モニエル瓦を塗り替えたら塗装が剥がれてしまいました｜小林塗装

1.　モニエル瓦の塗装　剥がれの状況

今回の見た現場は、30年近くメンテナンスされていなかったモニエル瓦の塗り替えで、スレート屋根用の塗り替え用の浸透型エポキシシーラーを下塗りして屋根用シリコン塗料を使用しましたが、わずか半年ほどで塗膜の剥離してしまいました。

塗装を行う前のモニエル瓦の状況は経年劣化が著しく、表層の化粧層や一部素地が露出した状態でした。
なお、剥離した塗膜の裏面には新設時の塗膜が少し付いていました。

2.　劣化した着色スラリー層を固めないと、モニエル瓦の塗装は確実に剥がれます

モニエル瓦は、セメントと砂を固めた作られたセメント瓦にベースコートとして、セメントを水で溶かした水あめ状の着色スラリーが厚く塗り付けられ、仕上げにアクリル樹脂クリヤーが塗装されています。

モニエル瓦表面のアクリル樹脂のクリヤー層は経年に伴って徐々に摩耗してしまい、大体8～10年くらいの間で着色スラリー層が露出してきます。
着色スラリー層はセメント質なので、酸性雨や酸性ガスの影響を受けて劣化が始まり、15年以上経過するとベースコートの表層だけでなくスラリー層内部まで加水分解が進行します。

スレート屋根用のエポキシ樹脂シーラーは、この様な粉化層に浸透して素地補強効果を発揮するのですが、モニエル瓦のようなチョーキングした脆弱なスラリー層が厚い場合は、シーラーの浸透力と固化能力が十分発揮されず、脆弱な着色スラリー層を固められなかったことが、塗装剥離の原因となりました。

3.　剥がれない、正しいモニエル瓦の塗装　塗り替え方法

今回のような症状を防ぐには、経年劣化したモニエル瓦の厚い着色スラリー層を完全に固める必要があります。

それにはまず、下地調整の高圧洗浄作業2～3回繰り返し、可能な限りモニエル瓦表層にある脆弱なスラリー層を取り除き、十分時間をかけて乾燥させた後にモニエル瓦専用の浸透性と下地補強効果に優れた２液形のエポキシ樹脂シーラーをモニエル瓦の表面が濡れた感じになるまで、たっぷり2～3回塗る必要があります。
（モニエル瓦の状態によっては、4回塗りする場合もあります。）

モニエル瓦の仕上げ塗装は、耐候性が優れるラジカル制御型の屋根用の弱溶剤シリコン、フッ素、無機塗料で仕上げる事をおすすめします。

なお下塗り、中塗り、仕上げ塗りの各工程間には、塗膜の剥離チェックを行いましょう。
その際に塗膜の剥離が起こってしまった場合は、剥離した部分の周囲全てをケレンするしか対処方法はありません。
その後再度モニエル瓦専用の各塗装仕様で仕上げて行くことになります。

モニエル瓦（乾式洋瓦）の特徴と種類について

4.　剥がれない、正しいモニエル瓦の塗装仕様　一例

剥がれない、正しいモニエル瓦の塗装仕様　一例をお伝えします。

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コラム筆者
小林塗装　店主　小林ゆず

小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁・屋根・室内‥塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。