外壁塗装で光触媒塗料を使うメリットとデメリットについて｜小林塗装

1.　外壁塗装に使用する光触媒塗料とは？

光触媒塗料は、紫外線（日光）が当たることで、外壁に付着したチリや排気ガスなどの汚れを分解する機能を持つ塗料でメンテナンスコストを削減させることが可能な塗料です。

その仕組みは光触媒塗料に含まれる酸化チタンが紫外線に当たることで酸素と水分と反応し、外壁汚れの原因となる有機物質を無害化させ、二酸化炭素と水に分解させます。
その結果、分解された有機物質の汚れは雨水で洗い流されます。

光触媒材料として利用される二酸化チタン（TiO2）には、ルチル型とアナターゼ型、ブルカイト型の3種類があり、そのうちルチル型チタンの光触媒反応が弱く、主に塗料の白色に使われています。
なお、光触媒としての活性がより高いのは一般的にアナターゼ型の酸化チタンになります。

この光触媒機能は「セルフクリーニング機能」、「親水性機能」、「マイクロガード機能」などとも呼ばれ、塗装面についた汚れを洗い流す効果があり、光触媒塗料の大きな魅力の一つと言えます。
光触媒の主な成分である酸化チタンは化粧品や食品の着色料として使われているので、人体への影響を心配する必要はありません。

また、従来の光触媒塗料は紫外線でしか、その効果を発揮することができませんでした。

しかし、塗料の製造技術の発達によって、蛍光灯などの屋外に比べて弱い光の室内灯でも効果が発揮できるようになったので、室内用塗料としての活用も期待されています。

2.　外壁塗装で使われる　主な光触媒塗料

現在、外壁塗装で使われている光触媒塗料には、次のような塗料があります。

なお、日本の3大建築塗料メーカー日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研は光触媒塗料を販売していません。
さらに光触媒塗料のイメージを作り上げたと言っても過言ではないTOTOオキツモコーティングスの『ハイドロテクトシリーズ』も、現在は製造を終了しています。

3.　外壁塗装で光触媒塗料を使用するメリット

まず、光触媒の塗料を使うメリットをまとめてお伝えします。

先にお伝えしたように、光触媒塗料は紫外線に反応して、外壁に付着した汚れを分解します。

それに加えて、塗装面の雨水がなじみやすい性質もあるので、分解された塗装面の汚れを自然に洗い流すセルフクリーニング機能が十分に発揮されやすいといえます。

そのため、塗装面に汚れが付きにくく、外壁の掃除が省けるのでメンテナンスが簡単になります。

外壁塗装が劣化する原因となる紫外線を、光触媒塗料は逆に利用することで外壁汚れを防ぎます。

一般的な塗料の耐用年数が約10～15年であるのに対して、光触媒塗料は最長で約15～20年の耐久性があります。

光触媒塗料の優れた耐久性は、他の塗料と比べてもトップクラスに位置しています。

ただし、外壁塗料における耐用年数はあくまでも販売しているメーカーが「これぐらい持つように作りました」･･･と提示しているおおよその目安なので、施工する地域の気候や建物の立地が違えば全く異なる耐用年数になる可能性もあります。

また、耐用年数が短い光触媒塗料も多く存在することに注意が必要です。

光触媒塗料は複数のメーカーから販売されており、販売しているメーカーによって耐用年数は違いますので、メーカーによって耐用年数にどのくらい差があるのかしっかり確認したうえで選ぶ必要があります。

この様なことを勘案するとシリコン系塗料を13～15年前後、ラジカル制御塗料を15年前後、有機無機複合塗料を20年前後、定期的に塗り替える方が、費用対効果、施工後のリスクの面からみても賢い選択ではないかと思います。

光触媒塗料には車の排気ガスなど空気中の汚れを除去する機能に加え、臭いの成分を分解する防臭機能も兼ね備えています。

このように環境にやさしく、エコに配慮できるのも光触媒塗料の大きなメリットです。

また近年では、光触媒が抗ウイルス、抗菌性能が発揮されることが分かり、室内の壁や天井に使用する塗料として、光触媒塗料の需要が高まっています。

4.　外壁塗装で光触媒塗料を使用するデメリット

逆に外壁塗装で光触媒塗料を使うデメリットをお伝えします。

紫外線に反応して効果を発揮するため、日陰では効果が弱くなってしまいます。

日陰だからといって全く効果が無くなるわけではありませんが、本来持つ効果の半分ほどしか発揮できません。

現在発売されている光触媒塗料の多くは、白っぽい色（淡彩色）を基調に販売されています。

その理由は、主成分である酸化チタンの本来の色が白であることに起因しています。

ですから、黒、茶色など濃い色や赤、青、オレンジなど鮮やかな色を出すことが難しく、白色顔料があまり使われない色の塗料は選ぶことができません。

先に濃い色を塗った後に光触媒塗料でコーティングもできますが、使用できる塗料の種類が限られてしまうのが欠点です。

そのため、外壁の色にこだわりたいお客様には向いていないかもしれません。

光触媒塗料は、一般の塗料と比べて塗装後の塗膜が硬くなります。

そのため、表面にひび割れが生じる可能性が高く、長期間きれいに外観を保つためには定期的なメンテナンスが必要です。

光触媒塗料には耐久性が高いというメリットがある一方で、塗膜が固く、遮蔽性が低いため塗装にひび割れが生じやすさから、下準備作業である外壁修繕費用が割高になるリスクがあることを覚えておきましょう。

セルフクリーニング機能が備わっているといっても、泥や鳥の糞などの粘着性のある汚れに関しては、水で洗い流す必要があります。

それらの汚れを放置すると、光触媒塗料の効果が発揮しづらくなる上に塗装の劣化が加速する恐れがあるので、注意が必要です。

【光触媒塗料で洗い流すことができない汚れの一例】

といった、窒素化合物や硫黄化合物が含まれていない無機化合物には効果がありません。

ですから、「外壁をずっと掃除せずに済みますよ」といった過剰な営業トークに惑わされず、定期的なメンテナンスも視野に入れた上で選ぶことが大切です。

光触媒塗料は塗装する際、ローラーや刷毛の塗りムラができてしまうと仕上がり感が著しく低下したり、光触媒の効果が十分に発揮できなくなったりするため、技術力と施工実績のある塗装業者を選ぶ必要があります。

また、工数の多さや作業の難しさから、光触媒塗料は一般的な外壁塗料で塗装するよりも施工費用が割高にます。

5.　光触媒塗料で外壁塗装する価格の相場

先にお伝えしたように、光触媒塗料は外壁塗装に掛かる費用は一般的な塗料と比べると高く設定されています。

一般的なシリコン塗料に比べ、光触媒塗料した外壁塗装の場合は、同じ条件で約2倍以上の価格です。

セルフクリーニング機能、空気清浄機能など、光触媒塗料ならではの機能を重視するのでしたら、光触媒塗料を選ぶのも良いかもしれませが、 光触媒塗料にそこまで強いこだわりがないのでしたら、お客様が依頼している施工業者のアドバイスを参考にして他の塗料と比較検討することをおすすめします。

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6.　外壁塗装で光触媒塗料を検討する際、知っておくべきこと

光触媒塗料には様々なメリットがある一方で、知っておくべきことがあります。

それぞれについて、見ていきましょう。

現状の光触媒塗料は、屋根や一部の外壁に非対応のため使用できません。

とは言え、屋根のみを光触媒塗料よりも極端にグレードの低い塗料で塗装すると、耐久年数に差が生じる恐れがあります。
そのため、光触媒塗料と他の塗料を組み合わせて使う場合は、それぞれ塗料の性質や耐久年数について把握した上で決めるようにしましょう。

光触媒塗料は高い塗装技術が求められるため、取り扱う工務店が少ないのも事実です。

光触媒塗料による塗装を依頼するにも工務店が見つかりにくいことに加えて、塗装実績が少ないことから十分な情報が得られないケースも少なくありません。
もし、光触媒塗料にこだわりがないのでしたら、他の外壁塗料も視野に入れて検討することをおすすめします。

近年多くの海外、ベンチャー企業が光触媒業界に参入していますが、様々な機謳っているいるものの効果、性能には疑問符の付くものが数多く存在します。

光触媒塗料の代名詞ともいえるTOTOの外壁塗装用光触媒塗料のハイドロテクトコートが2017年に終売となりました。
終売した理由も、外壁塗装を行って年数が経ってから、塗装した部分がムラムラになってしまう、新たに塗り替えする際、塗装が剥がれてしまうなどといった重篤な品質クレームによる出荷量の減少でした。

7.　光触媒塗料に関するよくある質問

お客様からよくある光触媒塗料に関する質問をまとめました。

一般的な低汚染塗料は塗膜表面を特殊シリカ技術で親水化（撥水ではなく水の膜を形成する状態）にして雨水で汚れを洗い流します。

これに対して光触媒塗料は、塗膜の親水性だけではなく光触媒による有機物の分解機能を持ち合わせ

光触媒の外壁塗装は、一般的には15年くらいの持続効果が期待できますが、周辺環境や塗装の品質によって異ってきます。

通常の外壁塗装に比べて施工費用は高めですが、長期的なメンテナンス費用の削減を考えてみるとコストパフォーマンスはかなり良いと言えます。

本当です。

販売中止となったTOTOの「ハイドロテクトコート」など光触媒塗料は、販売開始当初は施工認定制度を取っており、認定した会社でしか扱うことができませんでした。
その後、どこの塗装会社でも手軽に扱うことができるようになりました。

しかし、光触媒塗料は施工の知識や技術を非常に要するので、正しい施工を行わなければ、光触媒の性能を発揮しないなど不具合が多くありました。

それに関しても本当です。

先にお伝えした様に光触媒塗料は総じて施工が難しく、風の強さや湿気など施工環境に大きく左右される繊細な塗料と言えます。

ですから、正しく施工を行わなければ、塗装に色ムラが出てしまったり、セルフクリーニング効果を発揮しない場合があるため、不具合が出やすい塗料です。

光触媒の性質上、他と同じように塗装を行うと、塗膜がしっかり密着せずに剥がれてしまいます。
ただし、現在では光触媒の下地に適応したプライマーやシーラーが各メーカーから販売されています。

間違っています。

上記の質問でお答えしたように他の塗料と同じように塗装を行うと、塗膜が密着せず剥がれてしまうので専用下塗り材を使用して塗替えする必要があります。

重要なのは、新築時にどんな外壁材にどんな塗装が施されているかを事前に確認することです。

光触媒塗料を使った外壁塗装に限らず、業者に工事を依頼する際には見積書の内容をしっかりと確認することが大切です。
見積書には、どのような作業に費用がいくら掛かるのか細かく記載されています。

見積書に作業内容や使用する材料が細かく記載されていなかったり、お客様が気になることを聞いてもはぐらかした答えを言う業者には注意が必要です。

また、追加費用が発生するケースなどもチェックしておきましょう。

8.　外壁塗装で光触媒塗料を使うメリットとデメリットについて　まとめ

今回のコラムは、光触媒塗料を外壁に使うメリットとデメリットについてお伝えしました。

光触媒塗料は高い機能と耐用年数を誇る塗料ですが、施工例が少なく効果がはっきりしないというデメリットもあります。
ですから、光触媒塗料特有の性能を重視するのか、お客様自身の要望に見合う塗料を探してみてください。

光触媒塗料を取り入れるか悩んでいる場合は、施工実績のある塗装業者でプロのアドバイスも参考にしなながら検討しましょう。

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コラム筆者
小林塗装　店主　小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコンテンツを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。

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