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塗料と塗装道具の原価・販売利益率とは?外壁塗装の材料費が高くなる理由

外壁塗装の見積書を見ていると、「塗料代は実際いくらくらいなの?」「刷毛やローラー、養生用品にもそんなに費用がかかるの?」「材料費という項目は、どこまで含まれているの?」と感じられる方もいるかと思います。

外壁塗装の見積りでは、足場代、職人の人件費、塗装面積、塗料のグレードなどに目が行きやすいのですが、実際の現場では、塗料だけでなく、下塗り材、シンナー、硬化剤、刷毛、ローラー、マスカー、養生テープ、ポリシート、ブルーシート、ノンスリップシート、掃除道具、容器、攪拌用品など、数多くの材料や副資材を使っています。

外壁塗装は、ただ塗料を壁に塗れば完成する工事ではありません。

まず塗料をしっかりと密着させるためには、外壁材に合った下塗り材が必要で、二液型塗料を使う場合には、主剤と硬化剤を正しい比率で混ぜる必要があり、弱溶剤塗料を使う場合には、メーカー指定のシンナーで粘度を調整する必要があります。

また塗らない部分を汚さないためには、窓、玄関、土間、植栽、車、エアコン室外機、給湯器などを丁寧に養生することが必要で、さらに塗料を均一に塗るためには、外壁の凹凸や塗料の種類に合った刷毛やローラーを選ぶ必要があります。

つまり、外壁塗装の材料費とは、単なる「塗料の値段」だけではありません。

きれいに仕上げるための道具、住まいを汚さないための養生用品、塗膜性能を発揮させるための下塗り材やシンナー、現場を予定通り進めるための予備材料や消耗品まで含めた、工事品質を支える大切な費用です。

外壁仕上げ塗料、屋根仕上げ塗料、下塗り材、シンナー、硬化剤、刷毛、ローラー、マスカー、養生テープ、ブルーシート、ノンスリップシートなど、現場で使う材料は思っている以上に多岐にわたります。

そして、それらの材料は、塗料メーカーや道具メーカーから、商社、代理店、塗料販売店、塗装店という流通を通じて現場に届きます。

そのため、材料価格には、原材料費だけでなく、製造費、研究開発費、品質管理費、物流費、在庫管理費、調色費、配送費、販売店の利益、塗装店の管理費などが含まれています。

たとえば、塗料ひとつを見ても、缶の中には樹脂、顔料、添加剤、溶剤、水、硬化剤など、さまざまな原料が使われており、刷毛やローラーも、ただの道具ではなく、塗料の含み方、塗り肌、作業効率、仕上がりの美しさに関わる大切な消耗品です。
養生用品も同じで、見積書の中では小さな費用に見えるかもしれませんが、養生が丁寧でなければ、サッシまわりのラインが汚くなったり、土間や玄関まわりに塗料が付着したり、近隣への飛散リスクが高まったりします。

特に2026年は、建築塗料や塗装道具の原価構造が以前よりも厳しくなっています。

塗料本体だけでなく、シンナー、硬化剤、下塗り材、容器、梱包資材、物流費、燃料費、刷毛、ローラー、養生用品まで、広い範囲でコスト上昇の影響を受けています。

そのため、以前の感覚だけで「材料費はこれくらいのはず」と判断すると、現在の外壁塗装の見積りとの間に差を感じることがあります。
もちろん、「材料費が高ければ、高いほど良い工事になる」というわけではありません。
大切なのは、「どの材料を、どの場所に、どのくらい使い、どのような理由でその費用が必要なのか?」が分かることです。

反対に材料費を極端に安く見せている見積りでは、下塗り材のグレードを落としていたり、塗布量を少なく見込んでいたり、養生用品や道具の交換を必要最小限にしていたりする場合もあります。

外壁塗装では、材料費を無理に削ると、仕上がりの美しさだけでなく、耐久性や防水性、近隣への配慮にも影響することがあります。

だからこそ、見積りを見る時には「材料費が高いか安いか」だけでなく、「その材料費で、どのような施工品質を確保しているのか?」を確認することが大切です。

今回は、建築塗料や塗装道具の一般的な原価率・販売利益率について、名古屋の小林塗装が現場目線で分かりやすく解説します。

外壁仕上げ塗料、屋根仕上げ塗料、下塗り材、シンナー、硬化剤、刷毛、ローラー、養生用品といった材料ごとの原価構造や販売利益率の考え方、2026年の材料費高騰が見積りに与える影響まで、できるだけ丁寧に整理していきます。

なお、ここで紹介する数値は、塗料メーカー、販売店、取引条件、発注量、地域、時期、材料グレード、配送条件、調色の有無などによって変わります。
あくまで外壁塗装の仕組みを理解するための一般的な目安としてご覧ください。

このコラムで分かること

  • 建築塗料の原価率と販売利益率の考え方
  • 外壁仕上げ塗料・屋根仕上げ塗料・下塗り材・シンナーの価格構造
  • 刷毛・ローラー・養生用品など塗装道具の利益率
  • 塗料販売店や商社の中間マージンの考え方
  • 外壁塗装の見積りで材料費を見る時の注意点

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1. 建築塗料の塗料商社販売価格は「缶の中身」だけで決まるわけではありません

建築塗料の価格は、単純に「塗料の原料代」だけで決まるわけではありません。

外壁塗料や屋根塗料の中には、樹脂、顔料、添加剤、溶剤、水、硬化剤など、さまざまな材料が使われており、シリコン塗料、ラジカル制御型塗料、フッ素塗料、無機塗料では、使われる樹脂や添加剤、耐候性の設計が違います。

また、白や淡彩色に多く使われる顔料、濃色に使われる顔料、遮熱性を持たせる特殊顔料なども、塗料価格に大きく影響します。

さらに、塗料メーカーでの研究開発費、品質管理費、缶への充填費、カタログや色見本帳の作成費、物流費、販売店での在庫管理費、調色費、現場への配送費なども価格に含まれます。

つまり、建築塗料の価格は、料理でいえば「食材費」だけでなく、仕込み、保管、配送、料理人の技術、器、サービスまで含めて考えるようなものです。

外壁塗装で使う塗料は、ホームセンターで買う家庭用ペンキとは違い、建物を長期間守るための業務用材料です。

耐候性、密着性、低汚染性、防カビ・防藻性、作業性、乾燥性、下地との相性など、さまざまな性能が求められます。

そのため、塗料の価格を見る時は、単に「一缶いくらか」だけでなく、その塗料がどのような性能を持ち、どのような流通と管理を経て現場に届くのかまでじっくり見ることが大切です。

2. 塗料の原価率・粗利率・販売利益率の基本

まず、原価率や販売利益率の考え方を整理しておきます。

原価率とは、販売価格に対して仕入れ原価がどのくらいを占めているかを表す割合です。

たとえば、販売価格10,000円の商品を7,000円で仕入れている場合、原価率は70%です。

この場合、粗利益は3,000円となり、粗利率は30%になります。

項目 計算式
原価率 仕入原価 ÷ 販売価格 × 100 7,000円 ÷ 10,000円 = 70%
粗利益 販売価格 − 仕入原価 10,000円 − 7,000円 = 3,000円
粗利率 粗利益 ÷ 販売価格 × 100 3,000円 ÷ 10,000円 = 30%
掛率 定価に対する仕入れ割合 定価の65%で仕入れる場合、65掛け

塗料業界では、「定価」「設計価格」「販売店価格」「業者仕入価格」「現場への見積り価格価格」がそれぞれ違うことがあります。

たとえば、カタログ上の設計価格が高く設定されていても、実際の業者仕入価格は取引条件によって大きく変わります。

また、塗装店がお客様へ見積り提示する時には、材料の仕入価格だけでなく、材料の手配、保管、運搬、ロス、余り材、現場管理、保証リスクなども考える必要があります。

そのため、塗装店の見積りでは、単純に「仕入れた塗料代だけ」をそのままお客様に出しているわけではなく、材料を安全に確保し、正しく使い、工事を予定通り進めるための管理費も含まれます。

外壁塗装の原価を考える時は、「材料の仕入れ価格」だけでなく、「その材料を現場で確実に使える状態にするための費用」まで含めて考えることが大切です。

3. 外壁仕上げ塗料の一般的な原価・販売利益率

外壁仕上げ塗料は、外壁塗装の主役になる材料です。

一般的には、下塗りを行った後に、中塗り・上塗りとして使用されます。

外壁仕上げ塗料には、シリコン塗料、ラジカル制御型塗料、フッ素塗料、無機塗料などがあり、グレードによって材料単価や利益率の考え方が変わります。

外壁仕上げ塗料の種類 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 特徴
一般シリコン塗料 60〜75%前後 25〜40%前後 流通量が多く、価格が比較的安定しやすい
ラジカル制御型塗料 60〜75%前後 25〜40%前後 現在の住宅塗装で提案しやすい中間グレード
フッ素塗料 65〜80%前後 20〜35%前後 材料単価が高く、在庫リスクも高くなりやすい
無機塗料 65〜80%前後 20〜35%前後 高耐候型として提案されることが多い
低汚染・遮熱・艶消しなどの特殊品 65〜85%前後 15〜35%前後 機能性や特殊仕様により価格差が出やすい

外壁仕上げ塗料は、一般的に流通量が多い定番品ほど仕入れ条件が安定しやすく、販売店や塗装店側の価格も組み立てやすい傾向があります。

一方で、フッ素塗料や無機塗料、特殊な低汚染塗料、遮熱塗料、艶消し塗料などは、材料単価が高くなりやすく、在庫リスクやロスも大きくなります。

また、外壁塗装では、塗料をきっちり使い切れるわけではありません。

外壁の吸い込み、凹凸、塗装面積、色の隠ぺい性、下地の状態によって、想定よりも塗料が必要になる場合があり、凹凸の深い外壁、リシン、スタッコ、ジョリパット、砂壁調の外壁などは、平滑なサイディングよりも塗料を多く使う傾向があります。

また、濃い色から淡い色へ塗り替える場合や、反対に淡い色から濃色へ塗り替える場合には、隠ぺい性や仕上がりの均一性を考慮する必要があります。

塗装店がお客様へ材料費を見積りする時には、こうしたロスや追加使用の可能性も含めて考えます。

材料をギリギリで見積もると、途中で塗料が足りなくなったり、塗布量を守れなかったりするリスクが出ます。

外壁仕上げ塗料の原価率は、単純な仕入価格だけでなく、塗布量、ロス、調色、在庫、施工リスクまで含めて見る必要があります。 費用を安く見せるために塗料量を少なく見積もることは、長持ちする外壁塗装とは真逆の考え方です。

4. 屋根仕上げ塗料の一般的な原価・販売利益率

屋根仕上げ塗料は、外壁塗料よりも過酷な環境で使われる材料です。

屋根は、外壁よりも紫外線、雨、熱、風の影響を強く受けます。

特に夏場の屋根表面は高温になりやすく、塗膜への負担も大きくなります。

そのため、屋根塗料では、耐候性、遮熱性、密着性、耐水性、滑水性、耐摩耗性、耐熱性などが重視されます。

屋根仕上げ塗料の種類 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 特徴
一般シリコン屋根塗料 60〜75%前後 25〜40%前後 コロニアル屋根や金属屋根で使われることが多い
遮熱シリコン塗料 65〜80%前後 20〜35%前後 遮熱顔料や機能性により材料費が高くなりやすい
フッ素屋根塗料 65〜82%前後 18〜35%前後 高耐候型で材料単価が高い
無機屋根塗料 65〜85%前後 15〜35%前後 高耐久仕様で提案されることが多い
金属屋根用高機能塗料 65〜85%前後 15〜35%前後 錆止めや下地処理との組み合わせが重要

屋根塗料は、外壁塗料よりも材料費が高くなる場合があります。

その理由は、屋根が受ける環境負荷が大きいためです。

また、屋根塗装では、屋根材の種類によって必要な下塗り材や施工方法が変わります。

コロニアル屋根、金属屋根、セメント瓦、モニエル瓦などでは、それぞれ適した下塗り材や注意点が違います。

たとえば、コロニアル屋根では、劣化状態によって下塗り材の吸い込みが大きく変わります。

金属屋根では、錆止めや密着性の確保が重要です。

屋根材の傷みが進んでいる場合は、通常より下塗り材が多く必要になることもあります。

屋根塗装の見積りで注意したいのは、上塗り塗料のグレードだけで判断しないことです。

屋根は外壁以上に下地処理と下塗り材の選定が大切です。

いくら高級な上塗り塗料を使っても、下地に密着していなければ早期剥離や色あせの原因になります。

屋根仕上げ塗料の原価率は、外壁塗料と同じように見えても、遮熱性、耐候性、下地処理、下塗り材の使用量によって大きく変わります。
ですから屋根塗装では、材料費を削りすぎるよりも、屋根材に合った仕様を組むことが長持ちにつながります。

5. 下塗り材の原価と利益率

下塗り材は、外壁塗装や屋根塗装で非常に重要な材料です。

お客様から見ると、中塗りや上塗りの色の方が目立つため、下塗り材は少し地味な存在に感じられるかもしれません。

しかし、塗装の品質を考えるうえでは、下塗り材は料理でいう「下ごしらえ」のようなものです。

どれだけ良い味付けをしても、下ごしらえが悪ければ料理がおいしくないように、外壁塗装でも下塗りが不適切だと、上塗り塗料の性能は発揮されません。

下塗り材の種類 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 主な用途
水性シーラー 60〜75%前後 25〜40%前後 サイディングやモルタルの下塗り
浸透性シーラー 65〜80%前後 20〜35%前後 吸い込みの強い下地、劣化下地
微弾性フィラー 60〜75%前後 25〜40%前後 モルタル外壁、細かなひび割れ対策
エポキシ系下塗り材 65〜82%前後 18〜35%前後 密着性を重視する下地
錆止め塗料 60〜78%前後 22〜40%前後 鉄部、金属屋根、付帯金物
専用プライマー 65〜85%前後 15〜35%前後 難付着下地、防水材、特殊下地

下塗り材は、仕上がってしまうと見えなくなるため、手抜きされてもお客様が気づきにくい部分です。

しかし、塗膜の密着性、吸い込み止め、仕上がりの均一性、耐久性に大きく関わります。

外壁の劣化が進んでいる場合、下塗り材が外壁内部に吸い込まれ、表面に十分な膜が残らないことがあります。

その場合、下塗りを1回だけで済ませると、上塗り塗料の密着性や仕上がりに不安が残ることがあります。

状況によっては、下塗りを2回行ったり、より浸透性や密着性の高い下塗り材を選んだりする必要があります。

このような現場判断が、外壁塗装の品質を大きく左右します。

下塗り材の原価率だけを見ると、「上塗りより安い材料」と感じられることもあります。

しかし、下塗り材は使用量が増えやすく、下地の状態によって予定数量を超えることがあり、特に劣化したサイディング、チョーキングの強い外壁、吸い込みが激しいモルタル、古いセメント系屋根材では、材料使用量が増えやすいです。

下塗り材は、外壁塗装の中で最も「見えにくいけれど大切な材料」です。
材料費を抑えるために下塗り材のグレードや使用量を削ると、数年後の剥がれ、膨れ、色むら、艶引けにつながることがあります。

6. シンナー・硬化剤の原価と利益率

シンナーや硬化剤は、外壁塗装の見積書では目立ちにくい材料です。

しかし、二液型塗料や弱溶剤塗料、金属用塗料、屋根塗料、防水材などでは、シンナーや硬化剤が重要な役割を持っています。

シンナーは、塗料の粘度を調整し、作業性や仕上がりを整えるために使われ、硬化剤は、主剤と反応させ塗膜を強くするために使われます。

材料 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 特徴
塗料用シンナー 70〜88%前後 12〜30%前後 原油・石油化学原料・物流費の影響を受けやすい
専用シンナー 72〜90%前後 10〜28%前後 メーカー指定品は価格が高くなりやすい
ウレタン硬化剤 70〜88%前後 12〜30%前後 二液型塗料に必要。保管管理も重要
エポキシ硬化剤 70〜88%前後 12〜30%前後 下塗り材、防水材、床材などで使用される

シンナーや硬化剤は、上塗り塗料のように「色」や「艶」として見える材料ではありません。

しかし、塗料に適したシンナーを使わなかったり、硬化剤の配合比を間違えたりすると、乾燥不良、艶引け、密着不良、硬化不良などの不具合につながります。

特に二液型塗料では、主剤と硬化剤の配合比を守ることが重要です。

また、可使時間と呼ばれる「混ぜてから使える時間」もあります。

可使時間を過ぎた材料を無理に使うと、塗膜性能が落ちることがあります。

シンナーや硬化剤は、原油価格、石油化学原料、物流費、為替、供給状況の影響を受けやすい材料です。

そのため、近年は塗料本体だけでなく、シンナーや硬化剤の価格も上がりやすくなっています。

また、専用シンナーや専用硬化剤は、メーカー指定の組み合わせで使うことが前提になるため、汎用品より高く感じられることがあります。

しかし、塗料にはメーカーが想定した組み合わせがあり、それを安い代替品にすると、仕上がりや耐久性、保証の面で問題が出ることがあります。

シンナーや硬化剤は、目立たないけれど塗膜性能を支える大切な材料です。
安く済ませるために指定外の材料を使ったり、配合比や使用時間を守らなかったりすると、外壁塗装の品質を大きく損なう可能性があります。

7. 刷毛・ローラーなど塗装道具の原価と利益率

外壁塗装では、塗料そのものだけでなく、刷毛やローラーなどの塗装道具も仕上がりに大きく関わります。

刷毛やローラーは、単なる消耗品ではありません。

塗料をどれだけ均一に含ませ、どれだけきれいに外壁へ配れるかを左右する、職人の手の延長のような道具であり、料理人でいえば包丁、美容師でいえばハサミのような存在です。

塗装道具 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 特徴
一般刷毛 50〜70%前後 30〜50%前後 用途別に種類が多く、消耗も早い
高級刷毛・専門刷毛 55〜75%前後 25〜45%前後 仕上がりや作業性に差が出やすい
ローラー本体 50〜70%前後 30〜50%前後 毛丈や材質で仕上がりが変わる
ローラーハンドル 50〜75%前後 25〜50%前後 繰り返し使用する道具
継ぎ柄・延長棒 55〜75%前後 25〜45%前後 作業効率や安全性に関わる
ヘラ・皮スキ・スクレーパー 50〜75%前後 25〜50%前後 下地処理や清掃に使用

塗装道具は、塗料に比べると販売利益率が高く見える場合があります。

その理由は、単価が比較的低く、品数が多く、在庫管理や小口販売の手間がかかるためです。

たとえば、刷毛ひとつを販売する場合でも、仕入れ、陳列、在庫管理、受発注、配送、伝票処理などの手間は発生します。

また、刷毛やローラーは種類が非常に多く、塗料の種類や下地、仕上げ方によって使い分けが必要で、水性塗料に合うローラー、弱溶剤塗料に合うローラー、凹凸外壁に向く毛丈、平滑面に向く毛丈、細部用の刷毛、ダメ込み用の刷毛など、用途に応じた選定が必要です。

安いローラーを使えば材料費は抑えられますが、毛抜けが多い、塗料の含みが悪い、塗りムラが出やすい、仕上がり肌が悪いといった問題が出ることがあります。

また、外壁の凹凸に合わないローラーを使うと、塗料が十分に入らず、塗布量不足につながることもあります。

刷毛も同じです。

細部の仕上がり、見切りライン、付帯部の美しさは、刷毛の選び方や職人の扱い方で大きく変わります。

刷毛やローラーは、金額だけを見ると小さな材料に見えますが、外壁塗装の仕上がりを整えるうえでは欠かせない道具です。
良い道具を正しく選び、丁寧に使うことも塗装品質の一部です。

8. 養生用品の原価と利益率

養生用品は、外壁塗装の中で非常に重要な副資材です。

養生とは、塗らない部分を保護する作業のことで、窓、玄関ドア、土間、車、植栽、エアコン室外機、給湯器、ポスト、表札、照明器具など塗料が付いてはいけない部分をビニールやテープで保護します。

この養生が丁寧だと、仕上がりの見切りがきれいになり、塗料の飛散や汚れを防ぎやすくなります。

養生用品 仕入原価率の目安 販売粗利率の目安 特徴
マスキングテープ 55〜75%前後 25〜45%前後 用途や粘着力により種類が多い
マスカー 55〜75%前後 25〜45%前後 窓やサッシまわりの養生に使用
養生ポリシート 60〜80%前後 20〜40%前後 広い面積の保護に使用
ノンスリップシート 60〜80%前後 20〜40%前後 玄関・土間・床面保護に使用
ブルーシート 60〜80%前後 20〜40%前後 資材置き場や床養生に使用
布テープ・養生テープ 55〜75%前後 25〜45%前後 固定や仮止めに使用

養生用品は、使い捨てになるものが多い材料です。

そのため、現場ごとに確実に費用がかかります。

特に窓が多い住宅、植栽が多い住宅、玄関まわりが複雑な住宅、車や外構への配慮が必要な住宅では、養生用品の使用量が増えます。

また、夏場や冬場、雨の多い時期などは、養生の貼り方や通気、結露、粘着力にも注意が必要です。

そこで安い養生テープを使うと、糊残りが出たり、途中で剥がれたり、サッシや床材に跡が残ったりすることがあります。

また、薄いビニールを使うと、風で破れたり、ビニールに付いた塗料が周囲に飛散したりするリスクもあります。

養生は、塗装そのものではありません。

しかし、養生が雑だと、どれだけ丁寧に塗っても仕上がりが荒く見えます。

たとえば、サッシまわりのラインが曲がっていたり、玄関ドアに塗料が付いたり、土間に塗料が落ちたりすると、お客様の満足度は大きく下がります。

養生用品の費用は、見積りの中では小さく見えるかもしれません。
しかし、住まいを汚さず、仕上がりを美しく整え、近隣や生活空間に配慮するためには欠かせない費用です。
養生を丁寧に行う塗装店ほど、見えない副資材にもきちんと費用をかけています。

9. 塗料商社・塗料販売店の中間マージン

建築塗料や塗装道具は、メーカーから塗装店へ直接届く場合もありますが、一般的には商社、代理店、塗料販売店を通じて現場に届きます。

塗料メーカーが製造した塗料は、一次商社や代理店、地域の塗料販売店を経由し、最終的に塗装店の倉庫や施工現場へ納品されます。

そのため、流通段階ごとに一定の中間マージンが発生します。

この「中間マージン」という言葉だけを聞くと、「間に会社が入る分、余分に高くなっているのでは?」と感じられる方もいるかもしれません。

たしかに、流通段階が増えれば、それぞれの会社に人件費、倉庫費、配送費、在庫管理費、事務処理費、営業費、利益が必要になります。

しかし、塗料業界における商社や販売店の役割は、単なる「上乗せ」だけではありません。

塗料は、一般的な日用品のように、同じ商品を大量に並べて売ればよいというものではありません。

外壁用、屋根用、鉄部用、木部用、防水用、下塗り用、錆止め用、シーリング用、床用、内装用など、用途ごとに非常に多くの種類があります。

さらに、同じ外壁塗料でも、水性、弱溶剤、二液型、一液型、艶あり、3分艶、艶消し、淡彩色、濃彩色、遮熱色、低汚染型、無機系、フッ素系など、細かく分かれます。

つまり、塗料販売店は、単純に「売れ筋商品だけを大量に仕入れて売る」という商売ではありません。

多品種の材料を扱い、現場ごとの仕様や色に合わせて、必要な材料を必要な数量で用意する仕事です。

この点が、塗料商社・塗料販売店の中間マージンを理解するうえで、とても重要です。

塗料業界では、よく使われる定番商品もあれば、年に数回しか出荷されない特殊な塗料もあります。

また、同じ塗料でも、白、アイボリー、ベージュ、グレー、ブラウン、グリーン、ブルーなど色が変われば調色が必要になり、艶の違いによっても在庫や手配が変わります。

そのため、塗料販売店は、在庫を抱えるリスク、調色する手間、小口配送する手間、急な材料追加に対応する負担を引き受けながら、塗装店の現場を支えています。

流通段階 粗利率の目安 主な役割
メーカー 製品により大きく変動 研究開発、製造、品質管理、製品保証、カタログ作成、技術資料作成
一次商社・代理店 5〜15%前後 大量仕入れ、メーカーとの価格交渉、地域流通、販売店への供給調整
塗料販売店 10〜30%前後 在庫、調色、小口配送、掛け売り、技術相談、関連資材販売、緊急対応
塗装店 材料単体では10〜30%前後を見ることが多い 材料選定、現場管理、運搬、ロス管理、施工責任、保証リスク

この表の粗利率は、あくまで一般的な目安です。

実際には、メーカーとの取引量、販売店の規模、地域性、支払い条件、配送条件、調色の有無、商品ジャンル、在庫回転率によって大きく変わります。

たとえば、よく使われる定番の外壁塗料や下塗り材は、販売量が多く、回転も早いため、粗利率は比較的低くなりやすい傾向があります。

一方で、特殊色、少量調色品、防水材、床材、工業用塗料、メーカー取り寄せ品、在庫回転の遅い材料は、粗利率が高くなりやすい傾向があります。

これは、単に販売店が多く利益を取っているというより、手間やリスクが大きいからです。

たとえば、少量調色品の場合、塗料の量は少なくても、調色機を使い、色番号を確認し、ベース塗料を用意し、顔料を加え、攪拌し、容器に詰め、伝票を作り、場合によっては現場へ配送します。

材料としては数千円の商品でも、その裏側には人の手間、設備、時間、容器、ロス、配送がかかっています。

また、塗料販売店は、塗料だけでなく、刷毛、ローラー、マスカー、養生テープ、ポリシート、ブルーシート、シーリング材、防水材、ヘラ、皮スキ、攪拌棒、ウエスなど、多くの副資材も扱っています。

こうした副資材は、塗料より粗利率が高く見えることがあります。

しかし、副資材は単価が低く、品数が非常に多く、小口販売が中心です。

1本の刷毛、1本のローラー、1巻のテープを販売する場合でも、仕入れ、陳列、在庫管理、受発注、納品書、請求書、配送などの手間は発生します。

そのため、副資材の粗利率は、塗料本体より高めに設定されやすいです。

塗料商社・販売店のマージンに含まれる主な目的

塗料商社や塗料販売店のマージンには、次のような目的が含まれています。

目的 内容 現場への影響
在庫機能 定番塗料、下塗り材、シンナー、副資材を保管する 急な材料不足に対応しやすい
調色機能 色番号や見本に合わせて塗料を作る 外壁色、付帯色、補修色を現場に合わせやすい
小口配送 少量の塗料や副資材を現場へ届ける 工程を止めずに作業を進めやすい
技術相談 塗料の組み合わせや下地との相性を確認する 仕様ミスや材料選定ミスを減らしやすい
メーカー連携 不明点を塗料メーカーへ確認する 施工条件や不具合リスクを確認しやすい
与信管理 掛け売りや支払い条件を管理する 塗装店が材料を安定して仕入れやすい
多品種対応 塗料、防水材、シーリング材、道具類を幅広く扱う 現場に必要な材料をまとめて手配しやすい
緊急対応 急な追加注文や材料変更に対応する 天候の良い日に工事を止めずに済む可能性が高まる

この中でも、外壁塗装の現場で特に大きいのが、在庫機能、調色機能、小口配送、技術相談です。

外壁塗装では、事前に必要な材料を見込んで発注しますが、現場に入ってから分かることもあります。

たとえば、外壁の吸い込みが思ったより強く、下塗り材が多く必要になることがあります。

また、旧塗膜の状態が悪く、予定していた下塗り材より密着性の高い材料に変更した方がよい場合もあります。

付帯部の劣化が想定以上に進んでいて、錆止めや専用プライマーが追加で必要になることもあります。

こうした時、塗料販売店が近くにあり、在庫や配送体制が整っていると、現場の工程を止めずに対応しやすくなります。

逆に必要な材料がすぐに手に入らない場合、職人の手が止まってしまい、足場期間が延び、天候の良いタイミングも逃してしまうこともあります。

外壁塗装は、雨、気温、湿度、風の影響を受ける仕事です。

そのため、材料が一日遅れるだけでも、全体の工程に影響することがあります。

この意味で、塗料商社・販売店のマージンは、現場を止めないための保険のような役割も持っています。

なぜ定番品と特殊品で粗利率が変わるのか

塗料販売店の粗利率は、すべての商品で同じではありません。

よく売れる定番塗料は、仕入れ量が多く、メーカーや商社からの仕入れ条件も良くなりやすいため、比較的低い粗利率でも販売しやすい傾向があります。

一方で、特殊塗料や在庫回転の遅い商品は、販売店側にとってリスクが大きくなります。

たとえば、特殊な防水材や工業用塗料、珍しい色、専用プライマーなどは、すぐに売れるとは限りません。

在庫として抱えたまま使用期限が近づいたり、メーカーの仕様変更で古い商品になったりする可能性もあります。

塗料には使用期限や保管条件があります。

高温多湿を避ける必要がある材料もあれば、硬化剤のように保管状態によって品質に影響が出やすいものもあります。

このような在庫リスクを抱える商品ほど、販売店の粗利率は高くなりやすく、また特殊製品の場合、メーカーへの確認、納期調整、施工仕様の確認が必要になることもあります。

単に商品を売るだけでなく、技術的な確認や現場対応まで含まれるため、その分の手間も価格に反映されます。

掛け売り・売掛金・貸し倒れリスクも塗料業界の重要なコストです

塗料業界では、塗装店が材料を仕入れ、月末締めや翌月払いなどの掛け取引で支払うことも一般的です。

いわゆる「売掛取引」です。

塗装店にとっては、現場ごとに必要な材料を先に仕入れ、工事の進行や入金予定に合わせて後から支払えるため、資金繰りの面で助かる仕組みです。

特に外壁塗装では、工事前に塗料、下塗り材、シンナー、硬化剤、シーリング材、防水材、刷毛、ローラー、養生用品など、多くの材料を先に用意する必要があります。

そのため、掛け売りによって材料を安定して仕入れられることは、塗装店にとって現場を回すうえで大きな意味があります。

しかし、塗料販売店や商社の立場から見ると、売掛取引は「商品を先に渡し、代金を後から回収する」仕組みです。

つまり、材料を納品した時点では、まだ現金が入っていません。

販売店は、メーカーや商社から材料を仕入れるために先に資金を使い、塗装店には後払いで販売することになります。

この間、販売店は仕入れ代金、倉庫費、配送費、人件費、事務処理費を負担しながら、売掛金の回収を待つことになります。

もし取引先の塗装店の支払いが遅れれば、販売店の資金繰りに影響します。

さらに、取引先が倒産したり、連絡が取れなくなったり、支払い能力を失ったりした場合には、売掛金が回収できなくなることがあります。

これが、いわゆる貸し倒れリスクです。

貸し倒れが起きると、販売店は納品した塗料や副資材の代金を回収できません。

しかも、販売店側はすでにメーカーや上位商社へ仕入れ代金を支払っている、または支払い義務を負っていることが多いため、その損失は販売店自身が負担することになります。

たとえば、ある塗装店へ数十万円分、場合によっては数百万円分の材料を掛け売りしていた場合、その売掛金が回収できなくなると、販売店にとって大きな損失になります。

塗料販売店は、塗装店ごとの取引履歴、支払い状況、取引額、経営状態、現場数、過去の遅延履歴などを見ながら、与信管理を行っています。
「どの会社に、いくらまで掛けで販売できるか」「支払いサイトをどのくらいにするか」「取引条件を見直す必要があるか」といった判断も、販売店の大切な仕事です。

この与信管理には、事務的な手間だけでなく、経営判断とリスク管理が必要になります。
また、貸し倒れが発生しないようにするためには、請求書の発行、入金確認、未入金時の連絡、支払い条件の調整、場合によっては取引停止や回収交渉なども必要になります。

こうした業務は、お客様の目には全く見えません。

しかし、塗料販売店や商社が流通を維持していくうえでは、非常に重要なコストであり、特に2026年のように塗料、シンナー、硬化剤、養生用品などの仕入価格が上がっている時期は、販売店側の売掛金額も大きくなりやすくなります。

同じ現場数でも、材料単価が上がれば、塗装店への請求額も増えます。
請求額が増えるということは、販売店が抱える売掛金の金額も増えるということです。
つまり、材料費高騰の時代には、販売店や商社が抱える貸し倒れリスクも大きくなりやすいのです。

また、塗装業界は、天候、繁忙期と閑散期、元請けからの入金タイミング、現場の遅延などによって、資金繰りが変動しやすい業界でもあります。
雨が続いて工事が遅れれば、完工後の入金も遅れます。

大型現場で入金サイトが長い場合は、材料費や人件費を先に負担しなければならないこともあります。

その影響が塗装店の支払いに出ると、塗料販売店側にも売掛金回収の負担が生じます。

このように、塗料販売店のマージンには、単なる販売利益だけでなく、掛け売りによる資金負担、売掛金管理、未回収リスク、貸し倒れリスクも含まれています。

もちろん、貸し倒れリスクがあるからといって、どの販売店も高い利益を取っているわけではありません。

実際には、競争の中で価格を抑えながら、在庫、配送、調色、技術相談、掛け売り、与信管理まで行っている販売店も多くあります。

だからこそ、中間マージンを見る時は、「何%乗っているか」だけでなく、その裏側にどのような業務とリスクがあるのかを理解することが大切です。

塗料販売店や商社の中間マージンには、在庫管理や配送だけでなく、売掛金を抱える資金負担、入金管理、未回収時の対応、貸し倒れリスクも含まれています。
外壁塗装の材料が安定して現場に届く背景には、こうした見えにくい金融的な役割もあります。単なる「材料の上乗せ利益」ではなく、流通を継続させるための信用取引コストとして見ることも大切です。

塗装店側の材料マージンにも理由があります

塗装店がお客様へ見積りを出す時、材料を仕入れた金額そのままで提示するわけではありません。

そこには、材料選定、発注、現場への運搬、保管、使用量管理、ロス管理、余り材処理、廃塗料処理、保証リスクなどが含まれます。

たとえば、塗料は缶に入っている分がすべて外壁に塗られるわけではありません。

缶の底に残る分、ローラーや刷毛に含まれる分、容器に移し替える時のロス、予備として確保する分があります。

また、現場で思ったより塗料が必要になることもあります。

外壁の凹凸が深い場合、旧塗膜の吸い込みが強い場合、下地が傷んでいる場合、色の隠ぺい性が低い場合などは、材料使用量が増えます。

このような現場ごとの変動を見込まず、材料をギリギリで計算すると、途中で材料が足りなくなったり、標準塗布量を守れなくなったりする可能性があります。

そのため、塗装店の材料費には、単なる仕入価格だけでなく、現場で確実に施工品質を守るための管理費も含まれています。

もちろん、必要以上に高い材料マージンを乗せることは適正とはいえません。

しかし、材料を正しく選び、必要量を確保し、ロスや保証リスクまで管理するためには、塗装店側にも一定の利益と管理費が必要です。

中間マージンを削れば、必ず安く良い工事になるわけではありません

近年は、メーカー直販、インターネット通販、塗装店への直接販売など、従来よりも流通経路を短くする仕組みも増えています。

流通経路が短くなれば、中間マージンを抑えやすくなるというメリットがあります。

しかし、中間マージンを削れば、必ず安くて良い工事になるわけではありません。

なぜなら、塗料販売店が担っていた在庫、調色、小口配送、緊急対応、技術相談、関連資材の手配といった機能を、誰かが代わりに担う必要があるからです。

またメーカー直販で塗料を仕入れる場合でも、材料の発注数量を正確に見込むこと、納期に余裕を持つこと、追加材料が出た時の対応を考えること、下地との相性を確認することは必要です。

もし塗装店側にその管理力が不足していれば、材料不足、納期遅れ、仕様ミスにつながる可能性があります。

一方で塗料販売店を通す場合は、多少の流通コストがかかっても、現場対応の柔軟性や安心感を得られることがあります。

つまり、大切なのは「中間マージンがあるかないか」ではありません。

そのマージンに見合う機能や価値があるかどうかです。

在庫、調色、配送、技術相談、緊急対応といった価値がきちんと機能しているなら、その流通コストは現場品質を支える費用と考えることができます。

反対にマージンだけが乗っていて、説明も対応も不十分であれば、それはお客様にとって納得できない不当な価格になります。

2026年は商社・販売店の利益も圧迫されやすい状況です

2026年現在、建築塗料やシンナー、副資材の価格は上昇傾向にあります。

このような状況では、販売価格が上がっているからといって、商社や販売店の利益が大きく増えているとは限りません。

むしろ、仕入価格、物流費、人件費、倉庫費、燃料費、容器代、梱包資材費が上がることで、粗利率が圧迫されることもあります。

たとえば、以前は1万円で仕入れて1万2千円で販売していた商品が、仕入価格の上昇で1万2千円になった場合、同じ粗利額を確保するには販売価格も上げる必要があります。

しかし、現場の価格競争が厳しい中で、すべての値上げをそのまま転嫁できるとは限りません。
その結果、販売店や塗装店が一部を吸収し、利益率が下がることもあります。

これは、一般のお客様から見ると分かりにくい部分ですが、2026年の材料費高騰を理解するうえでは大切な視点といえます。

材料価格が上がっている時代には、「高くなった分、誰かが儲けている」と単純に考えるのではなく、原材料、物流、在庫、配送、管理、現場対応のコストが全体的に上がっていると見る必要があります。

外壁塗装の見積りで材料費を見る時は、単に「材料が高いか安いか」だけでなく、どの材料を使い、どのような流通で届き、どのような管理のもとで施工されるのかまで確認することが大切です。

塗料商社や塗料販売店の中間マージンは、外壁塗装の材料費に含まれます。
しかし、その中には、在庫、調色、小口配送、掛け売り、技術相談、緊急対応、関連資材の手配といった、現場を支える多くの機能が含まれています。
中間マージンを単なる「余分な上乗せ」と見るのではなく、その費用によって現場が止まらず、色や材料の間違いを防ぎ、必要な材料を必要な時に届けられるかどうかを見ることが大切です。
外壁塗装では、材料を安く仕入れることも大切ですが、品質を守るための流通機能をどう確保するかも、同じくらい重要なのです。

2026年現在、建築塗料・塗装道具の原価構造は大きく変化しています

2026年現在、建築塗料や塗装道具の原価構造は、以前よりもかなり厳しくなっています。

これまでの外壁塗装では、塗料代の値上がりがあっても、塗装店や販売店が一部を企業努力で吸収できる場面もありました。

しかし2026年は、塗料本体だけでなく、シンナー、硬化剤、下塗り材、容器、梱包資材、物流費、燃料費、塗装道具、養生用品まで、広い範囲でコスト上昇の影響が出ています。

特に大きいのが、溶剤系塗料やシンナー類の値上がりです。

日本ペイントはシンナー製品については、2026年3月19日に取引販売店へ案内した通り、現行価格より75%の値上げで価格改定していると説明しています。

さらに2026年6月1日出荷分より、溶剤系塗料を25〜35%、水性塗料を20〜30%、直送運賃も改定すると発表しています。

つまり2026年は、単なる「少し材料が上がった年」ではありません。

塗料本体、シンナー、運賃が同時に上がり、外壁塗装の材料原価そのものが底上げされている状況です。

また、塗料業界では、中東情勢の緊迫化による原油や石油製品の調達不安、原材料費、エネルギーコスト、物流費の上昇が価格改定の背景として指摘されています。

建築塗料は、石油化学原料と深く関係しています。

樹脂、溶剤、シンナー、添加剤、硬化剤、容器、梱包材の多くは、原油、ナフサ、石油化学製品、物流コストの影響を受けます。

そのため、原油の調達環境が不安定になると、塗料の価格にも連鎖的に影響が出ます。

たとえば、外壁仕上げ塗料の価格が上がるだけでなく、下塗り材、屋根塗料、付帯部用塗料、鉄部用塗料、シンナー、硬化剤、防水材にも影響します。

さらに刷毛、ローラー、マスカー、養生テープ、ポリシート、ブルーシート、ノンスリップシートなどの副資材も、原材料費、物流費、人件費の上昇を受けやすい商品です。

外壁塗装の見積りでは、一つひとつの副資材費は小さく見えるかもしれません。

しかし、現場全体で見ると、こうした細かな材料費の積み重ねが、工事原価に確実に影響します。

たとえば、窓まわりの養生、玄関まわりの床養生、車や植栽への飛散防止、塗料の小分け容器、ローラー交換、刷毛の使い分けなど、現場では多くの消耗品を使います。

これらの費用を無理に削ると、見た目の金額は下げられるかもしれません。

しかし、養生が甘くなれば塗料の飛散や汚れにつながり、ローラーや刷毛を必要以上に使い回せば、仕上がりの肌や塗布量に影響します。

2026年の外壁塗装では、「材料費が上がっているから仕方ない」と簡単に済ませるのではなく、どの材料に、なぜ費用がかかっているのかを丁寧に説明することが大切です。

また、お客様側も以前の相場感だけで見積りを判断するのではなく、2026年現在の塗料価格、シンナー価格、物流費、副資材価格の上昇を踏まえて比較する必要があります。

2026年の建築塗料・塗装道具の原価構造は、塗料本体だけでなく、シンナー、下塗り材、運賃、副資材まで含めて上昇しているのが大きな特徴です。
だからこそ、外壁塗装では「安さ」だけでなく、材料の中身、施工仕様、塗布量、養生、現場管理まで含めて、適正価格で判断することが重要になっています。

2026年時点で見た建築塗料・副資材の原価率と販売利益率の目安

2026年現在は、塗料や副資材の仕入価格が上昇しているため、販売店や塗装店の利益率は以前より圧迫されやすくなっています。

特に、メーカー値上げ直後は、仕入価格だけが先に上がり、見積単価への反映が追いつかないことがあります。

そのため、表面上の販売価格がいくら上がっていても、販売店や塗装店の利益が大きく増えているとは限りません。

材料・用品 2026年の原価率目安 2026年の粗利率目安 2026年の特徴
外壁仕上げ塗料 65〜82%前後 18〜35%前後 水性塗料・溶剤系塗料とも値上げ影響が強い
屋根仕上げ塗料 68〜85%前後 15〜32%前後 遮熱・高耐候品は材料単価が高く、原価率も上がりやすい
下塗り材 65〜85%前後 15〜35%前後 劣化下地では使用量が増えやすく、利益率が圧迫されやすい
シンナー 80〜95%前後 5〜20%前後 2026年は大幅値上げの影響が非常に大きい
硬化剤 75〜90%前後 10〜25%前後 石油化学原料・保管管理・使用期限の影響を受けやすい
刷毛・ローラー 55〜78%前後 22〜45%前後 単価は小さいが、現場ごとの消耗と交換頻度が重要
養生テープ・マスカー 60〜82%前後 18〜40%前後 樹脂フィルム、粘着剤、紙材、物流費の影響を受ける
ブルーシート・ノンスリップシート 65〜85%前後 15〜35%前後 面積使用量が多く、現場規模によって費用差が出やすい

この表は、あくまで一般的な目安です。

実際の原価率や粗利率は、メーカー、販売店、取引量、仕入れ条件、地域、配送条件、調色の有無、支払い条件によって変わります。

特に2026年は、価格改定が短期間で重なることがあるため、見積り作成時点と施工時点で材料価格が変わる可能性もあります。

そのため、塗装店としては、材料価格の変動を見込んだ見積り管理が必要になります。

お客様にとっても、「去年の見積りと今年の見積り」「数か月前の見積りと現在の見積り」を単純に比較すると、価格差の理由が分かりにくくなることがあります。

2026年の外壁塗装では、材料費が上がっているからといって、塗装店が必要以上に利益を乗せているとは限りません。

むしろ、仕入れ原価の上昇によって、塗装店側の粗利率が下がっているケースもあります。

大切なのは、見積りの中で塗料名、下塗り材、塗装回数、塗布量、養生範囲、付帯部の仕様、保証内容が明確になっているかどうかです。

2026年は、建築塗料や塗装道具の原価率は、大幅の上昇傾向にあります。
見積り金額だけを見るのではなく、その中にどの材料が含まれ、どのような施工品質を確保するための費用なのかを確認することが、後悔しない外壁塗装につながります。

10. 塗装店の見積りにおける材料費の考え方

塗装店がお客様へ見積りを作成する時、材料費は単純な仕入価格だけでは考えられません。

なぜなら、塗装工事を施工する塗装店には、材料を仕入れて現場へ運び、保管し、適切に使い、余り材や廃材を管理する責任があるからです。

たとえば、外壁塗料を1缶仕入れたとしても、そのまますべてが壁に塗られるわけではありません。

缶の中に残る分、ローラーや刷毛に含まれる分、塗料の攪拌や移し替えでロスになる分、予備として確保する分などがあります。

また、現場によっては、予定より外壁の吸い込みが激しく、塗料使用量が増えることもあります。

塗装店の材料費には、次のような要素が含まれます。

項目 内容
仕入価格 塗料販売店やメーカーから購入する価格
運搬費 倉庫や販売店から現場へ運ぶ費用
保管費 倉庫管理、温度管理、在庫管理の手間
ロス分 缶残り、刷毛・ローラー含み、予備材料、余り材
調色・追加手配 色合わせ、追加注文、小口配送などの費用
廃材処分 廃塗料、廃シンナー、使用済み養生材の処理
管理費 材料選定、発注、納品確認、使用量管理の手間
保証リスク 材料不良や施工後不具合に備える責任

そのため、見積書の材料費が、塗料のネット通販価格と同じになることは基本的にありません。

ネット通販で見る価格は、商品単体の価格です。

一方、塗装工事の見積りに含まれる材料費は、その材料を現場で正しく使い、工事として完了させるための費用です。

これは、レストランで料理を食べる時に、スーパーの食材価格だけで料理代を判断しないのと似ています。

料理には、仕入れ、下ごしらえ、調理、盛り付け、器、サービス、衛生管理、お店の運営費が含まれています。

外壁塗装も同じで、材料費には、材料そのものだけでなく、選定、管理、施工、保証まで含まれます。

塗装店の見積りで大切なのは、材料費が安いかどうかだけではありません。
その材料が建物に合っているか、必要量が正しく見込まれているか、規定の塗布量を守れる仕様になっているかをちゃんと確認することが大切です。

11. 安すぎる見積りで注意したい材料費の削り方

外壁塗装では、見積金額が安いこと自体が悪いわけではありません。

企業努力によって、無駄な経費を抑え、適正価格で工事を提供することは大切です。

しかし、極端に安い見積りの場合、どこかで材料費や施工手間を削っている可能性があります。

特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 下塗り材のグレードを落としている
  • 下塗り回数を減らしている
  • 塗料の標準塗布量を守っていない
  • 必要以上に塗料を薄めている
  • メーカー指定のシンナーや硬化剤を使っていない
  • 養生用品を必要最小限にしている
  • 刷毛やローラーの交換を惜しんでいる
  • 劣化下地に合わない安価な材料を使っている
  • 材料名を「一式」として詳しく書いていない

塗料は、塗れば何でも同じというものではありません。

メーカーが定めた標準塗布量、希釈率、乾燥時間、塗り重ね間隔を守ることで、本来の性能に近づきます。

材料費を削るために塗料を薄く塗ったり、必要な下塗りを省いたりすると、数年後に不具合が出る可能性があります。

また、養生を簡略化すると、塗料の飛散や汚れ、見切りの粗さにつながります。

刷毛やローラーを必要以上に使い回すと、仕上がり肌が悪くなったり、毛抜けやムラの原因になることもあります。

お客様から見ると、工事中には分かりにくい部分かもしれません。

しかし、外壁塗装の品質は、こうした細かな材料選びと使い方の積み重ねで決まります。

安すぎる見積りを見る時は、「なぜ安いのか」を確認することが大切です。
材料のグレード、下塗り材、塗布量、養生範囲、使用する道具、保証内容まで確認することで、後悔の少ない外壁塗装につながります。

12. まとめ|2026年の材料費は「値上げ」ではなく、塗装品質を守るための前提が変わっています

2026年現在、建築塗料や塗装道具の原価・販売利益率は、以前よりも厳しい状況になっています。

外壁仕上げ塗料、屋根仕上げ塗料、下塗り材、シンナー、硬化剤、刷毛、ローラー、養生用品など、外壁塗装に関わる多くの材料で価格上昇の影響が出ています。

特にシンナーや溶剤系塗料は、原油・石油化学原料・物流費の影響を受けやすく、2026年は大幅な価格改定が行われています。

また、水性塗料についても、樹脂、顔料、添加剤、容器、運賃、人件費の上昇により、以前と同じ価格で仕入れ続けることは難しくなっています。

刷毛、ローラー、マスカー、養生テープ、ポリシートなどの副資材も、単価は小さく見えますが、現場全体では確実に原価を押し上げています。

こうした状況の中で、外壁塗装の価格を無理に安く見せようとすると、どこかで品質に影響が出る可能性があります。

たとえば、下塗り材のグレードを落とす、塗布量を減らす、塗料を必要以上に薄める、養生を簡略化する、刷毛やローラーの交換を惜しむ、といったケースです。

しかし、それでは本来の塗装品質は守れません。

外壁塗装は、住まいを雨や紫外線から守るための工事です。

材料費を削りすぎれば、数年後の色あせ、剥がれ、膨れ、雨だれ、シーリング劣化、付帯部の不具合につながることがあります。

2026年の外壁塗装では、「昔はいくらだった」「以前の見積りより高い」という比較だけで判断するのではなく、現在の材料原価、物流費、人件費、施工品質を含めて、適正価格を考えることが大切です。

小林塗装では、塗料価格や副資材価格が上がっている状況でも、必要な下地処理、適切な下塗り材、メーカー基準に沿った塗布量、丁寧な養生、現場に合った道具選びを大切にしています。

安さだけを優先するのではなく、住まいを長く守るために必要な工程と材料を省かないこと。

それが、地域の塗装店として大切にしたい塗装工事の基本です。

2026年の材料費上昇は、単なる「値上げ」ではなく、外壁塗装の前提が変わってきているサインでもあります。
だからこそ、見積りでは金額だけでなく、どの材料を使い、どの工程を守り、どのように住まいを長持ちさせるのかまで確認することが大切です。 適正な材料費は、きれいな仕上がりと長く安心できる住まいを守るための大切な費用です。

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コラム建築塗料・塗装道具の原価率と販売利益率 筆者小林塗装 店主 小林ゆず

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、コラム「建築塗料・塗装道具の原価率と販売利益率」の筆者で、名古屋を拠点に「塗装工事の専門店」としてこれまで数多くの現場に携わり、30年以上に亘って培ってきた豊富な知識と経験を大切にしてきました。
当店のホームページでは、そうした多く経験の積み重ねから得た確かな技術やノウハウを、外壁・屋根・室内など塗装を検討されている一般のお客様に分かりやすくお伝えできるよう、コラムというカタチで発信しています。

塗装工事は、多くのお客様にとって一生のうちに何度も経験することではなく、「どの塗料を選べば安心なのだろう?」「そもそも何年くらいで塗り替えるのがいいの?」といった疑問や不安が尽きないものだと思います。
だからこそ、自分自身が専門家としての知識を惜しみなく共有しながら、どなたにも気軽に読んでもらえる言葉で、少しでも安心や納得につながる情報をお届けすることを心掛けています。

これからも初めて塗装工事を検討される方はもちろん、ちょっとした疑問を感じている方にも、肩ひじ張らずに読んでもらえる情報を発信し続け、住まいに寄り添う塗装の専門家としてお役に立てたら嬉しいです。

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