

外壁塗装の原価と業者の利益はどれぐらい?
外壁塗装を検討しているお客様にとって、興味深い部分と言える外壁塗装の原価は一体どのくらいなのでしょうか?
外壁塗装の原価をちゃんと知ることで、自ずから「これくらいまでは値引きしてもらってもいいのでは?」などといった値引きの限度も見えてきます。
今回は、外壁塗装の原価の仕組みを「名古屋の塗装店」小林塗装が外壁塗装を検討中のお客様に分かりやすくお伝えします。
さらに見積書の内容から見る、外壁塗装における値引きの限度についてもお伝えします。高品質でお値打ち価格の外壁塗装をお求めのお客様はぜひご覧ください。
- ・ 外壁塗装の原価は一体いくら?
- ・ 外壁塗装の原価から見る 値引きの限界とは?
- ・ 大幅値引きの外壁塗装業者は要注意!
- ・ 塗装業者が教える 外壁塗装値引きのコツとは?
1. 外壁塗装の原価は一体いくら?
外壁塗装に限らずどんな業種の仕事にも、全て『原価率』という数値があります。
原価率とは、売り上げに対して原価が一体どれくらいの割合を占めているのか、つまりは収益性を示す数値なので、原価率が高ければ高いほど収益率が低くなってしまいます。
一般的に原価率の適正範囲は、30%が上限だと言われています。
したがって、100万円の売上を作るために掛かる経費は、30万円程度に抑えるべきだということになります。
それでは、実際に外壁塗装の工事をする場合、一体どのくらいの原価率になるのでしょうか?
一般的な外壁塗装の原価率を分解してみます。
- ■ 職人の人件費・・・約45%
- ■ 塗料などの材料費・・・約20%
- ■ 足場工事費・・・約15%
- ■ 営業・会社経費・・・約20%
この原価率の内訳は、ごく一般的な中小の塗装業者を例にしたものです。
外壁塗装で最も重要な人件費、材料費、足場代だけで約70%を占めることになります。
先ほど「原価率は30%が上限」とお伝えしましたが、外壁塗装の原価率はそれどころではない高さと言えます。
実は、この原価率の高さは外壁塗装に限った話ではありません。
住宅のリフォームでは大体70%、内装業者に関しては80%を超えることもよくあるので、外壁塗装は住宅リフォーム業界では原価率が良いと言えます。
外壁塗装の人件費についてお伝えします。
外壁塗装の原価の中で最もウェイトが高い部分は人件費です。
住宅リフォーム業界は、技術に対する価値が大きなウェイトを占める業界です。
しかし、外壁塗装も製造業のように、商品の売り上げ÷(材料費+設備投資費)で機械的に算出できるものではありません。
多くの産業では人件費の削減がもっとも簡単でもっとも効果が高いコストダウン方法だと考えられていますが、外壁塗装の業界では人件費は絶対に削減できないと考えた方が賢明です。
外壁塗装の人件費は、1日1人あたり1万3,000~2万2,000円(税別)程度が相場です。(消耗品、副資材含まれません)
地方の給与水準によって多少の差はありますが、大体この範囲で収まります。
外壁塗装の人件費は『人工(にんく)』で計算します。
1人の職人が1日でできる作業量を1人工とするので、1人が2日間作業しても、2人が1日で作業を済ませても、同じ2人工になります。
外壁塗装の各工程に掛かる人工は、住宅の大きさや作業内容などによって若干差が生じますが、平均的な人工は決まっていると考えても良いかと思います。
一般的な2階建て住宅の外壁塗装工事に掛かる人工を大まかにまとめてみました。
・ 足場工事は、外注する事が一般的なので直接の人件費には含まれませんが、作業時間は2~3人で6時間程度です。
(足場部材の積み込み、トラック運搬、搬入費は含まれません)
・ 高圧洗浄 通常、1台の高圧洗浄機で作業するため1人工で計算します。1人×1日 または2人×0.5~0.8日
・ 下地調整・外壁補修作業 金属部分の錆び取り、外壁、木部の穴埋め処理などの他、シーリング補修などがあれば、もっと増える事もあります。 2人×2.5~4日
・ 養生作業 2人×1.5日
・ 外壁塗装 下塗り、中塗り、上塗りの3回塗り塗料が乾燥すると塗り継ぎ部分が目立ってしまうため、2人以上で同時に作業します。
2人×3.5日(※吹き付けパターン補修などの特殊な作業がある場合、さらに2~3人工くらい増えます。)
・ 屋根の塗装 下塗り、中塗り、上塗りの3回塗り、吹き付け仕上げだと3人工程度でできますが
屋根をローラーや刷毛で手塗りすると縁切りも必要になるため、最低5.5人工は必要です。 2人×3日
・ 付帯部分の塗装(軒天、破風、雨樋など) 2人×2~3日
・ 細部の手直し、養生の撤去 サッシ部分、取り合い部分の見切りライン出しなど、細部塗装の手直し作業と同時に養生を撤去します。 2人×1日
・ 足場の撤去 外注するので、直接の人件費には含まれませんが、作業時間は2~3人で4~5時間程度です。
このようにみると、一般的な住宅の外壁塗装工事では、約20~25人工の人件費が掛かる計算になります。
これを人件費の単価に代入すると、工事価格全体の中で40~50万円程度が一般的な外壁塗装の人件費になります。
外壁塗装の工事は基本的に請負契約なので、工事が終わった後から「これだけ掛かりました」と請求するのではなく、工事の前に「この見積価格で工事します。」と工事業者とお客様の双方お互いが納得することで工事の契約が成立します。
ですから、予定していた以上に工事が順調に進んで、1日でも早く完成した場合、工事を請け負った賃金を削減できることになります。
逆に工期が伸びてしまうと、余計な人件が掛かってしまい、会社の取り分が減ってしまうので、外壁塗装業者は工期に対してとてもシビアな面を持っていると言えます。
一般住宅における外壁塗料の材料費は、約70%が塗料の仕入れ費用です。
塗料がないと外壁塗装はできないので、材料費も絶対に削ることができない原価の1つです。
ここで、最近人気があるラジカル制御塗料を使って外壁塗装を行った想定で小林塗装の住宅塗装材料費を例に挙げてみます。
- ・ 外壁 下塗り 「ニッペ パーフェクトサーフ」 1缶4,850円×3缶=14,550円
- ・ 中塗り・上塗り 「ニッペ パーフェクトトップ」 1缶13,500円×3缶=40,500円
- ・ 屋根 下塗り 「ニッペ ファインパーフェクトベスト強化シーラー」 1缶15,000円×1缶=15,000円
- ・ 中塗り・上塗り 「ニッペ ファインパーフェクトベスト」 1缶 16,500円×1.5缶=24,750円
- ・ 鉄部錆止め 「ニッペ 1液ハイポンファインデクロ」 11,000円×0.5缶=5,500円
- ・ 破風 下塗り・上塗り 「ニッペ ファインパーフェクトトップ」 1缶14,800円×0.5缶=7,400円
- ・ 軒天 下塗り・上塗り 二ッペ 水性ケンエース」 1缶9,500円×0.6缶=5,700円
- ・ 雨樋 下塗り・上塗り 「ニッペ ファインパーフェクトトップ」 14,800円×0.5缶=7,400円
- ・ 付帯部 下塗り・上塗り 「ニッペ ファインパーフェクトトップ」 14,800円×0.5缶=7,400円
- ・ 希釈 「ニッペ 塗料用シンナー」 1缶5,490円×0.3缶=1,647円
合計 129,847円(税別)
合計 142,832円(税込み)
- 変成シリコンコークLM 1本640円 45本 28,800円
- コニシボンド シールプライマー#2 2,300円
合計 31,100円(税別)
合計34,210円(税込み)
- マスカー550 1巻140円 11巻 1,540円
- マスカー1100 1巻230円 5巻 1,150円
- 布テープ 1巻220円 12巻 2,640円
- グリーンビニル900 1巻1,300円 1巻 1,300円
- 18㎜マスキングテープ 1巻60円 28巻 1,680円
- サンドペーパー180番 1枚60円 4枚 240円
- サンドペーパー240番 1枚60円 2枚 120円
- スコッチ 中目 1枚350円 2枚 700円
合計 9,370円(税別)
合計10,307円(税込み)
- さけパック 1枚40円 16枚640円
- 6インチ スモールローラー 350円 15本5,250円
- 3インチ ミニスモールローラー 240円 8本1,920円
- 化繊刷毛(目地、筋交い) 一式 2,500円
合計 8,582円(税別)
合計 9,440円(税込み)
この工事で使用した材料の総額は206,229円(税込み)になりました。
外壁塗装で人件費と共に絶対に削れないのが、材料費です。
外壁塗装に使用する塗料のランクを落とせば材料費は簡単に安くできますが、外壁塗装の耐用年数が短くなるので10年、20年、30年と長い期間で見た場合のトータルコストがかさんでしまいます。
ここで一つ材料費を削って安くする方法をお伝えします。
外壁塗装で材料費を安くするには、業者が在庫として持っている塗料を使ってもらうことです。
中小の塗装業者では、別の現場で使用して残った塗料の在庫が残っていることがよくあります。
どこの塗装業者でも、在庫にある塗料は既に塗料店に代金を支払っているので、早く材料費を売り上げに転換したいと考えています。
ですから、お客様の好みの色が塗装業者の在庫にあるようでしたら、ぜひ在庫の塗料で塗装して欲しいと頼んでみましょう。
こういった場合、材料代の値引きや在庫にあるワンランク上の塗料を使ってもらえることもあり得ます。
外壁塗装の現場では、外壁や屋根など高い場所も塗装します。
ですから、足場工事は絶対に欠かすことができません。
足場はたくさんの部材を使用するので、最近の外壁塗装では足場専門の業者に外注するのが一般的です。
足場工事の外注相場は、足場の運搬、仮設、解体を含めて15~20万円がくらいが相場と言えます。
稀に自社で足場材を所有している塗装業者もおり、足場の組み立て、解体も全て自社で行っているケースもあります。
まだ塗装業者という業種が確立していなかった20年以上前は、外壁全般のメンテナンスを一つの業者が受け持っていたので、今でも自社で足場工事を行っている業者が残っています。
外壁塗装業者には、飛び込み営業で塗装工事を受注してくる営業マンもいます。
営業マンの業務には、営業マンの人件費、見込み客への販促商材の購入費用や車両維持費など経費が掛かるため、営業マンの経費は削ることができません。
親方一人だけの個人の塗装業者では、営業マンを雇っていないので、この部分のコストカットが期待できます。
外壁塗装の工事費用には、塗装業者が会社を維持する際、必要な経費が含まれています。
一般的に事務員の給与、事務所、倉庫の家賃やローン返済、工事用車両の維持費、コンプレッサーなど機械類の購入、メンテナンス、備品の購入などが該当して、会社運営の全般に掛かる経費に充てています。
また、ホームページの運営維持、テレビ、ラジオ、チラシ、インターネットなどの広告費も会社経費から支出することになります。
つまり、会社の取り分は、工事を請け負う塗装業者の規模が大きくなれば大きくなるほど、たくさん必要になると言えます。
ですから、新築を担当した大手のハウスメーカーなどに外壁塗装の工事を依頼すると、大手ハウスメーカー・中間の下請け業者・実際に施工する孫請け業者の各業者が取り分を維持するため、工事価格が高くなってしまいます。
外壁塗装業の利益率は25%〜35%が多く、平均利益率は30%前後になります。
建設業全体の利益率は20%前後が平均なので、外壁塗装業は比較的高い利益率といえます。
しかし、他業種の不動産業や情報通信業は利益率が50%前後なので、業種別で比べると建設業の全体の利益率は低いです。
建設業の利益率が低い大きな理由は、材料費などに掛かる原価や経費の種類が多いためです。
また、技術力が重要視される外壁塗装では職人一人あたり日当が1万3,000円〜22,000円が相場なので、いかに効率良く現場を回せるかによっても、会社の利益率は大きく変わってきます。
2. 外壁塗装の原価と利益率からみる値引きの限界とは?
どんなお客様でも「高品質な工事をできるだけ安くしたい」という希望を持っているかと思います。
しかし、外壁塗装の工事価格のうち60%以上は人件費、材料費、足場の外注費が占めているので、これらを削ってしまうと工事を行うことができません。
さらに営業マンがいれば人件費が掛かっているし、会社の経費も絶対に必要です。
こうしてみると、適正価格、適正工事で行われる外壁塗装には、値引きできる要素がほとんどありません。
もし、見積書に記載されている価格が適正価格であるなら、絶対に削減できない原価を除いて、値引きする余地は2つあります。
- ・ 営業経費を削ってもらう
- ・ 会社の利益を削ってもらう
まず考えやすいのは、「営業経費を削ってもらう」ことです。
営業努力によって獲得したのではなければ経費はほとんど掛かっていないはずなので、「少しでも安くしてもらいたい」などと考えるならお客様自身から塗装業者にアプローチするべきでしょう。
これがもし見積依頼をしている塗装業者が訪問営業やお客様から紹介に頼っている会社の場合、お客様に対する営業経費が計上されやすくなってしまうので、お客様の方から積極的に値交渉を行うことで値引きが期待できます。
次に考えられるのが、「会社の利益を削ってもらう」ことです。
会社の運営に多くの経費が掛かっていない塗装業者を選ぶことで値引き交渉がしやすくなります。
- ・ ショールームや事務所を抱えていない
- ・ 大規模な宣伝や広告などを行っていない
このような業者は会社運営のランニングコストが安いので、会社の取り分を削ってもらえるかもしれません。
いずれにしても、見積書の価格から10%程度しか値引きはできないはずです。
値引き交渉が上手なお客様は、相場が100~140万円という高額になる外壁塗装工事の値引き額が10%程度では「もっと値引きできるでしょ?」などと言いたくなるお客様もいるかとかと思いますが、10%を超える大幅な値引きを求めることは大きなリスクを伴います。
なぜなら、業者の工事原価に食い込むような過剰値引きを求められると、業者は減価部分のコストダウンを強いられてしまうからです。
先にお伝えした過度な引きを要求すると次のようなリスクが伴ってきます。
- ・ 材料のグレードを落として材料費を削減する
- ・ 塗料メーカー既定の希釈率よりも塗料を薄めて使用する
- ・ 本来は3回塗りが必要なのに、2回塗りで済ませて人件費と材料費を削減する
- ・ 工期が延びるのを覚悟で、職人一人で作業して、応援の職人を呼ばない
無理な値引きを強いられた塗装業者が工事を完成させるためには、材料や作業の質を落とすしかありません。
結果的に損をするのはお客様ですから、原価を超えた値引きを求めることはおすすめしません。
3. 原価と利益率を無視した大幅値引きの外壁塗装業者は、要注意!
訪問販売の塗装業者の中には、大幅値引きをアピールしてくる業者も多くいます。
その中でも
- ・ 本来なら180万円ですが、今日契約してくれたら50万円引きの130万円にします。
- ・ このエリアで初の工事なので、モデル価格で50%オフします。
- ・ 今回は、特別に足場代は無料にします。
こういった一般常識では考えられない過剰なサービスには要注意です。
もしお客様のもとに現れた塗装業者が適正価格で見積提示されているなら、50万円引きや50%オフなんて、とんでもない大幅値引きは絶対にできません。
また「足場代をタダにします」などといったセールストークもよく聞かれますが、足場代は基本的に外注費用なのでタダにできる部分ではありません。
なぜなら、自社で足場を組める塗装業者でもない限り、外注になる足場代を塗装業者が肩代わりして負担することは絶対にないので、こんな営業トークを使ってくる業者は悪質業者の恐れがあります。
本当は大喜びしたくなるところですが、大幅な値引きやサービスには「何か裏がある」と考えて警戒しましょう。
4. 塗装業者が教える 原価と利益から見た外壁塗装値引きのコツ
塗装業者としては、原価を割った工事を受ける訳にはいきません。
とは言いましても、「絶対に値引きができない」という訳でもありません。
例えば、外壁塗装業界には閑散期があります。
まず1~2月は気温が低すぎて塗料の乾燥が遅くなるため、工事の納期を守ろうとする業者は、あまりすすんで工事を受けたがりません。
また、梅雨時期や台風シーズンは雨の日が多くなり、予定どおりに工事が進みにくくなるのでお客様は工事を避けたがります。
また、先程もお伝えしましたが、塗装業者が塗料の在庫を抱えているようでしたら、在庫価格で材料費を値引きしてくれることもあります。
いずれの方法でも重要なポイントとなるのは、「塗装業者とコミュニケーションを深めること」です。
5. 外壁塗装は原価と利益率に見合った値引き交渉をしましょう
外壁塗装の見積書に記載されている工事価格の中には、絶対に削れない原価が含まれていることが理解して頂けたかと思います。
それと同時に、値引き交渉を成功させるポイントや悪徳な業者を見抜くコツも理解して頂けたかと思います。
外壁塗装の見積書を取り寄せる際には、必ず複数の業者に依頼してそれぞれの内容を見比べるようにしましょう。
いくつかの見積書をじっくり見比べることで、「お客様の住まいの外壁塗装が一体どのくらいの費用で工事できるのか?」、本当の適正価格が見えてくるかと思います。
利益率をオープンにできる正直な外壁塗装のなら小林塗装にお任せください
利益率をオープンにできる正直な外壁塗装なら、小林塗装にお任せください。
当店は、2,003年の創業以来、名古屋市周辺で多くの外壁塗装工事を行っています。
外壁塗装の調査・お見積りはもちろん無料です。お気軽にお問い合わせください。

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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