モルタル外壁の特徴について
モルタル壁について解説します。
モルタル壁とは

モルタル壁とは、ラス(網の針金)等の上からモルタル(水・砂・セメントを混ぜたもの)を左官コテで塗り付けて、その後、塗装して仕上げるのが一般的なケースです。
モルタル壁は、1980年代までの日本の一般住宅の外壁に多く使われ、築25年以上の一般建築物によく見られます。
モルタル壁の代表的な仕上げ形状としましては、吹付リシン・吹付タイル、吹付スタッコ等が挙げられます。サイディングボードが普及する前は、日本の住宅のほとんどがモルタルを使用していましたが、近年その割合は、徐々に減少しています。
モルタル外壁は、塗装仕上げなので、定期的なメンテナンスを行わないと、外壁の耐久性が著しく低下します。
また、スタッコ・土壁調仕上げ(ジョリパット)等は、仕上げ模様(テクスチャー)により、塗り替え時の塗料の使用量が大きく異なってきますので注意が必要です。
モルタル(セメント)の主成分と性質
主成分 | セメント・砂 |
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特徴 | 極めてアルカリ性が強い。 水分の乾燥は早いが、躯体の影響が大きい。 施工内容により、水分の吸込み量が異なる。 耐久性・耐水性・耐火性に優れる。 |
モルタル外壁の種類について
モルタル壁には、主に次の様な仕上げ形状があります。

スタッコ壁
スタッコは、各種スタッコ材を5~10mm程度の厚さで吹き付けたもので、高級感と重厚感ある壁面を表現する事ができます。
吹付けスタッコの主な種類には、アクリルスタッコ・セメントスタッコ・弾性スタッコ等があります。
吹き付けスタッコの仕上がり形状は、「吹き放し仕上げ」とカットローラーで押さえた「ヘッドカット仕上げ」があります。
しかし、吹き付けスタッコは、塗装面の凹凸が激しい為、汚れやすいのが欠点です。
また、塗り替え時は、塗料の吸い込みが非常に多く、塗料も大量に消費してしまい、施工に手間が掛かるので特に注意が必要です。
なお、スタッコの塗り替えに使用する塗料は、湿気による塗膜の膨れを抑える為、透湿性(呼吸性)を持った塗料を選定する必要があります。

リシン壁
リシン壁は、表面が細かい砂の様にザラザラしている砂壁状の外壁です。
経済性(ローコスト)と作業性(手離れが良い)が良い為、1,970年代から80年代にかけて、モルタル外壁の仕上げ材として頻繁に使用されてきました。
リシン壁は、砂状の落ち着いた独特の風合いがありますが、モルタル壁面の場合クラックが生じやすく、塗膜の表面に汚れが付きやすい為、最近では新築の住宅塗装にモルタル壁のリシン仕上げを施す事が、ごく僅かになっています。吹付けリシンの種類には、アクリルリシン・シリカリシン・弾性リシン等があります。リシンの砂粒の大きさは、5厘・3厘・1厘、軽量骨材等から選択する事ができます。

吹き付けタイル壁
吹き付けタイルは、各種タイル材を1~3ミリ程度の厚さで吹き付けたもので、ランダムな凹凸がある陶磁器調の外壁仕上げ材です。
吹き付けタイルには、「吹き放し仕上げ」と「ヘッドカット仕上げ」があります。吹付けタイルの粒の大きさは、吹付ガンのチップ口径の大きさによって変える事ができます。
吹き付けタイルの塗り替え時は、リシンやスタッコに比べ、塗料の吸い込みがないので、とても塗りやすいです。
吹付けタイルの主な種類には、アクリルタイル・シリカタイル・エポキシタイル・弾性タイル・高弾性タイル・スキンタイル等があります。吹き付けタイル塗装の際には、高耐久性シリコン系・フッ素系等のトップコートを組み合わせる事により、高耐久仕上げが可能です。

ローラー仕上げ
ローラー仕上げは、作業性と安全性が高いので、現在最も採用される塗装工法です。パターンローラー仕上げは、以前に塗り替えが行われているモルタル外壁やテナントの壁面に使われている事が多いです。
壁面にパターンローラー仕上げを施す事により、様々のテクスチャーが表現できます。また、防水性・不燃性等の機能性も付与する事が可能な為、用途に応じた仕上げ形状の選択ができます。塗料の性質によっては、職人のテクニックを存分に活かした仕上げが可能です。
ローラー仕上げを大きく分類しますと、仕上げ塗り材には、単層仕上げ塗りと複層仕上げ塗り工法があります。単層仕上げ塗りを簡単に言えば、単層塗材を平面に塗り付ける事で完成するわけですが、その際、施工道具としてパターンローラーを使用する事によって、多彩な表情を壁面に創り出す事ができます。複層仕上げ塗りでは、テクスチャーのパターン付けを中塗り工程で行い、各種トップコートで仕上げる工法です。

左官仕上げ
アイカの「ジョリパット」やエスケー化研の「ベルアート」等に代表される土壁調の左官仕上げには、コテ仕上げ・櫛目引き仕上げ等、様々な種類があります。ハンドメイドな風合いが特徴です。
塗り替え時には、スタッコやリシンと同様、仕上げ面に吸い込みが生じる為、塗料が多く必要な場合があります。
また、左官仕上げのモルタル壁面を塗り替える際には、透湿性と可とう性を持った塗料での塗り替えをおススメします。