外壁塗装の色選びで迷う理由|昭和・平成・令和の住宅に似合う外壁色
外壁塗装の色選びで、「色が多すぎて、かえって分からない」と感じたことはありませんか。
外壁塗装の打ち合わせでは、ベージュ、グレージュ、アイボリー、グレー、ブラウン、ネイビー、ブラック、ホワイト系など、たくさんの色が並びます。
さらに日塗工番号、メーカー標準色、艶あり、艶消し、ツートン、ダブルトーン、多彩仕上げまで出てくると、「もう何を基準に選べばいいの?」と迷ってしまうのも自然なことです。
けれど、この外壁塗装の色数の多さは、最近突然生まれたものではありません。
その背景には、日本の住宅事情、暮らし方、街並みへの意識、そして住まいに求める価値観の変化が、静かに積み重なってきた歴史があります。
特に分かりやすい手がかりになるのが、日本塗料工業会が発行している「塗料用標準色」、いわゆる日塗工の色見本帳です。
1954年に156色から始まった色見本帳は、時代によって増えたり、整理されたりしながら、現在では600色規模の実用色を収録するまでになりました。
つまり、色が増えたということは、単に「迷う色が増えた」という話ではありません。
住まいをより細やかに、より自然に、よりその家らしく整えるための選択肢が増えたということでもあります。
この記事では、外壁塗装の色がなぜここまで増えたのかを、日塗工色見本帳の色数推移と、昭和・平成・令和の住宅に似合う色の考え方から分かりやすく解説します。
色選びで迷っている方にとって、「たくさんの色から選ぶ」のではなく、「自分の家に本当に似合う色へ絞り込む」ためのヒントになれば幸いです。
- ■ 外壁塗装の色数が増えた理由
- ■ 日塗工色見本帳の色数推移と住宅価値観の変化
- ■ 昭和・平成・令和の住宅に似合う外壁色の考え方
- ■ 色が多すぎて迷うときの正しい絞り込み方
- ■ 外壁色で後悔しないための専門的な注意点
外壁塗装の色は、なぜこんなに増えたのか
結論からお伝えすると、外壁塗装の色が増えた理由は、住宅が「雨風をしのぐ箱」から「暮らしの印象をつくる大切な資産」へ変わってきたからです。
昔の住宅では、外壁の色に求められる役割はとてもシンプルでした。
汚れが目立ちにくいこと。近所から浮かないこと。長持ちして見えること。できれば無難なこと。
いわば、色は「安心のための道具」でした。
ところが現在では、外壁の色に求められることが大きく広がっています。
- ■ 住まいをおしゃれに見せたい
- ■ 古く見える外観を明るく整えたい
- ■ 周辺環境になじませたい
- ■ 屋根、サッシ、玄関ドア、植栽と調和させたい
- ■ 10年後、20年後も飽きにくい色にしたい
- ■ 家族の好みと建物の個性を両立させたい
つまり現代の外壁色は、単なる「色」ではなく、住まいの印象を整えるための設計要素になっています。
たとえば同じベージュでも、黄みが強いベージュ、赤みを含んだベージュ、グレー寄りのグレージュ、白に近いアイボリーでは、家の印象はまったく変わります。
白いシャツでも、真っ白、生成り、オフホワイト、アイボリーで雰囲気が変わるのと同じです。
外壁の色も、ほんの少しの色味の違いが、住まいの品格や温度感を左右します。
色数が増えたのは、私たちを迷わせるためではありません。
本来は、建物ごとに「ちょうどいい色」を見つけるために、選択肢が細やかになってきたのです。
日塗工色見本帳の色数推移から見る住まいの価値観
外壁塗装の色を考えるうえで欠かせないのが、日塗工色と呼ばれる「塗料用標準色」です。
日塗工色は、塗装業界で広く使われている色の共通言語のようなものです。
塗装店、塗料メーカー、設計者、建築関係者が、色番号を使って色を指定しやすくするために整えられてきました。
外壁塗装の現場では、「このベージュでお願いします」と言うだけでは、人によって思い浮かべる色がずれてしまうことがあります。
お客様の思うベージュ、職人の思うベージュ、メーカーが調色するベージュが微妙に違ってしまうと、仕上がりの印象にも差が出ます。
そこで役立つのが、日塗工番号です。
たとえば「19-85B」「22-90A」「15-60D」のように番号で色を指定できるため、色のイメージを共有しやすくなります。
| 時代 | 色数の傾向 | 住まいの価値観 |
|---|---|---|
| 1950年代 | 約150色台 | 必要十分・統一感・実用性 |
| 1970年代 | 一度整理される | 省資源・コスト管理・大量供給 |
| 1980〜90年代 | 少しずつ増加 | 住宅の個性・外観意識の高まり |
| 2000年代以降 | 600色規模へ | 景観、デザイン、素材との調和 |
こうして見ると、色数の増減は単なるカタログの変化ではありません。
その時代ごとの住宅観、社会情勢、暮らしの感覚が、色見本帳にも反映されていることが分かります。
色見本帳は、いわば住宅文化のアルバムのようなもの。
ページをめくると、その時代の家づくりや暮らし方まで、うっすら浮かび上がってきます。
1954年|外壁塗装の色は「必要な分だけ」でよかった時代
日塗工の色見本帳が初めて発行された1954年。
当時の収録色数は156色でした。
現在の感覚で見ると、「少ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし当時の住宅事情を考えると、この色数はとても合理的でした。
戦後の日本では、まず住宅を整えること、住む場所を確保することが大きな課題でした。
外壁の色に強い個性を求めるよりも、建物を保護し、街並みの中で違和感なく、清潔に見せることが重視されていました。
この時代の外壁色は、ファッションで言えば、きちんと手入れされた白シャツや、上質な作業着に近い存在です。
派手ではありません。
けれど、暮らしを支えるために必要な安心感がありました。
当時の外壁色に求められたのは、主に次のような要素です。
- ■ 外壁が長持ちして見えること
- ■ 汚れが極端に目立たないこと
- ■ 周囲から浮きすぎないこと
- ■ 施工や管理がしやすいこと
- ■ 大量供給の中でも色指定がしやすいこと
つまり、色は「個性を表現するもの」というよりも、「暮らしを整えるための実用品」だったのです。
この時代の色数の少なさは、決して未熟だったからではありません。
むしろ、その時代に必要な色を、必要な分だけ備えていたと考えるほうが自然です。
1970年代|外壁塗装の色は一度「整理」された
外壁塗装の色は、ずっと右肩上がりに増え続けてきたわけではありません。
実は1970年代には、日塗工の色数が一度大きく整理された時期があります。
この背景には、オイルショックをはじめとする社会情勢の変化がありました。
原材料への意識、コスト管理、物流、建築の大量供給。
社会全体が「増やす」よりも「絞る」「管理する」方向へ向かった時代です。
現代の私たちは、選択肢が多いことを良いことと考えがちです。
しかし、社会情勢によっては、選択肢を増やすことが必ずしも合理的とは限りません。
塗料の色を増やすということは、顔料、調色、在庫、品質管理、施工現場での指定、色違い防止など、さまざまな管理項目が増えるということです。
特に建築の大量供給期には、色の選択肢を広げすぎるよりも、安定した品質で、効率よく、間違いなく施工できることが大切でした。
色数が減ると、なんとなく後退のように見えるかもしれません。
けれど、塗装の現場目線で考えると、これはとても現実的な判断です。
色が多すぎれば、調色ミスや色違いのリスクも増えます。
お客様、施工店、メーカーの間で認識のズレも起こりやすくなります。
外壁塗装は、料理で言えば家庭の毎日の味噌汁に近い部分があります。
高級レストランのように毎回奇抜である必要はありません。
毎日見ても落ち着き、飽きず、暮らしに寄り添うことが大切です。
1970年代の色数整理は、「色を少なくした」のではなく、「その時代に必要な色へ整えた」と見ることができます。
1980〜90年代|外壁塗装に少しずつ「個性」が求められ始めた
1980年代から1990年代にかけて、住宅に対する価値観は少しずつ変わっていきます。
家は「建てるもの」から「住み続けるもの」へ。
そして、ただ丈夫であればよいだけでなく、外観の印象、街並みとの調和、住む人の好みも大切にされるようになっていきました。
この時代になると、窯業系サイディングを使った住宅が増え、外壁の表情も豊かになっていきます。
モルタル外壁のような一面の塗り壁だけでなく、凹凸、柄、目地、アクセント部分など、外観を構成する要素が増えました。
すると、外壁色にも新しい役割が生まれます。
- ■ 凹凸をきれいに見せる色
- ■ サッシや玄関ドアに合う色
- ■ 屋根色と調和する色
- ■ 汚れを目立ちにくくする中間色
- ■ 分譲住宅の中でも少し個性を出せる色
この頃から、外壁色は「保護する色」だけでなく、「印象を整える色」へ変わり始めました。
1980〜90年代の色の増え方は、現代のように大胆なデザイン性を前面に出すものではありません。
どちらかと言えば、ベージュの幅が増える、グレーの幅が増える、ブラウンの濃淡が増えるといった、控えめな選択肢の充実でした。
この控えめさは、日本の住宅にはとても大切です。
外壁は面積が大きいため、少し派手な色でも、家全体に塗ると想像以上に強く見えます。
服で見ればおしゃれな色でも、家一棟分になると「少し頑張りすぎた印象」になることもあります。
外壁塗装では、ほんの少し色味を変えるだけで十分に印象が変わります。
この「少しの違い」を選べるようになってきたことが、1980〜90年代の大きな変化だったと言えます。
2005年以降|外壁塗装の色は「住まいを設計する言葉」になった
2000年代に入ると、日塗工色の収録色数は大きく増え、600色規模の時代へ向かいます。
ここで重要なのは、色が増えた理由を「流行色が増えたから」と単純に考えないことです。
本質的には、住まいの外観をより細かく設計する必要が出てきたからです。
現在の外壁塗装では、外壁の色だけを単独で決めることは少なくなっています。
実際には、次のような要素を同時に考えます。
| 確認する部分 | 色選びで見るポイント |
|---|---|
| 外壁 | 面積が大きいため、明るさ・彩度・汚れの見え方を慎重に確認します。 |
| 屋根 | 外壁より濃い色でまとめると、住まい全体が安定して見えやすくなります。 |
| 付帯部 | 雨樋、破風、鼻隠し、水切りなどの色で全体の引き締まりが変わります。 |
| サッシ | 白、黒、シルバー、ブロンズなど、既存サッシとの相性を確認します。 |
| 玄関ドア | 木目、ブラック、アルミ色など、家の顔として調和を見ます。 |
| 周辺環境 | 道路幅、隣家、植栽、日当たり、街並みとのなじみ方を確認します。 |
このように、外壁色は一つの色だけで完成するものではありません。
屋根、付帯部、玄関、サッシ、外構、植栽まで含めて、全体の空気感を整えるものです。
600色と聞くと、「そんなに必要なの?」と思われるかもしれません。
けれど実際の色選びでは、600色すべてを一つずつ比較するわけではありません。
まず建物の年代、外壁材、屋根色、サッシ色、周辺環境、お客様の好みを見て、候補を大きく絞ります。
そのうえで、ベージュ系ならどのベージュがよいか。
グレー系なら、青み寄りか、赤み寄りか、黄み寄りか。
白系なら、真っ白に近いのか、少し温かみを持たせるのか。
こうした細かな調整をするために、多くの色が必要になります。
美容室で「少しだけ軽く見える髪色にしたい」と伝えたとき、ただ茶色にするのではなく、明るさ、赤み、黄み、艶感まで調整するのに似ています。
外壁塗装も同じです。
「ベージュにする」だけではなく、「その家に似合うベージュに整える」ことが大切なのです。
色が増えた時代だからこそ、職人やカラー提案者には、選択肢を広げる力だけでなく、必要な色へ絞り込む力が求められています。
昭和・平成・令和で変わる、外壁塗装に似合う色の考え方
外壁塗装の色選びでとても大切なのが、建物が持っている「時代の空気」を読むことです。
すべての色が、すべての住宅に似合うわけではありません。
同じグレージュでも、昭和のモルタル住宅に似合うグレージュと、令和のシンプルモダン住宅に似合うグレージュでは、少し方向性が変わります。
昭和の住宅には、切妻屋根、モルタル外壁、シンプルな立面、落ち着いた和風・洋風の雰囲気など、主張しすぎない造りの家が多く見られます。
この時代の住宅に似合いやすいのは、色の主張を抑えた穏やかな色です。
- ■ 生成りに近いアイボリー
- ■ やや黄みを含んだ淡いベージュ
- ■ 明るすぎないグレー
- ■ 土や木になじむ薄いブラウン系
- ■ 彩度を抑えたクリーム系
昭和の住宅に、あまりにも高彩度な色や、今どきの強いコントラストを加えると、建物の素朴さと色の主張がぶつかってしまうことがあります。
たとえるなら、昔ながらの和菓子に、派手なネオンカラーの包装紙を合わせるようなもの。
悪いわけではありませんが、本来のよさが少し見えにくくなることがあります。
昭和の住宅は、色で若返らせるよりも、質感を整えて品よく見せるほうが美しく仕上がりやすいです。
平成の住宅では、窯業系サイディング、デザイン性のある凹凸、バルコニー、出窓、分譲住宅らしいまとまりのある外観が多く見られます。
この時代の住宅は、外観に「完成度」が求められた時代でもあります。
そのため、単色でのっぺり仕上げるよりも、付帯部やアクセント部分とのバランスを取った色設計が似合いやすくなります。
- ■ グレージュ
- ■ ベージュ×ブラウン
- ■ アイボリー×淡いグレー
- ■ 明度差を抑えたツートン
- ■ 外壁柄を活かすダブルトーン仕上げ
平成の住宅では、「無難な白」よりも、「きちんと整って見える中間色」のほうが映えることがあります。
特にグレージュやベージュ系は、サイディングの凹凸や屋根色とも合わせやすく、上品で落ち着いた印象をつくりやすい色です。
ただし、平成住宅は外観に凹凸が多い分、色数を増やしすぎると少し忙しく見えることがあります。
外壁、アクセント、屋根、付帯部、サッシ、玄関ドア。
それぞれが別々に主張すると、まるで全部の料理に主役級の味付けをした食卓のようになってしまいます。
平成住宅では、主役と脇役をきちんと決めること。
これが色選びの大切なコツです。
令和の住宅は、シンプルモダン、フラットな外観、直線的なデザイン、窓や装飾の少なさが特徴です。
このタイプの住宅では、色そのものの派手さよりも、トーンの美しさが重要になります。
- ■ グレー寄りのホワイト
- ■ 青み・赤みを抑えたニュアンスグレー
- ■ 黒に見えて、実は黒ではないチャコール系
- ■ 低彩度のグレージュ
- ■ 木目や植栽を引き立てる設計白
令和の住宅は、色を足すよりも、引き算で完成度が上がる建物です。
特に白系を選ぶ場合でも、真っ白すぎると外壁だけが強く浮いて見えることがあります。
少しグレーを含んだ白、少しベージュを含んだ白、わずかに温度感のある白を選ぶことで、外観がやわらかく整います。
黒系も同じです。
真っ黒はかっこいい反面、熱を持ちやすく、色あせや汚れの見え方にも注意が必要です。
チャコールグレーや黒に近い低彩度色を使うと、重厚感を保ちながら、少しやさしい印象に調整できます。
| 時代 | 住宅の特徴 | 似合う色の方向性 |
|---|---|---|
| 昭和 | 素朴・量感重視・モルタル外壁 | 生成り、淡ベージュ、控えめグレー |
| 平成 | 凹凸・サイディング・分譲住宅 | グレージュ、ツートン、中間色 |
| 令和 | シンプル・直線・モダン外観 | ニュアンスグレー、設計白、低彩度色 |
外壁色に迷ったときは、まず「この家はどの時代の美意識を持っているか」を見ること。
そこから似合う色の範囲を絞ると、色選びはぐっと分かりやすくなります。
色が多すぎる時代の、外壁塗装の正しい迷い方
外壁塗装の色選びで失敗しやすいのは、「最初から全部の色を見て決めようとすること」です。
600色以上の色見本を前にして、いきなり一色を選ぶのは、広いデパートで「あなたに一番似合う服を一枚だけ選んでください」と言われるようなものです。
楽しい反面、かなり大変です。
小林塗装では、外壁色を考えるときに、いきなり色見本帳の全色から選ぶのではなく、まず候補を絞ることを大切にしています。
- ■ 建物の年代を見る
- ■ 外壁材の種類を見る
- ■ 屋根色との相性を見る
- ■ サッシや玄関ドアの色を見る
- ■ 周辺の住宅や街並みを見る
- ■ お客様の好みを確認する
- ■ 10年後も落ち着いて見えるかを考える
この順番で考えると、色選びは「好みだけの問題」ではなく、「建物に合う範囲の中で好みを活かす作業」になります。
これは、料理で言えば、素材に合う味付けを考えることに似ています。
新鮮な白身魚には、濃いソースより塩や柑橘が合うことがあります。
外壁色も同じで、建物の素材や形に合った色を選ぶことで、自然に美しく見えます。
最近は、グレージュ、ニュアンスカラー、チャコール、くすみ系カラー、マットな艶消し仕上げなどが人気です。
これらの色はとてもおしゃれです。
ただし、流行している色が、必ずしもすべての住宅に似合うとは限りません。
たとえば、重厚な和風住宅に寒色寄りのモダングレーを合わせると、少し冷たく見えることがあります。
反対に、シンプルモダンの住宅に黄みの強いクリームを広く使うと、建物のシャープさが弱く見えることもあります。
大切なのは、流行を否定することではありません。
流行色をそのまま使うのではなく、建物に似合うように「温度」「明るさ」「彩度」を調整することです。
外壁塗装は、毎日見る色です。
服のように、その日の気分で着替えることはできません。
だからこそ、色選びでは「好き」だけでなく、「毎日見ても落ち着くか」を大切にしてください。
好きな色は、心を動かしてくれます。
落ち着く色は、暮らしを支えてくれます。
外壁塗装では、この二つのバランスが大切です。
好きな色をアクセントに使い、外壁全体は落ち着く色にする。
または、好きな色を少し彩度を落として使う。
そうすることで、おしゃれさと長く住む安心感を両立しやすくなります。
色が多すぎる時代だからこそ、正しい迷い方は「全部から選ぶ」ことではなく、「似合う範囲まで絞ってから選ぶ」ことです。
外壁塗装の色選びで後悔しないための実践ポイント
ここからは、外壁塗装の色選びで後悔しないために、実際の現場で特に大切にしているポイントを紹介します。
室内で見た色と、屋外で見た色は印象が変わります。
外壁は太陽光の下で見る面積の大きな色です。
そのため、室内の蛍光灯やLED照明の下で見た色より、屋外では明るく、薄く感じることがあります。
特に白系、ベージュ系、グレー系は、光の影響を受けやすい色です。
可能であれば、A4サイズ程度の大きめの塗り板を屋外で確認することをおすすめします。
小さな色見本では落ち着いて見えた色でも、外壁全体に塗ると明るく、鮮やかに見えることがあります。
これを面積効果といいます。
外壁色を選ぶときは、色見本だけで「少し地味かな」と感じるくらいの色が、実際の外壁ではちょうどよく見えることもあります。
特にピンク、ブルー、グリーン、イエローなどの有彩色は、面積が大きくなるほど印象が強く出ます。
やさしい色にしたい場合は、彩度を少し抑えた色を選ぶと上品に仕上がりやすくなります。
外壁色だけで完璧に見えても、屋根や付帯部と合わないと、全体の印象がちぐはぐになることがあります。
外壁塗装では、雨樋、破風、鼻隠し、水切り、シャッターボックス、雨戸、軒天などの付帯部も大切です。
これらの色は面積こそ小さいですが、住まい全体の輪郭を整える役割があります。
| 部分 | おすすめの考え方 |
|---|---|
| 屋根 | 外壁より濃くすると安定感が出やすいです。 |
| 雨樋・破風 | サッシ色や屋根色に合わせるとまとまりやすいです。 |
| 軒天 | 明るめにすると軽やかに、濃色にすると引き締まります。 |
| 水切り | 外壁下部の汚れや境目を自然に見せる色が向いています。 |
外壁色は、美しさだけでなく、汚れの見え方も大切です。
真っ白は清潔感がありますが、雨だれやほこりが目立ちやすい場合があります。
真っ黒や濃紺は重厚感がありますが、砂ぼこり、花粉、鳥のフン、チョーキングの白っぽさが目立つことがあります。
汚れが気になる方には、ベージュ、グレージュ、ライトグレー、アイボリーなどの中間色が扱いやすい場合があります。
同じ色でも、艶あり、7分艶、5分艶、3分艶、艶消しで印象は変わります。
艶ありは、塗り替え直後の美しさや汚れにくさを感じやすい反面、光沢が強く見える場合があります。
艶消しや3分艶は、落ち着いた高級感を出しやすい反面、塗料の種類によっては汚れやすさや耐候性に注意が必要です。
最近は、上品なマット感を好まれる方も増えています。
ただし、外壁材や立地条件によって向き不向きがあるため、見た目だけでなく性能面も含めて選ぶことが大切です。
外壁塗装は、塗った直後だけが完成ではありません。
むしろ、そこから10年、15年と住まいを守っていくための工事です。
そのため、色選びでは「今おしゃれに見えるか」だけでなく、「年数が経っても違和感が出にくいか」を考えることが大切です。
流行色を取り入れる場合でも、外壁全体ではなくアクセント部分に使う。
または、彩度を抑えて長く見ても飽きにくいトーンにする。
このような調整をすると、今の感覚と将来の安心感を両立しやすくなります。
外壁塗装の色選びは、単に「好きな色を選ぶ作業」ではありません。
建物の魅力を引き出し、暮らしに寄り添い、住まいを長く美しく見せるための大切な設計です。
まとめ|外壁塗装の色は、家と一緒に年を重ねるもの
外壁塗装の色が増えた理由は、単に流行色が増えたからではありません。
1954年には、色は必要な分だけで十分でした。
1970年代には、社会情勢に合わせて色が整理されました。
1980〜90年代には、住宅に少しずつ個性が求められるようになりました。
そして2000年代以降、色は住まいを美しく整えるための設計言語になっていきました。
色が多い時代は、自由度が高い時代です。
しかし同時に、迷いやすい時代でもあります。
だからこそ大切なのは、たくさんの色を前にして焦って決めることではありません。
まず建物の時代、外壁材、屋根、サッシ、周辺環境を見て、その家に似合う色の範囲を絞ること。
そのうえで、お客様の好みを丁寧に重ねていくことです。
色は、家と一緒に年を重ねるものです。
塗った瞬間だけきれいな色ではなく、毎日見ても落ち着き、年月が経っても「この色にしてよかった」と思える色。
そんな色選びが、住まいの価値を静かに高めてくれます。
小林塗装では、色見本帳の中からただ色を選ぶのではなく、建物の状態、素材、周辺環境、お客様の好み、そして10年後の見え方まで考えた色彩提案を大切にしています。
外壁塗装の色で迷われたら、どうぞお気軽にご相談ください。
「似合う色が分からない」という段階からでも大丈夫です。住まいの表情を一緒に見ながら、長く愛せる外壁色を丁寧に探していきましょう。
外壁塗装の色選び 深掘りQ&A
外壁材、屋根材、サッシ、玄関ドア、街並み、住宅デザインが多様化したためです。
昔は「無難で長持ちして見える色」が中心でしたが、現在は「建物に似合う色」「暮らしに合う色」「街並みに調和する色」まで求められるようになりました。色数が増えたのは、迷わせるためではなく、より的確に選ぶためです。
日塗工色とは、日本塗料工業会が発行している塗料用標準色のことです。
外壁塗装や建築塗装の現場で、色番号によって色を指定しやすくするために使われています。「ベージュ」と言葉で伝えるだけでは人によって解釈が違いますが、日塗工番号を使うことで、色の共有がしやすくなります。
色見本帳は大切な判断材料ですが、それだけで決めるのは注意が必要です。
外壁は面積が大きく、屋外の自然光で見るため、小さな色見本より明るく、薄く感じることがあります。できれば大きめの塗り板を屋外で確認し、朝・昼・夕方の見え方も見ておくと安心です。
昭和の住宅には、生成り系のアイボリー、淡いベージュ、明るすぎないグレー、土や木になじむブラウン系が似合いやすいです。
建物の素朴さを活かすには、色で強く主張するよりも、外観全体をやわらかく整える色がおすすめです。
平成の住宅には、グレージュ、ベージュ×ブラウン、アイボリー×グレー、明度差を抑えたツートンなどが似合いやすいです。
サイディングの凹凸やバルコニーの形を活かしながら、外壁、屋根、付帯部を整えると、きちんと感のある外観になります。
令和の住宅には、ニュアンスグレー、グレー寄りのホワイト、低彩度のグレージュ、チャコール系などが似合いやすいです。
シンプルモダンの住宅は、色を足しすぎるよりも、トーンを整えることで洗練された印象になります。
グレージュは非常に使いやすい色ですが、どんな家にもそのまま合うわけではありません。
黄みが強いグレージュ、赤みを含むグレージュ、グレー寄りのグレージュでは印象が変わります。屋根色、サッシ色、玄関ドア、周辺環境との相性を見ながら選ぶことが大切です。
真っ白に近い外壁は清潔感がありますが、雨だれ、排気ガス、ほこり、カビ、藻などが目立ちやすい場合があります。
汚れが気になる場合は、少しグレーやベージュを含んだ白、低汚染性に優れた塗料、防藻・防カビ性のある塗料を検討するとよいでしょう。
黒やネイビーは、重厚感や高級感を出しやすい色です。
ただし、熱を持ちやすいこと、白っぽい汚れやチョーキングが目立つこと、周辺環境によっては重く見えることがあります。真っ黒ではなく、チャコールグレーや少し柔らかい濃色を選ぶと、上品に仕上がりやすいです。
一番のコツは、最初から全色を見て選ばないことです。
建物の時代、外壁材、屋根、サッシ、玄関ドア、周辺環境を見て、まず似合う色の範囲を絞ります。その中でお客様の好みを活かすと、失敗しにくくなります。
相談されることをおすすめします。
外壁色は、色見本だけでは判断しにくい部分が多くあります。面積効果、艶、屋外での見え方、外壁材との相性、汚れの見え方、付帯部との組み合わせまで考える必要があるため、現場経験のある塗装店に相談すると安心です。
はい、もちろん可能です。
小林塗装では、外壁の劣化状態や建物の形、屋根・付帯部との相性、周辺環境、お客様の好みをふまえて色彩提案を行っています。「何色がいいか分からない」という段階からでも大丈夫です。住まいに本当に似合う色を、丁寧に一緒に考えていきます。
コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主 小林ゆずは、名古屋を拠点に、外壁塗装・屋根塗装・防水工事・シーリング工事・色彩提案などを行う塗装工事の専門家です。
30年以上の現場経験と、2,000件以上の施工実績をもとに、塗料の性能、下地処理、塗布量、乾燥時間、色彩バランス、近隣配慮まで大切にした塗装工事を行っています。
外壁塗装は、ただ色を塗り替える工事ではありません。住まいの印象を整え、暮らしを心地よくし、大切な建物を長く守るための住まいのメンテナンスです。色選びで迷われた際は、どうぞお気軽に小林塗装へご相談ください。
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