外壁塗装や屋根塗装の見積りを見て、「前回より高くなっている気がする」「昔はもう少し手頃だったのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際、近年の塗装工事では、足場費用や人件費だけでなく、塗料をつくるための原材料価格、物流費、エネルギーコストなども上がっており、工事費用に少しずつ影響しています。
さらに今は、塗料を取り巻く環境そのものも大きく変わりつつあります。
環境への配慮、低臭・低VOC塗料への流れ、作業者の安全管理、海外原料の価格変動、円安の影響など、以前よりも塗料選びに求められる視点が広がっています。
その中でも、塗装業界で特に注目されているのが、二液型塗料に使われる「硬化剤」の高騰です。
硬化剤とは、塗料をしっかり固め、塗膜に強さ・密着性・耐久性を持たせるための大切な材料です。
塗料となじみの少ない一般の方にとって、目立つものではありませんが、塗装の仕上がりを内側から支えるいわば塗装の「縁の下の力持ち」のような役割を持っています。
特に外壁塗装でよく使われる弱溶剤二液型シリコン塗料、弱溶剤二液型シリコン塗料、二液型ハイブリッド無機塗料では、硬化剤の品質や使い方が仕上がりの持ちに深く関わります。
鉄部、付帯部、防水まわり、床、クリヤー塗装など、雨風や紫外線に負けない強さが求められる部分では、今でも重要な材料です。
ただし、これからの外壁塗装では、「高価な二液型塗料をたくさん使えば安心」という単純な考え方ではなくなりつつあります。
住まいの素材、傷み具合、日当たり、雨の当たり方、将来のメンテナンスまで見極めながら、必要な場所に、必要な性能の塗料を使い分けることが、より大切になっています。
このコラムでは、「建築塗料の硬化剤がどうして高くなっているのか?」「外壁塗装の費用にどのような影響があるのか?」「そして変化する時代の中で塗料選びをどう考えればよいのか?」を塗装工事の専門店として分かりやすくお伝えします。
このコラムで分かること
- ■ 建築塗料の硬化剤が高騰している主な原因
- ■ 硬化剤の値上がりが外壁塗装の費用に与える影響
- ■ 二液型塗料と水性塗料の違い
- ■ これからの塗装工事で大切な塗料選びの考え方
- ■ 小林塗装が考える、品質と費用のバランス
建築塗料の硬化剤とは?
建築塗料の硬化剤とは、主剤と混ぜることで化学反応を起こし、塗料をしっかり固めるための材料です。
外壁塗装で使われる塗料には、大きく分けて「一液型塗料」と「二液型塗料」があります。
一液型塗料は、缶を開けて希釈・攪拌すれば使えるタイプです。
一方、二液型塗料は、主剤と硬化剤を決められた割合で混ぜてから使います。
二液型塗料は、配合比や可使時間(混ぜた後に使用できる時間)の管理が必要なため、取り扱いには一定の知識と経験が求められます。
その分、素材や部位に合った使い方をすれば、密着性、耐薬品性、耐摩耗性、耐久性に優れた強い塗膜をつくることができます。
- ■ 二液型ウレタン塗料|付帯部、鉄部、外壁、屋根などに使われることがあります
- ■ 二液型シリコン塗料|外壁、屋根、付帯部など、耐候性を重視したい部分に使われます
- ■ 二液型フッ素塗料|高耐候・長寿命を求める外壁や屋根、付帯部に使われることがあります
- ■ 二液型無機塗料|紫外線に強く、長期的な耐久性を重視する外壁や屋根に使われます
- ■ 二液型エポキシ床用塗材|下塗りと仕上げ塗料があり、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性があります/li>
- ■ 二液型エポキシシーラー|外壁や屋根の下塗りに使われています
- ■ 二液型エポキシ錆止め塗料|鉄部、鉄骨、手すり、シャッターボックスなどの錆対策に使われます
- ■ 二液型クリヤー塗装|高意匠サイディングやタイル調外壁の保護に使われる場合があります
- ■ 二液型防水用トップコート|ウレタンなどベランダ、バルコニー、屋上防水の保護仕上げに使われています
このように二液型塗料といっても、すべて同じ性質ではありません。
外壁に向いているもの、鉄部に向いているもの、防水まわりに向いているものなど、それぞれ得意な場所があります。
硬化剤は、料理でいえば「火加減」のような存在です。
いくら良い食材を使っても、火加減を間違えるとおいしく仕上がらないように、塗装も配合、攪拌、乾燥時間、施工環境を誤ると、本来の性能を十分に発揮できません。
つまり硬化剤は、ただ塗料に混ぜればよいものではなく、職人の知識と現場管理によって性能が活きる材料です。
そのため硬化剤は、単なる副材料ではなく、仕上がりの美しさと耐久性を内側から支える、塗装工事にとって重要な材料といえます。
硬化剤が高騰した主な原因
建築塗料の硬化剤が高くなった理由は、ひとつではありません。
原油価格の上昇だけでなく、化学原料、天然ガス、電力、物流費、為替、安全管理に関わるコスト、そして化学メーカーの生産体制の見直しなど、いくつもの要因が重なっています。
塗料業界では、ここ数年で原材料価格の上昇が続き、塗料メーカー各社も価格改定を行ってきました。
以前であれば、ある程度の原料高はメーカーや販売店の努力で吸収できる場面もありましたが、近年は原料、製造、輸送、保管、安全管理まで幅広くコストが上がっており、塗料を取り巻く価格構造そのものが変わってきているといえます。
特に二液型ウレタン塗料で使われるイソシアネート系硬化剤は、トルエンやベンゼンなどの芳香族原料、塩素・ホスゲン工程、製造時に必要なエネルギーコストの影響を受けやすい材料です。
少し専門的に聞こえるかもしれませんが、簡単にいうと、硬化剤は「塗料の缶の中だけ」で価格が決まるものではなく、もっと大元にある石油化学、無機化学、エネルギー産業の動きと深くつながっています。
また、二液型エポキシ塗料で使われるアミン系硬化剤も、化学原料やエネルギー価格の影響を受けます。
つまり、硬化剤の価格は、ホームセンターや塗料販売店に並んでいる塗料の缶だけを見ていても分からない、化学産業全体の動きとつながっているのです。
さらに近年は、化学メーカーの生産プラントをめぐる事情も無視できません。
硬化剤の原料となるイソシアネート類や関連する化学品は、大規模な専用設備でつくられるものが多く、生産プラントの老朽化、定期修繕、能力調整、生産停止、拠点の統廃合、海外拠点への移転、企業買収による供給網の再編などが起こると、市場の供給バランスに影響しやすくなります。
たとえば、国内外の化学メーカーでは、TDIやHDI誘導体などの生産能力を見直したり、特定の地域にある生産拠点を再編したりする動きが見られます。
こうした動きは、単純に「供給が減る」という話だけではなく、古くなった設備を維持するためのコスト、環境・安全基準に合わせるための設備投資、より効率のよい地域への生産移管などが重なり、結果として製品価格や納期に影響することがあります。
建築塗料の硬化剤は、見た目には小さな缶やボトルの材料に見えます。
しかし実際には、海外の原料メーカー、化学プラント、商社、海上輸送、国内流通、塗料メーカー、販売店という長い流れを経て、ようやく塗装現場に届きます。
このどこかで生産停止や設備トラブル、輸送混乱、為替変動が起きると、価格や納期に影響が出やすくなるのです。
さらに近年は、海外原料の価格変動、海上輸送の混乱、円安による輸入コストの上昇も重なっています。
建築塗料の原料は、国内だけで完結しているわけではありません。海外の化学メーカー、商社、海上輸送、国内流通など、いくつもの段階を経て塗料メーカーや販売店に届きます。
そのため、海外の原料価格の相場が少し落ち着いたとしても、円安が進んでいると、日本国内で仕入れる時の価格は下がりにくくなります。
また、危険物に該当する材料や温度管理・保管管理が必要な材料では、単純な輸送費だけでなく、保管、在庫確保、納期調整のコストも増えることになります。
| 主な要因 | 内容 | 塗装工事への影響 |
|---|---|---|
| 原材料価格の上昇 | 芳香族原料、塩素、苛性ソーダ、アミン系原料など、硬化剤の上流原料が上昇しています。 | 硬化剤や二液型塗料の材料費が上がりやすくなります。 |
| エネルギーコスト | 天然ガス、電力、蒸気など、化学品を製造するためのエネルギーコストが上がっています。 | 硬化剤だけでなく、塗料全体の価格が高止まりしやすくなります。 |
| 物流費 | 海上輸送、危険物管理、保管、在庫確保などにかかるコストが増えています。 | 納期が不安定になったり、仕入れ価格が変動しやすくなったりします。 |
| 円安 | 円安に伴い、輸入原料や海外市況品を円で仕入れる際の負担が大きくなっています。 | 海外価格が落ち着いても、日本国内では材料価格が下がりにくくなります。 |
| 生産プラントの再編 | 老朽化した設備の見直し、定期修繕、生産停止、能力調整、拠点移転、企業買収などが起こることがあります。 | 供給量や納期が不安定になり、硬化剤や関連原料の価格に影響する場合があります。 |
| 安全管理コスト | SDS確認、換気、保護具、作業者教育、化学物質管理などがより重要になっています。 | 材料費だけでなく、現場管理や安全対策に関わるコストも増えやすくなります。 |
| 低VOC化・環境対応 | 塗料業界全体で、低臭・低VOC・環境配慮型塗料への流れが強まっています。 | 塗料の設計や原材料の選び方が変わり、製品開発や管理コストにも影響します。 |
国内の塗料メーカーでも、2022年には硬化剤を含む塗料関連商品の価格改定が複数回行われました。
これは一時的な値上げというより、塗料をつくるためのサプライチェーン全体のコストが大きく変わったことを示しています。
また、塗料業界では、ただ価格が上がっているだけではなく、製品の方向性も少しずつ変化しています。
においを抑えた水性塗料、低VOC塗料、作業者の安全性に配慮した仕様、環境負荷を抑えた製品など、これからの塗料には「耐久性」だけでなく、「扱いやすさ」「安全性」「環境への配慮」も求められるようになっています。
その一方で、二液型塗料の価値がなくなるわけではありません。
鉄部、付帯部、防水、床、クリヤー塗装など、密着性や耐摩耗性、防食性が求められる場所では、今後も二液型塗料は大切な選択肢です。
外壁塗装の現場では、こうした材料価格の変化や塗料業界の流れを無視することはできません。
特に、二液型塗料を多く使う仕様では、硬化剤の価格上昇が見積りに影響する場合があります。
ただし、ここで大切なのは、単純に「高い塗料は避ける」「安い塗料に変える」と考えることではありません。
建物の状態や塗る場所に合わせて、二液型塗料が本当に必要な部分と、水性塗料や一液型塗料で十分に性能を発揮できる部分を見極めることが大切です。
これからの塗装工事では、塗料の名前やグレードだけで判断するのではなく、原材料価格、環境対応、安全管理、施工性、供給の安定性、そして住まいの劣化状態まで含めて仕様を考える必要があります。
塗料選びは、単なる「商品選び」ではなく、住まいを長く守るための設計に近いものになってきています。
外壁塗装の現場から冷静に見ると、硬化剤の高騰は「材料屋さんだけの事情」ではなく、お客様の見積り、塗料選び、そして住まいを長持ちさせるための仕様設計にも関わる重大な課題になっています。
硬化剤が高くなると外壁塗装の費用にどのような影響があるの?
硬化剤の価格が上がると二液型塗料を多く使う工事では、材料費に影響が出ます。
特に鉄部、屋根、付帯部、防水まわり、床、クリヤー塗装などは、密着性や耐久性を重視して二液型塗料を選ぶケースが多くあり、そのため建物の状態や塗装仕様によっては、以前より見積り価格が上がることもあります。
ただし、ここで大切なのは、「高い塗料を使うこと」そのものが目的ではないということです。
塗装工事の本来の目的は、住まいを美しく整え、雨風や紫外線から長く守ることです。
たとえば、外壁全面には施工安定性の高い水性塗料や一液型塗料を使い、傷みやすい付帯部・鉄部・防水まわりには二液型塗料を使う。
このように、部位ごとに塗料を使い分けることで、必要以上に費用を上げすぎず、品質とのバランスを取りやすくなります。
塗装は、外壁には外壁に合う素材、鉄部には鉄部に合う素材、防水まわりには防水まわりに合う素材があります。
それぞれの場所に合った塗料を選ぶことで長持ちします。
- ■ 外壁全面に二液型塗料が本当に必要か確認する
- ■ 鉄部や付帯部など、耐久性が必要な場所には適切な塗料を使う
- ■ 材料単価だけでなく、耐用年数や次回メンテナンスまで考える
- ■ 下地処理や塗布量、乾燥時間をきちんと守る業者を選ぶ
外壁塗装は、塗料のグレードだけで決まるものではありません。
どれだけ良い塗料を使っても、下地処理が不十分だったり、規定の塗布量や乾燥時間を守らなかったりすれば、早期の剥がれ、膨れ、色あせにつながることがあります。
反対に建物の状態に合った塗料を選んで、下地補修から丁寧に施工すれば、必要以上に高価な仕様にしなくても、高品質な仕上がりにすることができます。
材料価格が上がっている時代だからこそ、「どの塗料を使うか」だけでなく、「どうしてその塗料を使うのか?」まで確認することが大切です。
硬化剤が必要な二液型塗料は使わない方がよいの?
硬化剤が高くなっているからといって、二液型塗料を使わない方がよい、というわけではありません。
二液型塗料には、今でも大きなメリットがあります。
密着性、耐久性、耐摩耗性、防食性などが求められる場所では、一液型塗料より適している場合もあります。
たとえば、鉄部の錆止めや上塗り、雨戸、シャッターボックス、手すり、ベランダ床、防水層のトップコート、高意匠サイディングのクリヤー塗装などでは、二液型塗料を選ぶことによって、仕上がりの安心感が高まることがあります。
特に雨風や紫外線を受けやすい部分、手で触れることが多い部分、摩耗しやすい部分、錆びやすい鉄部などは、塗膜の強さが大切です。
こうした場所では、二液型塗料の性能が住まいを守る力につながります。
ただし、二液型塗料には注意点もあります。
- ■ 主剤と硬化剤の配合比を正確に守る必要があります
- ■ 混ぜた後に使える時間(可使時間)が限られています
- ■ 作り過ぎると残材ロスが出やすくなります
- ■ 気温や湿度によって硬化の進み方が変わることがあります
- ■ 換気、保護具、SDS確認など安全管理が重要です
つまり二液型塗料は、洋服でいえば「上質なジャケット」のようなものです。
必要な場面で羽織れば住まいをきりっと整えてくれますが、どんな場所にも毎日着せればよい、というものではありません。
本当に大切なのは、何でも二液型にすることではなく、建物の素材や傷み具合に合わせて、必要な場所に、必要な性能を、きちんと使うことです。
硬化剤が高くなっている時代だからこそ、二液型塗料を「たくさん使う」ことよりも、使うべき場所を見極めて、正しく使うことが、これからの外壁塗装ではより重要になります。
硬化剤が高騰したこれからの塗料選びで大切な考え方
これからの建築塗料は、低VOC、低臭、低リスク、そして施工安定性の高い仕様へ進んでいくと考えられます。
VOCとは、揮発性有機化合物のことで、塗料のにおいや大気への影響に関わる成分です。
近年は、環境への配慮だけでなく、住まわれる方の安心感、近隣への配慮、作業者の安全性も重視されるようになり、塗料もより扱いやすく、環境負荷の少ない方向へ進んでいます。
その流れの中で、外壁塗装の現場では、水性塗料や一液型塗料の重要性が高まっています。
もちろん、すべての水性塗料が万能というわけではありません。けれども、一般住宅の外壁では、低臭性、耐候性、施工性のバランスが良い塗料が増えており、以前よりも選択肢が広がっています。
一方で、二液型塗料の価値がなくなるわけではありません。
鉄部、付帯部、屋根、防水まわり、クリヤー塗装など、強い塗膜や高い密着性が求められる場所では、今後も二液型塗料が大切な選択肢になります。
| 塗料の種類 | 特徴 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 水性1液型塗料 | 低臭で扱いやすく、施工安定性に優れた塗料です。一般住宅の外壁塗装で使いやすい仕様です。 | 外壁、内装、広い面積 |
| 水性2液型塗料 | 低臭性と耐久性のバランスを取りやすく、環境配慮と性能を両立しやすい塗料です。 | 高耐久を求める外壁、付帯部 |
| 弱溶剤1液型塗料 | 水性塗料より密着性を求めたい場面で使われることがあります。施工性と耐久性のバランスを取りやすい仕様です。 | 外壁、付帯部、旧塗膜への塗り替え |
| 弱溶剤2液型塗料 | 密着性や耐久性に優れますが、主剤と硬化剤の配合管理、可使時間、安全管理が必要です。 | 鉄部、付帯部、屋根、防水まわり |
| 高固形分塗料 | VOCを抑えながら、塗膜の厚みや保護性能を確保しやすい仕様です。 | 床、防食、工業系部位 |
| クリヤー塗料 | 高意匠サイディングの柄や質感を残しながら、表面を保護する塗料です。二液型が使われる場合もあります。 | 高意匠サイディング、外壁タイル |
これからの塗装工事では、塗料名やグレードだけでなく、住まい全体を見て判断することが大切です。
「高耐久塗料だから安心」「水性だから弱い」「二液型だから必ず良い」といった単純な見方ではなく、建物の素材や劣化状態に合わせて、塗料の役割を見極める必要があります。
- ■ 外壁材に合った下塗り材を選ぶ
- ■ 劣化症状に合わせて補修方法を変える
- ■ 日当たりや雨がかりを考慮する
- ■ 色選びと耐候性のバランスを考える
- ■ 鉄部・付帯部・防水まわりは素材に合わせて仕様を変える
- ■ 次回の塗り替えまで見据えて仕様を組む
塗装工事は、住まいに似合う服を選ぶことに少し似ています。
流行の服でも体型や雰囲気に合わなければしっくりこないように、塗料も建物の状態に合ってこそ、本来の美しさと性能を発揮します。
そして、もうひとつ大切なのは、価格だけで判断しないことです。
塗料価格が変わりやすい時代だからこそ、安さだけを追求すると、必要な下地処理や塗布量、安全管理が削られてしまうことがありますが、これは住まいにとって決して良いことではありません。
これからの塗料選びでは、材料の価格だけでなく、「建物に合っているか、施工品質を安定させられるか、次回のメンテナンスまで考えられているか。」
そうした広い視点を持つことが、外壁塗装で後悔しないための大切なポイントになります。
建築塗料の硬化剤高騰に関するQ&A
硬化剤が高くなったからといって、すべての外壁塗装の費用が必ず大きく上がるわけではありません。
ただし、二液型塗料を多く使う仕様では、材料費の影響を受けやすくなります。
たとえば、外壁全面、屋根、鉄部、付帯部、防水まわり、床、クリヤー塗装などに二液型塗料を多く使う場合、硬化剤の価格上昇が見積りに反映されることがあります。
特に、耐久性や密着性を重視する仕様では、硬化剤を含む塗料の使用量が増えるため、材料費の変動を受けやすくなります。
一方で一般住宅の外壁塗装では、外壁全面に必ず二液型塗料を使わなければならないわけではありません。
外壁材の状態や既存塗膜との相性によっては、水性1液型塗料や弱溶剤1液型塗料でも、十分に性能を発揮できる場合があります。
大切なのは、「硬化剤が高いから避ける」でも、「高い塗料だから安心」でもなく、建物に合った仕様を選ぶことです。
外壁、屋根、鉄部、付帯部、防水まわりを分けて考え、必要な場所に必要な性能の塗料を使うことで、費用と品質のバランスを取りやすくなります。
見積りを見るときは、塗料名だけでなく、どの部分にどの塗料を使うのか、なぜその仕様なのかを確認することが大切です。
二液型塗料と一液型塗料は、どちらが絶対に良いというものではありません。
それぞれに得意な場所、注意したい点があります。
二液型塗料は、主剤と硬化剤を混ぜて使う塗料です。
密着性、耐久性、耐薬品性、耐摩耗性に優れた塗膜をつくりやすく、鉄部、付帯部、屋根、防水まわり、床などで力を発揮しやすい特徴があります。
その一方、一液型塗料は硬化剤を混ぜる必要がないため、施工管理が比較的しやすく、外壁の広い面積を安定して塗装しやすいというメリットがあります。
近年は水性1液型塗料の性能も向上しており、一般住宅の外壁塗装では有力な選択肢になっています。
| 種類 | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一液型塗料 | 扱いやすく、施工品質を安定させやすい塗料です。外壁の広い面積に向いています。 | 部位によっては、硬化剤を使った二液型塗料よりも密着性や耐久性が劣る場合があります。 |
| 二液型塗料 | 密着性、耐久性、耐摩耗性、防食性に優れた塗膜をつくりやすい塗料です。 | 配合比、可使時間、乾燥時間、安全管理を正確に守る必要があります。 |
つまり、外壁全体には施工安定性の高い一液型塗料を使い、鉄部や付帯部など傷みやすい部分には二液型塗料を使う、といった使い分けが現実的です。
小林塗装では、外壁材、既存塗膜、劣化状態、付帯部の素材、日当たり、雨掛かりまで確認したうえで、塗料を適切に使い分けることを大切にしています。
以前は、「水性塗料は弱い」「溶剤系塗料の方が長持ちする」というイメージを持たれることもありました。
しかし現在の建築用水性塗料は、技術改良が進み、一般住宅の外壁塗装で十分に使いやすい性能を持つものが増えています。
水性塗料の大きなメリットは、低臭で、近隣への配慮がしやすく、作業環境にもやさしいことです。
特に住宅密集地では、塗料のにおいを気にされるお客様も多いため、水性塗料の扱いやすさは大きな魅力になります。
また、近年は低VOC化の流れもあり、環境負荷や作業者の安全性に配慮した塗料選びが重視されています。
そのため、外壁の広い面積では、水性1液型塗料や水性シリコン塗料、ラジカル制御型塗料などが選ばれることも多くなっています。
ただし、水性塗料がすべての部位に最適というわけではありません。
鉄部、屋根、付帯部、防水まわり、旧塗膜の状態が難しい部分などでは、素材や劣化状態に合わせて、弱溶剤塗料や二液型塗料を選ぶ方がよい場合もあります。
水性塗料で大切なのは、塗料の性能だけでなく、下塗り材との組み合わせです。
外壁材に合ったシーラー、フィラー、サーフェーサーなどを適切に選ばなければ、どれだけ良い上塗り塗料を使っても、密着不良や早期劣化につながることがあります。
水性塗料は「弱い塗料」ではなく、建物や部位に合えば、低臭性、施工性、耐候性のバランスに優れた実用的な塗料です。
大切なのは、水性か溶剤かではなく、住まいの状態に合っているかどうかです。
硬化剤を使う塗料は、正しく管理して使えば、塗装工事で有効に使える材料です。
ただし、硬化剤を含む二液型塗料は、取り扱いには十分注意が必要な材料でもあります。
たとえば、二液型ウレタン塗料に使われるイソシアネート系硬化剤は、換気、保護具、SDS確認、作業者の安全教育などをきちんと行うことが大切です。
また、二液型エポキシ塗料で使われるアミン系硬化剤も、皮膚への付着や吸入を避けるため、適切な保護具と作業管理が必要です。
これは「危ないから使ってはいけない」という意味ではなく、使い方を誤れば危険になるのと同じで、塗料の硬化剤も知識を持って正しく扱うことが大切です。
- ■ SDS(安全データシート)を確認する
- ■ 主剤と硬化剤の配合比を守る
- ■ 十分な換気を行う
- ■ 防毒マスク、手袋、保護メガネなどを適切に使う
- ■ 可使時間を過ぎた塗料を無理に使わない
- ■ 余った塗料や硬化剤を適切に処理する
塗装店側にとっては、塗料の性能を知ることと同じくらい、硬化剤を安全に扱う知識が重要です。
性能の高い塗料ほど、正しい施工管理が求められます。
塗料価格が上がっている時代ほど、見積りの金額だけで判断しないことが大切です。
安い見積りは魅力的に見えますが、必要な下地処理が省かれていたり、塗布量が不足していたり、付帯部分の塗装仕様が簡略化されていたりすると、数年後に不具合が出る可能性があります。
反対に高い塗料を使っていれば必ず安心というわけでもありません。
建物の素材や劣化状態に合っていない塗料を使えば、塗料本来の性能を発揮できないことがあります。
外壁塗装で損をしないためには、見積りの総額だけでなく、工事内容の中身を見ることが大切です。
- ■ 外壁、屋根、付帯部、防水まわりの仕様が明記されているか
- ■ 下塗り材の種類が建物に合っているか
- ■ シーリング補修やクラック補修が含まれているか
- ■ 塗布量、乾燥時間、施工工程を守る説明があるか
- ■ 保証内容やアフターフォローが分かりやすいか
- ■ なぜその塗料を選ぶのか、理由を説明してくれるか
外壁塗装は、買って終わりの商品ではなく、住まいの上で何年も働き続ける工事です。
そのため、目先の安さだけでなく、次回の塗り替えまでどのように住まいを守るかという視点が大切になります。
材料価格が変わりやすい時代だからこそ、信頼できる塗装店は、単に「この塗料がおすすめです」と言うだけではなく、なぜその塗料が必要なのか、どの部分に使うのか、どのような施工管理を行うのかまで説明しています。
外壁塗装では、塗料の種類、下地補修、施工手順、保証内容、職人の管理体制まで含めて確認することが、結果的に住まいを長持ちさせ、後悔しない塗装工事につながります。
まとめ|硬化剤が高騰して塗料の価格が変わる時代ほど、仕様を見極める力が大切です
建築塗料の硬化剤が高くなった原因は、単なる原油高だけではありません。
化学原料、エネルギー、物流、円安、安全規制、サプライチェーンの変化など、いくつもの要因が重なり、硬化剤の価格基盤そのものが上がっていると考えられます。
そのため、これからの外壁塗装では、ただ高性能な塗料を選ぶだけではなく、どこに、どの塗料を、どのような理由で使うのかを見極めることが大切です。
外壁全面には施工安定性の高い水性塗料や一液型塗料を使い、鉄部、付帯部、防水まわり、クリヤー塗装などには、必要に応じて二液型塗料を使う。
このような使い分けが品質と費用のバランスをとる上で、これからますます重要になっていきます。
外壁塗装は、塗料の名前や価格だけで決まるものではありません。
下地の状態、外壁材との相性、日当たり、雨がかり、色選び、施工管理、そして次回のメンテナンスまで含めて考えることで、住まいに合った塗装工事になります
小林塗装では、塗料の価格だけでなく、住まいの状態、外壁材、劣化症状、周辺環境、色選び、将来のメンテナンスまで考えた塗装プランを提案しています。
塗料の種類や見積り内容で迷われている方は、どうぞお気軽に相談ください。
大切な住まいに合った、無理のない、そして長持ちする塗装工事を一緒に考えています。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主 小林ゆずは、名古屋を拠点に、外壁塗装・屋根塗装・防水工事・シーリング工事・付帯部塗装・色彩提案などを行う塗装工事の専門家です。
これまで多くの住宅塗装に携わり、建物の状態、外壁材、劣化症状、周辺環境、お客様の暮らし方に合わせた塗装プランを大切にしてきました。
特に下地処理、塗料選び、施工管理、色選び、工事後の安心感まで含めて、住まいを長く美しく守るためのご提案を心掛けています。
建築塗料の価格や仕様は、原材料、物流、環境対応、安全管理などの影響を受けながら少しずつ変化しています。
小林塗装では、塗料名や価格だけで判断するのではなく、住まいに本当に合った仕様を見極め、無理のない、長持ちする塗装工事を提案しています。
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