窯業サイディングボードで塗装が剥離した原因

今回は、窯業サイディングボードの塗装が剥離してしまう原因とその対応策方法について「名古屋の塗装店」小林塗装が分かりやすくお伝えします。
サイディングボードの塗装が剥がれてしまい、原因が分からずお困りのお客様はぜひこのコラムをご覧下さい。

このコラムで分かる事

・　窯業サイディングボードを塗り替えて、早期に塗装が剥離してしまった原因

1.　窯業サイディングボードで塗装が剥離した原因①
　シーラーがサイディング表層に残らず内部に浸透したことが原因

経年劣化した無塗装の窯業サイディングボードを塗装することになって、上塗り塗料の付着力を高めるため下塗りにエポキシ系の浸透性シーラーを塗って、水性シリコン塗料で仕上げたのですが、養生を取り外す際、養生テープで上塗りが簡単に剥がれてしまいました。

剥がれた塗膜部分をじっくり観察すると、サイディングボードの表層にはシーラー層が全く見あたらず、サイディングの表面を指で擦ると指に白い粉が着いてくる状態でした。

こういったことから、下塗りで塗装したシーラーは、サイディング表層にとどまらず深層にまで浸透してしまい、シーラー本来の機能が全く発揮されなかった事が、仕上げ塗装の剥離に繋がったものと思われます。

窯業サイディングボードには、「化粧仕上げ板」、「シーラー塗装板」、「無塗装板」の3種類があり、今回不具合が発生した建物の外壁材には、無塗装の押出し成形セメント板が使われていました。

無塗装サイディングボードは、サイディング表層に塗装による保護層が全く無いので、雨水が簡単に浸み込んでしまいます。
経年に伴った降雨、乾燥の繰り返しで、サイディングボードのアルカリ成分が浸食され、多孔質状（サイディングボードの内部に小さな穴が多く空いた状態）になり強度も低下しています。

２.　窯業サイディングボードで塗装が剥離した原因②
　無機塗装仕上げのサイディングボードには一般塗料は付着しない

特殊サイディングボードは光触媒、セラミック塗料など硬質の無機材料で表面加工されています。
ガラスに塗料が付着し難い事と同じ理屈で、塗料のような有機材料と無機材料は相性が悪く、塗装が剥離する原因となります。

このような不具合が発生しないようにするには、塗り替えの計画段階で、先にお伝えした特殊なサイディングボードが使われていないかどうか建築図面を確認することが大切です。
図面に記載のないときは実際のサイディングボードの調査を行います。
経年に対して塗装のつや引け‥といった経年劣化が少ない場合は特殊サイディングボードである可能性があります。

お客様自身で特殊サイディングボードかどうか確認する方法は、ガーゼにラッカーシンナーを浸し、サイディング表面を擦った際、表面が軟化したり、溶解したりしなければ、特殊サイディングボードである可能性が高いため、弱溶剤ハイブリットエポキシシーラーを下塗りして、各種仕上げ塗料で塗り替える事をおすすめします。

もし、通常の外装塗料を使って付着不良の症状が発生してしまった場合は、全面ケレンするしか対策がありません。
雨漏れの心配が無いでしたら、30メガパスカル以上の業務用高圧洗浄機でケレンするのが効率的です。
ケレン後は上記シーラーを使って再度塗装する様にします。

3.　窯業サイディングボードで塗装が剥離した原因③
　サイディング塗装の際には、シーラーが濡れ色になった事を確認しましょう

経年した無塗装サイディングボードの塗装は、見た目がしっかりしていても注意が必要です。

この様な不具合を防ぐにはシーラー塗装後の状態を確認します。目視でサイディングの表面が濡れたような状態になっていればシーラーは表層に残っています。逆に表面が濡れ色にならず、指で擦ってチョーキングが残っているが残っている様でしたら、再度シーラーを塗り重ね、濡れ色になった事をしっかり確認してから上塗りを塗装します。

もし、サイディング塗装の剥離トラブルが発生してしまった場合は、上塗りは活膜（ちゃんとした塗膜）部分を残し、浮き膜、付着の弱い塗膜はケレンして取り除きます。サイディング塗装を補修する際の注意点は、残した塗膜と改修塗膜との段差が生じて仕上がりを損なうので、できるだけ面を区切ってケレンする事をおすすめします。

なおケレン部はエポキシ系の浸透性シーラーを塗装し、表層にシーラー塗膜が残っている事を確認してから各種仕上げ塗料で仕上げる事をおすすめします。