外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装をおしゃれに仕上げる方法
「せっかくレンガ調や石積み調のサイディングを選んだのに、塗り替えたら一色になってしまうのは少し寂しい。・・・」
外壁塗装を考え始めたお客様から、こうした相談をいただくことがあります。
窯業系サイディングには、レンガ、タイル、天然石、木目などを思わせる美しい凹凸模様があります。
でも、一般的な単色塗装では、色あせや傷みはきれいに直せても、もともとあった細かな陰影や色の重なりまで再現することはできません。
そこで選択肢になるのが、外壁ダブルトーン塗装や外壁トリプルトーン塗装です。
ただし、単純に二色、三色の塗料を使えば、おしゃれでリアルに見えるわけではありません。
色の明るさ、色相、彩度、凹凸の深さ、ローラーに含ませる塗料の量、押さえる力、塗る方向、色を散らす密度。
これらの色がほんの少し違うだけで、仕上がりは天然石のようにも、人工的なまだら模様にも見えます。
ダブルトーン・トリプルトーン塗装を美しく仕上げるために最も重要なのは、塗る色数ではなく、色の主従関係と施工の再現性です。
このコラムでは、サイディング外壁の立体感を生かし、派手すぎず、品よく、そして本物の素材に近い表情へ仕上げるための考え方を現場の視点から詳しくお伝えします。
- ■ ダブルトーン塗装とトリプルトーン塗装の違い
- ■ 多彩模様を自然でリアルに見せる色選び
- ■ 施工に向いているサイディングと向いていない外壁
- ■ ベース色・面色・アクセント色の決め方
- ■ ローラーの毛丈、塗料の含み量、押さえる力の考え方
- ■ 角、目地、窓まわりをきれいに納める方法
- ■ 人工的なまだら模様に見える原因
- ■ 試し塗りと施工管理が重要な理由
- ■ 業者選びで確認したいポイント
1. 外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装を美しく仕上げる結論
外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装を、よりおしゃれでリアルに仕上げるためには、次の五つが重要です。
- ■ サイディングの凹凸に合った施工方法を選ぶ
- ■ ベース色・面色・アクセント色の役割を明確にする
- ■ 色の差を強くしすぎず、共通する色味を持たせる
- ■ ローラーの塗料含み量と押さえる力を一定にする
- ■ 本施工前に大きな試し塗りを行い、仕上がりを共有する
多彩模様の塗装工事でありがちな誤解は、「色数が多いほど高級に見える」という考え方です。
実際には、色を増やしすぎたり、濃淡差を強くしすぎたりすると、外壁全体が少し落ち着かない印象になってしまい、建物本来の形が見えにくくなります。
きれいなダブルトーン・トリプルトーン塗装は、三色が同じ声量で話しているのではありません。
一色が全体を整え、もう一色が立体感をつくり、最後の一色が静かに表情を添える。
このバランスが取れることで、外壁は自然に見えます。
また、近くで見たときの細かさだけでなく、道路から見たとき、庭から見たとき、朝夕の斜めの光が当たったときまで想像する必要があります。
リアルな仕上がりとは、派手な技法を見せつけることではなく、住まいの外観を見たときに「おしゃれだな」と感じさせる仕上がりです。
2. 外壁ダブルトーン塗装とトリプルトーン塗装の違い
ダブルトーン塗装とトリプルトーン塗装は、主に窯業系サイディングの凹凸を生かして、複数色の表情をつくる塗装方法です。
ダブルトーン塗装は、基本となるベース色を外壁全面に塗り、その上から凸部に二色目を塗り重ねる施工方法です。
凹部に残る色と凸部に乗る色の違いによって、タイルやレンガ、石積みのような陰影が生まれます。
例えば、目地部分をやや濃いグレー、表面を明るいグレージュにすると、石材の継ぎ目に影が落ちたような立体感を表現できます。
トリプルトーン塗装は、ベース色と二色目に加えて、さらに三色目のアクセント色を部分的に重ねる方法です。
三色目は外壁全面に均等に塗るのではなく、一部の凸部や模様だけに控えめに散らします。
天然石の色むら、焼きレンガの焼成差、経年による深みなどを表現しやすいことが特徴です。
| 比較項目 | ダブルトーン塗装 | トリプルトーン塗装 |
|---|---|---|
| 使用する色 | 基本二色 | 基本三色 |
| 外観の印象 | 端正でまとまりやすい | 深みと素材感を出しやすい |
| 向いている意匠 | タイル調、レンガ調、石積み調 | 天然石調、焼きむらのあるレンガ調、多彩柄 |
| 施工難易度 | 高い | より高い |
| 注意点 | 二色の境界が単調になりやすい | 三色が競い合うと派手になりやすい |
| おすすめの方向性 | 上品、シンプル、現代的 | 重厚、ナチュラル、素材感重視 |
どちらが優れているというものではありません。
建物のデザインがすっきりしている住宅では、ダブルトーンの方が洗練されて見えることがあります。
逆に石積み調やアンティークレンガ調の外壁では、トリプルトーンによる控えめな色の揺らぎがよく似合います。
色数ではなく、外壁模様と建物全体のテイストに合っているかを基準に選ぶことが大切です。
3. 外壁の多彩模様がリアルに見える仕組みについて
人は、単に色が複数あるから本物らしいと感じるわけではありません。
天然石やレンガ、木材がリアルに見えるのは、色、陰影、質感、模様の不規則さが重なっているからです。
サイディングの凹部は、実際の建物でも光が届きにくく、影になって見えます。
そのため、凹部となるベース色を少し暗くし、凸部を少し明るくすると、光と影の関係が自然に見えます。
ただし、暗色と明色の差が大きすぎると、外壁が碁盤目やスタンプ模様のように見えることがあります。
リアルさを出すには、はっきり違う二色を選ぶよりも、同じ系統の色の中で明るさやくすみ方を変える方がまとまりやすくなります。
天然石は、一枚ごとに色が少し違います。
レンガも、すべてが同じ赤茶色ではありません。
ところどころ濃く、ところどころ淡く、少し灰色が混ざっています。
トリプルトーン塗装では、この不規則さを意識して三色目を配置します。
ここで大切なのは、不規則に見せるために、適当に塗らないことです。
自然に見える不規則さには、一定のリズムがあります。
「同じ間隔で色を塗らない」「縦一列にアクセントを並べない」「すべてのブロックへ均等に三色目を入れない」
濃い色が集中する場所と、あえて何も入れない場所をつくる。
音楽でいう休符のような余白があることで、模様に呼吸が生まれます。
外壁を近くで見ると美しくても、少し離れて見たときに施工区画ごとの境界が見えることがあります。
例えば、足場の一段ごとに色の濃さが違う、窓を境に模様の密度が変わる、職人が交代した場所からタッチが変わるといったケースです。
多彩模様塗装では、部分的な完成度だけでなく、建物一面を一枚の大きな生地として捉える感覚が欠かせません。
リアルな仕上がりとは、近くで見た美しさと、離れて見た統一感が両立している状態です。
4. ダブルトーン・トリプルトーン塗装に向いているサイディング外壁
ダブルトーン・トリプルトーン塗装は、すべての外壁に適しているわけではありません。
仕上がりを大きく左右するのが、サイディング表面の凹凸です。
- ■ タイル調やレンガ調で、目地と表面の高低差が明確な外壁
- ■ 石積み調で、一つひとつの模様に立体感がある外壁
- ■ 凸部へ軽くローラーを当てたとき、凹部へ塗料が入りにくい外壁
- ■ サイディング自体の欠損や反りが少ない外壁
- ■ 過去の塗膜が安定し、密着不良が起きていない外壁
- ■ 表面がほぼ平らで、凸部と凹部の差が小さい外壁
- ■ 細かな砂目や櫛引き模様だけで構成された外壁
- ■ 表面の剥離、爆裂、欠損が多い外壁
- ■ 過去の厚塗りによって凹凸が埋まっている外壁
- ■ 補修材の形や高さが周囲と大きく違う外壁
凹凸が浅いサイディングへ無理に二色目を乗せると、凸部だけではなく凹部にも塗料が入りやすくなります。
その結果、模様がぼやけたり、ローラー跡が筋状に残ったりします。
また、サイディングの欠損部分を平らに補修しただけでは、周囲と同じ多彩模様を再現できないので、補修材の色を合わせるだけでなく、模様の高さ、目地の形、表面の粗さまで近づける必要があります。
| 外壁の状態 | 適性 | 考え方 |
|---|---|---|
| 凹凸が深く明確 | 適している | 凸部だけに色を乗せやすい |
| 凹凸が浅い | 要試験施工 | 二色目が凹部へ入りやすい |
| 表面が平坦 | 不向き | 単なるまだら塗装に見えやすい |
| 大きな欠損が多い | 慎重な判断が必要 | 補修部分の模様再現が難しい |
| 既存塗膜の剥離がある | 下地改善が先 | 意匠より密着性の確保を優先する |
小林塗装では、色を決める前に、まず「この外壁の凹凸で自然な二色・三色仕上げができるか」を確認することが大切だと考えています。
5. 外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装をおしゃれに見せる配色
多彩模様塗装の配色では、単体の色の美しさよりも、複数色を並べたときの関係性が重要です。
トリプルトーン塗装では、三色を次のように分けて考えると整理しやすくなります。
- ■ ベース色:目地や凹部に見える、全体の土台となる色
- ■ 面色:凸部の大部分を構成する、外壁の主役となる色
- ■ アクセント色:一部分に深みや変化を与える補助色
この三色を、すべて同じ面積、同じ強さで見せる必要はありません。
配色を考える際は、視覚的な目安として、主色を大きく、補助色を控えめに、アクセント色をさらに少なくします。
建物やサイディング模様によって変わりますが、考え方としては主役・脇役・ひとさじのアクセントです。
上品にまとめたい場合は、三色の色相を大きく変えず、明るさや濃さを変える方法がおすすめです。
例えば、黄みを含んだグレージュを主色にするなら、ベース色もアクセント色も、少し黄みを含んだグレーやブラウンから選びます。
メイン色だけ黄みがあり、ベース色が青みの強いグレー、アクセント色が赤みの強い茶色では、それぞれが別々に見えやすくなります。
三色の中に共通する色味を一つ持たせることで、外壁全体にまとまりが生まれます。
小さな色見本ではおしゃれに見える色も、外壁全面に使うと鮮やかに感じることがあります。
特にレンガ調だからといって、赤みの強い赤茶色を広い面積へ使うと、住宅地の中で外壁だけが前へ飛び出して見える場合があるので、少しグレーを含んだ赤茶、くすみのあるテラコッタ、黄みを抑えたブラウンなどを選ぶと落ち着いたイメージになります。
| 仕上げイメージ | ベース色 | 面色 | アクセント色 |
|---|---|---|---|
| 上品な天然石調 | 濃いグレージュ | 明るいウォームグレー | 落ち着いたトープ |
| やさしいレンガ調 | グレーベージュ | くすんだ赤茶 | 深みのあるブラウン |
| 現代的なモノトーン | チャコールグレー | ミディアムグレー | 黒に近いグレー |
| 明るい南欧風 | サンドベージュ | 淡いオレンジベージュ | くすんだテラコッタ |
| ナチュラルな木石調 | ブラウングレー | ライトブラウン | 焦げ茶 |
外壁の三色だけを見て決めると、建物全体では色が多くなりすぎることがあります。
住宅には、外壁以外にも屋根、サッシ、玄関ドア、雨樋、破風、軒天、基礎、門塀、植栽などの色があります。
例えば、玄関ドアが赤みのある木目色なら、外壁のアクセント色にも少し赤みを持たせると、外観が自然につながります。
反対にサッシが青みのあるブラックやステンカラーの場合は、外壁を黄みの強い色だけで構成すると、何だか違和感が残ることがあります。外壁の色選びは、壁を選ぶ作業ではなく、住まい全体をコーディネートする作業です。
6. 外壁ダブルトーン塗装を支える下地処理とベース塗装
ダブルトーン・トリプルトーン塗装は、最後に行う意匠仕上げだけが注目されがちです。
しかし、長持ちするかどうかを決めるのは、その下にある下地処理と基本塗膜です。
凹凸の深いサイディングは、目地や凹部にほこり、藻、カビ、排気ガス汚れが残りやすい外壁です。
表面だけを急いで洗うと、凹部に汚れが残り、下塗りの密着不良につながる可能性があります。
一方で劣化したサイディングへ強すぎる水圧を近距離から当てると、表層を傷めることもあります。
外壁の状態に応じて、水圧、ノズルとの距離、角度を調整しながら洗浄することが大切です。
凸部が欠けたまま塗装すると、二色目や三色目が欠損部分へ不自然に入り込みます。
ですから補修する際は、穴を埋めるだけではなく、周囲の模様に合わせて表面の高さや粗さを整えます。
細かな凹凸を完全に再現することが難しい場合は、目立ちにくい位置まで補修範囲を広げたり、アクセント色の配置を調整したりする方法もあります。
下塗りには、既存塗膜との密着、吸い込み止め、下地強化、細かな不陸調整などの役割があります。
サイディング表面が脆弱になっている場合と、既存塗膜が硬く吸い込みの少ない場合では、適する下塗り材が異なります。
いくら多彩模様にしたいからといって、意匠性だけを優先して、下塗り選定を簡略化しては絶対にダメです。
二色目や三色目は、凸部へ薄く部分的に乗せることが多いため、それだけで外壁全面の耐久性を確保するものではありません。
基本となるベース塗装では、塗料メーカーが定める塗布量、乾燥時間、塗り重ね回数を守り、外壁全面へ均一な保護膜をつくります。
デザイン色は、保護膜を省略するための塗装ではなく、適切な保護膜の上に表情を加える工程です。
見た目が複雑な塗装ほど、見えなくなる基本工程を丁寧に行うことが重要になります。
7. 外壁ダブルトーン塗装をきれいに仕上げる施工方法
ダブルトーン塗装の二色目は、一般的な外壁塗装と同じ感覚でローラーを転がすと、凹部まで塗料が入り込んでしまいます。
必要なのは、塗るというよりも、凸部へ色を置いていく感覚です。
二色目を塗る際は、ローラーへ塗料をたっぷり含ませるのではなく、塗料皿やネットで余分な塗料を十分に切ります。
ローラーの内部まで塗料が充満していると、少し押さえただけでも塗料が凹部へ流れ込みます。
ただし、塗料を切りすぎると、ローラーが乾いてかすれ、細かな点状のむらが増えます。
こういった場合、塗料を含ませる量は、外壁の凹凸、ローラーの材質、気温、塗料粘度によって調整します。
ローラーをあまり強く押しつけすぎると、毛が凹部まで届いてしまいます。
そのため、二色目はローラーの自重を利用し、凸部へ軽く触れさせるように転がします。
腕の力で押し込むのではなく、肩と肘の力を抜き、ローラーを外壁へ置くような感覚です。
ただし、力を弱くするだけでは、施工者によって色の乗り方が変わります。
ローラーの角度、速度、一往復の距離まで、ある程度そろえる必要があります。
広い面を一気に塗ると、塗料の含み量が減るにつれて、始点と終点で色の濃さが変わります。
適切な大きさに区切りながら、数回ローラーを動かすごとに外壁から離れて確認します。
近くでは均一に見えても、数メートル離れると縦筋や濃淡が見えることがあります。
ローラーへ塗料を補給した直後は、最初に触れた場所へ色が多く付きます。
そのまま塗装し終えると、塗り始めだけ濃い模様になってしまいます。
まず凸部へ塗料を置いて、その後、塗料の少なくなったローラーで周囲へ軽く塗り広げながら、色の密度を整えます。
このとき、何度もこすり続けると塗膜が乾き始め、ローラー跡や艶むらが発生しやすくなります。
ダブルトーン塗装では、色の付き方を完全に均一にしすぎると、機械で印刷したような平坦なイメージになることがあります。
一方で、大きな濃淡差が残ると施工ムラに見えてしまいます。
ですから目指すイメージは、全体として統一されている中に、わずかな色の揺らぎがある状態です。
この「そろえすぎず、乱しすぎない」加減が、ダブルトーン塗装の難しさであり、職人の技術やセンスが表れるところです。
8. 外壁トリプルトーン塗装を自然でリアルに仕上げる方法
トリプルトーン塗装では、二色目までできれいに整った外壁に三色目を加えます。
三色目は、外壁をさらに目立たせる色ではなく、二色では表現しにくい深みを補う色です。
三色目を一つひとつの模様へ均等に入れると、規則的な水玉模様や市松模様に見えることがあります。
一部には色を入れ、一部には入れない。
二つ続けて色を入れた後、数個空ける。
大きな模様には少し広く、小さな模様には点のように入れる。
自然素材を観察すると、色の変化は均等ではありません。
濃い部分がまとまっている場所もあれば、ほぼ同じ色が続く場所もあります。
三色目は面積が少ないため、つい濃い色や鮮やかな色を選びたくなります。
でも、外壁は面積が大きく、少量のアクセントでも思った以上に目立ちます。メインとなる色より少し暗い色、少しグレーがかった色、少し温度感の違う色など、わずかな差から検討する方が上品にまとまります。
黒、白、鮮やかな赤など、対比の強い色を使う場合は、使用面積をかなり絞る必要があります。
二色目が十分に乾燥していない状態で三色目を重ねると、下の色が引っ張られたり、混ざったりする場合があります。
表面だけが乾いて見えても、気温、湿度、日当たり、塗膜厚によって内部の乾燥状態は異なります。
メーカーが定める塗り重ね可能時間を守って、指触乾燥だけに頼らず適切に判断しましょう。
出隅、入隅、窓まわりは、刷毛や小さなローラーを使うため、塗料が多く付きやすい部分です。
濃いアクセント色が建物の角へ連続すると、外壁の輪郭だけが太く見え、少し重たい印象になります。
角部は、面全体より少し控えめに色を置き、正面と側面の模様が自然につながるよう、丁寧に調整します。
施工前には、実際の天然石、レンガ、タイルなどの写真を確認することも役立ちます。
ただし、写真の模様をそのまま再現するのではありません。
色の重なり方、濃い部分の割合、影の入り方、隣り合う素材の違いを観察し、外壁の凹凸へ置き換えます。
トリプルトーン塗装は、三色塗る技術というより、自然素材の表情を読み取り、必要な部分だけを外壁へ写し取る技術です。
9. ダブルトーン・トリプルトーン塗装のローラーと道具選び
多彩模様塗装では、塗料だけでなく、ローラーの毛丈、硬さ、材質、幅によって仕上がりが変わります。
短毛ローラーは、凸部だけに塗料を乗せやすく、比較的シャープな模様をつくりやすい道具です。
ただし、外壁の凹凸が細かい場合や塗料粘度が高い場合は、塗料が点状に付き、かすれが目立つことがあります。
硬めのローラーは、凹凸の高い部分へ均一に接触しやすく、凸部の輪郭を拾いやすい特徴があります。
一方で、強く押さえると塗料が一気に広がるため、施工者の力加減が仕上がりへ直接表れます。
模様によっては、スポンジ、特殊パターンローラー、小型ローラーを使うことがあります。
石材のような点在する色むらをつくりたい場合には良いのですが、スポンジ跡が同じ形で繰り返されると、かえって人工的に見えてしまいます。
道具の形を転写するのではなく、跡を重ねたり、向きを変えたり、部分的にぼかしたりする工夫が必要です。
窓まわり、入隅、ローラーが入らない細部は刷毛やスポンジで塗ります。
ただし、刷毛で普通に塗りつぶすと、その部分だけ色が濃く、平らに見えます。
塗料を少なく含ませた刷毛やスポンジで軽くたたく、毛先だけを当てる、小型ローラーで周囲になじませるなど、面部と同じ質感に整えます。
| 道具 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 短毛ローラー | 凸部を明確に拾いたい場合 | かすれや点状むらに注意 |
| 硬めのローラー | 高い凸部へ均一に色を乗せる場合 | 押さえすぎると凹部へ入る |
| 小型ローラー | 窓まわり、狭い面、補修部分 | 大ローラーとの模様差に注意 |
| スポンジ | 不規則なアクセントを付ける場合 | 同じ形を繰り返さない |
| 刷毛 | 入隅、端部、細部 | 塗りつぶした質感になりやすい |
同じ種類のローラーでも、新品と使い込んだローラーでは、塗料の含み方や毛の立ち方が違います。
一面の途中でローラーを交換すると、交換前後で模様が変わる可能性があります。
使用する道具を事前に決め、施工途中で変更する場合は、目立ちにくい区切りから切り替えることが大切です。
10. 外壁の角・窓まわり・補修部分をきれいに納める方法
ダブルトーン・トリプルトーン塗装では、広い平面よりも、角や窓まわりの方が難しい場合があります。
建物の角では、正面から転がしたローラーと、側面から転がしたローラーが重なります。
重なり部分へ塗料が多く付くと、角だけ色が濃くなります。
出隅をまたいで強く転がすのではなく、それぞれの面から軽く近づけ、最後に小型ローラーや塗料の少ないローラーでなじませます。
サッシまわりは養生テープがあるため、ローラーが端まで入りにくくなります。
その結果、窓の周囲だけ二色目が薄い、または刷毛で補った部分だけ濃いという帯状のむらが出ることがあります。
刷毛で先に塗りつぶすのではなく、面部と同じ塗料量になるように少量ずつ色を置き、小型ローラーで周囲へつなげます。
ダブルトーン塗装では、目地や凹部にベース色を残すことで立体感が生まれます。
二色目が目地へ入りすぎると、模様の輪郭がぼやけます。
特に縦目地や横目地が浅い外壁では、ローラーの端部が当たりやすいため、ローラーの角を浮かせるように操作します。
既存外壁の欠損を補修した部分は、周囲と凹凸が少し違うことがあったり、色を調色しても、光の当たり方が違えば補修跡が見える場合があります。
施工前にお客様へ「どこまで自然になじませられるか」を説明し、必要に応じて一枚単位の張り替えや目立ちにくい位置まで塗装範囲を広げる方法を検討します。
多彩模様塗装では、目立つ部分をきれいに塗るだけでなく、端部をどれだけ自然に納められるかが、完成度を左右します。
11. 外壁ダブルトーン塗装は大きな試し塗りと施工管理が重要です
ダブルトーン・トリプルトーン塗装では、小さな色見本帳だけで完成形を判断することは困難です。
同じ色でも、凹部に使う場合と凸部に使う場合では見え方が変わります。
凹部は影が重なるため、実際の塗料色より暗く見えやすく、凸部は光を受けるため明るく見えます。
さらに、艶の反射や外壁の粗さによっても印象が変わります。
できれば実際のサイディングと同じ凹凸を持つ見本板を用意し、ベース色、面色、アクセント色を施工した状態で確認します。
小さな見本では、三色の配置バランスや繰り返し模様を判断しにくいため、可能な限り大きな試し塗りを行います。
A3程度以上の見本や、実際の外壁の目立ちにくい場所へ試験施工すると、道路から見た印象まで確認しやすくなります。
朝、昼、夕方、晴天、曇天では色の見え方が変わるため、一度見ただけで決めず、時間帯を変えて確認することもおすすめです。
試し塗りでよい仕上がりになっても、本施工で同じ方法を再現できなければ意味がありません。
- ■ 使用した塗料名と色番号
- ■ 塗料の希釈率
- ■ 使用したローラーの種類と毛丈
- ■ ローラーへ含ませる塗料量
- ■ 一度に施工する面積
- ■ 二色目・三色目の配置密度
- ■ 乾燥時間と当日の気温・湿度
これらを写真や施工指示書へ残しておくと、職人が複数いる場合でも仕上がりを共有しやすくなります。
ローラーの押さえ方や速度には、職人ごとの癖があります。
広い外壁を複数人で塗る場合は、いきなり横並びで施工するのではなく、最初に同じ試験面を塗り、模様の密度をそろえます。
可能であれば、一つの壁面は同じ職人が担当した方が、仕上がりを統一しやすくなります。
試し塗りは色を選ぶためだけではなく、完成品質を現場全体で共有するための設計図です。
12. 外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装の失敗例と注意点
多彩模様塗装は、施工直後には華やかに見えても、少し離れて見ると不自然さが目立つ場合があります。
白と黒、明るいベージュと濃いこげ茶など、明暗差の大きい色を全面へ使うと、模様の輪郭が強調されすぎます。
建物が小さく分割されて見えたり、外壁だけが落ち着かない印象になったりします。
対策としては、同じ色相の中で明度差を調整し、試し塗りを道路側から確認します。
ローラーへ塗料を含ませすぎる、強く押さえる、毛丈が長すぎるといった原因で、二色目が目地部分や凹部分へ入ってしまいます。
凹凸の境界がぼやけ、ダブルトーンの立体感が失われてしまいます。
塗料量、ローラー、押さえる力を見直し、必ず試験施工を行います。
一つ置き、二つ置きと機械的に三色目を配置すると、自然素材ではなく人工的なパターンに見えます。
色を入れる場所と入れない場所をつくって、大小のバランスを意識します。
東面と南面、足場の上段と下段、職人が交代した区画などで、模様の密度が変わることがあるので、施工する前に基準となる見本を決め、作業中も定期的に離れて何度も確認しましょう。
欠損補修後の模様が周囲と違う場合、色を重ねても光の反射が変わり、補修部分が目立ちます。
補修段階で凹凸を近づけることが必要で、もし難しい場合は、補修跡を完全に隠せると安易に説明しない誠実さも大切です。
異なる塗料や異なる艶を安易に組み合わせると、色よりも反射の差が目立つことがあり、晴れた日に斜めから見ると、部分的な艶むらとして見える場合もあります。
ですから、原則としてメーカーが適合を確認した同一仕様内で色を組み合わせます。
二色目や三色目を濃く見せようとして塗料を厚く重ねると、凹凸が埋まり、意匠性が低下します。
乾燥不良や塗膜の縮み・膨れにつながる可能性もあります。
多彩模様塗装は、色を足す技術であると同時にどこで止めるかを冷静に判断する技術も必要です。
13. 外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装の費用と業者選び
ダブルトーン・トリプルトーン塗装は、一般的な単色塗装よりも工程と管理項目が増えるため、費用も高くなる傾向があります。
- ■ 二色目・三色目の塗料と施工手間が増える
- ■ 試し塗りや色調整に時間がかかる
- ■ 小型ローラーや特殊道具が必要になる
- ■ 窓まわりや角部の細かな作業が増える
- ■ 施工中の確認と手直しに時間がかかる
- ■ 職人の熟練度が仕上がりへ大きく影響する
価格だけを比べる場合は、見積書にどこまでの工程が含まれているかを確認してください。
二色仕上げと記載されていても、試し塗りが含まれていない、凹凸補修が別途、三色目はごく一部だけ、仕上がり確認は足場解体前の一回だけという場合があります。
- ■ 同じような凹凸サイディングの施工実績がありますか
- ■ 実際の施工写真を近景と遠景の両方で見せてもらえますか
- ■ 本施工前に試し塗りを行いますか
- ■ ベース塗装は何回で、どの塗布量を確保しますか
- ■ 二色目と三色目はどの道具で施工しますか
- ■ 補修部分の凹凸はどのように再現しますか
- ■ 壁面ごとの色むらをどのように確認しますか
- ■ 完成イメージと違った場合の確認手順はありますか
施工実績を見る際は、建物全体の写真だけでなく、目地、角、窓まわり、補修部分の拡大写真も確認してください。
遠くからはきれいに見えても、近くで見ると凹部へ色が入りすぎていたり、刷毛跡が残っていたりする場合があり、逆に近接写真だけでは壁面全体の色むらが分かりづらいこともあります。
近景と遠景の両方を見ることで、施工技術と全体のデザイン力を確認できます。
ダブルトーン・トリプルトーン塗装は、単色塗装より手間が多くかかります。
それにもかかわらず価格差がほとんどない場合は、試し塗りを行わない、意匠色を薄く一度だけ転がす、細部の調整を省くなど、どこかの工程が簡略化されている可能性があります。
もちろん、施工面積や外壁模様によって価格は変わるので、高ければ必ずよいとも限りません。
価格の安さだけではなく、下地処理、保護塗膜、試し塗り、色設計、施工管理まで含めた適正価格で判断することが大切です。
14. まとめ|外壁の凹凸を読み、色を重ねすぎないことが美しさにつながります

外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装は、単色塗装では失われてしまうサイディングの立体感や素材感を、塗り替えによって再構成できる施工方法です。
色あせた外壁が、石積みの陰影やレンガの焼きむらを思わせる表情へ生まれ変わると、住まい全体の印象も大きく変わります。
しかし、美しく仕上げるために必要なのは、単に二色、三色を塗ることではありません。
- ■ 外壁の凹凸と劣化状態を正しく見極める
- ■ ベース色・面色・アクセント色の役割を分ける
- ■ 三色に共通する色味を持たせる
- ■ ローラーの塗料量と圧力を一定にする
- ■ 角や窓まわりまで同じ質感で整える
- ■ 大きな試し塗りで完成形を確認する
- ■ 自然なばらつきと施工むらを見分ける
外壁は、住まいの中で最も大きな面積を占める色です。
だからこそ、色見本帳の小さな一片だけで急いで決めるのではなく、屋根、玄関ドア、サッシ、植栽、周辺住宅まで含めて考えることが大切です。
小林塗装では、派手さを競うのではなく、建物の形や周辺環境になじみながら、年月が経っても古く見えにくい配色を心掛けています。
色を足すほど豪華になるのではなく、必要な色だけを選び、必要な場所へ丁寧に置く。
それが、ダブルトーン・トリプルトーン塗装を、品よく、きれいに、リアルに仕上げるための基本です。
外壁の色や質感で迷われている方は、現在のサイディング模様を生かせるかどうかも含め、現地調査の際にお気軽に相談ください。
15. 外壁ダブルトーン・トリプルトーン塗装の深掘りQ&A

すべてのサイディングに適しているわけではありません。
表面の凹凸が明確で、ローラーを軽く当てたときに凸部だけへ塗料を乗せやすい外壁ほど、きれいに仕上がります。
平坦なサイディングや凹凸が非常に浅い外壁では、二色目が凹部へ入りやすく、単なるまだら模様に見えることがあります。
現地で凹凸の深さ、既存塗膜、補修跡を確認し、試し塗りを行って適性を判断することが大切です。
既存のサイディング柄や色がきれいに残っている場合は、透明な塗料で保護するクリヤー塗装が向いています。
一方、色あせ、補修跡、部分的な変色が目立つ場合は、クリヤー塗装をしても傷みが透けて見えます。
既存柄をそのまま残せる状態ならクリヤー塗装、色を塗り替えながら多彩感を再構成したい場合はダブルトーン・トリプルトーン塗装という考え方が基本です。
仕上げたい外観によって変わります。
濃いベース色は凹部の影が深く見え、重厚感や立体感が出やすくなります。
明るいベース色は外壁全体が軽やかになり、やさしく上品な印象になります。
ただし、濃いベース色を広く見せすぎると、建物が小さく重たく見える場合があります。
住宅の大きさ、日当たり、サッシ色、屋根色を踏まえ、試し塗りで確認してください。
安易に異なる種類の塗料を組み合わせることはおすすめできません。
樹脂、溶剤、乾燥時間、塗膜硬度、艶が異なると、密着不良、縮み、溶解、艶むらが起きる可能性があります。
原則として、塗料メーカーが適合を確認している同一塗装仕様の中で、色を変更して組み合わせます。
使用する塗料が艶調整に対応していれば可能です。
艶を抑えると、反射が少なくなり、石材やレンガの落ち着いた質感を表現しやすくなります。
一方、製品によっては艶を落とすことで、汚れやすさ、撥水性、耐候性、色の深みが変わる場合があります。
ベース色と意匠色の艶をそろえ、見本板で斜め方向からの反射も確認することが重要です。
部分補修は可能ですが、周囲と完全に同じ模様へ合わせることは簡単ではありません。
色番号が同じでも、既存塗膜の退色、ローラーの種類、塗料含み量、押さえる力、アクセントの散らし方によって見え方が変わります。
補修跡を目立ちにくくするためには、サイディングの継ぎ目、建物の角、雨樋の裏など、自然に区切れる位置まで施工範囲を広げる方法が適しています。
小さな色見本と外壁では、見える面積が大きく違います。
明るい色は大きな面積になるほど明るく感じ、鮮やかな色はより鮮やかに感じる傾向があります。
さらにダブルトーン塗装では、凹部の影、凸部の反射、隣り合う色、艶、周辺環境が重なります。
色見本帳だけで決めず、実際の凹凸を持つ大きな見本板で確認することが大切です。
自然なばらつきは、多彩模様をリアルに見せるために必要です。
すべての凸部へ同じ量の色が付いていると、かえって印刷模様のように見える場合があります。
ただし、足場の段ごとに濃さが違う、ローラー幅の縦筋が見える、窓まわりだけ濃い、塗り残しがあるといった状態は施工上の問題である可能性があります。
自然な揺らぎと施工むらの違いは、壁面全体を離れて見て判断します。
色数が増えること自体で、耐用年数が大幅に長くなるわけではありません。
外壁塗装の耐久性は、下地処理、下塗り材、上塗り樹脂、塗布量、乾燥時間、施工環境によって決まります。
凸部へ追加した意匠色は、紫外線や雨を直接受けやすいため、長期間のうちにはベース色より先に薄く感じることもあります。
意匠性と耐久性を分けて考え、まず外壁全面の基本塗膜を正しくつくることが重要です。
柔らかいスポンジやブラシを使い、弱い水圧で優しく洗います。
硬いブラシで強くこすったり、高圧洗浄機を近距離から当てたりすると、凸部の意匠色を傷める可能性があります。
家庭用洗剤を使う場合も、目立たない場所で変色や艶の変化がないか確認してください。
藻や雨だれが広がっている場合は、無理に洗わず、施工店へ相談する方が安心です。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
塗装職人として30年以上、一般住宅を中心に2,000件以上の施工に携わってきました。
外壁塗装、屋根塗装、防水工事、シーリング工事、下地補修、色彩提案まで、建物の状態とお客様の暮らしに合った施工を大切にしています。
特に外壁の色選びでは、色見本帳の色だけで判断するのではなく、建物のデザイン、サイディングの凹凸、屋根、玄関ドア、サッシ、植栽、周辺環境まで含めて提案しています。
費用の安さだけを優先せず、正しい下地処理、適切な塗布量、丁寧な施工管理によって、長くきれいに保てる住まいづくりを目指しています。
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