

軒天とは?軒天の役割・素材・塗装・補修工事について
屋根の軒は、窓からの雨水の吹き込みや直射日光を防いだり、玄関前で鍵を開ける際に雨に濡れるのを防いだりと、建物の劣化を防ぎ快適な生活を送る上で重要な役割を果たしています。
また、軒の裏側(玄関などから見上げて見える部分)を「軒天(のきてん)」と呼びます。
あまり目立たない部分ではありますが、劣化を放置するとさまざまなトラブルが起こり得ます。
トラブルを事前に防ぎ、建物の資産価値を維持するためにも外壁と同様、軒天も定期的なメンテナンスが必須となります。
この記事では、意外と知られていない軒天の役割や重要性、修復・塗装工事などのメンテナンス方法について、「名古屋の塗装店」小林塗装が詳しくお伝えします。
「軒天の劣化が気になっている」、「外壁塗装と同時に軒天塗装も行いたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1. 建物の部位 軒天(のきてん)とは?
屋根の軒(のき)とは、窓、玄関、外壁などよりも「外側に出っ張って突き出ている部分」を指し、軒天(のきてん)は軒の裏側にあたる部分を指します。
その他、軒天井(のきてんじょう)や軒裏天井(のきうらてんじょう)と呼ばれることもあります。
また、建物から突き出した部分である「ベランダやバルコニーの裏側」も同じく軒天と呼ばれます。
一般的な住宅では、玄関前に1m程度の雨宿りスペース、外壁周りに幅30〜45㎝の軒を設けているケースが多くあります。
軒天を設けることで、雨水の吹き込みや直射日光を防いだりと様々なメリットがあります。
ただし、施工やメンテナンスのコストが掛かるなどの側面もあり、住まいの様式が多様化している現在では、あえて軒を設けないケースも増えています。
軒天に使われる素材は、木材系、金属系、不燃材など様々です。
素材別の特徴やメンテナンス方法については後の項目でも詳しくお伝えしています。
2. 軒天の主な役割について
ここでは、軒天の主な役割やその重要性についてお伝えしていきます。
軒・軒天を長く設けることで、雨水の吹き込みや紫外線から建物を守り、外壁の劣化を防ぐ役割を果たしています。
近年増えつつある軒天の無い住宅は、シンプルでスタイリッシュな雰囲気が魅力的ですが、雨や紫外線が直接外壁に当たりやすく、劣化を早めてしまう危険性があります。
家のデザインを選ぶ際は、メリットとデメリットのバランスをよく考える必要があります。
軒天は、屋根裏の湿気を防ぐ換気口としての役割を果たしている場合もあります。
換気口付きの軒天や、表面に穴が開いている軒天材は、屋根裏に溜まりがちな湿気を外に逃し、内部結露を防ぐ役割を持っています。
湿気は建物の劣化の大きな原因の一つです。
効率的に換気を行い湿気を防ぐためには空気の入口と出口が必要ですが、棟や妻側などと併せて2箇所以上の換気口を設けることで、より効果的に屋根裏の湿気を逃すことができます。
「不燃材」を使用した軒天を設けることで、万が一の火災の際に延焼の被害拡大を抑える効果もあります。
自宅や近隣で火災が発生した場合、軒天が無い住宅では炎が瞬く間に屋根裏まで周り、屋根が焼け落ちてしまう危険性が高まります。
屋根の裏側に軒天(のきてん)を張ることで、野地板(のじいた)や垂木(たるき)と言った、屋根の構造部分を隠すことができます。
また、軒天の表面に化粧垂木(けしょうたるき)などを取り付けることで、和風の趣ある屋根を演出するなど、住宅のデザイン性を高めているケースもあります。
3. 【素材別】軒天の耐久性・メンテナンスについて
前述の通り、軒天は建物の劣化を防いだり外観を整えたりと、多くの役割を果たしていますが、その耐久性やメンテナンス方法は使われている素材によっても異なります。
ここでは、それぞれの素材別の特徴、耐久年数やメンテナンス方法についてご紹介してきます。
普及率が高いのは、ガルバリウム鋼板、アルミスパンなどの金属系の素材です。
軽量な上、木目調のプリントを施すなど、好みのデザインを選ぶことも可能です。
また既存の軒天を包むように施工する「カバー工法」を施すことで、軒天の腐食を防ぐ方法もあります。
ガルバリウム鋼板やアルミスパンは錆びにくく塗装の回数は少なくできますが、錆が発生してしまうと耐久性が低下し、見た目も悪くなってしまいます。
15~20年の間隔で、錆止め塗装と仕上げ塗装を行うことで、腐食や穴開きを防止しましょう。
カラーベニヤ、化粧合板など、木材系の軒天の耐久年数は、約10年ほどです。
木材系の軒天はその他の素材に比べて安価なため、施工や補修工事の費用を抑えることが可能ですが、経年劣化には注意が必要です。
メンテナンスを怠ると、接着力が弱まり表層が剥がれてしまう可能性があります。
多くの場合、10年以上が経過すると、張替や増張補修が必要となります。
ケイカル板・フレキシブルボード・エクセルボードなどの不燃材は、性能とコストのバランスに優れ、新築やリフォーム工事に多く選ばれています。
ケイカル板は耐火性や防湿性に優れていますが、吸水性が高いため塗装による「塗膜保護」が必須です。
また、フレキシブルボードは強度が高く頑丈ですが、重量がケイカル板の倍ほどあるため、事前に下地の強度を確認しておく必要があります。
4. 【状態別】軒天の補修工事の種類について
ここまでご紹介してきた通り、軒天は定期的にメンテナンスや補修工事が必要となります。
ここでは軒天の「状態別」に、どのようなメンテナンスや補修工事を行う必要があるのか、詳しくご紹介していきます。
軒天(のきてん)は、直接雨や日差しに晒される外壁や屋根の表面に比べると、傷みにくい部分です。
軒天材に剥がれや腐食が見られない場合は、表面の塗装で耐久性や見た目を維持することが可能です。
軒天塗装を単体で行うケースは少なく、屋根や外壁塗装とセットで施工するのが一般的です。
塗装を行う場合、まずは高圧洗浄機などで塗装箇所の汚れや旧塗膜を洗い落としてから行うのが一般的で、あらかじめ剥がれそうな塗膜は剥がしておき、塗装終了後に軒天材の継ぎ目や傷、釘穴が目立たないよう、パテ埋めを行い平滑に仕上げます。
また、水に弱い軒天材の場合は高圧洗浄は行わず、ケレンやペーパー掛けで下地処理を行ってきます。
水に弱い軒天材は、水が触れることで劣化が進むので、自身で掃除を行う際にも注意が必要です。
軒天塗装に使用する塗料は、耐水性、通気性、防カビ、染み止め効果に優れた塗料が選ばれます。
一般的なものに、AEP(アクリルエマルションペイント)・EP(エマルションペイント)・NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)に分類されている塗料などが挙げられます。
軒天塗装によく使われる「ケンエースG-Ⅱ」は、弱溶剤タイプで価格の安いAEP、EPよりも機能性に優れたNADエマルション塗料で、長期的な塗膜保護が可能です。
軒天塗装は屋根や外壁とセットで施工することが多いため、外壁と同じ塗料や色で塗装するケースもあります。
また、軒天材を釘で固定している場合は、釘の錆びが軒天材に付着してしまうことがあります。
せっかくの塗装を無駄にしてしまわないよう、釘には塗装前に錆止め塗料を塗っておき、錆を防ぐ必要があります。
既存の軒天材に剥がれが見られる場合は塗装を行うことができないため、軒天の増張り補修工事が必要となります。
また剥がれている範囲や劣化状態によって、補修工事の方法も異なります。
軒天の表層のみに剥がれや劣化が見られる場合は、既存の軒天の上に新たな軒天材を張り付ける「増張り補修」を行います。
ベニヤの上にケイカル板を張り付け、廻り縁や押し縁で落下しないようしっかり固定していきます。
ただし部分的な増張り補修を行うとどうしても段差が生じてしまうため、軒天全体に経年劣化が見られる場合、全体足場を組む外壁塗装の際に検討するのが良いでしょう。
また吸水性の高いケイカル板はそのままでは傷みやすいため、施工後に必ず塗装を行う必要があります。
増張り補修のメリットは、既存の軒天材を処分する手間やコストがかからないため、比較的工期が短く、工事費用を抑えることができる点です。
増張り補修工事のタイミングで軒裏に換気口を設けたい場合は、有孔ボードを取り付ける箇所に穴を開けて換気性能を高める方法もあります。
軒天の劣化が著しい場合や雨漏りが発生している場合は「張替工事」がおすすめです。
雨漏りを起こしている場合、軒天の下地にまで腐食やカビが広がっている可能性が高くなります。
張替工事の際は、傷んだ軒天材や下地木材を撤去し、新たに下地を組み直します。
張替工事の際は既存の軒天材の撤去作業や処分が必要となりますが、劣化部分のみの補修工事を行うことが可能です。
またその場合、部分足場での工事が可能です。
ただし部分的な張替工事の際は、既存部分と補修部分で多少の色の差が生じてしまうことを頭に入れておきましょう。
また、屋根で雨漏りが発生している場合、直下の室内に雨染みができるケースが一般的ですが、屋根の中に入り込んだ雨水が「垂木」や「野地板」を伝って軒先に流れるケースもあります。
その場合、軒天の塗装や張替等の補修を行っても根本的な改善にはなりません。
軒天は湿気で濡れることもありますが、特定の箇所に「雨染み」ができることは多くありません。
軒天が黒く変色していたり、雨で濡れた跡が残っている場合、まずは屋根点検を行い、必要であれば屋根の改修工事後に軒天の改修工事を行う必要があります。
5. 軒天塗装の費用相場
塗料の種類や施工業者によっても多少の差はありますが、軒天塗装の費用相場1㎡あたり、800~1,500円ほどです。
軒天塗装単体で考えるとそれほど費用は高くありません。
ただし軒天工事は高所作業となるため、足場の仮設が必要なケースも多くあります。
玄関部分や1階部分の軒天塗装であれば、脚立のみで補修できることもありますが、広い範囲であれば足場を組む必要が出て来ることも。
そのため、全体足場を組む外壁塗装と同じタイミングで行うことをおすすめします。
軒天塗装単体で考えている場合は、足場の有無によっても価格は大きく左右されるため、見積りしてもらう際は事前にしっかりと確認しておきましょう。
6. 軒天塗装のDIYは可能?
軒天塗装の費用を、できるだけ安く抑えるためDIYでできないか?
とお考えの方もいるのでは無いでしょうか。
結論から言えば、プロの方でない限り軒天塗装のDIYはおすすめできません。
限られた範囲の塗装であれば簡単そうに思えるかもしれませんが、上を見上げながらの塗装作業は、塗料の飛散や足場からの落下など、大きな危険が伴う行為です。
脚立などの不安定な足場の上では尚更です。
また養生が不十分であると、塗料の垂れで外壁を汚してしまう可能性も高くなります。
さらに一般的な塗装の流れは、洗浄、下地処理、塗装となりますが、軒天塗装は素材次第で下地処理の方法がそれぞれ異なるため、専門的な知識を持つプロに頼むのが懸命です。
また前述の通り、軒天の補修方法は塗装、増張り、張替の3パターンに分けられますが、塗装のみで良いのか、どんな工事が必要かという判断も、プロの目でなければ判断が難しいという問題もあります。
安さを重視して自身で軒天塗装を行い、さまざまなリスクを高めるよりも、安心安全で綺麗に仕上がる塗装専門業者に相談することをおすすめします。
7. 軒天の劣化によるトラブルについて
ここまで軒天の役割や補修工事についてお伝えしてきましたが、ここでは、軒天の劣化を放置することで発生しうる主なトラブルについてご紹介していきます。
軒天の劣化を放置することによって、破損箇所などから雨水が入り込み、屋根裏のカビ・腐食が進んでしまう可能性があります。
張替や大々的な工事が必要となってしまう前に、表面の塗装を行うなど、定期的なメンテナンスを行いましょう。
軒天の剥がれた隙間からネズミやハクビシン、スズメやムクドリなどの野生の小動物が入り込み、屋根裏を棲家としてしまうことがあります。
足音や羽ばたきなどの騒音に加えて、糞尿などの排泄物による汚染、配線の噛み切りによる漏電や停電など、さまざまなトラブルに繋がるため、軒天の剥がれが見られる場合は直ちに補修工事を検討する必要があります。
小動物以外に、蜂の巣にも注意が必要です。
蜂は屋根裏のように、外敵からの危険や天候の変化が少ない環境を好んで巣を作る傾向があります。
蜂の巣を作られてしまった場合、軒天の補修工事だけでなく、害虫対策を行う必要があります。
費用も手間も余計にかかってしまう上に、特にスズメバチのように危険な蜂の場合は危険を伴うため、事前にしっかりと対策しておきましょう。
土埃などの汚れや剥がれなど、軒天の劣化によってせっかくのマイホームを古く見せてしまってはいないでしょうか。
屋根の突き出た部分の裏側をぐるりと囲む軒天は意外と面積が広く、想像以上に家全体の印象を左右します。
定期的に塗装を行うことで建物の劣化を防ぎ、塗膜保護効果で土埃などの汚れ防止にも繋がります。
建物の資産価値を維持するためにも外壁塗装と共に、軒天のメンテナンスをしっかりと計画しましょう。
8. 軒天塗装におすすめのカラー
実際に軒天の塗装を行う際に、どのような色を選ぶべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、軒天塗装におすすめのカラーや選び方についてご紹介していきます。
多くの建物の外壁に使われているのが、ライトベージュ、クリーム色などのホワイト系塗料ですが、同じく軒天にもそれらの色味が多く用いられています。
ホワイト系の色味は、色あせが目立ちにくく、全体的に明るい印象を与えるなどのメリットがあります。
また外壁に色味がある場合は、それよりも少し明るい同系色を選ぶことをおすすめします。
面積が狭いように思えるかもしれませんが、屋根の下をぐるりと囲む軒天は意外と面積が広いものです。
軒天の色味にダークカラーを選ぶと、汚れが目立ちにくい、全体的に重厚感が増すなどのメリットがある一方で、外壁の色との組み合わせによっては重たく暗い印象を与えかねません。
特にこだわりがない場合は、明るい印象を与えるホワイト系カラー、もしくは外壁よりワントーン明るい同系色がおすすめです。
特にこだわりがない場合は、明るい印象を与えるホワイト系カラーをおすすめしますが、ホワイトの外壁×ブラックの屋根といった、あえてコントラストを強調したスタイリッシュなデザインを好まれる場合は、軒天にダークカラーを選んでみるのもおしゃれです。
ただし、屋根・外壁全体で使用する色は、多くても3〜4色に絞るのが基本です。
それ以上の色を多用すると、ちぐはぐで統一感のない印象を与えてしまいます。
軒天にダークカラーを持ってくる場合は、必ず屋根や外壁といった広範囲の色とのバランスを合わせて選ぶようにしましょう。
また手元の小さな色見本で見る色と、実際のイメージでは印象が大きく異なる場合があります。
リフォームの際にこれまでと違う色を選ぶ場合は、カラーシミュレーション画像を作成してもらうなどして、塗装後の建物全体のバランスをイメージすると良いでしょう。
木材の自然な風合いなど素材そのものの色や柄、既存の軒天を活かしたい場合は、クリアカラー(透明色)の塗料を選ぶという方法もあります。
その名の通りクリア(透明)の塗料なので、既存の色を変えずに軒天材の保護をすることができます。
一方で、傷や汚れなどがある場合は塗装で隠すことができないのでおすすめしません。
クリアカラーの塗料で既存の風合いを残したい場合は、劣化が進む前に定期的に塗装を行いましょう。
特に、安価なプリント合板の場合は、剥がれなどが起きやすいため注意が必要です。
9. 軒天とは?軒天の役割・素材・塗装・補修工事 まとめ
「軒天」は住居の性能や外観を維持し、重要な役割を担う部分です。
経年劣化によるトラブルを防ぐためにも、外壁と同様定期的なメンテナンスが必須です。
高所作業となる軒天塗装は一般的に足場を組む必要があるため、外壁塗装と同じタイミングで検討すると良いでしょう。
軒天の補修工事を行う際は、専門の施工業者とよく相談しながら、劣化状態に合わせて適切な補修方法を選びましょう。
外壁の軒天など付帯部塗装のことなら小林塗装へ
外壁の軒天など付帯部塗装なら、小林塗装にお任せください。
当店は、2,003年の創業以来、名古屋市周辺で多くの外壁軒天塗装を行っています。
軒天塗装の調査・お見積りはもちろん無料です。お気軽にお問い合わせください。

コラム筆者
小林塗装 店主 小林ゆず
小林塗装の店主小林ゆずは、名古屋「塗装工事の専門店」小林塗装ホームページのコラムを作成しています。
塗装工事のエキスパートとして、外壁、屋根、室内など塗り替え工事を検討している一般のお客様にとって分かりやすく、役立つ情報発信をいつも心掛けています。
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