

瓦塗装に関する基礎知識
外壁塗装と一緒に屋根も塗装したい、でも最近主流の薄い瓦(スレート瓦)ではなくて、昔かある瓦の形をしている場合のメンテナンスはどうしたら良いのか悩まれているお客様や、瓦のリフォームについて色々調べているうちに「瓦の塗装をしようかな」と検討し始めたお客様‥そのきっかけは色々あるかと思います。
瓦は、塗装が必要な瓦と塗装が不必要な瓦の2種類あります。
まずは、お客様の住まいに使われている屋根材がどちらのタイプなのかを知った上で塗装をするのか、それとも別の方法でリフォームをするのかを検討する必要があります。
今回は、「名古屋の塗装店」小林塗装が、各種瓦の特徴・見分け方・瓦塗装費用の目安・各種瓦の塗装方法を詳しくお伝えします。
屋根の瓦塗装を検討しているお客様はぜひご覧下さい。
- ・各種瓦の特徴 , 屋根塗装が必要か不要か
- ・各種瓦の塗装方法 , 一連の作業の流れ , 注意点
1. 瓦の種類から塗装が必要か判断しましょう
瓦は形成方法の違いから、大きく2種類に分かれます。
1‐2 粘土瓦|屋根塗装は基本的に不必要です。
粘土系の瓦は、「和瓦」と呼ばれ、いぶし瓦・無釉瓦・陶器瓦‥があります。
昔ながらの和風住宅や日本建築の城郭や寺社‥によく使われています。
特徴としては、他の屋根材よりも重く、スレート瓦は平均約24kg/㎡に対して、和瓦は平均約45kg/㎡もあります。
そのため、台風‥強風には強いですが、耐震性は他の屋根材に比べて低めです。
粘土を瓦の形に模った後、高温で焼き上げて製造され、陶器の様に耐久性の高いものができあがります。
瓦に衝撃を受けるとひび割れ‥が発生してしまいますが、基本的には瓦のメンテナンスは不要です。
ただし、粘土系の瓦は、漆喰‥瓦以外の周辺部分のメンテナンスは必要です。
粘土瓦は、表面の保護という観点で塗装は基本的に必要ではありませんが、色変え‥を目的とした塗装をする事はできます。
粘土瓦を塗装する際には、陶器瓦やいぶし瓦専用のプライマーを下塗りして、各種屋根用塗料を塗装して仕上げます。
1‐3 セメント瓦|屋根塗装が必要が必要です。
お客様の住まいに使われてる屋根瓦がセメント系の瓦であった場合、屋根のメンテナンスが必要です。
まずは、どちらの種類の屋根なのか、調べてみましょう。
セメント瓦には、セメント瓦やモニエル瓦(乾式洋瓦)があります。
先にお伝えした和瓦と違って、セメント瓦は粘土を焼き上げている訳ではなく、セメント、砂、水を混ぜ合わせ、モルタルのようにセメントの化学反応で硬化させた瓦です。
ですから、瓦表面にはモルタル同様意匠性(色、艶)が無く、更に防水性も低下しており、雨水を吸い込んでしまう為、塗装による修繕が必要です。
また、モニエル瓦はヨーロッパ発祥のセメント瓦=乾式洋瓦で、日本に入ってきたのが昭和48年で、当時のオーストラリアのモニエル社と高圧・半乾式成形の技術をクボタが共同開発し、日本国内に技術導入される事で、モニエル瓦が誕生しました。
モニエル瓦は、通常の瓦とは違って瓦の表面に「着色スラリー層」という高粘度の着色した液状セメント(ペースト)が薄く吹き付けられ、更に吸水防止の為にクリヤー塗料が塗られています。
そのため、この上から通常の仕様(屋根の塗装方法)で塗装をすると、経年劣化して脆くなっている着色スラリー層が原因で、塗膜の捲れ・剥離‥深刻な施工トラブルが多かったので、現在ではモニエル瓦は製造されていません。
モニエル瓦塗装の際は表面のこの劣化した脆弱なスラリー層をしっかりと取り除いてから塗装する必要があります。
モニエル瓦かセメント瓦どちらかをちゃんと見分けるためは、瓦の小口(端部)を確認します。
瓦の小口部分にスラリー層が付着しており、凸凹している場合は、モニエル瓦です。
1‐4. 瓦の屋根塗装を行わなかった場合どうなるの?
セメント系の瓦で塗装を適切に行わなかった場合、塗膜の劣化で美観が損なわれ、更に劣化が進行し、ひびわれや破損をした状態で放置する事になります。
ひび割れから雨水が浸入し雨漏りに繋がり、瓦の破片が落下する被害も少なくありません。
また、塗装をせずに放置した場合、表面の素地が露出した状態になるので雨水を吸収し、それに伴う乾湿の繰り返しや凍結によって、少しの衝撃でも瓦が割れやすくなってしまいます。
一度脆くなってしまった瓦は、素材自体を塗装で強化する事はできないので、瓦の状態がひどくなってしまう前に一度専門業者に見てもらう事をおすすめします。
2.各瓦塗装の特徴
ここからはセメント系瓦特有の特徴をお伝えします。
2‐2.屋根瓦塗装 最大のメリットは、交換よりも安い事です。
瓦塗装の最大のメリットは、他の修繕方法よりも安い事です。
今の家をあと20年以上持たせたい、という場合は葺き替え工法がおすすめですが、費用が100万円以上掛かってしまいます。
とりあえず10年前後持たせたいというお客様には瓦の塗装工事がおすすめです。
また、屋根のメンテナンス方法として屋根材を既存瓦の上から被せる「カバー工法」もありますが、瓦屋根の場合はカバー工法を行う事ができません。
ですから、瓦のメンテナンス方法は塗装か、葺き替えの2択となるので注意が必要です。
次に瓦塗装と、瓦葺き替えのメンテナンス費用のざっくりとした目安をお伝えします。
2-3 屋根瓦塗装 相場価格(100㎡)
- ・ セメント瓦 高圧洗浄作業=12,000~16,000円程度
- ・ モニエル瓦 高圧洗浄作業=16,000~24,000円程度
- ・ 陶器・和瓦 高圧洗浄作業=12,000~14,000円程度
- ・ 養生作業=5,000~9,000円程度
- ・ セメント瓦 屋根塗装=210,000~380,000円程度(シリコン~ふっ素)
- ・ モニエル瓦 屋根塗装=240,000~420,000円程度(シリコン~ふっ素)
- ・ 陶器・和瓦 屋根塗装=230,000~410,000円程度(シリコン~ふっ素)
- ・ 超耐候クリヤ塗装ー=80,000~120,000円
2-4 屋根瓦交換 相場価格(100㎡)
- ・ スレート瓦交換=1,300,000~1,800,000円(下地作成共)
- ・ セメント瓦交換=1,600,000~2,300,000円(下地作成共)
- ・ 和瓦交換=1,300,000~1,600,000円(下地作成共)
- ・ 屋根撤去=300,000~550,000円
- ・ 廃材処分費=45,000~50,000円(運搬費・産廃マニュフェスト作成など別途)
- ・ アスベスト入りの屋根材処分は、各自治体によって異なります。
- ・ 作業足場は、別途です。
3. セメント瓦の塗装方法|よく見かける塗装瓦の一つです。
まずは、一般的なセメント瓦の塗装方法をお伝えします。
- ① 高圧洗浄作業
高圧洗浄機を使用して、セメント瓦の表面に付着した汚れや藻、苔、カビ‥をしっかり洗い流します。
- ② 下塗り
セメント瓦の状態に合った、カチオン系、エポキシ系‥各種シーラーの下塗りを行います。
- ③ 上塗り
セメント瓦に適したウレタン、シリコン、フッ素‥上塗り塗料を2回塗りしてセメント瓦の塗装完成です。
4. モニエル瓦の塗装方法|塗膜が剥がれやすいので注意が必要です。
モニエル瓦は、脆弱なスラリー層が多くありますので、細かい部分まで着色スラリー層の除去が行いづらく、施工不良となってしまい、塗膜が剥がれてしまう事が度々あります。
しかし、施工知識をしっかりと身に付けている業者でしたら、この様な不具合は防ぐ事ができます。
4-2 モニエル瓦の塗装の2つのポイントと注意点
モニエル瓦の塗装工程は、一般的な屋根(スレート瓦)の塗装とほとんど変わりません。
しかし、注意すべき点2つをお伝えします。
4-3 モニエル瓦は、高圧洗浄を入念に行いましょう
先にお伝えした様に、モニエル瓦には表面に着色スラリー層というカラーセメントの液(ペースト)が吹付けられています。その他にも藻・カビ・苔‥の汚れが付いていますので、塗装する前にはケレンや高圧洗浄でしっかりと除去します。
モニエル瓦は、凹凸が多く、高圧洗浄するには何かと手間が掛かる作業ですが、モニエル瓦をしっかり洗浄する事で塗膜剥離‥深刻な不具合を防ぐ事ができます。
4-4 モニエル瓦は、特にシーラーをたっぷり塗りましょう
高圧洗浄やケレン作業‥下地調整を十分に行ったモニエル瓦は、表面の弱い塗装が除去されてセメントの素地が露出した状態になっている事が多く、下塗り材をたくさん吸い込みます。 ですから、規定量のシーラーを塗ってもモニエル瓦の表面が濡れ肌になっていない場合は、再度シーラーを塗る必要があります。
これは、他の屋根材にも共通して言える事ですが、シーラーの塗布量が不足していると上塗り塗料との密着不良が起きたり、仕上げ塗料の光沢が落ちたりします。
耐久性も本来の効果を発揮できなくなります。
4-5 モニエル瓦の塗装方法
- ① 高圧洗浄作業
高圧洗浄機を使用して、脆弱なスラリー層や瓦の表面に付着した汚れや苔、カビ‥をしっかり洗い流します。
- ② 下塗り
モニエル瓦に適した浸透性、固着性が優れるエポキシ系シーラーで下塗りを行います。
下塗り後、ガムテープでスラリー層の粘着テストを行い、スラリー層がガムテープに付着しない事を確認します。
スラリー層がガムテープに付着する様でしたら、再度プライマーを塗ってテストを行います。
なお、シーラー塗装後、塗装仕様に記載されている塗り重ね可能時間よりも早く上塗り塗装を行うと、上塗り塗料の縮み、ひび割れ、塗膜不良を起こす恐れがありますので、塗り重ね可能時間は厳守しましょう。 - ③ 上塗り
モニエル瓦に適したウレタン、シリコン、フッ素‥上塗り塗料を2回塗りしてモニエル瓦の塗装完成です。
5. 釉薬瓦と和瓦の塗装|専用下塗り材が必要です
最後に釉薬瓦と和瓦の塗装についてお伝えします。
先にもお伝えした様に陶器瓦と和瓦は、粘土瓦の一種です。
粘土を瓦の形に成型し、そこに釉薬(うわ薬)を掛け、窯の中で高温にして焼き上げた瓦の事を陶器瓦と言います。
また陶器瓦は、釉薬(ゆうやく)を掛けられているので、釉薬瓦とも呼ばれています。
和瓦は、空気を遮断して焼く事で燻した様な質感を持つ瓦です。
和瓦は、産出している地方によっては名前が付けられたり、使用する粘土や焼成温度によって特徴が異なったりします。
なお、多くの和瓦の中でも特に有名な瓦として、日本三大瓦である三州瓦、石州瓦、淡路瓦があります。
5-2 釉薬瓦(陶器瓦)・和瓦の塗装方法
- ① 高圧洗浄作業
高圧洗浄機を使用して、釉薬瓦(陶器瓦)・和瓦に付着した汚れや苔、カビなどを落とします。
- ② 下塗り
釉薬瓦・和瓦に適した粘度と浸透性を調整した、エポキシ系‥釉薬瓦用シーラーで下塗りを行います。
- ③ 上塗り
釉薬瓦・和瓦に適したウレタン、シリコン、フッ素‥上塗り塗料を2回塗りして陶器瓦・和瓦の塗装完成です。
- ④ オーバーコート塗り
釉薬瓦に透明感や耐候性を加えたい場合は、シリコンクリヤーを塗装します。
6. 瓦塗装は危険なので、DIYで行ってはダメです
たまにDIYで屋根の塗装を行おうとするお客様がいますが、大変危険なので絶対やめましょう。
なぜなら、高所作業に慣れていない人が屋根で作業すると塗料をこぼしてしまったり、瓦をずらしてしまったり、破損や転落してしまう恐れがあるからです。
その結果、むしろ修繕費用が高くついてしまい、屋根の塗装工事だけでは済まなくなってしまう場合もありえます。
ですから屋根塗装はDIYでなく、業者に依頼しましょう。
7. 瓦塗装に関する基礎知識 まとめ
屋根瓦には2種類あり、粘土系瓦の場合は耐久性が高く表面から水を吸い込む事もないので、塗装する必要はありません。
しかし、漆喰‥といった補修は必要ですので、気になる場合は業者に調査してもらいましょう。
また、セメント瓦の場合は、表面を塗装で定期的に保護する必要があります。
セメント瓦は葺き替えも可能ですが、費用をできるだけ抑えたい場合は、塗装でおすすめです。
セメント瓦の中でもモニエル瓦は、カラーベスト・コロニアル‥の一般的なセメント系屋根材に比べて下地処理を念入りに行う必要があるので、屋根瓦の塗装に関する知識をしっかり持った信頼できる業者に依頼しましょう。
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コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコンテンツ作成をしています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁・屋根・室内‥塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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