乾式洋瓦の特徴 (モニエル瓦・クボタ洋瓦・スカンジア瓦・スラリー瓦)

モニエル瓦(乾式洋瓦)とは、着色スラリー層のあるセメント瓦の事です。
モニエル瓦は、オーストラリアのモニエル社と高圧・半乾式成形の技術をクボタが共同開発し、昭和48年に日本に技術導入された事から、「モニエル瓦」と呼ばれています。
屋根材メーカーによっては、モニエル瓦、クボタ瓦、スカンジア瓦とも呼ばれます。
モニエル瓦(乾式洋瓦)の形状は、和型、洋型、平型、S型等の種類があります。
モニエル瓦(乾式洋瓦)の製造方法は、水分の少ないセメントを真空ドレン機による押し出し成型によりつくられ「着色スラリー層」と呼ばれるセメントや砂などと同質の無機質着色材を1mm以上の厚い塗膜を塗装され、その後アクリル樹脂のクリアー塗料を塗装した屋根材です。
また、モニエル瓦の製造過程では、発がん性があると言われるアスベスト(石綿)も一切使っておらず、陶器の瓦の様な焼成加工も不要なので、二酸化炭素の発生も最低限に抑えています。この様な理由から、乾式洋瓦は環境に優しい屋根材と言えます。
モニエル瓦(乾式洋瓦)は、一連の製造工程で製造できる為、製造コストを下げる事ができます。
しかし、モニエル瓦(乾式洋瓦)を塗装で塗り替える場合、製造時に塗装された着色スラリー層が大きな問題になります。
当然の事ですが、モニエル瓦は塗装仕上げの屋根材なので、経年劣化によって仕上げクリヤー層や着色スラリー層も劣化する為、耐水性が低くなり、非常に素地が脆弱になります。
また、1mm以上もある厚い脆弱な仕上げクリヤー層や着色スラリー層を高圧洗浄でしっかり取り除かず、不十分な状態で屋根塗装を行うと塗装した後、1~2年で塗膜が剥離する恐れがあります。
ですから、乾式洋瓦の塗り替えの際には、まず脆弱になったスラリー層を完全に取り除いた後に塗装する必要があります。
なお、モニエル瓦(乾式洋瓦)は、どの屋根用シーラー(プライマー)でも下塗りが可能な訳では無く、浸透性が高く、素地補強効果に優れる2液型エポキシ樹脂シーラー等を使う必要があります。
乾式洋瓦の塗り替え用トップコートは、シリコンやフッ素‥といった高耐久性塗料や遮熱塗料で塗装するのが一般的になっています。
乾式洋瓦(モニエル瓦・クボタ洋瓦・スカンジア瓦・スラリー瓦)の種類について
なお、セメント瓦は、大別しますと、モニエル瓦(乾式洋瓦)とプレスセメント瓦の2種類に分ける事ができます。
プレスセメント瓦は屋根塗装のセメント瓦屋根塗装に説明があるので、そちらを参照ください。
先にも書きましたが、モニエル瓦(乾式洋瓦)を塗り替える上で非常に注意しなくてはならない点は「スラリー層」が、屋根材の表面にある事です。
特に脆弱なスラリー層を完全に取り除かないと、塗装後に塗膜が膨れたり剥がれたりして、重大な施工トラブルの原因になります。
経年劣化した脆弱なスラリー層があるだけで、高圧洗浄や下塗り回数・シーラーの使用量、施工管理の難易度が大幅に上昇します。
モニエル瓦(乾式洋瓦)の下塗りには、脆弱なスラリー層を補強できる専用の下塗り塗料を使用して上塗り塗料には高耐久性塗料で塗装するのが一般的になっています。