

シンナーの種類・特徴について
外壁塗装や屋根塗装‥塗装工事に使われている塗料の粘度を下げ、塗料を薄める目的で使われている各種シンナーの性質や特徴について、「名古屋の塗装店」小林塗装が分かりやすくお伝えします。
シンナーの種類・特徴・用途について詳しく知りたい方は詳しく説明していますので、ぜひご覧下さい。
1. シンナーの種類・特徴について
溶剤塗料を使う際にどうしても必要になってくるのが、「シンナー」という塗料を溶かす液体です。
シンナーを英語で書くと「thinner」で、thin(薄める)+(n)erで、薄めるものという意味を持っています。
塗料に使われるシンナーは、有機溶剤の混合物で、塗料に入っている樹脂の溶解力に合わせて、揮発速度を制御し、作業性、経済性‥シンナーを適度に加える事で塗料の性能を補ったり、塗料の性能を高めたりする事ができます。
つまりシンナーは、塗料の乾燥時間をコントロールしたり、塗料を塗りやすくしたりするには必要不可欠の液体と言えます。
このシンナーは、塗料ごとに色々な種類があって、塗料の種類や作業状況によって、使い分けをする必要があります。
全てのシンナーに共通する特徴として、独特の臭いを持ち、塗料に含まれる樹脂・セルロース誘導体・添加物を析出しない、平滑な塗面を与える‥があります。
さらに塗装用具の洗浄や、塗装面の油分を洗い流す‥といった使い方もあります。
そんなシンナーの主成分には、トルエン、酢酸エステル類、アルコール類‥が利用されており、シンナーの多くが第四類危険物に該当します。
ですから、使用時は安全データシート(SDS)をしっかり確認し、適用法令を把握する必要があります。
なお、トルエン‥シンナーに含まれる有機溶剤には中枢神経麻痺作用があり、シンナーが含まれた蒸気吸引によって、酔っ払い状態になってしまうので、シンナーの取り扱いには十分な注意が必要です。
次の項では塗装工事で使われる主なシンナーの特徴を詳しくお伝えします。
2. 塗料用シンナーの特徴・特徴について

塗装屋さんが一般的に使っているシンナーの種類は、塗料用シンナー(ミネラルスピリット)とラッカーシンナーの2種類が主に使われており、塗料の希釈や刷毛やカップガンなどの塗装工具類の洗浄、塗装を行った際に、汚してしまった部分などをキレイに掃除する場合に使用します。
油性塗料の希釈に使われるシンナーは、塗料の種類にもよりますが、最近の外壁塗装で頻繁に使われているNAD塗料(ノン アクア ディスパーション=非水エマルション塗料)を希釈する場合は、溶解力が最も弱い塗料用シンナーを使う事がほとんどです。
この塗料用シンナーの特徴は、ラッカーシンナーよりも乾燥が遅く、溶解力も弱いという点が挙げられます。
現在、建築塗装で使われる弱溶剤型のアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料、エポキシ塗料‥を希釈する際は、この塗料用シンナーを使います。
なお、弱溶剤で希釈される塗料は、溶解力の高い強溶剤(ラッカーシンナー、ウレタンシンナー‥)でも希釈する事はできますが、こうした場合は塗料の配合組成が破壊されてしまったり、強溶剤によって塗装下地を侵してしまったりする可能性があるので、絶対使用してはいけません。
低臭シンナー(環境対応型塗料シンナー) 特徴
低臭シンナー(環境対応型塗料シンナー)とは、環境に優しく安全性の高い溶剤を使用した塗料用シンナーの事です。
主に室内塗装で使用されるNADエマルション塗料の希釈に使用します。
また、低臭シンナーは、加工油の脱脂作業、樹脂の拭き取り、テープのり除去、青ニスの除去にも使用する事ができます。
3. ラッカーシンナー‥専用シンナーの種類・特徴について
次に強溶剤タイプのアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料、エポキシ塗料‥を希釈する際は、それぞれの樹脂の性質に合わせて成分を変えた各種専用シンナーを使います。
強溶剤型塗料をシンナーで薄める場合、その塗料専用にブレンドされた専用シンナーを使わないと、塗装の仕上がり感が著しく悪くなってしまったり、塗装がなかなか乾かなかったり、塗料が硬化不良してしまったりと、様々な不具合が発生してしまいます。
ウレタンシンナー 用途・特徴
ウレタンシンナーは、主にウレタン樹脂塗料を溶かす為に使われるシンナーの事で、ウレタンシンナーの溶解力は、ラッカーシンナーよりも弱いです。
ウレタンシンナーは、夏用、冬用、春・秋用の3種類に分けられており、気温によってシンナーを使い分けします。
ですから、ウレタンシンナーでラッカー系の塗料を溶かす事はできません。
また逆に、ラッカーシンナーでウレタン塗料を希釈すると、ラッカーシンナーに含まれるアルコールと非常に相性が悪く、凝集反応(ゼリー状になる)してしまうので、ラッカーシンナーでウレタンシンナーの代用は絶対できません。
なお最近では環境に配慮したキシレンやトルエンなどの厚生労働省指針値指定VOC(揮発性有機化合物)が含まれていないNTXウレタンシンナーも開発されています。
エポキシシンナー 用途・特徴
エポキシシンナーは、主にエポキシ樹脂塗料の希釈や塗装用品の洗浄に使用します。
各種シンナーの中でも、溶解力が特に高いのが特徴です。
塗装の作業方法が吹き付け工法か、刷毛塗り工法かによって、エポキシシンナーの希釈量が大きく異なるため、使用する際には注意が必要です。
なお、ラッカーシンナーでエポキシシンナーの代用はできません。
最近では環境に配慮したNTXエポキシシンナーもシンナーも開発されています。(但し、イソシアネート系エポキシ塗料は使用できません。)
アクリルシンナー 用途・特徴
アクリルシンナーとは、主にアクリル樹脂塗料を溶かす為に使われるシンナーの事です。
トルエンの配合量は、ラッカーシンナーよりも少なく、乾燥はラッカーシンナーよりも少し遅いです。
なお、ラッカーシンナーでアクリルシンナーの代用はできません。
ラッカーシンナー 用途・特徴

塗料用シンナーと並んでもう1つよく使われているラッカーシンナーは、通常の塗装工事で使われている塗料用シンナーより強い溶解力を持ち、揮発(乾燥)が早いといった特徴を持っています。
ラッカーシンナーは、芳香族炭化水素系(トルエン、キシレン‥)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル‥)、ケトン(アセトン、MEK‥)が主成分となっています。
このラッカーシンナーで塗料を希釈する事は、現在の建築塗装ではあまりありません。
なぜなら、最近の塗装では、溶解力が低い塗料用シンナーで希釈する弱溶剤タイプの塗料が使われているからです。
この様な弱溶剤タイプの塗料に、ラッカーシンナーを使用すると溶解力が強すぎて、塗料の配合組成が破壊されてしまいます。
ラッカー塗料の希釈以外の用途は、主に油性用の刷毛を洗ったり、カップガン、エアレス、ホース‥といった塗装機類を洗浄する際や塗料が完全に乾燥してしまった部分をキレイに掃除する際に使用します。
また、ラッカーシンナーも塗装工事の際、塗料で汚れてしまった部分を掃除するのに使えますが、焼付け塗装のサッシ周りや樹脂部分‥をラッカーシンナーで強く拭いてしまうと、塗装の色が剥がれてしまったり、塗装面が曇ってムラムラになってしまったりするので、予めテスト施工を行ってから慎重に使用する必要があります。
洗浄用シンナー 用途・特徴
洗浄用シンナーは溶解力に主点を置いたシンナーです。
洗浄用シンナーには揮発が早い溶剤が多く含まれているので溶解力が強い傾向があります。
洗浄用シンナーは再生品を利用しているので、組成にばらつきがあり、使用する際には注意が必要です。
なお最近では環境に配慮したNTX洗浄用シンナーも開発されています。
シンナーの種類、特徴について まとめ
いかがでしたでしょうか?「シンナー」と一言で言いましても、様々な種類・特徴があります。
このコラムでお伝えしたい事は、なんでも使える「万能シンナー」は無いという事です。
ですから、正しいシンナーの使い方・使い分けをする事によって高品質な塗装を行いましょう。
塗装工事なら「名古屋の塗装店」小林塗装にお任せ下さい。
各種塗料に合った適切なシンナーを使用した上質な仕上がり感の塗装をお求めのお客様は ぜひ『名古屋の塗装店』小林塗装にお任せ下さい。品質本位・お値打ち価格で承ります。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラム作成をしています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁・屋根・室内‥塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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