カラーベスト・コロニアル屋根塗装の施工手順について
当店が行う一般的な薄型化粧スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)屋根塗装の施工手順を説明します。
1.高圧洗浄

薄型化粧スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)屋根の表面に付着している汚れ(ホコリ・カビ・藻等)やチョーキング現象による旧塗膜の白い粉を落とす為に、高圧洗浄機の12~15Mpa(1c㎡当たり120~150kgの圧力)と780L/hの総水量で汚れを押し流します。
チョーキングによる白い粉や屋根材に付着したカビや藻は、屋根塗装の妨げとなる為、塗装する前に高圧洗浄で入念に洗い流す必要があります。不十分な高圧洗浄は、塗装の光沢ムラの原因になります。
また、高圧洗浄を行う際には、屋根材の張り重ね部分に詰まったホコリを入念に洗い流す事が美観に優れた塗装仕上げにする大きなポイントです。
高圧洗浄を行った後は、しっかりと屋根材を乾燥させて、後の屋根補修や塗り替え作業に支障が無い状態にします。
余談ですが、「カラーベスト屋根の塗膜が早期に剥がれてしまう。」といった不具合に関しましては、十分な高圧洗浄と素地が乾燥した状態で塗装作業が行われていれば、先ずをもって簡単に塗膜が剥がれる事はありません。

2.下地調整

通常の高圧洗浄では除去しきれない、脆弱な塗膜(塗膜の膨れ・塗膜剥がれの周り)や板金笠木に錆びがある場合は、スクレイパー・ワイヤーブラシ・マジックロン等のケレン具を用いて、しっかりケレン作業を行います。
ケレン作業は、一般的に旧塗膜や錆びの除去の事を指します。ケレン作業は、塗膜の耐久性と仕上がりの良さに大きな影響を与えます。屋根の高圧洗浄ができない場合は、特にケレン作業を入念に行う必要があります。
(ちなみにケレン作業を丁寧に行う事で、塗装工事で生じる不具合の約50%は、回避できるといっても過言ではありません。)
塗装面に劣化した脆弱な旧塗膜が残っていると、屋根を塗り替えた後、不具合が生じやすくなります。
高圧洗浄で取り除けない汚れがある場合は、丁寧にケレン作業を行い、屋根塗装に適した状態にする必要があります。 塗装前には、必要に応じて、防カビ・防藻剤の塗布を行います。

3.下地補修

カラーベスト・コロニアル(薄型化粧スレート屋根)の劣化症状に応じて、クラック補修・屋根材の部分差し替え等の適切な屋根補修を行います。
その際には、屋根棟笠木の板金部分の浮いた釘打ち込み補修も行います。棟笠木の木下地の状態によっては、釘が効かない場合もありますので、その様な場合には、釘をステンレス製の皿ビスに交換してインパクトドライバーで打ち込みます。
その際には、ビス周りから漏水しない様、ビスの周りに塗装する笠木の色に合わせたシリコン系シーリング材を充填します。
(なお、木下地が腐食している場合は、木材を交換する必要があります。)
塗料を塗る下地が塗装に適さない状態では、塗料が本来持つ性能を十分発揮できなくなる為、塗装工事の前には、適切な補修作業を行う必要があります。

4.養生作業

薄型化粧スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)屋根塗装を行う前には、マスカー・ビニル・布テープ・マスキングテープ(耐溶剤性・耐熱性に優れたものを選定します)等を用いて、塗装しない部分に塗料が飛散、付着、潜りこまない様、しっかりと養生作業をします。
養生テープのラインが塗装の仕上がりの見切りラインになるので、正確に養生作業ができていれば、当然ですが仕上がり感も美しくなります。
また、養生作業には、仕上がった塗装面を汚れや傷から守る役割もあります。

5.下塗り

薄型化粧スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)塗装に適した、カチオン系シーラー・エポキシ系シーラー等を1~2回(下地の状態によっては、最高4回位)まで塗装します。
シーラーの下塗り前には、屋根材の掃き掃除を行い、(特に屋根材の張り重ね部分に残っているホコリやカビに注意して、掃除する必要があります。)屋根塗装の品質を大きく向上させます。
カラーベスト・コロニアル屋根の表面が濡れ肌感になるまで、耐久性に優れ、塗料の吐き出しの良いローラー(毛の長さ18~20mm程度 はけやの「秀吉」PIAの「ラム」がおススメです。)
や刷毛を使って、丁寧に塗装します。カラーベスト・コロニアル屋根用のシーラーには、下地強化機能、吸い込み止め、密着向上、色むら防止させる役目があります。屋根板金部分の下塗りは、ローラー(マルテー大塚の「ツイスト」、はけやの「ミニマクロファイバーローラー」、タイホウの「銀虎」あたりが良いです。)
や筋交い刷毛を使って、弱溶剤型エポキシ系錆止めを1~2回下塗りします。

6.縁切り部材の挿入

薄型化粧スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)の貼り重ね部分が狭すぎる事によって生じる「毛細管現象」は、屋根材の裏に湿気が溜まり、屋根材を腐食させ、室内への漏水の原因になります。
この様な重大な品質トラブルを防ぐ為、当店では、ポリカーボネート製の薄型化粧スレート屋根用縁切り部材 セイム「タスペーサー02」を1㎡当たり5~10カ所
(幅900mm=㎡10か所挿入、幅600mm=㎡5か所挿入する事を推奨します。但し、屋根材の反り上がりが激しい場合は、「タスペーサー03」を使用する必要があります。)屋根材の隙間に挿入します。
また、屋根材に4mm以上の広い隙間がある場合(屋根材を破損させる恐れがある為です。)や屋根の勾配が緩やかな場合にタスペーサーを挿入する必要はありません。
詳しくは、「縁切り作業について」を参照下さい。

7.上塗り

ウレタン・シリコン・フッ素等の、カラーベスト・コロニアル屋根に適した上塗り塗料を2~3回ローラー(仕上げ用ローラーは、毛抜けが少なく、毛の長さ18~20mm程度、低飛散性と耐久性を重視して選定すると良いです。ちなみにマルテー大塚の「マイクログランデ」好川産業の「マイクロキューブ」昭利ブラシの「白鷹」あたりが良いです。)や筋交い刷毛を用いて、丁寧に塗布します。
屋根用上塗り塗料には、下塗り塗料や屋根下地を紫外線や水から守る役割があります。
また、屋根材の美観もこの作業で決まるので、とても重要な作業です。
余談ですが、当店では遮熱タイプの弱溶剤2液型シリコン系塗料を頻繁に使用しています。

8.縁切り作業

屋根の上塗り塗料が完全に乾いて硬化した後に、「毛細管現象」による漏水や湿気を防ぐ為に、カッターナイフやスクレイパー等で屋根材の間に2~3㎜の隙間を作ります。(縁切り作業を行う際には、キレイな靴で屋根に上がるようにします。せっかく仕上げた屋根塗装が汚れてしまいます。)
屋根塗装後の縁切り作業をしっかり行っていないカラーベスト・コロニアル屋根は、毛細管現象によって雨漏りしたり、屋根材との隙間に湿気が溜まり、屋根材が腐食するスピードが速くなります。
但し、縁切り部材の「タスペーサー」が適切に挿入されている場合は、縁切り作業の必要はありません。

9.清掃

カラーベスト・コロニアル屋根塗装の完了後に、マスカー、マスキングテープ等の養生材を手早く撤去します。屋根の周囲に塗料の飛散汚れが付着している場合は、溶剤やウェス、スクレイパー等を使って丁寧に掃除をします。
シンナー等の溶剤で飛散した塗料を拭き取る場合には、拭き掃除に適したキレイなメリヤスウェスに溶剤や水を含ませ、塗料の汚れを拭き取る様にします。

10.手直し

屋根塗装のかすれ等、塗装の手直しが必要な場合、ナイロン筆などで慎重にタッチアップ塗装(補修)を行い、最後の仕上げをします。なお、補修塗りする際には、同一ロットの屋根塗料を使用する様にします。

11.カラーベスト・コロニアル屋根塗装の完成

カラーベスト・コロニアル屋根塗装完成です。