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  2. 1980年代後半〜2020年代 外壁塗装の流行色から読み解く「日本人の住まい観」の変遷
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1980年代〜2020年代 外壁塗装の流行色から読み解く「日本人の住まい観」

外壁塗装の色は、単なる「流行」ではありません。
その時代に生きる人々の価値観、経済状況、住まいへの考え方が確実に反映されています。

今回は、1980年代後半から2020年代に至るまで、外壁塗装の流行色を時代背景とともに振り返りながら、「どうしてその色が選ばれたのか」「何が変わり、何が変わらなかったのか」を、「名古屋の塗装店」小林塗装の視点で掘り下げていきます。

1. 1980年代後半|バブル期に選ばれた外壁塗装の流行色

1980年代後半|バブル期に選ばれた外壁塗装の流行色 イメージ

1980年代後半(昭和の終盤〜平成の入り口)、日本はバブル経済の熱気に包まれていました。
街には新しいビルが次々と建ち、車やブランド品が頑張った証として語られ、住宅もまた「豊かさの象徴」として見られていた時代です。

今でこそ、家づくりは「長く住めるか」「将来の維持管理はどうか」といった現実的な視点が欠かせませんが、当時は少し違いました。
もちろん住まいとしての耐久性が不要だったわけではありません。
しかし社会全体の空気としては、まず「分かりやすい新しさや明るさ」、そして「気分が良くなる感じ」が強く求められていたのです。

たとえば当時は、地価の高騰や金融緩和などを背景に「資産としての家」という見方も強く、住まいは暮らしの基盤であると同時に資産として捉えられがちでした。
だからこそ外観にも、「きちんとして見える」「明るくて景気が良さそう」「新築らしい清潔感がある」といった要素が求められ、外壁の色は自然と明度が高い方向へ振れていきます。

この頃、外壁塗装で多く選ばれていたのは、次のような色でした。

  • ■ アイボリー
  • ■ クリーム色
  • ■ 明るめのベージュ
  • ■ パステル調のピンク・イエロー

全体として共通しているのは、「明るい・やさしい・軽やか」という印象の色味です。
いわば「家そのものを明るく見せる色」「新しさを分かりやすく演出できる色」が強かったと言えます。

どうして、こうした色が選ばれたのか

ここで大切なのは、「流行だから」という一言で片づけないことです。
当時、これらの明るい色が選ばれた背景には、少なくとも次の3つの理由が重なっています。

1)昭和的な豊かさの表現としての明るさ

昭和の終わりにかけての空気には、「明るさ=豊かさ」「華やかさ=成功」という感覚が、今よりも自然でした。
外壁が明るいと、家全体が大きく見え、清潔感が出て、「ちゃんとしている家」に見える。これが当時の分かりやすい正解だったのです。

2)近隣との調和より「自分の家らしさ」

現代は景観や周囲とのなじみ方が強く意識されますが、当時は「家は目立ってこそ」「新築感が出るほうが良い」という考えも根強くありました。
周囲とそろえるより、「うちはうちらしく」という感覚が前に出やすい時代だったと言い換えてもよいかもしれません。

3)外壁塗装の「見た目の満足感」が優先されやすかった

塗装専門店の視点で見ると、当時の色選びは「完成直後の印象」を重視する傾向が強かったように感じます。
つまり、塗り替えた瞬間に「塗り替えた感」が分かりやすい色が好まれました。
アイボリーやクリーム、パステル系の色は、施工後にパッと家が明るく見えるため、「塗り替えて良かった」と思いやすいのも理由の一つです。

塗装のプロ視点:明るい色が持つ「良さ」と「落とし穴」

ここで、色の専門性として少し踏み込みます。

明るい色には、確かに良さがあります。

  • ■ 家全体が大きく、軽やかに見える
  • ■ 清潔感が出やすい
  • ■ 圧迫感が少なく、やさしい印象になる

一方で、外壁塗装の実務としては、明るい色ほど経年劣化が目立ちやすくなる傾向があります。

たとえば、雨だれ汚れ、排気ガス汚れ、カビや藻の黒ずみなどは、濃色より明色の方が目立ちやすいです。

また、同じ白系でも「真っ白」なのか「少し黄みのあるアイボリー」なのかで、汚れの見え方や経年のくすみ方は変わります。

さらに外壁は面積が大きいため、サンプルで見るより明るく見えたり、逆に光の当たり方で白さが強調されすぎたりすることもあります。(面積効果・反射の影響)

バブル期の「明るい色」が選ばれやすかった背景には、こうした色の特性よりも、「新しく見える」「華やかに見える」という価値が勝っていた、という時代性も読み取れます。

当時多かった住宅の外観テイストと、外壁のつくりについて

1980年代後半の住宅外観を振り返ってみると、現在とは違った「時代の顔」が見えてきます。

この頃に多かったのは、次のようなテイストです。

1)白系・明色を基調とした「洋風住宅」

バブル期には、欧米志向の高まりもあり、白やアイボリーを基調にした洋風デザインが多く見られました。

  • ■ 直線的でシンプルな箱型
  • ■ 白系外壁+濃色屋根
  • ■ 装飾モールや出窓のある外観

「洋風=新しい」「和風=古い」という空気もあり、とくに新築住宅では、明るい色で時代の最先端感を出すことが好まれました。

2)モルタル外壁+リシン・タイルヘッドカット押さえ仕上げ

外壁材として主流だったのは、モルタル外壁です。

仕上げは、吹付リシン、吹付タイルといった、凹凸のある吹付仕上げが中心でした。

これらの仕上げは、「表情が出やすい」、「明るい色でも立体感が出る」という特徴があり、アイボリーやクリーム色との相性が良かったため、当時の流行色と自然に結びついていきます。

3)「和モダン化」する在来和風住宅

完全な洋風だけでなく、和風住宅に白系・明色を取り入れた和洋折衷スタイルも多く見られました。

  • ■ 和瓦+明るい外壁
  • ■ 破風や軒天を白でまとめる
  • ■ 全体を明るく現代風に見せる工夫

これもまた、「古く見せたくない」「新築感を出したい」という当時の価値観を反映した外観です。

バブル期に主流だった外壁塗料の特徴

塗料の面でも、1980年代後半は現在とは前提が大きく違った時代でした。

当時よく使われていたのは、アクリル塗料、アクリルエマルション系塗料、合成樹脂調合ペイント、アクリルウレタン塗料(まだ高級扱い)などです。

現在のように「シリコンが標準」「無機が選択肢に入る」という時代ではなく、耐久年数よりも見た目と作業性が重視されていました。

(塗料的視点)明るい色が外壁塗装で選ばれやすかった理由

アクリル系塗料は「発色が良い」、「明るい色がきれいに出る」、「施工直後の『変わった感』が強い」という特徴があります。

そのため、アイボリーやクリーム、パステル系の色は、塗り替えた満足感が非常に得やすい色だったのです。

一方で現在の視点から見ると、耐候性は高くない、色あせが早い、汚れが沈着しやすいといった弱点もあり、「塗り替えた直後はきれいでも、数年後に差が出やすい」塗料だったともいえます。

塗装のプロから見た外壁塗装の流行色 1980年代後半の色と素材の関係

1980年代後半の外壁は、明るい色 × 凹凸のある仕上げ × 発色の良い塗料という組み合わせが非常に多く見られました。

これは

  • ■ 家を大きく見せたい
  • ■ 新築感を強く出したい
  • ■ 景気の良さを外観で表現したい

という当時の価値観に、非常によく合っていた構成です。

今の目で見ると、「少し明るすぎる」「汚れが目立ちそう」と感じる外壁もありますが、それは決して失敗ではなく、昭和の終わりという時代の空気を正直に映した外観だったと言えるでしょう。

このように1980年代後半の外壁塗装は、色・素材・塗料・住宅デザインが、すべて「上向きの時代感覚」で結びついていました。

この明るさの時代があったからこそ、次の1990年代以降、「落ち着き」「調和」「長期視点」へと、色選びが変化していく流れが、よりはっきりと見えてくるのです。

何が変わり、何が変わらなかったのか

1980年代後半の色選びを振り返ると、変化と不変の両方が見えてきます。

変わったことは、住まいに求めるものです。

当時は「分かりやすい、華やかさ」が好まれましたが、時代が進むほど、外壁には「落ち着き」「飽きにくさ」「10年後の納得感」が求められるようになります。

一方で変わらないこともあります。

それは、「家を見たときに気分が上がる色がいい」「毎日目に入るものだから心地よくしたい」という、ごく素直な気持ちです。
明るい色が今でも根強く選ばれるのは、まさにこの「暮らしの感覚」が普遍だからです。

当時の外壁色は、今見ると少し大胆に映ることもあります。

しかしそれは「センスが古い」という話ではなく、昭和の終わりの景気の勢いと暮らしの高揚感が形になったものだと考えると見え方が少し変わってくるかと思います。

2. 1990年代前半|外壁塗装の流行色 派手さから落ち着きへ

1990年代前半|外壁塗装の流行色 派手さから落ち着きへ イメージ

1990年代に入ると、バブル経済は崩壊しました。
昭和の終わりから平成初期にかけて広がっていた「右肩上がりの空気」はしぼみ、日本全体が「拡大」から「見直し」へと大きく舵を切っていきます。

世の中の合言葉が、どこか「無理をしない」「背伸びをしない」になっていった…そんな空気は、実は住まいの外観、特に外壁の色にも、とても分かりやすく表れました。

この頃の外壁塗装で増えていったのは、「ベージュ」、「グレー」、「薄茶」(ライトブラウン)「アイボリーでも白さを抑えた、やや落ち着いた色味」いわゆるアースカラー・中間色が主流になり、バブル期に目立っていた「明るさ優先・華やかさ優先」の方向から、明確にトーンダウンしていきました。

なぜ「落ち着いた色」が選ばれたのか、塗装の現場目線で見ると、1990年代前半の色選びには、時代の気分がそのまま反映されています。

この時代に住まい選びのキーワードとして強くなっていったのは、「長く住むこと」「無理をしないこと」「周囲と調和する」といった、とても生活者目線の価値観です。

外壁の色も、派手に主張するものより、景色に溶け込み、見ていて落ち着く色が求められるようになります。

「家を目立たせたい」よりも、「家を整えて見せたい」というこの発想の転換が、ベージュやグレーといった中間色の増加につながったと考えられます。

1990年代に多かった住宅外観テイストと、外壁のつくり
― 「派手さ」から「無難」へ、外観が静かになった時代 ―

1990年代の住宅外観は、バブル崩壊後の社会状況を非常に正直に反映しています。

1980年代後半の華やかさが一転し、この時代の外観は総じて控えめ・堅実・主張しすぎない方向へと向かいました。
塗装の現場に立つ立場から見ても、「目立たせたい」「新しさを誇りたい」という相談は減って、「無難に」「長く住める感じで」という言葉が増えていった時代です。

1)ベージュ・グレー系を基調とした「量産型住宅」の増加

1990年代に最も多かったのは、ベージュ・薄茶・グレーを基調にしたシンプルな外観の住宅です。

  • ■ 総二階・切妻屋根
  • ■ 凹凸を抑えた箱型フォルム
  • ■ 外壁は単色仕上げが基本

現在の視点では「特徴が少ない」と感じられるかもしれませんが、当時としてはそれが安心感のある外観でした。

「目立たない=失敗しにくい」、「派手でない=長く住める」そんな考え方が、住宅デザイン全体を支配していたと言えます。

2)和風住宅の落ち着き回帰

1980年代後半に一度影を潜めた和風住宅も、1990年代には再び落ち着いた色へのカタチで定着します。

  • ■ 和瓦+ベージュ・薄茶の外壁
  • ■ 砂壁調・リシン仕上げ
  • ■ 木部(破風・鼻隠し)を濃色で締める外観

完全な純和風というより、「派手さを抑えた和洋折衷」が好まれたイメージです。

これは、「豪華にするより、きちんとして見える方が良い」という時代の心理が、外観にも表れていた結果だと考えられます。

1990年代に主流だった外壁材の変化 モルタル外壁から、サイディング外壁へ

1990年代は、外壁材の世界で大きな転換期でもありました。

それまで主流だったモルタル外壁に加え、窯業系サイディングが一気に普及し始めます。
「工期が短い」、「品質が安定している」、「コスト管理がしやすい」といった理由から、特に分譲住宅・ハウスメーカー住宅でサイディングが増えていきました。

外観も、「凹凸のある塗り壁 → フラットな面」、「表情重視 → 均一で整った印象」へと変化していきます。

1990年代の外壁仕上げと色の関係

モルタル外壁の場合は、吹付リシン、吹付タイル、吹付タイルヘッドカット・ゆず肌、といった、やや凹凸のある仕上げが引き続き多く使われていました。

一方、サイディング外壁では、工場塗装の単色仕上げ、石目・砂岩調の吹付仕上げ、などが選ばれ、色もベージュ・グレー・薄茶系に集中していきます。

塗装現場の感覚としては、この頃から「外壁の色で個性を出す」というより、外壁は背景として整っていればよいという考え方が、はっきりしてきました。

当時主流だった外壁塗料(塗装専門店の視点)

1990年代に主流だった塗料は、次のようなものです。

  • ■ アクリル塗料(依然として主流)
  • ■ ウレタン塗料(徐々に増加)
  • ■ シリコン塗料が少しずつ登場(1,998年くらい)

1980年代に比べると、「耐久性」という言葉が、ようやく一般的に使われ始めた時代でもあります。

ただし、現在のように「耐用年数を比較して選ぶ」という考え方はまだ弱く、「価格」、「見た目」、「施工実績」が判断基準の中心でした。

そのため、色あせしにくい色=濃色ではなく、「無難で失敗しにくい色」として、中間色(ベージュ・グレー)が選ばれる傾向が強かったのです。

塗装のプロから見た外壁塗装の流行色 1990年代の外観の特徴

1990年代の外壁と色選びを一言で表すなら、「過度に目立たないことが、安心だった時代」です。

「明るすぎない」、「暗すぎない」、「周囲から浮かない」この三拍子がそろった外観が、最も評価されやすい時代でした。
派手さはありませんが、結果としてこの時代の住宅は、今見ても極端に古さを感じにくいものが多いのも事実です。

それは、流行を追いすぎず、最初から「長く使うこと」を前提に色と素材が選ばれていたからだといえます。

この1990年代の静かな外観があったからこそ、次の2000年代で「機能性とデザインをどう両立させるか」というテーマが、よりはっきり浮かび上がってくるのです。

1990年代前半の外壁は、色数が減り、全体のトーンも静かになっていきました。
外壁は「存在感を出すためのもの」ではなく、暮らしの背景として、控えめで品よくあることが良しとされ始めたのです。

言い換えるなら、この時代は外壁が語らない存在へと役割を変えていった時代。
「派手さではなく、安心感」、「新しさの演出より、長く付き合える落ち着き」そんな平成初期の空気が、外壁の色に表れていました。

3. 1990年代後半|外壁塗装の流行色 「不況の長期化」と「生活者目線」

1990年代後半|外壁塗装の流行色 「不況の長期化」と「生活者目線」 イメージ

1990年代前半にバブルが崩壊し、世の中が「見直し」へ向かった流れは、1990年代後半にさらに色濃くなっていきます。
景気はすぐには戻らず、むしろ景気回復を実感しづらい状態が続き、家計も企業も、どこか慎重なムードが当たり前になっていきました。

この時期の大きな特徴は、社会全体が「一度立ち止まって、足元を整える」ような空気になったことです。
たとえば、1995年には阪神・淡路大震災、同じ年に地下鉄サリン事件など、暮らしの安全や安心を揺さぶるできごとがありました。

さらに1997年〜1998年にかけては金融不安(金融機関の破綻など)も重なり、「景気が良くなる前提」で動く感覚は薄れていきます。

こうした世相の中で、住まいに求められたのは、派手さよりも安心感・落ち着き・堅実さであり、外壁塗装の色も、1990年代前半に増えたアースカラーや中間色が、90年代後半にかけてより定番として根付いていきました。

1990年代後半に増えた色の傾向

この頃の外壁色は、前半の流れを引き継ぎながらも、より「穏やかで、飽きにくい方向」へ深まっていきます。

  • ■ ベージュ(黄みを抑えた落ち着き系)
  • ■ オイスターホワイト
  • ■ ネープルスイエロー
  • ■ ライトグレー〜ミディアムグレー(青み・黄みが強すぎない中間グレー)
  • ■ 薄茶(赤みの強い茶より、くすんだライトブラウン)
  • ■ アイボリーでも白さを抑えた生成り寄りのナチュラルカラー
  • ■ グレージュの先駆けのような、ベージュ×グレーの中間色

つまり、「明るいけれど派手ではない」、「地味すぎないけれど主張しすぎない」いわば「生活に馴染むちょうどいい色」が選ばれやすくなった時代です。

なぜ、より落ち着いた色が選ばれたのか。当店の視点で見ても、1990年代後半は、色選びの基準が少し変わってきた時期だと感じます。

1)「見栄え」より「長く見て疲れない」

バブル期は、新築感や華やかさが価値でしたが、90年代後半になるほど「毎日見るものだから、落ち着く方がいい」、「飽きない色にしておきたい」という発想が増えていきます。

外壁が主役ではなく、暮らしの背景として求められ始めたのです。

2)近隣との調和が「安心」につながる時代

周囲と同じような色=個性がない、ではなく、周囲に溶け込む=浮かずに安心という価値観が強くなりました。

町並みに馴染むベージュやグレーが選ばれたのは、まさにこの心理の変化が大きいです。

3)外壁汚れ・色あせへの現実的な目線

外壁塗装は塗った直後よりも、「数年後の見え方」で満足度が決まります。

1990年代後半は、家計の引き締めも背景にあり、「できれば塗り替え周期を安定させたい」「汚れが目立ちにくい色がいい」という考え方が浸透していきました。

その結果、真っ白やパステルよりも、汚れが浮きにくい中間色が支持されやすくなります。

1990年代後半は「外壁が語らない」ことが価値になった時代です。

この時代の外壁は、主張を控え、色数も抑え、全体のトーンを落ち着かせることで、住まい全体をきちんと見せる方向へ進んでいきました。

言い換えるなら、1990年代後半は、外壁が「目立つためのもの」から「暮らしを穏やかに整えて見せるためのもの」へ移った時代です。

1990年代後半に広がった「アジアンテイスト」系カラーの流れ

落ち着き感の中に、少しだけ「非日常」を足した色選び

1990年代後半は、全体としてベージュやグレーなどの中間色・アースカラーが主流になっていった時代ですが、一方で住宅の内外装に「テーマ性」を持たせる動きも少しずつ出てきました。

その代表例の一つが、いわゆるアジアンテイスト(バリ風・リゾート風・エスニック調)の雰囲気です。

景気が大きく跳ね上がらない慎重な時代だからこそ、暮らしの中に「癒し」や「くつろぎ」を求める感覚が強まり、旅行やリゾートの空気感を住まいに取り入れたいという気持ちが広がっていきました。

つまり、派手さや豪華さではなく、心を落ち着かせる非日常感を上手に足す方向のデザインが選ばれていったのです。

アジアンテイストで好まれた外壁色の傾向

アジアン系の色づかいは、基本的には「自然素材の延長」にあり、木、土、石、砂、そして少し濃い影色。
外壁色もそれに合わせて、次のような色が人気になりました。

  • ■ サンドベージュ(砂色)
  • ■ バンブー系の黄みベージュ(竹や籐を思わせる色)
  • ■ テラコッタ寄りのくすみブラウン(赤みを抑えた土色)
  • ■ オリーブグリーン、ターコイズブルー、ゴールド、オレンジ(リゾート感)
  • ■ 深い赤(ダークレッド)
  • ■ パープル、スパイシーな色系(エキゾチック)
  • ■ ダークブラウン〜チャコール(木部・影の締め色)

当時の感覚で言うなら、「白くて明るい家」よりも、「木や石と合う、しっとりした色の家がアジアンテイストの王道」でした。

外壁で「アジアンらしさ」を出すコツは「色そのもの」より「組み合わせ」
塗装専門店としてお伝えしたいのは、アジアンテイストは単純に「この色を塗れば完成」ではなく、配色の組み立てで雰囲気が決まるという点です。

たとえば外壁をサンドベージュ系にした場合、付帯部(破風・樋・水切り)を濃いブラウン系の色で引き締める
また、玄関まわりや格子部分・フェンスなどの木部に合わせて、チョコレート系やチャコール系を選ぶ。
こうしたアクセントカラーが入ることで、一気にリゾート感が出やすくなります。

逆に外壁も付帯部も同じ明るさでまとめてしまうと、アジアンというよりも「ナチュラル一色」になってしまい、想い描いた雰囲気になりづらいこともあります。
アジアンの魅力は、近代化と伝統の融合した自然素材のぬくもりやエキゾチックなテイストです。

1990年代後半は「汚れが目立ちにくい色」「飽きない色」が支持され始めた時代でした。
アジアン系で選ばれやすいサンドベージュやカーキ、くすみブラウンは、まさにその条件に合いやすい色です。

  • ■ 雨だれや排気汚れが浮きにくい
  • ■ 色あせしても味として見えやすい(くすみ系の強みです)
  • ■ 木部・石材・植栽ともなじみやすい

「派手に見せない」「でも、雰囲気は大切にしたい」そんな1990年代後半の住まい観と、アジアンテイストは相性が良かったといえます。

4. 2000年代前半|外壁塗装の流行色機能性とデザインの両立  ナチュラルとモダンの分岐点

2000年代に入ると、住宅を取り巻く環境は大きく変わり始めます。

2000年のミレニアム(2000年問題)を境に、社会全体が「新しい時代に入った」という意識を強く持ち始め、暮らしや住まいに対しても刷新と再構築が求められるようになりました。

同時期にはITバブルと呼ばれる経済の高揚感があり、インターネットやデジタル技術が急速に普及しました。
情報量が一気に増えたことで、住宅や外観デザインも「なんとなく」ではなく、比較し、選び、納得して決めるものへと変わっていきます。

こうした流れの中で、耐震基準の見直しや断熱性能への意識の高まり、サイディング材・塗料性能の向上が進み、家づくりは「見た目」だけでなく、機能性を前提に考える時代へと本格的に移行していきました。

外壁塗装においても、「どんな色にするか」だけでなく、「汚れにくいか」「色あせしにくいか」「長くきれいに保てるか」といった現実的で合理的な視点が、色選びの中に自然と組み込まれるようになります。

2000年代に増えてきた外壁色の傾向

この時代に増えてきた外壁色は、次のような配色です。

  • ■ ナチュラルベージュ
  • ■ グレージュ(ベージュ×グレーの中間色)
  • ■ ライトグレー
  • ■ ホワイト×ブラウンのツートンカラー

いずれも共通しているのは、木・石・タイルなどの自然素材と相性が良く、経年変化にもなじみやすい色であることです。

1990年代の「落ち着き志向」を引き継ぎながら、そこに洗練・整った印象・都会的な要素が加わっていったのが、2000年代の大きな特徴と言えるでしょう。

「無難」から「意図して選ぶ」へ

同時期に増え始めたのが、シンプルモダン住宅、デザイン住宅といった、外観そのものを設計として楽しむ住まいです。
ITバブル期の影響もあり、「情報感度が高いこと」「自分なりの選択をしていること」が価値として意識されるようになって外壁の色も、

「とりあえずベージュ」「周りと同じような色」から、「この家は、こういう考えでこの色にしている」という、「理由のある色選び」へと変わっていきました。

ツートン・アクセントカラーの一般化

それに伴い、単色一択だった外壁も、上下階で色を分けるツートン配色、玄関まわりだけ色を変えるアクセントカラーといったコーディネートが徐々に一般的になります。
外壁の色は、単なる「仕上げ」ではなく、住宅の考え方や暮らし方を表現する要素へと役割を広げていきました。

愛・地球博が後押しした「自然志向」と色の変化

2005年に開催された愛・地球博(愛知万博)も、2000年代の色選びに少なからず影響を与えています。

「自然との共生」「環境への配慮」といったテーマが広く共有され、住まいにおいても派手さより自然になじむ色・素材感を活かす色が好まれるようになりました。
ナチュラルベージュやグレージュ、やさしいホワイト系が支持された背景には、こうした環境意識の高まりと、心地よさを重視する価値観も重なっています。

2000年代は、派手さを競う時代から、機能性・合理性・デザイン性をどう両立させるかを考える時代への分岐点でした。

「ナチュラルか、モダンか」、「単色か、ツートンか」外壁塗装の色は、この頃から明確に「選ばれる理由」を持ち始め、次の2000年代後半、そして2010年代のグレー定番化へと静かにつながっていくことになります。

2000年代に広がった「プロヴァンスカラー」の人気 ― 南仏の空気感を、日本の住まいに ―

2000年代のもう一つの大きな流れが、プロヴァンス風(南フランス調)デザインの広がりです。
雑誌や住宅展示場、分譲住宅などを通じて、「やさしくて温かみのある洋風住宅」が注目を集めるようになりました。

プロヴァンスカラーの特徴は、南フランスの豊かな自然と穏やかなライフスタイルを反映した色あいです。

この時代に外壁塗装で選ばれていたプロヴァンスカラーには、「プロヴァンス・ブルー」、「プロヴァンス・イエロー」、「ラベンダー・パープル」、「テラコッタ・オレンジ」、「はちみつ色/ベージュ」などといった色が挙げられます。

どれも、日差しを受けるとやさしく明るく見え、影がかかると落ち着いた表情になるのが特徴です。
南仏の石造りや塗り壁の風合いを思わせるこれらの色は、日本の住宅にも取り入れやすく、「明るいけれど派手ではない」「可愛らしいけれど落ち着いている」という絶妙なバランスが、多くの支持を集めました。

プロヴァンスカラーが選ばれた理由(プロ視点)

塗装専門店の立場から見ると、プロヴァンスカラーが2000年代に広がった理由は、見た目の好みだけではありません。

  • ■ 汚れが目立ちにくい(真っ白より実用的)
  • ■ 色あせしても味わいに見えやすい
  • ■ 瓦屋根や木調サッシと相性が良い
  • ■ ナチュラル系・洋風どちらにも振れる柔軟さ

といった、実用面とデザイン面のバランスの良さが、当時の住宅事情と非常によく合っていました。

2000年代前半に多かった住宅外観テイストと外壁のつくり
― 「無難」から「選ばれたデザイン」へ移行した時代 ―

2000年代の住宅外観は、1990年代の「控えめ・堅実」を土台に、そこにデザイン性と考え方の違いがはっきり表れ始めた時代です。

バブル崩壊後の不景気を引きずりつつも、ミレニアム、IT化の進展、情報量の増加によって、「とりあえず無難」ではなく、「どういう家にしたいか」を言語化する流れが生まれてきました。
塗装の現場でも、「この家はナチュラルにしたい」「モダン寄りでまとめたい」といった相談が、明確に増え始めたのがこの頃です。

1)シンプルモダン住宅の増加

2000年代を象徴する外観の一つが、シンプルモダン住宅です。

  • ■ 凹凸を抑えた箱型フォルム
  • ■ 切妻より片流れ・陸屋根
  • ■ 外壁は単色、もしくは控えめなツートン

色は、「ライトグレー」、「グレージュ」、「白すぎないホワイト」など、無機質すぎず、でも甘くない色が選ばれました。

1990年代の「無難」とは違い、「意図して抑えている」そんな印象の外観が評価され始めたのが2000年代です。

2)ナチュラル系住宅・南欧(プロヴァンス)風住宅の広がり

同時に人気を集めたのが、ナチュラル系住宅や南欧(プロヴァンス)風住宅です。

  • ■ 塗り壁調の外観
  • ■ 瓦屋根(オレンジ・ブラウン系)
  • ■ アーチ・アイアン・木調素材

外壁色は、「アイボリー」、「クリーム色」、「ナチュラルベージュ」、「くすみ感のある白」といった、やさしく温もりのある色が中心でした。

2005年の愛・地球博をきっかけに、「自然」「環境」「人にやさしい」という価値観が共有されたこともあり、こうした住宅テイストと色は、時代の空気と非常によく合っていました。

3)和風住宅の「現代化」

2000年代は、和風住宅も大きく変化します。

真っ白ではなく、生成り・薄ベージュ、木部を濃色で引き締める、和瓦+落ち着いた外壁色など、派手さを抑えつつ、「古い和風」ではなく「今の和風」として再構成された外観です。

外壁塗装の相談でも、「和風だけど、昔みたいに暗くしたくない」、「落ち着いているけど重たく見せたくない」という声が多く聞かれるようになります。

2000年代に主流となった外壁材の変化 サイディング外壁が標準になりました

2000年代に入り、外壁材の主役は完全に窯業系サイディングへと移っていきます。

「工場製品で品質が安定」、「デザイン・色の選択肢が多い」、「工期・コストが読みやすい」、特に分譲住宅やハウスメーカー住宅では、「外壁はサイディングが当たり前」という時代になりました。

模様も、「石目調」、「タイル調」、「左官風(塗り壁調)」、などが増え、素材感を「色と柄で表現する」方向へ進んでいきます。

2000年代の外壁塗料(塗装専門店の視点)

塗料の世界でも、2000年代は大きな転換期でした。

「主流だった塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」(2,000年代初頭から急速に普及しました)、「フッ素塗料」(2,005年に従来の3フッ化フッ素塗料を改良した「ファイン4Fセラミック」が発売され、手頃な価格で戸建て住宅へのフッ素塗料普及を後押ししました。)

この頃から、「何年もつか」「次の塗り替えまでの年数」といった話が、一般の施主様とも普通に交わされるようになります。

耐久性と価格のバランスが良いシリコン塗料は、「標準的な選択肢」として受け入れられ、外壁塗装の色選びも「数年後の変化」を前提に考えられるようになりました。

塗装のプロから見た、2000年代外観の本質

2000年代の外壁・色・素材を一言で表すなら、「理由を持って色を選ぶ時代の始まり」です。

「なぜこの色なのか」「なぜこの仕上げなのか」「この家は、どう見せたいのか」そうした問いが、施主様の側にも、業者側にも、少しずつ共有されていきました。

1990年代の「目立たない安心」から、2000年代の「納得できる選択」へ

この変化があったからこそ、次の2000年代後半〜2010年代で、グレーや中間色が定番として完成していく流れが生まれたのです。

2000年代は、「落ち着き」だけでは少し物足りない、「個性」だけでは長く住みにくい、そのちょうど中間で機能性・デザイン性・暮らしやすさをどう両立させるかが問われ始めた時代です。

ナチュラル、モダン、そしてプロヴァンス

外壁塗装の色は、この頃から明確に選ばれる理由を持つようになって、次の2010年代のグレー時代へとつながっていきます。

5. 2000年代後半|外壁塗装の流行色 住宅の「考え方」が変化、色も堅実に

2000年代後半|外壁塗装の流行色 住宅の「考え方」が変化、色も堅実に イメージ

2000年代後半は、外壁塗装の色だけでなく、住宅そのものの捉え方が大きく変わった時代でもあります。
この背景には、リーマンショック(2008年)をはじめとする世界的な経済不安がありました。

それまでの日本では、「住宅は資産」「建て替えながら次の世代へ」という考え方が比較的根強く残っていましたが、この時期を境に、

  • ■ 今ある家を長く使う
  • ■ 建て替えより維持・メンテナンス
  • ■ 無理のない住宅ローン計画

といった、生活者目線の住宅観がはっきりと前面に出てきます。
住宅は「夢」や「象徴」である以前に暮らしを安定させるための土台として見直され始めたのです。

住宅の変化が外壁色に与えた影響

この頃から住宅業界では、高耐久サイディングの普及、メンテナンスサイクルを意識した設計、外観デザインのシンプル化が進みます。

過度な装飾を重ねるよりも、「形はシンプルに、素材と色で整える」という考え方が広がり、外壁塗装の色もそれに合わせて落ち着いた方向へと収れんしていきました。

塗装のプロから見た外壁塗装の流行色 2000年代の外観の特徴

この時期に選ばれやすくなった色は、住宅の長期耐用を前提にした色とも言えます。

  • ■ ライト〜ミディアムグレー
  • ■ グレージュ(グレー寄り)
  • ■ 白すぎないオフホワイト
  • ■ 赤みを抑えたモカ・ブラウン
  • ■ くすみ感のあるベージュ

いずれも共通しているのは、「建物の形を選ばない」、「周囲の住宅とぶつかりにくい」、「経年変化が目立ちにくい」という点です。

これは「流行色」というより、住宅として合理的に選ばれた色だと言えるでしょう。

どうして「派手な色の住宅」が減っていったのか?

2000年代後半になると、住宅購入や塗り替えの場面で、こんな言葉を耳にすることが増えていきます。

「次の塗り替えまで安心したい」、「将来家を売ることになっても困らない色がいい」、「ご近所とトラブルにならない外観にしたい」住宅は個人の所有物であると同時に地域の一部・街並みの一要素という認識が、はっきりしてきたのです。

その結果、強い原色、コントラストの強い配色、流行に寄りすぎた色は、次第に敬遠されるようになりました。

住宅デザインと外壁塗装の流行色は「足し算」から「引き算」へ

2000年代前半は、ツートン配色や装飾的なデザインが増えた時代でしたが、後半になるとその反動として、「色数を抑える」、「外観の線をシンプルにする」、「テクスチャ―の凹凸よりも「面」をきれいに見せる」といった、引き算の住宅デザインが主流になっていきます。

外壁塗装の色も、「デザインを目立たせるための色」から「住宅全体を整えて見せるための色」へと役割を変えていきました。

2000年代後半は「グレー定番化」への準備期間で、この時代は、まだグレーが主役だったわけではありません。

しかし

  • ■ ベージュ → グレージュ
  • ■ ブラウン → 赤みを抑えたモカ
  • ■ ホワイト → オフホワイト

という流れを見ると2010年代以降の「グレー定番時代」へ向かう準備が、確実に進んでいたことが分かります。

2000年代後半は、住宅に対しても、外壁塗装に対しても、「おしゃれだから」ではなく「この家にとって無理がないか」を基準に選ぶ人が増えた時代でした。

「色は控えめに、でも判断はとても現実的に」そんな住宅観の変化が、外壁塗装の色に静かに刻まれていった時期だといえます。

南欧風住宅・北欧風住宅という「暮らし方を表す外観」

2000年代後半は、住宅のデザインが単なる見た目の好みではなく、「どんな暮らしをしたいか」を表現するものとして選ばれるようになった時代でもあります。
その中で存在感を増していったのが、南欧風住宅と北欧風住宅です。

どちらも派手さを競うデザインではありませんが、外壁の色使いにはそれぞれはっきりとした思想の違いがありました。

南欧風住宅|やさしさと温もりを感じさせる色

南欧風住宅は、スペインやイタリア南部、フランス南部などをイメージしたデザインで、2000年代後半の日本では「温かみのある洋風住宅」として人気を集めました。

この背景には、リーマンショック後の不安定な社会情勢の中で、安心感・家庭的な雰囲気・包み込まれるような外観を求める気持ちがあったと考えられます。

南欧風住宅の外壁で多く使われた色は、「オレンジや黄みを含んだアイボリー」、「ミルク感のあるオフホワイト」、「はちみつ色・淡いベージュ」、「くすみ感のあるサンドカラー」といった、全体的に明るめでやわらかい色調です。

これらの色は、瓦屋根(オレンジ・ブラウン系)や、アーチ形状、塗り壁調の外観と相性が良く、「かわいらしいけれど派手ではない」「長く見ても疲れない」という点が、2000年代後半の住宅観と非常によく合っていました。

外壁塗装の視点で見ると、南欧風の色は、多少色あせしても『味』として受け取られやすいという特徴もあり、長期的なメンテナンスを意識する人が増えた時代には、合理的な選択でもありました。

北欧風住宅|落ち着きと合理性を重視した色

一方で、同じ2000年代後半に静かに広がっていったのが北欧風住宅です。
シンプルな形状、無駄のないデザイン、機能性を重視する考え方は、「堅実に暮らしたい」という当時の空気と強く重なっていました。

北欧風住宅の外壁色として選ばれやすかったのは、「ライトグレー〜ミディアムグレー」、「グレージュ」、「青みや黄みを抑えたオフホワイト」、「チャコールやダークグレーをアクセントにした配色」といった、彩度を抑えた寒色寄り・中間色です。

これらの色は

  • ■ 住宅の形をすっきり見せる
  • ■ 周囲の景色や植栽と調和しやすい
  • ■ 汚れや経年変化が目立ちにくい

といった実用面でも評価され、「流行っているから」ではなく、合理的に選ばれた色だと言えます。

6. 2010年代前半|外壁塗装の流行色 調和と個性のバランス グレー時代の本格化

2010年代|外壁塗装の流行色 調和と個性のバランス グレー時代の本格化 イメージ

2010年代は、外壁塗装の色選びにおいて、はっきりとした価値観の転換期だったと言えます。

それまで徐々に増えてきたグレー系カラーが、この時代に入って一気に主役となって、外壁色の考え方そのものが感覚的なものから、理性的な判断へと成熟していきました。

この背景には、2010年代特有の経済状況と世相があります。
リーマンショック後の混乱は徐々に落ち着きつつも、「景気が良くなった」と実感できる人は多くありませんでした。
復興需要や金融緩和といった政策はありながらも、暮らしの実感としては、派手に使うより、堅実に整えるという空気が、社会全体に広がっていた時代です。

2010年代に増えた外壁色の傾向

この頃から、明確に増えていったのが、次のような色です。

「グレー」、「チャコールグレー」、「スモーキーカラー(くすみ系カラー)」、「白すぎないホワイト(オフホワイト・グレイッシュホワイト)」、いずれも共通しているのは、強く主張しないのに、安っぽく見えないという点です。

目立つことよりも、建物全体のバランスや質感を整え、「きちんと考えて選ばれている家」に見えるという価値感が外壁色にもはっきりと求められるようになりました。

なぜ2010年代に「グレー」が広がったのか(時代背景)

2010年代にグレー系が一気に広がった理由は、単なるデザインの流行ではありません。

まず一つ目は、東日本大震災(2011年)以降の価値観の変化です。
暮らしや住まいに対して、「目立つこと」よりも安心感・落ち着き・日常の安定が重視されるようになりました。

外壁においても、強い色で存在感を出すより、静かで落ち着いた色で「ちゃんとした家」に見せる。
グレーは、そうした心理に非常によく合う色だったと言えます。

二つ目は、住宅を「長く使うもの」として考える意識の定着です。
「建て替えより、メンテナンス」、「新築より、維持管理」そうした考え方が一般化し、外壁色にも「数年後に後悔しにくい色」が求められるようになります。

外壁塗装の流行色「おしゃれな家」が当たり前になった時代

2010年代は、デザイン住宅や規格住宅の質が大きく向上し、「特別な家でなくても、ある程度整った外観になる」ことが当たり前になった時代です。

その結果、色選びの基準も変わりました。
目立つかどうかではなく、家に対する考え方がにじみ出ているかどうか
つまり、「派手だからおしゃれ」ではなく、「無理がなく、整っているからおしゃれ」という感覚が、徐々に共有されていきます。

グレーやスモーキーカラーは、この「落ち着いた美意識」を、最も分かりやすく形にできる色でした。

「感覚」から「検討」へ移行した色選び

2010年代の大きな特徴は、外壁色が感覚で決めるものではなく、検討して選ぶものになった点です。

「周囲の家との相性」、「屋根やサッシとのバランス」、「汚れや色あせの出方」、「数年後の見え方」こうした視点が当たり前に語られ始め、結果として、派手すぎず、地味すぎない中間色が強く支持されました。

グレーは、「明るさの幅が広い」、「暖色にも寒色にも寄せられる」、「ツートンやアクセントに応用しやすい」という柔軟さがあり、まさにこの時代の「慎重だけれど、妥協はしたくない」という空気に合った色だったのです。

2010年代前半に登場した塗料技術が色選びの考え方を変えました

2010年代の外壁塗装を語るうえで欠かせないのが、塗料そのものの進化です。

色のトレンドだけでなく、「その色を、どう保つか」という技術的な裏付けが、この時代に一気に整っていきました。
塗装の現場感覚としても、2010年代前半は「色選び」と「塗料選び」が初めて同じ土俵で語られ始めた時代だと感じています。

ラジカル制御塗料の登場「色あせを前提にしない」発想へ

2010年代前半に登場し、急速に普及していったのがラジカル制御塗料です。

それまでの塗料選びでは、「どんな色でも、いずれ色あせる」「白系・淡色は特に劣化が早い」という前提が、半ば常識としてありました。

ラジカル制御塗料は、紫外線によって発生する塗膜劣化の原因(ラジカル)を抑制することで、色あせやチョーキングの進行を穏やかにする仕組みを持っています。

これにより、「グレー」「グレージュ」「オフホワイト」といった2010年代の主流色を、より安心して選べる環境が整いました。
塗装の現場でも、「この色、長持ちしますか?」という質問に対して、ちゃんとした理由を説明できるようになったのが、この頃からです。

艶調整塗料の普及 「色」だけでなく「艶」で完成度を整える時代へ

2010年代の外観が「落ち着いて見える」「上品に見える」理由は、色だけではなく、艶の考え方が変わったことも、大きな要因です。

それまでの外壁塗装は、艶あり、それとも艶消しといった、極端な選択肢が中心でした。2010年代前半からは、3分艶、5分艶、7分艶といった細かな艶調整が可能な塗料が一般化しました。

これによって、「同じグレーでも艶を落とすことで重厚感を出す」「白系でも、艶を抑えて安っぽさを防ぐ」北欧風・和モダン住宅に落ち着きを持たせるといった、「色×艶」で完成度を整える設計が可能になりました。
塗装専門店の立場から見ると2010年代は「色を選ぶ時代」から「外壁の表情を設計する時代」への転換点でもあります。

有機無機ハイブリッド塗料の登場 外壁塗装流行色の超高耐久が現実的な選択肢になりました

2010年代には、有機無機ハイブリッド塗料仕様が現実的な選択肢として広がり始めます。

これは「有機塗料の柔軟性」、「無機成分の耐候性」を組み合わせた塗料で、フッ素塗料よりもさらに劣化しにくい層として位置づけられました。

すべての住宅に必要というわけではありませんが、「次の塗り替えまでの期間を延ばしたい」、「色あせ・チョーキングを極力抑えたい」、「外観の完成度を長く保ちたい」といった要望を持つ方にとって、「高性能=特別」ではなく「検討対象」になったのが、この2010年代です。

塗料の進化が「グレー定番化」を後押ししました

こうした塗料技術の進化は、2010年代の外壁色トレンドと強く結びついています。

  • ■ ラジカル制御で、淡色・中間色が安心して選べる
  • ■ 艶調整で、グレーの表情を細かく設計できる
  • ■ 高耐久塗料で、完成度を長く維持できる

結果として、「グレーは無難だから」ではなく、「グレーが最も完成度を保ちやすい色だから」という理由で、選ばれるようになったのです。

塗装のプロから見た、2010年代の本質(技術視点)

2010年代は、色・デザイン・素材・塗料性能が、ようやく同じレベルで語れるようになった時代でした。

「好き嫌いだけで色を決めない」「見た目だけで塗料を選ばない」「10年後の状態まで含めて判断する」この考え方が一般化したからこそ、外壁塗装は「好み」→「判断」→「成熟」という段階を、はっきり踏んだのだと思います。
そしてこの積み重ねが、2020年代の「流行を追わず、時間と共存する色選び」へと、自然につながっていきました。

2010年代の外壁塗装の流行色は「調和の中の個性」です

2010年代の外壁塗装は、個性を消す時代ではありません。

ただしその個性は、強い色で主張するものから、色のトーンや組み合わせでにじませるものへと変わっていきました。

同じグレーでも、「少し青みを含ませる」、「ベージュ寄りに振る」、「濃淡で奥行きを出す」といった工夫で、その家らしさを表現する。これが、2010年代らしい「おしゃれ」のあり方だったといえます。

「周囲との調和を大切にしながら、きちんと自分たちらしさも残す。」
2010年代前半は、外壁塗装の色選びが「感性から判断へ」と大きく移行した時代だったのです。

7. 2010年代後半|外壁塗装の流行色 「無難」ではなく「計算された安心感」

2010年代後半|外壁塗装の流行色 「無難」ではなく「計算された安心感」 イメージ

2010年代後半になると、外壁塗装の色選びはさらに一段階、洗練された判断へと進んでいきます。
2010年代前半に本格化したグレー系ブームは一過性の流行では終わらず、この時期には「定番色」として完全に定着しました。

ただし、選ばれ方は少し変わります。

「とりあえずグレー」ではなく、どんなグレーか、どの明るさか、何と組み合わせるかまで含めて考える時代になったのです。

その背景には、2010年代後半ならではの世相があります。
たとえば、スマートフォンとSNSが生活に完全に溶け込み、Instagramなどで施工事例や住宅写真を日常的に見比べることが当たり前になりました。
結果として、外壁の色は「好みで決める」よりも、「写真で見て比較し、失敗例も含めて検討する」対象になります。
流行の色を選ぶというより、長く評価が落ちにくい見え方を選ぶ意識が強まったのです。

また、この時期は日本全体として「派手に増やす」より「堅実に整える」空気が続きました。
景気は回復基調とされつつも、実感としては慎重さが残り、消費税率の引き上げ(2019年)などもあり、住宅やメンテナンスは「失敗できない買い物」として見られやすくなります。
加えて、働き方改革や共働き世帯の増加で、暮らしの中の優先順位は「見栄え」より手間が増えないこと・管理しやすいことへシフトして、外壁色も「汚れ・色あせが目立ちにくい中間色」が合理的に選ばれていきました。

さらに、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨や大阪府北部地震など、大きな災害が続いたことも「住まいは安心の拠点」という意識を強めました。
外観においても強い個性で目立つ家より、落ち着いたトーンで「きちんと整っている家」が好まれ、グレーやグレージュのような静かな安心感を出せる色が一層支持されます。

こうした世相の中で、2010年代後半のグレーは「流行色」ではなく、もはや失敗しにくい設計言語のような存在になりました。
同じグレーでも、青み寄りか黄み寄りか、明るさはどこか、付帯部(樋・破風・水切り)や屋根色とどうつなぐか…この微妙な差を詰めることで、流行ではなくその家にとっての完成度を取りにいく。

2010年代後半は、そんな色選びが一般化した時代だったと言えます。

2010年代後半に多く選ばれた外壁色

この頃に特に支持を集めたのは、次のような色です。

  • ■ ニュアンスグレー(青み・黄みを抑えた中間グレー)
  • ■ チャコールグレー(重すぎない濃色)
  • ■ グレージュ(ベージュ寄り・グレー寄りの使い分け)
  • ■ 白すぎないオフホワイト
  • ■ スモーキーな中間色(くすみ系)

共通しているのは、「主張しないのに、安っぽく見えない」「流行を感じさせないのに、古くも見えない」という点です。

色で目立たせるのではなく、建物全体のバランスや質感を引き立てる色が選ばれるようになりました。
なぜ2010年代後半は微妙な差が重視されたのか、この背景にはいくつかの変化があります。

1)施工事例が「見慣れた」時代になった

SNSや住宅サイトで施工事例を見ることが当たり前になり、グレーの外壁そのものは、もはや珍しい存在ではなくなりました。

だからこそ、明るすぎないか、暗くなりすぎないか、周囲の家とどう違うかといった微妙な違いに目が向くようになります。

「同じグレーでも、この家は落ち着いて見える」、「この色は数年後もきれいそう」そんな感覚的な評価が、色選びの決め手になっていきました。

2)住宅を長く使うことが当たり前になった

2010年代後半は、新築でも塗り替えでも、「この家にあと何年住むか」「次の塗り替えまでどう保たせるか」を前提に話が進むことが多くなります。

その結果「汚れが目立ちにくい」、「色あせの変化が穏やか」、「周囲の環境が変わってもなじみやすい」といった条件を満たす、低彩度・中間色がさらに支持を集めました。

ツートン配色は「控えめ」が主流になりました。
2010年代後半のツートン配色は、2000年代のようにコントラストを強く出すものではなく、明度差を抑えた上品な組み合わせが主流になりました。

  • ■ 明るめグレー × 少し濃いグレー
  • ■ オフホワイト × グレージュ
  • ■ グレージュ × チャコール(付帯部で引き締め)

「分けていることが分かりすぎない」、「全体で一体感がある」そんな配色が、『大人っぽい外観』として評価されました。

2010年代後半の外壁色は「失敗しにくさ」が前提になりました。
この時代の色選びを一言で表すなら、「失敗しないために、ちゃんと考える」です。

派手な色を避けるのは、無難だからではありません。過去の施工事例や実例を通して、「何が長く評価されるか」、「何が後悔につながりやすいか」が、はっきり共有されるようになった結果です。

2010年代後半の外壁塗装は、流行を追う段階を終え、「時間に耐える色」を選ぶ文化へと完全に移行した時代だったと言えるではないのでしょうか。

この流れは、次の2020年代|普遍性と安心感の時代へと、そのままつながっていきます。

8. 2020年代前半|外壁塗装の流行色 普遍性と安心感「アンビエンス」の時代

2020年代|外壁塗装の流行色 普遍性と安心感の時代 イメージ

2020年代に入ると、外壁塗装の色選びはさらに成熟します。
「おしゃれにしたい」という気持ちはもちろん残りつつも、それ以上に落ち着き・安心感・長くなじむことが、色選びの中心に置かれるようになりました。

その大きなきっかけになったのが、コロナ禍です。
外出を控え、家で過ごす時間が増えたことで、住まいは単なる『寝に帰る場所』ではなく、心を整える場所・生活の質を支える場所として捉え直されました。

だからこそ外壁にも、強い刺激や流行感より、「見ていて疲れないこと」「いつ見ても落ち着くこと」が求められるようになります。
外壁が誰かから見られるものというより、家族の気持ちを守る背景になっていった感覚です。

2020年代の外壁塗装で人気が高い外壁色

現在、特に支持を集めているのは、次のような色です。

  • ■ ニュアンスグレー(青み・黄みを抑えた中間グレー)
  • ■ グレージュ(ベージュ×グレーのやわらかな中間色)
  • ■ くすみ系ベージュ(彩度を落とした上品なベージュ)
  • ■ 和洋どちらにも合う中間色(生成り・薄いモカ・薄いグレーなど)

これらに共通しているのは、流行色でありながら、流行を感じさせないことです。

「今っぽいのに、妙に尖っていない」「新しいのに、数年で古く見えなさそう」そんな、いわば時間に耐える色が選ばれています。

2020年代に多い住宅外観テイストと、外壁のつくりー「新しさ」より「安心して暮らせる外観」へー

2020年代の住宅外観は、デザイン面で大きく奇抜な変化があったわけではありません。
むしろ特徴的なのは、大きく変えないことを選ぶ住宅が増えた点です。

その背景にあるのが、コロナ禍をはじめとする社会不安、先行きの見えにくさ、そして「家で過ごす時間の質」を重視する価値観の定着です。

塗装の現場でも、「目立たせたい」「流行の色にしたい」という声はさらに減って、「落ち着いて見えるか」「長く見て安心できるか」「気持ちが疲れないか」といった、精神的な快適さを重視する相談が明らかに増えています。

1)ニュアンスグレーを軸にした「普遍型ナチュラルモダン」

2020年代の住宅外観を象徴するのは、2010年代のナチュラルモダンをさらに穏やかにしたスタイルです。

  • ■ 凹凸を抑えたシンプルな外形
  • ■ 外壁はワントーン、もしくはごく控えめなツートン
  • ■ 付帯部も同系色でまとめる

色は、「ニュアンスグレー」、「グレージュ」、「くすみ感のあるベージュ」、「白すぎないオフホワイト」といった、「色名で語れない中間色」が中心になります。

「グレー」と言っても一色ではなく、青み・黄み・赤みを極力抑えた、静かで情報量の少ない色が好まれるのが2020年代の特徴です。

2)北欧・和モダンの「定番化」

2020年代になると、北欧風・和モダンといった住宅テイストは、もはや「流行」ではなく定番の選択肢として扱われます。

2020年代の外壁材の特徴 サイディング外壁+デザイン性の二極化が外壁塗装の流行色に影響

2020年代も、外壁材の主流は引き続き窯業系サイディングです。
ただし傾向としては、より二極化が進んでいきます。

  • ■ フラットで柄を主張しないサイディング
  • ■ 逆に素材感を強調した高意匠サイディング

どちらにしても、「柄で目立たせる」より「色と質感で整える」という使われ方が主流になりました。

また、シーリングの打ち替え・再塗装を前提にした設計など、最初からメンテナンスを見据えた外壁として考えられるようになったのも、2020年代の特徴です。

2020年代に主流となる外壁仕上げ塗料の考え方

高耐久塗料が「特別ではなく標準的な検討対象」になりました。

2020年代の塗料選びでは、ラジカル制御型シリコン、有機無機ハイブリッド塗料(無機塗料)といった、高耐久塗料、超高耐久塗料が当たり前に比較される時代になります。「一番高いものを選ぶ」ではなく、「次はいつ塗り替えたいか」、「何歳までこの家に住むか」、「管理の手間をどこまで減らしたいか」といったライフステージ視点で、塗料を選ぶ傾向が強くなりました。

艶は「控える」が前提条件になりました

2020年代の外壁で特に特徴的なのが、塗装の艶を積極的に落とす選択が増えたことです。
最近では艶消し〜3分艶高くても5分艶までが主流で、「反射を抑えて落ち着かせる」、「感を強調する」、「経年のムラを目立たせにくくする」といった目的で、艶が設計されます。

ですから、塗られる色よりも先に「どの艶がこの家に合うか」を考えるケースも珍しくありません。

塗装のプロから見た外壁塗装の流行色 2020年代外観の本質

2020年代の住宅外観を一言で表すなら、「普遍の色を探して選ぶ時代」です。

流行を追わない、でも古くは見せたくない、できるだけ長く、安心して住みたい、その結果として選ばれているのが、ニュアンスグレーやグレージュといった、流行とケンカしない色です。
これは、色に対する思想が保守的になったのではありません。

数十年分の施工事例と経験を経て、「後悔しにくい答え」が共有された結果であり、2020年代は、外壁塗装が完全に「流行」から「暮らしの設計」へ移行した時代といえます。

どうして2020年代は「刺激の少ない色」が求められてているのか?

塗装専門店の目線で言うと、2020年代の色選びは、単に控えめになったのではありません。
むしろ、見た目の派手さではなく、完成度で差をつける時代になったのだと感じます。

たとえば、ニュアンスグレー一つとっても、「青み寄りか、黄み寄りか」、「明るさはどの程度か」、「艶をどこまで抑えるか」、「屋根・サッシ・付帯部」とどうつなぐか…こうした微細の積み重ねで、外観の品格が決まります。

派手な色で目立たせるのではなく、「色の選び方と組み立て方で上質に見せる。」それが2020年代らしい色選びです。

「今おしゃれ」より「10年後も違和感がない」

2020年代は、外壁塗装が「流行を楽しむもの」から、「月日の流れと共存するもの」へと、はっきり役割を変えた時代と言えるでしょう。

塗り替えた直後に「わあ、きれい」と思えることも大切ですが、もっと大切なのは、数年後にふと家を見上げたときに、「やっぱりこの色で良かった」と思えることです。
流行を追わないという選択は、決して間違った選択ではありません。

むしろ、暮らしを長い目で見て、「後悔しない色」を選ぶことが成熟した選択になってきています。

時代ごとの流行色から見える、日本人の住まい観の変化

1980年代後半から2020年代まで、外壁塗装の流行色を振り返ってみると、そこには単なる色の好み以上に、日本人の住まいに対する考え方の変化がはっきりと表れています。

昭和の終わりからバブル期にかけては、住まいは「豊かさ」や「成功」を外に示す存在でした。
明るい色、華やかな色が選ばれたのは、家が暮らしの器であると同時に、社会的な象徴でもあったからです。

平成に入り、バブルが崩壊すると、住まいは「見せるもの」から「守るもの」へと役割を変えていきます。
派手さより落ち着き、主張より調和。外壁色がベージュやグレーへと静かになっていったのは、無理のない暮らしを求める意識の表れでした。

2000年代には、機能性や合理性が重視され、「なぜこの色を選ぶのか」を説明できる家づくりが始まります。
外壁はデザインの一部となり、ナチュラル・モダン・プロヴァンス・北欧といった住まいのテイストに合わせて色を選ぶ時代へと進んでいきました。

そして2010年代以降、外壁塗装は完全に「長期視点」で考えられるようになります。
流行に振り回されず、10年後、20年後も違和感が出にくい色を選ぶ。
グレーや中間色が定番となった背景には、家を長く大切に使うという成熟した住まい観があります。

こうして見ると、外壁の色は常に、その時代の経済状況や世相、そして日本人が「住まいに何を求めていたか」を映す鏡だったと言えるでしょう。

9. まとめ|外壁塗装の色は「流行」より「時間」で考えましょう

まとめ|外壁塗装の色は「流行」より「時間」で考えましょう イメージ

外壁塗装の色選びは、「今流行っている色は何か」を探す作業ではありません。
本当に大切なのは、その色が、これからの時間とどう付き合っていけるかです。

完成した直後にきれいに見えるかどうかだけでなく、数年後、十数年後に見たときも、「この色で良かった」と自然に思えるかどうか。
そこに外壁塗装の本当の価値があるかと思います。

時代ごとの流行色を知ることは、色選びのヒントにはなります。
しかし、流行そのものを追いかけすぎると、かえって後悔につながることも少なくありません。

「名古屋の塗装店」小林塗装では、流行色を一方的に勧めることはありません。
大切にしているのは、その住まいの佇まい、周辺環境、そしてお客様がこれからどんな時間を過ごしていくのか、という視点です。

外壁塗装は、一度塗れば終わりではなく、これからの暮らしを静かに支え続けるバックボーンになります。
だからこそ、色は「流行」で決めるのではなく、「時間」で考える必要があり、その考え方こそが10年後、15年後の満足度につながる、いちばん確かな近道だと当店は考えています。

流行色で失敗が起きやすいのは、色が悪いからではありません。
「流行に乗ると失敗する」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれませんが、ここでお伝えしたいのは、流行色そのものが悪いという話ではありません。

10. 10年後も後悔しない色選びは「3つの基軸」で決まります

10年後も後悔しない色選びは「3つの基軸」で決まります イメージ

流行に左右されず、10年後も「この色で良かった」と思える色選びには、コツがあります。
ポイントは、センスよりも基準を持つこと。

小林塗装では、次の3つを特に大切にしています。

1)家の「素の条件」に合うか(形・素材・付帯部分)

外壁の色は単体で選ぶものではありません。

屋根、サッシ、雨樋、破風、玄関ドア・・・すべてと並んだときに成立します。
同じグレーでも、家によって「上品」にも「重たく」も見えるのは、ここが理由です。

2)環境に合うか(光・汚れ・周辺との調和)

南面が強く日が当たる家、交通量が多い道路沿い、植栽が多い立地。
住まいの環境によって、汚れ方も、色の見え方も変わります。
「流行色」を「自分の家の正解色」にするには、環境の読み取りが欠かせません。

3)時間に耐えるか(5年後・10年後の表情)

塗り替え直後だけきれいでも、満足度は続きません。

色あせ・艶の変化・汚れの出方まで含めて「変化が穏やかな色」を選ぶと、10年後に見上げたときの納得感が違ってきます。
「流行に振り回されたくない」という方ほど、この3つの基軸で整理すると、迷いが減っていくかと思います。

外壁は、服やインテリアと違って気軽に着替えることができないので、「好き」や「今っぽい」だけで決めてしまうと数年後にふと見上げたとき、「思っていたより派手だったかも・・・」「意外と汚れが目立つ・・・」と感じてしまうことがあるのです。

外壁の色は、今の気分だけで決めるものではありません。これからの暮らしの時間に対して、どれだけ自然に寄り添えるか。
そこが外壁塗装における本当の満足度を決めます。

流行色を取り入れること自体は、悪いことではありません。
ただ、流行をそのまま当てはめるのではなく、家のテイストに合わせてコーディネートことが大切です。

そして、色の判断は、カタログやスマホ画面だけでは、とても難しいです。
なぜなら「光の当たり方、外壁材の質感、屋根やサッシとの関係」実際の住まいを見たうえで、はじめて「似合う色」が見えてくるからです。

もし今、「流行には乗りたいけれど、10年後に後悔はしたくない」、「落ち着いて上品に見える色を、家に合わせて選びたい」そう思っているなら、まずは住まいの状態を一緒に確認してみませんか。

小林塗装では、劣化状態の診断だけでなく、屋根・サッシ・周辺環境まで含めた「色の相性」も踏まえて、「時間が経っても崩れにくい色」を提案しています。(現地調査・診断・見積りは無料です)

流行に振り回されない外壁塗装の色選びとは?
おしゃれな外壁塗装の施工例50選 まとめ

外壁塗装なら流行に流されない おしゃれな色を創り続ける小林塗装にお任せください

外壁塗装は「30年長持ち!」ではなく、お客様のお家の状態を見極めて塗装工事を行う「小林塗装」へ イメージ

「名古屋の塗装店」小林塗装は、デザイン性・耐久性・安心を三位一体で提案しつつ、外壁塗装を通じて、数字以上に意味のある「本当に満足できる30年」を創ります。
30年安心を目指すお客様に、根拠ある提案とお客様にとって信頼できるパートナとしてお気軽に相談ください

外壁塗装【無料診断・見積りはこちら】

外壁塗装の流行色の変遷 コラム筆者 小林塗装 店主 小林ゆず

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、コラム「外壁塗装を30年長持ちさせる方法」の筆者で、名古屋を拠点に「塗装工事の専門店」としてこれまで数多くの現場に携わり、30年以上に亘って培ってきた豊富な知識と経験を大切にしてきました。
当店のホームページでは、そうした多く経験の積み重ねから得た確かな技術やノウハウを、外壁・屋根・室内など塗装を検討されている一般のお客様に分かりやすくお伝えできるよう、コラムというカタチで発信しています。

塗装工事は、多くのお客様にとって一生のうちに何度も経験することではなく、「どの塗料を選べば安心なのだろう?」「そもそも何年くらいで塗り替えるのがいいの?」といった疑問や不安が尽きないものだと思います。
だからこそ、自分自身が専門家としての知識を惜しみなく共有しながら、どなたにも気軽に読んでいただける言葉で、少しでも安心や納得につながる情報をお届けすることを心掛けています。

これからも初めて塗装工事を検討される方はもちろん、ちょっとした疑問を感じている方にも、肩ひじ張らずに読んでもらえる情報を発信し続け、住まいに寄り添う塗装の専門家としてお役に立てたら嬉しいです。

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