

弾性スタッコの外壁塗り替えで膨れが発生する原因とは
あるお客様の外壁塗装でのお話です。 外壁の仕上げが弾性スタッコだったため、塗り替えの際に外壁用のサフェーサーと水性シリコン塗料を使用して塗装を行いました。
施工直後はとてもきれいな仕上がりでしたが、数年が経過した頃から、南面や西面の壁に「膨れ」が見られるようになりました。
特に夏の終わり頃になると膨れが目立ち、指で押すとゴムのように柔らかく、中に空気がたまっているような感触がありました。
その膨れた部分を慎重にカッターで切り開いて中を確認したところ、内部には無数の小さな気泡があり、まるで穴あきチーズのような状態になっていたのです。
これは、外壁の塗装仕上げが弾性スタッコであったにもかかわらず、通気性の低いサフェーサーで覆ってしまったことで、内部に熱と湿気がこもってしまったことが原因でした。
このような現象は、専門的には「熱膨れ」と呼ばれる不具合です。
今回は、弾性スタッコ仕上げの外壁を塗り替える際に起こりやすい膨れの原因と対策について、
「名古屋の塗装店」小林塗装で実際にあった事例をもとに、分かりやすくお伝えしていきます。
弾性スタッコの外壁塗装をしたあとで、「なぜか外壁のスタッコが膨れてしまった」「原因が分からず困っている」という方は、ぜひこのコラムを最後までご覧ください。
同じような症状でお悩みの方にとって、きっと参考になるかと思います。
- ・ 弾性スタッコがよく膨れる場所とは?
- ・ 弾性スタッコの塗り替えで使用する塗料には注意しましょう
- ・ 弾性スタッコ膨れ 補修の方法 補修費用の目安
1. そもそも、弾性スタッコってなに?
「スタッコ」とは、モルタルやサイディングの外壁仕上げに使われる厚みのある吹付け塗材で、見た目に高級感があり、立体的で重厚な質感が特徴で、「スタッコ仕上げ」とも呼ばれ、イタリア風や洋風の住宅によく合います。
このスタッコの中でも「弾性スタッコ」は、セメントスタッコやアクリルスタッコにないゴムのような柔軟性を持たせた塗材で、外壁の細かなひび割れ(クラック)に追従し、防水性と耐久性を高めることを目的に作られた材料です。
2. 外壁弾性スタッコを塗り替えて、よく膨れる場所とは?(膨れの原因)
弾性スタッコの膨れは、北面や東面など日当たりの少ない面ではほとんど発生せず、南面や西面といった太陽光がよく当たる外壁で多く見られます。
このことからも、膨れの主な原因が「日射熱=太陽の熱」にあることが分かります。
特に夏場、直射日光が当たった外壁表面は、日中に壁面の表面が70℃以上の高温になることがあります。
その熱が内部に通気性を持たない塗膜で封じ込められてしまうと、弾性スタッコの層が軟化し、水飴のように柔らかくなることがあります。
この状態で壁内部に残った水分が熱によって蒸発すると、水蒸気となって膨れを生じさせてしまうのです。
また、茶色などの濃い色は熱を吸収しやすいため、弾性スタッコの膨れが起こりやすくなる傾向があります。外観に深みを出す反面、素材選びや塗装仕様に注意が必要です。
なお、同じ「吹付スタッコ仕上げ」であっても、無機セメント系や硬質の有機スタッコなど、熱で軟化しにくいタイプでしたら、熱膨れのリスクはほとんどありません。
一方で、弾性スタッコと同じく可とう性や弾性があり、厚みのある仕上げ材(弾性吹付けタイルや弾性リシンなど)では、塗膜の膨れや層間剝離といった不具合に注意が必要です。
弾性スタッコは仕上がりの柔らかさや微細なひび割れへの追従性は魅力的ですが、その分施工する場所の選定や下地処理の丁寧さが問われます。
ちなみに、熱による膨れは弾性塗材に限ったものではありません。
中~濃彩色の上塗り塗料や、ALCパネル、軽量モルタル、断熱性の高いサイディングボードなど、熱がこもりやすい建材を使用した外壁では熱膨れが発生するケースもあるので注意が必要です。
3. 弾性スタッコの外壁塗り替えで使用する塗料には注意しましょう
外壁の塗り替えを検討中で、スタッコ仕上げの外壁に爪を軽く当ててみた際、表面が少し柔らかく感じられるようであれば、
その外壁は「弾性スタッコ」で仕上げられている可能性があります。
最近の弾性スタッコは、製造段階から熱による膨れ対策が施されているものが多くなっていますが、2001年以前に施工された弾性スタッコは、こうした対策が施されていないケースが多く、特に夏場の高温によって熱膨れのリスクが高まることがあります。
このような外壁スタッコを塗り替える際には、水蒸気をしっかりと外へ逃がす「透湿型塗料」を選ぶことが大切です。
気温が高くなる夏場でも、内部に発生する蒸気やガスを塗膜内に閉じ込めることなく、外部へ逃がすことで膨れの発生を防ぐことができます。
具体的には、「外装用つや消しエマルション塗料」や、吹付リシンの「外装薄塗材E・Si」、または「砂壁調の艶消し特殊セラミックシリコン系塗料」などが、弾性スタッコの塗り替えに適しています。
さらに下塗り材の選定にも注意が必要です。
溶剤系のシーラーを使用してしまうと、その溶剤が弾性スタッコの内部に浸透し、塗材を軟化させてしまう可能性があるため、かえって熱膨れを引き起こす原因なりかねません。
そのため、浸透性と密着性に優れた水性のカチオン系シーラーなど、弾性スタッコの状態に応じた適切な下塗り材を選ぶことが重要です。
4. もうすでに弾性スタッコが膨れてしまっている場合はどうしたら良いの?
すでに弾性スタッコの外壁に「熱膨れ」が生じてしまっている場合、表面だけの補修では、残念ながら再発してしまう可能性があります。
そのため、塗り替えの際には、膨れが起きている部分だけでなく、弾性スタッコを含む旧塗膜すべてを丁寧に撤去することが大切です。
塗膜を剥がしたあとは、膨れた周囲の下地までしっかりとケレン処理を行い、
下地の状態に応じてカチオンフィラーなどを使いながら、適切な下地調整を行います。
その後、元のスタッコ模様を再現するために、硬質タイプのアクリルスタッコで吹き直しを行い、弾性スタッコの熱膨れ補修仕上げには、
透湿性が優れたシーラー不要の水性反応硬化塗料で丁寧に仕上げる方法が理想的です。
その一方で、建物の状況によっては、弾性スタッコの旧塗膜をすべて除去するのが難しい場合もあります。
そのような場合には、現在膨れが見られる部分だけを確実に除去し、カチオンフィラーで絶縁処理を行った上で、
水性シーラーで下塗りを行い、アクリルスタッコを吹き付けて元の模様を再現したうえで、ケイ酸質系塗料や水性反応硬化塗料、ハルス配合土壁調改修用塗材での仕上げをおすすめします。
5. 弾性スタッコ膨れ 外壁塗り替え、補修費用の目安
最後に弾性スタッコの膨れ補修費用の目安をお伝えします。
- ・ 塗膜膨れ 剥離作業 1㎡=500〜2,500円程度
- ・ カチオンフィラー不陸調整費用 1㎡=750(ローラー、刷毛塗り)〜3,200円(コテ厚塗り)程度
- ・ Uカット補修費用 1m=1,800〜2,500円程度
- ・ アクリルスタッコ吹き直し費用 1m=2,000〜2,600円程度(ヘッドカット仕上げ+300円程度)
- ・ 弾性スタッコ塗装費用 1㎡=1,700〜2,400円程度
- ・ 膨れ防止 笠木取り付け費用 1m=5,500~9,500円程度
弾性スタッコの外壁塗り替えに適した塗料 一例
・アイカ工業 ジョリパットフレッシュシリーズ
・エスケー化研 アートフレッシュシリーズ
・菊水化学工業 グラナダフレッシュシリーズ
・スズカファイン ビーズコートフレッシュシリーズ
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名古屋市を中心に、弾性スタッコ外壁の塗り替えやメンテナンスを数多く手がけてきた小林塗装が、住まいの状態に合わせた最適な塗り替えを提案します。
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弾性スタッコの調査と見積りはもちろん無料です。
「このまま放っておいて大丈夫かな…」と気になったときは、お気軽にお問い合わせください。

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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