鉄部下塗りや床塗装で重要です。

また、HALS、消泡剤、分散剤、防カビ・防藻剤、増粘剤といった添加剤は、表には見えにくいものの、仕上がりや耐久性に深く関わっています。

これからの建築塗料は、低VOC、水性化、高耐候、環境配慮、供給安定性がますます重要になります。
そして、塗装店には、塗料の商品名だけでなく、建物に合わせた材料選びと正しい施工管理が求められます。

外壁塗装で本当に大切なのは、単に高い塗料を選ぶことではなく、住まいの状態に合った塗料を選び、下地処理を丁寧に行い、正しい工程で仕上げることです。

小林塗装では、外壁や屋根の状態をしっかり確認し、塗料の性能、下地との相性、周辺環境、色彩バランス、将来のメンテナンスまで考えた提案を心掛けています。
名古屋市周辺で外壁塗装・屋根塗装を検討中の方は、お気軽に相談ください。

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12. 作者情報

小林塗装 店主 小林ゆず

名古屋市周辺で、外壁塗装・屋根塗装・防水工事・シーリング工事・付帯部塗装などを行う塗装職人店です。
これまで多くの住宅塗装に携わり、現場調査、下地診断、塗料選定、色彩提案、施工管理、完工確認まで、住まいに合わせた丁寧な塗装工事を大切にしてきました。

塗装工事は、ただ色を塗り替えるだけの工事ではありません。
住まいを雨や紫外線から守り、暮らしの印象を整え、次の年月を安心して過ごすための大切なメンテナンスです。

小林塗装では、価格の安さだけではなく、適正価格、高品質な施工、分かりやすい説明、近隣への配慮、そして長持ちする住まいづくりを大切にしています。

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