

外壁吹付けリシンの特徴と注意点
吹き付けリシンとは、各種のリシン材に寒水石や軽量骨材などを混ぜて、専用のスプレーガン(リシンガンや万能ガン)で外壁に吹き付ける塗装工法です。
吹付けリシンの仕上がり感は、砂壁のようなザラっとした質感が特徴で、光の当たり方によって陰影が生まれ、落ち着いた表情のある外観に仕上がります。
今回は、そんな吹付けリシンについて、「名古屋の塗装店」小林塗装が、わかりやすく丁寧にお伝えします。
吹き付けリシンは、通気性が良く、モルタルやサイディングの外壁にも幅広く対応できる優れた仕上げ方法で、比較的コストを抑えて施工できるという点も魅力の一つです。
ただし、メリットだけでなく、耐久性や汚れやすさなどの面でのデメリットもあるので、リシンの新築塗装や塗り替え工事を検討する際には、両方の特徴をきちんと理解しておくことが大切です。
このコラムでは、吹き付けリシンの種類をはじめ、塗り替え時におすすめの塗料や注意点、さらに気になる塗装価格の目安についても詳しく解説しています。
外壁のリシン仕上げを塗り替えたいとお考えのお客様は、ぜひ参考にしてください。
- ・ 外壁塗装 吹付けリシンの特徴や注意点
1. そもそも、「外壁塗装の吹付けリシン」って、何?
住宅の外壁仕上げ塗装によく利用されているモルタル壁は、モルタル自体には防水の機能はありません。
そのため、外壁の一番外側に防水の役目をする表面化粧材で「リシン」を吹付け塗装することがあります
リシンとは、細かく砕かれた珪砂、陶石、軽量骨材などとエマルション、アクリル樹脂、着色顔料を混ぜて作られた塗料で、主成分の樹脂にはアクリル樹脂が使われる事が多く、最近では耐候性や耐汚染性を向上させたシリコンエマルション系(アクリルシリコン系)のリシンも頻繁に使われています。
吹き付けリシンは、模様を作る骨材が多く含まれるので、リシンの表面はザラザラとした仕上がりになります。
吹き付けリシンの工法は、リシンガンを使って吹き付ける工法と、鏝でリシン材を塗り付けてから剣山などを使い、引っ搔いて模様を付ける「掻き落とし仕上げ」、スチップルローラーで仕上げるローラーリシン仕上げの3種類があります。
(なお、左官による掻き落とし仕上げは、現在の住宅塗装でほとんど見ることはできず、築40~50年経過した住宅の玄関先、浴室などで稀に見ることができます。)
こういったリシン仕上げは、落ち着いた高級感ある仕上がりになることから、和風住宅、和モダン住宅、モルタル住宅などで見られます。
外壁吹付けリシンの主な種類
- ・ アクリルリシン 耐用年数=4~6年
- ・ 陶石リシン(スキン、セラミックリシン)耐用年数=7~8年
- ・ 弾性リシン(アクリル弾性リシン)耐用年数=5~6年
- ・ シリカリシン(ケイ酸質系リシン)耐用年数=6~7年
- ・ 撥水リシン 耐用年数=4~6年
- ・ アクリルシリコンリシン 耐用年数=6~7年
- ・ 改修用リシン (塗り替えローラー用)耐用年数=6~7年
- ・ ハルス配合砂壁調改修用塗材(塗り替えローラー用 最近、用されています。) 耐用年数=10~12年
- ・ フッ素・ハルス配合砂壁調改修用塗材(塗り替えローラー用) 耐用年数=12~15年
外壁吹付けリシンの仕上がり形状
- ・ 色は自由に選べます。
- ・ つや消しの落ち着ついた仕上がりになります。
- ・ リシン粒の大きさ 1厘~5厘
2. 外壁を吹付けリシン仕上げにする6つのメリット
次に、吹付けリシンを行う6つのメリットを分かりやすくお伝えします。
外壁吹付けリシン メリット1. 新築時の施工コストが安いです
吹付けリシンを新築の外壁塗装仕上げに使用すると、工事価格はアクリル系塗料と同程度の1㎡=800~1,200円なので、他の外壁塗料に比べると、かなり安く塗装できます。
外壁吹付けリシン メリット2. 施工期間が短くて済みます
吹き付けリシンのメリットの一つは、吹付け仕上げなので、施工のスピードが早く、広い面積でも短時間で仕上げられることができます。
外壁吹付けリシン メリット3. リシンは通気性が良く、日本の木造住宅と相性が良いです
吹付けリシンには通気性(透湿性)が高いという大きなメリットがあります。
その性質から、躯体に湿度を溜め込まずにそのまま外に逃すことができるので、躯体内部の腐食劣化を防ぐことができます。
特に外壁材がモルタルの木造住宅の場合、内部に水分が侵入すると、木材が腐食する原因になります。
こういった場合、吹付けリシンを行う事で通気性が良い外壁になって、壁面の耐久性をアップさせたり、外部からの防水性を高めたりすることができます。
そのため、外壁材にモルタルを使った木造住宅の場合には、吹付けリシン仕上げがおすすめです。
外壁吹付けリシン メリット4. リシンは建物の外観が落ち着いたイメージになります
吹き付けリシン仕上げは、艶のないマットな塗料に細かい骨材(砂のような粒)を混ぜて吹き付ける工法です。
塗装後は、表面にその骨材が浮き出ることで、ザラザラとした砂壁のような質感になり、塗装面に自然な陰影が生まれます。
この陰影があることで、のっぺりとした印象ではなく、落ち着きのある立体感が出て、上品な雰囲気の外壁に仕上がるのが特徴です。
光の当たり方によって表情が変わるため、見る角度や時間帯によって違った美しさを楽しめるのも魅力のひとつです。
外壁吹付けリシン メリット5. リシンに配合させる砂の種類によって、表情を変えることができます
リシン吹き付け仕上げは、使う骨材(こつざい)の種類や粒の大きさを変えることで、仕上がりの雰囲気を自由に変えられるのが大きな特徴です。
たとえば、寒水石(かんすいせき)と呼ばれる骨材は、粒のサイズによって表面のざらつき具合が変わってきます。
粗めの5厘だとややラフで陰影が出やすく、細かい1厘だと繊細でやさしい感じに仕上がります。
そのほかにも、軽い素材の骨材(EVA原料=エチレン酢ビ発泡品)を使えば建物への負担を軽減できますし、リシンベースに自然石を混ぜると高級感のあるナチュラルな風合いにもなります。
つまり、リシン仕上げといっても「どれも同じ」ではなく、骨材の選び方しだいで、仕上がりのイメージをぐっと変えることができます。
外壁吹付けリシン メリット6. リシンに様々な機能を持たせることができます
吹き付けリシンにはさまざまな種類があり、建物の用途や希望に合わせて機能を選べるのも大きな特長です。
たとえば、弾性タイプでひび割れに対応したり、撥水性や通気性を持たせて湿気に強くしたり、
不燃・低汚染・防カビ・防藻といった性能を加えることもできます。
機能性と意匠性をバランスよく備えた仕上げ材として、リシン吹き付けは今も根強い人気があります。
3. 外壁吹付けリシン 3つのデメリット
吹付けリシンを行った後に後悔しないためにも、リシン塗装を行う前にデメリットを確認しましょう。
吹付けリシンのデメリットを知っていると、予め対策することができます。
外壁吹付けリシン デメリット1. 一般的なリシンは、耐候性が低く、ひび割れが発生しやすいです
吹き付け工法で行うリシン塗装は、どうしても塗膜が薄くなります。
そのため、ひび割れしやすいというデメリットがあります。壁面にひび割れができると、そこから雨水が侵入してしまい、躯体劣化の大きな原因となります。
そして、新築工事に使われる吹付けリシンは、一般的にアクリル樹脂が主成分なので耐久性が低く、耐用年数は5~6年程度とそれほど長くありません。
そのため、定期的にひび割れが発生していないかを確認し、適切な補修を行ったり、塗装を行ったりする必要があります。
ただし近年では、高耐久型のシリコンエマルション弾性リシンも開発されていますので、耐用年数を長くしたい場合はそういった塗材を選定する必要があります。
外壁吹付けリシン デメリット2. リシンは、外壁の汚れが目立ちやすいです
リシン塗装の特徴である凸凹した壁面は、その凸凹部分に雨水や汚れが溜まりやすいというデメリットがあります。
その凹凸部分に汚れや雨水が溜まると、壁面の美観が損なわれるだけでなく、そこにカビや藻が発生してしまいます。
リシン面にカビや藻が発生すると、見た目が悪いだけでは無く、塗装や壁面の耐久性も著しく下がってしまい、外壁に雨染みができると、外壁の見た目も著しく悪くなります。
特にアクリル弾性リシンは汚れが付きやすいです。
なお吹付リシンの中でも、シリカベース(ケイ酸質系)、アクリルシリコン系のリシンは汚れが付きづらいです。
外壁吹付けリシン デメリット3. リシン塗り替えは塗料の選定が難しいです
もともと吹き付けリシンで仕上げられた外壁を塗り替える場合は、リシンに適した塗料を選ぶことがとても大切です。
もちろん、通常の塗料でも塗り替えは可能ですが、通気性(透湿性)の低いつや有り塗料を使ってしまうと、ちょっと注意が必要です。
その理由は、リシン仕上げの外壁は元来水分を逃がしやすい構造になっているため、その上から通気性の低い塗料で覆ってしまうと、内部にたまった湿気が逃げ場を失ってしまい、
ですので、リシン外壁の塗り替えには、透湿性に優れた塗料を使うことがとても重要です。
こういった理由から、吹付けリシンの外壁塗り替えを行う場合は、通気性が良い塗料を使うことをおすすめします。
4. 外壁吹付リシンのメンテナンス方法について
外壁モルタルに使われている吹付けリシンは、可とう性(ひび割れ追従性)が低いので、吹付け面に亀の甲状のひび割れが発生しやすく、そういったひび割れを見つけたらメンテナンスが必要です。
リシンの表面に発生している微細なひび割れ程度であれば問題ありませんが、外壁材がモルタルやALCで深いひび割れ(貫通クラック・構造クラック)の場合には、そこに水が浸入して内部の腐食が進んでしまうので、注意が必要です。
特に壁面の横に発生する長いひび割れは、水が躯体に侵入しやすいので注意しましょう。
そのような深いひび割れが発生している場合は、シーリング材を使用して補修を行います。
また、チョーキング現象が起こっていたり、耐用年数を超えていたりする場合には、外壁塗り替えも検討しましょう。
吹付けリシンの耐用年数が大幅に超えている場合、外壁下地の劣化状況を確認して補修をしっかり行ってから塗り直しを行わないと、更に劣化が進んでしまう可能性があるので注意が必要です。
5. 外壁吹付けリシンの作業工程
外壁リシンの塗り替えを行う場合の流れは、以下のような手順になります。

- 1. 足場を設置する
- 2. 外壁の高圧洗浄を行い、塗装下地を乾燥させる
- 3. 外壁のクラック補修やシーリング工事を行う
- 4. サッシ、土間、付帯部分など周囲の養生を行う
- 5. シーラー、微弾性フィラーなどを使って下塗りを行う
- 6. 各種アクリル、シリコン、無機など艶消し塗料で上塗りを行う
- 7. 手早く養生を取り外し、周囲の清掃を行う。
- 8. 足場を解体する
- 9. 完成
6. 外壁吹付けリシンの塗り替えには、どんな塗料がおすすめ?
リシン外壁の塗り替えでは、まず大切なのが下塗りです。
というのも、劣化が進んだリシン外壁は塗料の吸い込みが激しく、そのまま上塗りをしてもムラが出やすく、耐久性も悪くなってしまうからです。
そこで使用されるのが、通気性と耐アルカリ性に優れた「カチオンシーラー」という下塗り材です。
このシーラーは、仕上げ塗料の吸い込みを抑えつつ、古くなった下地を補強し、上塗り塗料の密着性を高めてくれます。
また、外壁に細かなひび割れや凹凸がある場合には、微弾性フィラーという厚みのある下塗り材を使うこともあります。
このフィラーは、ひびや小さな穴を埋めながら、塗膜に適度な柔らかさを持たせるため、後々のひび割れ対策としても有効です。
さらに、透湿性を持つ微弾性フィラーであれば、外壁内の湿気を逃がしつつ下地をしっかりカバーすることができます。
下塗り材には、このほかにも、シーラーとフィラーの両方の性質を持つ「サフェーサー」というタイプを使うケースもあり、
リシンと下地の状態に合わせて最適な材料を選ぶことが大切です。
そして上塗り塗料には、通気性があり、なおかつ弾性のある塗料を選ぶのがおすすめです。
特にモルタル外壁は、乾燥や温度変化によってひび割れが起きやすいため、塗膜が伸び縮みする弾性塗料なら、小さなひびにも対応しやすく、水の侵入を防ぐことができます。
また、交通量の多い場所や道路沿いなど、リシンに汚れが付きやすい環境では、低汚染タイプの塗料を選ぶのもおすすめです。
低汚染型の塗料は、雨水で汚れを洗い流しやすい性能があるため、長くきれいな外観を保つことができます。
吹付けリシンの外壁塗り替えに適した塗料 一例
・ シポロールM (JIS A 6909 外装薄塗材E)
マスチックローラーで仕上げるアクリルローラーリシンです。
・ ソフトロール (JIS A 6909 可とう形外装薄塗材E)
ウールローラーで仕上げるアクリル系砂壁状弾性リシン用塗材です。
・ シコクRP (UR都市機構適合品、保全工事指定材料 リフレッシュリシンペイント)
UR都市機構適合品、保全工事料に指定された外壁吹付リシンの塗り替え塗材です。
・ セラミクリーン艶消し (高耐久、低汚染型水性セラミックシリコン艶消し単層弾性塗材)
弾性タイプの外壁リシンの塗り替えに適した艶消しタイプの単層弾性塗料です。
・ セラミガードNEO、ビーズコート (撥水性超耐候形特殊シリコン変性樹脂塗料)
撥水性に優れるアクリルリシンの塗り替えにおすすめ!!
・ アートフレッシュシリーズ・ジョリパットフレッシュシリーズ・グラナダフレッシュシリーズ・ビーズコートシリーズ (土壁、砂壁改修用ラジカル制御型塗料)
外壁吹付リシンの塗り替えに一番おすすめ!!
・ セラミシリコン 艶消し (超耐久低汚染型1液水性セラミックシリコン樹脂系塗料)
水性シリコンつや消し塗料の定番リシンにもおすすめ
・ エスケープレミアムシリコンBIO艶消し (超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料)
外壁サイディング吹付リシンの塗り替えにおすすめ!!
・ エスケープレミアムシリコン艶消し・キクスイロイヤルシリコン艶消し (超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料)
外壁サイディング吹付リシンの塗り替えにおすすめ!!
・ 水性クリーンタイトSi艶消し・アレスダイナミックTOPクリーン (超低汚染セラミックハイブリッドシリコン樹脂塗料)
外壁吹付リシンの塗り替えにおすすめする超低汚染型の高級シリコン塗料!
※ その他 同等品は、多数あります。
7. 外壁吹付けリシンの塗装価格
吹付けリシンの作業価格(新築、塗り替え改修)の一例を紹介します。
外壁 吹付けリシンの主な種類と新築塗装、塗り替え改修 価格
- ・ アクリルリシン 1㎡=1,200~1,400円
- ・ 陶石リシン(スキン、セラミックリシン)1㎡=1,700~2,100円
- ・ 弾性リシン(アクリル弾性リシン)1㎡=1,350~1,550円
- ・ シリカリシン(ケイ酸質系リシン)1㎡=1,400~1,650円
- ・ 撥水リシン 1㎡=1,350~1,650円
- ・ アクリルシリコンリシン 1㎡=1,500~1,700円
- ・ 改修用リシン (塗り替えローラー用)1㎡=1,600~1,800円
- ・ ハルス配合砂壁調改修用塗材(塗り替えローラー用)1㎡=1,850~2,150円
- ・ フッ素、ハルス配合砂壁調改修用塗材(塗り替えローラー用)1㎡=2,500~2,900円
なお上記の外壁リシン塗装価格には、下地調整費、養生費用は含まれません。
吹付けリシンの外壁塗装でしたら 小林塗装にお任ください!!
名古屋市周辺で吹き付けリシンの外壁塗装をお考えでしたら、「外壁塗装のプロ」小林塗装にぜひお任せください。
リシン外壁ならではの質感を大切にしながら、汚れにくく、長く美しさを保てる塗り替えを提案します。
職人が一つひとつの工程を丁寧に仕上げ、お住まいに合った最適な塗装プランを、安心のお値打ち価格で施工しています。
「うちの外壁リシンもそろそろ…?」と感じたら、まずはお気軽に相談ください。
小林塗装が心をこめて、住まいをきれいに、そして長持ちするように仕上げます。
吹付けリシン外壁塗装の見積り・
相談は無料です。
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コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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